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ーーー リョナ板 SS総合スレ 第2巻 ーーー

1名無しさん :06/04/23 16:11 ID:PIHvscwg
前スレが500kbを超えたようなので、勝手ながら立ててみました。
mugenスレなどを見る限り、次スレに移行しても、前スレも当分の間現行スレのように読める模様。

前スレ
ーーーー  リョナ板 SS総合スレ  ーーーー
http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/ryonani/1100758146/

2前スレ393 :06/04/23 16:14 ID:???
 感想ありがとうです>前スレの人達

  1 複数の女キャラがまとめて屈辱的にいたぶられる
  2 非科学的な力で引き起こされる理不尽な現象に翻弄される

そんな自分好みのシチュを描いてみたわけですが、
1を実践しつつ、(一応の)事態の収拾をつけようとすると、
必然的にえらい長さになってしまいますな (;´Д`)

もしDOAX2が出て、こころも水着姿にひん剥けることになったら、
彼女も巻き込んだ第2弾を・・・などと考え中です。

3名無しさん :06/04/23 16:33 ID:???
乙〜

確かに少し長かったw
いきなりあやねがボール取りに行くところから書き始めて、
最初の方の説明はところどころ文中に織り込んでしまえばもう少し短くなったかもね。

4名無しさん :06/04/23 22:32 ID:???
乙!
長かったけど、楽しく読めたよ。
展開が意外で、文章が丁寧で面白かった!
最近萌えるSSがかなり投下されてて満足だw

5名無しさん :06/04/24 22:53 ID:???
ところで、自分ら素人ではなくて、プロの作家先生が書いてる本の中のリョナ
の話ってこのスレでしてもOKなんでしょうかね?

6名無しさん :06/04/25 06:14 ID:tTnWiHhM
こ:;おjんjふいhの;うひ」「0いk−@いっk」」


7名無しさん :06/04/25 18:38 ID:???
>>5
俺は管理人さんじゃないんでなんとも言えんけど、
主旨が違過ぎるし新スレ建てるか雑談スレのがいいんじゃないかな?

85 :06/04/25 22:36 ID:???
やっぱりここでは厳しそうですか。
雑談スレで少し話題振って、新スレ作れるほど話題ありそうか打診してみます。
ありがとうございました。

9名無しさん :06/04/26 22:26 ID:nMStIxmA
前スレで投稿された作品も多かったことだし
2chのエロパロ板みたいにまとめサイト作ったほうがいいかな。

10ロールちゃんの日記の続きだ :06/04/26 23:00 ID:XRKYUWi6
意識が戻った私は、そこがドコなのか最初全く見当がつかなかった。
だが、気を失ってからそんなに経っていないという事は、包帯で無理やり止血(それでも包帯から染み出た血が床に滴っていた)されていた、無残に肩口からもぎ取られた左腕を見れば明かだった。
私が遅れて痛みを思いだし、また騒々しくわめき散らそうとすると、何故か口からはみっともない吐息しか漏れず、ようやく口に猿轡がされている事が分かった。
「ちっ、今頃起きるんじゃないわよ」
蒸せ返る熱気、金属の上げる金切り声、絶え間無い機械音。
トロンの苛立たしげな声が聞こえ、私は歯軋りしながらその方向を観る。
そして彼女が大きな鉄のハサミに持つ、凄まじい熱気を帯びた鉄板を見て、どうやらここが製鉄所か、その類である事も分かった。
もちろん、その後彼女が私にする事まで、予想する事など出来なかったが。
「我慢するのよ、何ならまた気絶しちゃいなさい」
「んんー!…んグッ!?…ンンーーーー!!」
その熱い鉄板が私の左に並び、頬が焼けるほどの距離に近づけられ、恐怖にかられた私は逃れ様ともがくが、すでに私の手足は丈夫なワイヤーでガッチリ固定されており
トロンは私に馬乗りになると、左肩の包帯を無理やり引き剥がし、そこから血が噴出す前に、鉄板を断面に圧着させた。
肉の焦げる匂い、音。激痛、恐怖。
再び意識を失うのに充分な条件が揃っていたにも関わらず、またも私の意識は鎖のように現実に繋ぎ止められ
呼吸もままならなくなる程にもがき苦しみ、トロンが跨る腰を宙に高々と突き出した、見っとも無い格好を彼女に晒し続けた。
「アンタからアイツの匂いがする…気に入らない、気に入らないよ」
涙をかみ殺したような、裏返った声で彼女がそう言っていた。
多分あの時、彼女は正気では無かったのかもしれない。
でも私はそのおかげで、出血多量により命を落とす事も無く、ようやく正気に戻ったトロンは鎮痛剤も打ってくれた。
幾分楽になった私は、涙と鼻水と、猿轡のふちから血と唾液を漏らしながら、肩を上下に嗚咽した。
口の猿轡が外されると、私は性懲りもなくエンエン泣き出し、トロンはそんな私の口に慌てて指を突っ込み、舌を乱暴に鷲づかみにした。
「シィーッ!声を出さないでッ!なんで猿轡なんてさせたと思ってるの、アイツが近くにいるのよ!」
ロックが近くにいる…
私は痛みも忘れ、恐怖に凍り付き、声を出すのを止めた。
怯える私の表情を読み取ったトロンは、意地悪く微笑み、私の震える唇に人差し指を当てて、こう言った。
「ふふ、おりこうさん」
もちろん嫌味だ。
彼女は私の残された右手に、大きな拳銃を押しつけてきた。
銃口の先端にドングリのような奇妙な砲弾が突き刺さっていて、横には「Z」と記されていた。
またどこぞの遺跡から掘り出してきたのだろう。
「弾は一発だけ…もう、アイツを仕留められる武器はこれしかないんだから、絶対に当てるのよ」
何故そんな貴重な武器を、片腕になってしまった私に渡すのか理解できない。
だからそれを彼女の手に押し返そうとしたが、トロンは本当に怖い目で私を睨み、歯を剥き出して小声で、しかし怒りを押し殺した低い声で言った。
「さっきの見たでしょ、アイツは機関銃の弾も察知できる凄いセンサーを使ってる。カンプピストルの弾は強力だけど、弾速が遅いから不意打ちしか手が無いの」
それから、壁に開いている暗い通気ダクトを指差した。
その穴は狭く、子供が1人出入りできるかどうか…
つまりは、そういう事なのだ。
「片腕のないアンタなら入れるでしょ、私が囮になるから…アンタの為じゃないからね…絶対に当てて…アイツを仕留めて…」
断れなかった。
彼女は、ロックの為にここまで本気になって…
彼女の心のどこかに残る彼の思いでの為に…
優しい子だったロックの為に…
だから私は、その無謀な作戦に対し、首を横に振れなかった。

11ロールちゃんの日記の続きだ :06/04/26 23:03 ID:XRKYUWi6
暗くて狭いダクトの中を武器を持ちながら這うのは、片腕になってしまった私には本当に大変だった。
鎮痛剤を打たれているとはいえ、痛みは消えていない。
私は歯を食いしばって、涙と鼻水で顔をびしょびしょにしながら進む。
トロンは多分死ぬ気だろう。ロックと一緒に死ぬ気なんだ。
私は最後の最後で、彼女にロックを持って行かれてしまったような…またやってしまった。
彼女の考えていた事なんて分からない。意味の無い詮索など止そう。

ここから先は、私は直接見たワケではない。
ただダクトを這いながら、外から聞こえてくるロックとトロンの会話を元に、私の想像を交えている。
本当にここから先は、辛い作業だ。

トロンは小ぶりの拳銃を(確か『わるさー』とか言う名前だ)、その銃口をプレス機やロボットアームの作業するベルトコンベア、全ての物に1度照準しながら、慎重に慎重に進んだ。
あんな銃じゃロックの装甲は打ちぬけない。そんな事、彼女も知っている。でも、私達は対決しなければいけなかったんだ。
ロックが階段を上って現れたとき、トロンは何の躊躇もせず発砲したけど、リーバードとの戦いや無数の銃弾も受けつけなかったロックの黒い鎧は、拳銃弾を火花だけ残して弾き飛ばしてしまう。
あっと言う間に打ち尽くして、弾倉を交換しようとするトロンの腕を、ロックは思いっきり殴りつけた。
「きゃぅ!」
トロンの悲鳴と、銃が金網の床を転がる音が虚しく聞こえてきた。
それからロックは…右手の巨大なドリルアームで…トロンを、虫の標本か何かの様に、壁に串刺しにしてしまった。
「あぁっ!ぐぅあぁあっ…!」
早速口から血を吐き、頬を朱に染めて涙するトロンに、ロックは冷たく言い放つ。
「何だ、こっちのデコイか…ロールちゃんはドコに隠れてる。場所を言えば…こうするのは勘弁してやる」
それから、ほんの短い時間だけどモーター音が聞こえた。同時にトロンの甲高い悲鳴。
彼女は、自分の下腹に突き刺さったロックのドリルを必死に、しかし虚しく抑えているが、そのドリルがゆっくり回転して内臓を引き裂くと、目をと口を大きく開いて泣き叫んだ。
「いやぁっぎゃぁあああああああああ!」
「ほうら痛いだろうが。デコイは痛がりで本当に煩い。中に汚い血が詰まってるから掃除も大変だ。早く言えよ。ドリルが汚れ…!?」
見るも無残な姿のトロンは、だが突然、恍惚とした表情に顔色を変え、それから、本当に本当に、幸せそうな声でこう言った。
「やっと、やっと私のこと、直ぐ近くで見てくれた…ロック…私のロック…」
それから彼女は、血に塗れた両手で彼の頬に触れる。
これが彼女の計画だったのかどうか…瀕死の状態で咄嗟に思いついただけなのか、それとも…
とにかくロックは、自分の顔に彼女の血が付いた事に対し…暴力で答えたのだ。
「汚い手で触るんじゃない!」
鋭く長いモーター音。
ついでとても言葉で言い表せないような、トロンの悲鳴が、ロックの叫びと重なった。
私はもう、その場のすぐ後ろのダクトまでたどり着いていて、通風孔を塞ぐ蓋を破って私が顔を出し
トロン“だったモノ”を右腕に絡ませ、全身に真っ赤な血を浴びるロックの驚いた顔に向けて、銃口を向けた。
「ロールちゃん?」
「ロック…ごめんね…」
私が引きがねを引くと、強力な炸薬の詰まった弾がロックを直撃し、私は爆風で吹き飛ばされて反対側の壁に叩き付けられ、一瞬気を失ってしまった。


12ロールちゃんの日記の続きだ :06/04/26 23:05 ID:XRKYUWi6
目を覚ますと、わき腹に鋭い痛み。
見れば衝撃で引き千切られた金属片か何かが、私のわき腹に食いこんでいた。
出血を起す危険があるから、抜くのは危ない。
私は何度目とも分からぬ苦痛の悲鳴をあげ、歯を食いしばって立ちあがり、ロックの生死を確認すべく視界を向けた。
ロックの残骸はそこで、大きく三つに分かれていた。
まずは右腕のドリルアーム…トロンの衣服の一部が絡まったままだ。
それから下半身…上半身を失って尚、立ち往生して直立している。
そして残るは…まるで眠っているように目をつぶる、頭と上半身…顔は左半分の皮膚が焼け焦げ、その下から金属の頭蓋骨が覗いていた。
何故私はあの時あんな事をしたのか、今でもよく分からない。
私はロックの上半身の元に膝をつき、その顔に付着する血を拭おうとした…だけど、ロックはまだ生きていたのだ。
突然見開いたロックの目は、真っ赤だった…優しかった頃の彼は緑の綺麗な瞳だったのに、真っ黒な鎧になってしまってからは、血のように真っ赤な不気味な目になってしまった…
そう、私はあの目に見覚えがある…リーバードと同じ、敵意に満ちた目…
私は幼い時から彼と一緒だったが、これが、本当の彼の正体…
増えすぎたデコイ達を処理するための駆除係、調整係、殺戮者…
剥き出しになった左半分の瞳は、エアバイクの上で私を睨みつけた、あのリーバードと同じ目。
その赤い目に、恐怖にゆがむ私の顔が映りこむ。
私は悲鳴もあげられず、わき腹の傷を抑え、這うように彼から逃げ出そうとした。
「ロールちゃん。待ってよロールちゃん。酷いよこんな事して…もう許さないからな絶対に」
後ろから聞こえる、金属のこすれる音と彼の無感情な声。
腰の抜けた私は無様に這いつくばって、彼を完全に停止させれるだけのモノを探した。
精錬した鉄を潰すプレス機の隙間に逃げ込む。ロックは気付かず私の後を追って、中に入って来た。
先に出た私が、プレスのスイッチを手にしている事に気付いたロックが、黒い篭手のような太い手を私に伸ばしてくる。

私はもう、迷わない。

黄色いスイッチを押すと、強力なプレスが、彼を上下から押しつぶしていく。
「ロールちゃん、ロールちゃん」
彼が無感情な声で私の名を呼びながら、伸ばした左手をバスターに変形させ、それを私の鼻先につきつける。
「ロールちゃん、ロールちゃん、ろろろろろーるちゃん…ろーろろ…」
「もうやめよう、ロック」
それが、私と彼が交わした最後の言葉だ。
メキメキと金属の潰れる音が漏れ、ロックのバスターの先に光っていた最後のエネルギーは、私を高熱のプラズマで焼き殺す前に潰え
また、プレス機の影から光っていた彼の赤い瞳は、消える寸前、ほんの短い間だけ…私の大好きだった頃の、緑色に戻り
それと同時に、血と誇りと錆びに、どす黒く変色していた彼の装甲は、雲一つ無い空のように、綺麗な水色に戻っていった。

13ロールちゃんの日記の続きだ :06/04/26 23:12 ID:XRKYUWi6
これが私とロックの物語。その終焉。そして、私が歩むべき新たな道しるべとなった。
私はその後、あちこちの軍事施設や、警察署等、生き残っていた僅かな人間達と共に武器を取り、今尚、空や地下遺跡から現れるリーバード達との、いつ終わるとも知れない闘争に明け暮れている。
左腕の義手は、ロックが使っていた物を赤く塗って使っている。もちろんバスターもまだ生きているから、これでリーバードと戦う事だってできる。
今や私は、ロックがデコイと呼んだ者達の中でも、重要な位置に付き、作戦の指揮や新兵器の開発等に関わってきた。
先ほども、私がコレを書いている最中に若い兵士がやってきて、私達が「エデン」と呼称する巨大物体、リーバードが空から大気圏に突入し、地表に降り立つ為の巨大なドロップシップに対する妨害工作の成功を伝えてきた。
何万ものリーバードを乗せたエデンは、私の計算通り大気圏で分解飛散し、燃え尽きた。
私達の最終目的は、恐らくはこの不条理なシステムそのものが潜むであろう、「ヘブン」への反攻だ。
だが、きっと私はこの先、傷つき、多くの仲間を失い、そして何時かは倒れるだろう。
後に残された誰かがこれを読み、どう思うだろうか。
あの大災厄を招いた黒衣の殺戮者「ロック」は、私と深い関係にあった。
私が彼と共に育ち、彼に恋し、彼を支え、彼に頼り、彼と共に歩んだ冒険の数々。
その後、私は変化してしまった彼に裏切られ、片腕と大切な様々な物を失ってしまったが、私は今も、彼の冥福を祈る事に何の抵抗も無い。
あの優しかった頃の彼が偽りであり、黒衣の殺戮者が本当の彼の姿だったとしてもだ。
でも私は、今こんな時だからこそ、彼の言葉を借りてみたい。

「人間は、決して無力なんかじゃない」

いつかはきっと、私達はきっと、あの空に浮かぶ巨大な球体に迫り、勝利を勝ち取る事ができるはずだ。
だがその時、私はそれを生きて見届ける事ができるのだろうか?

                                                       ロール・キャケット

終了しますた。クソ長い上にゲーム知らん人にはさっぱりな内容でスマンカッタ。
作中に出てくる用語っぽい言葉は、全部ゲーム中に登場する言葉で、オリキャラとかオリ設定とかは無し、ただ、ロック(プレイヤーキャラ)が悪い事しまくって黒くなるっていうシステムをリョナ的に妄想し直し
尚且つタ○ミネーターな続編を期待しつつ書きました。
後トロンの武器がドイツ軍なのも、ボーン一家がドイツ名メカを使用していたかr

14名無しさん :06/04/27 00:44 ID:j8re.2VY
>>9
作ってくれるなら頼みたい。

>>10
乙。

15名無しさん :06/04/27 04:56 ID:???
>>9
作ってくれるなら是非ともお願いしたいな。
結構前に投稿された奴を読み返したりしてる。

>>10
そういう役柄だとロックマンなのに怖いなw

16名無しさん :06/04/28 03:04 ID:iMwnzAws
ここって版権物オンリー?
オリジナル物はダメかな

17名無しさん :06/04/28 11:34 ID:upeFZcS6
>>16
前スレにはいくつかあったからかまわないと思うよ。

18名無しさん :06/04/29 19:30 ID:???
>>13
お疲れ〜
健気なヒロインがいたぶられるのはリョナの王道やね。
一番最初のに比べてすごく文章も上手くなってると思うし、次の作品も期待しとります。
>>16
書いたら是非張って欲しい

1913 :06/04/29 22:17 ID:???
感想アリガタス
最初にうpした日記は
監禁され、いつ殺されるかわからん極限状態で、涙流しながら書いてる設定で
感情的に書いてみますたが、失敗したぽ
続きの方は、ロックぬっこした後、落ち着いた状態での、所謂自伝なんで、まとまった文章心がけてみた

どっちがいかったかな

20名無しさん :06/04/29 23:13 ID:vP2JG35U
最初のやつは読んでたらなぜか うま・・かゆ・・・・
を思い出してしまったw

文章とかは最後の方になってくほど上手くなってると思うけど、
日記っぽい感じっていうのは最初のやつが一番雰囲気出てたと思う
>>10から始まるのとかは、臨場感あるんだけど、どちらかといえば実況って感じだった

ちなみにリョナ的には前スレの445のやつが一番好きw



21名無しさん :06/05/03 00:21 ID:???
おまいらせっかく書いてくれてる人が感想求めてるんだし、レスぐらい
しようぜ!

22名無しさん :06/05/05 18:03 ID:???
>>21
君は、国語の点低いだろう?

23名無しさん :06/05/05 23:28 ID:???
うむ、SSを書くのもままならないほど低い。
だから、自信と気品を兼ね備え、優雅ささえも漂う>>22が書くSSに心の底から期待している。

対象が竜虎のユリだと最高に嬉しいな。

DOAのレイファンなら手を触れなくてもイってしまうやもしれぬ。

ああ、想像しただけで・・・・・・・・


24名無しさん :06/05/06 11:29 ID:???
>>23
そんな立派な人間じゃあねーよ、俺は(笑)

自信と気品を兼ね備え、優雅ささえも漂うようならこんなとこいねーって・・・

25名無しさん :06/05/07 18:01 ID:???
>>24
だよね(笑)
みんな仲間、仲間。キャッキャウフフしよう。

26名無しさん :06/05/07 19:18 ID:???
>キャッキャウフフしよう。
リョナではなくて別のことを連想した。

27名無しさん :06/05/08 18:19 ID:???
>>26
君は、妄想癖があるだろう?

28名無しさん :06/05/08 19:03 ID:???
うむ、あるな。
そしてその妄想をSSにしてここに垂れ流す俺マジキモスwwww

29名無しさん :06/05/08 22:43 ID:???
>>28
垂れ流しちゃえ、どんどん垂れ流してくれー。

30名無しさん :06/05/10 10:30 ID:???
>28
その妄想で喜ぶ人もいますぜ。

31名無しさん :06/05/10 18:26 ID:???
なんかここにいる人達ノリがよくていいな。読んでて楽しいぜ(笑)

32名無しさん :06/05/18 17:07 ID:???
「面白い秘密倶楽部があるんだが行ってみないか?」
ことの発端は友人のKがこんな話を持ちかけてきたことであった。
僕もKもいわゆる大金持ちの御曹司というやつで、30近いこの年まで真っ当な努力といったこととは無縁に暮らし、ずっと遊ぶことだけをして生きてきた。

金があればこの世の中、大抵のことができる。
女も酒も博打もとことんまでやってしまうと、もう何の面白みも感じなくなる。
惰性で遊び続けるのにも飽きてきて、親父のやってる事業の関連会社の役員になる話でも受けようかと考えていた矢先のことだ。

「秘密倶楽部?SMショーや乱交パーティーなんかにはもう興味がないぜ」
最初僕は秘密倶楽部という言葉からそういうことを連想した。
モデル、歌手といった有名人と大富豪の御曹司達の繰り広げる乱痴騒ぎ。
そんなものはもう飽き飽きだ。

「そんなんじゃないさ。まあとにかく1回行ってみろよ。話は俺が通しておくから。」
からっとした口調ながら、やけに強引にその倶楽部への参加を進めるKの気迫に押されて、
僕は1回だけその倶楽部とやらに足を運んでみることにした。

その倶楽部の正確な名前をここで言うことはできない。
そういう決まりなのだ。
しかし、その倶楽部では話がしにくいので仮にD会ということにしておこう。

そのD会の集まりの連絡が来たのはKの話を承諾してから1週間ほど後のことだ。
ところが肝心のKは父親の命令で、その日はどこぞの偉い政治家とKの父親とKの3人で会食をするため母国に帰国するよう言われたため、今回のD会の集まりには参加できないことになり、結局僕1人で参加することになった。
その時に、普段は大してものごとに執着しないたちのKが妙に残念がっていたことが印象的だった。

D会の集まりが行われる場所。
これも規則で正確な場所を言うことは禁じられている。
集りのある時間、深夜0:00時に指定された場所に行ってみると、
そこは人の出入りが絶えて久しいことがすぐに判るような、薄汚い雑居ビルであった。

「××様でございますね。K様よりお話を伺っております。こちらへどうぞ。」
ビルの入り口で僕が戸惑っていると、グレーの背広を着た、初老の男が僕を中へと案内した。
「××様のお部屋はこちらになります。」
案内されたのは4畳ぐらいのビニールタイルの床の狭い部屋で、部屋の真ん中に小さなテーブルがあり、テレビが置いてあった。
そしてテーブルの前にはパイプ椅子がすえつけてある。
部屋の中にあるものはそれだけだ。
テレビの画面はいわゆる砂嵐状態で、今は何も受信していないようだ。

「では、ごゆっくりとお楽しみください。」
そう言うと案内の男は僕1人を部屋に残して、ドアを閉めて立ち去ろうとした。
僕はあわてて彼を呼び止めた。

この時まで僕は勘違いしていたのだが、このD会はゲスト同士が顔を合わせることはなく、ただ、そこで行われるショーをそれぞれに楽しむという形式の集まりなのであった。
客同士が顔を合わせることがないように、集合も、解散も、時間を1人1人ずらして行われる。
時間厳守とKが念を押したのもこのためらしい。

「何のショーがあるって言うんだろう。」
案内の男はショーの内容までは説明しなかった。
それにどう考えてもこの埃っぽく、薄暗い部屋でテレビに映るショーを見ることが、
極々一部の選ばれたエリートにだけ許される娯楽とは思えない。
これならまだオーナー席で競馬でも見ていた方がマシというものだ。


33名無しさん :06/05/18 17:07 ID:???
そんなことを考えていた時、僕はテレビの上に1枚の紙が置いてあることに気が付いた。
紙にはワープロ文字で人物のプロフィールらしきものが書かれていた。

Name: LEIFANG
レイファン。
これは中国人の名前だろうか。
その下にいくつかの拳法や格闘技大会での実績が書いてあるが、かなり優秀なようで、
優勝の文字が並んでいる。
その紙に書いてあったのはそれだけだ。

紙を片手にぼんやりしていたら、いつの間にかテレビが映像を受信していた。
画面に見えるのはこのビルの一室であろうか。
僕の居る部屋よりは大分広い大部屋だ。
テニスコート2つ分ほどの広さがある。
部屋の両側にドアがそれぞれあり、窓はない。
地下なのだろうか。
床は僕の居る部屋と同じビニールタイルだ。
部屋の中はガランとしていて、これから行われるショーの内容がわかるようなものは何もなかった。
画面はそれ以上変化を見せず音も何も聞こえてこない。
どうやらこのテレビが中継しているのは画像だけで、音は聞こえないようだ。
もっとも部屋に音を立てるようなものは何もなかったのだが。

と、その時大部屋のドアの1つが開いて、誰かががその部屋に入ってきた。
大胆なスリットの入ったチャイナドレスを着た20歳前後の女の子だ。
女の子は口元をぎゅっと結んで固い表情をしている。
この少女が紙に書いてあるレイファンなのだろうか。

「まさか拳法の演舞でもやる気じゃないだろうな。」
しかし、その考えを僕は自分で否定した。
なぜなら、女の子の表情はこれから拳法の演舞をやるというにはあまりに青ざめ、恐怖と不安に満ちていたからだ。

女の子はしきりにまだ閉じているもう一方のドアを気にしているようだ。
僕も自然ともう一方のドアが気になり始める。
一体何が出てくるのだろうか。

と、一方のドアに注意を惹かれているうちに、女の子の入ってきた方のドアが急に閉じられた。
部屋に1人で閉じ込められた格好になり女の子はかなりうろたえている。
しかし、すぐに今さっきまで女の子が注目していた方のドアが開いた。

中から出てきたもの。
僕はそれを人間と呼んでいいのかどうかわからない。
それは2メートルを超える巨大な人の形をしたの肉の塊だった。
その上半身は下半身に比べて異様に発達し、筋肉は不自然な盛り上がりを見せ、皮膚は全身大火傷でもしたかのようなケロイド状であった。
まぶたの無い目玉は、それ自体が光を放つかのように薄暗い部屋のなかで爛爛と輝いていた。
まるで皮を丸剥ぎにされたゴリラ。
いや、怪物の目に宿る狂気の輝きを考えれば、まだしもゴリラの方が100倍も可愛げがあるだろう。

僕がその化け物をかろうじて人間――――少なくとも知性というものが存在すると判断できたのは部屋の中に居た女の子を見てニヤリと笑った(これも辛うじて判別できる代物だが)からである。

そして当然ながら僕以上に、化け物と同じ部屋に2人きりにされた女の子は大きなショックを受けていた。
顔は青いを通り越して白く血の気が引いていて、今にも泣き出しそうな表情である。
そのまま気を失わないのが不思議なくらいだった。
僕があの怪物と対面させられたなら3秒と持たずに腰を抜かしてへたり込んでしまうだろう。
しかし、なんと女の子は固い動きで怪物相手に拳法か何かの型をとり、身構えたのである。
まさか、あの女の子とこの怪物が戦うのがショーの中身なのか!?
そんなものが見世物になるわけが・・・・・・。


34名無しさん :06/05/18 17:08 ID:???
その時怪物の入ってきたドアが閉められた。
それにあわせたかのように怪物が雄たけびらしきものを上げた。
テレビが大部屋の音を伝えないのだから聞こえるはずの無い怪物の雄たけびが、僕の身体を凍りつかせる。

そのまま怪物は野生の獣がするように女の子めがけて踊りかかった。
怪物に四肢を引きちぎられる女の子の姿が僕の脳裏に浮かぶ。

しかし、そうはならなかった。
怪物の手が女の子に触れる寸前、怪物はひとりでに女の子を避けるように飛び上がり、頭から地面に墜落したのだ。
少なくとも僕にはそう見えた。
あの、女の子・・・・レイファンがこれをやったのだろうか。
僕はあまりに現実感のない光景に、これは何かのトリックではあるまいかと考えた。

しかし、起き上がった怪物の目に浮かぶ憎悪の炎が、僕の疑惑を打ち消した。
最新のSFXでもどんな役者の演技でも不可能な暗い光、相手を呪い殺す目だ。
しかし、レイファンは怪物の視線に屈することなく、相手を見返した。
怪物の目と彼女の視線が交差する。

その瞬間怪物が再度レイファンへと飛び掛っていった。
彼女に伸ばされる怪物の魔手。
しかし、彼女はその手をとりざまに自分の身を屈める。

まただ。
怪物はまるでわざと彼女の身体を飛び越えるようにして、地面と激突した。
追い討ちとばかりに彼女が怪物の顔面にかかとを打ち下ろした。
怪物の鼻面がひしゃげる。
もう1発。
怪物の顔が鼻血で真っ赤に染まる。

レイファンが怪物がひるんだすきに倒れている怪物の足の方へ回りこむ。
怪物の片足を抱え上げると、怪物のむき出しの生殖器を踏み潰した。
怪物が股間を押さえて転げまわる。

彼女の頬が微かに上気していた。
先ほどまでの青ざめた様子はもはやない。
怪物との戦いは彼女の闘争本能を大きく掻き立てたであろう。
彼女の強さ、拳法の腕前だけではなく、彼女が秘めていた強烈な闘志、そういったものに僕は感動していた。

転げまわっていた怪物がようやく起き上がる。
その瞳は先ほどよりも凄まじい怒りを帯びていたが、もはや彼女はそれに怯むことはなかった。
むしろ余裕さえ持って相手の視線を受け止める。

怪物は再度レイファンへと飛び掛る。
僕はそう予想した。
しかし、怪物は怒りに満ちた目を彼女に向けながらも、飛び掛ることはしなかった。

緊張した時間が流れていた。
と、怪物が前へ足を進めた。
さっきのように飛び掛るのではなく、ゆっくりと1歩1歩確実に。
怪物の顔には獰猛な笑みがこびりついていた。
一方のレイファンはなぜか焦ったような表情をしている。
一体どうしたというのだろうか。
怪物が1歩進むと、彼女が1歩下がる。
彼女が1歩下がると怪物が1歩進む。
下がり続けた彼女はついに壁際まで追い詰められてしまった。
怪物が更に足を進め、お互いにパンチを出してもキックを出しても届く距離まで詰め寄った。
しかし、お互いに攻撃を加えることはしない。
しかし、レイファンの額には珠の汗が浮かんでいる。
怪物がゆっくりとした動作で手をレイファンに向けて突き出した。
まるで壊れやすいガラス細工か何かに触るための動きのようだ。
ゆっくりと伸びる怪物の手が彼女に触れる寸前になって、レイファンが怪物の顔面へ賞底を打ち込んだ。
怪物の顔に命中するが怪物には全然効いていないようだ。
それはそうだろう。
怪物と彼女では体格からして違いすぎるのだ。
ダメージを与えるなら、突っ込んできた相手の力や体重を利用した投げなどでなければ、怪物には効かないはずだ。

そこで僕はハッとした。
怪物もそのことに気が付いたのだ。
彼女の攻撃は怪物自身の力を利用したものであることに。
彼女自身の筋力や体重では、どんなに彼女の技術が優れていても、大きなダメージを与えることはできないと。
なんという狡猾な奴であろうか。


35名無しさん :06/05/18 17:09 ID:???
レイファンの賞底や肘を怪物ものともせずに、ゆっくり両手を広げると、追い詰めた彼女を両腕で包み込んで、抱きかかえて持ち上げた。
そのまま怪物の腕がゆっくりと、しかし、確実にレイファンの胴体を締め始めた。
彼女が何か言葉を発するが、何と言っているのかはわからなかった。
口の動きや状況を考えれば手を離せとでも言っているのだろうか。
当然怪物が彼女を離すことはない。
レイファンに巻きついた腕にだんだんと力が込められていく。
いつの間にか怪物の表情から怒りが消え、獲物をいたぶる肉食獣のそれになっていた。

レイファンが必死に肘を交互に怪物の頭に叩きつける。
しかし、彼女の胴体に食い込む怪物の腕は次第に圧力を増してゆく。
徐々にレイファンが苦悶の表情を見せ始めた。
身をよじって何とか逃れようとするが、丸太のような怪物の腕は彼女の腰の辺りでガッチリと組み合わされ、外れることは無い。
更に彼女の胴がギリギリと締め上げられてゆく。
レイファンが宙に浮いた足をバタバタとさせ始めた。
彼女の額にふつふつと汗が浮かぶ。

耐え切れなくなったように、レイファンが怪物の腕を内側から自分の腕でこじ開けようとする。
しかし、怪物はそんな彼女をあざ笑うかのように、ここにきて急激に腕に力を込めた。
怪物の筋肉が膨張して膨れ上がる。
その圧力がレイファンの体を更に締め上げ、彼女の身体は弓なりにしなった。
彼女の口が大きく開いて絶叫を発するのがモニターを見ているだけで伝わってくる。
しかし、すぐにその開かれた口は酸素を求めてパクパクと虚しい動きを繰り返すようになった。
激しい抵抗は力の無い痙攣へと変わってゆく。

このまま彼女を絞め殺す気なのか?
僕がそう思った瞬間、怪物が腕のロックを解いた。
床に崩れ落ち、激しく喘ぐレイファン。
その足を両手で掴むと、プロレスのジャイアントスイングのようにして、背中から壁に彼女を叩きつけた。
テレビの画面が揺れる。
カメラの取り付けられている天井まで衝撃が伝わったのであろう。
衝撃で息もできないまま床で悶える彼女。
口の端に血が滲んでいる。

怪物が自分の股間に手を持ってゆく。
怪物の股間から大量の液体が床の上のレイファンに降り注がれた。
蛇口を思い切り捻ったような勢いでレイファンを襲う怪物の小便。
僕があっけに取られているうちに、怪物は小便でぐっしょりと濡れた彼女の肩を掴んで無理やり彼女を立たせた。
そしてそのまま壁に押し付けた。
とたんにぐったりしていた彼女の体がビクンビクンと不自然に跳ねる。
まさか壁に電気でも流れているのだろうか。
しかし、さっきまでにも2人は何回か壁に触れているはず・・・・一体なぜ・・・・電気・・・・彼女が濡れているからか・・・そうか!小便!?
塩水は電気を通しやすくする。
怪物の小便が塩水の役割を果たしているのだ。
この怪物には見た目からは想像も付かないが、相応の知能があるのだろうか。

必死に逃れようとするレイファンの体を壁に強く押し付ける怪物。
濡れたレイファンを壁に押し付けるということは自分にも電気が流れるはずなのだが、怪物にはそんなことを意に介する様子も無い。
悶えるレイファンをガッチリと壁に固定する。
レイファンの抵抗が次第に弱々しくなってゆく。
ブルブルと彼女の膝が震える。
そして、レイファンの目玉がクルリとひっくり返って白目を向いた。
彼女の全身がビクビクと痙攣している。
彼女の股から新たな液体が零れ落ちる。
それから10秒ほどして、ようやく怪物は彼女の肩から手を離した。
ガクリと前のめりに倒れる彼女。

時折ビクリと体が動くだけの彼女が果たして生きているのかどうかモニター越しではわからない。
怪物は狂ったように雄たけびを上げていた。

これが初めて行ったD会での集まりでの出来事だ。
次の日の夜にKから電話がかかってきた。

「どうだった?D会は?」

「あ、ああ・・・なんというか・・・」
僕は返答に詰まった。
何か絶対に見られたくない部分をKに見透かされたような気がして、すぐにでも電話を切りたい衝動に襲われた。
しかし、それを次のKの発した言葉が打ち消した。
「次のD会が3ヶ月後にあるんだが・・」

僕はゴクリと唾を飲み込んだ。


36名無しさん :06/05/18 17:11 ID:???
終わり

37名無しさん :06/05/18 17:47 ID:eI.TSCqI
超GJ!
久々の投稿作品も優秀で非常に満足であります。

新作も頼んだ!

38続編 1ページ完結 :06/05/18 18:41 ID:???
>>37

初めてD会に参加してから3ヶ月。
僕は再び廃ビルの一室にいた。
レイファンという女の子がゴリラのような怪物の暴力にさらされる姿を見ているうちに、僕の中に生まれた感情。
僕はそれを嫌悪したが、しかし、この場所へ来ずにはいられなかった。
テレビの画面に映像が映し出される。
音声を伝えない小型テレビ。
この画面の中に僕の熱望する至福がある。

画面に映っているのは巨大な機械。
その中心部に体を固定された女の子。
部屋にあったワープロ書きのプロフィールを読まなくても知っていた顔だ。
麻宮アテナ。
確か超能力アイドルとしてテレビに出ているのを見たことがある。
そんな彼女がどういう経緯でこのような場所にいるのか。
これから行われるであろうことで僕の頭は一杯で、そんなことはどうでもいいことであった。
サイコパワーの吸収実験。
それが今回のショーの内容らしい。
彼女を束縛する巨大な機械がサイコパワーを彼女から奪う役割を果たすようだ。

画面を凝視する僕。
動くこともままならないアテナの顔が恐怖と緊張で青白い。
やがて機械の上部に付いているピストンがゆっくりと動き始めた。
それと同時にアテナの周囲に陽炎のようなものが発生した。
陽炎はそのまま彼女の真上にある吸い込み口のようなものに吸い込まれていく。

歯を食いしばって耐えるアテナの額にあっという間に珠の汗が浮かんだ。
サイコパワーを吸われるということがどういうことなのか僕にはよくわからないが、相当に体力を削られることは確かなようで、何もしていないのに彼女の息が荒い。
彼女の右横にあるゲージが20の値を示していた。
機械が20%充填されたということなのだろうか?それとも彼女の全パワーの20%を吸収したということなのだろうか。
細かいことの説明はなされていない。

機械のピストンが本格的に稼動しだした。
アテナの周囲の陽炎が虹のように様々な色を放つ。
これがサイコパワーというものなのだろうか。
色とりどりの光に囲まれた彼女の表情も険しいものになってゆく。
アテナは身体を動かして必死に束縛から逃れようとするが、両手首と両足首をアームのようなものがガッチリと固定していて、逃げることはかなわない。

右側のゲージが40に達した。
サイコパワーの彩りは変わらないが、彼女の抵抗が弱くなる。
体に力が入らないようだ。

50。
立ち上る陽炎がか細くなってゆく。
アテナは首をダランと下げてぐったりしている。

60。
陽炎がほとんど消えた。
サイコパワーが底を突いたのだろうか。
彼女自身も意識を失っているのか全く動く様子が無い。
機械だけが一定のリズムで動き続ける。
ゲージがこれ以上上昇する気配は無い。
これで今日のショーは終わりなのだろうか。
そう考えていると、画面に変化が生じた。

機械が突如振動したかと思うと、上部のピストンが先ほどの倍はあろうかという凄まじい勢いで動き始めたのだ。
それと同時に再びアテナの周囲にサイコパワーの陽炎が立ち昇る。
気絶しているかに思われた彼女も急に顔を上げて悲鳴を上げた。
その表情から想像した声で僕は激しく勃起していた。

激しい機械のピストン運動がアテナからパワーを吸い上げ、ゲージを70へと押し上げていく。
それはまるで枯れかけた井戸から無理やりポンプで水を吸い上げるようであった。
機械はアテナの体力の一片までも無常に吸い上げてゆく。

80。
再びぐったりと首を垂れたアテナ。

90。
アテナの全身が小刻みに痙攣する。
サイコパワーの勢いが再び弱くなった。

95。
陽炎が微かに立ち昇っているが、彼女の体はピクリとも動かない。

99。
陽炎が次第にか細く・・・・

100。
達すると同時に陽炎がフツリと途切れた。

アームが彼女の体を開放する。
それと同時にアテナはバタリと前に倒れた。
果たして彼女が生きているのか死んでいるのか全くわからないままテレビの画面が砂嵐へと戻る。



「××よ、D会は最高だろう。」

「ああ、最高だな。」

D会が終わったあと、ホテルの部屋でKと二人で酒を飲みながらそんな言葉を交わした。


39名無しさん :06/05/18 22:54 ID:???
D会最高です!

40名無しさん :06/05/18 23:04 ID:???
D会、最高です!

41名無しさん :06/05/19 21:04 ID:nMStIxmA
まとめサイトの作り方教えてほしい。

42名無しさん :06/05/19 21:17 ID:nMStIxmA
とりあえずD会に行ってみたいと思った。

43名無しさん :06/05/19 22:33 ID:???
自分は昔のSSなんていつの間にか消えてるくらいで丁度いいと思うな。
人が書いた作品も自分が書いたやつも含めてね。
後になって読みたい人は自分でログ保存とかすればいいし。

44名無しさん :06/05/20 12:08 ID:OA6EE6Bc
レイファンとアテナがどうなったのか気になるっす

45名無しさん :06/05/24 00:56 ID:???
>>44

王大人「死亡確認!!!!」


46名無しさん :06/05/28 20:28 ID:???
レイファンとアテナのSSは挿絵がほしぃのぅ
ついでにあげ

47名無しさん :06/05/28 22:39 ID:???
  「フッ ここは俺の出番のようだな」 「お、おまえは!?」

rァ 「わしが男塾塾長(ry

  「挿絵が欲しければ地獄の鬼にでも頼むんだな!」

48名無しさん :06/05/29 22:28 ID:???
4畳ほどの狭い部屋。
その部屋の中央に置かれた音声の無いテレビ。
たった16インチの画面の中に僕の求めて止まないものがある。

画面が1人の少女を映し出している。
プロフィールには彼女について色々と書いてあるようだが、僕は目を通していない。
プロフィールに書かれた経歴やデータなどは大事なことではないからだ。
大切なことは彼女がこのD会の舞台でどういう戦いを見せるかである。
命懸けの戦いというものはどんな詳細なプロフィールよりも雄弁なのだから。

そして画面の中の少女はすでに彼女自身のことを語り始めていた。
これまでここで戦った女性達はその全員が、そこいらにいる自称格闘家を束にしてもかなわないほどの優秀な戦士だった。
しかし、その彼女達をして、あの部屋に入れられれば、恐怖や不安をその顔に浮かべずにはいられなかった。
しかし、部屋の中央に立っている少女の顔にはそんな感情は一切表れていない。

クーラ・ダイアモンド。
僕は始めて彼女のプロフィールに目をやった。
彼女の至ってリラックスした態度はこれから自分の身に起こることを知らないのか、それとも知っていてなおこの余裕なのだろうか。
やがていつも通りクーラの後ろの扉が閉じられ、もう一方のドアが開く。

扉をくぐってゆっくりと黒い影が現われた。
皮を剥いたゴリラを更にグロテスクにしたような化け物。
外見から想像するにふさわしい怪力とタフさを備え、外見以上の知能を有する生命体。

怪物が獲物を見つけ、ニヤリと笑った。
彼女――――クーラの表情は依然として変わらない。
ただじっと無表情に相手を眺めている。

怪物が最初はゆっくりとクーラに歩み寄り、そしてある一定のところまで来た時点で急激に加速をつけた。
黒い弾丸がクーラへと突進してゆく。
あっという間にクーラの目前へ怪物の姿が迫った。
怪物の腕がクーラの身体を捕まえようと伸ばされる。
しかし、その動きが空中で見えない壁にぶつかったかのように急停止した。
いや、事実怪物の前にはいつのまにか壁が存在していたのだ。

氷の防壁。
分厚い氷の板がクーラと怪物の間に突如発生していた。
それが怪物の攻撃を妨げたのだ。
そして現われた時と同じように突如として役割を果たした氷壁は消えうせた。

妨げるものは何も無くなった空間にクーラが手を伸ばす。
クーラの掌に冷気のうねりが生じる。
掌の向けられた方向――――怪物へ向かって冷気の波動が炸裂した。
怪物は冷気の塊の直撃を受け、凄まじい勢いで壁に叩きつけられた。
怪物の体表が薄く氷に覆われてキラキラと輝いていた。
そのまま怪物が床に倒れる。
気が付けばいつの間に茶色だったはずのクーラの髪の毛が透き通るような水色へと変化していた。


49名無しさん :06/05/29 22:29 ID:???
倒れたままピクリとも動かない怪物へクーラがゆっくり歩いて近づいてゆく。
その手には先端が鋭く尖った氷柱が握られていた。
あれが心臓に刺さればさしもの怪物とて絶命するだろう。

僕は今ここで先ほどまでの彼女の余裕は実力ゆえのものであるということを確信した。

あと数歩で怪物の足元というところまできて、クーラ目掛けて何かがが横から飛び掛ってきた。
とっさに前へ転がって身をかわすクーラ。
クーラがそれまで居た場所を圧倒的な風圧が駆け抜ける。
振り返ったクーラが目にしたものは、新たにもう一匹現われた怪物であった。
クーラの相手は2体だったのか。
そう思った瞬間、クーラがまだ開いている怪物側の入場口の方を見た。
そこからはなんともう1体の怪物が。
先ほど突っ込んできた化け物と、今ドアから現われた化け物に左右から挟まれた形になるクーラは、油断なく両方の怪物を警戒する。
しかし、その時、彼女の足元に倒れていた最初の怪物が飛び起きて、クーラを抱きすくめた。

3対1

1対1ならばこのクーラという少女は怪物を倒すかもしれない。
しかし、3対1となると・・・・
僕はテレビ画面を食い入るように見つめた。

クーラが自分を抱きかかえた怪物の顔面へ掌に集中させた冷気の塊を叩き込んだ。
しかし、先ほどとは違って自分と怪物の距離がゼロに近いせいか、フルパワーは使えないらしく、怪物の腕は彼女を締め上げたままだ。
彼女は更に2発、3発と怪物の顔面へ冷気をぶつけた。
流石に耐え切れず、怪物がクーラの身体を放り投げた。
彼女の身体が軽々と宙を舞う。

壁に激突したクーラの体が床へ落下する。
背中をしたたかに打ちつけ息を詰まらせた彼女へ、残りの2体の化け物が襲い掛かる。
痛む体をこらえて起き上がり、片方の怪物へ向けて掌を突き出すクーラ。
今度は全力の冷気の渦が怪物の1体を吹き飛ばす。
しかし、残った1体がその隙にクーラに近づき、容赦なくクーラを殴り飛ばした。
岩のような拳に殴られたクーラの体が床の上を派手にバウンドする。

5メートルほど転がって止まったクーラへ間髪入れずに怪物が飛び掛る。
倒れているクーラへ更なるパンチを見舞おうとする怪物。
しかし、怪物の拳は氷の壁に阻まれクーラの体に触れることはなかった。
床に倒れたままの姿勢からクーラが掌を突き出す。
襲い掛かったはずの怪物の身体が逆に冷気の波動を喰らって壁へと叩きつけられた。

ゆっくりと立ち上がるクーラ。
彼女がその攻撃力と釣り合うだけの防御力を備えていると考えるならば当たり前のことかもしれない。
それでもあの化け物の力で投げ飛ばされ、殴りつけられてなお、この華奢な少女が立ち上がることができるということは驚きだ。
例え、立ち上がるその足元はフラついていて、痛めた左腕を押さえていたとしてもだ。


50名無しさん :06/05/29 22:29 ID:???
一方の怪物達も見た目通りのタフさを見せてそれぞれ起き上がり、クーラを取り囲むと、彼女の周囲に見えない壁が存在するかのように一定の距離を保ったまま彼女の周りをグルグルと回る。
クーラはその場から動かずに目だけを動かして怪物達の動きを追う。
痛む腕をこらえて怪物達と対峙する彼女の額には汗が滲んでいた。
怪物達もクーラがただの「獲物」ではないことに気付いたのか慎重な様子だ。
怪物達とクーラのどちらが最終的な狩る側となるのか。


先に動いたのは怪物達だった。
クーラの真後ろへと回りこんでいた怪物がクーラとの間合いを一歩詰める。
その瞬間、クーラが振り返りもせずに右腕を後ろへと向けた。
怪物の足が2歩目を踏み出す前に氷の衝撃が怪物の体を後ろの壁に叩きつけていた。
残りの2体が猛り狂って左右からクーラへ飛び掛る。
まず右から来た怪物に冷気を叩きつけ、次に左の怪物に掌を向けるクーラ。
しかし、連続して力を使いすぎたのか、3体目の化け物へと向かった冷気の渦は怪物を吹き飛ばすどころか、怪物の前進を止めることすらできなかった。
咄嗟にクーラがガードのための氷壁を作る。
しかし、それもパワーが足りないのか厚さが先ほどの三分の一もない。
怪物の拳が氷の壁をブチ抜き、クーラの体を突き上げた。
クーラの両足が一瞬地を離れる。
腹にめり込んだ拳が体全体を浮き上がらせたのだ。

クーラの足が床を踏むと、続いてガクリと膝をつき、そのまま腹を抱えて倒れこんだ。
うずくまる小さな背中めがけて怪物のかかとが容赦なく踏み下ろされる。
怪物の足に背中から押しつぶされ、肺を圧迫されたクーラが床にはいつくばったまま激しく悶え苦しむ。

怪物が腕を伸ばしてクーラの髪を掴み、無理やりクーラの体を持ち上げた。
怪物の残った手がクーラの首へと伸びる。
思い切り首を締め上げられたクーラの顔がたちまち真っ赤になる。
もがきながら右手を怪物に向け、冷気の波動を放とうとするクーラ。
しかし、それを素早く怪物の左腕が阻止した。
クーラの右腕が怪物の怪力で下へと強く引っ張られた。
クーラの表情が苦痛に歪む。
思い切り引かれた腕は肩の関節から外れたようで、ダラリと垂れ下がる。


怪物が勝利を確信したのか雄たけびを上げる。
その大きく開いた口の中へクーラが拳――――今まで痛めて動かしていなかった左腕――――を突っ込んだ。
怪物の口の中で冷気の塊が炸裂する。
風船か何かのように怪物の頭があっけなく弾け飛んだ。
凍った頭蓋骨の欠片や脳みそが辺りに飛び散る。
首から上のなくなった怪物の身体が2、3歩後ろへ下がったと思うと、そのまま、ドサリと倒れた。

喉の圧迫から解放され、床に屈みこんだクーラは激しく咳き込んだ。
なんとか彼女が顔を上げると、そこには彼女の方へ向かってくる残り2体の怪物の姿があった。


51名無しさん :06/05/29 22:30 ID:???
悠然と歩み寄ってくる2体の瞳は、仲間を殺された怒りと、弱った獲物をこれから蹂躙する喜びに血走り、ギラギラと輝いていた。

それを見たクーラが力を振り絞って立ち上がる。
しかし、一度立ち上がりはしたものの、フラリと身体が前へ崩れる。

それを見て余裕の笑みを浮かべる2体。

しかし、前のめりになったクーラがいきなりその体勢のまま滑るように移動した。
よく見ると靴からはスケート靴の刃のようなものが飛び出している。
床を凍らせ、更に靴底から冷気の噴射を利用した高速移動。
そのまま自分に近い方の怪物へとぶつかるクーラ。
体重の軽いクーラは怪物とぶつかると同時に、後ろへと弾き飛ばされる。
しかし、弾き飛ばした怪物の胸には太く鋭い氷柱が深々と突き刺さっていた。
きょとんとした顔で自分の胸に刺さった氷柱を見つめる怪物。
おそるおそる怪物が氷柱を引き抜いた。
その瞬間、胸から大量の血を噴出して怪物はその場に倒れた。

こんな小さな少女に仲間の2体まで倒されたことに驚愕に表情を浮かべる怪物。
ダメージこそクーラの方が大きいものの、現時点で相手を圧倒しているのは明らかに彼女の方だった。
彼女の左手にいつの間にか新たな氷柱が握られている。
急激な加速で怪物に迫るクーラ。
その攻撃を全身のバネを使った跳躍でかわす怪物。
その表情には恐怖が張り付いていた。
ここに狩る側と狩られる側の関係が確定した。

怪物へ向き直ったクーラが今度はジリジリと怪物との間合いを詰めてゆく。
加速するタイミングを計っているようだ。
身長170センチほどの彼女が2メートルを超える怪物を圧倒する様は圧巻だった。
クーラに押されて、次第にと後ろに下がってゆく怪物。
しかし、壁が怪物の背中まであとほんの数センチというところまで来ると、怪物の表情が一転して、ニヤリといやらしい笑みを張り付かせた。

大きく肩で息をしながら、クーラがそれ以上間合いを詰めることを止めた。
そういうことか。
もしこの攻撃を失敗すれば、クーラは身体ごとコンクリートの壁にぶつかっていくことになる。
クーラは決断を迫られているのだ。
少しの間、1人と1体の間でにらみ合いが続いた。

そして、先に動いたのはクーラだった。
氷柱を持った左手をスッと持ち上げ、野球の予告ホームランのようにして怪物の心臓の位置へと狙いをつける。
彼女は一体何をする気なのか。
クーラの掌に力が集約してゆく。
巻き起こった冷気の渦とともに、氷柱の鋭い先端がロケットのように怪物へ一直線に襲い掛かる。

しかし怪物は床を転がるようにして間一髪でこれをかわした。

避けると同時に怪物がクーラの姿を目で追った。
しかし、先ほどまでいたはずの場所にクーラはいなかった。
いつの間にかクーラは怪物の真後ろへと移動していた。
その手には新たな氷柱が握られている。
自分にかかった影でそのことに気がついた様子の怪物。


52名無しさん :06/05/29 22:30 ID:???
このままクーラが止めを刺して終わりなのか。

そう思った瞬間、怪物が思い切り額を地面に打ち付けた。
それと同時に怪物の尻が上を向く。

クーラの髪がブワッと後ろへ流れた。
同時に霧のようなものがクーラの顔面に降りかかった。

たったそれだけのことでクーラが床に膝を着いてしまった。
しきりに目や口や喉の辺りを押さえて、咳き込んでいる。
目には涙が浮かんでいた。
更にはその場でむせ返り、転げまわり、ついには嘔吐までし始めた。

もしやあれはスカンクやイタチがやる、俗にいう最後っ屁というやつなのか!?

少なくともクーラの反応を見る限りでは、単なる屁ではなく、きつい刺激を伴う毒ガスに近いことは確かだった。

床で吐きながらのた打ち回るクーラへ怪物が2発目の屁を放った。
顔面に至近距離から怪物のガスを浴びたクーラは最初大きく転げ回ったかとおもうと、白目を剥き、身体は痙攣を起こし始めた。
床の上で仰向けに倒れたまま、ビクリ、ビクリと身体を小刻みに震わせているクーラへ怪物が液体を放出した。

あれは以前見せた小便――――つまり怪物の狙いは!

ぐっしょりと濡れたクーラの身体を自分の顔と同じ位置まで持ち上げる。
怪物が持っているのは首だ。

クーラのか細い首を無骨な怪物の両手がこれでもかと締め上げる。
そしてそのままクーラの身体を近くの壁に押し付ける。
壁から流れ込んだ電流がクーラの体を蹂躙した。
クーラの身体が痙攣する。
怪物の顔が勝利を確信したものへと変わってゆく。
クーラの痙攣は更に激しさを増してゆく。
足をバタバタとさせて怪物の体を蹴るクーラ。
しかし、そんなものが今更怪物に効くはずはない。
怪物がトドメとばかりに腕に力を込める。
怪物の腕の筋肉が膨張した。
その瞬間、怪物の体がビクリと跳ねた。
怪物が口を大きく開けて絶叫しているようだ。
一体何が起きたのだろうか。

よく見ると怪物の太ももにクーラの足が押し当てられている。
クーラの靴の裏にあるのはスケートの刃。
怪物の太ももに食い込んだ刃はクーラの体に流れるはずの電流を逆に怪物の体内へと流していたのだ。

クーラの首から圧迫が取り除かれた。
クーラの身体が下に落ちる。
そのまま崩れ落ちそうになるのを何とか持ちこたえて、クーラが手の中に氷柱を作り上げた。
そして電気の流れる壁を刃を引っ込めた靴底で蹴って勢いをつけ、怪物の懐へ。

氷柱が怪物の胸に突き刺さる。
しかし、浅い。
吼える怪物の拳がクーラ目掛けて振り下ろされる――――ことはなかった。

クーラの掌から生じた冷気の渦に押された氷柱は怪物の胸を突き破っていた。
ぽっかり開いた風穴からドバドバと血があふれ出す。

それと同時に限界に達したクーラの身体がその場に崩れ落ちる。
そのクーラを怪物が睨みつけている。
胸からはとめどなく血を流しながら、戦意はまだ失われていないようだ。
怪物がうずくまっているクーラの頭の上に足を持ち上げた。
彼女の頭を踏み潰そうというのだ。
しかし、そこまでが怪物の限界であった。
戦意の前に命が尽きた怪物はもんどりうってその場に倒れた。

彼女はついに3体全ての化け物を倒したのだ。


53名無しさん :06/05/29 22:31 ID:???
部屋の中には3つのグロテスクな死体としゃがみこんで大きく肩を上下させているクーラ。
そんな光景に僕はなぜか違和感を持った。
もちろん今まであの怪物を相手にして3体はおろか、1体を相手であっても勝利した人間はいないのだから、そういう意味では驚きだったのだが、僕の感じたものはそういうことではなかった。
何かがおかしい。
そして僕はそれに気がついた。
まさか。

このショーを見ている何人が気付いているだろうか。
いつもは怪物が入ってきた後に閉じられるはずのドアが「まだ開いている」ことに。


まだ怪物の仲間があのドアの奥に潜んでいる。
僕はそう思った。
しかし、僕の予想は裏切られた。
いや、正確には僕の予想を超えた化け物が出てきたのだ。

先ほどの化け物達を2回りも大きくしたかのような化け物が窮屈そうにドアから現われたのだ。
身長はおよそで3メートルはある。
ミニチュア版のキングコング――――もちろん見た目は皮を剥いたキングコングの方が可愛げがある外見なのは言うまでもない。
まさに肉の化け物という形容詞がふさわしい生物だった。
怪物が出てきただけで、部屋が縮んだのかと思ったほどだ。

悪臭にも何とか慣れたのか、ある程度呼吸を取り戻していたクーラがそのまさしく肉の山としか形容しようの無い、先ほどの怪物たちを圧倒的に上回る怪物を見たとき、今日、ここまで健気に戦ってきた彼女の顔に初めて恐怖の色が浮かんだ。
それほどまでに怪物の大きさは圧倒的だった。

しかし、それでもクーラは己を奮い立たせた。
おぼつかない足取りでフラフラと立ち上がると、その手の中に氷柱を作り上げた。
一瞬ためらった後で、全力でクーラの体が怪物へむけて滑走してゆく。
クーラの身体と怪物の身体がぶつかった。
しかし、氷柱はあっけなく砕け散り、クーラの身体も軽く弾かれた。

怪物の方は一歩も動かないまま、悠然とクーラを見下ろして、笑みを――――これも先ほどまでの化け物たちの数倍薄気味悪いものであった――――を浮かべた。

あまりにも圧倒的な戦力の違いにクーラの歯がガチガチとかみ鳴らされた。
しかし、震える歯をかみ締めて、彼女は左手を前へと突き出す。

もてる力全てを振り絞った冷気の衝撃が怪物を襲う。
しかし、その攻撃に対しても、怪物は何ら構えることなく、真正面から立ったまま受け止めた。
今までで最大の冷気が怪物を直撃した。
しかし、怪物は揺らぐことさえなかった。
まるで肉の山脈だ。
そして、身体の表面についた氷を、埃でもはたくかのようにパンパンと叩いて落とすと、クーラの方へと足を踏み出す。
狂ったようにクーラが冷気を連発した。
しかし、怪物の前進は止まらない。
一方で攻撃を繰り出すクーラの冷気の波動が次第に弱まってゆく。
やがてクーラは力尽きて激しく肩を上下させながらその場にへたり込んだ。
パワーを使いすぎたクーラの髪が、水色から茶色へと戻っていた。

ゼイゼイと荒い呼吸を繰り返すクーラを影が覆った。

戦闘形態を維持できなくなったクーラめがけて化け物が拳を振り上げる……








54名無しさん :06/05/29 22:31 ID:???
「それにしても、これだけ派手に色々やっていると、警察にばれた時に厄介だな」

Kと酒を酌み交わしながら僕はそんなことを呟いた。

「おいおい、××。D会のメンバーは世界中にいるんだぜ。なんだってわざわざこの国でやってると思うんだ。」

「警察のトップでも抱き込んでいるのかい?」

「もっと上さ。」

「上?」

「大統領さ 彼もD会のメンバーなんだよ。」

「なるほど 味方だとこれほど頼もしい組織もないが もしD会が敵だったらと思うとゾッとするな。」

「まったくだ D会を甘く見ていたら命がいくつあっても足りないぜ。」


「何はともあれ、我らがD会に」

「「乾杯」」


55名無しさん :06/05/29 23:12 ID:???
('∇')ノ□「乾杯!」
D会たまんねぇ!

56名無しさん :06/05/30 02:34 ID:???
どんどん絶望に染まっていく展開GJです

D会に乾杯!

57KOF MI2 :06/05/31 01:27 ID:???
KOFの決勝、荘厳な建物の中で麻宮アテナがルイーゼ=マイリンクに勝利していた。
 「あの…大丈夫ですか?」
まだ余力を残したような状態で、ルイーゼは負けを認めていた。 
 「ハァ…ハァ…
  この星の人間は本当に面白いわ」
 「え…」
ルイーゼが言葉を続けようとしたとき、
 「決着がついたようですね」
闘いの一部始終を見ていた男が姿を現す。
 「今大会の主催者が麻宮アテナ様との闘いを所望されています」
それだけを告げ、闘いの場所と時間を書いたカードを渡すとその場から立ち去った。
 「…行くの?」
 「はい」
ルイーゼは少し考え込んだ後、
 「…絶対に勝ってね」
 「は、はい!アテナ頑張ります!」
そう言い、その場を後にするアテナの姿を、ルイーゼは不安そうな表情で見つめていた。


58KOF MI2 :06/05/31 01:28 ID:???
「ここがKOFのラストステージ?…薄気味悪い神殿ね…」
学生服の少女、麻宮アテナはそう呟く。
そもそも今回のKOFはいつにも増して奇妙な雰囲気が漂っていたのだ。
そして…
 「ようこそ!」
 「!?」
神殿の闇から男が姿を現す。
 「私が君の最後の対戦相手であり今大会の主催者、ジヴァートマというものです」
声の方向を向いたアテナは、その異様な格好もとより、
男自身の痩身でありながら2mを超える身長、
さらに男の持つ雰囲気に威圧され、反射的に構えをとった。
 「随分気の早い事だね、少し話をしようではありませんか」
 「…あなたからは邪悪な気配を感じます!それに人間とは何か…違う…」
そう言い、アテナはジヴァートマ睨み付ける
 「ほう、わかるかね?
  それでこそこの大会を開いた価値をもあるというものです」
 「答えて!あなあたは何者なの!?」
語気を強めるアテナに対し、ジヴァートマは冷笑を浮かべ、
 「クシエルの闇の爪…仲間にはそう呼ばれています」
 「クシエル…?」
 「そうですねぇ、君に合わせて分かり易く言うと…悪の組織の幹部という事ですよ」
 「!真面目に答えて!」
 「いやいや至って真面目ですよ、何せ…」
―シャッ―
 「!?(今、なにが…)」
 「君の美しい肉体を力ずくで我々に委ねさせようとしているのですから…」
そのジヴァートマの言葉と笑顔に、アテナは冷たい汗が流れるの感じた。
そして会話の終了が、同時に闘いの始まりを告げる合図となった。

59KOF MI2 :06/05/31 01:29 ID:???
会話が終了して、数分が経っていった。
にも関わらず、
 「(近づけない…)」
二人はお互いの間合いを計るだけである。
特にアテナは相手の攻撃方法、
さらに先程顔の前を通過した「何か」が分からない限りうかつに動けない。
その沈黙と膠着状態を破ったのはやはりジヴァートマであった。
 「やれやれ、これでは埒があきませんね」
そう言うとジヴァートマは腕をゆっくりとアテナに向け、
 「!腕!?」
ジヴァートマの腕が十数m離れたアテナの付近まで伸びた。
 「これで私の闘い方が少しはわかりましたか?」
その余裕の言葉と態度にアテナは少し不快な表情を示し、
ジヴァートマが腕を元に戻し始めると同時に間合いを一気に詰めた。
 「!(速いな)」
もう片方の腕で迎撃するジヴァートマ。
しかしアテナはそれを寸前でさばき、さらに間合いを詰めて懐に飛び込む。
 「ハッ!!」
アテナの体重を乗せた一撃にジヴァートマの長身が吹き飛ぶ
 「ヌゥ…」「!」
 「サイコボール!」
追撃のサイコボールは防いだが、さらにアテナは続ける。
彈速の速いサイコボールの連発の前に防戦を強いられるジヴァートマだが、
 「クッ」
一撃の威力は弱いと判断し、あえてそれを喰らいつつ黒い霧の様なモノを収束させ、それを放つ。
 「恐れよ…」
その黒い霧はサイコボールをかき消し、
サイコボールを放つ体勢に入っていたアテナを直撃した。
 「!きゃあっ!」
そして今度はジヴァートマの方から間合いを詰め、闇の爪と称される腕がアテナに襲い掛かる
 「シャーーー!!」
 「くうっ…!」
一撃でも直撃を受ければ致命傷になりかねない猛攻を、アテナは必死に避ける。
しかし、その回避行動の中でわずかな癖を見つけた。
 「(速い…けど、だからこそ攻撃が単調になっている)」
そうい事を頭で考えたわけではなく、体がそう感じたと言った方が正しいだろう、
 「(今だ…!)やっ!!」
 「!?」
一撃、アテナの拳がジヴァートマにカウンターで入った。さらに、
 「ハッ!!…ええーい!!」
 「グゥ!!」
ニ撃、三撃目がジヴァートマを再び吹き飛ばし、光球がそれを追った。
体勢を立て直し、サイコボールをどう防ぐかと同時に次のアテナの行動に思考をめぐらせる。
しかし、
 「(遅いな…)}
そう眼前の光球を、そう認識した瞬間
 「フェニックス・アロー!!」
ジヴァートマの死角から、アテナが光を纏い急降下する。
 「(テレポートか!)」
光球…サイコボールではなく、サイコシュートに気をとられた一瞬にアテナは死角へとテレポートしていた。
ジヴァートマが気付いた時にはもはや遅く、ガードを崩される。
と同時にサイコシュートの直撃を受け上方へ体が浮く。
そして、
 「サイコソード!!」
光の刃がジヴァートマを切り裂いた…はずだった。

60KOF MI2 :06/05/31 01:29 ID:???
 「そんな…!?」
あれだけの攻撃を受けながら平然と立つジヴァートマ。
それに対しアテナは少しずつではあるが、確実に疲労の色が見え始めている。
すぐに攻撃を仕掛けてくるかと思われたが、
 「――…――…」
 「?(何か喋ってる?)」
しかしそれはアテナに向けてではないようだ
 「―――貴女―――ですよ」
 「…」
断片的にしか聞こえないその言葉、独り言にしては誰かと話しているような感じである。
ジヴァートマはそんな自分に向けられたアテナの視線に気付き、
 「…ああ失礼失礼、今のは中々いい攻撃だったよ」
相変わらずのどこか見下したような態度をとる。
 「地球が君のような生命体ばかりだと、我々の計画も楽に進められるんだがねぇ」
 「計画…?」
 「先に言っておきますが、どんな…までは説明する気はありませんよ。
  もっとも、君が我々におとなしく肉体を委ねるなら教えますがね」
 「!誰があなた達なんかに…!!」
 「それで結構。私個人としては力ずくでの方が楽しめますし、闘いの中でしか観察できない事もありますから」
激昂するアテナの言葉を、ジヴァートマは身勝手な言葉で軽く受け流す。
すぐにでも攻撃を開始したいアテナだが、確実に大技を当てるためにこらえていた。
 「来ないのかね?ならば…」
そう言い、先程の様に黒い霧を収束させ始めた。
 「(今だ!)」
その黒い霧に向かいアテナはダッシュした。
 「ほぅ…(次はどのような手を使うつもりかな)」
黒い霧を、ジヴァートマはアテナに向けて放つ、しかし、
 「ええーい!」
アテナの前に光の壁が現れ、
 「!?」
その黒い霧がジヴァートマ自身にはね返ってきた。
 「むう!」
まさか自身の攻撃を自身で受けるとは、凌いだものの体勢は大きく崩された。さらに、
 「守って…!」
今までにないサイコパワーがアテナの両手に集約される
 「ハッ!!」
―ドゴォッ―
攻撃方法は変わらない、しかし一撃ごとに高エネルギーが打ち込まれ、
 「!」
わずかではあるがジヴァートマの余裕の表情が崩れる。
 「―――…―…―」
先程のようにジヴァートマが何かに語りかけ始めた。
が、そんなものを気にとめずアテナは攻撃を続け、
 「(…いける!)」
そうアテナは思った。しかし、この技の持続時間はそう長くない。
自身の疲労も蓄積しはじめている。
さらにこれほど押し込めるチャンスは次にあるかどうかわからない。
 「(早く決めないと…)」
アテナは焦ってしまった。
焦りが攻撃を単調にし、単調な攻撃が隙を生んだ。
その隙をジヴァートマが見逃すはずもなく、
ジヴァートマの腕がアテナの腹部、頭部へ向けて伸び、
―ブシュッ―
額と下腹部をかすめただけであったが、アテナの額と腹部から血飛沫が飛ぶ。
焦り始めてはいたものの、まだ集中力はきれておらず直撃は避けた。
 「(これで終わらせる!)」
アテナは傷の痛みを押し殺し、攻撃を続ける。
 「まだ来るか!」
ジヴァートマの腕が再び自分に向けて迫っているのを認識したが、
 「(避け…)――うぁっ!?」
額の傷から流れた血がアテナの目をふさぎ、
一瞬体をわずかであるがくの字に曲げて硬直させてしまう。
そしてその一瞬に、

61KOF MI2 :06/05/31 01:30 ID:???
―ドソッ!!―
 「!!かっ!!!!…あぁ…あ…」
ジヴァートマの腕がアテナの腹部を貫通した。
ピクッピク…とアテナの体が痙攣している。
その腕に突き刺したままアテナの体を引き寄せ、
 「…あぅ…」
 「ふむ…何ともつまらん決着だったな。やはり未成熟な生命体ということか」
ジヴァートマの言葉に対し、アテナは小さいうめき声を上げるしかない。
 「…ぅ…ぁ…」
 「まあ未成熟とはいえ貴重な生命体、死なせはしないよ…
  これから組織のもとでは別の楽しみ方をさせてもらおうか」
そう言うと、腕をアテナの体から抜き、
 「貴女の出番が無くて申し訳なかったね。」
また何かに向けて話し掛けている。
そんなジヴァートマの足元に、アテナが崩れ落ちる…はずだった。
致命傷を受けたアテナが両の足でしっかりと立っている。
しぶといな…ぐらいにしかジヴァートマは思わなかった。
しかし、
 「…はあああああああ!!!」
 「何!?」
アテナの周囲を守るように高エネルギー体が飛び、ジヴァートマが弾き飛ばされる。
 「ば、馬鹿な!!」
アテナと対峙して初めてジヴァートマがはっきりと驚嘆の表情と声を表した。
吹き飛ばされながらアテナの方を見ると、確実に貫いた腹部の傷が治っている。
そしてアテナは頭上に手をかざし、指先にエネルギーを収束させる。
 「まずい…!」
 「いっっっけええええ!!」
空中で体勢を立て直せないままのジヴァートマを
高エネルギー彈(クリスタルシュート)が直撃した。
 「うおおああああ!!」
―ドゴォッ―
神殿の壁にジヴァートマが叩きつけられる。
 「グハァッ!!」
ジヴァートマの口から血が吹き出し、
 「ハァ…ハァ…、やっ…たの…?」
動かない…邪悪な気配も消えた。

62KOF MI2 :06/05/31 01:31 ID:???
息を切らし、体中傷つきながらも勝利を確信しかけた時、
 「!?」
アテナが後へ飛び退いた、
 「がっ!?」
ジヴァートマの腕がアテナのふとももに刺さる。
 「ふふ…勘のいいお嬢ちゃんねぇ」
 「くっ…(もう少しで貫通していた…)」
しかし深手には変わりない。さらに後退したアテナ。
ジヴァートマの邪悪な気配が以前よりさらに強くなっていく。しかしそれ以上に、
 「ちょっと待っててね…」
口調が女性のそれとなり、体つきも女性へと変化していく。
 「?…!?」
アテナはその様子を驚きの表情で見ている事しかできない…そして、
 「お待たせぇ、やっぱり外は気持ち良いわ」
顔、体型も完全に女性となった。しかし身長は2mと変わらず、
その長身の異様さを際立たせる衣裳に身を包んだ姿は悪魔と呼ぶに相応しい。
 「あなた…一体?」
アテナの疑問に対し、ジヴァートマだった者は、
 「二重人格とでも思ってちょうだい。私もジヴァートマだから。」
それだけの説明でアテナの攻撃の痕などどこにも無い体のことを含め、
無理矢理納得しろと言わんばかりの態度である。
 「そんなことより彼だけ楽しむなんて不公平だわ」
 「くっ…」
歩を寄せるジヴァートマに合わせ、アテナはじりじりと後退する。
 「テイク2といきましょ、アイドルのお嬢ちゃん…」
ジヴァートマの顔にうっすらと笑みが浮かぶ。
その笑顔は男だったときより、一層の恐怖を感じさせる。
さらに完全に回復した様子のジヴァートマに対して、先程までの闘いで溜まった疲労による不安、
それらを打ち消すかのようにアテナは構えをとった。
 「フフ…シャッ!!」
ジヴァートマの両腕がアテナに襲い掛かる。
 「(速い!…けど)」
男だったときより速度は上がっているが、攻撃方法は変わっていない、
 「(カウンターを…!)」
アテナが攻撃に移ろうとした瞬間、
 「っ!!?」
腹部にジヴァートマの蹴りが深く入った。
 「…かっはぁっ…」
 「ごめんねぇ、私って足癖悪くて」
まるで無警戒だった。
男のジヴァートマは腕しか使ってないことに今更気付かされた。
そのまま足でアテナを持ち上げ、
―ドゴッ!!―
 「うぐぅっ!!」
地面へと叩きつけた。
反動でアテナの体が宙へ浮いた所へさらに腹部へ蹴りを入れる
 「あがっ!!」
吹き飛ばされたアテナが壁へ激突する。
 「うっぷ…うぅ……」
腹部への強烈なニ連撃。胃液が逆流しそうなのを四つんばいのまま必死でこらえ、
ジヴァートマが近寄るのを感じ、足を震わせながらも何とか立ち上がる。
 「無理しちゃって」
 「…っ」
 「さっき彼に貫かれたお腹を治したじゃない。
  それで回復できないの?」
―ヒーリング―
あらゆる傷を一瞬で回復させるアテナの切り札だが、
傷が治せても体力まで回復するものでなく、大量のサイコパワーを消費する。
この程度で使っていればサイコパワーは即座に底をついてしまう。
 「回復しない…回復できない?ま、いいわ」
ジヴァートマは再び攻撃を始める。
―ザクッ、ブシュッ、ザクッ、ザクッ、―
 「うあ!…ああっ!…きゃぅ!…くうぅっ!」
嘔吐感をこらえるアテナにさっきまでのようにジヴァートマの腕を回避する余裕など無く防御でこらえるのみである。
しかし、ジヴァートマの闇の爪の前には通常の防御など役に立たず、
防御に使っている腕の服は破れ、肉は削られ、血が飛び散ってていく。
 「(このままじゃ…!)」
そして、
 「シャ―――ッ!!」
 「!!」
アテナの防御が弾かれ、無防備な体をさらけ出す。
―ドゴッ!ー
三撃目の蹴りがアテナの腹部へめり込んだ。
 「う…げぇえぇぇぇっ!!!」
―ゴポォッッ―
もはや耐えることなどできはしない。
アテナは胃液を口から逆流させながら床へ這いつくばる。
 「おえぇ…ぇ…」
その様子をジヴァートマは満足そうに見下ろす。
 「うえ…げぇぇ……ぅ…うぅ…ひぐぅ…」
吐瀉物が止まったとき、アテナは痛みと悔しさから涙を流していた。
そして涙の滲んだ瞳でジヴァートマを睨みつける。
 「汚いわねぇ(…ふふ…本当に無様で可愛いわ…)」
 「…っ!」
悔しさ、怒りといった感情を内に秘め、アテナは無言のままジヴァートマに向って行く。


63KOF MI2 :06/05/31 01:31 ID:???
吐いてしまったことはアテナにとって、もう闘いに集中すればいいといった意味では幸運だった。
 「や!…はっ!」
アテナが攻勢に出たものの、
 「(この程度で彼が苦戦するはずなんてないわ…)」
ジヴァートマにとっては難なく防げる程度であり、逆に
―ザグッ―
 「うあっ…」
直撃こそ受けていないもののジヴァートマの攻撃で徐々に傷を増やしていく。
 「(彼との闘いで力を使い果たしたみたいね)…もういいわ」
そう呟き、余裕を持って後退したジヴァートマは黒い霧を収束させ、それを放った。
 「(くっ…サイコリフレクターを)」
光の壁を作りだそうと腕にサイコパワーを集中させるが、
 「いっ…あぁ!!」
ジヴァートマに腕を削られた箇所に激痛が走り、集中させきれない。
直撃だ…とジヴァートマが思った瞬間、眼前からアテナの姿が消えた。
 「(なんとか…間に合った)」
テレポートでジヴァートマの背後に回りこむ。
しかし、ジヴァートマは微塵の迷いも無くアテナの方向を向いた。
 「…!?」
 「足元を見てごらんなさい」
見るとアテナの足元、というより神殿の床全体に黒い霧が広がっている。
それがセンサーの様な役割を果たしていたのだった。
さらにその霧がアテナへ向って集まり始め、
 「終わりにしましょ」
―ドンッ!!―
 「きゃああああああ!!」
上空にアテナは打ち上げられた。
体中に激痛が走り、受け身をとることもかないそうにない。
しかし、そのまま落ちた方が楽だったかもしれない。
アテナの体が空中で静止した一瞬、
 「がっ!…あああぁぁぁぁぁあああああ!!!」
アテナの右足の太股、さらに右腕に激痛が、
 「あ…あぁ…」
痛みの方向を向き、自分の体がジヴァートマの腕が貫通しているのが見えた、さらに、
 「あぎぃっ!あああああぁぁぁあああああっ!!!」
左足のふくらはぎ、左手の甲を貫かれ、
神殿の闇にアテナの悲鳴が響き渡る。
 「ふふ…いい声、さすがアイドルのお嬢ちゃんねぇ」
アテナを串刺しにしたままジヴァートマは腕をもとに戻し、目の前に引き寄せた。
「あがっ…」
 「じゃ、そろそろ私達の元へ来てもらおうかしら?」
 「…誰が…ぁ…あなた達なんか…に…!」
強がってはいるものの、それが虚勢であることは明らかである。
 「あら?まだそんな事が言えるの?…?」
ジヴァートマが何かに反応した
 「あなたと闘ったせいでこの子、力が残ってなかったみたいよ」
 「――――」
 「壊れたって別にいいじゃない」
 「――――」  
男のジヴァートマと話をしているようで、
アテナを串刺しにしたまま、ジヴァートマは身勝手な議論を続けている。
 「あぐっ…うぅ…あぁ…」
そんなジヴァートマが、わずかに動くだけで傷口から広がる激痛により、アテナが悲痛な声を出してしまう。
そうしているうちに、ジヴァートマの議論がまとまり、
 「そうそう、いいでしょ」
 「ハァ…あっ…」
ジヴァートマが再び悪魔のような笑顔を見せ、
 「もう少しだけ楽しませてよ」
 「…ひっ…」
そうアテナに向けて言い放ったとき、初めて、小さく怯えた声を漏らしてしまった。

64KOF MI2 :06/05/31 01:32 ID:???
ーブシュ…ブシュ…―
 「!!…っ!」
ジヴァートマがアテナから腕を引き抜く。
―ドサッ―
貫いた腕を抜かれたことにより、アテナの体が床に横たわる。
体を起き上がらせようにも四肢に広がる激痛により体が動かない。
―ドクッ…ドクッ…―
血の流れも止まらない。
アテナの行動の選択肢はそういくつもない。
まずヒーリングだが、一瞬無防備になる上に回復してもすぐに攻撃を受ければ終わりである。
さらにさっきはジヴァートマが完全に油断していたということもあった。
次にテレポートでこの場から逃げるということである。
さっきまでならこんな選択肢など頭に浮かびもしなかっただろう。
それ程までに今のアテナは追い詰められていた。
そんなアテナを追い詰めるようにジヴァートマが次の行動に移る。
―ブシュッ―
 「があっ!!…!!」
床に横たわるアテナのい両手を貫き、床に磔にする。
その上に獣のように四本足で覆い被さるような奇妙な体勢をとった。
 「ぐぅっ…」
必死に痛みをこらえ、ジヴァートマを睨みつけようとするが、
―ガパアッ―
 「!!?」
ジヴァートマの口がまさに獣のように大きく開かれ、今でにない密度の黒い霧が収束される。
 「ひっ!…ぃ…あ…あぁ…」
ジヴァートマの行動は、アテナに残っていた闘志のほとんどを消してしまった。
もはやアテナは痛みに喘ぎ、眼前の悪魔の行動に怯えるのみである。
そして、
―ドゴォオッ!バキッ、グシャッ、ベキッ、ボゴォッ―
 「いぎぃゃあああああああぁぁぁぁぁぁあああっっっ!!!」
肉、骨、内蔵、…体を粉々にされたかのような激痛にアテナは悲鳴、叫び声をあげる。
実際、体の内外あらゆる部位が破壊され、血の海が広がっていく。
 「ゲボォッ!…お…ぉぉぉ…ガハッ…」
アテナの口から何度も胃液の混じった血が吐き出される。
 「終わったわね」
アテナの手から腕を抜き、ジヴァートマは立ち上がった。
 「(…ぁ……わた…し…こわ…れ…て…ぃ…)」
消え逝く意識の中でアテナはジヴァートマ同士の会話を聞いた。
 「あなたが楽しみすぎたせいよ、私は食べ残しみたいなものだったじゃない」
 「―――」
 「え?ああそうね、この子は随分もった方ね」
 「―――」
 「この前の子なんて両足を貫いただけで―――」
どうやら今までジヴァートマ達の犠牲になった人々の話のようである。
その中にはアテナの知っている人物の名前もあった。
やがてジヴァートマ同士の会話が終わった。
 「―――」
 「そうね、そろそろ組織に回収してもらわないと死んじゃうわね」
 「(…みんなも…こんな目に…)」
ジヴァートマが組織の人間に連絡をとろうとした瞬間、
―ドッ!―
アテナの体が光に包まれた。
 「なっ!?」
さすがにジヴァートマも驚嘆の声を上げた。
死にかけの人間がこれほどの力をだせるのか、と。
その強力なサイコパワーの奔流に、アテナの体は宙に浮いた状態となっている。
…スーパーフェニックスインフィニティー…
ヒーリングが防御の切り札なら、これは攻撃の切り札。
しかしまだ未完成で制御が難しい上、今の状態で使えばもうヒーリングにもテレポートにも力を回せず、
下手をすれば使うだけで命を落としかねない。
だがそれでもこの悪魔を止めないと、どれだけの禍をこれからさらに振りまくかわからない。
 「これが…私の最後の技です…」
アテナの瞳に闘志が甦っていた。
 「…いいわ…受けてあげる…!」
ジヴァートマもまた、床に広がる全ての黒い霧を集めた。
アテナにとってまだ未完成の技、本来ならもう少し時間をかけてサイコパワーを集中させる。
しかしアテナに残された時間はもう残り少ない。
 「…いきます…」
アテナが、自身の体に纏ったサイコパワーが光の鳥となってジヴァートマに突進する。
 「ぬ!…くうううう!」
 「ハァァァァァアアアアアアアッッッッ!!!」
―ブシュッ…ブシュ…―
アテナの傷口から血が吹き出し、床に散っていく。
 「う…おお…!」
―ガクッ―
ジヴァートマの片膝が折れる。
アテナが勝利の可能性を感じた瞬間、ジヴァートマが左手に黒い霧を集中させる。
当然、他の箇所の防御壁が薄くなり、アテナがさらに押し込む…しかし、
―バシィッ―
ジヴァートマが黒い霧を叩きつけ、光がわずかに弱まる。
そのわずかの部分だけでジヴァートマには十分だった。
光が弱まった穴から闇の爪がアテナに襲い掛かり…

65KOF MI2 :06/05/31 01:32 ID:???
―ザグッ…―
 「あっ…」
終わった。
それはアテナの肩をかすめただけであった。
しかし、今のアテナにはそれが致命傷となり、集中力をきらしてしまう。
それ程にアテナは体力、サイコパワーともに消耗していた。
光が四散し、言葉を発することも適わず崩れ落ちる。
うつぶせに倒れ、肩がわずかに上下していることだけが、まだ彼女が生きていることを示していた。
 「…随分手こずっちゃったわね…」
そう言い、倒れたアテナをじっと見据える。
やがてジヴァートマの顔に、冷たい笑顔が戻ったとき、
―ドゴッ!!―
神殿全体が大きく揺れた。
 「これは…!…!」
この神殿は組織が用意したもの、確かにそういう仕掛けはあったが、
自分はそんな指示は出していない。
いぶかしがるジヴァートマの目の前に、見覚えのある女性が姿を現した。
 「あなたの仕業…」
現れた女性はルイーゼ=マイリンク、ジヴァートマとは顔見知りのようである。
 「相変わらずこの星の生命体に肩入れするわねぇ」
 「彼女をあなた達にわたすわけにはいかないわ…」
それだけを言うと、ルイーゼはアテナとともにテレポートで姿を消した。
 「あらあら、逃げられちゃったわねぇ…いいの?」
 「―――」
 「まあそうだけど…今度は観察なんかじゃなくて、
  全力で闘ってあげましょ」
崩れゆく神殿の中で、ジヴァートマは会話を続ける。
やがて神殿が完全に崩壊し、跡には神殿の瓦礫のみが残されていた。


66名無しさん :06/05/31 01:37 ID:3lY6egMU
長すぎたー!
すいません…メモ帳のままどこかのうpろだにでも上げるべきでした。
絵を描いたついでと思ったら四日もかかって。

KOF MI2ですが、設定をいじくって地味に11も混じってます。
あとルイーゼをもっと絡ませるつもりだったんですが、途中で気力が無くなってしまいました。
四日もあったら一、二枚は絵が描けた…orz

67名無しさん :06/05/31 01:50 ID:???
OK、OK!
GJだぜ!
絵も期待してるw

68名無しさん :06/05/31 02:30 ID:???
基本的に絵から話を作るので、絵は少し前に描いて2号にうpしております。
そのシーンをssにしようとしたらあれよあれよと…。

今のところ他のシーンを絵にしたり、他のキャラで何か描く予定はねーです。

69名無しさん :06/05/31 02:47 ID:???
おおう、石英さんでしたか!
新たに予定してくれることを望みますw

70名無しさん :06/05/31 19:24 ID:???
>>48
いいね〜、そのクーラ編を是非マンガでも見てみたいよ

71名無しさん :06/06/01 00:01 ID:???
「オラ オラ どうした市長さんよ?」

「くっ・・・」
マイク・ハガーにとってまさか自分がパワーで負けるとは予想すらしていなかったことだ。

ここは地下闘技場。
マッドギアにさらわれた娘を助けるために動いていたハガーは成り行きで金網デスマッチをやらされることになった。
対戦相手はアンドレJr。
ハガーよりも若く、ハガーよりも大きく、ハガーよりもパワーがあった。

「くっ・・・10年前ならこんなやつに・・・」
それでも何度倒されても起き上がって相手に組み付いていくハガー。
しかし、足はふらつき、目の焦点は定まっていない。

「まったく。しぶとさだけは褒めてやるぜ! だが、これに耐えられるかな!?」
アンドレの巨体から繰り出されるパンチがハガーの腹に深々と突き刺さった。

「う・・・」
ハガーが腹を抱えて立ち止まった。
胃液が喉までせり上がってきた。

「マジでしぶとい親父だな。 おら もう一発いくぜ!!」
腹を腕で押さえている上からアンドレが思い切り膝蹴りを見舞った。
ガードしてもなお伝わる凄まじい衝撃についにハガーがガクリと膝を着いた。

「お・・・おえぇぇぇぇ・・・・」
こみ上げてくるものを押さえきれずに、ついにぶちまけたハガー。
(く、くやしい・・・・リングの上でこんな醜態を晒すなんて・・・)

「へへへ、いいザマだな、え?おい?」

ぐしゃっ

アンドレがハガーの頭を踏みつけた。
顔面をゲロの池に突っ込むハガー。
その目には悔し涙が浮かんでいた。

「ははっ おっさん泣いてるのか!? 笑かしてくれるじゃねえか!」

アンドレがしゃがみこんでうずくまるハガーをあざ笑う。

(今だ!!!)

ハガーはこのチャンスを待っていた。
相手が油断する瞬間を。

「でりゃぁぁぁ!!!」
ハガーがアンドレの鼻面に思い切り頭突きを喰らわせた。
アンドレのような若いものは知らないだろうが、現役時代のハガーの頭突きは同じプロレスラー仲間たちから恐れられたものである。

「そりゃぁぁぁ!!!」
のけぞったアンドレへもう一発頭突きを見舞った。


72名無しさん :06/06/01 00:02 ID:???
「う・・ぐぐぐ・・じじい!!! もう許さねえぞ!!!」
それでも倒れなかったアンドレがハガーに掴みかかってくる。

「ここだ!!!」
アンドレを巧みにかわすと、バックを取ったハガー。

「どぅおりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

どしぃぃぃーーーーーーん!!!!

ハガーが自分より大きいアンドレをバックドロップで投げ飛ばす。

「こいつでどうだ!!! へやぁぁぁぁぁ!!!!」
バックドロップで相手をグロッキーにしてからのパイルドライバー。
現役時代の彼が最も得意としたフィニッシュパターンだ。

ずぅぅぅぅぅぅぅんんんんん!!!!

2人の体重がマットに落ちた衝撃は客席にまで伝わった。


「はあ・・・はあ・・・こいつでどうだ!!」

「な、なめやがって!!!」
しかしアンドレは起き上がってきた。
その目には憎悪が浮かんでいる。

「そ、そんな・・・・・」
一方のハガーの目に絶望が浮かんだ。

「てめえ、楽に負けられると思うなよ!!!」

アンドレはダメージを感じさせない素早さでハガーを捕まえる。

そして手足をバタバタさせて抵抗するハガーを持ち上げると、自分の背中を支点にしてハガーの背骨を極める。
アルゼンチンバックブリーカー。

「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
身長の高いハガーにとっては特に効く技だ。
ましてや現役時代にはハガーにこの技を仕掛けるほどの相手はいなかったため、この技を喰らうこと自体がハガーにとっては未知の体験であった。それはすなわち今だかって味わったことのない痛みということであった。

「ほれ ほれ さっきまでの威勢はどうした?」

「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ハガーの背骨がミシミシと悲鳴を上げる。

「俺様の怒りはこんなもんじゃ収まらないぜ!!!! そらそらーー!!」
アンドレが自分の身体を上下にゆすった。
それにあわせて揺れ動くハガーの背骨に更なる負荷がかかる。

「ひぎぃぃぃぃぃぃ!!!」
ハガーの身体がぐったりとなった。


73名無しさん :06/06/01 00:02 ID:???
「なんだ なんだ こんなもんでおしまいか!!!」
ハガーをマットに投げ捨てると、アンドレはハガーの両足を掴んでブンブンと振り回し始めた。

(こ、この技は!?)

ジャイアントスイング。
しかも、ただのジャイアントスイングではなかった。

「おらーー 喰らえ!!!!」

ごきぃぃぃぃんん!!!!

「ぐぎゃっ!!」

振り回されるハガーの頭がコーナーポストに打ち付けられた。


「さて、その老体を晒すのもここまでだな。」
アンドレが最後の技を決めるべくハガーの身体を持ち上げる。

「ま、まさかこの技は・・・」

「てめえの技で倒してやるぜ!!!」

ハガーとアンドレ2人の身体が宙に浮かぶ。

そして2人分の体重その他の衝撃を頭部に受けたハガーの意識が遠のいていく。

(ジェシカ・・・弱いお父さんを許してくれ・・・)

ハガーの意識はそこで途絶えたのであった。


74名無しさん :06/06/01 00:16 ID:hzurmv2s
バイオハザード。

…H.C.F.研究所内・硝子張りの監獄。

ウェスカーに薬を打たれ、
正気を欠いたクリスに向かって何度も呼び掛けるクレア。

檻に閉じこめられながらも、兄を救おうとしている。

しかし、クリスは硝子越しに表情一つ崩さないまま、
傷付いたクレアを見下ろしていた。
そこに、ウェスカーは5体のクリムゾンヘッドを投入した。
「ヴァァァァ…」

クレアはクリスから譲り受けたナイフを手にしたが、
クリムゾンヘッドの1体が吐いた酸が右手首にかかり、
ナイフは地に弾んだ。
クリムゾンヘッド達は忽ちクレアの肉を求めて歯を突き立てた。

クレアの肩や背から真紅の飛沫が吹き出す。

「…あうっっ!…かはっ…!!」

クレアは激痛の中、ただ祈る。
クリスを信じて。

「アアア…ヴァア」

クリムゾンヘッドの呻き声が一瞬止まった。
ウェスカーがモニタリングしながら操作していたのだ。

1体のみを残し、
クリムゾンヘッドは檻を出た。
1体はクレアを追い詰めるように近付く。
fineであれば、
蹴りの一撃でも食らわせてやるのに…。
クレアはまだ、諦めてはいなかった。

しかし、体は既に限界だった。

紅く染まったクレアの肌は、ウィルスを徐々に取り込み、
呼吸さえもままならなくなっていた。

クリムゾンヘッドが、辛うじて起きていたクレアを地に押し倒し、貪る様にのし掛かる。

「…兄さん…助けて…」

その声が、我を失ったクリスに届く事は無かった。

残されたクリムゾンヘッドは、他とは違うウィルスが植え付けられていた。

人間の性欲が食欲に勝るプロトタイプだ。
クレアはクリスの前で、生ける屍に弄ばれた。

屍がクレアから離れた時、
彼女の臓器は動く事を止めていた。

体温が急激に冷めていく。

右手首は酸に、
腕や股には無数の歯形が、
唯一、真紅に染まる事の無かった顔は、苦痛を浮かべている。
今し方まで開かれていたであろうその瞼の奥は、
未だクリスを捉え続けていた。

クリスが正気に帰った時、眼前に立ちはだかっているのは、紛れもなくクレアだ。
ウェスカーは数年来の復讐を遂げ、
高笑いした。

75名無しさん :06/06/01 00:18 ID:hzurmv2s
バイオハザード。

…H.C.F.研究所内・硝子張りの監獄。

ウェスカーに薬を打たれ、
正気を欠いたクリスに向かって何度も呼び掛けるクレア。

檻に閉じこめられながらも、兄を救おうとしている。

しかし、クリスは硝子越しに表情一つ崩さないまま、
傷付いたクレアを見下ろしていた。
そこに、ウェスカーは5体のクリムゾンヘッドを投入した。
「ヴァァァァ…」

クレアはクリスから譲り受けたナイフを手にしたが、
クリムゾンヘッドの1体が吐いた酸が右手首にかかり、
ナイフは地に弾んだ。
クリムゾンヘッド達は忽ちクレアの肉を求めて歯を突き立てた。

クレアの肩や背から真紅の飛沫が吹き出す。

「…あうっっ!…かはっ…!!」

クレアは激痛の中、ただ祈る。
クリスを信じて。

「アアア…ヴァア」

クリムゾンヘッドの呻き声が一瞬止まった。
ウェスカーがモニタリングしながら操作していたのだ。

1体のみを残し、
クリムゾンヘッドは檻を出た。
1体はクレアを追い詰めるように近付く。
fineであれば、
蹴りの一撃でも食らわせてやるのに…。
クレアはまだ、諦めてはいなかった。

しかし、体は既に限界だった。

紅く染まったクレアの肌は、ウィルスを徐々に取り込み、
呼吸さえもままならなくなっていた。

クリムゾンヘッドが、辛うじて起きていたクレアを地に押し倒し、貪る様にのし掛かる。

「…兄さん…助けて…」

その声が、我を失ったクリスに届く事は無かった。

残されたクリムゾンヘッドは、他とは違うウィルスが植え付けられていた。

人間の性欲が食欲に勝るプロトタイプだ。
クレアはクリスの前で、生ける屍に弄ばれた。

屍がクレアから離れた時、
彼女の臓器は動く事を止めていた。

体温が急激に冷めていく。

右手首は酸に、
腕や股には無数の歯形が、
唯一、真紅に染まる事の無かった顔は、苦痛を浮かべている。
今し方まで開かれていたであろうその瞼の奥は、
未だクリスを捉え続けていた。

クリスが正気に帰った時、眼前に立ちはだかっているのは、紛れもなくクレアだ。
ウェスカーは数年来の復讐を遂げ、
高笑いした。

76名無しさん :06/06/01 00:42 ID:???
>>71
……男はチョット。

>>74
残念ながら物足りない。

77名無しさん :06/06/01 01:03 ID:???
まあこれはこれで味があって

読んでる方より書いてる方がダメージ大きそうだが

78名無しさん :06/06/01 02:11 ID:???
D会にマブカプ2のサイロック出演キボン

79名無しさん :06/06/01 02:53 ID:???
>>71
マキかレインボーミカに変えてくだちいw

80名無しさん :06/06/01 09:42 ID:ExkiPSt2
なんかタガメなんたらって人の趣向に似てるな

81名無しさん :06/06/01 18:49 ID:???
>>74
>クリムゾンヘッドが、辛うじて起きていたクレアを地に押し倒し、貪る様にのし掛かる。

ここをもっと細かく書いてくれたらすごく嬉しかった。

82名無しさん :06/06/01 19:10 ID:???
「オラ オラ どうしたオネエチャンよ?」

「くっ・・・」
源柳斎マキにとってまさか自分がここまで手も足もでないとは考えてもいないことだった。

ここは地下闘技場。
マッドギアにさらわれた姉と父を助けるために動いていたマキは成り行きで金網デスマッチをやらされることになった。
対戦相手はアンドレJr。
マキのパンチはアンドレの顔に届かず、マキの突きも蹴りも分厚い腹筋の前には無力で、相手の攻撃は一撃一撃が信じられないほどマキにダメージを与えた。

「くっ・・・せめてここじゃなくてもっと広い場所なら・・・」
足を使おうにもリングでの戦いに慣れているアンドレは素早さで勝るマキをいともたやすくコーナーへと追い詰めてゆく。
これ以上逃げる場所のなくなるマキ

「まったく。ちょこまかとうるさいやろうだぜ! だが、それもここまでだぜ!?」
アンドレの巨体から繰り出されるパンチがマキの腹に深々と突き刺さった。

「う・・・」
マキが腹を抱えて立ち止まった。
胃液が喉までせり上がってきた。

「くっくっく そんな顔してたら美人が台無しだぜ!?  おら もう一発いくぜ!!」
腹を腕で押さえている上からアンドレが思い切り膝蹴りを見舞った。
ガードしてもなお伝わる凄まじい衝撃についにマキがガクリと膝を着いた。

「お・・・おえぇぇぇぇ・・・・」
こみ上げてくるものを押さえきれずに、ついにぶちまけたマキ。
(く、くやしい・・・・こんな醜態を晒すなんて・・・)

「へへへ、いいザマだな、え?おい?」

ぐしゃっ

アンドレがマキの頭を踏みつけた。
顔面をゲロの池に突っ込むマキ。
その目には悔し涙が浮かんでいた。

「ははっ オネエチャン泣いてるのか!? だがなマッドギアに楯突いたんだ! 女だろうが何だろうが 泣いたぐらいで許されるもんじゃねえぜ!!!」

アンドレがしゃがみこんでうずくまるマキに手を伸ばす。

(今だ!!!)

マキはこのチャンスを待っていた。
相手が油断し、自分の射程に入る瞬間を。


83名無しさん :06/06/01 19:10 ID:???
「はぁぁぁぁっ!!!」
マキが急に飛び上がってアンドレの鼻面に蹴りを喰らわせた。

「ていぁぁぁぁ!!!」
のけぞったアンドレの鳩尾へ今度は肘を打ち込む。

「う・・ぐぐぐ・・このアマ!!! もう許さねえぞ!!!」
それでも倒れなかったアンドレがマキに掴みかかってくる。

「シュッツ!!!」
アンドレの足元を転がって素早くコーナーから脱出するマキ。

「せやぁぁ!!!」
真後ろからアンドレの股間をマキが蹴り上げた。

「う・・・ぐ・・・お・・・」

股間を両手で押さえてアンドレがコーナーにもたれかかる。

「とどめよ!!!! へやぁぁぁぁぁ!!!!」
動きの止まったアンドレの顔面へ先ほどよりも高く飛び上がって蹴りを放った。

「へぶご!!!!」

どしぃぃぃーーーーーーん!!!!

アンドレが音を立ててマットに倒れこんだ。


「はあ・・・はあ・・・これで・・・・」

「な、なめやがって!!!」
しかしアンドレは起き上がってきた。
その目には憎悪が浮かんでいる。

「そ、そんな・・・・・」
一方のマキの目に絶望が浮かんだ。

「てめえ、容赦しねえぞ!!!」

アンドレはダメージを感じさせない素早さでマキを捕まえる。

そして手足をバタバタさせて抵抗するマキを持ち上げると、自分の背中を支点にしてマキの背骨を極める。
アルゼンチンバックブリーカー。

「ああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
アンドレの巨体に担がれたマキの身体が弓なりにしなる。
マキの細腰がミシミシと悲鳴を上げる。

「ほれ ほれ さっきまでの威勢はどうした?」

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
アンドレの腕力の前にマキはなすすべのなく悲鳴を上げるだけであった。

「俺様の怒りはこんなもんじゃ収まらないぜ!!!! そらそらーー!!」
アンドレが自分の身体を上下にゆすった。
それにあわせて揺れ動くマキの背骨に更なる負荷がかかる。

「あ・・・あ・・・あ・・!!!」
マキの身体が力なくぐったりとなる。

「なんだ なんだ こんなもんでおしまいか!!!」
マキをマットに投げ捨てると、アンドレは手を上げて観客にアピールすると同時に仲間を呼び寄せた。

「えへへ、マキちゃんよろしくね」

「うひひ なんていい女なんだ」

「たまんねぇぜ!!」

男達の手がマキの衣服へと伸びる・・・・












84名無しさん :06/06/01 19:10 ID:???
「おし、じゃあ閉めるぞ さっさと出ろ」

「おうよ じゃあな オネエチャン」

バタン  ガチャリ

真っ暗な地下室。
天井にある出入り口に鍵がかけられた後に部屋に残されたのは柱に縛り付けられたマキだけであった。

マッドギアの制裁を受けて腫れ上がった顔。
破られた衣服からところどころ見えるあざも痛々しい。

「・・・・・・・・」
目は開いているが、焦点が合っていない。
そのマキの目に光が戻ってきた。

「はっ・・・これは・・・・水・・・!?」
足を濡らす水の冷たさがマキの意識を呼び戻したのであった。
そして、いたるところにある穴から部屋に流れ込んでくるその水はどんどんかさをましてきていた。

「こ、これって・・・・・」
身動きをとろうとして、柱に縛り付けられた自分に気が付く。

「う、動けない・・・」
水はマキの太ももの辺りを濡らして、更に流れ込んできている。

「くっ! ふっ! んっ!」
縄抜けを試みるが、そうそう容易く行く様な縛り方ではないようだ。
そうやってもがいているうちにいつの間にか水がマキの胸元までせり上がってきていた。

「このままじゃ・・・」
身体の2/3が冷たい水に浸かっているマキの額に大粒の汗が浮かんだ。

「やああああああ!! 誰か!! 誰か!!! 助けて!!! 水を止めて!!!」
水が喉元まで来てついにマキは耐えられなくなって助けを求めた。
しかし、マキの悲鳴は虚しく響くだけであった。

「み、みずが・・んぷ・・も、もう・・ぷあ・・・・」
ついに水がマキの口にまで来た。

「スーーーーーーーーーッ・・・・・・・・・・・・・・・・」
最後の呼吸。















85名無しさん :06/06/01 19:12 ID:???
.































































































































86名無しさん :06/06/01 19:12 ID:???


















ボコッ・・

ボコ ボコッ・・・・

ブク モゴッ ボコッ ボコッ ボコ ボコ ボコ ボコ ボコ ボコ
ガボッ ボコ ボコ ボコ ブク ブク ブク ガボ ガボ ガボ

ガバ ブク ブク ブク ブク ブク ブク ボコ ボコ ボコ ボコ

ボコ ボコ ガバ ブク ボコッ


ボコッ ポコッ ポコッ





ポコッ


















                           完


87名無しさん :06/06/01 23:54 ID:iO9j2UFs
76
ご指摘ありがとうございます。
なるべく細かく書く様にしますね。

88名無しさん :06/06/02 00:44 ID:zuL1DxC2
…バイオハザード3。
ジルは追跡者の猛撃に失神し、祭壇に寝かされていた。
「…あぁっ…はぁっ」
扉の向こうの銃声を掻き消すのは、
前夜から降り続くスコールと、無力な自らの喘ぎ声。

情け容赦ないネメシスの追跡に、
つい弱音を漏らしたジルを叱咤したカルロス。
しかし、死を覚悟していたジルよりも先に、カルロスはその毒牙の餌食となってしまった。

「…S.T.A.R.S.…」
ネメシスはカービン銃を握ったままのカルロスの腕を吐き捨て、扉を突き破った。
ジルは微動だにせず、眼を閉じていた。
「…Jill…」

ネメシスはジルの名を呟き、唾液を伸ばした口を開いた。
触手が、ジルの身体を宙に持ち上げ、 骨を締め付けていく。
「ぐぁぅぅっ…!!」
肺が微かに潰れ、 声にならない悲鳴を上げながら、上を向いて口を開閉するジル。
「はぁっ…ぐ……」
ジルの顔色が明らかに変わり、
ネメシスは触手から彼女を解放した。
「あううっ!」
叩きつけられたジルは、肩で息をし、
這いずりながら扉を目指した。

ネメシスはジルを逃がすまいと振り返り、ジルの足を掴み、膝関節を強くねじ曲げた。
「…ぎゃぁぁぁぁっ…!!」
痛覚が許容を越え、失神する事さえ出来ない。
ジルは尚も腕だけで逃げようとした。

チューブトップをつかまれたジルは背元から引き寄せられ。胸が露わになった。
ジルは仰向けにさせられ、腰に巻いていた白いトレーナーで手首を縛られた。

ネメシスは包帯に巻かれた手でジルを押さえ、肩を噛み切った。
喰いちぎられた三角筋。

「…ぁぁ……」

肩肉を頬張るネメシスの顔が霞んでいく。
「…ぅ……ぅっ…」

…数時間後。

ジルは時計塔の中、生け贄を探して一人さ迷い徘徊していた。

89名無しさん :06/06/02 08:57 ID:???
関係ないけど
「カルロスはその毒牙の餌食」
って文章にウホッな人を想像したぜ!

まあそれは置いといて
>>88
GJ!

90名無しさん :06/06/02 14:38 ID:TaGISmkQ
ありがとうございます。
ちゃんとリョナらしく書けていたでしょうか?
ドラマや他ゲームも書いてみようと思います。

91名無しさん :06/06/02 18:37 ID:???
がんばれ!!
リョナらしく書くとかあんまり気にしなくていいんじゃない?
人より自分の嗜好が優先で。

92名無しさん :06/06/02 20:43 ID:nJ9q5JEE
89さん。
カルロスに対してはウホッな人(アッチ系の意味ですか?)ではないんですが、クレアに対しては、ある意味そうかもしれません。
91さん。
ありがとうございます。自分らしく書けるように頑張ります!

93名無しさん :06/06/03 00:33 ID:41wap2V.
…MGS。

拷問部屋。

磔にされたメリルがゆっくりと覚醒する。
「気分はどうだ?
メリル・シルバーバーグ。」

「…オセロット!?」

「経緯は覚えているだろう?」

スナイパーウルフに狙撃され、此処に連行された。

その記憶が繋がると同時に、メリルは自分を恥じた。

(撃てるかっ?新米!)

(馬鹿にしないで!新米じゃないわ!)
その自尊心は現実に打ち砕かれた。スネークの足手まといになりたくなかった。
ならないと誓った。…それなのに自分は無様な格好を敵に晒している。

「裏切り者への制裁だ。」

そう言い放つとオセロットは、
電圧レバーを倒し、ダイヤルを回した。
「…うぁぁぁぁぁっ!!」

途端にメリルの全身に電流が駆け巡る。
その光景を見ながらジョニーが物陰で自慰を始めた。

「貴様に選択肢をやろう。
スネークを騙して捕らえるか、
此処で生き恥を晒して死ぬ…か。
前者を選べば逃がしてやろう。
だが後者を選べば、無論…犬死にだ。」
「…出来るもんなら、してみなさいよ。」

メリルはオセロットの顔に唾を吐き、
強がりを言った。

スネークが任務を遂行する為の時間稼ぎになれば、命など惜しくはなかった。

「…そうか。なら、仕方あるまい。」
オセロットはさらに強い電流を流した。
「くぅはぁぁぁぁっっ!!」

「服従する気になったか?」

「…はぁ…はぁ…誰が…アンタなんかに……」

「気の強い女は好かん。
よし、貴様には特別な拷問をしてやろう。」

メリルは閃光を向けられ、再び意識を失った。

94名無しさん :06/06/03 16:09 ID:???
読みやすいんだけど、やられてるキャラのリアクションが弱いかも。
てか電気責めをSSで書くのって絵に比べて難しいと思う。
リアルにやると 肉が焦げる臭いが辺りに漂った・・・ みたく
エグイ感じにならざるを得ないし、
バチバチバチ 「きゃああああ」  じゃいまいち伝わらないし。

95名無しさん :06/06/05 23:10 ID:WbvyM2nk
電気責めはイマイチ描写が難しいですね…気を付けます。

96名無しさん :06/06/05 23:23 ID:???
その前にsageを覚えよう
SSを投稿した時なんか以外は右上のメール欄にsageと打ち込むべし

97名無しさん :06/06/06 00:00 ID:???
今まで知らないで書き込んでました…。これで大丈夫ですか?

98名無しさん :06/06/06 13:13 ID:???
大丈夫

99名無しさん :06/06/07 00:00 ID:???
バイオ画像見たいんですが、こくれんのExchanger Liteの使い方が分かりません。サイトにアクセスしたらカテゴリーと検索機しかなくて、ファイルNo.を入力したりパスを入力する所がありませんでした。教えていただけないでしょうか?

100名無しさん :06/06/07 17:03 ID:???
HQ!HQ!
誤爆だぞ!精密誘導弾が、赤十字のトラックを吹っ飛ばした!
女性隊員が火だるまになってるぞ、畜生!

101名無しさん :06/06/08 00:39 ID:???
「WKD4496」

そう刻印された真新しい板金付きのチョーカーを填められ、輸送機の中、
クレアは目隠しをされていた。
パリのアンブレラ社を経ってから、随分と退屈な時間が流れている。

「何処に連れて行くつもり?」

「………。」

案の定、返事は無い。
クレアは冷静に思考を巡らせる。
輸送機を操縦しているのは、自分を捕らえたあの黒人男性だろうか?

「クレア・レッドフィールドか。
兄貴には劣るが、
なかなか良い材料だな。」

声の主はそう言うと、後ろ手に縛られたクレアの腕に注射針を刺した。

「……うっ」

クレアは思わず顔をしかめた。

102名無しさん :06/06/08 02:03 ID:???
寸止めするにしても、もう少し書いてくれないと想像のしようが……

例えるならば、エロ小説なのに「2人はベッドインした」の一文でエロが終わった感じ。

103名無しさん :06/06/08 09:46 ID:???
バイオ書いた者です。
微妙な所で区切って申し訳ないです。
続くんですが、「続く」と書くのを忘れてしまいました。

104名無しさん :06/06/08 17:01 ID:???
そうだったのか。
ゴメンよ。
続きに期待。


105名無しさん :06/06/08 19:00 ID:???
「おら!さっさと出ろ!」
人気の無い森の入り口に数台の車が止まって、中から男たちが出てきた。
全員格好が堅気のそれではない。
一目で裏社会の人間とわかる集団であった。

「ボス、どうぞ。」
ボスと呼ばれた男がゆっくりと車から降りてきた。
いかにも田舎マフィアの親分といった雰囲気を漂わせている男であった。

「へへ、お嬢さん、連れてきました。」
親分が森の方へ向かって声を掛けると、彼らより先に来ていたのか、1人の女が姿を現した。

「ありがとう。約束のお金は届いているでしょう?」

「ええ、ちゃんと頂きましたよ。何なら領収書をお渡ししましょうか?」
そういうと親分はガハハと1人で声を上げて笑った。

「結構よ。」
女の方は真面目に返事を返した。
よく見れば女は、声も姿も大人びてはいるものの、顔には幼さが幾分残っており、むしろ少女と呼んだほうがいい歳であるようだった。
しかし、そんな若さでマフィアの親分と対等の口を利く少女の肝の太さは見上げたものであった。

「で、彼はどこかしら?」

「おい、連れてきな。」

親分が声を掛けると、2人を取り囲んでいた男達がサッと動いて道を空ける。
そこに1人の男の姿があった。

「あなたがオルテガさん?わたしはリリ。よろしくね。」

                         ■ 

マフィアはオルテガが賭場を襲って金を盗んだということで血眼になって彼を探した。
もっともやったのは彼ではなく、彼の双子の兄であったが。
そして、オルテガは2月ほどあちこちを逃げ回っていたが、ある日突然マフィアの
事務所へ現われて、自分から身柄を拘束されたのだった。

マフィアのボスとしても、オルテガを殺しても金になるわけではなかったし、何よりオルテガは見せしめとしてただ殺すには惜しい男だった。
どうしたものかとボスが考えていた時に、丁度一本の電話が彼の元に入ったのだ。

「オルテガを貸してくれるなら相応の礼しよう。」


106名無しさん :06/06/08 19:00 ID:???

                          ■

「彼の拘束を解いてあげてちょうだい。」
リリがマフィアの手下達を促した。

「いいんですか?」

「そうしなくちゃ戦えないでしょう。」
男たちがリリに従ってオルテガに着せていた囚人用の拘束着を脱がせる。
いかつい拘束着の下から現われたのは猛獣のような質量を備えた肉体であった。

「思っていた以上に強そうね。」
その肉体を見たリリがこともなげにそう言った。

「・・・・・・・・・・・・・・」
オルテガが自由になった身体を前後に揺らしてほぐす。
その彼に周囲の男達が銃やナイフを突きつける。

「おい!勝手に動くんじゃねえぞ!」

「いいのよ。ねえ、オルテガさん、これからわたしと1つゲームをやりましょう。よくって?」

「良いも悪いも、断ったらその場で撃ち殺しますよ。」
ボスの言葉に周りの部下達も笑い声を上げる。

「そう。じゃあルールを説明するわね。もし、あなたがわたしに勝てたらそっちの親分さんにお金を払ってあなたを許してくれるように頼んであげるわ。」
リリがオルテガに歩み寄りながらマフィアのボスをチラリと視線を向ける

「もし、お嬢さんにお願いされたら、許すしかありませんな。」
それにボスが答える。

「・・・・・・・・・・・・」

「でも、もし、あなたがわたしに負けてしまったら、親分さんはあなたからケジメを取るそうよ。だからがんば ギャン!!?」
リリは最後まで言葉を発することができなかった。
下から迫ってきた物体――――オルテガの脚がリリの顔面を蹴り上げたからだ。
リリの頭が大きく振れて地面へと倒れる。

「てめえ!!!何しやが ギャオッツ!!!」

ゴキャッ!!
ギャア!!!
ブエッツ!!!

ゴブッツ!!!!!
ベキン!
ボキン!!
ギャアアア!!!!

ヒイッツ!!!
グシャッツ!!!

「な、な、お、お、ゴブッツ!!!!」

リリが意識を失っていたのはほんの一瞬のことであった。
ほんの1秒か2秒。
意識がはっきりして起き上がったリリが目にしたものは血の海と死体の山、そして死体達のボスの生首をぶら下げたオルテガであった。

「え!?」
あまりのことに我が目を疑う。

その彼女へオルテガが目を向け、ゆっくりと口を開いた。

「キミはこれカラ ワタシとゲームをやるのダヨ。」
そう言うとオルテガは手に持っていた生首をリリに向けて放った。

「ひいっ。」
ドサリと音を立てて草むらに血だらけの頭が転がる。

「サア、立ちたまエ もしキミが勝てばキミが自分の足で歩いて家に帰るのを許してあげヨウ。」

「・・・・(ごくり)」
今やリリの目の前に居る男は、先ほどの何倍もの大きさに膨れ上がって見えた。

「ダガ・・・・もし負けレバ・・・ククク。」


107名無しさん :06/06/08 19:02 ID:???

                         ■

「はっ! やあ! はっ! たあ!」
夜の森に呼気が響く。

闇を縫って拳を交える2つの影。
リリとオルテガであった。
常人ならば昼間でも捉えられないような速度の突きや蹴りをお互いに寸前で見切っている。

「せいっ! はあっ! やっ!」
自分より遥かに大きく、パワーに勝るオルテガに対抗するために、リリが小刻みにステップを踏んでオルテガを翻弄するべく、クルクルと自分の位置と間合いを変化させる。
草と暗闇で足元は全く見えないにも関わらず、地形に足元を取られることも無く動き続ける。
一方のオルテガはまるで地面に根が生えたかのごとくどっしりと腰を落とし、自らは動かない。
リリの動きに合わせて拳を蹴りを繰り出すが、自分からは仕掛けない。
体も大きく、リーチも長いオルテガだが、それだけではない懐の深さをその構えが生み出していた。

「(何とかして懐に潜り込まなければ!)」
リリが更に多彩なステップとフットワークを織り交ぜた攻撃を加える。
しかし、オルテガはリリの攻撃を動じることなく捌いてゆく。

このままでは埒があかないと思ったリリは賭けに出た。
パンチを放つ。
オルテガがそれを避けてパンチを打ち込んでくる。
本来ならば後ろに下がってかわすパンチだ。
それをリリは前に出た。

ビュウン!
リリの頭上で風を切る音がした。
長い金髪が浮き上がる。
コンマ1秒遅ければリリの顔面にパンチが突き刺さっていた。
しかし、そのおかげでリリはオルテガの懐に入ることができた。
今度はこちらの攻撃である。
稲妻のようなストレートがオルテガの顔面へ。

ガツン!

「っつ!?」

「クククク・・・・・」
鈍い音を立てたのは殴ったリリの拳の方だった。
パンチが当たる直前に、オルテガは自分から額を拳へと打ちつけていったのだ。
リリのパンチはオルテガの頭突きに相殺され、残った衝撃を太い首の筋肉が吸収した。
一方のリリは自らの攻撃の反動で右拳にダメージを負ってしまった。


「やっ!」
しかし、ひるまずにリリが左で攻撃を繰り出す。
「ふひゅっ!」
オルテガがそれにあわせて呼気を発した。

ガキイ!
リリとオルテガの拳が宙で互いに激突する。

「ううっ!」
リリが思わず手をかばいながら後ろに退く。
パンチのスピード重視し、ボクシング風の浅い握りで出すリリのパンチは、巻き藁を叩き続けて完成させたオルテガの岩の拳に容赦なく粉砕されてしまったのだった。

「まるでガラスの拳ダナ・・・・」
オルテガの揶揄がリリのプライドを激しく傷つけた。

「これぐらいで!」
リリがオルテガへ向けてローキックを放つ。
それをオルテガが同じく足で受ける。
更にリリはミドル、ハイと蹴りを繰り出す。
それをかわしたオルテガが反撃のモーションを見せた。

「(ここよ!!)」

リリが狙っていたのはまたしてもカウンターのパンチであった。
引き絞られた拳が放たれる。
その拳がぶつかったのは。

肘。


ぐしゃっつ!

「うあっつ!!」
リリの右拳の骨が砕ける。
オルテガが見せた反撃のモーションは誘いであった。
狙いはリリの拳を完全に使い物にならなくすること。
その罠にリリはまんまとはまってしまった。
ここにリリとオルテガの戦いの経験の差が如実に現われていた。


108名無しさん :06/06/08 19:02 ID:???
「そんなにオテテが大事ならオソトで遊ぶものじゃあない・・・・」
屈辱のあまりリリの目に涙が浮かぶ。
最早勝敗は明らかであるにもかかわらず、怒りに任せてオルテガへと突っ込んだ。

「フッ・・・」
弧を描いて飛来する蹴りをことも無くオルテガが避ける。
そして、蹴りを放ったリリの軸足へ足払いを掛ける。

「うっ!」
リリが草むらに倒れた。
その上へオルテガの巨体が覆いかぶさってきた。

――――関節技!?

――――マウント!?

――――絞め技!?


リリの頭が、いや体が瞬時に対応をはじき出そうとする。
しかし、オルテガのとった技は

――――固め技!?

オルテガはリリの関節をとるわけでもなく、馬乗りになって殴るわけでもなく、ただリリにのしかかってその動きを封じたのだ。

「馬鹿にしてっ!!」
リリが動いてオルテガの下から逃れようとする。

「くっ・・・・・はっ・・・んっ・・・ふっ・・・」
激しく体を動かして脱出を試みるリリ。
しかし、のしかかった巨体はビクともしない。
オルテガはリリの上で実に上手く体重をコントロールしていた。

「オヤ?抵抗はもうお仕舞いカネ?」

「どこまで人を・・・・・・」
リリが痛めた左拳を無理に握ってオルテガの顔へ叩きつけようとする。
しかし、その瞬間オルテガが素早く体勢を入れ替える。

――――!?

オルテガの脚がリリの脚を絡め取る。
リリの腕をオルテガが脇で挟むようにして動きを妨げる。

「う・・・くっ・・・・」
リリがもがいても腕も脚も自由にならない。
しかし、この体勢ではリリも攻撃できないが、オルテガも攻撃できない。
いや、オルテガはわざと攻撃しない体勢を選んだのだ。
やろうと思えばオルテガにはリリにとどめを刺すチャンスはいくらでもあったのだから。
オルテガはわざと固め技などという練習か試合でしか行わないようなことをやって見せてリリをコケにしたのだった。

「はあ はあ くっ・・・・ん・・・ん・・・はあ はあ」

「・・・・・25・・・・26」

「はぁ はぁ ・・・・(一体何を?)」

「・・・29・・・30」
オルテガが30まで数えた時に、それまでリリを押しつぶしていた圧力が消えうせた。

「!?」

「サア、もう1本・・・立ちタマエ。」

「な・・・・・・!!!!!!!!!」
リリの怒りが爆発した。
飛び起きてオルテガへ一瞬で詰め寄る。

「!!!!!!!!!!!」
闇雲に拳や蹴りを繰り出す、その全てを冷静にオルテガがかわし、受け流す。
そして、一瞬の隙を見つけてオルテガの足が一閃する。

「っ!」
地面に転がったリリに再び覆いかぶさってくる影。

「1・・・・2・・・・」


109名無しさん :06/06/08 19:03 ID:???

                        ■

「・・・・・・29・・・・・30」

「はぁー・・・はぁー・・はぁー・・はぁー・・」

「どうしたのカネ?もうGive Upカナ?」

「はぁ・・・はぁ・・・」
もう何度同じことが繰り返されたのかリリにはわからなくなっていた。
起きては転がされ、転がされては動きを封じられる。
もちろん、リリも激しく抵抗したが、結局最後はオルテガの思うままになっていた。
オルテガは時には関節を狙ってくることもあった。
しかし、関節を極めても、オルテガは折らなかった。
折る寸前までくると、自分で技を解くのだ。
この男は心底自分を馬鹿にしている。
わかっていてもリリにはどうすることもできなかった。

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・」
リリは何とか立ち上がろうとした。
しかし、体力を奪いつくされたリリの身体は言うことをきかなかった。
しばらくしてリリの肩がガクリと垂れ下がった。
リリが敗北を認めたのであった。


「ククク・・・もう立てないのカネ?だったらゲームは終わりダナ。」

「くっ・・う・・・うっ・・・うっ・・・・うっ・・」
なんと言う恥辱であろうか。
自分は1発のパンチももらっていないのに立つことができないのだ。
バテて立ち上がれずに負けた。
そんな自分に悔し涙を流した。


「サア、泣き止むんダヨ。これからはゲームじゃナイ。殺シ合イダヨ。」
オルテガがこれ以上ないといった嬉しそうな笑みを浮かべる。

「うっ・・うっ・・・・ぇ!?」


ブオオオオン!!

「ぎゃんっ!!!」

オルテガの本気の蹴りがリリの頭をサッカーボールのように蹴り飛ばした。
リリが地面を転がる。


     れる
      さ
  
コロ 

    ル

   サレ

リリの混濁した脳裏に言葉が浮かんだ。



逃げ

 カラ


動 

かない



しかし、疲れと今の一撃で身体は全く思うように動かなかった。
オルテガがこちらへ向かって歩いてくる。

「あう・・」
朦朧とした意識のまま慌てふためくリリの手に何か硬いものが触れた。

「さあ・・・マダマダ・・オ?」


110名無しさん :06/06/08 19:03 ID:???
「こ、こな・・・!!」
リリの手には先ほどのマフィア達の1人が落とした拳銃が握られていた。

「フフフ・・・打たないのカネ?」
オルテガは一瞬立ち止まったが、すぐにリリの方へと歩み寄る。
ブルブルと震える手とまだ混濁した視界のまま、まともに狙いすらつけずに引き金を引いた。

パァン!

飛び出した弾丸はオルテガから大きく外れた場所を飛んでいった。

「ハズレ!」

2発目を撃つ前にオルテガが拳銃を蹴り上げた。

パァン!

その衝撃で弾丸が飛び出した。
タマは誰も居ない上空へと飛んでいく。

「オット!」
リリの手から飛び出して空中に浮いた拳銃をオルテガが器用にキャッチした。
西部劇のガンマンのように拳銃を指先でクルクル回してみせるオルテガ。

「サテ 次はワタシの番ダナ。」
オルテガが拳銃のマガジンを引き抜いて、弾丸を取り出し自分の手の平に乗せていく。

「口を開けたマエ。」

ぎりっ

凄まじい力で無理やり口をこじ開けられるリリ。

「ん!?むーうーおー!!!」
リリの口の中へ金属の弾丸が詰め込まれる。

「これで全部ダナ。」
6発分の弾丸を押し込むと、吐き出せないように手でリリの口を押さえる。

「んん!!むうう!!!うう!!」
リリの額に先ほどまでとは違う種類の汗が吹き出す。

「ジャパンのコミックスで読んだンダ。こうやってからパンチを入れると・・・・」
オルテガが岩のような拳をわざわざリリにかざしてみせる。


ガチイッツ!!!

「んむうう!!!うううう!!!」

「アレ?おかしいナ。」
オルテガの想像とは異なった結果になったようだ。

「う・・・ぷっ・・・ぺ・・・」
リリが口から濡れた弾丸を吐き出す。

「しょうがないナ。ここはシンプルニ。」

オルテガがまだ1発装填されたままの拳銃をリリに向ける。


パァン!

「ハハハ・・・2ヶ月ぶりの戦いダ・・・そんな勿体無いことをするわけが・・・・アレ?」

オルテガの弾丸はリリからは大きく外れた場所を飛んでいった。
しかし、弾に当たるまでも無く、リリは泡を吹いて失神してしまったのだ。

「オイ!? チョット!? ソンナ・・・・」
これからといった時に反応が全くなくなってしまったリリ。
まるでお気に入りのおもちゃを奪われたような表情になった後で、オルテガはリリを諦め、別の獲物を探すべく街へと戻っていった。


111名無しさん :06/06/08 19:03 ID:???
                               おわり

112名無しさん :06/06/08 19:46 ID:???
>>105
いつもながらGJ!特にリリがいたぶられるのは前々から読みたかったんで
夢が叶ったw 口の中に何かを詰め込む責めってマジでツボ。
ジャパンのコミックスってもしかしてバキの花山対スペック?

113名無しさん :06/06/08 22:20 ID:???
>>105
GJ!やっぱり綺麗なままで痛めつける方が萌えますな。
漫画の様に銃弾が破裂して頬が筋肉剥き出しとかにならなくて良かった・・・

114名無しさん :06/06/08 22:21 ID:???
ってかせっかく新作書いたのにageないんすか?

115名無しさん :06/06/09 00:09 ID:???
小さい口に銃弾6発も詰め込まれて
怯えながらハムスター状態になるリリテラカワイス

116名無しさん :06/06/09 01:05 ID:???
「…私に何を…!?」
「最高の媚薬…だよ。」

冷徹に吐き捨てた声の主はホバリングしているヘリのスライドドアを開け、
下界との境にクレアを立たせた。
風圧はさほどではないが目隠しされている事もあり、
クレアの膝はガクガクと震え、鼓動が聞こえる。

ドクン…ドクン…ドクッ…

「…はぁっ…はぁっ…」

「地獄を見せてやる。」

クレアは拘束されたまま、不安定なヘリから3m下の地面に蹴り落とされた。

ヘリは砂埃を巻き上げながら再び浮上した。

「うぅっ…くぁっ…」

顔や体は擦り切れ、その激痛にクレアは俯せになったまま、立ち上がれずにいた。
暫くして、漸く半身を起こしたクレアの眼前には、封鎖された光景が広がっていた。
(銃も薬も無い。
こんな状況下でゾンビが現れたら…。)
そのクレアの不安は的中した。

《餌の時間だ!!》
ヘリからマイクで指示を出す操縦士。

すると、四方から数十の人間が現れた。
武装した黒衣の人間達はタイラントの失敗作だった。
とは言え、
その知能と戦闘力はゾンビを遙かに凌ぎ新たにU.B.C.S.やU.T.T.と言ったアンブレラ所属部隊の訓練用に量産されていた。
《安心しろクレア・レッドフィールド。ナノマシンが貴様を、何度でも蘇生させる。》

クレアはその言葉の意味を理解出来ないまま、
折れたであろう自らの足が治癒していく様を目の当たりにした。
「……嘘……。」
訓練ゾンビが近付く。
クレアは恐る恐る立ち上がった。

擦り切れた口端の血を拭い、足元に転がる鉄パイプを手にしたクレア。

しかし、その刹那、頭に激痛が走る。

「…ぐぅぅぁぁぁっっ!!」

思わずうずくまり、ヘリを睨んだ。
クレアは、武器を使えないようにナノマシンにプログラムされた事を悟っていた。
訓練ゾンビがクレアを羽交い締めにし、もう1人が腹部を殴打した。

「ぐふっ!…がっ…かはっ…うっ…」
胃が逆流し、クレアは吐血した。

A.I.を搭載された訓練ゾンビには、コンビネーションによる団体攻撃もプログラムされていた。

だが、クレアは体力の限界を越えても失神できなかった。
ナノマシンが成せる回復力が失神という逃避すら許さないのだろう。

眼は虚ろに、血と唾液が入り混じった液体を口から垂れ流しているクレアに幻覚が。

訓練ゾンビがクリスやレオン、スティーブに見えていた。



続く

117名無しさん :06/06/09 01:11 ID:???
. 考察    


もし  リョナ板で   バイオハザードを映画化したら・・・









118名無しさん :06/06/09 01:12 ID:???





沈黙の館(仮)









序盤   生物兵器搭載のミサイルがなんたらかんたら。 

中盤   黒幕は実はウエスカー。内部に潜入してウエスカーの配下をなぎ倒すジル・バレンタイン。
終盤   ゾンビだらけの洋館で最後の戦い。言うまでもなく素手。当然場所は無駄に高くて足場の悪い場所。今回は洋館の屋根の上。落ちたら庭のゾンビの餌になる。






119名無しさん :06/06/09 01:13 ID:???
「ウエスカー! もう逃げられないわよ!」

「ふん、ここで決着を着けてやる。」

ビュォォォォォ……
強い風が2人の髪を揺らした。
お互いが相手を睨みつけた。

「ハーーーッ!」
先に仕掛けたのはジルだった。

突き。 
蹴り。 
肘。 
突き。
突き。
蹴り。
リズミカルな攻撃がウエスカーを襲う。
しかし、それを難なく いなす ウエスカー。

「それだけか!?」
ウエスカーが攻撃の間隙を突いてジルの軸足を払った。

「あっ!? きゃぁぁ!!」
ジルが倒れて、屋根の斜面を転げ落ちそうになった。

「どうした!?かかってこい!!」
起き上がったジルをウエスカーが挑発する。

「言われなくても!!!」
再びジルがラッシュを掛ける。
しかし、その全てをウエスカーが魔法のように受け流す。

「くっ!」
攻撃を当てることを諦めたジルが一挙にウエスカーに身体をぶつけていった。

「ぬん!!」
ウエスカーの腰に手をやって押し倒そうとするジルと、それをさせまいと踏ん張るウエスカー。
「くううっ!」

「ぬううっ!!」
不安定な足場で揉み合う2人。

「せいっ!!」
ウエスカーが腰にしがみついているジルの顔面へ膝を跳ね上げた。

「うっ!」
顔を打たれたジルの上体が泳ぐ。

「どりゃ! はあ! せい! ほあ!」
そのチャンスを逃さずにウエスカーがジルにパンチを見舞う。

「せえぇいっ!!!」
更に両手でジルの身体を押さえ込むようにしながらのウエスカーの膝蹴り。

「ううっ・・・」
見事ボディーに突き刺さったウエスカーの膝頭。
ジルが腹を抱えて膝を着く。

「ハハッ、そんなものか?」

「まだよ!ハッ! フッ! シッ! ハッ!」
ジルが諦めずに攻撃を繰り出す。
しかし、先ほどの一撃で、キレも威力も目に見えて衰えている。
当然ウエスカーには全てガードされる。


120名無しさん :06/06/09 01:14 ID:???
 「今度はこっちの番だ!そら!そら!」
ジルが息切れした時を見計らって、ウエスカーが反撃にでた。

「うっ! あっ! きゃう! ううっ!」
ウエスカーのパンチはジルを正確に捉える。
ジリジリとジルが屋根の端の方へと追い詰められてゆく。

「はあ・・・はあ・・・・」
ジルがチラリと後ろを見た。
 「も、もう後が・・・」
最後の残された力を振り絞ってウエスカーへと攻撃を仕掛けるジル。
 
 「せいやっ!」

 「くうっ!」
しかし、ウエスカーのパンチが先にジルに命中した。
ジルの靴底が屋根から数センチはみ出した。
 「とどめだ!!!」

「ああああ!!」
ジルの体が後ろへ倒れる。
足が完全に屋根から離れて宙に。


がしっつ!!!


「はーっ・・・・はーっ・・・はーっ・・・」
しかし、ジルは本能で屋根の端に両手をかけることに成功した。
ジルの心臓が早鐘を打っていた。

「ほう、しぶとい奴だ。」
そのジルを見下ろすウエスカー。

「わ、わたしの負けよ・・・ゆ、許してウエスカー・・・」

ガシィ!

「ああっ! 止めて! ウエスカー!」
ジルの懇願を無視して、ジルの手を靴底で踏みつけるウエスカー。

グリグリグリ・・・・

「止めて! 許して!! ウエスカー!! 」
ウエスカーに踏みにじられる指の感覚が次第になくなってゆく。
身体を支えるジルの腕がブルブルと震えていた。

ヴァー 

オオウー 

ウァー 

エウー

 「ほらほら、下でゾンビどもがお前を呼んでるぜ。」
ウエスカーが足を軽く持ち上げた。

「い、嫌・・・・いや・・・許して・・・ウエスカー・・・」

 「ふんっつ!!!」
ウエスカーがジルの顔面を勢いよく踏みつけた。

 「ぎゃう! あ あ あ あ あああああああ!!!!!」

 「グッバイ。」







121名無しさん :06/06/09 01:15 ID:???





ドサッ!

「うっ・・・うう・・・ハッ!?」


「ヴァー!!」 

「オオウー!!」 

「ウァー!!」 

「エウー!!」


「や・・・きゃ・・・・んむ・・や・・あ あ ああああああっ!!!」






     
FATALITY


122名無しさん :06/06/09 01:15 ID:???






結論






あれ?モーコン?



123名無しさん :06/06/11 16:04 ID:???
D会マダー?

124名無しさん :06/06/15 16:07 ID:???
レスクールヒルズの丘で行われたローラントとドマの合戦は、後に「一夜にして死体が新しい丘を築いた」と言われるほどに熾烈を極めた。
しかし、その戦いも夜になり、ドマの精鋭が谷をよじ登ってローラント軍に奇襲を仕掛けたことでまたたく間に情勢は決した。
不意を突かれたローラント軍はあっけないほどに脆く、たちまち統制を失って壊走した。

やがて夜が明けると、ローラント軍の陣地のあった場所には死体の山がうず高く積み上げられていた。
生き残ったローラントの兵たちも、もはや組織的な抵抗などは望むべくもなく、散り散りになって逃げ延びるだけで精一杯であった。
ドマの王は夜が明けると同時に残党狩りの部隊を組織し、周辺を駆け回らせた。
それによって逃げ遅れた者たちも次々と討ち取られていったのであった。


そして今、そのレスクールヒルズに槍を杖の代わりにして、全身に甲冑をまとった重い身体を引きずるように歩いている1人の騎士の姿があった。
騎士の名はリース。
ローランドの王女にして、ローランドのアマゾネス騎士団の団長、そして今回の遠征の総指揮官でもあった少女である。
しかし、ローラント勢は壊走し、逃げるものたちの盾になろうと親衛隊を率いて殿軍として戦っていたリースの部隊も気がつけば1人、また1人と倒れ、気がつけばリースは単身戦場だった場所に取り残されていた。

戦いの中で自分の母国がどちらの方角にあるのかさえ見失ったリースは、夜が明けてようやく自分の帰るべき方角を見出し、疲れきった体に鞭打つようにして帰路に就いていたのだった。

あと2時間も歩けば何とかローラントの領地までたどり着ける。
リースがそう考えた時に馬の駆ける音が聞こえてきた。
それもすぐ近くだ。
明らかに自分を見つけて追って来ている。
しかし、足音は1頭分である。
追跡隊からはぐれた1騎がたまたま自分を見つけたのであろう。

リースは歩くのを止めて、その場で呼吸を整えた。
槍を握り直した手に力を込める。
例えローラント領にたどり着こうとも、そこから城まではかなりの距離がある。
勢いに乗ったドマ軍がローラントの領地へ侵略してくる前に城へ帰るにはどうしても馬が必要であった。
そのためにリースは自分を追って来ている敵と戦ってその馬を奪うことに決めたのであった。


125名無しさん :06/06/15 16:08 ID:???
足音はたちまちリースへと接近し、やがて丘を駆けて来る1騎の騎馬の姿が目に入った。
騎馬には1人の軽装なドマ独特の胸当てを着けただけの50代と思しき壮年の男が跨っていた。
男がリースの間近に迫ると、リースが逃げる気は無いということに気がつき、リースの10メートルほど手前で馬を降り、歩いてリースへと近づいてきた。

「敵に背を見せぬとは潔き心構え!拙者はドマ国サムライ大将のカイエン・ガラモンド!
その甲冑からするに相当の身分のお方と見受け申した。名を名乗られよ!」

カイエンの呼びかけに対してリースは無言で槍を構えた。
よりによって自分を追ってきたのは凡庸なドマ国王には「過ぎたる宝」とまで評される侍・カイエンであったとは。
その名を聞いた瞬間にリースは覚悟を決めた。

「下郎に名乗る名はないということでござるか・・・」
無言で対峙するリースにカイエンもまた腰の太刀を抜いて正眼に構えた。
そしてそのまま足を地面に擦るようにしながらリースへずいと詰め寄るカイエン。

その動きにリースの槍が瞬時に反応した。
鋭い穂先がカイエンの胴体目掛けて伸びる。
しかし、その攻撃をカイエンが下から跳ね上げた刃が弾き返す。
しかし、カイエンに間合いを詰めさせまいと矢継ぎ早にリースが次の突きを繰り出した。
これが先ほどまで足を引きずるように歩いていた人間の動きかと思われるほどの鋭い攻撃がカイエンを襲う。
しかし、その穂先の嵐をカイエンは一歩も下がることなく太刀で払い、弾いてゆく。
その威圧感に逆に攻撃を仕掛けているはずのリースの方が思わず後ずさりしそうになった。

「はあ・・・はあ・・・」
槍を操るリースの息が次第に上がってゆく。

「かっ!」
やや甘く出された突きをカイエンが思い切り跳ね上げると、そのままリースの懐へと飛び込んできた。

「!?」
咄嗟に下がって距離を取ろうとするリース。

「逃がさん!」
カイエンがそれよりも素早く接近し、鎧の上からリースに蹴りを喰らわせた。
鎧がへこむほどの勢いで蹴り上げられたリースが地面に転がって腹を押さえる。
リースが落とした槍を手の届かない場所へ蹴り飛ばすと、カイエンがリースの身体に跨って馬乗りになる。

「くっ!!」
鎧に体を取られているリースがカイエンの下で必死に暴れる。

「せいっ!」
カイエンの賞底が顔全体を覆った兜の上からリースを叩いた。
その衝撃でリースの意識が朦朧となる。
おとなしくなったと見たカイエンは小太刀を引き抜くと、リースの兜を剥ぎ取った。

「む!?おぬしは女であったか!?」
カイエンが驚きの声を上げた。
ローランド軍の中核は女が担うということは聞いていたが、まさかこんな少女が戦場に出ていようとは思ってもいなかったのだ。

「名は・・・なんと言う?」
カイエンは自分の中に張り詰めていたものが急速に萎えてゆくのを感じた。

「そんなことはどうでもいいことでしょう・・・?早く私の首を取りなさい。きっと手柄になるはずよ・・・」
リースが全てを諦めた口調でそう呟いた。

「う、うむ・・・」
カイエンは己の裡の萎えそうになる感情を必死に奮い立たせようと務めた。
そのカイエンの目に少女の身に付けていたペンダントが飛び込んできた。

「その飾りはもしやローランド王家の!? おぬしはまさかローランドの王女なのか!?」
鎧の装飾品から相当に高い身分の者であろうとは思っていたが、まさか王女が1人でこんなところに取り残されているとはカイエンにとっては思いもよらぬことであったのだ。
そして、戦いに敗れ、ついには正体まで見破られたリースは堰を切ったように涙を流し始めた。

「うっ・・・う・・ヒック・・・そ、そうよっ・・・わ、わたしがローランドのお、王女リースよ・・・・こ、これ以上わたしを辱めないで・・・は、早くわたしの首を・・・ひと思いに・・・」
そこから後はただ泣きじゃくるだけのリース。
たとえ悪鬼、物の怪であろうと刃を交える覚悟のあるカイエンが、自分の下で震える少女を手に掛けることにこれ以上ない躊躇いを覚えていた。

「だ、だが・・・・!」

「んっ・・・ヒック・・・ぐすっ・・・」

「拙者は!拙者は!王に仕える侍!侍にとって主の命令は絶対!!許せ!!!」
リースにではなく、自分に言い聞かせるようにカイエンが言葉を発し、小太刀を強く握り締める。


126最後のページ :06/06/15 16:09 ID:???







「おお、カイエン!戻ったか。む!?それは!?」

「申し訳ありませぬ。隊からはぐれたところを雑兵に切りかかられ、手傷を負った上に馬まで奪われ申しました。面目次第もございませぬ。」

「なんと!?おぬしほどの者がか!?」

「処罰はいかようにも・・・」

「いや、そんなことは申しておらぬ。それより傷は深いのか。すぐに医者を呼ぼうぞ!」

「はっ・・・」





「カイエン・・・」
サムライの名を呟きながら馬を駆る少女の姿が次第に遠くなっていった。


127名無しさん :06/06/15 16:49 ID:???
良い話だ。

ではリョナポイントを教えてくれ。

128名無しさん :06/06/15 18:47 ID:???
緊張が切れて泣き出すリース可愛い。
っていうかローランド軍って強いイメージが無いw

129名無しさん :06/06/18 03:15 ID:???
その戦は完全に失敗だった。
南蛮の平定に乗り出した呉だったが、
特殊な気候に加えて、間欠泉、毒沼、毒蛇、害虫等、
彼等はあまりにも南蛮を知らなさすぎた。
やがて呉は全面的な撤退を決定したが、撤退には殿が必要になる。
その役目を引き受けたのが、今、寡兵をもって奮闘している大喬の軍である。

 「や!…ええーい!」
 「ぐあ!」
 「ぎゃっ!」
炎天下の中、赤を基調とした服を纏った少女、大喬が両手に持った巨大な鉄扇を操り南蛮兵を退けている。
機動力を生かし、敵兵を翻弄しながら数百人の敵を倒していた。
さらに巧みに軍を指揮し、谷となっている狭い地形を利用することで一万数千の兵でもって南蛮軍十万以上を防いでいた。
そして、
 「一時退け!」
南蛮の将の号令により、今だ数的優位があるにもかかわらず、南蛮兵が引き、
その様子を見て、呉の兵が大喬に告げた。
 「大喬様!味方の撤退は完了しつつあります!我々もそろそろ…」
 「…そうですね…」
周囲を見渡すと、兵は三分の一以下にまで減っていた。
南蛮兵が引いたのを確認し、大喬は斥候の役目を担う数人の兵を残して撤退させた。

130名無しさん :06/06/18 03:16 ID:???
自身も馬に乗って引き上げようとしたとき、
 「え…?きゃっ!?」」
―ドサッ―
大喬が疑問の声を上げた瞬間馬が倒れ、そこから振り落とされた。
あわてて鉄扇を手にして構えた大喬の前には、さっきまで乗っていた馬が血を流して横たわり、
 「な…何が…」
 「だ…大喬様…ぎゃっ!」
 「!」
大喬が周囲を見回したとき、残っていた数名の兵は既に屍と化していた。
そしてその屍の上には、
 「グルゥゥゥゥ…」
―虎―
 「!!」
十頭の虎が大喬を睨みつけていた。
何故虎が…など考えている暇などなかった。
この状況をどう凌ぐか…虎は前方にしかいないことを考え、撤退という選択肢がうかんだ瞬間、
谷の壁を利用し、半数の虎が大喬の後ろ後に回りこんだ。
もう眼前の虎を倒すしかない。
意を決し、鉄扇を握り締めて虎に向って行った。
 「たっ!!」
―ドガッ!―
鉄扇が虎を直撃したが一瞬ひるんだ様子を見せただけであり、虎の爪が大喬に襲い掛かる。
その攻撃を大喬は鉄扇で防ぎ、合間に攻撃を仕掛けるものの虎を退かせることはできない。
 「くっ…どうすれば…」
大喬の注意が前方の虎に集中しかけたとき、
―ザグッ―
 「痛っ!」
後方に控えていた虎の爪が大喬の足を切りつけた。
 「うぅ…っ!」
その虎に鉄扇を振るが、難なく避けられ、
―ザグッ!ザッ!―
 「がっ!ああぁあっ!!」
今度は前方の虎に背中を切りつけられる。
前を向けば後、後を向けば前と、虎の爪が少しづつ大喬の白い肌に傷をつけていく。
少しづつ…じわじわと大喬を追い詰めていく。
 「この虎…野生じゃない…!」
そう感じたとき、既に大喬は壁に追い詰められて180度を虎に囲まれていた。
さらに、
 「!!」
大喬が影に覆われたと思うと、頭上にさらなる数の虎が現れ、
―ズシュッ―
肩が切り裂かれた。
同時に、
―ドゴッ―
 「あが…っ」
虎の突進が大喬の腹部に突き刺り、動きが止まった。
そして数を増やした虎の猛攻が始まる。
―ザッ…ドシュッ…ザクッ…ブシュ…― 
 「あっ…痛っ!ああ!!…いやあぁああ!!!」
足、腕、腹、背中、胸、…大喬の体が虎に蹂躙される。
大喬もまったく反撃をしなかったわけではないが、
今まで幾人もの人を倒してきた攻撃がこの獣にはつうじない。
しかも壁を利用した頭上からの強襲に、大喬は翻弄されている。
そして、
―ブシュゥゥゥッ―
 「うああぁぁぁぁああっっ!!!」
片足の腱が切られた。
血が地面に飛び散り、大喬の動きが完全に止まった。
 「(殺られる…!?)」
が、来ない。

131名無しさん :06/06/18 03:17 ID:???
虎は片膝をついた大喬と一定の距離をとり身構えている。
 「…もう終わりだな」
 「!?」
いぶかしがる大喬の前に一人の南蛮兵が姿を現した。
その男の周りに虎が寄り添っていく。
さっきまで大喬の方を向いていた虎とはまるで別の生き物のようである。
 「あなたが…虎を操っているのですね…!」
 「ああ、そうだ」
さらに男は続ける
 「猛獲の軍がてこずっているから、どんな奴がいるかと思えば…こんな小娘とはな」
 「(猛獲…南蛮は一枚岩じゃない…)」
大喬の鉄扇を握る手に力が入る。
 「おっとぉ動くなよ!その足のあんたより俺の可愛い虎の方が速…」
―ドゴッ―
言葉をさえぎるように、南蛮兵の胸に大喬の投げた鉄線が突き刺さった。
 「…油断…ですよ」
虎を操っていた男は倒した、あとはその虎達はどう動くか…
今襲われたら確実に助からないが、虎は指揮者を失ったことであっさりとその場から逃げた。
安堵する大喬。
 「南蛮軍は一枚岩じゃない…それに虎を操る軍、
  みんなに伝えないと…」
 「まだ生きてる馬は…」
そう呟き、傷ついた足を引きずって帰ろうとした瞬間、
―ズン…―
地面が揺れるのを感じた。
気のせい…
―ズン…ズン…―
ではない。確実になにかが近づいている。
 「早く…早く逃げないと!」
言いようのない焦燥感にかられた大喬であったが、
―ズンッ―
それは姿を現した。
 「あ…あ…」

132名無しさん :06/06/18 03:17 ID:???
―象―
それ自体は虎のように狂暴な生物ではない。
しかし、そんなことを知らない大喬に、絶望を与えるには十分すぎる巨体である。
今までの自分の知識の中の生物をはるかに超えた巨体に大喬は、ただ、怯えるだけである。
そんな彼女を象の背中に乗った南蛮兵が見下ろしていた。
人、を見た大喬は、わずかに戦意を取り戻した。
 「(なんとか…なんとかしないと…!)」
まだ希望はある。先程の虎の時と同じように指揮者を倒せばあるいは…
そう思い、手に残った鉄扇を握り締めた。
しかし
―ブンッッッ―
 「!!?」
―バキィ―
象がその長い鼻を無造作に振り、大喬は鉄扇で防御したものの、
―ドガッ―
 「かっ…はっ…ぁ…」
防御は役に立たずに鉄扇は弾き飛ばされ、大喬も壁に背中から叩きつけられた。
 「ぁ…ぁ…っ」
その衝撃は相当なもので、呼吸すら苦しくなっている。
それでもなんとか鉄扇を拾おうと足を引きずるが、
―ズンッ!グシャッ!―
 「!!」
唯一の武器である鉄扇、今まで幾多の敵を倒してきた鉄扇が、
目の前で無残に、あっけなく破壊された。
もう大喬に闘う手段は残されていない。
逃げようにもその足は切り裂かれている。
絶望に沈み、諦めたかのようにその場にへたりこんだ。
眼にはうっすらと涙もうかんでいる。
そんな大喬に対して南蛮兵のとった行動は、
―スル…―
 「な…いや!」
象の長い鼻が大喬の体に巻きつき、そのまま宙へ持ち上げた。
 「へへ」
 「放して!放してください!」
その拘束を解こうと腕に力をこめるがどうにかなるはずもない。
南蛮兵は愉悦に満ちた表情で、無駄なあがきをする大喬を眺めている。
そして、
 「ぃ…いや…」
―ミシッ…ミシッ…―
 「ぐううううぅ…ううぅっ!」
大喬の体に圧力がかかり始めた。
肉が締め付けられ、骨が軋む。
歯を食いしばり、必死でこらえるが圧力はさらに高まっていき、
―グチャ―
限界を超えた。
大喬は自分の体の中から何かが壊れる音を聞いた。
 「いぎぃっ…あ!あああぁぁぁぁぁぁぁあああっ!!!」」
峡谷に、少女の悲痛な叫び声が響き渡る。
 「あ…あ…!ぅ…ゲボォオ!!」
大喬の口から血が吐き出された。
 「お…がぁぁあああ…(…ごめんなさ…い…私…がんばった…のです…が…)」
―ドサッ―
大喬の体が自身の吐いた血の上に横たわる。
 「(小喬…)」
消え逝く意識の中、妹のことを思っていた。

そして大喬は呉が軍備を整えて南蛮に再進攻するその時まで、
傷ついたまま南蛮に身柄を拘束されることになる。

133名無しさん :06/06/18 03:22 ID:???
http://w5.oekakibbs.com/bbs/ryona2/oekakibbs.cgi?mode=res_msg&resno=351&author=0&thumb=0&picwid=850&pichei=600&thisfile=351.jpg

当分描く気なかったんですが前回やったミスを早く修正したいと思って一晩でかきました。

134名無しさん :06/06/18 15:50 ID:???
よく頑張った。
感動した。

135名無しさん :06/06/18 16:37 ID:???
続くのか、オイ?
この話続いちゃうのかい!?

136133 :06/06/19 03:36 ID:???
またやった…
その気が無いのに続きがありそうな終わり方させてる…
というわけで続きません。

137名無しさん :06/06/19 04:46 ID:???
心が折れた身にさらに苦痛が襲いかかる展開GJです!

138名無しさん :06/06/28 01:51 ID:???
リングの上ではウイップとアテナがにらみ合っていた。
マイクを通したアナウンサーの声も、絶叫に近いヒートアップしきった観客の声も、2人の耳には入らなかった。
2人はただ、ゴングが鳴る音だけを耳をすませて待っていた。
そして、レフリーがリングからおりると、ついにゴングが鳴らされた。

待ち構えていたようにウイップは鞭を飛ばした。
それを後ろに飛んでかわしたアテナが、次の攻撃を繰り出そうとしていたウイップに、エネルギー弾を放つ。
それを、ウイップは両腕でガードした。
壁のようにして前面をガードしている両腕に、エネルギー弾がぶつかって、衝撃がウイップの両腕を叩いた。
ガードをといた時に、アテナがテレポートで視界から消えていくのが見えた。
慌てて背後に注意を警戒しようとしたウイップの体が宙に浮いた。
そのまま見えない力で激しくマットに叩きつけられた。
しかし、体がマットにぶつかる瞬間にウイップの両腕が動いて、受身を取っていた。
起き上がると同時に、素早く横に飛んで、飛来するエネルギー弾を回避した。
自分の真横を、エネルギー弾が飛んでいくのを肌で感じながら、スナップを効かせて、鞭を振るった。
更なるエネルギー弾を放とうとしていたアテナの首に、鞭の先端がからみついた。

ウイップはそのまま思い切り鞭を引っ張って、アテナの身体をたぐり寄せようとした。
しかし、喉を絞められ、引きずられる前に、アテナは自分からウイップへ向かって突っ込んできた。
アテナが目前に迫った時に、ウイップの、鞭を持っているのとは逆の手が滑らかに動いた。
ブーツに隠されていたナイフが、アテナの顔のあった位置を通過していた。
突進の勢いを殺して、思い切り後ろに仰け反ったために体勢を崩したアテナの足を、ウイップが絶妙のタイミングで刈り取った。
さらに、飛び起きようするアテナの腹に、ウイップが踵をめり込ませた。
それでも起き上がろうとしたので、ウイップはつま先でアテナの横腹を蹴り飛ばした。
5、6発蹴った後に、全力でつま先をアテナの鳩尾にめり込ませると、アテナは腹を抱えて動かなくなった。

観客の野次やブーイングが飛び交う中で、ウイップがうずくまったアテナの後頭部を踏みつけ、アテナの首に巻きついたままの鞭を両手で思い切り引いた。
皮の鞭がしなって、アテナの呼吸を阻害し、頚動脈を締め上げる。
喉の鞭をかきむしって悶えるアテナの頭を、ウイップのブーツが押さえつける。
危険と判断したレフリーが止めに入った時には、既にアテナは「落ち」ていた。
身体をビクリ、ビクリと動かすが、意識はない。

ゴングが激しく打ち鳴らされ、観客の声が会場を埋め尽くす。
ウイップは勝ち名乗りを受けながら、タンカで運ばれるアテナの姿を見送った。

139名無しさん :06/06/28 01:58 ID:???
ぐらしあす!

140名無しさん :06/07/02 16:52 ID:???
ageだぜ

141名無しさん :06/07/15 04:17 ID:???
ttp://mizumizu.cscblog.jp/content/0000072675.html
ttp://mizumizu.cscblog.jp/content/0000073098.html

雑談スレにも書いたけど、二次創作のブログを立ち上げた
暇だったら読んでみて

142名無しさん :06/07/15 22:32 ID:???
すばらしすぎて汗が出た。
虫系作家は貴重

143名無しさん :06/07/16 01:57 ID:???
これ、リョナと違うなぁとも思うんですが。
クリムゾンティアーズです。
流血等は無しです。エロといえばエロなのでご注意を。
〜〜〜〜〜
東京第24区を襲った変事。
軍事企業A.R.M.A社の研究施設での事故により出現した歪んだ空間。
それらは相互に複雑につながりあい、危険な次元迷宮を形成していた。
破壊された研究施設からは暴走した生体兵器が溢れ出し、
次元迷宮と化したA.R.M.A社の施設を徘徊していた。

最新型の生体兵器である『戦闘型ミューティノイド』であるアスカとカエデは、
暴走兵器に破壊された研究施設から脱出し、難民キャンプに身を寄せていた。
彼女たちは、放置された地下ガレージに様々な電子機材を運び込み、
テレポーターやリペアバス、記録・解析用の端末などを設置して、
ただのガレージを即席の研究施設に仕立て上げていた。

間もなく、A.R.M.A社の本社ビルにいるシズカから連絡を受けた2人は、
互いの無事を喜ぶ間もなく、過酷な任務を命じられた。
東京第24区の解放と、暴走した生体兵器の根絶。
次元迷宮と化したいくつかのA.R.M.A社施設を調査し、
生体兵器の基地を一つずつ潰していくという作戦だった。
アスカとカエデの表情が厳しいものに変わる。
不安定な次元迷宮に潜入する事ができるのは一度に一人、
高い生存能力を持つ戦闘型ミューティノイドとはいえ、危険過ぎる任務だった。
次元迷宮を徘徊する生体兵器のデータも、
研究所が壊滅してしまったため、失われていた。
「─―私が行く。私に任せて」
未知の危険に最初に立ち向かったのはアスカだった。

最初の調査地である、水質調整施設に潜入したアスカは、
得意の逆手二刀流で次々と生体兵器を倒していった。
愛用のクナイ・ダガーが流れるようにソルジャーの群れを切り裂いていく。
(生まれてこなければ、こんな死に方をせずに済んだのに…)
敵のあまりの脆さは、涙腺すらないミューティノイドに慢心を芽生えさせた。
徐々にアスカの動きが大きくなっていく。
彼女は感情的になることもあるが、決して傲慢ではない。
だが、そんな彼女を慢心させるほど最初の敵は脆かった。
(遅い…これじゃ、まるで虐殺してるみたいだわ…)
傷らしい傷も負わず、第一層の全ての敵を片づけたアスカは、
ベルトに装着したリターナーを起動させ、一旦ガレージに戻ることにした。

「ええー、ズルいよ、私も行きたい!」
帰還したアスカが続けて潜入すると言いだしたのを聞き、
カエデが抗議の声をあげた。
(アスカ、油断は禁物よ。疲労は集中力を奪ってしまうわ)
シズカも制止したが、アスカの耳には入っていなかった。
「ごめん、カエデ。もう一度だけ、私に行かせて」
アスカは一人でも施設全体を制圧できる、そう考えていた。
あの程度の敵なら大丈夫、早くこの街を開放したかった。
「ぶぅー」
ふくれるカエデを尻目に、テレポーターで施設へと飛んだアスカ。
彼女らしくない、浮ついた気持ちを抱えたまま。

144名無しさん :06/07/16 01:58 ID:???
後に残され、ふくれっ面でガレージを歩き回るカエデ。
だが、彼女はアスカのとんでもないミスに気がついた。
「あっ、アスカ、リターナーの補充、忘れてるっ!?」
リターナー無しでは次元迷宮から帰還することができない。
呆然とするカエデの頭脳にシズカの声が響く。
(…施設を制圧すれば、あちらの端末から通路を開く事ができるはずよ)
そう言ったシズカも、不安を隠す事は出来なかった。
カエデは近くのドラム缶の上に座り込み、天井を見上げながら嘆息した。
「大丈夫かなぁ、アスカ…」

前回よりもペースを上げ、施設の最深部へと向かうアスカ。
彼女は、心なしか敵の動きが鋭くなっているように感じた。
「手強くなった…でも、まだまだ!」
実際、彼女にはまだ十分な余裕があった
逆手二刀流の必殺剣舞“飛燕”で相手を斬り捨て、
絶対フィールドを展開して群がる雑魚を吹き飛ばす。
そんな激しい戦闘の中、一瞬だけアスカの動きが止まった。
戦闘マシンであるはずのミューティノイドに植え付けられた人の子らしさ。
人としてはまだまだ未熟なアスカは、気付かぬうちに慢心に溺れていた。

油断から生まれた隙を、敵は見逃してはくれなかった。
背後から忍び寄ったアサシンがアスカの首に腕を絡ませたのだ。
「うっ…!?」
アサシンの腕からは微量の電流が送り込まれ、
アスカの首を走る重要器官を徐々に弱らせていった。
「う、うぅ……ち、力が……?」
じわじわと締め上げられ徐々に身体機能が低下していく。
それだけではなかった。周囲の生体兵器たちも逆襲を始めたのだ。
アスカの華奢なボディを、ソルジャーの拳がえぐる。
「ぐふぅぅっ!?」
体内の空気が逆流し、無様な悲鳴をあげるアスカ。
容赦のない拳が、続けて脇腹にも沈み込む。
「おふぅぅっ!」スリーパーから解放されたアスカが、膝から崩れ落ちる。
(…悔しいけど、一度退くしか…!?)
ようやく、アスカは気がついた。
ベルトに装着しているはずのリターナーがない。
(しまった…補充を…!)
今更ながら、自らの慢心を悔いて恥じるアスカ。
だが、すでに彼女は絶体絶命の窮地に陥っていた。

傷つき倒れ伏したアスカに、なおもアサシンの手足が絡みつく。
「あっ…う、くっ…!」
左腕と左足を同時に極められ、身体の自由を奪われていく。
周囲の生体兵器たちに股間を晒すような格好にされてしまい、
戦闘マシンであるアスカの表情も羞恥に染まった。
「は、放してっ…!」
弱々しくも、必死にもがいて抵抗を試みる。
だが生体兵器たちは、この手強い獲物が弱っている事を察知していた。
目の前のソルジャーが腰から警棒を抜き放った。
表面に電流が走る、放電属性の警棒だ。
「こ、このままじゃ…!」
焦るアスカだったが、拘束を解く事はできない。
「…あぁっ!? はぅああぁぁっっ!?」
電流警棒がアスカの股間にある循環液の補給口に挿し込まれ、
循環液とともに体内を電流が駆け巡った。
電流により筋肉組織が加熱され、体温が異常上昇してゆく。
必殺技や絶対フィールドを使い続けて、身体はすでに高熱状態にあった。
「いやぁぁぁぁぁっっ!?」
アスカはオーバーヒートしてしまい、彼女のあらゆる神経器官が過敏化していった。

145名無しさん :06/07/16 01:59 ID:???
電流警棒が補給口をかき回す感覚にさえ過敏に反応し、
アスカの身体がビクンッビクンッと跳ね返る。
「あぁぁっ! あふぁっ! あぁぁはあぁぁっ!!?」
それを押さえ込もうと、ソルジャーがアスカの右足を脇に抱え込んだ。
すでに左の手と足はアサシンに極められており、
唯一自由なのは右手だけだった。
蹂躙されながらも、必死に握り締めていたクナイ・ダガーで反撃を試みるアスカ。
だが、弱々しい攻撃はソルジャーの装甲に虚しくはじかれてしまう。
「あっ、ぐうっ! うぅ、うふぁあぁっ!」
電流を放ちながら補給口をかき回す警棒に、
アスカは悲鳴を抑える事が出来ない。
頭を左右に振って、何とか意識を保とうとしていた。
「あぁっ、あぁぁっ…!」
(て、抵抗できないぃ…!)

悲鳴をあげていたアスカの口が、突然塞がれてしまう。
生体組織が腐り落ちたグロテスクな顔。
ゾンビ兵士のアライブはアスカの口内を貪り、
彼女の唾液、つまり新鮮な循環液を摂取しようとしていた。
「ンムッ…ンッ、ンンッ…!」
アスカの新鮮な循環液は奪われて、
代わりに毒性を帯びた腐敗液が流し込まれてくる。
直に電流を流された上に腐敗液を流し込まれ、
アスカの循環機能は完全に狂ってしまった。
辛うじて生き残っていた自己修復機能も完全に停止し、
末端の神経機能が次々とダウンしていった。
(あ…あぁ……)
意識は朦朧となり、抵抗を続けていた右手もパタリと落ちる。
握力をなくした手からクナイ・ダガーが落ちる音が虚しく響いた。

もはや為す術もなく、嬲り尽くされるアスカ。
アライブは彼女の口内をたっぷりと味わうと、
レオタードのような戦闘服を引き裂き、
その豊乳をすすって循環液を摂取し始めた。
「あっ……はぅっ……! ぅぅっ……はぅぅっ……!」
(て……抵抗……抵抗しなくては……)
身体をよじって、形ばかりの抵抗を試みるアスカ。
下半身を犯すソルジャーは、いまだ抵抗を続ける獲物にとどめを刺そうと、
もう一本、電流警棒を取り出してアスカの下半身に狙いを定めた。
(そんなっ……だ、ダメ……)
ズブリ、とアスカの尻の穴に挿し込まれる警棒。
「あぅぁ……ぅぅ……っ……」
排泄器官がかき回され、電流が流れ込んでくる。
「……っ、……っっ!」
ビクンビクン、と無言のまま跳ね返るアスカの姿が無惨だった。
二箇所から流れ込む電流が全身を駆け巡り、あらゆる機能を狂わせていく。
すでに、彼女の人工頭脳は『機能停止』の警告を繰り返し発していた。
(も、もう…立てない…シズカ─―)
非常用機能で、救援信号を送るアスカ。

(…アスカ!? しっかりして、アスカ!!)

(……ぁ……ぅぅ……)

不明瞭な通信、そして明らかに異常なアスカの呻き声。

(返事をして、アスカ! カエデ、アスカが…!)

146名無しさん :06/07/20 18:39 ID:???
143-145
GJ続ききたいしてるずぇ

147名無しさん :06/07/22 18:54 ID:X59FmzBk
B・ジェニーのヤラレエロ小説よろです

148qq :06/07/30 04:16 ID:???
S級犯罪者ハドマを追い、廃工場を進むイリア。
イリアは来るべき戦いに備え、バトルスーツを身にまとっていた。
白いプロテクターは、頑丈だが非常に軽い。その下に身につけている青いレオタード状のものも伸縮性があり、丈夫にできている。さらに足の部分は白いレオタード状のものを重ねて強度を増してあった。
そんなイリアの前に、ついに観念したか、ハドマがあらわれた。

「くくくっ、ここまで追ってきたか、イリアよ。お前が来ることはわかっていた。」
追い詰められているはずなのに、ハドマの声には余裕がある。
「S級犯罪者ハドマ、見つけたわよ。あなたは死刑が100回執行されても償えないほどの罪を犯しているのよ。あきらめなさい。」
当局から莫大な懸賞金をかけられた相手に、イリアは言い放った。
「そうかそうか。だが、どうする。まさか、お前ごときが私を捕まえるとでも言うのか。」
ハドマはあくまで強気だ。
「残念だけど、そのまさかよ。ハドマ、おとなしく観念すれば、命は助けるわ」
ハドマはS級犯罪者であるが、その戦闘能力は大した事がない。イリアひとりであっさりと倒すことができよう。
「ハハハ・・・。愚かな小娘よ。追い詰めたつもりでいるようだが、そうではないぞ。観念するのは貴様のほうだな。」
不敵な笑いを浮かべるハドマ。
「そう、それじゃ試してみる?」
イリアはファイティングポーズをとった。武器も持ってきてはいるが、探索も兼ねていたので、ショットガン程度の軽いものしかない。それなら肉弾戦のほうがいいと考えた。

「イ、 イリア・・・。」
相棒である、ボブからの通信だ。
「どうしたの、ボブ?」
イリアは、腕のプロテクターに組み込まれた通信機を口元へ持っていった。
「ハドマのほかに、この近くで生体反応がある」
ボブの機械的な声がする。
「あら、そうなの」
新たな敵の出現にも相変わらず余裕だった。古い廃工場ゆえ、下等なクリーチャーでも住み着いているのではないかと考えたからだ。
しかし、次のボブの通信で、イリアの表情が驚愕に変わった。
「戦闘能力、トリプルS級・・・。」
震えることのないボブの声が、震えていた。
「なんですって?」
イリアの表情が一変した。ハドマを前にしながらも、ファイティングポースを崩して、ボブとの通信に神経を集中させた。


149qq :06/07/30 04:17 ID:???
トリプルS級の戦闘能力を持つものなど、聞いたことがない。かつて倒した宿敵ゼイラムでさえ、戦闘能力はS級であった。
「フハハハ。そうだとも、トリプルS級の戦闘能力を持つクリーチャーを私は開発したのだよ、しかもこの工場でな。」
勝ち誇ったようすで、ハドマが言い放つ。
「くっ・・・。」
イリアは唇をかんだ。追い詰めているようで、実はハドマにはめられていたのかもしれない。トリプルS級の戦闘力を持つクリーチャーなど、倒したことどころか、戦ったことすらもない。額を汗が流れた。
「これは実験なんだよ、イリア君。かつてゼイラムを倒したことのある君なら、モルモットに最適だと思ってね。」
その時、地響きがした。
ハドマの後ろにあった、大きなカプセルのようなものが、倒れた。
「ハハハ・・・。君はこれから素晴らしい体験をするよ、イリア君。私が作り上げた最強のクリーチャーを見て、そして、倒されるのだからね。」
倒れたカプセルから煙がモウモウと立ち昇っていた。そして、その煙の中から、巨大なクリーチャーが現れた。その姿に、イリアは絶句した。
「ゼ、ゼイラム!」
かつて倒したはずの宿敵が、そこにたたずんでいた。
「驚くのも無理はないね。君に倒されたS級の戦闘能力を持つ、ゼイラム。私が甦らせたのだよ、トリプルSの戦闘力を身につけさせてね。」
ハドマが誇らしげに、笑みを浮かべた。
イリアはゼイラムを凝視し、ハドマをもう見ていなかった。
「グシューーーー。」
ゼイラムが不気味な音をたてながら、息を吐いた。
その音によって、イリアは我に返った。
「何度甦っても同じよ。ゼイラムは私が倒すわ!」
イリアは再びファイティングポーズをとった。ゼイラムをにらみつけるイリア。
ハドマだけならともかく、戦闘能力トリプルS級のゼイラムを相手にするなど、全くもって想像もつかないことだった。
「イリア、ここは逃げるんだ。戦闘力トリプルS級の相手では、いくらなんでも無茶だ。たいした武器をない・・・。」
しかし、ボブの忠告はイリアに届いてはいなかった。
「いくわよ、ゼイラム!」
ボブの通信の途中だったが、イリアはゼイラムをめがけて駆け出した。

かつてのゼイラムを倒したことでさえ、奇跡に近かった。運が向かなければ、イリアはゼイラムに倒されていたに違いない。今回もできるのか・・・。しかも、トリプルS級の、パワーアップしたゼイラムに。
イリアは自問しながらも、ゼイラムとの距離を詰めていった。
愛しい兄を奪ったゼイラムは自分が倒す。
その想いがイリアを支えていた。
不気味な笑みを浮かべたゼイラムが、そこにいた。
「たあーーーっ。」
左足を軸にして、右足を振り上げた。強烈な蹴りだった。
ゼイラムの脇腹あたりに刺さるように命中した。
たいした武器を持ってきていない今は、この格闘術が一番の武器だった。
よろけるゼイラム。
「どうしたの。前と変わっていないじゃない。」
余裕の笑み、とまではいかないが、少し落ち着いた表情でイリアが言った。
前に戦った時の感覚を思い出していた。
反撃がくる。
この程度でどうにかなるゼイラムではない。動きを読んで、コンクリートの上を転がるイリア。
寸前までイリアがいた場所に、ゼイラムの太い腕が突き刺さっていた。コンクリートに小さな穴があいた。
何も変わっていない。
イリアは小さいながらも勝機を見出していた。
そして、その勝機はイリアの中で次第に大きくなっていた。
その戦いを見て、ハドマが笑っていた。いや、正しく言えば、笑いをかみ殺しているのだ。
「はあっ!」
イリアの蹴りが再びゼイラムを直撃した。
だが、すぐに体勢を立て直し、イリアに襲い掛かる。
「この程度なら、いける。」
イリアの勝機は確信に変わっていた。
攻撃は強烈だが、スピードで勝っている。
そして、次の攻撃をかわした瞬間、イリアはゼイラムの懐に飛び込んだ。
「これでどう」
イリアは手持ちの武器の中で最も威力のあるボムをゼイラムの笠に引っ掛けた。そして、腹の中心を思いっきり蹴りつけた。
後方へ吹き飛ぶゼイラム。
そして、次の瞬間爆発がおこり、倒れたゼイラムを中心に炎が舞い上がった。
これなら、あのゼイラムにも少しは効いたはず・・・だった。


150qq :06/07/30 04:18 ID:???
まだ炎は燃えていた。
倒せたかどうかの確信はないので、イリアは炎の中心あたりを注意深く見ていた。
肩で息をするイリア。
「あなたのゼイラムもたいしたことないのね。」
そう言い放つイリア。
だが、ハドマは反応しなかった。相変わらず不敵な笑いを浮かべている。
「ゼイラムを倒したら、次はあなたよ。」
ハドマをちらりと見やったイリアだったが、炎からは注意をそらさない。
アイツはあの程度では死なない、きっとまた起き上がってくるだろう・・・。
イリアは再び自分の中に闘志を湧かせていた。
その時、ハドマが口を開いた。
「バカな小娘よ。トリプルS級の力を持つゼイラムの恐ろしさを知るのはこれからだよ。」
あたりにはハドマの笑い声と炎の燃える音しかしない。
イリアもゼイラムがまだ生きていることは分かっていた。だが、この調子なら確実に倒せると踏んでいた。ハドマがいたとしてもそれは変わらない。
炎は燃えつづけていた。
「どうしたの、もう終わり?」
挑発するような感じで、言葉を投げるイリア。少し様子がおかしかった。ゼイラムもそろそろ起き上がり、再び襲ってくるはずだった。
だが、炎の中に反応がない。
確かめるため、炎に近寄ろうとしたその時だった。
「イリア、危ない!後ろだ!」
ボブからの通信が急に入った。
「えっ?」
と反応し後ろを振り向こうとした瞬間、イリアの背中に強烈な衝撃が走った。
「ああっ・・・。」
ゼイラムがなんと後ろにいたのだ。太い腕がイリアの背中を捉えていた。
吹き飛ばされ、数メートル先の地面に叩きつけられるイリア。少しでも衝撃を逃がすため、コンクリートの地面をさらに7、8メートルほど転がった。
「ううっ、そんなはずは・・・。」
うめくような声でイリアが言った。強烈な衝撃だったが、スーツのおかげでかなり緩和されていた。ダメージはさほどではない。第二撃に備え、すぐに立ち上がるイリア。
だが、ゼイラムはこの機にさらに襲い掛かることはしなかった。
イリアは荒い息をしながらも、再びファイティングポーズをとった。
「大丈夫かイリア。」
「ええ、なんとかね。でも、いつのまに・・・。」
ハドマに聞かれることを気にせずに、ボブと通信するイリア。
「ファハハ・・・。これが、これが、新しいゼイラムの力なのだよ。」
勝ち誇ったような笑みを浮かべるハドマ。だが、新しい力が何なのか、このときのイリアには理解ができなかった。
「何の力か分からないけど、同じ手は二度通用しないわよ。」
イリアは再びゼイラム目指して駆けた。ハドマの発言や新しいゼイラムには謎が多いが、イリアの中の勝機はまだ崩れていない。
「愚かな・・・」
ゼイラムに向かうイリアを見て、ハドマは哀れむような声でつぶやいた。だが、そのつぶやきは自分自身の笑い声でかき消されることになる。


151qq :06/07/30 04:20 ID:???
イリアは言いようのない不安にかられていた。一体いつ後ろに回りこまれたのか。しかも、気配は全くなかった。
分からないことだらけだが、攻めていくしかない。
いままで、これでも勝ってきた。
「今度こそ!」
再び間合いを詰めるイリア。一度攻撃を受けたが、持ち前のスピードは落ちていない。そして、強烈な蹴りをゼイラムめがけて放った。
しかし・・・。
イリアの蹴りは空を切っていた。
ゼイラムが攻撃をかわしたのでも受け流したのでもない。そこに、いなかったのだ・・・。
驚きの表情を浮かべるイリア。
その瞬間。
イリアは何が起こったのか分からなかった。
ゼイラムが目の前にいた。
そして、丸太のようなゼイラムの足が、青いレオタード状のスーツだけでプロテクターの無いイリアの腹に食い込むように突き刺さっていた。
衝撃をおさえることができず、10メートル後方の壁に叩きつけられた。
「がはっっ・・・」
腹を両手で抱え込み、くずれおちるイリア。
胃の中、腹の中のものが全て出てくるような勢いで咳き込んでいた。あまりのダメージに立ち上がることができないでいた。
言いようのないイリアの不安が、形になった。
「ま、まさか・・・」
絞り出すような声だった。
「そう、そのまさかなのだよ、イリア君。」
ゼイラムは、瞬間移動、したのだ。
「これが、トリプルS級の能力を持つゼイラムの新しい力なのだよ。ゼイラムの強大なパワーに瞬間移動の能力が加われば、まさに無敵。君はその無敵の力の最初の体験者になるのだよ。」
ハドマの不敵な笑みが、弾けていた。
「冗談じゃないわ、瞬間移動なんて・・・。」
イリアは片手で腹を押さえながらも、壁を支えにして、なんとか立ち上がった。その表情にはあせりを超えた、驚愕の色が浮かんでいた。
だが、それも束の間、イリアの前に再びゼイラムが現れた。短い距離ではあるが、瞬間移動したようだ。
振りかぶられた巨大な腕を避けるため、地面を転がるイリア。
身を守るために、攻撃に転じた。
距離が少しできた瞬間、腰のホルスターにおさめていたショットガンを抜き、一気にトリガーを引いた。この程度の攻撃でダメージを与えられるとは思えないが、時間稼ぎにはなるだろう。その間に、対応策を考えたかった。
だが、それも甘かった。
再びゼイラムがイリアの前に現れたのだ。


152qq :06/07/30 04:21 ID:???
「あっ。」
イリアの手の甲を蹴り上げるゼイラム。
ショットガンが手から離れ落ちてしまった。苦痛に顔を歪め、手の甲を押さえるイリア。今の一撃で、手がしびれて力が入らない。
反転攻勢にでることもできず、ゼイラムの攻撃をただかわすしかなかった。
しかも、先ほどの強烈な一撃で、イリアの動きは確実に鈍っていた。
それを見て取ったゼイラムは、自らの腕を触手のようにしならせた。
かわすことができず、鞭のような腕がイリアの太ももに打ち据えられた。
「ううっ。」
すぐに立ち上がることができず、数発がイリアの下半身を直撃した。
「ふはは、ショーの始まりだな」
勝ち誇った様子のハドマだが、その声はイリアには届いていない。
「このままじゃ・・・やられる。」
イリアはなんとか距離を取り、触手の攻撃圏内から逃れた。
なんとか立ち上がるものの、足に痛みが走り、少しふらつく。足を攻められ、持ち前のスピードが殺されている。
「こうなったら、先にハドマを倒すしかない。」
イリアは方向を変え、全力でハドマのいるところを目指した。
このままでは確実に負ける。ハドマを締め上げて、ゼイラムの力を抑える方法を聞き出すしかない。イリア自身、かなりのダメージを受けてはいるが、ハドマなら一撃でなんとかする自身があった。ゼイラムが瞬間移動する前に、勝負をつけるしかない。
「ほほぉ、先にわしを倒そうとな。相変わらず愚かよ。」
ハドマの自信は変わらなかった。
そして、イリアとハドマの距離が10歩くらいに迫った時、ゼイラムが間を割るように瞬間移動してきた。
イリアは身構えた。だが、ゼイラムはイリアに背を向ける形だった。
「く、くそっ。」
敵がこちらに背を向けている。挑発しているのか。本来なら絶好のチャンスであったが、動けないでいた。
受けたダメージも忘れ、イリアは悔しさに唇をかんだ。
「イリア、落ち着け。弱点を今探している。」
ボブからの通信だ。
「分かってるわ。早くして。」
イライラしたような感じで、言葉を返す。
だが、次の瞬間、ゼイラムは一気に距離を縮めてきた。
ゼイラムは後ろ向きのまま瞬間移動してきた。そして、回し蹴りを放ってきた。
ゼイラムの足は、腹と同様にプロテクターの無いイリアの胸を狙っていた。
「このくらいならかわせる・・・うっ。」
本来ならかわせるはずの攻撃だったが、さきほどの触手のような攻撃を受けた足が痛み、動きが一瞬鈍った。
イリアの豊かな胸の双方が、ゼイラムの足につぶされるような形になった。
「きゃあああああああーーーー」
戦いの時には出さない、女の声を、出した。悲鳴に近かった。
後ろに激しく吹き飛んだ。受身を取ることもできなかった。
女の急所を直撃した痛みに、イリアは地面でもがいていた。目には涙が浮かんでいた。
「あっ、あああ。」
両手で胸を押さえるイリア。ゼイラムが、そしてハドマが近づいてきていたが、立ち上がることができずにいた。イリアの動きが完全に止まってしまった。
「名うてのバウンティハンターとはいえ、女ということだな。」
ハドマが見下すように言った。
「くそっ。お前なんかに・・・。」
痛さと悔しさが混じっていた。だが、体に力が入らない。
「ふんっ」
おもむろに、ハドマは鉄靴で、イリアの腹を蹴り上げた。
「がはっ。」
ハドマはもてあそぶように何度も蹴りつけた。
イリアは、腹と胸の部分にプロテクターの無いスーツのデザインを恨めしく思った。
反撃はおろか、かわすこともできない。痛みに、ただ耐えるしかなかった。
ゼイラムとハドマに囲まれる形となったイリア。さきほどとは立場が全く逆転していた。
「今楽にしてやろう。」
ハドマは手に持っていた杖のようなものをかかげた。杖の先から光がほとばしる。
「なにを・・・。いやあああああーーーー。」
強烈な電流が、イリアの全身を包んだ。痛みはやがて痺れに変わり、次第に意識が遠のいてくる。
「兄さん・・・。」
宿敵の前で、イリアはうつ伏せのまま、気を失った。






153qq :06/07/30 04:22 ID:???
ニーズがあるか微妙だけど、ゼイラムを・・・。
まあ適当に読み流してくれ。

154名無しさん :06/07/30 06:06 ID:???
ゼイラムは実写よかアニメ版のがよかた
アニメのは程よくベチャドロで、触手っぽかたし、ゼイラムに取り込まれかけるシーンはエロかたな
SSだがも少しゼイラムのキモさを出してほしかた
悪役は「これがタイ○ントだーうわ何をする貴様」なキャラのが良かったな
ゼイラムは制御不能な危険生物でいて欲しい

155名無しさん :06/08/03 00:42 ID:???
>>153
ハイパーイリア(SFC)にだいぶお世話になった俺としては大興奮ものであった。
GJ!

156DOA4 〜紫の蝶と蒼き蜘蛛〜 #1 :06/08/05 17:00 ID:???

「……逝かせてあげる……!」
鋭い視線を相手に向け、怒りを込めたやや低い声で言い放ちながら、あやねは戦闘の構えをとった。

あやねと対峙している相手は、実に奇妙な姿をしていた。
体型は、全裸の少女そのもの。
ただしその全身は、ゼリー状のような透明感を持ち、それ自体が微弱な光を放つような、青緑色のボディであった。
体表からは、その体と同色の蒸気のようなものが、ドライアイスのように常に立ち昇っている。

くのいち、かすみを素体として開発された人体兵器、αシリーズの最終形態となる究極のハイパークローン、Alpha-152。
DOATEC討伐の闘いに参戦し、その本拠地となる巨大建造物、トライタワーへと突入したあやねは、
その一角にあるヘリポートで、この未知の敵と遭遇したのだった。

あやねはくのいちであるが、今彼女がまとっているのは、忍装束などではなかった。
チェック柄のミニスカートと水色のベストをあわせた、高校の制服のような服装。
一目で忍びであると分からぬよう、敵の目を欺くための扮装であろうか。
ただし彼女の場合、持ち前のルックス、スタイルの良さと脚線美で、
単なる「扮装」と呼ぶには惜しいほどの見事な着こなしを見せていた。

このヘリポートはかなりの上空にあるようで、強い風が常に吹きつけている。
ひざ上20センチほどの短いスカートが、風に吹かれてひらひらとなびいていた。

このヘリポートは正八角形をしており、床を構成するプレートの、パネル状になっているパーツの境目部分や、
排水溝などの構造物が織り成す線が、中心から八つの角へ向かって放射状に伸びるラインと、
中心を同じくする大小さまざまの正八角形とを形成していた。
そのデザインはまるで────。

157DOA4 〜紫の蝶と蒼き蜘蛛〜 #2 :06/08/05 17:01 ID:???
戦闘が始まると、Alpha-152はすぐさまあやねに接近し、先手を取って攻撃を仕掛けてきた。
かすみの技に良く似た、素早い二連続の突きを起点とする多彩な連続攻撃。
常軌を逸したスピードと無重力感で自由自在に体を回転させながら、あらゆる角度から立て続けに繰り出される連続蹴り。
あやねはそれらの攻撃をひととおりガードでしのいでいたものの、防戦一方になってはいけないと判断した。
相手の攻撃の切れ目を狙って、攻勢に転じようとしたあやねだったが……。

「あっ!」
あやねの攻撃よりも早く、Alpha-152の足が、彼女の足元を払っていた。
前のめりにバランスを崩し、地面に両手をついてしまう。

通常、足払い系の技は、相手を転倒させ動きを止める効果が期待できる反面、他の系統の技に比べ、
一連の動作、特に次の行動への移行などは決して速いとはいえないものも多い。
しかし、文字通り超人的な能力を持つこの相手が繰り出す「足払い」は、一味違っていた。

足払いを決めたばかりの蹴り脚が、返す刀で間髪入れず、再びあやねを襲ったのだ。
まだ最初の足払いを喰らったばかりで、四つん這いの格好のままのあやねに、二発目の「足払い」が後ろから命中する。
「ぁんっ……!」
あやねは、立った状態で足払いをかけられたように「再び」転ばされ、今度は尻もちをついてしまった。

ばたんばたん、といった感じで続けざまに転ばされ、わずか1〜2秒の間に、
四つん這い、尻もち、M字開脚といったポーズを次々に晒してしまうあやね。
短いスカートの中身も、あらゆる角度へ向けて晒されてしまっていた。
そして、何とか立ち上がろうとする間もなく、さらに次の技があやねに襲いかかる。

後ろ向きになって地面に手をつき、低い姿勢で相手に背を────いや、尻を────向けながら、
片脚を高く振り上げる蹴り。
これもかすみと同様の技だが、こうした動作の技は本来、相手が高い打点の攻撃を繰り出すところを、
低い姿勢でかわしながらヒットさせる、などといった狙いで用いるべきものであるように思われた。
尻もちをついた状態の相手を目がけて、わざわざこの技を繰り出すのは────。

しかし、この技もまた十分に、効果的な一打となっていた。
「ぁうっ……!」
尻もちをついたままだったあやねの身体が、高々と宙に浮かび上がったのだ。
そして、これもAlpha-152にとっては全く予定通りの展開であるようだ。
相手が宙に浮いて無防備状態になったのを確認すると、実にスムーズに次の行動へと移行する。
片脚を振り上げながら、軽やかにその身を回転させるAlpha-152。

パシッ! パシッ! パシッ!

青緑色のボディが回転するたびに、その足先があやねの身体をはたき、なすすべの無い相手の体力を確実に奪っていく。

…………パシパシパシッ!

フィニッシュへ向けてさらに回転速度を上げた連続蹴り。
続いてAlpha-152は、片腕を突き上げるようにして飛び上がった。
その一撃が身体のどこかに命中し、さらに後方へ弾き飛ばされるあやねを、すぐ後ろで待ち構えているものがあった……。

158DOA4 〜紫の蝶と蒼き蜘蛛〜 #3 :06/08/05 17:02 ID:???

 バシュァァアーーン!!!

「……ぁぐぁあっ!!」
背後から全身を激しい衝撃に襲われ、あやねは苦痛の悲鳴をあげてしまう。

八角形のヘリポートの外周には、太く頑丈な3本のロープがぐるりと張りめぐらされている。
ロープは常に電流を帯びており、接触すれば感電するのはもちろんのこと、
衝撃を加えれば激しいスパークを起こす、危険なものだ。
まるでプロレスのリングを思わせるような仕掛けだが、このような場所に設けられているのは、
(少なくとも本来は)興行目的などでは決してなく、一応、警備上の目的のものであろう。

ただしもちろん、高さ2メートルにも満たないこの程度のロープでは、
忍者のような者たちの侵入までも防ぐことが出来るわけではない。
しかしながら、結果としてこの電流ロープは今、「その機能をもって、侵入者を痛めつける」
という役割を立派に(?)果たし、その存在価値を十分に示すことが出来ていた。

「手柄」を立てた満足感。
とある捕食動物のように待ち伏せることしか出来ない自分達のもとに、極上の獲物────
それも、「捕獲の難易度」という意味でも価値の高い上玉────がかかった悦び。
そんな感情を表現しているかのような衝撃音。

電流ロープの衝撃をいやと言うほど味わわされ、あやねの身体は地面にくずれおちた。
無防備に両腕を広げ、上半身をのけぞらせたまま膝をつく。
そしてそのままぱたりとうつ伏せに倒れ、地面に這いつくばってしまった。
まるで、磔にされて電気拷問にかけられた捕虜のような哀れな姿で、ピクピクと身体を小刻みに痙攣させている。

「……ぅうっ……!」
地面に手をついて身体を支えながら、起き上がる力を振りしぼろうとするあやね。
彼女は既に、戦闘を続けられるだけの体力の約半分を失っていた。
戦闘開始から、まだ10秒と経っていない。

そして、ようやく立ち上がったあやねだったが、この後彼女は2秒と持たず再びダウンを奪われてしまうこととなる。

159DOA4 〜紫の蝶と蒼き蜘蛛〜 #4 :06/08/05 17:03 ID:???

ヒュッ!

空気を斬る独特の音とともに、相手は再びあやねに襲いかかろうとしていた。
体を丸め、前方宙返りをしつつ放物線を描く素早い跳躍。
実に見事なタイミングで、ちょうどあやねが立ち上がったところに、彼女の眼前に迫っていた。
すかさずあやねの顔に飛びついて、視界をふさぎつつ動きを封じる。

両手両足で相手を捕獲するようにつかみかかってくる姿。
そして、なすすべもなく捕らえられるようにのけぞる「獲物」。
そのさまはまるで────。

「きゃぁあっ!」
そして次の瞬間、あやねはきりもみ状態で吹き飛ばされていた。
横方向に激しく回転しながら地面に落下した身体が、仰向けの状態でバウンドしてのけぞる。
一方、相手はあやねにこの技を決めた体勢から、ゆっくりと下降し、
まるで月面にいるかのような動きで、ふわりと着地していた。

不意をついた跳躍で相手の頭部に跳びつき、投げ飛ばす。
そうした奇襲技は、身軽さを活かした戦法を身上とするあやねやかすみも得意とする技であった。
しかし、Alpha-152が繰り出すこの技もまた、彼女達のものとは一線を画していた。

くのいち達の技が基本的に、両脚で相手の頭部を挟みこむなどした後、全身のバネをフルに活かして精一杯の動きで
相手を投げ飛ばすものであるのに対して、Alpha-152の技は、そうした大掛かりな動作は必要としなかった。
相手の顔に飛びついた後の攻撃動作は、ほとんど無いようにも見える。
少なくともその着地動作は、(比較的小柄な少女が相手とはいえ)人ひとり投げ飛ばすほどのパワーを
振るった直後とは思えない軽やかさを感じさせた。
それでいて、相手の身体はより激しく、きりもみ回転というおまけ付きで、軽々と投げ捨てられてしまうのだ。

それゆえに、また何をされたのかあやね自身にも分からないほどのスピードゆえに、
はた目にはあやねが勝手に、彼女の身体がひとりでに跳んでしまったかのようにすら見える。

相手の頭を挟み込むようにしてつかんだ両手を、互いに逆方向にぐいと動かして、回転、ひねりを加える。
まさに「きりもみ」という言葉の由来どおりの動作、力の加え方を、「錐」に見立てた相手の身体に対して行う。
それを一瞬のうちにやってのけるというのが、この技の実態であるようだ。

このような責めをされた相手は、首をちぎられるのがいやならば、ひねりを加えられた方向に
素直に(?)身体ごとついていく、すなわち、きりもみ状態で跳ばされるしかない。
人体の弱点を巧みにつくだけでなく、そこを責められた時の防衛本能的な心理をも逆に利用して、
相手の身体を弄ぼうとしているかのような感じさえ与える攻撃であった……。

160DOA4 〜紫の蝶と蒼き蜘蛛〜 #5 :06/08/05 17:04 ID:???
圧倒的な攻撃能力の前に、あやねは早くも敗色濃厚であった。
さらに勢いづいたように、相手はなおも容赦無く迫って来る。
だが、ここで守勢に入ってしまっては、ますます相手の思うつぼであろう。
相手が消極的になることを見越した攻撃、投げ技などを狙うチャンスを与えてしまうだけだ。
あやねは臆する事無く、近づいてくる相手を素早い蹴り技で牽制、迎撃しようとした。
だが、次の瞬間……。

「……ぁうっ……!!?」
何がおきたのか分かりもしないまま、あやねは身動きを封じられていた。
突如として伸びてきた手が、あやねの喉元をぐいと捕まえていたのだ。
そして、あやねは一瞬のうちに全身の力が抜けたようになり、首をつかまれたまま立ち尽くしていた。
(……か、体が……、動かない……?!)

相手が喉元へつかみかかってくるまでの動作、時間が全く感じられなかったこと。
蹴り技を繰り出すべく四肢をフル稼働させていたはずの自分の身体が、
次の瞬間全くの棒立ちになり、力無くうつむいていたこと。
そうした不可解な現象に疑問を抱く間も与えず、Alpha-152は、捕らえた相手の身体をさらに責め上げる。

おもむろにもう片方の手であやねの頭をつかむと、両手で彼女の顔を「くいっ」と上を向かせる。
「……ぁぐっ!」
されるがままにのけぞらされ、あやねの顔はほぼ真上を向かされてしまう。
その拍子に、ふたつの「それ」がぷるん、と揺れて弾むのが、服の上からでもはっきりと見てとれた。

続いてAlpha-152は、右手を胸の辺りまで下ろすと、その掌をやや下に向けてかざした。
同時に、あやねの首をつかんだ左手も、同じく胸の辺りまで引き下げる。
すっかり身体に力が入らなくなったあやねは、されるがままにその顔を低い位置へと引き寄せられる。
それに伴って彼女の下半身は、膝をつくことも、尻もちをつくことも出来ない、
中途半端に腰を落とした不自然な体勢を強いられることになってしまう。

さらに、Alpha-152は左手をぐいと動かして、かざした掌を間近で見上げさせる位置まで、あやねの顔を持ってくる。
今やあやねの身体の肩から下の部分は、相手の意のままに動かされる首や頭部の動きに、
惰性で付き従っているに過ぎなかった。

首の動きに連動して横に傾けられ、斜めになったままの上半身。
だらりと垂れ下がった両腕。
地面から10〜20センチばかり浮いている尻。
転倒する直前のスキーヤーのように乱れた体勢で、自身の体重を支える用はほとんどなしていない両脚。

あやねの顔は今や相手の腰ぐらいの位置まで押し下げられ、相手を見上げるような格好にさせられている。
そんな姿勢のまま、目の前の掌にただじっと顔を向け、まぶたにさえ力が入らないかのように目を閉じている。
そのさまはまるで、催眠術をかけられている、いやむしろ、「かけてもらっている」ところのようであった……。

そして、少し前から────Alpha-152が掌をかざした時から────鳴り響いている奇妙な音があった。
ジェットエンジンの音にも似た、何かのエネルギーを充填しているかのようにも聞こえる音。
その音と、目の前にかざされた掌がやがて彼女に何をもたらすのか、あやねは予感していただろうか……。

そして数秒後、ちょうどエネルギーの充填が完了したように「その時」は来た。

161DOA4 〜紫の蝶と蒼き蜘蛛〜 #6 :06/08/05 17:04 ID:???

「あぁあああぁぁぁぁーーーっ!!!」

あやねの身体は、打ち上げ花火のように勢い良く、上空へと吹き飛ばされていった。
のけぞった身体が、勢い余って逆さまになりながら急上昇していく。
ただし、その高度は打ち上げ花火ほどではなく、せいぜい数メートル程度だったのが、不幸中の幸いといったところだろうか。

長い長い悲鳴、普段の彼女のクールなイメージや言動とは激しいギャップを感じさせる、
何とも可愛らしい悲鳴を上げながら、空中へと放り出されるあやね。
スカートのまくれ上がった姿を晒しながら、両手両足を投げ出してぶざまに宙をさまよう。
衝撃と恐怖、屈辱に満ちたしばしの空中遊泳を終え、べちゃっ、という感じでうつ伏せに地面に落下した。

「……うっ、…ぁうぅぅっ………」
這いつくばるあやねには、もはや立ち上がる気力も残っていなかった。
地面に手をつき、身体を起こそうとするものの、片方の肩を持ち上げるようにして、少し上半身をひねるのが精一杯であった。
そしてそれは、ほどよく身体をよじり、腰から脚にかけてのボディラインを
艶かしく引き立てるポーズを取るに過ぎない行為であった……。

持ち前の身のこなし、スピードも発揮できないまま、30秒と持たず力尽きたあやね。
それどころか、そういった彼女の「得意分野」といえる要素に関してさえ、存分にその力を見せつけられた挙句の敗北。
さらに、あやねがとどめをさされた攻撃、見えない力で吹き飛ばされたようなあの攻撃は、
彼女が得意とする「妖術」にも似たものであった。

それは単に「非科学的な力を発動させている」というだけの事ではない。
相手へ向けて突き出した掌に気、エネルギーを溜めるような動作。
そして、それを一気に放出する際の反動に、腰に力を入れ上半身を少し引くことで耐える動作。
そうした動きも、あやねが妖術を用いる際のものとことごとく似通っていた。
あのエネルギーの充填音は、あやねでいうところの「呪文」だったのであろうか。

かつて雪山での激闘の末、あやねが抜け忍、かすみに対して放った妖術。
それと大変良く似た攻撃を今、かすみと大変良く似た容貌をした相手が、あやねに対してお見舞いする。
何とも皮肉で奇妙な因果応報であった。

身のこなし、スピードといった格闘の実力。そして妖術まがいの攻撃。
あやねのお株をことごとく奪われたような、完全なる敗北であった……。

162DOA4 〜紫の蝶と蒼き蜘蛛〜 #7 :06/08/05 17:05 ID:???

ヘリポートに吹く風は、相変わらず強い。
力尽き、倒れたままのあやねのスカートを、容赦無くまくり上げている。
白い布地に描かれた青紫色の蝶は、身を隠すすべが全く無いまま、その姿をあらわにさらけ出されていた。

まるでこの闘いの舞台までもが、ぶざまな敗北者、無謀な侵入者を嘲笑い、
さらなる辱めを与えようとしているかのようであった。

逃げ場の無い八角形の空間の中で力尽きた蝶は、その身を横たえた姿を、いつまでとなく晒していた……。

                                                                  (完)


163名無しさん :06/08/05 17:10 ID:???
以上、あやね×Alpha-152 でした。

あやねと言えば蝶、八角形といえば蜘蛛の巣(?)ということで、
そういうイメージを盛り込んでみたりしました。

164名無しさん :06/08/06 23:53 ID:Xx6Sb.S2
お休みなさいあやね、取りあえずどっかの組織に拉致られるまで眠っててください。



というわけでGJ

165名無しさん :06/08/11 20:47 ID:???
↑こういったイメージの感想を持ってもらえた事は、
そのまま「お持ち帰り」したくなるような雰囲気を、力尽き、倒れた姿にも漂わせたい……、
という風に思っている自分としては、好感触で嬉しいところ。

「どっかの組織」って、DOATECしかないわけですが、拉致る担当はやはり、
DOATECの超人開発研究員だったことが判明した「あの」黒いお姉さんが適任ですかね。

意識を取り戻したあやねが顔を上げると、目の前に立っているのは、以前ザック島で会ったあの美女だった。
磔にされていながらも、強気な態度を崩すまいとするあやねに対して、
彼女は、あの時と全く変わらない優しく人当たりの良い口調で、
この子(=隣に立ってるAlpha-152)ともう一度遊んでもらおうかしら? みたいな事を言って脅したり、
ザック島での思い出話(?)をセクハラっぽく持ち出したり、といった言葉責めで苦しめる……、というような。
ただし、自分は当分の間何も描けそうにないが。

166名無しさん :06/08/11 21:15 ID:???
ttp://www.ic-net.or.jp/home/catchy/tokikaku.html

ときめもの格闘小説サイト。
作者はリョナラーなのか…?

167名無しさん :06/08/14 00:11 ID:l2Bp21cc
>>165
>ただし、自分は当分の間何も描けそうにないが。
残念極まる

168名無しさん :06/08/28 17:59 ID:4Sy9sk.s
ところでSS職人に聞きたいんだが・・・
SS書く時責めパートを先に書く?それとも最初から書く?
俺は一回SS書こうとして、どうこねくり回しても責めシーンに辿り着けず
書きあぐねてるうちに思いついた責めの内容を忘れて結局書けんかったw

169名無しさん :06/08/28 19:45 ID:8P8u0T1Y
>>168
遥か昔に不知火舞でSS書いた事あるけど…。
『こんなやり方もある』程度にチラリと見てくれれば…。
とりあえず『自分の書きたい部分』を真っ先に書いちゃった方がいいと思われ。
その後、前後の文章をつじつまが合うようにくっつけてけばいいのではないかと…。
まぁ書き方は人それぞれだから…とにかく『書きまくる』しかないんでない?…その内自分なりのやり方が見つかると思うよ、きっと。
というわけでがんがれ。そして作品をお待ちしております。



170168 :06/08/28 19:55 ID:4Sy9sk.s
>>169
書けるかはまだ分からないけど、アドバイスありがとう。
こういうのは自分で書いてみて初めて職人のありがたみが分かるね。
ほんと投稿してくれる人には感謝だよ。

171名無しさん :06/08/28 23:18 ID:LBrcBXYQ
自分は最初から書くかなー。
とりあえず、書く前に脳内で妄想してたっぷりと楽しんでから書いてるから、
いたぶりシーンだけは絶対にわすれないw



172名無しさん :06/08/30 20:17 ID:WyM4yrSg
D会はもうやらないのか・・・

173名無しさん :06/09/01 14:48 ID:wPD.dyTk
http://bbs.2ch2.net/admin/readkako.cgi?bbs=ryonani&q=1100&q2=1100758146

なんとなく前スレ

174名無しさん :06/09/01 15:33 ID:hkpuM92g
>>172
俺もD会楽しみにしてる。でもこのスレって結構一人SS書くと
触発されてまた一人っていう展開が今までに結構あったから、
誰か書いてくれるのを期待して投稿してみるw

内容はこの間(格闘技の)プライドとFate/Stay nightのDVDを
纏めて借りてきた時に俺が見たヴィジョン・・・つーか妄想w
fateは5巻までで完結してなかったし原作やってないんで、設定とか
キャラ作りが間違ってたらスマン。fateのSSというよりも、リョナラーが
プライド一残酷って言われたセルゲイハリトーノフとセームシュルトの
試合をどう脳内変換しているかを書いたものと思ってくれるとありがたい。

前置きが長くなったが始める。テーマがテーマだけにグロ注意。

175名無しさん :06/09/01 15:34 ID:hkpuM92g
<一応あらすじ・・・飛ばしてくれて構わない。>
聖杯戦争とは、サーヴァントという英霊を使役する、マスターと呼ばれる7人の人間が互
いに殺し合い、最後に勝ち残った者が聖杯により望みを叶える事が出来るという儀式であ
る。マスターの一人で、屈強なサーヴァントであるバーサーカーを使役するイリヤスフィ
ール(愛称イリヤ。このSSでの責められ役)は同じくマスターである衛宮士郎(アニメでの主
人公)を自分の館へと拉致する。彼のサーヴァントであるセイバーと、彼と共闘関係を結ん
でいる遠坂凛、そのサーヴァントのアーチャーの3人はイリヤが館を出た隙を見計らって
突入、士郎を助け出す。しかし館を出たように見えたイリヤは実は彼女が魔術で作り出し
た幻想で、本物は館のどこかから彼等を見つめ、姿を現すタイミングを見計らっていた。
尚、士郎、セイバー、凛、アーチャーはSSには殆ど出てきません。


176名無しさん :06/09/01 15:36 ID:hkpuM92g
樹海の中に建つ洋館。
その中の一部屋、扉の隙間から少女――イリヤスフィールは侵入者達の様子を窺っていた。
どうやら侵入者達は彼女が館の中にいないと思い込んでいるらしい。
いとも簡単に騙される彼等を見て、彼女は満足げな笑みを浮かべていた。
それが油断を招いたのだろう。

だから、その気配には全く気付かなかった。
唐突に、背後から男の声がする「おい。」
「お前等、聖杯戦争とかいう面白い事やってるんだってな。俺も混ぜてくれよ。」

そう言うと、少女が振り返るよりも早く、男は指に魔力を込め、それを彼女の耳に
突っ込んだ。「きゃっ!?」少女の体が驚きでビクッと跳ねる。
普通ならば、敵の魔術師にこのように背後を取られるというのは致命的だろう。
しかし、少女の態度にはどこか余裕のようなものが感じられた。

「もう、なんなのよこいつ・・・。バーサーカー!こいつ叩き潰しちゃえ!」
少女の声に応え、屈強な巨人が姿を現した。この巨人はギリシャの英雄、ヘラクレスの
英霊で、サーヴァントの中でも最も強いとされている。この巨人の前ではどんな敵も膝を
折るしかないだろう。こんなものを使役しているというなら、彼女の余裕も合点がいく。

177名無しさん :06/09/01 15:37 ID:hkpuM92g
しかし、何故か影が薄いような印象を受ける。巨人は大音声を上げながら男に
殴りかかっていった。だが、その拳が届くか否かの刹那、まるで煙の様に消えてしまった。
「間に合ったか。流石にあれを喰らっていたらマズかったな。」落ち着いた態度の男とは
対照的に、少女の方は僅かに面喰った様子である。
「バーサーカー・・・?何処に行っちゃったの・・・?」

「言われねぇでもすぐに出してやるよ。おい、バーサーカー。
そのガキをちょっと懲らしめてやれ。」男の言葉と同時に巨人は再び姿を現し、
今度はイリヤに向かって手を伸ばし、その体を大きな手で掴んだ。
「ちょっと、どうしちゃったのバーサーカー!?わたしが分からないの!?」

巨人に代わり、男が答える。
「無駄だよ。俺の指は相手の耳から魔力を吸収する力を持っている。
少し不安だったが、サーヴァントの使役権も頂けたようだな。
ククク、これで俺も聖杯戦争とやらに参加出来る。・・・御託はもういいな。やれ。」

巨人は少女の腹の辺り、左右の肋骨のちょうど真ん中くらいの柔らかな部分に
親指の腹を当て、力を込めた。
「やめ・・・バーサー・・・ゲホゲホゲホ!」
少女の方も必死で巨人の手を押さえ、精一杯の抵抗をするのだが如何せん力が違いすぎる。
巨人の指が、少女の腹に更に深くめり込んで行く。

178名無しさん :06/09/01 15:38 ID:hkpuM92g
圧迫された内臓から空気が逆流したのだろうか、少女の頬が膨らみ、
河豚のような表情になる。その一瞬の後、ゴボっと低い呻き声を漏らし、
口から黄色い胃液を吐き出してぐったりとなった。

「ふん。これくらいでいいだろう。降ろせ。」
男の指示で巨人は少女の体を地面に横たえた。
「ぜった、ゲホッ・・・許さない、んだから・・・。」
彼女は倒れて咳き込みながらも、怒りを込めて男を睨みつけた。
普通の男であれば、目に宿る少女とは思えない酷薄な光にたじろいでしまうことだろう。
しかし彼に全く動じた様子はなく、むしろ彼女をからかって楽しんでいるように答えた。
「あー?許さない、だって?サーヴァントを奪われたのがそんなに悔しいか?
だったらどうするってんだよ?」男と少女は暫くの間睨み合っていたが、やがて男は
何か良い事が閃いたかのように手を打った。

「そうだ!お前には『影男』と戦ってもらうとするか。勝ったらバーサーカーを
返してやる。なに、戦闘力は一般成人男性レベルまで落としてやるよ。
魔術を使ってもいいぜ。どうだ、やるか?ま、お前に拒否権はないんだけどな。」
イリヤはそれを聞き、スカートの煤を払うと立ち上がった。
途端に胃の痛みと吐き気がぶり返してきて、何度も唾を飲み、呼吸を整える。
顔色は真っ青だったが、何時になく真剣な表情である。
「分かったわ・・・」その後、小さな声で「バーサーカー、待ってて・・・」と
呟いていたようだったが、男には聞こえなかった。
「決まりだな。先に一本かギブアップを奪った方が勝ちだ。凶器の使用は禁止。
魔術の使用は許可する。試合時間は1R10分、2、3R5分ずつの20分だ。
そろそろ始めるとするか。」そう言うと、男は指を鳴らした。

179名無しさん :06/09/01 15:39 ID:hkpuM92g
すると今まではただの寝室だった部屋が、いきなりリングが中央に座する会場へと
姿を変えた。イリヤのいる方とは逆のコーナーポストには影のように真っ黒な男が
立っている。体格は中肉中背で、男の言った通り十人並みの背の高さである。
しかし、それでも肉弾戦を行うには彼女とは体格が違いすぎるだろう。

「よし、それじゃあ・・・ラウンドワン、ファイッ!!」
男はリングアナになりきったふざけた調子で言うと、ゴングを鳴らした。
いくら「影男」の体格が一般男性並とは言え、イリヤのそれと比べれば絶望的な差である。

イリヤに残された勝利の方法は一つしかない。魔術で相手を幻惑させ、倒す事である。
それを悟り、彼女は眼に力を込めて「影男」の瞳に念を送ろうとした。
彼女の得意とする、眼力により相手を金縛りにし、拘束する魔術である。
しかし、全く眼に「力」が集中する事はなかった。やはり男はイリヤの魔力を
根こそぎ吸収してしまったようであった。
即ち彼女は、もはや単なる少女でしかないのである。

こうなると、後はもう一方的な展開であった。

「影男」はいとも簡単に彼女を組み伏せると、胸の辺りに馬乗りになった。
「う・・・・重・・・・・あ・・・けほっ」
呼吸困難と体重による圧迫の苦しさから、少女の白い顔に赤みが差す。
イリヤの方も手で「影男」の体を退けようとしたり、ブリッジの要領で何とか
この状態から脱そうと試みるが、びくともしない。
更に「影男」は、自分の左膝を少女の肩から二の腕の辺りに置き、少女の左腕の
動きを殺した。これから行う「処刑」をよりスムーズに行う為である。その体勢に入ると、
「影男」は大きく腕を振り上げ、イリヤの右眼辺りに狙いを付け拳を振り下ろした。

180名無しさん :06/09/01 15:40 ID:hkpuM92g
「キャアッ!」少女の悲鳴と、拳の小指の付け根の硬い骨が、彼女の顔面の骨に
当たる鈍い音が響く。幸いな事に、彼女がもがいていたおかげで眼球を直撃する事は
なかったが、そのすぐ下辺りに命中した拳による衝撃は目にも伝わり、彼女を責め苛む。

彼女は震える右手で目を押さえたが、その手はすぐに「影男」の手によって振り払われる。
そして、彼は再び鉄槌を落とす為、拳を大きく振り上げる。
「ヒッ・・・」イリヤに出来る抵抗はと言えば、顔を背け拳を避けようとする事くらい。
だが体がマットにぴったりと押し付けられ固定されている為、首の回る範囲でしか顔を
動かす事が出来ず、拳の射程からは逃れられない。

「ギャァッ!!」さっきよりも鋭く、恐怖に彩られた悲鳴。
今度は、右眉よりも少し下辺りに命中した。
その部分と、さっき殴られた箇所は内出血によりドス黒く染まっている。
少女の左目は潤み、右目は充血して赤い。完全に戦意は失われてしまったようだ。
そして、三たび拳を叩きつけようと、「影男」は腕を持ち上げた。

181名無しさん :06/09/01 15:41 ID:hkpuM92g
「やだやだやだやだぁ!助けて・・・!」
いつもの年齢にそぐわない程の余裕のイリヤはそこにはいなかった。
ただ足をバタつかせ、首を左右に激しく振りながら泣き叫ぶ。
その懇願を払いのけるかのように、「影男」は拳を横薙ぎに振り払う。
「がぐっ」一閃は鼻に命中し、少女の首が折れそうな程の勢いで横を向く。
鼻からは血の筋が流れ落ち、白いマットを汚した。

その後も、ほぼ同じ様な展開が続いた。
何度も拳が少女の右目の辺りを中心とした顔に叩きつけられ、その度に彼女は
悲鳴を上げる。ふと男がリングの上に目をやると、イリヤの目からは
少なくない量の血が零れ落ち、マットを赤黒く染めている。

「ギャアアアアアアアアアアアァァ!」

一人の華奢な少女から発せられたとは思えないような、洋館中に響き渡るような声の
悲鳴が上がった。もしもその声を聞いた者がいたならば、余程の剛の者でもない限り、
その理性を失った悲鳴に込められた絶望感から想像され得る恐怖に足が竦んでしまい、
助けに行こうなどとは思わないだろう。
そして、それに続いてどちゃっ、というまるでトマトか何かを叩き潰すような
湿った音が響くと、今までは精一杯の抵抗を示していた少女の右手から力が失われ、
マットの上にボトリと落ちた。

182名無しさん :06/09/01 15:42 ID:hkpuM92g
「これ以上やると流石にまずいか・・・。」
男はそう呟くと、リングの中にタオルを投げ入れた。
「影男」は、少女の体から降りると、万歳をして、それから影も形もなく消えてしまった。
マットの上には少女のみが残された。
顔面は痣になっている部分を除いて蒼白で、カチカチと歯を鳴らしながら
時々震えるように息を吐いている。
暫くすると、呼吸に嗚咽とぐすぐすと洟を啜るような音が混じり始めた。

男が再び指を鳴らすと、リングは消え元の洋館の一部屋に戻り、イリヤはベッドの上に
投げ出された。彼女は自分の傍らの布団に気付くと、それで右目の傷を押さえた。
布団に赤い血が染み込んでいく。男はそんな少女の姿を暫く眺めていたが、
彼女に近付き尋ねた。「随分酷くやられたようだな。傷の具合はどうだ?」

しかし彼女は喉の奥の方から「ひっ・・・」というような声を上げると、男から
逃げるようにベッドの端へと逃げ、布団を更に強く抱き締めた。
構わずに布団を剥ぎ取ろうとするが、しっかりと握って離さない。
彼女の口からは聞き取れないほど小さく「ぃゃ・・・・ぃゃ・・・・」と声が漏れている。

男は舌打ちすると指を鳴らし、二人の「影男」を出現させた。
「影男」達は彼女から布団を剥ぎ取ると、その両腕を押さえつけ拘束した。
布団によって血が拭われると、少女の顔の惨状がより明らかになった。

183名無しさん :06/09/01 15:43 ID:hkpuM92g
顔の左半分はほとんど無事であったが、右半分のほとんどは赤黒い痣に覆われ、
まるで特殊メイクをしたお化け役の役者の様になってしまっている。
男はそんな彼女の顔に手を伸ばした。

「嫌ぁっ!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
苦痛の叫びを無視し、男は彼女の瞼をこじ開けた。
すると涙と血が混ざったドロッとした液体が、彼女の頬を伝い滴り落ちた。
男はそれを乱暴に拭うと、ポケットからペンライトを取り出し、彼女の眼球に向けた。
眼球はペンライトの光に反応し、僅かに動いている。どうやら失明は免れたようだ。
男は安堵の溜息をついた。

「ふん・・・安心したよ。視神経を治す医療魔術は魔力を喰うからな。
ま、今日のところはこんなもんが限界だな。」
「今日の・・・・ところ・・・?」少女が震える声で問い返す。
「ああ。明日はもっと違った趣向を用意してるからな。楽しみにしていてくれ。」
そう言うと、男は彼女を鎖と首輪でベッドに繋いだ。
「そうそう、傷は明日治してやるよ。そう簡単に壊れられても困るからな。
まあ今日はせいぜい苦しむといい。」
含み笑いを漏らしながらそう言うと、彼は部屋を出て行った。
その夜、部屋からは少女のすすり泣く声が一晩中聞こえていた・・・。

184名無しさん :06/09/01 15:43 ID:hkpuM92g
付記:この少女――イリヤスフィールは、その後同じ聖杯戦争の参加者である衛宮士郎
に発見され、最寄りの病院へと搬送され、今では彼の家に保護されている。発見された
当初は全身を打ち身に覆われ、内臓はストレスにより傷付き、正に半死半生といった
状態であった。また、極度の精神的重圧に晒されていた事により言語能力も殆ど失われ
ており、意思疎通すら困難なほどでもあった。しかし衛宮氏の献身的な看病により、今
では以前の様に明るい性格を取り戻している。だが後遺症が全く無かったかというとそ
ういう訳でもない。以前の彼女に見られた、生命を軽んじるような残酷な言動が全く見
られなくなってしまったのだ。そればかりか、テレビのバラエティ番組で芸人がドツか
れているのを見た時ですら顔を青くしていたし、格闘技の試合が放送されているのを見
た時はしばらくトイレに篭もり嘔吐していたりと、「暴力」に対して過剰ともいえる恐怖
を抱いているようであった。やはり発見までの約一週間ほどの間に受けた暴力は少なか
らず何らかのトラウマを残しているのかもしれない。尚、その間に彼女がどのような責
め苦を受けていたかは、また別の話である。

185名無しさん :06/09/01 15:46 ID:hkpuM92g
おしまい。
169さんのアドヴァイスの通り責めを先に書いたが、
辻褄合わせるの結構辛いな・・・w 付き合ってくれた人ありがとう。

186名無しさん :06/09/02 08:36 ID:6lJPwmYA
良いね。

187名無しさん :06/09/07 18:06 ID:rcAEzREY
174〜185さんお疲れっす。良いSSが投下されれば
それに触発されて他の人もきっと良作を投下してくれる
はずだ。
ところで俺、何回かエロパロ板やSM板でSS書いてきたけど、
責められてる方の条件やシチュが限定されてたり、責める相手も
女性限定だったり、色々ストライクゾーンの狭いスレが多いんで、
趣旨に合ってれば、これからはこのスレに投下した方が良いだろうか

188名無しさん :06/09/07 18:12 ID:rcAEzREY
174〜185さんお疲れっす。良いSSが投下されれば
それに触発されて他の人もきっと良作を投下してくれる
はずだ。
ところで俺、何回か2chのエロパロ板やSM板でSS書いてきたけど、
責められてる方の条件やシチュが限定されてたり、責める相手も
女性限定だったり、色々ストライクゾーンの狭いスレが多いんで、
趣旨に合ってれば、これからはこのスレに投下した方が良いだろうか

189名無しさん :06/09/07 20:10 ID:4mw.wdW6
>>185
乙カレサマ

>>187
正直SMとかエロパロのSSってだけじゃなんとも。
ただ、別に張ったからといって罵倒されるほどギスギスした板じゃ(今のところ)ないから
とりあえず1本投下して様子見てみたら?

190名無しさん :06/09/08 02:35 ID:9.v6haY6
>>188
なんとなく女格闘家が戦いの末に凹られるのがメインっぽくなってるみたいだけど
前スレを見てみてもアクションホラーとか股間責めに特化したやつとか
密室でひたすらいたぶるやつとかもあったし、そんなにテーマを絞らなくてもいいんでない?

でも女性限定って事は、男性を責めるSSが書きたいとか?
俺個人的にはキツいけど、ショタスレ伸びてるし需要はあるんじゃないかな。

191名無しさん :06/09/08 02:44 ID:OqFkv9oM
読む側からすると、このスレは版権キャラメインなのが嬉しいな
エロパロのリョナ系専門スレはオリキャラが多いのが

192名無しさん :06/09/08 03:10 ID:9.v6haY6
そうだね。
知らないキャラでもググって見た目だけ確認したらリョナれるし。
オリが悪いわけじゃないけど、ビジュアル的に版権のが想像しやすい。

193名無しさん :06/09/12 19:43 ID:cPacJRlo
誰かD会ネタで一本書いてくれないかな…。
ああいうシチュで書きたい人多いんじゃないかなあ。
やっぱ原作者以外が勝手に書いたらマズいんだろうか。

194名無しさん :06/09/13 04:14 ID:T7Ic8Xnw
(くっ、魔法が効かないならこれで!)
王女は王子2人を屠ったアニマルキラーにありったけの毒蛾の粉を投げつけた。
袋にたっぷりと詰め込まれた毒の粉は、アニマルキラーの顔に当たると、はじけてその中身を撒き散らした。
しかし、怪物は毒には耐性があるのか、ひるむ様子すら見せなかった。
と、怪物が口を大きく開けると同時に、思い切り息を吸い込んだ。
たちまちにして、体の中心にある大きなライオンを覆っていた毒の粉が全てその口の中に吸い込まれていった。
それを見て、怪物に対抗する手段がないことを悟った王女は、最後の残された手を使うことにした。
逃走。
王女は怪物に背を向けると、暗い森の中を一目散に駆け出した。
しかし、アニマルキラーは、逃げる王女の背中めがけて、落ちていた人間の拳ほどの大きさの石を拾い上げると、思い切りなげつけた。
怪物の腕から放たれた石つぶては、風を切って王女に迫り、王女の腰に命中した。
それで走っていた王女はその場に転げた。
強打した腰に手を当てるようにして苦しむ王女に、アニマルキラーがゆっくりと歩み寄った。
王女は必死で立ち上がって逃げようとしたが、強く打たれた下半身は痺れたように感覚がなく、這うことさえもままならかなかった。
そうして怪物が眼前までやってくると、元々色白だった王女の顔が、更に青ざめ、蒼白になっていた。
不気味に生えた獣の腕は、先ほど王子たちを切り裂いた時の血でべっとりと濡れていた。
王女の歯がガチガチと噛み鳴らされた。
恐怖に震える王女に、アニマルキラーが金色に輝く毛で覆われた太い腕を無遠慮に伸ばして、体を持ち上げた。
逃れようとしてもがいた王女に、アニマルキラーが大きく口を開けた。
その口から、熱い息とともに、先ほどの毒蛾の粉が大量に吐き出された。
不意のことに、吐き出された粉をまともに吸い込んだ王女は、喉や肺に侵入してきた、焼けつくような異物感に思い切りむせ込んだ。
体全体が痺れるような感覚、それでいて、頭が割れそうなほどの頭痛、耐え切れないほどの吐き気、喉や肺を締め付けるような異物感だけがはっきりと感じられた。
毒粉は王女が咳き込むたびに新たに肺や喉に入り込んで、呼吸を妨げ、吐き気と頭痛を増長させた。
苦しい。
王女はそう思った。


195名無しさん :06/09/13 04:14 ID:T7Ic8Xnw
目に入った粉のせいで、ものはほとんど見えなかった。
それでも身体が揺れる感覚から、怪物は王女を抱えたままどこかへ移動していることだけはわかった。
心臓が空気を求めて激しく鼓動していた。
しかし、毒に犯された肺では十分な酸素を取り込めないまま、
怪物に抱えあげられた王女は、口をパクパクとさせていた。
その王女を突如浮遊感と、落下感が襲った。
耳に広がる音と、肌への感触が何かを伝える前に、王女の腹を下から強い衝撃が突き上げた。
怪物の拳で押し出された空気がガボと音を立てて出て行くと同時に、王女の肺に大量の水が流れ込んできた。
わからぬまま、反射的に顔をあげようとした王女を上から怪物が押さえつけた。
悶え苦しみ、身体を大きくゆさぶる王女を、がっしりとした6本の怪物の腕が動けないように捕まえていた。
顔を水に漬けたまま、王女がもがき苦しんだ。
と、王女を押さえつけていた力が突如として消えうせた。
王女は残された力を振り絞って水から顔をあげた。
そして、思い切り咳き込んだ。
ゲエゲエと水を吐き、咳き込みながら、王女は自分の目が開くことに気が付いた。
毒粉が水で流されたのだ。
そこは森の中にある湖のほとりだった。
目の前ではアニマルキラーが喉をかきむしってもがき苦しんでいた。
思い切り吸い込んだ毒蛾の粉が今になって効いてきたらしい。
と、今まで苦しんでいたアニマルキラーの身体が突如痙攣し、そして、固まって王女へと倒れ掛かってきた。
痺れて満足に動けない王女は、よけることも出来ずに怪物の巨体に身体のほとんどを押しつぶされた。
数百キロはあるだろう巨体の下敷きになった身体は、全く身動きが取れなかった。
密着したアニマルキラーの呼吸は止まっていた。
助かった。
王女は心の底からそう思った。
しかし、毒がまだ回っているため、頭はぼんやりしていて抜け出すための思考が全くまとまらなかった。
その王女の耳に、水のはねる音が聞こえた。
唯一自由になる顔を動かして、湖面を見た。
ピラニアン。
超大型の人喰い淡水魚が湖面を遊泳していた。
そして、その動きは明らかに水際にある王女の頭を餌と認識しているようだった。
円を描きながら、ピラニアンは徐々に王女へと迫ってきた。
王女が慌てて逃げようとするが、痺れた身体はいうことをきかず、アニマルキラーの
死体の下でただもがいていた。
哀れな王女は泣き叫び、悲鳴を上げ続けた。


196名無しさん :06/09/13 04:15 ID:T7Ic8Xnw
終わり

197名無しさん :06/09/13 07:10 ID:wp.Ib//c
GJ!責めの内容がすっげぇツボだわ‥‥。
ムーンブルグ王女と毒&水責めっていう取り合わせが絶妙で素晴らしい。
でもここのSS職人は折角書いたのにageない人が多いね。
まあ俺も書いた時はageなかったけど‥‥。

198名無しさん :06/09/16 16:03 ID:???
ところで、ここってどれぐらいまでの描写まで許されるの?
18禁じゃないから挿入とかはNGだろうけど、内臓とかもヤバいかな。

199名無しさん :06/09/16 16:39 ID:ppEzBxi6
誰か挿入書いてなかったっけ?
でもほんとはああいうのはまずいのか?

内臓は別にいいと思う。
ただ、そのことで叩く人は叩くと思うから、その覚悟だけはしておいた方がいいかと。

200名無しさん :06/09/18 13:19 ID:74SgXM2s
色々この板のSSを見てきたけど、挿入を含む陵辱があった事を
匂わせる程度に留めてるのが多いね。まあ書いちゃってるのもあったけどw
何か他にこれはやってはいけない、っていう事柄はあるのかな?

201名無しさん :06/09/18 17:20 ID:eMjVnBQE
ないんじゃない?
絵板と違って大絶賛されるほどの反響は得にくいけど、
好き勝手に書いても叩かれるほどのこともなく、せいぜいスルーされる程度で済むのがSSスレのいいところ。
ほんとまったりしたスレだなって思う。

202名無しさん :06/09/18 22:00 ID:74SgXM2s
投下ペースもホントまったりだよね。
一日に3作品投下された日もあれば、一ヶ月以上全く投下が無い時もあるし。

203141 :06/09/21 06:58 ID:ZDEoYcCQ
ttp://mizumizu.cscblog.jp/content/0000098244.html
ttp://mizumizu.cscblog.jp/content/0000098506.html

新しいの書いてます
時間があれば読んでやってください

204松本千 VS 最上美女丸 1 :06/09/21 13:58 ID:vT2ybjEA
風が稲穂を揺らしている。
千は村のハズレにある丘に立ち、金色に染まった田んぼを見つめていた。
初めて望樋村に来てから何年たったのだろう。
つづれ行く道を歩き、険しい峠を越えて仇を探したあの旅がつい昨日のことの様に思える。
他の用心棒たちはどうしているだろう?
ここに来てから移ろう季節を素直に受け止められる様になった、
千も村の人々と一緒になってこの土地で苦楽をともにしていた。
この村の風景はもう全て自分のもの。
今の千は仇討ちの為に生きていた剣士ではない。
だが…戦場に心を置き忘れたと感じる時が今でもある。
この村で感じる安らぎは嘘ではない…でも、再び剣を握りたいと思う気持ちも嘘ではないのだ。
「この道を行けば…隣国に抜けられる」
そう呟いた時…。
「……!?」
千は背後から殺気を感じた。
ゆっくりと後ろを振り向く。
その先には……一人の男が立っていた。
全身に白い着物を纏い、手には血の様に赤い牡丹の花が持たれている。
女の様に長い髪と、顔には白粉が塗られている。
男でありながら、どこか女性染みた姿だ。
男は不気味な笑みを浮かべて、千を見つめる。
その瞳には、どこか鋭さが感じられた。

205松本千 VS 最上美女丸 2 :06/09/21 14:25 ID:vT2ybjEA
「何者ですか…あなたは?」
千は男に尋ねた。
「俺…?美女丸…。最上美女丸って言うの」
美女丸と名乗った男は、手に持った牡丹を弄りながら答える。
「俺ね、望樋村の用心棒たちの話を聞いてきたの。あんたでしょ?野盗の頭領を
一太刀で倒したって言う女侍って…」
(私の事を知っている…!?)
美女丸のその言葉で、千は大体の事を察した。
美女丸の狙いは千だ。
千と戦おうと言うのだろう。
「あんた、自分が斬られた事…想像した事ある?」
「え…?」
何を言ってるのだろう、この男は。
千には、美女丸の言葉が理解できなかった。
美女丸は楽しそうに告げる。
「血がドクドク出てきて…いくら苦痛に耐えてもダメ、もう死ぬ事が分かってるからねぇ。
あっさり死ねればいいのに、死ねない。あんたその時、どんな事考える?」
「なっ!」
千は美女丸のその言葉に、一瞬たじろいだ。
今目の前にいる男は、明らかに人を斬り殺す事を、己の快楽としている。
千は、こんな輩を見た事は初めてだった。
だが、自分もこんな男の快楽の為に、死ぬつもりはない。
千は刀を抜いた。
「ねぇ、見てよコレ」
美女丸は自分の鞘に収められている刀を、千に見せた。
妙な事にその刀には…鍔がない。
「どうして鍔がないか分かる?…俺は受け太刀なんかしないの。一振りで
必ず動けなくしてあげる」
「随分自身がある様ですね…」
千は刀を構えるが、美女丸は手に持った牡丹を弄るだけで、全く構えようとしない。
暫くの沈黙が続く。
そして・・・・・・・・千が地を蹴った。
「ちょらーーーー!!」
千は咆哮し、美女丸に斬りかかった。
だが、美女丸はそれをヒョイとよける。
今まで千の剣技を避けられた者はいなかった。
しかし、その技を美女丸はあっさりと避けた。
「くっ、早い!」
千が刀を構え直そうとした時…。
右腕に激痛が走った。
腕を見ると……千の右腕を、内部の筋ごとパックリと斬り傷が出来ていた。
「あ……!」
「気付かなかった?斬られたって事…」
そんな馬鹿な!
避けられた瞬間、美女丸に斬られたと言うのか!
千には、美女丸が刀を抜く素振りすら見えなかった。

206松本千 VS 最上美女丸 3 :06/09/21 15:42 ID:vT2ybjEA
「あああああああああああああああああああ!!!」
千は、動きの効かない右腕を無理やり振るい、刀を振り下ろした。
だが、美女丸はそれをヒョイと避け、がら空きの千の背中に一太刀を浴びせた。

ザシュッ!

「あぐっ!!」

千が地面に倒れる。
痛みに耐え、千は身体を起こす。
美女丸はそんな千の姿を楽しむかの様に、ニヤニヤしている。
「はああっ!!!」

ビュッ!

千は美女丸に刀を振り下ろすが、結果は同じ。

ザンッ!

「ぐぅう!!」

更に左肩を深く斬られ、千が地面に倒れる。
「ぁう……うぅ…ぐうぅぅ…」
千の着ている着物は、己の血で、殆どが紅に染まっていた。
どれだけの血を流しただろう、視界がボヤける。
それでも千は立ち上がり、美女丸を睨み、フラフラになりながらも刀を構える。
「うぅぅぅ……あああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
千は重い身体を無理やり動かし、地を蹴って美女丸に斬りかかった。

ザシュッ!

「………がっ…!」
美女丸のほうが早かった。
彼の刃は、千の首筋を一瞬で斬り付けていた。
千の裂けた首から血が噴出する。

ズンッ!!

「がはぁっ!」
美女丸の刀が、千の腹を貫き、背中を突き抜けた。
千の口から血がこぼれてきた。
美女丸は刀を千の腹から抜き、千はそのまま地面に崩れ落ちた。
もはや千には立ち上がるどころか、起き上がる気力さえ残っていなかった。
「ぁ…ぁう……」
ぼやける視界の中、千の目の前には、望樋村の門が見える。
あの村には兄上がいる。
私の帰りを待ってくれる兄上がいる。
それなのに…それなのに…
(私はもう、兄上の顔を見る事ができないの…?村に帰る事ができないの…?)
千の目から涙がこぼれる。
もう兄上に会えないのかと言う無念と、武士としてこんな屈辱を受けた悔しさとが入り混じった涙だ。
美女丸は、そんな千の姿を楽しむかの様に言う。
「ふふふふ…痛いよね?苦しいよね?村に帰りたい?お兄さんに会いたい?でも、それももう駄目。
じゃあ早く死にたい?それも駄目、簡単には死なせないよ」
「ぁ……ぁああ…」
口からゴボゴボと血を吐きながら呻く千に、美女丸は絶望的な言葉を浴びせる。
その時だった。

ズンッ!

「あ……!」
突然現れた何者かが、千の背中を刀で一突きにした。
その刀は心の臓まで深々届いていた。
「あ…に…ぅ……ぇ…………       」
最後に呟き、千は動かなくなった。
千に止めを刺した忍装束の男は、美女丸を睨み付けた。
「お前いい加減にしろよ…!もう勝負はついてんだろ!!」
「こ……こ…このサル〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
美女丸は怒りを露にし、男に斬りかかった。
だが、男はそれを軽々と避ける。
「人の楽しみの邪魔立てすると、あんた死ぬよ!?」
「やって見ろ…お前のその悪趣味には虫唾が走るんだよ!」
「……ち!」
美女丸は刀を下ろした。
「まぁ、とりあえずこれで一人目…。今度の子はもっと強いのかな」
そう言うと、美女丸は懐から一枚の紙を出した。
紙には、六人の名前が書かれている。

松本千

小山内鈴

熊坂乙音

古久保凛

円海



美女丸は刀に付いた千の血を指で拭い、血で「松本千」の文字の上に横線を引いた。
美女丸は刀を鞘に戻し、紙を懐にしまい、その場を立ち去った。
それを見送った男は、既に動かない千を見つめ、言った。
「お前は立派に戦った。正直お前の兄が羨ましいよ。お前の様に強くて立派な妹を沢山持って…」
言い終えると、男は風の様に消えるのだった。

そよ風が舞い、田んぼの稲穂が揺れる。
その場所には、千の亡骸が残された。

207名無しさん :06/09/22 17:34 ID:1BUNFhxU
敗北が決まった相手を更に嬲るのはやっぱ良いね。
でも出典を書いてくれると更に嬉しい。ググったけどあずみでいいのかな?

208名無しさん :06/09/23 00:27 ID:glZufzB6
>>206
七人の妹のパロとはマニアックなものを!
傷を負っても健気に立ち向かう千の姿GJでした。
”強くて立派な妹”が次々と散っていくような続きも出来ればお読みしたいです。


209206 :06/09/23 01:35 ID:SaVTOaNc
>>207
感想有難うございます。
はい、これは「七人の妹」と「あずみ」をクロスさせたものです。
ちなみに千にとどめを刺したのは飛猿ですよ〜。
殺す側の相手は美女丸の他にも羅刹鴉もリストに上がってたんですが、
羅刹鴉は人数が多いのであっさり終わりそうでしたので、侍のプライドを
踏みにじる事を楽しんでいる美女丸にやらせる事にしました。

>>208
おぉ、「七人の妹」をご存知で!?
(傷を負っても健気に立ち向かう千の姿GJでした)
気に入って頂けた様でありがとうございます〜。
美女丸に片っ端から”強くて立派な妹”達を殺させようかと思ってます。
さぁて、二人目は誰にしようかなぁ〜(ニヤリ)。
ちなみに…あえてお蘭は除外しました。
遊女ですし、刀とか使えませんしね…。

210名無しさん :06/09/23 22:48 ID:GrUGd92Y
誰か、少しでいいから書いてくれ orz
http://game10.2ch.net/test/read.cgi?bbs=gamefight&key=1158065285

211名無しさん :06/09/24 13:38 ID:kBd.gOUs
>>206
「七人の妹」でググってきた。
…おいおい、こんな可愛いキャラのリョナられシーンを書くなんて
マジでGJだぜ!欲を言えばもっと嬲って欲しかったが、実力差の
ある相手に果敢に立ち向かっていく様はかなり萌えた。
二人目も書いてくれるなら期待してます。

あと、職人の人に質問なんだけど、スレが上がってるのと
下がってるのではどっちの方が書き込みがしやすい?
俺も一回書いた事あるんだけど、何か気恥ずかしくてsageちゃったな。

212名無しさん :06/09/24 14:26 ID:XNh9iCs.
別に無理して上げるほど投下が頻繁にあるわけでもないし、書いた人の判断でその時その時でageときゃいいんじゃない?

213名無しさん :06/09/24 17:22 ID:e2pxC4mI
210で萌える戦いが行われているな。このシリーズいいね。

214名無しさん :06/09/24 18:53 ID:XNh9iCs.
あそこのスレでGJ言ってるのってここのスレの住民じゃないのか?w
よくよくログ読んでみたらSSもリョナも全然関係ないスレじゃないか

215名無しさん :06/09/24 22:13 ID:e2pxC4mI
>>214
一応強さを決めるっていう説得力のある方法=SSって流れで・・
それはそうと続きが楽しみだ。明日仕事だけどがんばっておきとくよ。

216名無しさん :06/09/24 22:29 ID:XNh9iCs.
寝てくれw
次のやつはリョナ色そんなないよw

217名無しさん :06/09/25 03:16 ID:KDP/1j9k
>>216
リョナ抜きでも十分よいデキだった・・最後に試合もぜひみたい内容だ。
あっちじゃなくてもせめてこっちにでいいので書いてほしい。
ぜひリョナ開放Verで^^

218円海と霞 無念 1 :06/09/25 10:45 ID:QPldPlSo
 松本千の死の報せは猿飛によって、主である井上勘兵衛の耳に届いた。
「最上美女丸は恐るべき使い手の手錬れ…。松本千をいとも簡単に討って倒しました」
猿飛は見たままを勘兵衛に報告。
だが、猿飛はふと呟いた。
「しかし私は…とてもあんな男、好きにはなれませぬ…。むしろ嫌いです」
「まぁ、そう言うな」
勘兵衛は猿飛を宥める。
「それよりも飛猿…。その打ち倒した女侍を含む望樋村の用心棒の中に…
とんでもない者が混じっておったのが分かったぞ」
「とんでもない者?」
「これをみよ。その者2名の人相書きだ」
勘兵衛は猿飛に2枚の人相書きを手渡した。
そこに書かれていたのは、二人の少女の顔。
1人は、長い髪を後ろに束ねたくノ一。
もう1人は…。
「これは……明智家の春姫!?」
「うむ…。明智の血筋は既に絶えたものかと思っておったが、春姫だけ
生き延びておったのだ…」
「して、もう1人のこの女子は?」
「そやつは名を霞と言う。半蔵の下におった伊賀の忍じゃ」
「伊賀が明智の者と…。では、こやつは抜け忍…!?」
「間違いあるまい。恐らく、この二人は明智家の復興を試みておる」
明智の姫が生きていた…。
春姫は本能寺の変にて、明智軍と共にいたと言う。
だとすると、本能寺の変の真実を知っているたった一人の人間だ。
「清正様がおっしゃっていた。『明智の姫が生きているとなると、いつどんな事で
本能寺の変の真実が世間の漏れるか知れぬ。ましてや御家復興を成功されては、色々
と面倒な事になる』とな」
「……では、お次は明智の姫を…?」
「うむ、清正様直々の命じゃ。刺客をつかわし、明智の血族とそれに加担する者を討ち取れとな」
勘兵衛の言葉を理解した猿飛はすくっと立ち上がる。
「標的に忍がいるとなれば、私が向った方が宜しいですか?」
「いや…既にその任を引き受けた者たちがおる。上野甲賀衆がな」
「あの者たちを…」
「あの者たちは、暗殺を専門とする忍。あやつらが適任であろう」
勘兵衛は不敵な笑みを漏らしながら、猿飛に答えるのだった。

219円海と霞 無念 2 :06/09/25 11:09 ID:QPldPlSo
 円海と霞は、深い森林を歩いていた。
円海の真の名はお春。
豊臣勢によって滅びた明智家唯一の生き残り。
今は円海と名を改め、虚無僧として生きている。
霞は、徳川の忍・服部半蔵が率いる伊賀衆の忍。
だが、それも今となっては過去の話。
円海と共に、明智家復興を試みる仲間同士である。

「ふぅ〜…。少し歩きすぎたの。少し休憩にいたすか」
「あぁ…俺も疲れた」
円海と霞は汗を拭い、近くにあった岩の上に腰掛けた。
荷物の中にある握り飯を二人で食う。
二人は、望樋村での出来事を思い出していた。
「そう言えば、この場所であったな。おぬしと拙僧が出会ったのは」
「そうだったな…。俺…ここ覚えてる」
「何と言って襲い掛かって来たのであったか…?あぁ確か『姉の仇』と申しておったな」
「あぁ。でもそれ、嘘。俺に姉はいない。天涯孤独」
「そうであったかな?」
円海が笑いながら、霞に言い返す。
「姉がおらずとも、今は兄上殿がおろうに」
「あ……」
そうだった。
初めて望樋村に来た時、義兄である平次郎は自分達を妹だと言ってくれた。
最初はその場しのぎで出た言葉だったが、彼は自分達を本当の妹の様に思ってくれた。
そして、自分達も彼の事を兄と思う様になった。
「今頃どうなさってるのであろうな、兄上殿は」
「円海、お前…また兄様に会いたいか?」
「無論じゃ。霞、おぬしは?」
「俺も会いたい。またあの村に…兄様のいるあの村に戻りたい」
「そうじゃな…。その為にも、一刻も早く明智家の復興を果たさねば」
「あぁ…。…………?」
その時だった。
霞は何かの気配を感じ取った。
「どうした、霞?」
「悪い円海…。俺…ちょっと厠」
「何じゃはしたない。ではこの近くで済ませて参れよ」
「あぁ、すぐ戻る」
霞はそう言うと、一旦円海の元を離れた。

220円海と霞 無念 3 :06/09/25 12:23 ID:QPldPlSo
霞は円海のいる場所から遠くない森へ離れた。
何やら妙な気配を感じたからだ。
この辺りに誰かがいる。
恐らく、自分と同じ忍だろう。
「どこにいる…出て来い」
霞が叫ぶ。
だが、返事がない。
しばらくの沈黙が続く、その時だった。

ヒュンヒュンヒュン!

沢山の細い糸が霞の周りにある木々に結び付けられた。
それはまるで、蜘蛛の巣の様に。
「くっ!」
その場を脱しようと霞が短刀で糸を切ろうとする。

キュインッ!

だが、その糸は切れず、霞の刃を跳ね返した。
この糸は鉄の様に固い。
簡単に人の肉体を切り刻む事が出来る。
「こんな事が出来るのは…1人しかいない。…土蜘蛛だな」
「ご名答」
霞の後ろから声がする。
振り向くと、そこにいたのは、1人の男がいた。
男の名は土蜘蛛。
暗殺を専門とする上野甲賀衆の忍の1人だ。
毒を仕込んだ鉄の様に固い糸で、敵を倒すという芸当を持つ忍である。
「土蜘蛛、何故俺を狙う…」
「お前だけじゃない。春姫も標的の1人だ」
「円海まで…?何故だ」
「お前達に明智家を復興させられたら困る方がいるのでな。明智家の血筋とそれに加担する者を
討つのが、俺の課せられた使命なのだ」
「……やってみろ」
霞は刃を構える。
「はっ!」
霞は刃を振るい、土蜘蛛に切りかかる。
だが、土蜘蛛は辺りに巻かれた糸を辿って、それを簡単に避ける。
「腕が落ちているな、霞。望樋村でのんびりし過ぎたせいか?」
「黙れ!」
霞が怒りの形相で土蜘蛛に切りかかった。
やはり避けられ、更に、

ピシッ!

「っ!?」
腕に痛みが走った。
張られた糸が霞の腕を掠めたのだ。
腕に小さな切り傷ができている。
「……!?」
突然霞の視界がぼやけ始めた。
「掛かったな霞。俺の糸に」
土蜘蛛が不適に笑いながら言う。
そうだった。
土蜘蛛の糸には、毒が仕込まれているんだ。
毒に触れれば、全身がしびれて動けなくなる。

221円海と霞 無念 4 :06/09/25 12:23 ID:QPldPlSo
霞の身体が重い。
毒が体内に回る。
「くっ……はぁ!こ…こんな…所で…俺は…死なない」
霞は毒で重くなった身体を無理矢理起こす。
「死にたくない…!俺達にはまだ…やりたい事が…ある」
「ふん。明智家の復興か?」
「違う!」
土蜘蛛の言葉に霞は叫ぶ。
ぼやける視界の中、霞はふらつきながら言う。
「俺…達には、兄様と定めた…男が…いる。だから…俺達は…せめ…て…兄様に会うまでは
……絶対に……死ぬわけには…いかない!」
「ふん、たった一人の男の為という訳か」
土蜘蛛が霞の言葉を鼻で笑う。
「だが、それももう叶うまい。何故なら…お前達はここで死ぬのだからな!」
「くっ…あああああああああああああああああああああああ!!!!!」
霞が咆哮し、土蜘蛛と激突する。
だが、毒の回った身体のせいで、動きが鈍る。
斬撃を次々にかわされてしまう。
霞がよろけて、地面に倒れる。
毒がどんどん霞の身体を蝕んでいる。
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…!」
霞は痺れる足を動かし、意地でも立ち上がる。
「はぁ…はぁ…お…俺…達は…絶対に死ぬ…わけ…に…は…いか…な…い」
「そんな身体で何が出来る」
「はぁ…はぁ…く…ああああああああああ!!」
霞が叫び、刃を振り下ろす。
だが、刀を弾かれ、それが霞の手から離れる。
瞬時に、土蜘蛛は霞の肩を掴んで、木に背を付けさせ…

ズンッ!

「ぐふぅっ!!」
手に持った刀を霞の腹に突き刺した。
「ぁ…が…!ぐ……!」
刃の突き刺さった霞の腹から血が滴り落ちる。
「これまでだな…。ふんっ!」
土蜘蛛は霞の腹に刺さった刃を、もっと奥深くに突き刺した。

ズブッ!

「うっ…ゴボォッ!」
霞の口から血が吐き出された。
「ぅ…ぁああ…!ぁぐ…」
霞の口からかすれ声が漏れる。
刃が内臓まで達し、声がうまく出せない。
そして、土蜘蛛は更に刃を奥深くに突き刺した。

ズブシュッ!

「がはぁっ!!」
霞の腹を貫き、背中を突きぬけ、霞の背にある木まで突き刺さった。
「ぁぐ…!ゲボッ…ゴボッ」
霞の口からまた血が大量に吹き出す。
霞の腹から流れた血で、地面も真っ赤に染まっている。
息も絶え絶えな状態で、霞はうわ言の様に呟く。
「ぁ…兄様…」
優しかった兄・平次郎。
孤独だった自分に初めて絆というものを与えてくれた兄・平次郎。
平次郎や、円海を含めた他の妹達との生活が脳裏をよぎる。
出来る事なら、またあの村で兄と一緒に暮らしたかった。
円海達と一緒に、兄と一緒に暮らしたかった。
だが、それはもう叶いそうにない。
霞の目から涙が零れ落ちる。
「兄様……俺…もう一度……兄様に…会い…た…か………  」
霞はそう呟いた後、ガクリと頭を垂れ、完全に息をしなくなった。
霞が事切れたのを確認すると、土蜘蛛は霞の腹から刀を引き抜いた。
亡骸となった霞の身体は地面に倒れ伏した。
土蜘蛛は霞の血がべっとりと付いた刃を布で拭い取り、鞘に収めた。
そして、懐から霞の人相書きを取り出すと、それをビリビリに破り捨てた。
土蜘蛛は後ろに控えていた下忍に告げた。
「こっちは終わった。春姫をやるぞ」
「はっ」
そう言うと、土蜘蛛はその場を後にした。

森には、蜘蛛の糸の様に張り巡らされた鉄の糸と、破り捨てられた霞の人相書き。
そして、霞の亡骸だけが残された。
既に事切れた霞の腹から未だに流れる血が、地面の土を紅に染めていた。

222円海と霞 無念 5 :06/09/25 14:39 ID:QPldPlSo
「遅いのぉ…。霞のヤツめ、いつまで用を足しておるつもりじゃ?」
円海は足をブラブラさせながら呟いた。
「厠に行く」と言っておきながら随分経つ。
さすがに遅すぎる。
何やら嫌な予感がする。
「まさか…霞の身に何かあったのではあるまいな…!?」
その時だった。
背後から殺気!
「でやあ!!」
忍装束の男が背後から円海に斬りかかった。
「くっ!」
間一髪で交わした円海は袖口から吹き矢の筒を取り出した。
「ぷぅっ!」
吹き矢を吹き、筒から毒針が放たれる。
針は忍に命中し、忍は一瞬にして絶命した。
だが、敵はそれだけではなかった。
左右に、同じ装束の者達がうじゃうじゃと現れた。
「その方ら…何者じゃ?」
「明智家の姫君・お春。その命…貰い受けに参った」
「何…!?」
自分が明智の姫である事を知っている!?
「何故拙僧の正体を知っておるのじゃ!?」
「その顔に知らぬ筈はあるまい。春姫」
後ろから声がする。
振り向くと、忍達の前には、井上勘兵衛の姿があった。
その後ろには、最上美女丸が控えている。
「貴様は…井上勘兵衛!では、この忍達は加藤清正の差し金か!」
「貴方は我が殿の天下の妨げになる故、貴方には死んでいただかねばならぬ」
「妨げじゃと…?」
「貴方は本能寺の変の真実を知る明智家の唯一の生き残り。明智家の復興をさせるわけには参らぬ」
「…なるほど。口封じというわけか。……ん?」
となると、この忍達は随分先から自分達を狙っていた事になる。
そして、どこかへ走り去り、戻ってこない霞。
まさか!
「霞は…どうしたのじゃ?」
「あのくノ一か?既にこやつら上野甲賀衆の者が始末した」
「何じゃと!?」
勘兵衛の言葉に、円海は声を上げる。
「あの子…俺が斬りたかったのにな…。あの女侍みたいに」
「女侍…?」
円海が美女丸の言葉に耳を傾ける。
「松本千って言ったかな…。なかなか良い死に方してくれたよ?苦しみながらね」
「千殿を!?」
千まで死んだと言うのか。
平次郎と義兄妹の契りを交わした義妹が二人も死んでしまったとは。
円海は膝をついて絶句する。
勘兵衛は円海に言う。
「安心するが良い。すぐに再会させてやる」
「……る…さん」
円海の肩が震える。
小声でブツブツと呟いている。
「何?何と申された?」
「許さん…」
円海がゆっくりと立ち上がる。
そして、怒りの形相を勘兵衛に向けた。
薙刀を構え、怒号を浴びせる。
「拙僧らの義兄妹をよくも!貴様ら、断じて許さぬぞ!」
薙刀を振り回し、円海は勘兵衛達に向って疾走した。

223円海と霞 無念 6 :06/09/25 15:17 ID:QPldPlSo
「あああああああああああああああああああああっ!!!!」
円海のその怒りは激しいものだった。
薙刀を古い、忍達を次々と薙ぎ倒していく。
大事な義兄妹を二人も殺された。
共に戦ってきた義兄妹を二人も殺された。
それに対する円海の怒りはとても大きかったのだ。
そのあまりの強さに忍達は一瞬たじろぐ。
「何と言う強さだ…!」
「女だからとて油断ならんな…!」
円海は息をゼェゼェと吐きながら、敵陣に向っていく。
だが、それが仇となり不意をつかれた。

ドシュッ!

「ぐっ!?」
忍の1人が後ろから、円海の背中に刀を突き刺した。
刀は心臓まで達した。
「ぐぶっ…」
円海の口から血がこぼれる。
「ぐ…ぅぅ…でやああああああああ!!」

ズバァッ!


だが、円海は力を振り絞り、薙刀で背後の忍を叩き斬った。
背中に刺さった刀を自分で抜き取り、右手両手に薙刀と刀を持つ。
「怯むな、かかれ!」
忍達が円海に斬りかかる。
「はぁ…はぁ…ああああああああああ!!!!」

ザンッ!ザシュッ!

円海は薙刀を足場杖代わりにして自らの身体を支え、刀で忍を斬り倒す。
だが、圧倒的に数が多すぎた。
そして………

ズンッ! ザシュッ! ドシュッ!

「が……!」
忍達が円海の周りを取り囲み、いっせいに円海の身体に刀を突き刺した。
「ぅぐ…がはっ!」
円海の口から血が吹き出す。
心臓を貫かれ、息も絶え絶えな円海。
勘兵衛に近づき、手に持った刀で勘兵衛に向って斬ろうとするが…
刃は勘兵衛には届かず、円海はそのまま地面に倒れ伏した。
「………」
美女丸が倒れた円海をじっと見る。
円海は既に虫の息。
彼女の羽織っていた法衣は血に染まり、地面の土を赤黒く染めていた。
もはや円海は助からない。
美女丸は何も言わずに、手に持った牡丹を円海の上に放り投げた。
忍達がゆっくりと円海に近づく。

(拙僧は…もう死ぬのか…。明智家復興を果たせぬまま…兄上殿と再会出来ぬまま…)
円海の虚ろな目から涙がこぼれる。
「ぁ…に…ぅ…ぇ……」
それが円海の最期の言葉だった。
そして、忍達はとどめを刺さんとばかりに、虫の息の円海にいっせいに刀を突き刺した。

ザシュッ! ドシュッ! ザクッ! ズシュッ!

血に塗れた屍と化した円海を見下ろし、勘兵衛は、
「引き上げるぞ」
そう言い、忍達と共にその場を後にした。

224206 :06/09/25 18:53 ID:jpqBC16M
今回は「七人の妹」と「あずみ」のクロスの第2弾。
明智の姫君・お春(円海)の生存を知った加藤清正が、家臣の井上勘兵衛経由で
円海と霞を殺すというEPです。
さすがにヒロイン全員を美女丸に殺させるのには無理があるので、
今回の円海と霞は上野甲賀衆に殺させました。

225名無しさん :06/09/25 23:48 ID:KDP/1j9k
ID:XNh9iCs たん、もう鉄拳ネタは書いてくれないのかな・・
最後の1試合を楽しみにしてまつ。ファンになってしまった。

226名無しさん :06/09/26 02:47 ID:???
>>224
乙〜。
ぶっちゃけ原作知らないけど、背景の説明とか丁寧で楽しく読めた。
円海って坊さんみたいなキャラを想像してたが…全然違うんだな。

>>225
他スレの話題はそっちに書き込んだ方が良いんじゃない?

227名無しさん :06/09/26 11:10 ID:clgr6qnI
>>224
投稿時間が・・・
もしや書きながらリアルタイムで書き込んだのか!?
1日でこんだけ書いてしまうなんてすげえ

>>225
別にレスすることは義務じゃないとは思うけど、
その日投稿されたものが直前のレスにあるのに完全無視で別の人にリクはちょっと失礼だと思う

228名無しさん :06/09/26 13:14 ID:???
>>227
そうゆうつもりじゃなかったんだ、不快な思いした人、すいません。
4回戦中3回も書いてくれたから最後の1回も書いてほしいって思ったの。

229名無しさん :06/09/26 14:57 ID:???
http://www.thecount3.com/

230名無しさん :06/09/26 14:59 ID:???
>>228
大丈夫、俺も待ち続けている一人だから 誰か気が向いたら書いてください

231名無しさん :06/09/26 18:26 ID:???
向こうはどうもスレ違いっぽいからこっちに投下。
それではさようなら。

232名無しさん :06/09/26 18:27 ID:???
時計が零時を回って日付が変わった。
これから18時間後、つまり、今日の午後6時にアンナとパンダの試合が行われる。
選手達は基本的には主催者側の用意したホテルに泊まっているのだが、パンダだけは流石にそういうわけにもいかず、大会会場の控え室の1室に組み立て式の檻を持ち込んで、宿舎の代わりとしていた。
会場にはすでに観客も選手もいなくなり、警備員が定時ごとに見回りを行う以外には人影もない。
その明かりも消された会場の通路を、闇と同化した黒ずくめの影が歩いていた。
「フフフ、あの女と同じことをするのはシャクだけど、あんなでかいパンダなんか相手にしてられるものですか」
顔を覆面で覆っているが、その声は間違いなく今日のパンダの対戦相手のアンナ・ウイリアムズだった。
「ここね」
アンナは目的の部屋の前に到着すると、ポケットから束になった鍵を取り出して、鍵穴に差し込んだ。
カチャリという音がして、ロックが外れる。
「後はこの毒入りリンゴを檻の中に・・・」
覆面の下でアンナがニタリと口の端を吊り上げた。
アンナは音を立てないようにゆっくりとドアを開け、廊下同様真っ暗な部屋の中に進入した。
部屋の中には、暑さを嫌うパンダのためにエアコンがかけられていたが、それでも独特の獣臭が部屋の中を漂っていた。
夜目の効くアンナは、ゆっくりとではあるが、しっかりとした足取りで部屋の中央にある檻へと向かった。
その時、ギイと金属の軋む音が聞こえた。
「え!?」
アンナは驚愕した。
カギがかかっているはずの檻の扉が開き、中から巨大な塊が出てきたからだ。
檻から現われた影――――巨大なパンダは眠りを妨げられた怒りの目でアンナを発見すると、咆哮をあげた。
そのまま2本足で直立したパンダはアンナに向かって襲い掛かった。
「ちっ!なんてこと!」
戸惑いながらも、殺気に反応したアンナの身体は素早く身構え、迫り来るパンダを迎え撃った。
「ふひゅっ!」
腕を振り上げたパンダの胴に、アンナの鋭い前蹴りが吸い込まれていった。
しかし、常人ならば悪くすれば内臓破裂、よくても反吐を撒き散らして悶絶するだろうその蹴りは、パンダの分厚い筋肉の前に弾かれた。
「ゴォォォォ!」
たけり狂ったパンダが、前脚を振り下ろす。
とっさにアンナが腕を上げて頭部をかばう。
強烈な衝撃がアンナの頭部を襲った。
ガードの上から降り注いだ暴風雨のようなパワーがアンナの身体を吹き飛ばし、壁に叩きつけた。
「くっ・・・こんな・・・」
壁に手を着いてヨロヨロと立ち上がるアンナにパンダが四つ足をついて勢いよく突進した。
避けきれずにパンダと壁の間に挟まれるアンナ。
ズウンという地響きのような音が部屋全体を揺るがした。
「ガハッ・・・ゴホッ・・・」
挟まれた勢いでアンナの肋骨が5,6本まとめてへし折られていた。
パンダは倒れ込みそうになるアンナの服に器用に爪を引っ掛け、無理やり立たせると、もう一方の前脚でアンナの顔を殴りつけた。
「あ・・・う・・・ヒィ・・・」
床を転がったアンナが、はいずるようにして部屋から逃げ出した。
しかし、パンダがその背中にのしかかり、アンナを押しつぶした。
そのまま、異変に気付いた警備員がやってくるまで、アンナはパンダに床を転がされ、叩き伏せられていた。

「では、了解いたしました。お大事に」
怪我を理由に、次の試合の棄権を大会運営に届け出たニーナは、途中で果物屋によってフルーツのバスケットを買うと、ホテルの自室へ戻った。
テレビをつけると、アンナの不正行為および負傷でパンダが勝ち上がったことがニュースで報じられていた。
ニーナはテレビを消すと、ポケットから小さな鍵を取り出し、ゴミ箱に投げ捨てた。
それから、先ほど買った果物のかごに、小さなリンゴを1個加え、鼻歌を歌いながら妹の見舞いに出かけた。

233名無しさん :06/09/26 20:19 ID:???
さすが姉は1枚上手ですね。さすがのデキです。もっとボコボコにしちゃっていいくらいです^^
それにしてもお疲れ様です。

234名無しさん :06/09/27 15:31 ID:CSWn1H2g
>>232


235名無しさん :06/09/27 16:37 ID:???
いいねぇ!

236名無しさん :06/09/27 23:18 ID:???
>>232
正直感動した
このクオリティでアンナVSブライアンとか読めるなら
金払ってもいいくらいのデキだ
涙で画面がみえないよ

237アナコンダINジャパン :06/09/30 11:25 ID:???
今日は大学生活初めての夏休み、最後の日だった。
だから私は友達五人(真紀、梨佳、友恵、千秋、彩)を誘ってどこかへ行こうと提案した。
それで、みんなで相談した結果ある人里離れた湖へと行くことになった。
楽しいピクニック、そんな軽い気持ちで行くつもりだったのにまさかあんなことになるなんて夢にも思わなかった。

臨時ニュ−ス。
××湖にて、巨大アナコンダ出現。体長30メ−トルを超す、希に見る特別変異種。
危険なため、この湖には決して近づかない様に。

このニュ−スは私たちがピクニックへ行った翌日、急遽どのテレビ番組も中断しこれを放送し続けた。
でも、私たちにとってはそんなことどうでもよかった。
なぜなら、このニュ−スの目撃者は私たち自身なのだから。
そして、私たちはすでにこの世にはいなかったのだから。



昼。
だいたい、太陽が真上に位置するぐらいに私たち六人はこの湖に着いた。
その湖は水が青々と透き通っていて、思わず感嘆の声を上げてしまうぐらいだった。
ただ一つ、気になったのは魚が一匹も泳いでいなかったこと。奇麗な湖なのだから、おかしいと思いつつも湖の底が深いため、見えないのかなとその時は思うことにした。

近くにたまたまボ−トがあったため、無断であったが私たちはそれを借りることにした。
ちょうど二つあったため、三人ずつ別れて乗ることになった。
私と真紀、梨佳。友恵と千秋、彩。
それぞれ、ボ−トへ乗り込んだ。

湖の中心部辺りまで、ボ−トを進める。
楽しくおしゃべりをしながら、過ごしているとそれは突然、何の前触れもなく起こった。

大きな水シブキと共に、友恵・千秋・彩が乗っていたボ−トが転覆したのだった。

「え?何!?」
「きゃぁ!!」
あまりにも突然のことだったので、私も含めて何も動けなかった。
しばらくすると、海面から友恵、彩が浮かび上がってきた。
でも、千秋だけがどこを見渡しても見つからない。
友恵と彩が、私たちのボ−トへ乗り移ったとき、ようやく千秋の姿が確認できた。
「ギシャァァァァ!!」
轟くような叫び声と共に浮かび上がってきたのだ。
胴回りだけでも私たちの身長を遥かに超すだろう。三十メ−トル、いや、実際に測ったら四十メ−トルは越えるあまりにも大きすぎる巨体。それは捕らえた獲物を決して離さない、そして、もう一つ獲物を見据える威圧感のある眼光。
巨大蛇、又の名を人食い蛇、アナコンダ。
映画なんかではよく登場し、その存在だけは知っているがもちろん実際に見たのは初めてだった。しかも、映画で登場したものより遥かに上回る巨体というオマケ付きで。

アナコンダは千秋の体にあっという間に巻きついた。彼女の両足から首元まで余すことなく何重に、そのあまりにも細長い体を利用して。
そして、彼女の――千秋の華奢な体を締め付ける。
「あがぁぁぁ……」
千秋の悲痛な声が私たちの耳にも聞こえてきた。
同時にパキパキという音も聞こえてくる。小枝が折られたようなその音は間違いなく千秋の体中の骨が砕けている音だろう。
その痛々しい光景を私たちは見ていることしか出来なかった。
「…………!!」
ついに千秋は何も声を出せなくなっていた。口を金魚みたいにパクパクさせて、押しつぶされた肺へと必死に空気を取り込もうとしている。
千秋が私たちの方を向く。
激痛に耐えながら、
なんとか意識を失うのをこらえて、
涙まじりの顔で、
必死に助けを求めるように私たちを見た。

そんな彼女を見ても、私たちは驚愕と恐怖で誰一人として体が動かなかった。

千秋の元々、華奢な体がさらに細くなっていく。
すでに千秋の全身の骨は粉々に砕かれているだろう。でなければ、こんなに細くはなってこないだろう。
それを見越したのか、アナコンダはとどめと言わんばかりに千秋の体を無理矢理ねじり曲げた。
ゴキっという音がしたかと思うと、千秋の口から大量の鮮血が飛び出した。

そして、アナコンダがゆっくりと締め付けを解いていく。
締め付けを解かれた千秋の体はぐったりとしていて、両目は見開いている。しかも、水面を漂っているだけで何一つ動かない。
腕が、肘が、首があらぬ方向へと曲がって、
人間としての原型を留めていなかった。
千秋はアナコンダに――締め殺されてしまったのだ。

映画さながらの今の現実に、私たちはさらなる恐怖を覚えた。




238アナコンダINジャパン :06/09/30 11:27 ID:???

千秋を締め殺したアナコンダは次に私たちへと標的を変えた。
その巨体に全く似合わない素早さをもってして、私たちのボ−トへと向かってくる。
「早く上がって!!」
私は未だボ−トに上がれきれていない友恵の手を掴んで、彼女を引き上げようとした。
だが、それよりも早くアナコンダが友恵の足元まで来ていた。
いきなり友恵が、ものすごい力で水中へと引きずり込まれた。私は簡単に友恵の手を離してしまった。
そして、友恵は何秒経っても水面に上がってくることはなかった。
ぶくぶくと水面に泡ぶく泡も消えつつあった。

「と、とにかく。早くここから逃げよ!!」
彩が泣き叫び、真紀がそれを少しでも慰めようとしている。
梨佳が私に声をかけ、ボ−トを動かす。
岸へはどこをどう行っても、百メ−トル以上の距離はある。
アナコンダが私たちに追いつくスピ−ド、私たちがボ−トを漕ぐスピ−ド。それはもう一目瞭然であったが、それでも私たちは必死にボ−トを漕いでいた。
ホンの僅かに助かる可能性を信じて。

なぜか、アナコンダは私たちを襲ってこなかった。
ボ−トを漕ぎ続けて十分が経っただろうか、ようやく岸が見えてきた。
あと少し……、あと少し……。
ようやく希望が見え始めた頃、それはすぐさま絶望へと変わっていく。
ボ−トがさっきと同様に大きな水飛沫を上げて、転覆したのだった。
水面へと投げ出される私たち。
いち早く顔を水面へと出した私が見たものは――アナコンダに丸呑みされている彩の姿だった。
上半身がすでに呑み込まれていて、必死に足をばたつかせてもがいている。でも、その最後の抵抗もあっという間に終わりを告げた。
アナコンダが一度、口を大きく開けて彩の体を押しつぶすように閉じる。グシャリっと音がすると、とたんに彩が全く動かなくなって、全身がアナコンダの口へと運び込まれた。
「いやぁぁぁぁぁ!!」
泣き叫び、その場を離れようとする私。
ボ−トが転覆してしまった以上、もう泳いで岸につくしか助かる道はなかった。
友達三人の死を目の当りにして、もう私は何がなんだかわからなくなった。
とにかく、助かりたい。その一心であった。


239アナコンダINジャパン :06/09/30 11:31 ID:???

彩を呑み込んだ後、アナコンダはすぐさま私たちへと襲い掛かってくる。
アナコンダにとって、こうなってしまえば後は楽な仕事だ。アナコンダの領域へと踏み込んでしまった私たちはただアナコンダの餌食になるしか道はなかった。
真紀の腹部にアナコンダが思いっきり噛み付いた。
「あああああ!!!!!!」
たまらず悲鳴を上げる真紀。
噛まれているところから血がどくどくと流れ出し、青々とした湖を真っ赤に染めていく。
同時に真紀の肋骨が折れる音も僅かながら聞こえてきた。
さらに力を入れるアナコンダ。
「あ……、が……」
手を伸ばし、必死に私たちに助けを持とめてきた矢先、彼女の体からありえない量の血が噴出した。
がくん、とうなだれる真紀。
引き千切られることはなかったものの、すでに真紀から生気を感じられることはなかった。

真紀を水面へと放り投げると、真紀の血がべっとりと付いた口を見せながら次の標的として梨佳を選ぶ。
梨佳はすでに放心状態だった。
もうすべてを諦めているように、ただその場を動こうとはしなかった。私も梨佳に呼びかけたが、何一つ彼女は身動きしなかった。
アナコンダがするりと梨佳の体へと巻き付いた。そして、彼女の顔までも覆い尽くしてしまうと一気に力を入れ、梨佳の体をひしゃげてしまった。
びちゃびちゃと私にまで梨佳の血が飛び散った。

私はなんとか、岸までたどりつくことが出来た。
(助かった……)
友達の死を嘆き悲しむよりも、今は自分が助かったことを喜びたい。
重い足どりで、私は歩いて行く。

がしっ

肩に一瞬、激痛が走ったかと思うとアナコンダが噛み付いていた。
「え?」
そのまま私はアナコンダに引き寄らされ、アナコンダは長い胴を私に巻き付けた。
私も千秋と同様に、両足から首元まで何重にあますことなく巻き付かれてしまった。
「い……、嫌……」
頬を漂うのは、一滴の冷たい雫。
せっかく助かったと思ったのに、まだ私だけでも生きられると思ったのに。
体が持ち上がって、足が地面から離れる。
そして――、アナコンダが私を締め殺そうと力を入れる。
「く、苦しい……」
嗚咽が漏れ、一気に意識が遠くなる。
全身の骨がミシミシと音を鳴らして、砕けようとしている。
肺が圧迫されて、息もだんだん苦しくなっていく。
締め付けを解こうと力を入れれば入れるほど、アナコンダは想像を絶する力で返してくる。
(い、痛い。痛いよぉ・・・・・・・・・)
痛くて、苦しくて涙が止まらない。
次第に私が力を入れるのをやめると、それを見越したのかアナコンダは一気に私への締め付けを強化する。

ついに、私の体が壊れた。

まず、肋骨がすべて折れ、両腕両足の骨が砕ける。
次に内臓がすべて押しつぶされ、口から大量の吐血。
そして、首の骨も折れる。
最後――。これまた千秋同様にアナコンダは私の体を思いっきり捻じ曲げた。ゴキッという音が伝わってくると、私の体はあらぬ方向へと曲がっていた。
背骨までもが折れ、ついに私は意識を失った。

意識を失う前に見た私の最後の光景は、いかにも獲物が苦しむ様を見て楽しんでいるようなアナコンダの姿だった。



240アナコンダINジャパン :06/09/30 11:38 ID:???


三日後、自衛隊によってアナコンダは射殺され、私たちの遺体も引き揚げられることになった。
まず、千秋。全身粉砕骨折と内臓破裂による圧迫死。一番最初に発見された。
友恵は湖の底で発見され、直接の死因は溺死だが体の何箇所かは骨折していた。おそらく、彼女も水中で巻き付かれたのだろう。
彩はアナコンダの体内から発見された。死因は窒息死。呑み込まれた後でも息はあったらしい。
真紀は、腹部の強い圧迫による内臓破裂と失血死。腹部の噛み傷は彼女の体をあと少しで真っ二つにするところであった。
梨佳は、圧死。言うまでもなく全身の骨が砕け、それが内臓に突き刺さっていた。
そして、最後に私――。直接の死因は千秋とほぼ同じく全身粉砕骨折と内臓破裂による圧迫死。ただ違うのは、私が発見されたのが彩と同じアナコンダの体内であったということ。
つまり、私は締め殺された後丸呑みされたということになる。

このニュ−スはしばらくの間、放送されていたが一ヶ月もすれば人々の間から忘れ去られることになる。








どうも、初めてなんですがどうでしょうか?
というか、こういうのもあっていいでしょうか?

241名無しさん :06/09/30 12:17 ID:8LLBmvyU
リョナというよりホラーだね。

242名無しさん :06/09/30 12:39 ID:Y5mgnQmI
でも俺的には全然アリ。むしろGJ!

243名無しさん :06/09/30 20:02 ID:???
この前テレビでやってたねw
何気に私視点で書いてあるのってめずらしい

244名無しさん :06/10/01 11:12 ID:???
ttp://www.cre.ne.jp/user/tenmyo/writing/person_and_viewpoint.html

人称視点についてまとめられてます
色々参考にしてみましょう

245名無しさん :06/10/01 11:39 ID:ht55YUBE
レンタルでFate/Stay nightの6、7巻が出てたんで、借りて見てたら
ついムラムラ来たので書いてしまった…。主人公がリョナに目覚めたら…という設定で書いてみました。
性格改変やグロ表現などが苦手な方はご注意下さい。あと設定とか色々間違ってたらすみません。

246245 :06/10/01 11:40 ID:ht55YUBE
真夜中。
皆が寝静まったのを確認すると、衛宮士郎はパソコンを立ち上げた。
いつものように、お気に入りに登録しておいた「ある掲示板」へアクセスする。

…彼が以前巻き込まれた事件。当事者達は聖杯戦争と呼んでいた。
セイバー、遠坂凛、間桐桜…
その事件の中で、彼は多くの女性達が傷付き、戦う姿を見てきた。
勿論彼の正義はそれを許せなかったし、今でもそれは変わっていない。
だが、彼は気付いてしまったのだ。苦しみに耐え戦う女性の美しさに…。

ふと、ある書き込みが彼の目に留まった。
例の掲示板の投稿小説には女性たちと異形の怪物たちの戦いを見世物にする会を
テーマにしたものがあったが、現実にそれと似た会を発見したというのである。
馬鹿馬鹿しいと思いつつも、リンクを辿ってそのサイトにアクセスする。
年齢認証の画面すら現れず、真っ黒な画面に赤い文字で

『怪物VS美少女!!勝利の女神が微笑むのはどっち!?VHS作品』

と書かれている。タイトルがいかにもB級であるし、今時DVDでなくVHSと
いうのもおかしい。その下に内容の説明と通販の方法が書かれているが、怪物と
美少女が戦うという事以上は分からず、出演女優の名前も、画像の一つも載っていない。
インチキや詐欺の臭いがぷんぷんするし、もし本当にビデオが届いたとしても
良くて特撮を使った作り物が関の山というところだろう。
しかし、どうしても引っかかるものを感じ、士郎はビデオを注文してしまった…。

247245 :06/10/01 11:41 ID:ht55YUBE
数日後、ビデオが郵便局に届いた事を確認し、取りに行く。
梱包を解くと、何のラベルも貼られていない真っ黒なVHSが姿を現した。
どことなく不気味な雰囲気を感じ、士郎はゴクリと唾を飲んだ。
その夜、皆が寝静まった後、ビデオをデッキに挿し込み再生した。
流石に、こんな所を誰かに見られたらまずい事になる。
そう思い、ぬかりなく音量を最小まで下げる。



画面に映し出されたのはどこかの闘技場のような場所であった。
規模はそれ程大きくなく、直径は100mもないだろう。
雰囲気からは、何処かの地下施設ではないかという感じを受ける。
客席には人々が疎らに座っているが、その誰もが遠目からでも身なりの
良い事が分かる。上流階級の秘密クラブの会員といった風情である。
そこには幾つか扉が取り付けられていたが、そのうちの一つが開いた。

しばらく間があって、開いた扉から包帯を全身に纏った男が現れた。
画面がその包帯男のアップになると、「MUMMY」というキャプションが
あたかも怪獣映画の登場シーンのパロディのように出現した。
しかし包帯からはみ出している肉は本当に腐っているかのような茶色であるし、
何も見ていない、虚ろな瞳は明らかに人間のそれではない。
…士郎は、これが本物の怪物である事を確信した。

続いて、包帯男が出てきた方とは反対側の扉が開いた。
そこから現れた人物の姿に、士郎は我が目を疑った。
銀色の髪、真紅の瞳、そして雪の様に白い肌…。
士郎も良く知っている人物、「聖杯戦争」でのマスターの一人、イリヤである。
『どうして、こんなところに…』
思わず口に出していた。屋敷の方へと戻っていると思っていたのだが…。

248245 :06/10/01 11:42 ID:ht55YUBE
士郎の戸惑いとは裏腹に、イリヤの表情には余裕すら感じられた。
手を後ろに回して組むと、無造作に包帯男の方へと歩み寄っていった。
…駄目だイリヤ!!危ない…!!
今度は口に出さず、心の中で叫ぶ。
イリヤは包帯男の目の前で立ち止まると、その生気の無い瞳を覗き込んだ。
すると、包帯男は立った姿勢のまま固まり、身動き一つしなくなった。
士郎も掛けられた経験があるので良く知っているが、イリヤの「魔眼」には
対象を動けなくする効果がある。もっとも、あんな怪物にまで効くとは…。

イリヤは酷薄な笑みを浮かべると、掌を翳し、包帯男の右腕を指した。
次の瞬間、何かに弾かれたかのように怪物の腕が吹き飛んでいた。
右腕に続き、左腕、右足、左足、頭も順番に吹き飛ばされていき、最後には
哀れな胴体のみが残された。そしてそれすらも、イリヤはまるで好意を示す様に
微笑みかけた後、跡形もなく吹き飛ばしてしまった。

…凄い。
イリヤが魔術師として優れている事は身に沁みて分かっていたが、あんな怪物を
物の数ともせず倒してしまうとは…。しかし士郎は複雑だった。
その能力があるせいで、こんな企画に利用されているのだから。
それにこのビデオが「そういう嗜好」を持つ人たちに向けて販売されている
と言う事は、この後の展開は…。それを思うと暗澹たる気分になってしまう。
そんな士郎の気持ちも知らず、イリヤはスカートの裾を広げ、周りの観客に
向けて一礼している。余裕の仕草である。

249245 :06/10/01 11:43 ID:ht55YUBE
「MUMMY」に続き、「SLIME」「GOBLIN」「GARGOYLE」という
モンスターが扉から現れたが、結果はほとんど同じだった。
「SLIME」は姿を現すとほぼ同時に爆殺されてしまったし、3体同時に
出現した「GOBLIN」は先頭の一体が魔力によって弾き飛ばされると、
残りの2体は怯えて扉から逃げ出してしまった。「GARGOYLE」は
出てくると同時に突進し、あわやと言う所でイリヤに傷を負わせそうになるが、
それをかわされると、後は前の三匹と同じ末路を辿った。

これならば無事に戦闘を終える事が出来るのではないかと希望が生まれるが、
やはり胸のどこかには激しい不安が残っている。
そして、5回目に扉が開いた時、今までで最も醜悪な怪物が現れた。

それは一言で言うとイソギンチャクの様な形をしていた。
とは言っても、触手は疎らだが全身に生えているし、何より人間と同じ位の
大きさである点はイソギンチャクとは似ても似つかない。
毎回恒例になっていたキャプションには「ROPER」と表示された。

イリヤは面倒くさそうな表情で怪物の方に歩み寄ると、前の4体と
同じ様に手を翳し、魔力で吹き飛ばしてしまった。
怪物の体は綺麗に三等分され、地面に転がった。あっけない勝利である。
…しかし、次の瞬間、士郎と画面の中のイリヤの表情が同時に驚愕の色に染まった。

切断された3つの塊が、生命力を失わずに蠢いている。
それどころか、一分ほどでそれらは元の大きさまで再生してしまった。
即ち、3匹に分裂してしまったのである。
イリヤは初めて狼狽したような表情を浮かべると、ゆっくり後ずさった。
だが、闘技場は存外に狭く、すぐに背中が壁に当たってしまう。

250245 :06/10/01 11:45 ID:ht55YUBE
触手の化け物は、あたかも獲物を手に入れた喜びを表現するかのように体を
揺らし、彼女との距離を僅かずつ詰めてゆく。

しかし、怪物たちはある一定の距離まで近付くと、それ以上は進めなかった。
おそらく魔力による結界を張っているのだろう。
これなら一時は凌げるかもしれないが、いずれは…。
そう思った瞬間、突然イリヤが左の手首を押さえてうずくまった。
苦悶の表情を浮かべて歯を食い縛り、額には僅かに汗が浮かんでいる。
何事かと思って画面を凝視すると、赤い文字でテロップが表示された。

「故意に膠着を誘発する行為を行った事により、選手にペナルティが与えられます」

彼女の左手首には黒いブレスレットが巻かれ、そこから一筋の血が流れ落ちている。
おそらく、あのブレスレットは内に向かって刃が出る仕組みになっており、
ペナルティとはそれにより制裁を加える事なのだろう。

集中が途切れ、結界が崩れてしまったのだろうか。
今までは近付く事の出来なかった怪物たちが、一斉に彼女の方へ歩を進めた。
イリヤが気付いた時には、妖しく蠢く触手がもう眼前まで迫っていた。
一瞬の後、怪物たちは驚くべき統制の取れた動きで彼女の四肢を縛り上げた。
あっという間に大の字に拘束され、身動きが出来なくなってしまう。
この動きの統制を見るに、元々集団で狩りをする生き物なのかもしれない。

拘束された彼女に向けて、怪物の一匹が触手を銛の様に鋭く尖らせ、放った。
もう、駄目か…!士郎は目をつむった。
恐る恐る目を開けると、予想したのとは違う光景がそこにあった。

251245 :06/10/01 11:46 ID:ht55YUBE
怪物たちは触手を次々に放つが、そのどれもが彼女に届く前に焼き切れてしまうのである。
例え拘束されていても、触手に魔力を送り込み焼き切る事くらいは出来るのだろう。
心なしかイリヤの表情にも余裕が戻り始めているように見える。

しかし、その余裕もすぐに終わりを告げた。
触手が、突然首に巻き付いてきたのである。
怪物のうちの一匹が彼女の死角から触手を伸ばしていたのだ。
焼き切られた触手は、全て囮に過ぎなかったのかもしれない。
彼女の顔は少しずつ赤みを増し、空気を求めて口がパクパクと開く。

その瞬間、彼女の口に向けて凄まじい勢いで触手が放たれた。
それはいとも簡単に彼女の口腔へと吸い込まれていった。
外から締められるのとは異なる苦痛に、更に表情が歪む。
なんとか触手を噛み千切ろうと、おぞましさを堪えて歯を立てるが、触手は
弾力がある上にスライムのような不定形になっているようで、その動きを
止める事すら出来ない。それは更に彼女の奥を目指して蠢く。

触手に喉を塞がれ、イリヤは激しく咳き込む。
頬を涙が伝い、触手と口の隙間からは胃液が吐き出される。
しかし全身を拘束され、食道へと降りていくそれに抵抗する事も出来ない。
やがて、触手の動きが止まった。
イリヤは何度もえづきそうになりながらも、触手の隙間から空気を貪る。
突然、彼女の顔が青褪め始めると、苦悶の表情へと変わっていった。
何事かと思っていると、服の上からでも僅かに分かる程に胃の辺りが膨らみ出した。
良く見ると、イリヤに触手を咥えさせている怪物から出ている触手の一つが
細く長く伸ばされ、闘技場の外まで達している。
何処かから水を供給し、彼女の腹の中へと送り込んでいるようだ。

252245 :06/10/01 11:47 ID:ht55YUBE
イリヤは河豚の様に頬を膨らませながらも耐えていたが、すぐに
限界がきてしまった。口元を僅かに痙攣させた次の瞬間、まるで桶を
ひっくり返したかのように激しく嘔吐した。
とても少女の、それも触手により半分は塞がれている口から出たとは
思えない量だったが、それでもまだ体内に水が残っているらしい。
二度、三度と繰り返し嘔吐すると、拘束している触手に支えられるように
力無くしなだれてしまった。体内に水を送り込まれるという得体の知れない
責め苦への恐怖と苦しさに泣き、横隔膜が痙攣してしまっているのだろう。
小さな子供の様にひっく、ひっくとしゃくりあげている。
程なくして、何度目かの「ひっく」が「ぐぶっ」と言う呻きに変わった。
再び体内への放水が始まったのだ。

…5度目の放水が終わったが、彼女は腹を膨らませたまま、吐かない。
いや、吐けないのだ。そうするだけの体力がもう残っていなかった。
眼球は白目になりそうなほど上を向き、鼻水と涎を垂らしながら体を
震わせている今の彼女の姿は、まるで水死体のようであった。
獲物が充分に弱ったのを確認すると、怪物は触手を喉から引き抜いた。

今度は別の一匹が触手を彼女に向ける。
その先から、針の様に鋭い突起が姿を現した。
そしてそれを無造作に彼女の肩の辺りに突き刺す。
瞬間、ガックリとうなだれていた頭が苦しそうに持ち上がったが、
大した抵抗も出来ずされるがままになっている。
そこからは血の筋が流れ落ち、触手はまた形を変え、それを舐めるように味わっている。
流れ出た血液を全て舐め取ると、今度は首筋に狙いを付け、突起を放った。

253245 :06/10/01 11:48 ID:ht55YUBE

もう駄目だと思った、その時だった。
突然画面が激しく明滅し、士郎は目を背ける。
眩しさから回復し、画面に再び目をやると、既に怪物たちは消えていた。

今の光は危機に陥った彼女が土壇場で放った魔力だったのかもしれない。
怪物たちの姿は跡形もなく消え、倒れたイリヤだけが残されていた。
まだ胃の中には大量の水が残ってしまっているのだろう。
その苦しさから逃れるべく、自分で喉に指を入れ水を吐こうとしている。
だが、別の苦痛を取り除く為とは言え、自らに躊躇いなく苦しみを伴う行為を
する事は難しい。それは上手く行かず、ただ咳き込むだけであった。
ともあれ、もう彼女には戦う事は出来ないだろう。

その時、扉がまたしても開いた。
士郎は戦闘不能に陥った彼女の為、担架が運ばれてくるのだと思った。
しかし、予想に反して、現れたのは第六の魔物であった。
それは2メートル半はあろうかという巨人で、全身が岩で出来ていた。
続いて、画面に「GOLEM」というキャプション。
イリヤは新たな敵が現れた事すら認識出来ていないようだった。
巨人が、彼女の方へと迫ってくる。

巨人はイリヤのすぐ側まで近付くと、力任せにその体を蹴り上げた。
かわすどころか、動く事すらままならず吹き飛ばされるイリヤ。
鈍い音を立てて壁にぶつかると、そのまま地面に倒れ伏し動かなくなった。
右腕があらぬ方向に曲がっている。
目は開いており、意識は失っていないようだが体は動かせないようだ。

254245 :06/10/01 11:49 ID:ht55YUBE

…たのむ、このまま終わってくれ!もう勝負は付いた筈だ!
そんな士郎の望みを嘲笑うかのように、閉まっていた扉が開いた。
そこから車椅子のようなものが現れ、自動で会場の真ん中まで来ると止まった。
良く見ると、その車椅子には背もたれ、肘掛け、座の部分に至るまで
びっしりと鉄製の棘が生えている。

巨人はぐったりとしたイリヤを掴み起こすと、車椅子に向かって歩き出した。
そして、無造作に彼女の体を車椅子に乗せた。
そこに乗せられた途端、今までは力無くしなだれていたイリヤの体が痛みに
弾かれたように飛び上がった。しかし巨人はそのあり余る力で押さえ付け、
車椅子から降りる事を許さない。イリヤは目を大きく見開き、首を激しく振り、
足をばたつかせて痛みを訴えるが、巨人は全く意に介す様子は無い。

「…ァァァァ……ァァァァ…ァァ…!」
音声は出力されていないはずなのに、士郎の耳には彼女の悲鳴が確かに聞こえた。
音量調節では遮れない程の、凄まじい絶叫を上げていたのだろうか。
それとも画面の中のイリヤの表情と動作があまりにも如実に彼女の受けた
苦しみを物語っていたため、聞こえない筈の声が聞こえてしまったのだろうか。
士郎は、寒気を覚えて自分の体を抱いた。

巨人は彼女の体を、まるで果実から果汁を搾り取るかのように棘に押し付けた。
何とか苦痛から逃れようと身をよじるが、巨人に押さえつけられているため
椅子から脱出する事は叶わず、逆に傷口が広がり、血が滴り落ちる。
掌などは棘に貫かれ、衣服は血でぐっしょりと重くなっている。
イリヤは暫くの間激しくもがいていたが、段々とその動きも弱まっていく。

巨人は彼女の体が棘によって車椅子にしっかりと固定されたのを確かめると、
椅子の後ろに付いていた板を外した。その板にも、長い鋼鉄の棘が生えている。
そしてそれを彼女の太股へ叩きつけた。瞬間、イリヤの体が激しく跳ねる。
座に取り付けられた棘と、板から生える棘が少女の腿の中でぶつかった。
イリヤは最後にごぼりと僅かに赤く染まった水を吐き出すと、そのまま失神してしまった。

255245 :06/10/01 11:50 ID:ht55YUBE
いつしか車椅子には、座だけでなく車輪にまでべったりと血が付いていた。
巨人は彼女が完全に意識を失ったのを確認し、車椅子を押して扉の方へ向かい歩き出した。
それは真っ赤な轍を残しながら、扉の奥の闇へと消えていった。
…士郎は愕然となってその光景を見ていた。
まだ僅かに胸が上下していたが、あの出血量では放っておけば死んでしまう。
イリヤが死んでしまったのではないかと不安になるが、その解答は意外にも早くもたらされた。

車椅子と巨人が扉の奥に消えた後、画面は暗転した。
真っ暗な画面に白い文字で「次回予告」と出た後、また場面が切り替わった。

まず現れたのは全身を包帯に包まれ、ベッドの上に横たわるイリヤの姿。
吊られている右腕が痛々しい。
そこにヤクザ風の男が現れ、彼女の髪を掴んで何かを怒鳴りつけた。
弱々しく首を振る彼女の顔を、ヤクザ風の男は力一杯殴りつけた。
イリヤはそのままベッドに突っ伏し、しばらくして肩を振るわせ始めた。

次に現れたのは、またあの闘技場のような場所と、その中で前の画像同様に
包帯に包まれ、カチカチと歯を鳴らし青褪めた表情の彼女だった。
しかし、今度は自分から闘技場の真ん中まで行こうとはしない。
するとヤクザ風の男が今度は二人現れ、嫌がる彼女の両脇を抱え連れて行った。

そして、「OGRE」というキャプションのついた、まるでプロレスラーの
ような体躯の、緑色の肌の人型の怪物の映像。
その怪物が彼女を地面に組み伏し、上体を反らし捻り上げているシーン。
プロレスで言う所のキャメルクラッチというやつだろうか。
体は「C」の字を描く様に反らされ、口元からは僅かに泡を吹いていた。
傷口が開いたのだろうか、包帯は既に赤く染まり始めている。

256245 :06/10/01 11:52 ID:ht55YUBE
以上の映像がスライド・ショーのように映されると、最後に無惨に顔を腫らし、
倒れている彼女が映し出され、唐突に映像は途切れた。
今の予告を見る限り、イリヤは怪我をしているというのに脅され、無理矢理に
怪物と戦わされる事になってしまったのだと予想された。
士郎は、もう二度と彼女に会う事は出来ないのではないかという恐ろしい
予感に襲われながら、ビデオデッキの停止ボタンを押す事しか出来なかった。



それから3ヶ月。
今の所イリヤからは何の連絡も無いし、心当たりは全て当たってみたが
やはりその消息は杳として知れなかった。
ビデオを販売していたサイトも既に消滅してしまっていた。
そして、彼は今日も「例の掲示板」にアクセスする。
いつか、またあのサイトの情報が書き込まれ、それが彼女の消息の
手掛かりになる事を信じて…。

257245 :06/10/01 11:58 ID:ht55YUBE
終わりです。原作やった事ないのに書いてすみません。

258名無しさん :06/10/11 19:03 ID:???
>>257
いやいや、面白かったぞ。

259アナコンダ2INジャパン :06/10/11 23:22 ID:???


今まで俺の人生は順調だった。
エリ−トコ−スまっしぐら、何一つ不自由のない生活、地位に名誉。女性にだってもてるし、非の打ち所のない男だと自負していた。
でも、これはある一つの出来事によって脆くも崩れ去ってしまう。



俺はある一人の女性に恋をした。
名前は美紀。サラサラと流れるショ−トカットが自慢の彼女は、スタイルも抜群で会社の中でも一番の人気者だ。
誰でも気さくに話せる性格なので、女性社員にも人気がある。
ある仕事の帰り、俺は彼女に思い切って告白した。
返って来た返事は……、
「ごめんなさい」
俺の中で、何かが音を立てて崩れていった。
なんでも、すでに彼氏が他にいるんだとか。
そんなことはどうだっていい。とにかく、俺は彼女に振られた。
その現実に俺は泣いた。理由はともかく、振られるとは思っていなかった。俺のことを好きでない女性なんていないと思っていた。
今日、俺に初めて生まれた感情がある。
振られたことによる悲しみと、
人生が完璧でなくなったことによる喪失感、
そして……、

俺を振った彼女に対する憎しみ。


振られてからの俺の人生は散々だった。
仕事は手に付かず、会社はクビになり、放浪生活を送る羽目になった。
エリ−トから一転、俺の人生はどん底へと突き落とされた。
「あいつのせいだ……、あの女のせいで……」
今日もまた俺を振った彼女、美紀への憎しみを募らせながら眠りに入った。

「憎いか、あの女のことが……」
夢の中で、誰かが俺に声を掛ける。
「完璧だった貴様の人生を奪い去ったあの女を殺したくないか」
誰だかわからないが、俺はとりあえず頷いた。
「ならば、貴様に力をやる。それであの女を殺せ」
力……?
どんな力なんだ?
でも、興味はある。
「ただし、条件がある。力がほしければ一日に一人、若い女を殺せ」
俺は少し迷ったが、すぐさま頷いた。
とにかく俺は美紀を殺せればそれでいい。俺のすべてを奪い去ったあの女を。
もうすでに俺は完璧ではなくなったのだから。
「ならば、貴様に我の力のすべてを授けよう。それで我の代わりに女どもを充分に痛みつけ、苦しませたあと残酷な死を与えてやれ」
そう言うと、声の主は自分の姿を俺に見せた。
銃弾をも弾き返すような硬い鱗、それは体長三十メ−トルを越える巨体にびっしりと張り付いている。細長い体に、強靭な筋力。これに巻き付かれた人間は、間違いなく残酷な死を与えられるだろう。
巨大蛇、又の名を人食い蛇、アナコンダそっくりだった。
アナコンダが俺の体に入っていく。
「我もまた、貴様と同様に若い人間の女が憎い。理由は言えまいが、我と共に今こそ復讐を果たすのだ」

アナコンダの力をすべて吸収した俺は、その夜さっそく行動へと移した。



260アナコンダ2INジャパン :06/10/11 23:23 ID:???

美紀はいつも、人気のない公園を帰り道としていたことを俺は知っていた。広い公園でありつつも夜は全く人の出入りもなく、なまじ人家からもかなりの距離があるところであった。
つまり、人を殺すには絶好の場所であった。
俺は草むらに身を隠し、彼女が通りかかるのを待つ。
その間にも俺の美紀への復讐心はさらなる仰ぎを見せることになる。

心臓をバクバクさせながら待つこと数十分、美紀はやってきた。
俺にこれから痛みつけられ、地獄の苦しみを味あわせた揚げ句、殺されるというのに。
俺はアナコンダへと変貌する。
体長三十メ−トルは越える巨体。その大きさとは打って変わった俊敏さと素早さを兼ね揃え、獲物は決して逃がさない。
そして、これは美紀を殺すために与えられた俺の力だ。

アナコンダへの変貌を遂げた俺はすぐさま美紀へと襲い掛かった。
長いしっぽを彼女の足へと巻き付け、そのままの勢いで彼女を引き寄せ、さらに彼女の胴体にも巻き付いた。
「ぃ、いやぁぁぁぁぁぁ!!!」
美紀の叫び声が夜空にこだまする。
俺はそんな彼女を見下ろしながら、美紀の体を締め上げた。彼女の細身の体に俺の、いや、アナコンダの体を足の爪先から首元まで巻きつけ、力の限りを尽くし締め付けた。
「ぁ……、ぁぁぁぁ……」
彼女の体には幾度となく、体中の骨をすべて砕くために、内臓をすべて押しつぶし破裂させるための力が加えられている。
肺が押しつぶされているためなのか、美紀は叫び声を上げられなくなっていた。
「く、苦しい。嫌ぁ……、助けて……」
涙だらけの顔を俺に見せながら、美紀は言った。
「ぁ……、ぁぁぁぁぁ」
本当に苦しそうだった。
だが、俺は締め付けを緩めることはしなかった。俺が殺そうとしている女は間違いなく、俺を裏切り、俺を完璧に壊してくれた悪魔の女であることに間違いないのだから。
さらに力を込めて、締め付ける。
パキパキと音が鳴り、美紀の体が崩壊し始めた。

ボキリ。

ものの数十秒で、美紀の体は音を立てて壊れていった。
美紀の体中の骨という骨を砕き、彼女の体を圧迫し、内臓を破裂させ、文字通りの酷い死に方をあたえてやった。
今の美紀に、才色兼備の美女だったかつての面影なんて残ってはいない。
残っているのは、あわれな死に方を迎えた一人の女性である。



さすがにこのまま死体を放置するのはまずいと思った俺は、美紀の死体を丸呑みにしてやった。鎌口を広げ、口へと無理矢理押し込む。
若い女性特有の柔かな肉の感触がとても心地よかった。
美紀の死体を完全に呑み込んだ俺は、人間の姿に戻り家へと帰った。



261アナコンダ2INジャパン :06/10/11 23:25 ID:???

若い女性をいたぶり、苦しませた揚げ句、殺してしまうことに快感を覚えてしまった俺はこの後も同じようなことを繰り返していた。
最初、アナコンダと契約したように一日に最低一人、若い女性を襲っては散々苦しませた揚げ句殺して、その死体を食べるという毎日を送っている。

今日もまた、アナコンダへと変貌し若い女性を締め殺して、その死体を丸呑みにした後である。


262名無しさん :06/10/11 23:27 ID:???
まだまだ続きはありますよ

263名無しさん :06/10/24 18:36 ID:???
期待age

264アナコンダ2INジャパン :06/11/03 01:22 ID:9kj0Le7E
若い女性の行方不明事件が続いている。

新米の女刑事となった私が一番初めに担当することになった事件だ。
彼女達を最後に見た目撃情報がまばらで、行方不明となった女性達の間に何の共通点はない。年齢こそは十代、二十代であるが職業は学生であったり、会社員であったりと様々である。さらには、住んでいる家もところどころで全く特定ができない。
そして、一番気掛かりなのは行方不明となった女性の生死が一切わからないことである。今まで誰一人、生きていたとしても死んでいるとしても見つかっていない。


捜査は一向に進んではいなかった。
私が担当してからすでに一ヶ月、あらゆる線を当たってみたが手がかりすら掴めない状態であった。一時は巨大な犯罪組織によるものだと思っていたが、それは上司の手ですぐさま却下された。
さらなる追い討ちを掛けたのが、この一ヶ月の間にも行方不明者が増える一方であったこと。もうすでに届けられている報告書だけでも三十人は超している。
なかなか進展しない捜査と、増える行方不明者に焦りと苛立ちを感じていた私はついにある決意をしたのだった。



夜。
半分の月が昇る空、星空が舞い上がり夜風が心地いいこの季節。私は人気のない公園をパトロ−ルしていた。最後の目撃情報はいつも仕事が終わってから、に集中していた。つまり、行方不明となった彼女達は夜の帰り道に忽然と姿を消しているのである。
だからこの時間帯を見張っておけば必ず犯人は現れるはず、と私は踏んだのであった。ちなみにこのことは上司には内緒である。さすがに捜査のためであるとはいえ、一応私も女性であるので認めてくれるはずはない。
でも、私はこの不可解な行方不明事件の謎を突き止めたかったし、同じ女性として放っておくにはいかなかった。装備は万全、拳銃を腰に据え、いつでも撃てるような態勢を取っておく。

もし、人間相手ならばどうにかなっていたのかもしれない。
犯人が人間であるならば。




265名無しさん :06/11/03 01:25 ID:???

時刻はおおよそ七時半。ちょうど、一人の女の子が通りかかった。
中学生? それとも、高校生だろうか?
制服に身を包んで、片手には大きなバッグ。部活の帰りなのだろう、私は一応彼女に注意を呼びかけようと思い、駆け寄ろうとする。

と、
そのとき。
背中がぶるり、と震えた。

とてつもなく嫌な感覚。
体全体が私の脳へと危険信号を上げ続けている。
なぜだかわからない。辺りを見渡して、状況を確認する。
人気のない公園。
いるのは私と女子学生だけ。
誰もいない。
誰もいないはず。
人間は――いない。
だが、
人間ではない者は――いた。

気付いたときにはすでに遅かった。


「ぁ……、ぁぁぁぁ〜〜〜!!」
悲痛な叫び声。
暗くてはっきりとは見えないが、『それ』は女子学生の体にしっかりと巻きついていた。
思わず私は尻餅をつき、その場から恐怖で動けない。
きらきらと光る鱗がどこまでも続いている。おおよそ十メ−トル、いや、二十メ−トルあってもおかしくないだろう。その先には、一つの大きな頭と口。人間ならば一口で丸呑みされてしまうだろう。
そのために、まず『それ』は獲物の体に巻き付いて、おおよそこの世のものとは思えない力で締め上げ、獲物の骨という骨を砕き、内臓を破裂させ、相手が窒息死、もしくは全身粉砕骨折で絶命するまで締め付ける。
そして、これから私の目の前で起ころうとしている。

人を食らう巨大蛇、アナコンダの手によって……。


かわいらしかった女子学生の顔が、苦痛の表情と涙のせいで台無しになっている。
彼女の体に巻きついたアナコンダは、そのまま彼女の全身へと首元から足元まで自分の体を這いずらせ、そして――締め上げる。
「ぅ……、ぁぁぁぁぁ……!!」
真っ赤に染め上がった顔が、私の目に映る。
でも、私は何も出来ない。未だに恐怖で体が動かず、手に持っていた銃も手放してしまった。
そのままアナコンダに締め上げられ、苦痛のうめき声を上げる女子学生を恐怖の眼差しで見ているしかなかった。

ボキ……、ボキボキ。

骨が砕けていく音が聞こえてくる。
まず、両腕。
次に両足。
肋骨に、そして――、

ボキン。

背骨が折れる音。
リズムが全くかみ合っていない音楽が終わった頃には、女子学生から生気は感じられなかった。目は見開かれ、首は有らぬ方向へと曲がっている。真っ赤になった顔の口元から、締め付けられ、握り潰され、押しつぶされた体から溢れ出した大量の血が零れ落ち、彼女の制服を血で汚していく。

どさっ。

アナコンダの締め付けを解かれた女子学生の死体が地面へと放り出される。
そして、ここからが本当におぞましい光景。アナコンダは鎌口を広げ、女子学生の死体を自分の口へとほうり込んだ。
「え……!?」
ものの数秒で、アナコンダは女子学生の死体を丸呑みにした。アナコンダの体が一箇所だけ異常に膨らんでいるのがわかる。

そのとき、私は確信した。
若い女性の行方不明事件の犯人がこのアナコンダであることに。
でも、今更わかったところでどうにもならなかった。
私もこれから、さっき締め殺された女子学生と同じ運命を辿ることになるのだから。


266アナコンダ2INジャパン :06/11/03 01:27 ID:???


女子学生を呑み込んだら、アナコンダはすぐさま私に襲い掛かる。
「い、嫌! 来ない――」
最後まで言いきる前にアナコンダは、尻尾を私に巻きつけ自分の懐まで引き寄せる。
前のめりに転倒し、なす術もなく引き寄せられる私。その私に待っているのは此の世のものとは思えない地獄の苦しみ。
女子学生と同じように、首元から足元まで全身の至る所に巻き付かれる。
そして――、締め付け。
「…………!!」
声も出せないほど、痛くて苦しい。
一瞬にして私の体中の骨が砕けようとしている。内臓も破裂寸前。
さらに、肺が押しつぶされているので、呼吸が出来ない。口を金魚みたいにぱくぱくさせて、空気を取り込もうとしても全くの無意味であった。
そして、意識が遠ざかり、私は絶命した。

その私が最後に見たのは、私を締め殺し、丸呑みしようとしている――何人もの女性をこうして締め殺し、丸呑みしてきたであろう――アナコンダの大きな口であった。


267名無しさん :06/11/06 00:02 ID:???
上手いなぁ…。GJ。

268バレットウィッチ :06/11/06 02:57 ID:???
設定:
アリシアは制服コス
ttp://aqi.nct.jp/bulletwitch//download/image/dc_img04.jpg
敵キャラ(公式で確認をどうぞ)
ttp://aqi.nct.jp/bulletwitch//

269バレットウィッチ :06/11/06 02:59 ID:???
くっ…

ウォールナッツヘッドに物理攻撃をしても効果は薄い。
作り出した生成結界で自身を覆っているからだ
もう魔力も底をつきかけてるアリシアにこの局面を突破するのは困難だった
廃墟と化したシティビルディングの庭園に陣取るガイスト兵の奥にウォールナッツヘッドは居た
奴を倒さなければこの街の結界が解かれることは無いのだ

やるしかない…!

身を潜めていた影から勢いよく駆け出すアリシア
この場所は広いとは言えど一本道。下手に隠れていては近づけもしないし、見つかれば袋小路である
彼女がとった戦法は正面突破。
余計なガイスト兵には目もくれず、ウォールナッツヘッドのみを目指す

おおっとターゲットが現れたぜ!
お前ら集まれ!

走るアリシアの正面に数人のガイスト兵が立ちふさがる

ズガガガガッ

残り少ない弾数を気にしつつ進行方向を塞いでいるガイスト兵をマシンガンで蹴散らして突破。
まずは第一関門クリアといったところか。
と、次の瞬間アリシアの額に赤いレーザーが照射される

!!

くっ…スナイパー!?

驚異的な精度と威力を誇るスナイパーがアリシアの眉間に標準を定めたのだ
アリシアは魔力による尋常ならざる回復力をもっているとはいえ、体の構造事態は生身の女性と全く同じである
よって怪我を回復することはできても人間が即死するような攻撃には耐えることができない

ババッバチュンッ

彼女は魔女の身体能力を生かした足を大きく広げた美しい空中旋回でスナイパーのレーザーを見事に外すこと成功した。
次の瞬間レーザーの元を辿られ居場所を発見されたスナイパーをアリシアのライフルが貫く。

これで邪魔者はいない…

270バレットウィッチ :06/11/06 03:02 ID:???
彼女の目の前にはウォールナッツヘッドが大きな脳みそを揺らしながら浮遊していた
目の前で部下を倒されたナッツヘッドは怒り狂い、その念力を発動させる
周りに落ちていた車、バスや瓦礫がふわりと宙に浮き、次の瞬間アリシアめがけて高速で突撃してくる

ズガガッガシャーン!

彼女は華麗に身を翻し、その攻撃をかわす
あまりに大掛かりなその攻撃の巻き添えを食ったガイスト兵があちこちに残骸となって飛び散っている
その様子をヒヤリとしたものを感じながらアリシアが一瞥する

これで邪魔者は一切いなくなった
ナッツヘッドを倒すにはまず結界をどうにかしなければならない。
結界がある状態では彼女の重火器の類はなかなか通用しない。
魔力には魔力で対抗しなければならないのだ。

−ウィル・パワー−

それは彼女の使う魔法の一つであり、先ほどナッツヘッドが使ったような生命体以外の物質を自在に操る念力の一種である。
先ほど攻撃をあっさりとかわされたこともあり、ナッツヘッドのほうも自身の周りに岩石などを旋回させながら様子を伺っている。

はああぁっ

アリシアの足元に風が舞う。
準備完了。
残った魔力を最大限までに高め、ナッツヘッドの攻撃に備える。
彼女の作戦はナッツヘッドが念力攻撃に全力を注ぐように仕向け、その隙に弱まった結界を破るというものである。

271バレットウィッチ :06/11/06 03:03 ID:???
ギュンッ!

アリシアを数個の巨大な瓦礫が襲う。が、それは彼女がかざした両手の数十センチ前で止められる。

ギギギギギギ・・・

現時点でのパワーは互角。
後は持久力勝負となるが、アリシアは早くもナッツヘッドが念力に全力を注ぎだしたことを確認すると、
すぐさま上空5メートルはゆうに飛び上がり、空中でマシンガンを構えた。

が、次の瞬間アリシアは自身の異変に気づく。
引き金が引けない…体が動かない…
それどころか彼女は地面に着地することなく空中で止まっている。
アリシアには空中浮遊能力は無い。
と、なると…
彼女の脳裏に悪夢がよぎるが、もはやそれ以外に考えようが無かった。

まさか…念力で生命体を操れるはずが…

しかし、それを確信するしかなかった。
彼女のマシンガンだけが地に落ち、アリシアはビンと空中で手足を伸ばされ、大の字の状態にさせられている。
まさかナッツヘッドの能力がこれほどまでに強いものだったとは彼女には思いもよらなかった。
いや、ナッツヘッドは人間の数十倍の大きさの脳をもつ悪魔である。
彼女の作戦などすでに最初から見抜いた上で付き合っていたのかもしれない。

272バレットウィッチ :06/11/06 03:05 ID:???
!? 
いやぁっ…

アリシアの体は大の字のまま岩の上に仰向けに下ろされていく。
ちょうど制服のスカートから覗いた彼女の純白がナッツヘッドに向けられ、あられもない姿を晒している。
次の瞬間、念力の力であろうか、スカートは微妙に捲り上げられた。
ふだん無表情を貫き通しているアリシアもこれには顔を紅潮させ、屈辱の表情を浮かべている。
今だ身動きは全く取れそうに無い。そしてこれ以上のアクションをナッツヘッドも起こそうとする様子は無い。
自分はこれからどうなるのか…と思った瞬間、

「おおー、なんじゃこりゃーwww」
「なんだなんだ」
「こりゃいいもん見つけたぜぇww」

ガイスト兵の声。
アリシアは岩の上に仰向けに固定されているのでその姿を確認することはできなかったが
2人のガイスト兵が集まってきている。

くぅっ…しまった

すでに全員排除したと思っていたが残存兵がいたのだ。

「こいつ例の魔女じゃね?」
「ああ、エロい制服ミニスカに少しブルーのかかった髪だ。間違いねーぜ」
「もしかしてコレ好きにしていいのか?」

ナッツヘッドは無言…
もともと言葉は発しないのである

273バレットウィッチ :06/11/06 03:07 ID:???
ほほぅこいつは目の保養だぁ」
「エロいな…見ろよブラジャー透けてるぜ」

アリシアの頭の心は嘗め回すような視線を受けることに対する屈辱感とこれから何をされるか分からない不安で満たされていた。

「しかしこいつが俺たちの同胞を何百人と殺してるんだよな…」
「くくく…うちのワイフには悪いが色々とやらせてもらうぜ」

声だけが聞こえ、ガイスト兵の姿を確認できないアリシアの不安は次第に高まっていく。
次の瞬間殺されかねないのであり、これだけでも精神的圧迫は拷問並みである。
次第に脂汗が出始め、アリシアの体は少し汗ばんでいる。

「ちょっと味見しまーす」

ガイスト兵がアリシアの首下から服、そしてブラジャーの下へ手を突っ込み左乳を鷲掴みにして揉み始める。

!????
ビクッ

いきなり左胸を掴まれ、揉まれ、アリシアの顔が紅潮する。

「おお〜。いい大きさだぜぇ。弾力がありつつ柔らかく、揉みがいのある乳だ…90はあるぜ…」
「くくく、おまえおっぱいマニアだからな」
「おう、お前おっぱいには手を出すなよ。後は好きにしていいからな」
「わぁってるよ」

アリシアにとって聞いているだけで吐き気がする会話。
しかし耳を塞ぐこともできない。

274バレットウィッチ :06/11/06 03:08 ID:???
「くくっ睨んでる睨んでる。」
「何もできないくせになぁ」
「俺に揉まれた女で嬌声をあげなかった奴はいないぜ」

アリシアは何をされようとも無視を決め込むことにしていた。
この状況なら相手に従い、許しを請う選択も考えられたがそれは彼女のプライドが許さなかった。

「くく…強情な女だ」

ガイスト兵はなおもアリシアの左乳房を揉みしだく。
弱く、強く、緩急をつけながら…
実際このガイスト兵のテクニックは相当のものだった・
アリシアは絶対に感じるものかと決めていたが、自分の体に嘘はつけないことを屈辱ながら感じつつあった。
しかしそれでも声だけは絶対に出さない。これだけは頑なだった。

「…ふふ、まだ耐えるか」

と、満遍なく揉みほぐした左乳から手をいったん離す。
しかし、

あぁッ

アリシアが心の中で安堵を感じた次の瞬間、不覚にも声が出そうになる。実際心の中では声が出てしまっていた。
そう、ガイストの指が彼女の左乳房の頂上にある桜色の突起物を摘んだのだ。

「ふひひ、体は正直だぜ…。こんなに乳首をおったてちゃってよう。かわいいなぁ。」

彼女は自分でも感じたことの無いほどの性感の高かまりに動揺を隠せず目が泳ぐ。

「もう我慢も限界なんだろ…?止めを刺してやるぜ。」

グロテスクな指がアリシアの乳首をコリコリと摘み上げ、押し込み、止めとばかりに思い切り引っ張り上げる。

「っっあぁあっ…!」

思わず声が漏れる。
さらに上下左右へと、カチンコチンに固まったアリシアの乳首を乱暴に引っ張る。

「ふぁああ!!!んあぁっ!!」

声を止められず、身悶えまでしてしまうアリシア。
ここで満足したのか、ガイスト兵の手が引かれる

「はぁはぁぁ…はぁはぁはぁ…」

官能と屈辱感と敗北感を全て同時に味わい、この世から逃げ出したい気分になると共に
左胸を揉まれた位で…と、自分が女であることを心底恨んだ。

滝のように汗が体中から噴出し、ぐっしょりと濡れたアリシアの体は女性独特の匂いさえ醸し出していた。

275バレットウィッチ :06/11/06 03:10 ID:???
「次は、俺の番だな。」

先ほどから冷静にアリシアの感性が壊されるのを見物していたもう一人のガイスト兵が静かに言う。
アリシアは荒く乱れた呼吸を整えようとするのに精一杯でそんなことは全く耳に入っていない。

「…なぜ殺した」

ガイスト兵は腰からライフルを取り出し、あろうことか銃口を大股開きにさせられているアリシアの股間に突き付けた。

っ!?

股間に冷たいものを感じ、アリシアがようやく異変に気づく。
そしてその違和感から、自分の秘密の花園に銃口が押し付けられていることを理解し頭の中が急速に冷えていく。

「お前は俺の兄弟を殺した。なぜ殺した?」

アリシアにはこのガイスト兵が何を言っているのかすぐにはわからなかった。
自分が悪魔と戦っているのは悪魔が自分の敵だからであり、それ以外の理由は必要ない。

「知らんで通すつもりか…!」

ライフルの銃口をアリシアの秘部の裂け目が分かるほどに押し付ける。
アリシアの汗は全て完全に冷や汗と変わり、純白のパンティーも冷たいもので透けるほどぐっしょり濡れている。

「わ、わたしは…世界をも…元に戻すために…」

ガイスト兵の表情が険しくなる

「それが俺と何の関係があるんだ?その理由で俺の兄弟を殺していいのか!?」

さらに中ほどまで食い込むように強く銃口を押し付ける。

「ひっ…あ…それh…」

すでに言葉を発せないほどに震え上がっているアリシア。
もう普段の気丈なアリシアは見る影も無い。
子宮へと突きつけられた銃口による恐怖で、答えの無い理不尽かつ激しい問いに冷静に対処する余裕は完全に吹き飛ばされてしまっている。
魔女であるアリシアならライフルで撃たれてもすぐには死なないかもしれない。
しかしそれは逆に生殖器を破壊されて地獄の苦しみの中のたうちまわるということを意味している。

276バレットウィッチ :06/11/06 03:11 ID:???
「もういい…殺るか」
「えーやっちまうのかよ。こんな上玉をよ」
「こいつは生かしておけん。3秒やる。祈れ。」

アリシアは呼吸が止まる勢いで心拍数を上昇させていた。パニック状態である。
もはや目の焦点も合っていない。これから訪れるであろう想像を絶する痛み苦しみに対して彼女は何の準備もできていない

「3・2・1…」

バアアアアアアアアアアアアン!!!!

「いやあああああああああああああああああああああああっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!」

もの凄い音とともに空砲が発砲される。
空砲。そう、空砲だったのだ。弾は入っていない。

「おい、弾入れ忘れたのか?」

おっぱい好きガイスト兵が尋ねる。

「いや、そうじゃねぇよ。」

「あん?」

「さっきの話は全部嘘さ。俺はコレが見たかったのよ。」

2人のガイスト兵が見下ろす先には銃声を聞いたショックで白目をむいて失神し、失禁してしまっているアリシアの姿があった。

277バレットウィッチ :06/11/06 03:13 ID:???
以下番外編むしろメイン(エログロ注意)

278バレットウィッチ番外編 :06/11/06 03:15 ID:???
「オラオラぐちょぐちょだぜぇアリシアよぉ」

「ふぅぅんんんぅんうぁあああうん…」

特性の媚薬を下腹部にたっぷりと塗りたくられ、アリシアの自我は崩壊寸前だった。

ガイストの手が容赦無くパンティーの中をまさぐり、ブラジャーの下の手は両乳を揉み砕いている。

「おっと気持ちいいばっかりじゃないぜぇ!!」

ブチブチブチィッ

「ぎゃあああああああっっ」

ガイストが尋常ならざる握力でアリシアの陰毛を毟り取ったのである。
目をチカチカさせながら下半身を震えさせるアリシア。

「そらこっち…も!」

ガリッ

「ぎいいいいいいいいっ!!」

上のガイストがアリシアの左乳首に噛み付く。
手をバタバタさせながら上に乗っているガイストを引き剥がそうとするアリシアだが、ガイストはアリシアの上半身にぴったりと張り付いて離れない。

279バレットウイッチ番外編 :06/11/06 03:18 ID:???
「さぁ次は気持ちいいぞぉ」

べちゃっ

「ふわぁああああっっ」

さらに大量の媚薬がアリシアの股間にべっとりと塗りたくられ、それをガイストの手が裂け目の奥へと押しやっていく。
これ以上入ったら昇天死してしまうと本能で悟ったアリシアは必死でガイストの腕をか細い両手で掴むが、それを全く無視するように
ガイストの手はピストン運動をしている。
サーモンピンク色の内側まで強烈な媚薬が張り付き、もはやアリシアの愛液は枯れる事を知らず流れ出てくる。

「それじゃあ上のほうも楽しもうか!」

プスッ…ズズズズ…

「いっいひああぁああっっっ!!」

上のガイストが次は右の乳首に何かとも知れぬ薬を注射で注入したのである。
それも5cmも深く針を刺し、アリシアの程よく大きく、形の良い乳房を最深部から強烈に刺激する。
みるみるうちにアリシアの右乳首がカチカチになったと思うと、
次の瞬間には、かわいい花のつぼみのようであった桜が突然開花するように乳首が肥大化した。
とうぜん感度も桁違いらしい

「どうだ?この薬は利くだろう。」

硬化、肥大化したアリシアの右乳首をパチンと指で弾く。

「アひゃあああっっっ!!!」

たまらず声を上げたアリシア。
するとあろうことかアリシアの右乳首が官能に耐え切れなくなったのか、
乳首の先端からまるで射精をするように勢い良くミルクがピュピュッと飛び出した。
これにはガイストも驚いたのか、一瞬眼を見張ったが
次の瞬間にはなんと乳首に勢い良く吸い付き、アリシアのミルクを吸い上げていく。

280バレットウィッチ番外編 :06/11/06 03:19 ID:???
ずじゅうっじゅるじゅるるうるるっっ

「ひあぁぁぁぁあああ〜〜〜〜っっっ!らめっらめぇぇぇぇぇっっ!!」

「うめぇ!!!!アリシアのおっぱいミルク最高にうめぇぜ!!!!」

じゅるるるるうるるっっっっっ!!

「ふひゃああぁあっぁっっ!らめぇえぇぇぇぇぇっっ!!!!!」

ミルクが噴き出す勢いも勢いなら、ガイストがそれを吸い尽くす勢いもまた物凄いものがあった。
まるで右乳から全てのミルクを搾り取ろうと言わんばかりでの吸い付きぶりである。

「らめぇええっっっ!!!」

泣き叫びながら両手でガイストの頭を右乳首から引き剥がそうとするアリシア。
当然である。感度を最高潮に達せられ、乳内に溜め込んでいたミルクを強制的に噴射させられ、それにとどまらず
まだ乳の中に残っている温かいミルクを強烈な吸引力で吸い上げられているのである。
これではいくらなんでもアリシアのミルクが枯渇させられてしまうだろう。

ずぎゅるるるるるるるるるるるっっ!!!

「ひぐうっっひひゃああああっっっ…」

なんということであろうか。ガイストは絶頂に達したアリシアの右乳首に内在していたミルクを全て吸い上げてしまったのである。
あまりの吸い上げの力に右乳の乳腺は紫色に変色してしまっていた。

281バレットウィッチ番外編 :06/11/06 03:21 ID:???
「おうおう上も楽しそうじゃねーか!!こっちも負けてらんないぜ次は痛みと快楽の両方を味合わせてやるよ!」

すると下のガイストが驚くべき行動に出た。
なんと媚薬をべったりつけたその手をアリシアの秘密の花園の奥まで突き入れたのである。
右胸をこれでもかといたぶられたアリシアは半失神状態で弛緩しており、媚薬の強烈な効果もあってか、
ガイストの手をあっさりと花園の入り口へ招き入れてしまったのである。

「ククク…これで目を覚ましな!!!」

がしっっっ…ぐいっ…ぐにゃぐにゃ…

「!!!???」

下腹部に強烈な違和感を感じ、アリシアが意識を取り戻した。
そこで上のガイストの隙間から見たものは、なんと腕を肘あたりまで自分の中に突っ込んだガイストの冷徹な微笑であった。
最初は何をされたのか分からなかったアリシアであったがその違和感の増加と共に

「うぐああああああああああああっっ!??」

揉まれている。体の中で何かが揉まれている。
そう、媚薬まみれのガイストの手がアリシアの子宮を直接揉んでいるのだ。

282バレットウィッチ番外編 :06/11/06 03:22 ID:???
「んぐおっあぐううううっっ!?」

もはやアリシアの声とは思えないようなくぐもった声が漏れる。

「ククク…子宮を直接揉んでみるのは初めてだがお前を見ると余り気持ちよくはなさそうだな…」

アリシアにとっては内臓を直接鷲掴みにされているおぞましさと強烈な圧迫感しかない。

「気持ちよくなくて残念だったな…だが揉み心地は悪くない!続けさせてもらうぞ!!」

ぐにゅぐにゅぅっっ

「んぐおぉああっっやめっあぐんっおあああああああっっ!!!!!」

必死で股を閉じ、腕を外に追いやろうとするが、ガイストの腕はガッチリとアリシアの子宮を掴み離さない。
アリシアの悶え方は尋常ではなくなってきている。
それもそうだ。子宮という内臓、しかも女性の象徴とも言うべき臓器を力強く揉まれているのである。
完全に無防備な子宮はいつ握りつぶされてもおかしくない勢いで揉み砕かれており、その圧迫感という言葉では言い表せないほどの
強烈な圧迫で、アリシアの頭には混乱、快楽、痛みを差し置き自分の中の女性の部分が殺されるという本能の叫びで満たされていた。
しかし、頭の中とは逆にもうすでに力を殆ど失っているアリシアのからだは蹂躙するガイストを追いやることは到底できず、必死で悶えるしかなかった。

後数十秒にわたる子宮揉み砕きが終わるころにはアリシアの意識は既にこの世にはなくなっていた。

283バレットウィッチ番外編 :06/11/06 03:23 ID:???
END

284名無しさん :06/11/06 12:30 ID:???
何故だろう、最近「らめぇ」ってセリフ見るととたんに冷める…orz

285名無しさん :06/11/06 17:18 ID:P7VWVoDE
ヒント:ちんぽみるく

286名無しさん :06/11/06 18:12 ID:???
>>283
性的な責めを含んだリョナは少ないので堪能させて頂きました。GJ!!

>>284
くやしい…でm(ry みたいなものじゃないか?俺は好きだが…。

287名無しさん :06/11/06 19:52 ID:???
そういうのは確かみさくら語って呼ばれてたな。
元ネタ知らないけど。

288名無しさん :06/11/06 20:32 ID:???
バレットウイッチ超GJ!おっきした

289名無しさん :06/11/06 23:15 ID:???
どっちかってーと皮剥がれるやつがよかったかなーとか思ったり…さすがにきついね色々とw

290名無しさん :06/11/06 23:25 ID:zNFx84DM
>>283
クールなお姉さんが墜ちていく姿GJ!
ゾンビっぽい敵によるハードな責めの描写すばらしかったです。

291名無しさん :06/12/05 09:42 ID:???
書いてみたので投下します。責めが前スレで書いた翠星石の奴と被ってしまったけど…
元ネタはttp://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/ryonani/1154499745/42-43
ロリ入ってるのと一方的なので嫌いな人は注意。

292名無しさん :06/12/05 09:43 ID:???
「クソ、どうなってるんだ?」
俺は思わず舌打ちした。さっきまで雲1つ無い快晴だったにも関わらず、
突然空が曇り始め、今ではこの一メートル先も見えないような吹雪である。
この地域にのみ生息すると言われている、銀の毛並みに覆われた熊の毛皮は
目玉の飛び出すような高額で取引されており、一攫千金を狙ってここまで来たのだが…。
早くも後悔が押し寄せてきた。背中の、冷え切った猟銃が妙に重く感じる。
その時、吹雪の中から人の声が聞こえた気がした。耳をよく澄ましてみると、もう一度聞こえた。
女性がくすくすと笑っているような声だった。寒さのために幻聴を起こしてしまったのだろうか。
そう言えば、組合の仲間がこの地域には「雪女」が出るから近付くなと言っていたが…。
俺はそいつの迷信深さにほとほと呆れ返り、ただ苦笑を返しだけだったが、
もしかすると本当だったのかもしれない。
そう考えていると、今度ははっきりとこちらへ語りかける声が聞こえた。

「わたしの世界へようこそ、おじさん」

俺は確信した。奴の言っていた事は本当だったのだ!
俺は唾を飲み込み、込み上げてくる恐怖を必死に抑えた。
落ち着け。吹雪がこの女によって起こされているのなら、幾らでも打開策はあるはずだ。
俺は相手の気配を探るため、目を閉じ耳に全意識を集中した。

「でも残念ね。ここに人間を入れちゃ駄目っておばあちゃんに言われてるの」

そこだ!
俺は腰に下げていた双眼鏡を手に取ると、声の方向へ力いっぱい投げつけた。

「ごめんね。悪いけど死んでもらうわ。ここに踏み入った貴方が悪…いだッ!」

鈍い手応えがあり、女の声は途中で途切れた。吹雪も僅かに弱まった気がする。
良し、チャンスだ!
俺は今の感触からおおよその距離を測り、間合いを詰めると、渾身の力を込めて猟銃をなぎ払った。


293名無しさん :06/12/05 09:44 ID:???
「っげぶぅッ!」
今度は思ったよりも柔らかな手応えがあり、何かが倒れるような音が聞こえた。
急速に吹雪は勢力を弱め、いつの間にか頭上には元のような青空が広がっていた。

吹雪が完全に止むと、雪原には真っ白な女が蹲っていた。
いや、少女と言った方が正しいかもしれない。せいぜい10代前半といった所だろう。
しかしその少女の風貌は、異様と言う他なかった。
肌だけでなく、腰まで届く長い髪までが白く、纏っているのも真っ白な和服であった。
人形の様に整った顔の中の双眸は、生気が感じられない程に黒い。
雪女…例えこの状況でなくとも、彼女を見れば誰もがその言葉を思い出すことだろう。
この風貌は、吹雪の中での保護色といった所だろうか。

「げっほっ、げほっ…痛ぁ…ゲホゲホッ!」
俺の猟銃は上手く獲物を捕らえていたらしい。
雪女と思しき少女は、脇腹の辺りを押さえながらしきりに咳き込んでいる。
彼女が咳き込む度に、ほんの僅かではあるが雪に赤い飛沫が飛び散っていた。
思ったより深手を負わせてしまったのかもしれない。
まあ、こっちも命が懸かっていたのだ。仕方の無い事だろう。
それよりも、彼女を売り飛ばせば金になるかもしれない。
いや、雪女ならば他にも使い道が…?
ともかく、彼女へ接触してみる事にした。

『こんにちは、お嬢さん。怪我をしている様だけど、大丈夫かい?』
「貴方がやったんじゃない!!…痛た…」
雪女は立ち上がって大声を出したが、傷に響いたのかまた蹲ってしまった。
『ほう…と言う事はさっきの雪女は、君で間違いないようだね』
彼女は「しまった」という感じで口に手を当てたが、時既に遅し。
『ちょっとオジサンと話でもしようか』


294名無しさん :06/12/05 09:45 ID:???
『それで、どの辺が痛むのかい?この辺りかな?オラっ!』
俺は彼女が押さえている脇腹の辺りを蹴飛ばした。
「ギャア!…くぁぁ…か…は…っ」
強く蹴ったつもりはなかったのだが、彼女は地面に倒れ、大きく目を見開いて苦しんでいる。
これだけの反応を見せるとなると、肋骨が折れている可能性も高いだろう。
更に彼女の両手を掴み、電気アンマの要領で脇腹に振動を与える。
「ッきゃああぁァァァ!!痛い痛い痛い!痛いって言ってるでしょ!!」
『うるせぇってんだよ、このカス!』
あまりの大声にうんざりした俺は、彼女の体を思い切り蹴り飛ばしてやると、
もんどりうって転がり、うつ伏せになったままぐったりとしてしまった。

彼女の所までゆっくりと歩いていき、その白い髪を掴み、無理矢理顔をこちらへ向けさせる。
『おい、ふざけてんじゃねぇぞ、この白髪カス』
「ぐすっ…白髪じゃないもん…。おばあちゃんは、ゲホッ、綺麗な銀髪って褒めてくれたもん…」
『あァ!?いちいち口答えしてんじゃねえぞ、餓鬼。そこ座れや』
雪女を座らせると、俺はマシエト(山刀)を取り出し、その頬を撫でた。
ヒィッと息を飲む音が聞こえる。
『正当防衛って言葉知ってるか?お前は俺を殺そうとしてたよなァ!?
そういう場合、お前を殺しても罪にならないんだよ。さて、どこからバラしてやろうか』
今の言葉に、雪女は苦しそうな表情を止め、一瞬真顔になり、それから真っ青になり震えだした。
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…」


295名無しさん :06/12/05 09:47 ID:???
『安心しろ。殺しはしねぇよ。ちっと痛い目には遭ってもらうがな!オラッ!!』
「がっほっ!?…カハッ、え゛ぅぅ、え゛ぇ…」
俺が腹を殴りつけると、僅かに薄い黄色の胃液を吐き出した。
その後も何度かえづいていたが、胃液の他には何も出ない。
この分だと、暫く何も食べていないのかもしれない。

『おい、腹減ってんだろ。俺がご馳走してやるよ』
俺は雪を掬い上げると、蹲り呻いている彼女の目の前に差し出した。
「う゛ぅ…でも、土、付いてるし…」
『あ?何なら予定を変更して、バラしてもいいんだぜ?』
「ごめんなさい!食べます、食べるから、殺さないで…」
『じゃあ早く食えよ。いつまで待たせるんだ、この餓鬼』
雪女は雪を口に入れ、飲み込もうとする。だがすぐに咳き込み、吐き出してしまった。

「う゛ぇ、ケホッ、ケホッ…」
『おい!!何吐いてんだよ!ちゃんと食えコラァ!』
俺は彼女の頬に平手打ちを喰らわせた。
「いったッ…ま、待って…!まだ、おなか、苦しくて…」
そう言いながら深呼吸をし、息を整えてから何度か唾を飲み込んだ。

それでもまだ苦しいらしく、潤んだ瞳で俺の方を見つめてくる。
許しでも乞っているつもりなのだろうか。
俺は腹が立ったので、怒りを込めて睨み返してやった。
その形相に驚いたのか、ビクッと体を震わせると、雪に手を伸ばした。


296名無しさん :06/12/05 09:48 ID:???
「んぐっ…」
雪女は、眉根に皺を寄せながら、苦しそうに雪を飲み下した。
白く細い喉が、嚥下に合わせて上下する。
歪んだ表情とその動きは、どことなく官能的な印象を与えた。

俺は征服感で満たされ、更に雪を食べさせ続ける事にした。
雪を飲み込む度に、彼女は胸の辺りを押さえ、弱々しく咳き込む。
だが俺は手を休めず、雪を掬っては食べさせた。何度も、何度も。
…もう何度雪を飲み込ませただろうか。遂に彼女の手が止まった。

『どうした?ペース落ちてんぞ。さっさとしろよ』
「苦しい…。もう、食べれない…」
『じゃあ俺が食わせてやるよ』
俺はそう言うと、彼女の口の中に無理矢理雪を押し込んだ。
余程苦しいのだろうか、目はかっと見開かれ、僅かに額に血管が透けて見える。
「むぐぐ…ぐぐ…」
ごくり、と音がして喉が上下する。
それと同時に、彼女の体がぶるっと震え、額には玉のような脂汗が浮かんだ。

「…ぅぇ…ぇ…」
蚊の鳴くような声で呻くと、ほとんど音も立てず、大量の氷水を吐き出した。
和服で分かりにくかったが、もう彼女の胃は内容量いっぱいだったのだろう。
吐き終わると、胃の辺りを手で押さえたまま、ぐったりと地面に倒れ伏してしまった。
「けふっ…く、苦しい…おなか、いた…い…」


297名無しさん :06/12/05 09:49 ID:???
『苦しいか?じゃあ吐くの手伝ってやるよ』
俺は猟銃を掴むと、彼女の口の前にそれを差し出した。

『おら、しゃぶれ』
弱々しく首を振る。
『咥えないと殺す。おっと、手は後に組んどけ。ちょっとでも抵抗しても殺すからな』
そうして咥えさせた銃身を、少しずつ奥へと入れてゆく。
「むぐっ!?…ぇぐ…ぐ…ぐごご…ぐお゛ぇぇ!…カハっ…ケホ、ケホ」
ある程度まで入ると、突然彼女の体が瘧に罹ったように震え、また氷水を吐き出した。
余りにも激しく動いたため、銃身が口から外れてしまう。

『何やってんだよ、このヘタクソが。もう一回しゃぶれ』
今度は動かないよう、頭を左手で固定し、右手で銃を操作する事にした。
「グぼぉ!?お゛ぇぇ!ん゛ん゛ん、げぇっ!」
喉の辺りまで銃が入ると、彼女は何度もえづいた。
その度に、口と銃の隙間からは氷水が滴り落ちる。
『しっかり喉使えや。飲み込もうとする要領だ、ごくん、ってよぉ』
「げっぐ…ぐぇぇ……んごっぐゥ!ごぐ!…ぐぐ…ぐぇ…」
『ははははは!今のは蛙みたいでなかなか良かったぜ。おら、もっと気ィ入れろや』

いつの間にか、彼女の雪の様に白かった頬は真っ赤に紅潮し、膨らんでいた。
両方の瞳からは涙が流れ、赤い頬をぬらぬらと光らせている。
喉の奥に入った銃身に呼吸を妨げられ、パクパクと金魚の様に口が開く。
それは余りにも嗜虐心を煽る光景であった。
だから、力が入りすぎてしまったのかもしれない。

更に奥に入れようと力を入れると、グリュ、という鈍い音と共に嫌な手応えが伝わってきた。

298名無しさん :06/12/05 09:51 ID:???
「っごギャアァァァァ!!」
激しく絶叫しながら、弾かれたように体をのけぞらせ苦しむ。
押さえた手を弾き飛ばすほどの勢いで、頭が激しく振られる。
奥まで入った銃を無理に抜いたせいで、口内か食道でも傷付けてしまったのだろうか。
銃には、僅かに赤い液体が付着していた。
『あ、悪ぃ。わざとじゃなかったんだが…』
「嫌ああああぁぁぁ!イダいいいぃぃ!痛いよおおおぉぉ!!」
小さな子供の様に大声をあげて泣きながら、喉を押さえて絶叫している。

『おい、うるさいんだよ。鼓膜が破れちまうだろうが』
俺は雪女の頭を掴むと、そのまま地面にゴリゴリと押し付けた。
更にその背中に馬乗りになる。
「ひぐっ…重い…骨、折れちゃうよぉ…」
そういえば、肋骨の辺りにダメージを与えていた事を思い出した。
『あぁ?もう折れてるかもしれんな。確かめてやるよ』
「きゃああぁ!痛い、痛いぃ!触らないで!!」
俺がその辺りを無遠慮に揉みほぐすと、彼女は涙を流して哀願した。

「ひっく…もう、酷いこと、しないで…」
揉みほぐすのを止めると、ぐったりとなった彼女は言った。
『分かったよ。もう殴ったりはしねぇ。だが俺に服従を誓ってもらうからな。
俺の言う事は絶対に聞けって事だよ。分かったか?』

雪女は、怯えと戸惑いが混じり合った視線をこっちに向けた。
「ぐすっ…。なに…すれば…いいの…?」
『お前、確か氷を操る事は出来るんだよな?
その能力で、一人始末して欲しい奴がいるんだよ。お前、人を殺した事は?』
「うぅん、今日が初めてのお仕事だったの…」
『そうか。じゃあ俺が童貞を捨てさせてやるよ。いや、この場合処女か?』


299名無しさん :06/12/05 09:52 ID:???
暫くの沈黙の後、彼女は聞き返してきた。
「…その人」
『あ?』
「悪い人なの…?」
俺は奥歯を噛み締めた。「奴」の姿が、瞼の裏に浮かんだ。
『ああ、そうだ。もう30人は殺してるだろうな。俺の親友もそいつに殺されたんだ』
「…分かりました。それが終わったら、帰してくれる…?」
『勿論だ』

毛皮は手に入らなかったが、代わりにこうして「武器」を手に入れることに成功した。
雪女に対して語った事は嘘ではない。
手段がなく、半ば諦めていた復讐がこんな形で実現の可能性を帯びてくるとは…。
全く、僥倖というのは恐ろしい。
俺は口元に笑みを浮かべると、雪女を連れて山を後にした。

300名無しさん :06/12/05 09:54 ID:???
おしまい。
最後は意味分からないと思いますが、無理矢理刺客として送り込まれるが
逆に捕まって拷問みたいな展開も萌えると思ったので…そこまで書けなかったけどorz

301名無しさん :06/12/06 14:12 ID:???
>>300
かなり良かった。刺客として動くSSも見てみたい。

302名無しさん :06/12/14 06:11 ID:hn9gSDsA
おばあちゃん(見た目は20、30代)が助けに来てかえりうちにあいますか?

303141 :06/12/14 23:31 ID:???
新しいの完成しました
あと、>>141のやつを書き直しました

http://mizumizu.cscblog.jp/content/0000077944.html
http://mizumizu.cscblog.jp/content/0000072675.html

よければ読んでみてください

304名無しさん :06/12/15 00:36 ID:???
雪女GJ!

305リメイク :06/12/23 01:48 ID:???


今日は大学生活初めての夏休み、最後の日だった。
だから私は友達五人(真紀、梨佳、友恵、千秋、彩)を誘ってどこかへ行こうと提案した。
それで、みんなで相談した結果ある人里離れた湖へと行くことになった。
楽しいピクニック、そんな軽い気持ちで行くつもりだったのにまさかあんなことになるなんて夢にも思わなかった。

臨時ニュ−ス。
××湖にて、巨大アナコンダ出現。体長30メ−トルを超す、希に見る特別変異種。
危険なため、この湖には決して近づかない様に。

このニュ−スは私たちがピクニックへ行った翌日、急遽どのテレビ番組も中断しこれを放送し続けた。
でも、私たちにとってはそんなことどうでもよかった。
なぜなら、このニュ−スの目撃者は私たち自身なのだから。
そして、私たちはすでにこの世にはいなかったのだから。



昼。
だいたい、太陽が真上に位置するぐらいに私たち六人はこの湖に着いた。
その湖は水が青々と透き通っていて、思わず感嘆の声を上げてしまうぐらいだった。
ただ一つ、気になったのは魚が一匹も泳いでいなかったこと。奇麗な湖なのだから、おかしいと思いつつも湖の底が深いため、見えないのかなとその時は思うことにした。

近くにたまたまボ−トがあったため、無断であったが私たちはそれを借りることにした。
ちょうど二つあったため、三人ずつ別れて乗ることになった。
私と真紀、梨佳。友恵と千秋、彩。
それぞれ、ボ−トへ乗り込んだ。

湖の中心部辺りまで、ボ−トを進める。
楽しくおしゃべりをしながら、過ごしているとそれは突然、何の前触れもなく起こった。

大きな水シブキと共に、友恵・千秋・彩が乗っていたボ−トが転覆したのだった。

「え?何!?」
「きゃぁ!!」
あまりにも突然のことだったので、私も含めて何も動けなかった。
しばらくすると、海面から友恵、彩が浮かび上がってきた。
でも、千秋だけがどこを見渡しても見つからない。
友恵と彩が、私たちのボ−トへ乗り移ったとき、ようやく千秋の姿が確認できた。
「ギシャァァァァ!!」
轟くような叫び声と共に浮かび上がってきたのだ。
胴回りだけでも私たちの身長を遥かに超すだろう。三十メ−トル、いや、実際に測ったら四十メ−トルは越えるあまりにも大きすぎる巨体。それは捕らえた獲物を決して離さない、そして、もう一つ獲物を見据える威圧感のある眼光。
巨大蛇、又の名を人食い蛇、アナコンダ。
映画ではよく登場し、その存在だけは知っているがもちろん実際に見たのは初めてだった。しかも、映画で登場したものより遥かに上回る巨体というオマケ付きで。


306リメイク :06/12/23 01:49 ID:???

まず、アナコンダは千秋の両足に自らの尻尾を巻きつけた。尻尾だけでもゆうに胴回りは一メ−トルを越えるので一巻きで充分。そのまま軽々と尻尾を持ち上げ、千秋はいわゆる逆さ吊り状態になった。
そして、千秋の両足がミシリと音を鳴らした。そう、アナコンダは千秋の両足を折ろうとしている。
何のために? 何の意味があって?
そんなものは決まっている。
千秋を――いや、せっかく見つけた獲物を逃がさないために、抵抗できなくするために移動手段である足を破壊している。
「ぁぁぁ……、いや、ヤメテぇ……。い、いたい、イタイ!!」
千秋の悲痛な声が私たちの耳にも聞こえてきた。千秋は泣いている。涙がとどまることを知らない。めくれ上がったスカ−トを抑えようともせず、足に巻きついているアナコンダの尻尾を引き剥がそうと手を伸ばす。
だが、その手は逆さ吊りになっている状態では届くことは決してない。たとえ、届いたところでどうしようもないというのに。
自然で生き抜いた強者に、自然を遠ざけた弱者である私たち人間が適うわけないのに。

「ギャァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」

静寂続く蒼の湖。響き渡るは一人の少女の悲痛な叫び声。
ボキリ、とあまりにも簡素な音。この静寂な湖ではここにいる者すべてが聞き取ることが出来たかもしれないその音は、同時に千秋の両足がへし折られたことを意味する。
それに続く千秋の叫び声、両足の骨が折れたのだから当然といえば当然だ。
「ぅ、うぅぅ……。あぁぁぁ……」
なす術も無く破壊されていく友達が目の前にいるのに、私たちは誰一人として千秋を助けにいこうとしなかった。いや、この自然の強者を目の辺りにして恐怖で誰も体が動かなかった。


もうすでに両足を折られた時点で、千秋に抵抗どころか逃げ出すことも出来ないというのにアナコンダの破壊行為は続く。
一度両足の拘束を解いてから今度は右腕へと尻尾を巻きつけた。右腕も同じく、胴回りが太いので一巻きで充分だった。
「ひっ……!!」
持ち上げられた右腕を見た千秋が嗚咽を漏らす。
グキリ!!
「…………!!!!」
今度は左腕。持ち上げられて同じく、
グキリ!!
「あ……、う……」
次は腹部に巻き付く。これもまた、太い胴を一巻きで。そして――、締め付け。
「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
千秋が上体をビクンビクンと反らしている。激しく疼きながら、少しずつだが彼女のウエストにアナコンダの胴が食い込んでいる。
ボキ……、ボキ……、ボキ……。
肋骨が折れる音。
「がっ……、がはっ……」
千秋にはまだ意識があるようだ。両手両足を折られただけでもかなりの苦痛であるのだが意識は保っている。まだ、死ぬわけではない。
でも、これからさらなる苦痛が続く。死ぬことでしか解放されることのない無残な破壊行為が続けられる。


307リメイク :06/12/23 01:51 ID:???

とぐろを描いていた。
千秋を中心としたとぐろがアナコンダの太く、長い体によって形成されていく。首から足首まで何重に、四重にも五重にもアナコンダの体すべてが千秋の体に巻きつくまでとぐろを描く。
「た……、たすけ…………て」
千秋の悲痛な顔が、最後の意識を振り絞って放たれた言葉が私たちへと向けられたとき、中心にいる人間を死へと誘うとぐろが動き出した。

ギュ、ギュ、ギュギュウ、ギュギュギュウ、ギュゥ〜〜〜〜、ギュ!!ギュ!!

文字通りの嬲り殺しだった。
一気に千秋の体を締め上げて殺すのではなく、少しずつ力を入れながら千秋が意識を失いそうになったら締め付けを弱め、落ち着いたら再び締め上げる。
「がっ……、ががっ……!!」
それは、とぐろのちょうど頂点に見える千秋の顔、表情から分かる。今、千秋はどれぐらいの苦痛を味わっているのだろうか。
両手両足を折られ、肋骨を粉砕され、揚げ句の果てには全身を何重にも巻き付かれ、自らの華奢な体を押し潰され、握り潰され、締め付けられている。意識を失うことを許されず永遠をも思わせるこの地獄の苦しみに耐えている。
「うぁ……、かっ!!」
また、だった。また意識を失いそうになったところで締め付けを弱くすることと、首筋に噛み付く等のことをして千秋に地獄の責め苦を続行した。
ふと、思う。
アナコンダは最初、千秋という獲物を逃がさないために両手両足を折ったのだと思ったが違うのではないだろうか。単純にアナコンダは千秋を嬲り殺しにしたかったのではないかと思う。
それは生物の本能なのか?
強者だけが味わえる究極の快楽なのか?


「…………(ヒュ−ヒュ−)」
ついに悲鳴も呻き声も出せなくなっていた。息をするのだけで精一杯のようだった。
千秋の顔は真っ赤に染まって虫の息同然だった。死のとぐろが動くたび、千秋の顔がそこに埋もれていく。少しずつ、獲物を嬲り殺しにするように簡単に殺してしまわない様にゆっくりと楽しみながら、締め上げていく。
ついに千秋の顔がとぐろの中へ埋もれていった。
そして、とぐろが急速に縮まっていく。中にある獲物を――千秋を押し潰さんとばかりに力を込めているのがよく分かる。
もう、千秋の呼吸音は全くといって聞こえてこない。

――グチャリ。

私たちにその音は聞こえてこない。でも、とぐろの中でこの音は最も良く響いていただろう。
――何かが押し潰される音。
――何かが握り潰される音。
――何かが絞り潰される音。
アナコンダがとぐろを解いて、その中から一人の少女を解放する。


苦痛に耐えている千秋の表情。
私も含めて、その場にいる全員が目を背ける。同時に涙する。
押し潰された肺へと必死に空気を求めようと、口は開かれたままだった。顔が真っ赤に染まり、がくんっ、とうな垂れている。
折られた両手両足は青白く変色している。首が有らぬ方向へと曲がっており、全身もまた本当に人間かと思うぐらいに、全身の骨が砕かれて変形していた。
数十分後、ようやくアナコンダの死のとぐろから解放された千秋はもちろん生きてはいない。水面に漂い、その遺体は波に揺れている。
千秋はアナコンダに――締め殺されてしまった。

映画さながらの現実に、自然の強者を目の辺りにした私たちに更なる恐怖が襲いかかる。




続く

308名無しさん :06/12/23 02:53 ID:???
おお、見事にリョナ度が上がってますな。
続きも期待してます。

309リメイク :06/12/24 01:43 ID:???

千秋を締め殺したアナコンダは次に私たちへと標的を変えた。
その巨体に全く似合わない素早さをもってして、私たちのボ−トへと向かってくる。
「早く上がって!!」
私は未だボ−トに上がれきれていない友恵の手を掴んで、彼女を引き上げようとした。
だが、それよりも早くアナコンダが友恵の足元まで来ていた。アナコンダの尻尾が友恵の両足をつたって脇の下をとおり現れた。
「友恵!!」
私が叫んだ瞬間、アナコンダが私に対して威嚇――鋭い眼光と、その大きな口を私の目の前で広げた。
「ひっ!!」
ひるんだ私は友恵の手を反射的に離してしまう。いとも簡単に、あっという間に私は友恵を見殺しにしてしまう。アナコンダは友恵の両腕を包む様にして上半身へ、さらに巻き付く。
そして、友恵を巻き付かせた尻尾を湖へと沈める。


私は水面に湧き出す泡をずっと見ていた。一分、二分。この間に友恵はこの湖の底でもがいているだろう。アナコンダからの窒息地獄から抜け出せず、ただ苦しみ続けるしかない。水面に湧き出す泡は少しずつ確実に友恵の命を削っていくように消えつつある。最後とも言うべき、大きな気泡が水面に浮かんだ数秒後――。

友恵がアナコンダの尻尾と共に引き揚げられた。

一ミリたりとも動かない。すでに意識はなく、白目をむいている友恵。
そんな友恵に対し、アナコンダは彼女の腹部へと胴を巻き付かせ締め上げる。彼女が飲んでしまった水を吐き出させるために、またしても獲物を――今度は友恵を簡単に殺してしまわない様に、嬲り殺しにするために。ミシミシと音が鳴り、アナコンダの胴が食い込んでいく。
グ、グググ……、グ、グ、ググ…。メキメキ、ミシ。ボキン!!!!
「ごほっ!!」
血が入り交じった水を吐き、意識を取り戻した友恵。
でもそれもつかの間、友恵がまだ生きていることを悟ったアナコンダは容赦なく再び友恵を湖へと沈める。
友恵にまた、窒息地獄が襲い掛かっている。水中で抵抗も出来ず、苦しむことしかできない友恵は――。

この窒息地獄は五回ほど繰り返された。そして、今友恵は引き揚げられているがアナコンダがどれだけ友恵の腹部を締め上げ、水を吐き出させようとしても彼女はピクリとも動かない。友恵は二度と意識を取り戻すことはなかった。


310リメイク :06/12/24 14:05 ID:???

「と、とにかく。早くここから逃げよ!!」
彩が泣き叫び、真紀がそれを少しでも慰めようとしている。
梨佳が私に声をかけボ−トを動かそうとしたとき、アナコンダの尻尾がボ−トに乗っている私たちに目掛けてものすごいスピ−ドをもってしてやってきた。
「きゃあぁぁぁぁ!!!!!」
そのアナコンダの薙ぎ払い攻撃に彩が犠牲になった。
もろに胴体への直撃を食らった彩は数十メ−トル吹き飛ばされ、水面へと投げ出された。そして、アナコンダの眼光がしっかりと彩を捉えていた。
直撃を食らって、痛みに疼いている彩の目の前にアナコンダの頭部が水面下から現れた。すると彩の首筋へ巻き付き、その太い胴はそのまま彩の口と鼻をしっかりと塞いでいる。
「ん〜、んんん〜〜〜〜!!!」
激しい呻き声が聞こえてくる。鼻と口を塞がれている、いわゆる完全窒息状態。アナコンダは彩の両手両足にもしっかりと巻きついて、彩にもがくことさえも許していない。
完全に窒息の恐怖を、地獄の苦しみを体感させている。
「んぁ……、ん……」
本当に苦しそうだ。何度も何度も体を痙攣させて、その度にビクンビクンと体を跳ね上がらせる。彩の顔の表情は私たちには見えない。

でも、なんでだろうか?
私はしっかりと彩が苦しむ姿を瞬きせずにしっかりとその目に焼き付けている。真紀と梨佳は目を背けて、泣きさけんでいるというのにそれなのに私は……。
むしろ、そうであるかのように。人が苦しんで苦しんで嬲り殺しにされて、幾度となく死の恐怖と此の世のものとは思えない地獄の苦痛を味わって、もがいてもがいて死んでいく姿に私は興奮している。

彩もまた嬲り殺しにされていた。
彩の呻き声が小さくなってくると、アナコンダは彩に数秒間だけ息をさせて再び口と鼻をふさいで窒息させる。
「ん、んんん……、うぐ!!!」
アナコンダの頭部が苦しんでいる彩の顔のすぐ側にある。アナコンダは口からよだれを垂らしながらしっかりと苦痛にうめく彩を見ていた。獲物が苦しんでいる様を見て、アナコンダもまた私と同じく興奮しているようだった。
「…………!!!!」
四回、五回とこの窒息責めを繰り返した後、六回目になると彩に止めを刺そうとしているのか何分経っても彩に息をさせない。数分後、ゆっくりと彩を解放していく。口から泡を吐き、苦痛の表情を浮かべながら絶命している彩。そんな彩を見て、私はまた興奮してしまっている。そして、思う。私もあんな風に苦しめられてみたいと。



311リメイク :06/12/24 14:06 ID:???

真紀と梨佳が、この場から逃げようとボ−トを漕ごうとしている。それを見た私は二人の背中に手をやって、そのままボ−トから突き落とした。
「え!?」
「きゃぁ!?」
小さな悲鳴を上げながら、湖へと落ちていく二人。その足元にはすでにアナコンダが潜んでいた。驚く暇も無く、私に怒り文句の一つも言えぬまま二人はアナコンダに巻きつかれる。
とぐろを描く。千秋と同じように真紀と梨佳を中心とした死のとぐろがアナコンダの太くて長い胴体によって形成されていく。首元から足元まで二重にも三重にもアナコンダの体すべてが巻き付くまでとぐろを描く。
「××……」
梨佳が私の名を呼び、助けを求めるように手を差し伸べてきた。すぐ目の前に迫った梨佳の手、その手を私は掴むどころか振り払った。
「なん……で……?」
「それはあなたが……」
真紀と梨佳、二人を中心とした死のとぐろが動き出す。
「私と同じような人間じゃなかったからよ」


甘美を誘う光景。
優雅で美しく、見るものを圧倒させる。ぞくぞくとした興奮が止まらず、目の前で苦しんでいるのが私の友達であったとしても快感を覚えられずにはいられなかった。
「く、苦しい……」
「息がぁ……、でき……ない……」
アナコンダはまたしても二人が簡単に締め殺してしまないように、締め上げてくれている。器用にも全身を締め上げて全身の骨を砕くような勢いでやったり、首だけを締め上げて窒息の恐怖と苦痛と味合わせたりと様々に二人を苦しめてくれた。

グ、グ、グググ、メキメキ、ミシミシ、ギュギュウゥ〜〜〜〜、ギュギュ。

「ハァハァ……」
「…………」
梨佳がぐったりとしていて、何の反応も無い。むっと来た私は梨佳の頬を思いっきりバチンと叩いてやった。
「う……」
目を覚ます梨佳、それを感じたアナコンダは少しずつだが確実にとぐろを縮めていく。二人を嬲り殺すように飽きたようだった。今までとは桁違いの圧力が二人に加わっている。
「あ……」
「う……、ごぉ……」
それに比例するかのように二人の顔色が悪くなっていく。とぐろに埋まっていく中で必死に顔を上げ、呼吸をしているが死は目前に迫っている。

ギュウギュウ、ギュウ〜〜〜〜〜〜〜、ギュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、ギュウウウウウ。

とぐろの中に埋もれてしまった真紀と梨佳、今はもう確実だが二人は全身の骨が砕かれてそのすさまじい痛みと、鼻と口を完全に覆われ完全窒息状態での凄まじいまでの苦しみにもがくことも許されず、耐えることしかできないだろう。
それはどれぐらいの苦痛なのだろうか。千秋のときにも思ったが、今は同情ではなく激しい願望であった。

グチャリ。

――何かが押し潰される音
――何かが握り潰される音
――何かが絞り潰される音
その音はとぐろのなかでしっかりと響いていただろう。それも二発分、私もその音を聞き取ることができた。
アナコンダがとぐろをゆっくりと解いていく。


苦痛に歪んだ表情、真紀と梨佳の遺体が私の足元へとやってきた。波に揺れている二人をみたとき、私もようやくこうやって苦しめられることができるんだと。どれぐらいの苦しみなのだろうか、そして、どれぐらい気持ちいいのだろうか。

アナコンダの眼光が私をしっかりと捉えてくれた。



312リメイク :06/12/27 01:24 ID:???
ボ−トから降りて、赴くままにアナコンダの死のとぐろへと入っていく私。アナコンダの太くて長い胴体が私のすぐ目の前まで迫っている。
今更ながら少しだけ怖いと感じてしまったけれど、でも、これから体験できる苦しみと快感に対してはぞくぞくとした興奮を覚えている。

直接、肌と肌が触れ合う。
無意識の内に服どころか、下着まで脱いで裸になっていた。そして、裸となった私をついにアナコンダの胴体が巻き付いてきた。
ヌメヌメとした感触、ざらりとした鱗。ゆっくりと私の体を舐め回すかのように這い出てくるアナコンダ。両足をきれいに畳んで拘束し、腰を通って順序よく巻き付いていき、私のさして大きくないかもしれない乳房を押し潰してくる。
そうやって、まずは一重に私の裸体を包み込んだ。
「キシャアァァァァァ!!!」
アナコンダが口を大きく広げ、咆哮する。それが始まりの合図だった。

ギュウ。

「う……、くっ!!」
私の細腕にめり込んで、折り畳まれた両足がさらに締まっていくような感触。じんじんとした痛みが両足と両腕に襲いかかってくる。これだけでもけっこうな圧迫感を感じる。
でも、全然苦しくない。快感は感じられない。
少しずつだが、私に対しての締め付けに力が入っていくのが肌を伝って感じられる。私も勿論、嬲り殺してくれるのだろう。それは私も望むこと。
「ハァ……、ぁぁん」
皆のときもそうだったけれど、アナコンダはしっかりと人間を殺す方法を知っている。息ができなくなれば死ぬことも、全身の骨を砕ききったら死ぬことも知っている。
だから――、こうやって私たちを嬲り殺しにしているのだろう。
苦しい。息が苦しくなってきた。私の乳房を押し潰しているアナコンダの胴体は同時に私の肺も押し潰していた。息が詰まって、だんだんとうまく呼吸ができない。
でも、この苦しみこそが私が求めていたもの。まだまだこんな程度では物足りない。

――もっと私を苦しめてよ、息ができなくなるってどれぐらい苦しいのかな。
――もっと私を痛みつけてよ、全身の骨を折られるってどれぐらい痛いのかな。
――私に地獄の苦痛を味合わせて、あなたが私を締め上げることが最高の快楽なら、私はあなたに締め上げられることが最高の快楽だから。

「あぁ……、く……」
私の気持ちを悟ってくれたように、アナコンダはより一層私を苦しめてくれた。
一度締め付けを緩めて再度私の体に、特にお腹辺りを中心に三重ぐらいに巻き付いた。そして、お腹の部分が異様に膨らんだとぐろになり、締め付けが再び開始される。


313リメイク :06/12/27 01:26 ID:???
「あぁ……、く……」
私の気持ちを悟ってくれたように、アナコンダはより一層私を苦しめてくれた。
一度締め付けを緩めて再度私の体に、特にお腹辺りを中心に三重ぐらいに巻き付いた。そして、お腹の部分が異様に膨らんだとぐろになり、締め付けが再び開始される。
苦しいというよりも、痛かった。
それまでとは違って、一気に締め上げてくれたものだから肋骨が何本もボキンボキンと音を鳴らして折れてしまった。さらに、アナコンダの胴がウエストに食い込んでいくたびに締まっていき、胃液が逆流し内臓が破裂しそうな感じだった。
「うぅ……」
アナコンダが私を凝視している。痛みに耐えている私を、よだれを垂らしながら真っ直ぐに見ている。
私にはアナコンダが何を思い、何のために、私を苦しめているのかなんてわからない。自分の縄張りに入ってきた敵を殺すためなのか、獲物を嬲り殺しにするため――自らの快楽のためなのか。
でも、少なくても私は苦しめてもらいたかった。だから、それはそれでいい。ほら、もっと私を苦しめてよ。もっともっと苦しみたいの。千秋や真紀、梨佳のように全身の骨を砕いて苦しめてよ、友恵みたいに水中に沈めて苦しめてよ、彩みたいに口と鼻を塞いで全く息ができないようにして苦しめてよ。他の方法でもいいよ。とにかく私はあなたに苦しめてもらえればそれでいいの。
滑らかな蛇の胴体に締め付けられて、なす術もなく苦しめられて喘ぐ裸の女性。それが私、こういう構図ってけっこう美しいと思わない。

とぐろを解いてから一箇所にだけ集中的に巻きついてその箇所を締め付ける。そして、ゆっくりと圧力を掛けていき存分に私が苦しみ、喘いで、絶叫したところでその箇所の骨を粉々に砕く。
それは文字通りの地獄の苦痛であった。骨を一本折られるだけでもかなりの激痛が走るというのにそれが何本も、何十回となってくるともはや神経が麻痺しているのか、もしくはすでに神経が切れてしまっているかのどちらかだ。
肋骨を折られた後、アナコンダはとぐろを解いて私の左足にだけ巻きついた。千秋のときとは違い、一巻きではなくできる限り巻き付けるだけ巻き付いた。そのまま私を空中へと持ち上げ、私は宙づりとなった。
「ひぃ、ひゃぁぁぁぁぁ」
水中ではあまり抵抗がなかったが、今の私は服も着ておらず、下着すらも着けていない。女性にとって大事な部分が露わになって少し恥ずかしい。でも、そんなささいなことなんてすぐに吹っ飛んでしまう。
――徐々にレベルアップしていく苦しみによって。
「い、い、いぎいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!」
これまでとは全く違う、すさまじいまでの激痛が左足に走る。肋骨を折られたときも、かなりの激痛だったのに今の締め付けによる苦痛とでは比にならない。さっきまでは手加減していたというのか、それもかなりの力の抜き加減だ。
もうすでに左足の骨は粉々に砕け散っているはずなのに、締め付けを解いてくれない。それどころかゆっくりと圧力を掛けてくれるので、痛いなんてものではない。言葉では言い表せないどうしようもない痛み。
これが順番に繰り返されていく。
左足が終わった後は、右足、次に左腕、右腕。今度はすでに折れている両足を包み込んで下半身を襲う。最後にこれもまたすでに折れている両腕と肋骨を包み込んで締め付ける。
私はもう、何回も気を失った。でも、更なる激痛によって意識を取り戻らされ、苦痛を味わうことになる。
そして、今も気を失いそうになった。そのとき――

私の唇が、アナコンダによって塞がれた。

「――――!!!」
突然のことで驚く私。首を振って、アナコンダの口を引きはなそうにも蛇独特の舌が私の舌に絡み付いて離れない。
「ん〜〜!! んん〜〜〜〜〜!!」
熱い何かが私の舌を伝って流れてくる。それはアナコンダの唾液、それが私の体内へと入っていく。
「ぷはっ!?」
ようやく、アナコンダの口が私の唇から離れた。その間の数秒間、アナコンダは私にみずからの唾液を流し続けた。


314リメイク :06/12/27 01:26 ID:???
そして、すぐさまとぐろを描く。
私を中心とした死のとぐろ。裸である私と直接、肌と肌がふれあう。ヌメヌメとした感覚にざらついた鱗。二重にも、三重にも、さらに五重にもアナコンダの太くて長い胴体は私の体に巻きついてくる。
さらに最後の一巻きが私の首に掛かり、私の鼻と口を覆った。
「ん〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
息ができない。苦しい、苦しい、苦しい!!! 目の前が真っ暗になってくる。でも、これだけでは終わらない。動き出した死のとぐろによって全身が締め上げられていく。

ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギr

「ああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
今までの比ではない。一箇所一箇所骨を折られたときよりもさらにきつく締め上げられていく。これがアナコンダの力、自然の弱肉強食を生き抜いた強者の力。私たち人間はその力に耐えることすらできない。
関節が破壊されていく。肩も、両手首も、両足首も、鎖骨も、背骨も、音を立ててミシミシと鳴った後、破壊されていく。凄まじいまでの圧迫感と息苦しさ、全身の骨がすべて折られてしまったようである。
でも、私は意識を失わなかった。なぜだろうか、ああきっとアナコンダにキスされたときに流し込まれた唾液のせいだ。あれのせいで私はそう簡単に死なない体になったんだ。もしかしたら、不死身にでもなったんだろうか。私を永遠に苦しめるために。

とぐろをの中ですさまじいまでの圧迫感と全身の骨が砕かれた言いようの無い激痛と、口と鼻を塞がれ息が全くできない完全窒息状態のまま私はアナコンダと共に湖へと沈められた。
少しずつ沈んでいく。この間にもとぐろは縮まっていき、私の体は押し潰されている。五重になっていたとぐろは今では六重ぐらいになっていた。全身の骨が砕ききっていて、ウエストはすでに三十センチをきっている。上半身と下半身が変にねじれてしまっている。
息ができない苦しさは終わることを知らない。水中に引きずり込まれたことによってさらに苦しみが増した。目の前が真っ暗になっていき、頭のこめかみあたりがずきずきと痛む。
でも、これこそが私の求めていた最高の苦しみだった。抵抗もできず、もがくこともできずにただ苦しめられ続け、痛みつけられ嬲られていく。
「苦しい、苦しい、苦しいよ……。でも、気持ちいい……」
水中に引きずり込まれ、鼻と口を塞がれて息が全くできない。アナコンダという人食い蛇に全身を締め付けられ、全身の骨が砕かれ内臓は破裂。それでもなお、死ぬことはおろか気を失うこともできず、これでもかというぐらいの地獄の苦しみを味わい、それに興奮しながら私は湖の底へと沈んでいった。



三日後、アナコンダの目撃情報とともに私を除いた千秋、友恵、彩、真紀、梨佳の遺体が引き揚げられた。
そして、例を見ない大事件としてしばらくの間トップニュ−スとして取り上げられた。
でも、一ヶ月もすれば人々の記憶から徐々にこの事件は忘れ去られていく。




315名無しさん :06/12/30 01:14 ID:???
色々と凄い事になってるな…。

316名無しさん :07/01/08 02:15 ID:???
蛇シリーズ大好きです。GJ!!

317名無しさん :07/01/24 01:55 ID:???
ONEPIECEのナミで、まだ途中ですが一つ投下。
ずっと前にテレビスペシャルでやっていたのをレンタルで借りて、思いつきました。
ルフィ達と出会う前に、ナミがあそこへ行ってたら想定して書きました。

318名無しさん :07/01/24 01:56 ID:???

この世界は謎に満ちている。それはグランドラインをはじめとした様々な海に必ず一つは存在する。大航海時代が始まり、人々が海へ駆り出されるとその一つ一つが発見され、世界に名を残す科学者達によって解明される。発見された当時人々は怪奇現象だの、此の世の悪魔が作り上げた産物だのと噂されていたがほとんどが科学的に解明されている。
その中の一つに、やはり悪魔の実があった。
だが、やはり科学の力だけでは解明できない多くの謎がグランドラインを中心にいくつか点在する。そして、ここイ−ストブル−でも最北端に位置する海に一つの謎がある。巨額の財宝があると噂され、周囲の人間からは「海のへそ」と呼ばれている。

海のへそ。
海底の急激な地盤沈下によって出来たとされているが、その地盤の低さやその中でも人が住める環境であるという事実が謎をより一層深めている。四方を滝に囲まれ、そこに行くまでにかなりの危険と労力が掛かることから外界への接触はほとんどないとされている。そのため、巨額の財宝があるという噂はあとを経たない。宝の地図までもが出回り、財宝を求めやってくる海賊は多い。だが、やってきた海賊のすべてが財宝を手に入れることはおろか、誰一人してかえってくることはない。実はこの「海のへそ」には未知の怪物達が財宝を守っていたのだった。
そして、この「海のへそ」に一人の少女が財宝を求めやってきた。


「あ〜〜、もう嫌!! 気持ち悪いったらありゃしない」
外界からこの「海のへそ」にやってくるには、勿論のごとく滝を下っていくしかない。なので、全うな手段など存在しないのであった。今やってきた少女も人一人が入れる樽に身を包んで滝を下るしか方法がなかったのである。
「まぁ、いいわ。ここが海のへそってわけね」
ナミの目がきらりと光った。ことお宝とくれば、ナミの目には財宝しか映っていない。オレンジ髪のショ−カットが風になびく。すらっとした長い足、胴が短く見事なプロポ−ションを描いている。17歳となったナミだが、海賊専門の泥棒と名乗っておそらく二年ぐらいが経つだろう。それでも、まだ目標となる一億ベリ−に到達するには程遠い。だから、たまたま仕入れた情報であるがこの「海のへそのお宝」を是非とも手に入れたい。
ナミの顔がいつになく真剣になり、目つきが変わる。


辺り一面に霧が漂っている。
そのせいで、周りの景色が白一色に染まっている。
慎重に一歩一歩手に入れた地図によって足を進めていくナミだが、そのナミを見つめる存在がいた。また財宝を狙いにやってきた輩となれば守り神として排除するしか他ならない。今までと違って大人数ではなく一人で、しかも女であるかもしれないが財宝を奪われるわけにはいかない。
長い冬眠から覚めたように、ゆっくりとその巨体を動かしナミへと向かっていく。

「な、何よこれ……!?」
霧が晴れたとき、ナミは驚愕の声を上げた。
たしかにこんな光景は見たことがある。宝があるにしろないにしろ、島のどこかでこういう光景はちらほら見かけるかもしれないが、これは異常だ。大きな海賊船が何十隻も持ち主から捨てられたように辺り一面そこらじゅうにあった。
ナミにとてつもなく、嫌な予感がした。海賊専門の泥棒だけあって、今まで幾つもの死線を味わってきたわけだがこれほど嫌な予感がしたのは始めてだった。引き返そうと思い、ナミが後ろを向いた瞬間である。その刹那、海賊船の後ろからとてつもなく大きな音がした。
「え……?」
思わず立ち止まってしまうナミ。大きく揺れる海賊船がその巨大な何かによって踏み潰され、ただの木片へとなっていく。メキメキ、バキバキと音がする中でナミはその巨大な何かが何なのかを知った。
「あ……、うぁ……」
全体的な緑色。吸盤だけでもゆうに自分の身長を軽く越えている。細長い、普通ならば細長いはずである八本の触手がとてつもなく、異様にも太かった。あれに捕まってしまえば絶対に自分の命はない。本来なら自分が捕食者であるはずがこれを目の辺りにしては完全に立場が逆転している。怪物、百メ−トルを越える大ダコはすでにもう動物ではない。怪物だ。
そして、その怪物の眼光はナミをしっかりと捉えていた。


319名無しさん :07/01/25 03:31 ID:???
「ぅ……、うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
臆面もなく、悲鳴を上げてナミは走った。
今までどんなことに対しても、強気の姿勢を示し逃げようとはしなかった彼女だがこのときばかりは逃げるしかなかった。
走って、走って。
霧の中を無我夢中に、どこを行くのかも分からず、目の前に迫る命の危機と恐怖から逃れたいために。
狂ったように走り続けた。
だが、すでにもう目の前に迫っていた。霧が一斉にして薙ぎ払われ、ナミの姿が露わになる。そして、大ダコの触手が地面を這う様にしてナミを大きく吹き飛ばしたのである。

「きゃぁぁぁ!!!!」

もろに直撃を食らい、地面に転がる。
痛みに疼き、唸り声を上げる。
そんなナミに対して、大ダコは攻撃の手を緩めない。さっきナミを吹き飛ばした触手を高く振り上げ、ナミに向かって振り下ろす。

「あ……、がはっ!!」

背中をもろに打ち付けられ、体から搾り出されたように口から鮮血が飛び出す。ナミを中心に地面が大きく抉られ、このときすでにもう理解するまでもなく、ナミは致命傷を負わされていたのだった。
「げほっ!! げほげほ」
打ち付けられた背中に激痛が走り、右足は骨が折れてしまったのか全くと言っていいほど力が入らない。振り下ろされる触手の威力と重量感にナミの体が、十七歳の少女の体が耐えられるわけがなかった。

(痛い・・……、目が……霞む。 だれか……助けて……)

ナミにもう逃げることは出来ない。手を伸ばし、地面を掴む。這いつくばるようにしてこの致命傷を負った体を引きずる。
ぼやけた目が、頭から流れ出た赤い血を映す。
再び大ダコは触手を高く振り上げ、ナミに向かって振り下ろす。轟音とともにさらに地面が抉られ、ナミは弓なりに体を大きく仰け反らした。
絶叫が響き渡る。
ナミは意識を失った。


「はっ」
ナミが意識を取り戻したときには、触手によって全身を絡み付かれていた。両手両足を含め、胴体や首筋まで絡み付いている。おおよそ三本ぐらいの触手で覆われている。ヌメヌメとした感触に、吸盤が張り付く。その吸盤の吸い付きが、ナミの肌を傷つけ痛みつける。
さらに、上空に持ち上げられていた。正確には、大ダコの目の位置ぐらいまで。ナミの目に長年、悪しき者達から財宝を守り続けてきた守り神の眼光が映る。恐ろしいまでに殺気を放っているその目にナミは「ひっ」と嗚咽を漏らす。
そして、ナミが目覚めたのを見計らってか触手が動き始めた。ぎりぎりと触手がナミの全身を締め付けていく。

「あ……、ああああああ!!!!!!!!!」

信じられないほどの圧力が掛けられる。体が捻れて引き千切られてしまいそうだ。右腕が肩から後ろに引き伸ばされる、左腕が肘から先にかけてありえない方向へと曲がっている。両足が直接、吸盤に張り付きナミに一切の抵抗を許さない。ウエストが引き千切られるほど締め付けられ、内臓がぐちゃぐちゃになるまで続けられる。
血が逆流し、行き所を無くした血が鼻や口から溢れ出す。
(痛い……、痛い、痛い、痛いよぅ)
海賊専門の泥棒として名を馳せてきたナミであったが、もうこの場では苦痛にうごめく哀れな敗北者でしかなかった。
美少女と形容すべきナミのスタイル抜群の体は今や原型を留めていない。ベキベキと一本ずつ確実に骨が折れていき、よからぬ方向へと曲がっている。捻じられた体は決して元には戻らない。
首筋を絞められ、息が出来ない。喉を圧迫される。ナミの口から悲痛な喘ぎ声が漏れる。
あまりの激痛と苦しみに、ナミは目をつむり口を開けて仰け反った。

「くぁ……!! くぅぅぅぅぅ!!!!!!」

そればかりではない。大ダコはさらに触手の先端をナミへと向ける。そして、そのままナミの口へとその触手の先端を突っ込んだ。
「んんんんんん〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」
さらなる予想外の出来事に驚き、目を見開いた。
触手の先端は、ナミの口を通り喉まで達する。ヌメヌメとした感触が自分の舌をツタって伝わってくる。気持ち悪さと息苦しさに襲われる。激しく疼きながら、顔を左右に振り触手から逃れようとしたがその抵抗は無駄であった。喉からさらに、気管まで触手は先入していた。
「ん〜〜〜〜!!!!!! んんんんんんんん!!!!!!!」
くぐもった声がナミの苦しみを証明する。苦痛に歪む顔がさらに青白く変色し、頬を伝って流れる涙がナミの美しい顔を汚していく。
吐き出したくても、吐き出せない。
さらなる責め苦にナミはただ耐えるしかなかった。



320名無しさん :07/01/26 00:06 ID:???
(ノジコ……、ゲンさん……、村の……みんな……)

薄れゆく意識の中で、ナミは思う。
自分はこんなところで死ぬわけにはいかない。
皆の笑顔を取り戻すまでは、絶対に負けるわけにはいかないのだと。

(わたしは、わたしは!!!)

締め付けられている右腕を、無理やり触手から引き抜こうと渾身の力を入れる。すでに骨が折れているため想像を絶する痛みが走る。さらに吸盤が肌にしっかりと吸い付き、皮膚がベリベリと剥がれてしまいそうだ。
それでも、ナミは歯を食いしばって激痛に耐える。右腕の感覚は無いに等しい。神経や腱、筋が軒並みに切れてしまったのだろうか。でも、今はそんなことどうでもいい。耐えて、耐えて、耐えてそしてついに触手から右腕を解放した。
ズキリと痛む右腕。青白く変色し、吸盤が吸い付いていたところは真っ赤に腫れ上がっている。

(よしっ!! これで!!)

解放された右腕をミスカ−トへと伸ばす。裾をめくり、ともに幾つもの死線を通り抜けてきた相棒を、ナミにとって唯一の武器である棍棒を手に取った。それを躊躇せず、大ダコに向かって投げつける。

トン。

棍棒が大ダコに直撃する。だが、直撃といっても軽く放り投げただけである。破壊力などあるはずが無かった。それでも、効果覿面であった。
「ぐぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
雄叫びが響き渡る。ナミの口から笑みがこぼれる。
どんなに屈強な男であっても、大ダコの怪物であっても決して鍛えることも強くすることも出来ない。ここを攻撃されれば、無事ではいられない。
目であった。ナミを殺さんとする殺気を放った大ダコの目にナミは棍棒を投げつけたのであった。


「オェェェェ!! げほげほっ!!」
触手が緩み、地面へと落下する。ようやくナミは全身拘束による締め付け地獄と、未だに口の中に残るヌメヌメとした気持ち悪い感触及び息苦しさから解放された。
一体、何時間耐えてきたのだろうか?
何回も、何十回も咽る。げほげほっと大きくせき込み、その度に口から黄色の胃液と血が少々混じっている。

(早く逃げなきゃ、早く……、早く……)

今目の前にある触手がいつ動き出すかわからない。でも、逃げようにも両足の骨は折られ、立つことはおろか動かすことすら出来ない。
せっかく、逃げるチャンスを作ったというのに体が動かないなんて。致命傷を負った体ではどうすることも出来ない。
頬に伝わるは冷たい雫。絶望と悔しさで、涙が止まらない。

ナミにとって、この瞬間は一時の解放でしかなかった。さらなる苦痛に襲われるまでの――、そう一時の解放でしかなかった。
触手が再び動き出し、大ダコが雄叫びを上げる。怒り狂ったように奇声を上げる。



321名無しさん :07/01/26 01:47 ID:???

「あ…..あぁぁぁ………」
一本の触手によって、ナミの体は上空へと再び持ち上げられた。頭を残してナミの全身を隈なく、両手両足を奇麗に並べて拘束している。
大ダコは完全に怒っている。すべての触手がバタバタと蠢き、大地を揺らす。殺気を放つ眼光がより一層おぞましいものへと、赤黒く怒りに満ちたように変化している。

「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

再度あの地獄の苦しみと、激痛が甦った。腕が、脚が、手が足が、胸が背中が、そして首が再度ミシミシと、続けてベキベキと音を立てる。服がはだけ、ナミの豊満な乳房が直接押し潰される。肺が、胃が、肝臓が、膵臓が、腎臓が、そして心臓が締め付けられる。ぐちゃぐちゃに、めちゃめちゃにナミの体は破壊されていく。

(もう……、駄目……)

薄れいく意識の中、さらなる追撃がナミに加えられる。なんと、触手はナミの体を弓なりに大きく仰け反らした。上半身を無理やり引っ張り、足まで到達させるばかりの勢いである。ナミの体を二つに折り畳もうとする強大な力に、背骨が音を鳴らす。
口からぶくぶくと泡を吐き、全身がビクンビクンと痙攣する。
大ダコの粘液がナミの体を覆う。ねっとりとナミの体が異臭を放つ。あの誇らしかった勇敢な少女の面影などどこにも見当たらない。敗北者として、ただ無様に惨めな姿を晒しているだけだった。

ぐきり、と音が鳴らされる。
がくりとうな垂れている顔からは舌がだらしなく垂れ下がり、充血した目がすべてを物語っている。背骨までもが折られ、このときすでにナミの意識は此の世のものではなくなっていた。

だが、大ダコはナミが絶命しているにもかかわらず触手の最も太い部分、ナミの全身がすっぽりと覆われるぐらいまでのところまで持っていき、一巻きにする。さらに、もう一本の触手を上から被せるように巻き付ける。さらにもう一本、あと一本。
合計四本の触手がナミの遺体へと巻き付いた。そして、ゆっくりゆっくり圧力を掛けていく。ギギギ、と音を立てていく。そのたびにナミの体は押し潰され、搾り出されたかのように血が噴出する。ポタポタと落ちる血の量が多くなっていく。パキパキと枯れ葉のように骨が砕けていく。折れた骨が内臓のあちこちに突き刺さり、内臓は破裂していく。上半身と下半身が捻じられ、真っ二つに引き裂かれていく。首も急激な圧力によって引き千切れていく。頭が押し潰され、顔が見るも無残な姿になっていく。
締め付けから解放されたナミの遺体は三つに分断され、文字通りの肉の塊と化していた。

守り神である大ダコにとって、これは見せしめであった。財宝に近づく者は悲惨な最期をむかえるということを伝えたかった。
それでもなお、財宝を狙いやってくる輩はあとを絶たない。


322名無しさん :07/01/26 07:54 ID:???
GJ


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