リョナ板 過去ログ倉庫


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ーーーー  リョナ板 SS総合スレ  ーーーー

1 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/11/18 15:09 ID:2Ll6Sgwc
自分だけではなく、読んでいる人もリョナれる
SSをどんどん書いていきましょう!

俺も気が向いたら書きます。

2 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/11/27 22:41 ID:dH/q5y7.
         ☆ チン     マチクタビレター
                      マチクタビレター
        ☆ チン 〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ヽ ___\(\・∀・) < >>1の変態猟奇SSマダー?
             \_/⊂ ⊂_ )   \________

3 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/11/28 22:01 ID:???
質問!

・18禁クラスのエロいヤツ
・18禁クラス(上とは別の意味)のグロいヤツ

でも大丈夫なんですかね?

4 名前:彩女、月夜に散る! 投稿日:04/11/28 23:16 ID:???
時は丑三つ時。
静まりかえった闇の中で、美しく輝く月だけが辺りを仄かに照らしている。
そんな静寂の中、足音一つたてずに疾風と化し、林の中を駆ける一人の女性。
黒い忍装束に身を包んだ彼女の名は、彩女。
東忍流皆伝をわずか14歳で与えられた、天才くの一である。
彼女は密書を届けるために、主君である郷田松之信のもとへ急ぎ向かっていた。

「良い月だねぇ・・・・・・。」
彼女は突然立ち止まると、月を見上げて、そう呟いた。
そして、今度は誰もいないはずの林の奥に視線を向ける。
「あんた達もそう思わないかい?まったく、こんな良い月夜くらい、一人で居たいんだけどねぇ。」
すると、林の奥から二人の人影が音もなく姿を現した。

5 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/11/28 23:19 ID:???
始めにエロ注意・グロ注意って書いとけば大丈夫なんじゃない?

6 名前:4 投稿日:04/11/28 23:26 ID:7I.NT.KQ
初めて小説を書きました。マタ〜リ書いていくつもりです。
残虐シーンを書く予定ですので、苦手な人はスルーして下さい。

7 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/11/28 23:53 ID:puwDdB2g
>>3
バリバリOKです!

8 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/11/29 14:02 ID:???
>>4氏、頑張れ!

9 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/11/29 16:38 ID:???
たしか前に「なまこ名作劇場」でそんなスレ立っていたナァ・・・

10 名前:3 投稿日:04/11/29 17:05 ID:???
>>4氏が頑張ってるところ、申し訳ないが
こちらもちょっとSSを、と思ってるのだが。

新しく書こうかと思っていたら、昔、書いてそのままにしておいたヤツが見つかったので
ちょっと修正して、ここにのせよう思ってる。
そうなると、はじめから終わりまで一気にいくことになるが・・・

同時進行はOKなのかな?

11 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/11/29 17:10 ID:pPhb2lWE
いいんじゃね

12 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/11/29 20:03 ID:???
人に見せるためのじゃなくあくまで自分がリョナるために書いたやつが読みたい

13 名前:3 投稿日:04/11/29 20:42 ID:???
>>12
それは自分に言ってるのだろうか。
だとしたら、今回の修正は
ちょっと、昔の自分に、粘着性がなさすぎる(エログロ度薄し)
という理由から修正しているところなんだが(というか8割方書き直し、ちょっと時間かかるかも)

しかし、あくまで自分でもリョナる、ということなら陵辱もはいるが
それでもいいのか? なんか板違いな気もするんだが・・・

14 名前:彩女、月夜に散る! 投稿日:04/11/29 23:07 ID:???
「あたし達の気配に気づくなんて、なかなかやるじゃないか。あの乱造を殺っただけの事はあるね・・・。」
一人は右手に暗器を携え、赤い着物を着た妖艶な女性。名を双葉。
そして、もう一人は左手に篭手をはめた筋肉質の男。双葉の弟で、名を単葉と言う。
「まさか、生きていたなんてね・・・。それとも、化けて出て来たのかい?」
彩女はこの二人を知っている。
だが、双葉と単葉は凛に倒されたはずではなかったのか・・・・・・。
「凛は止めを刺し損なったのさ。本当に、甘ちゃんだよ。」
彩女の心を見透かしたかのように、双葉は言う。
彼らが生きていた事を知っても、彩女は別に驚かなかった。
こんな因果な仕事をしていれば、死んだはずの人間が生きていたなんて話は、珍しい話ではない。
「今でもあんた達が生きていると知ったら、あの子はさぞ驚くだろうねぇ。」
彩女のその言葉に、双葉は妖しげな笑みを浮かべた。

15 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/11/29 23:19 ID:???
>>4の続きです。
読みにくくなってしまったので、次回からは少し行間を空けますね。

>>3さん、遠慮せずに小説アップして下さい。
楽しみに、待ってます。

16 名前:3 投稿日:04/11/30 22:02 ID:???
とりあえず修正完了。
いや、ほとんどはじめから書き直したな……。

適度にグロい……かな……。

なんかひどく不自然に感じたので陵辱シーンはカットした。
個人的にはこっちの方が良かった気がしたんで。
では↓からどうぞ

17 名前:とある騎士の話1 投稿日:04/11/30 22:04 ID:???
地下水路にモンスターが出現した、との報告を受け、女騎士は仲間達と共に出動した。
かなり昔から、使われずに放置されているこの場所は
まるで、ミノタウロスを封印していた迷宮さながらの雰囲気を醸し出している。

ここに出現したモンスターの数はかなりの数のようではあるが
そのほとんどは各々で十分対処できるほどのものであり
共闘する必要があるほどのものは2,3体らしい、との報告だった。
本来ならば、集団での行動がセオリーなのだが
異常なまでに広大な地下水路に出現したモンスターの数がかなりの数であり
それらのほとんどが、およそ騎士達に敵うほどのものではないという事。
それと、いかに広大といえど、所詮は地下水、このような手狭な場所で
集団で行動することが否能率的であること。下手をすれば同士討ちもしかねない程だ。
それに加えて、ここがかつての、王家の脱出路であるがため、城内にモンスターが侵入する可能性を考えると
見過ごすことはできない、とうことで、一刻も早い駆逐が言い渡されたのであった。

このような条件が重なれば、戦力の分散以外の余地がない事も仕方ないとは言えた。


18 名前:とある騎士の話2 投稿日:04/11/30 22:05 ID:???
地下水路の片隅に、三つの影があった。
そのうちの一つは、カエル、とはいえ、通常のカエルなどより遙かに巨大な、いわばモンスターであった。
そして、後の二つの内の一つは、およそこのじめじめした地下水路にふさわしくない
甲冑に身を包んだ、髪の長い美しい女であった。
「はっ!!」
女の声が地下水路に響くと、手前のカエル型のモンスターは前足を切断されていた。
「まったく……一体どれだけいるって言うのよ……」
と、愚痴をこぼしながらも、女騎士は止めを刺すのを忘れない。
剣をモンスターの心臓に突き刺し、ひねりを加える。
モンスターはすぐに動かなくなり、女は剣を抜く。

「さ、さすが先輩ですね………」
もう一つの影は、女の後ろに控えている、十代とおぼしき、同じく鎧姿の少年だった。
少年が後ろを振り向くと、通路や水路は、モンスターの屍が累々と転がっている。
そのほとんどが、目の前にいる女騎士によって倒されているのだから、感心するのも無理はない。
しかし、女は少年の方を振り向かない。女騎士の眼前には、まだカエルのモンスターがいた。
「特別手当でもなければやってられないわ……」
女が剣を構え、モンスターに斬りかかろうとしたその時
下の水路の中から触手が飛び出し、少年に巻き付いた。
「うわっ!」
すぐさま絡みついてくる触手を少年はなんとか引きはがそうとするが
騎士とはいえ、さほど屈強には見えない少年の力では触手はびくともしなかった。
数瞬で目の前のモンスターを倒した女が駆けつけ、白刃が少年を拘束する触手を切り刻む。
他の触手はひるみ、なんとかその隙に少年を助けることが出来た。

19 名前:とある騎士の話3 投稿日:04/12/01 00:20 ID:???
「せ……先輩………」
その目は、助けて貰った感謝以上に、得体の知れないものに捕らわれていた恐怖で彩られていた。
後輩を安心させるべく、僅かに微笑み、すぐさま体勢を整える。
「はじめて見るタイプね………」
前方の幾本もの触手の後ろに、血に色のように紅い光が二つ見える。
おそらく、触手を操るモンスターの両目なのだろう。

新たなモンスターを目の前に女騎士は、肌に感じるプレッシャーから、モンスターの力量がある程度分かる。
背を向ければ、すぐさま攻撃を仕掛けてくるのは明白だ。
しかし、女騎士はいかにしてこの初めて見るモンスターをどう倒せばいいのか、と攻めあぐねていた。
無闇に近づくのは得策とは思えないが、離れることも難しい。
背後に少年は、おそらく役に立たない。実戦経験もろくにない新人を連れてだと、むしろ不利と考えた。
「アナタは他のみんなを呼んできて、私はそれまでコイツを引きつけておく」
「で……でも………」
「いいからはや」
女の言葉はそこで遮られた。少年の目の前から、女は姿を消えていた。

「ぐはっっ!!」
彼女の細い体は地下水道の壁にしたたか叩きつけられ
受け身をとることもできず、吹き飛ばされた衝撃をまともに受けてしまった。
しかし、かなりの衝撃を受けたとはいえ、甲冑のおかげで、なんとか戦闘はできそうであり
片膝をつきながら、剣で体を支えてなんとか立ち上がると、さっきまで自分がいた場所を見据える。
そこには新たなモンスターが立ちはだかっていた。

2m程の人型であるが、その体型は実に奇妙だった。
肩幅が異常なまでに広く、腕の筋肉が恐ろしく発達している。
その反面、逞しい上半身と比べると、小さな下半身、だが、けっして貧弱ではない。
その小さな下半身はむしろ、上半身の逞しさを引き立てていた。
二つの目は先ほどのモンスターと同じく、真紅に輝いている。
オーガと呼ばれる怪力のモンスターだ。

少年は目の前のモンスターに、ただ震えるばかりで、剣を抜くことすら忘れている。
新たに現れたモンスターが、少年の方に目を向ける、
「た………助け…………」
屈強な上半身から、拳が放たれ、それが少年に直撃する直前、オーガはいきなり手を引いた。
その手からは、血が流れている。
横を見ると、肩を上下させながら、なんとか剣を構える女騎士の姿があった。
「……あ、アナタは早くここから逃げなさい………」
「し……しかし…………ひっ!」
オーガの後ろから、またも触手が迫る。
少年に迫ったそれを切り払いながら、彼女は少年の前に出て、女が振り向く。
「足手まとい………なのよ………いいから、早く行きなさい!!」
女の怒声に、ひるみ、少年はようやく、この場に置いて、自分が必要とされない存在か理解する。
明らかに護られている現状、そしてこの場で何もできない自分。

20 名前:とある騎士の話4 投稿日:04/12/01 00:22 ID:???
悔しそうにしながらも、女とモンスターを交互に見ると、少年は決心した。
「た、助けがくるまで、持ちこたえてくださいよ!!」
そう言って、少年はもと来た通路へと駆けだした。
「……まったく………世話が焼けるんだから…………」
軽口を叩いてみせるが、それは、少しでも冷静になるためのものである、と女は気付いていた。

状況はかなり不利だ。未だに触手のモンスターは倒せていない上、新たな敵。
加えて、先程の一撃は、いまだ彼女に深刻なダメージを残している。
さっきは気力を振り絞って少年を助けたが、正直剣を構えるのがやっとなのだ。
「……終わったら、長期休暇くらいつけなさいよ………」
オーガは一度傷をつけた相手を警戒して、動こうとしない。
しかし、触手はまたも彼女に襲いかかる。
今にも倒れそうになる体に鞭を打ち、剣を振るう。

一向に減る様子のない攻撃、来る方向が分かっているからいいものの
隙を見せれば、すぐにでも、彼女を拘束しようとする。
「ぐっ!……このっ!!………」
次第に剣の速さが失われていくのが分かる。だが逃げることはできない。
こうも体力を消耗していては、背中を見せただけでもはや触手に捉えられてしまう。
そうなれば、あのオーガによって撲殺されるのは目に見えている。
「………いつになったら………応援が来るのよ…………」
そう言いながら、振り切った腕に力を込め、返す刀で触手を切り裂こうとしたが、それは敵わなかった。

右腕が動かない。ふと右腕を見ると、そこには触手……いや……カエルの舌であった。
触手の猛攻に加え、オーガに気を取られて、背後への警戒を怠っていたのだ。
「は、離しなさい!」
すぐさま、左手に剣を持ち替えて、切断するも、その隙を触手が見逃すわけがなかった。
両手と両足にからみついた触手は、そのまま彼女を持ち上げた。
残る触手は彼女の両足を固定し、大の字姿で空中に磔にされる。
精一杯の力を振り絞って振り払おうとするも、そんな抵抗など無駄以外のなにものでもなかった。


目の前にオーガが立っている。先程の礼だと言わんばかりの怒りの形相で女を睨みつけ、拳を握る。
「………や………やめ………」
オーガは握りしめた拳を振りかざし、女騎士の腹へとぶち込んだ。
「ごふぁっ!!………ぐ………が…………」
触手によって体を拘束されているので、後ろにとばされることはなかったが
それはオーガの攻撃の衝撃を、全て受けるということに他ならない。
甲冑は内側へとひしゃげ、女の目から、涙がこぼれ落ちる。
左手に持った剣は、床に落ち、金属音が地下水路に響き渡る。
手足が痙攣し、意識が飛びそうになるのを必死でこらえていると容赦のない二撃目が襲いかかった。
「げぶふぁ!!………ごふっ!ごふっ!…………」
鎧を固定する金具が取れたのか、ひしゃげた鎧は、オーガの拳が引かれると、音を立てて床へと落ちた。
血の混じった吐瀉物がオーガにかかるが、そんなことを気に止めない。

朦朧とする意識の中、女がオーガの顔を見ると、その顔には、歪んだ笑みが浮かんでいた。
剥がれた鎧から覗く女の肢体、甲冑に護られていたとはいえ
服は既に、オーガの攻撃によってズタズタになっていた。
破れた服から覗く女の白い肌は、オーガの拳によって粉砕された場所は変色していた。
今目の前にいるのは、己を傷つける騎士ではなく、抵抗する力を失った、か弱い女なのだ。
自分に危害を加えた騎士の変容ぶりにオーガはただ喜んでいる。
「も……ゆる……し…………」
そんな声がオーガの耳に届くはずもなく、三撃目の拳をオーガが放つ。
防具も何もかもが無くなった状態で受けた拳は、女の胸部に突き刺さる。
形のいい胸は潰れ、折れた肋骨が内側から女の乳房を突き破る。
金属板さえへこませる拳は、それだけにとどまらず、そのまま女の胸に埋没し鮮血が飛び散る。
女の体は、拳の衝撃に体が僅かに浮かび上がり、そして、力無く触手にぶら下がっていた。

もはや痛みすら感じなくなった今。女の耳には嫌な声が聞こえていた。カエルの鳴き声が周囲から聞こえる。
このまま、自分の体を貪るのだろうと、どこか他人事のように思えた。
薄れゆく意識の中、女が最後に思い浮かべたことは……。

あの騎士見習いの少年はどうなっただろうか………。

そこで女騎士の思考は途絶えた。


21 名前:とある騎士の話5 投稿日:04/12/01 00:23 ID:???
少年が、他の騎士を連れて現場にやってきた時には、すべて手遅れだった。
その場にいたオーガや、触手のモンスター、そしてカエルを全て殲滅したとき、もはや
そこにいた女騎士の姿は無いに等しかった。
他のモンスターの肉塊に混じり、彼女の遺体を識別することすら困難となり
そこにあったひしゃげた甲冑と血まみれの剣、それと長く美しい髪だけが、そこに彼女がいたことを示していた。

口は悪かったが、美しく、自分を護ってくれた騎士。
あの時の愚痴を叩く彼女の姿を思い出し、少年は一人涙した。

22 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/01 19:45 ID:???
いいねぇGJ!
大ダメージ受けてても気丈なふりをしてるのとか、触手で大の字磔とかむっちゃ好みだ
弱ったところをカエルの集団に喰われるってのも想像しただけでゾクゾクする(;゚∀゚)=3
一応、SSは終わった時点でタイトルに(終)とかつけといた方が判別しやすくていいかも


最初の時点で、少年も触手責めされてしかも実は少年だと思ったら女の子だった、なんて展開を予想してたのは秘密だ

23 名前:彩女、月夜に散る! 投稿日:04/12/01 22:35 ID:7I.NT.KQ
「凛ならもう知ってるよ。でも、知らなければ良かったと、あの世で今頃後悔しているだろうね。」
「!!」
双葉の言葉に、流石の彩女も驚きを隠せない。
この言葉が真実なら、凛はもう・・・・・・。

「そうさ、あたしがあのガキを殺してやったのさ。・・・ふふふ・・・この手で心臓を握り潰してやったよ、こんな風にね!」
双葉は右手を胸の高さまで持ってくると、手のひらを思いっきり開き、一気に握りしめた。
「断末魔を上げながら、死んで逝ったよ!あたしに歯向かえばどうなるか、思い知っただろうさ!」
そう言うと、双葉は夜の静寂を打ち消すような高笑いを上げる。

「・・・惨い事を・・・・・・。」
・・・必ずあんたの仇は取ってあげるからね・・・
彩女は心の中で、そう決心するのだった。

24 名前:3 投稿日:04/12/01 23:03 ID:???
>>22
ども、ありがとう御座います。
それはそうと、確かに「終」はつけた方がいいですね。次からはそうします。

>>最初の時点で、少年も触手責めされてしかも実は少年だと思ったら女の子だった
 なんて展開を予想してたのは秘密だ

実は、はじめは少女だったんです。でも、後の展開が難しくなったので急遽少年に。
ヤローに触手なんて使いませんからね、いつもは。
綺麗で強いおねいさんにこそ触手は似合うのです……と思います、はい。

25 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/06 18:18 ID:???
OK、GJ。

26 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/07 19:59 ID:Kj4WPQdM
>>17-20
素晴らしい!!リョナれたよ

27 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/07 22:47 ID:g7/E8AT2
>>17-20
やっぱり化物にやられて食われる女っていいね
普通ののグロ話は嫌いだけど化物がらみのグロとなるともう最高にビンビンになる
あと文章というのがまた自分なりの形で想像できるからいい

28 名前:彩女、月夜に散る! 投稿日:04/12/08 12:55 ID:???
強い決意を宿した瞳で、双葉を睨みつける彩女。
「凛を殺した後は、今度はあたしの番ってわけかい?」
顔からは妖艶な笑みが完全に消え、双葉は冷酷な瞳で睨み返している。
「分かってるじゃないか。あんたには黒屋を潰してくれた礼がまだだったからね。・・・・・・たっぷりと礼をさせてもらうよ!!」

双葉は右手の暗器を水平に構え、狙いを彩女に定めた。
「・・・・・・。」
彼女が構えをとると、単葉も相変わらず黙ったまま拳を構え、戦闘態勢に入る。
「礼ならあの世へ逝って、凛にでもするんだね!あの子に代わって、今度こそ冥府へ送ってやるよ!!覚悟しな!!」
彩女も腰に提げた二本の小太刀を抜き放ち、低姿勢に構えて二人と対峙する。
彼女の曇り一つない小太刀の刀身には、美しく輝く月が映し出されていた。

29 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/08 13:10 ID:i6yHmx2A
>>4>>14>>23>>28

意味が分かりにくい箇所とか読みにくい箇所はありませんか?

30 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/10 05:43 ID:???
>>29
自分としては特にないと思いますよ
敵討ちに燃える彩女がどんな最後を迎えてしまうか楽しみです

31 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/10 23:23 ID:35..Kvcc
エロパロ板(18禁)に「女同士の壮絶なバトル」っつーリョナっぽい過疎スレがあるんだが、
良かったら職人さんカモーン。いやマジで。
ttp://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1071753076/l50

32 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/10 23:51 ID:???
>>30
読んでくれている人がいると思うと、嬉しいです。
期待に応えられる様に頑張ります。(笑)
>>31
転載で良ければ、書き込みますけど・・・・・・少しスレ違いな内容ですよ。
最初に書きましたけど、エロではありませんし、
残虐描写有りですから、この小説はそのスレの住人さんの好みには合わないと思います。

33 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/11 00:11 ID:???
>>32
うん、まぁ「気が向いたら」ってことで紹介したまでなんで、それ以上の事は言いませんです。
そこのスレは「エロバトル派」「キャットファイト派」「残虐バトル派」が割拠したあげく
内紛状態になり、以後すっかり荒廃しておるので…。

34 名前:彩女、月夜に散る! 投稿日:04/12/11 23:06 ID:7I.NT.KQ
三人の間の空気が、恐ろしいほどの殺気に満ちている。
お互いに相手の出方を窺っているためか、しばらくの間膠着状態が続いた。
・・・あの二人まるで隙が無い、なかなか手強い相手だね・・・
彩女の頬に一筋の冷たい汗がツゥーと流れ落ちていく。

戦いの口火を切ったのは双葉だった。
右手の暗器から数本の針が、彩女に向かって連続で放たれる。
「はっ!」
鋭い叫び声を上げながら、飛来する針を二本の小太刀だけで叩き落とす彩女。
その間に単葉は一気に間合いを詰め、接近戦を仕掛ける。

「・・・ふんっ・・・・・・!!」
凄まじい気合とともに放たれた貫手を、彩女は間一髪で回避した。
そこから、単葉は彼女に反撃する間を与えずに、次々と連続攻撃を繰り出す。
肘撃から裏拳、掌底とつなぎつつ、左右の前蹴り。
さらに前蹴りは足払いへと変化する。
円を描くような動作の中から生み出される、息をつく暇も無いほどの怒涛の連撃。
だが、その猛攻も彩女の前では無意味だった。
彼女は単葉の攻撃を一瞬で見切り、ぎりぎりのラインでかわしていく。

35 名前:31 投稿日:04/12/12 02:53 ID:???
ついに戦闘開始っ!楽しみです。

件のスレ、スレ違いが心配なようだったら別に気を遣ってもらわんでいいですよ。
俺としてはSSが読めればそれでイイですし。
では、続きを楽しみにしてます。

36 名前:彩女、月夜に散る! 投稿日:04/12/14 22:56 ID:???
彩女も単葉の攻撃をただ受けているつもりはない。
彼女は相手の動きを観察し、反撃する絶好の機会を待っているのだ。
そして、遂にその時は来た。
焦りが生まれたのか、僅かながら連携のリズムが乱れ、技の切れが鈍くなる。
彩女がこの隙を見逃すはずはなかった。

一瞬にして攻防の立場が逆転する。
「はあぁぁぁっ!!」
二刀の剣術と体術から構成された、彩女独自の戦闘型剣舞。
彼女の舞いにはリズムの停滞がなく、途切れたと思うと、別のコンビネーションが発動する。
だが、それもフェイントにすぎず、予想もつかない角度から、次の攻撃が単葉を襲う。
その上連撃の速さは、一つ一つ全て異なるため、眼を慣らす事もできない。

そんな彩女の見事な攻撃に、単葉は何とか凌いではいるものの、次第に追いつめられていった。

37 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/14 23:11 ID:7I.NT.KQ
>>35
誘導を受けて、エロパロ板の二次元猟奇スレに転載する事にしました。
お役に立てず、すいません。

38 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/15 19:40 ID:???
>>37
お気遣いなく。ハァハァなSSが読めりゃーそれで十分。

39 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/16 23:14 ID:JxUQ7n4U
◆  FF7・ティファたんを銃姦したい  ◆
http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/ryonani/1085044567/l50

ここのネタを使って自分もリョナりながら一本書きます

40 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/16 23:25 ID:JxUQ7n4U
グチュッ、グチュッ、グチュッ…
「あ…あっ…あっ…」
「ティファ、いいか?そろそろ中に出すよ」
「…え…う、うん…」

「はあ…」
ティファは内心、クラウドとのSEXに飽き飽きしていた。
初めのうちは毎日のようにエキサイトしていたものだが、
次第にクラウドの激しい攻めも、淡白なものに思えてきたのである。

「とうした、ティファ。考え事なんかして」
「う…ううん、何でもないの」
クラウドはいつも優しくしてくれる。だけど…

そう、彼女は「痛み」を欲しがっていた。
ミッションの時のあのゾクゾクするような…激しいものが!
これまでにクラウド、バレット達とアバランチの一員として神羅の
施設に乗り込み、数々の相手と壮絶なバトルを繰り広げた。
もっとも、貧弱な相手なので命の危険はないが、数々の「殺人兵器」
は彼女に適度な刺激を与えていた。
近頃はそういった危険なミッションもなく、平穏な日々が続いている。



41 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/16 23:38 ID:JxUQ7n4U
そして、今夜もクラウドと共に過ごす時間がやってきた…
いや、やってこようとしていたが、ティファは既にいなかった。
「ティファ…どこだ?」
クラウドがティファの部屋を訪れても、彼女の姿はなく、
ただ一枚の紙切れが置かれていた
『七時までには戻るから』

ティファが着いた先は、神羅の兵器庫であった。
周辺は人気はなく、かなりの防衛網が周囲を警戒している。
「一般の」人間にとっては恐ろしい光景だ。

「敵は警備兵が六人と…機関砲が二門、それと自動制御型ロケット
ランチャーが…」
そんなことを確認しつつ、念のため忍び足で兵器庫の入り口へ近づく。
すると…

パパパパパパン!!!
「ああんっ!」
ビー! ビー! ビー!

突如ガンカメラが作動し、弾丸数発がティファの体に命中する!
そして施設全体に警報が鳴り響いた。





42 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/16 23:49 ID:JxUQ7n4U
ティファは反射的にうずくまった。弾は胸元に命中し、
シャツに穴があき、盛り上がった胸の谷間が覗くようになった。

「敵襲か!」
「女の悲鳴が聞こえなかったか!?」
「侵入者は女? とりあえず生死を確認しろ!」

四人の警備兵たちがティファのもとへ駆け寄る。
彼らは彼女の姿を確認した時、内心喜んだ。
「いったあーい…」

「おおっ……」
「おい、どうする?とりあえず身柄を確保しとくか?」

警備兵たちは彼女の体、特に胸の谷間に夢中になっている。
その時…
「なあーんちゃって!」

バシィッ!
警備兵の一人が壁に向かって叩きつけられ、倒れた。
他の三人は何が起こったのか確認するまでは時間がかかった。


43 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/17 00:04 ID:y6rVof5A
次に三人の目には、もの凄いスピードで飛び蹴りを放つティファの
姿が目に映った。間髪を入れず、もう一人が倒れる。

「ジョンソン! おのれーーーーこの女ぁ!!」

残る二人がアサルトライフルを構え、一斉に放つ。
ババババババババ!!!! 
「ん…んんっ!」
ティファは避けようとはしなかった。そのうち一斉射が臀部に命中し、
ベルトとミニスカートの一部を粉砕したが、肉体には殆どダメージ
を与えられていない。
もう一人が倒され、同時にスカートが落ちるが、彼女はそんな事は
気にせずもう一人の目標を目指す。

「ひいいいいいっ」
バババババ…

後方から駆けつけた二人が到着した時には、
破れたシャツから豊かな乳房の一部がはみ出し、
穴のあいた白い薄手のパンツを身にまとったティファが悠然と
立っていた。
体は一部赤くなった跡がある以外は、傷一つ付いていない。



44 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/17 00:16 ID:y6rVof5A
「フォード、お前は強化戦闘員を呼びに行ってこい!
 俺はこの化け物を食い止める!」
「ああ…分かった」
一人は兵器庫に駆け出し、もう一人はティファと対峙した。
もうこのまま勝てないと悟っているのだろう。
手には手榴弾が握られていた。

「ふぅん…まだ隠しダマがあったとはねー。
 で、アンタはそのオモチャで何するわけ?」
警備員は生まれて初めての大きな恐怖を感じていた。
この弾をまともに食らったら大抵の「人間」は吹っ飛ぶだろう。
だが目の前の半裸の女は笑みを浮かべながらこちらに接近してくる!

「今だ…うおりゃあああああ!!」
チョボオオオオオン!!!「きゃっ…」

警備兵の前が煙に包まれている…そして、そこからは…
彼女が先ほどと変わらない笑みを浮かべて立っていた。
髪留めは吹っ飛び、シャツは焼け焦げて豊かな双丘が露になっている。

「今のけっこう良かったよ。でも相手を選ばないとねっ」
「う…うわああああああああああ!!!!」

ティファが兵器庫に正面から近づくと、金属のスパイクの音が
響いてくるのが分かった。同時に、自動制御兵器も動き出す。
先ほど警備兵の服を胸と腰に巻きつけた彼女に、新兵器が襲い掛かる!

45 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/17 00:31 ID:y6rVof5A
強化戦闘員は全部で四人。彼らは神羅によって洗脳を受け、ただ闘う
ためだけに存在している。両手にはマシンガンビームライフルを装備
し、通常の戦闘員とは比較にならない戦闘力を誇る!

まず、ロケットランチャーから砲弾が放たれた。ティファはそれを
軽く避けた。衝撃が足元に伝わってくる。普通の人間ならこれだけ
でも致命的なダメージを受けるだろう。
さらに加速をつけるティファに、前衛の強化戦闘員と機関砲から
十字砲火が浴びせられた。
チュチュチュチュチュン!!バッバッバッバババ!!
「ひゃうっ!…ああっ…うっ!!」

さすがに避け切れず、彼女は全身に弾を浴びることとなった。
一瞬で胸と腰に巻かれたものが散り散りになり、
再び彼女はパンツ一枚の姿になった。

ブレーキを掛け、狙いをつける。二つの乳房が勢い良く揺れた。
次の瞬間、勢い良く駆け出し、すれ違い様にロケットランチャー、
機関砲を蹴っていった。一撃が炸裂する度、砲塔が吹っ飛び、
爆発する。強化戦闘員は前衛と後衛を入れ替え、後衛がビームを
放った。恐怖と魅惑の二つにも揺り動かされることはない、流石だ。

チュンチュンチュンチュン!!
「うっ! はああううっ!!!!…!…」



46 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/17 00:44 ID:y6rVof5A
ティファの体に異変が起こった。
マシンガンビームが彼女の股間を直撃し、秘部に食い込んだのだ!
既にパンツは跡形も無く、全裸の状態で股間を押さえうずくまる。
前衛の強化戦闘員の冷却が終わり、再び前衛が前に出る。

「あ…あああ…!!」

まだ立てない。体にも破壊力の大きなビームでダメージを受け、
あちこちに痣ができていた。ピンチである。

チュンチュンチュン!!

弾幕が再びティファを襲う! しかし…
彼女はその場を離れ、一瞬で敵の後ろに回りこむと、
一人にサマーソルトをかまし、間髪を入れずドルフィンキックを
見舞った。このタフさも長年の戦闘で培った者である。
豊かな体が宙を舞い、その度にそれぞれの乳房が揺れるのは当然の
如く、今度は秘部から透明の液を漏らした。

「はあ…はあ…ふ…」
戦闘員が倒れこむ。しかし彼女も相当にきていた。
暫く息をついて、再び構えたころにはもう二人の冷却も終わっており、
また熱い迎撃を受けることとなる。




47 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/17 00:52 ID:y6rVof5A
チュンチュンチュンチュン!!

ティファは一瞬の判断で、持久戦に持ち込むことを放棄、
そのまま強化戦闘員に突っ込んだ!

「はぁうっ!! ああっ!!」
バキッ、バキッ!

ティファの鉄拳がめり込み、二人の戦闘員は力なく倒れた。
ティファの方も、ただでは済まなかったらしい。
顔や足にも銃弾を受け、かなり苦しそうな表情でしゃがみこんでいる。

「そろそろ…物色と…ううう…」
うずくまる豊満な全裸の女性。
周囲には散乱する壊れた殺人兵器と倒れた兵士達。
この特異な光景に、さらに加わる者がいた。

ズシーン、ズシーン、ズシーン…
それは地響きとともに現れた。

48 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/17 01:11 ID:y6rVof5A
「う…嘘ぉ…」
ティファは流石に誤算だった、と思った。

スィーパーカスタム。スィーパーというのは戦車などに対抗する為に
神羅軍が開発した機動兵器で、重機関砲を装備、その弾に掠りでも
すれば人間などは木っ端微塵である。このカスタムは改良が加えられ、
全体的な能力が向上している上、特殊な兵装が付いているという、
開発中の最新機だ。中に乗っているのは、先ほど逃げた兵士のようだ。

「まさかお前がここまでタフな化け物だったとはな!
 弱っているからといって容赦はしないぜ!」
「くっ…」

唇を噛み締めている暇もなく、カスタムの両腕から重機関砲が
放たれた。これを食らえばタダでは済まない。
ティファはとっさに避けると、同時にソバットを打ち込みに
突っ込んでいった。

ガシィィィン!!

カスタムが足を持ち上げ、ティファの蹴りを受ける。
「うわあっ!!」
ティファが弾き飛ばされた。カスタムの足には鋭いスパイクが
付いており、それを食らったティファは足に傷を負い、
血を流してうずくまった。

「たまんねえなあ、だが、こっちも手を抜いてられないんでね」

起き上がり、何とか回避体勢を取るティファ。しかし、
次にティファを襲ったのは、銃弾ではなかった。

ボシュッ、ボシュウウウウ!!
「…あっ、…ううう…体が…」
化学兵器である、スモッグだった。
ティファはまともにこれを浴びて、呼吸器をやられ、さらに、
強烈な痺れに襲われた。全身からは汗が流れ落ち、股間からも
愛液がどろどろと零れ落ちていく。

余りにもエロティックな光景に、カスタムの中の敵兵は我を忘れて
魅入っていた。


49 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/17 01:22 ID:y6rVof5A
「おっと、いけねえ!」
すかさずトリガーを引く。

ドドドドドドドドドゥッ!!!
「ああうんっ!! くぅううあ!! きゃああん!!」
まともに身動きが取れない全裸のティファに重機関砲は容赦なく
炸裂し、それらは鍛えられた皮膚を食い破り、鮮血を噴き出させた。

今の痛みで痺れが取れたのか、ティファは起き上がると真っ直ぐに
構えることができた。しかし、その足取りはおぼつかなく、
瀕死の重傷を負っているのが見ただけで分かる。

それでもティファは駆け出す。目の前の敵を粉砕すべく。
カスタムの兵士はあまりの官能的で猟奇的な快楽に口から涎を
垂らしつつ、叫び、トリガーを引く!
「悶えながら死ねええええええ!!!」

ドドドドドドドドッ!!
「ひいいあっ!!! ああああああ!!」


50 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/17 01:45 ID:y6rVof5A
一撃、一撃と体に銃弾が食い込み、血を流しながらティファは
ついにうつぶせに倒れ、動かなくなった。

「やった…のか?」

目の前に全裸の女が血まみれになって倒れている。
この機だけでも相当の銃弾を打ち込んだ。これだけ打ち込めば
主力戦車だって潰すことはできたと思うし、軽量の戦車なら
3、4台は吹っ飛んでいるだろう。目の前で尻を丸出しにして
倒れているこの女は、一体何者なんだろう?
考えたい事は山ほどあった。だが、とりあえず…

「おっといけね、止めを刺さなくてはな!」

ティファにカスタムが近寄り、スパイクを振り上げる!
これでこの化け物も真っ二つになるはずだ!そう思ったその時・・・

「ラッシュパァァァァァンチ!!」

ティファは顔を上げ、スパイクを紙一重で避けると、カスタムの
股間に強烈な一撃を見舞った。

ボフウウッ、ガシャアアアアアアアアン!!!

この一撃でカスタムは横になり、起き上がれなくなってしまった。
そこにティファのかかと落としが次々炸裂する!

ガン!! ガン!! ガン!!

兵士が意識を失う前に見たのは、丸出しになった股間から愛液を
もらし、両の巨大な乳房を豪快に揺らしつつ笑顔でカスタムに
止めを刺す、あの化け物女の姿だった。

「ふう、思ったよりも痛かったわね…」

あちこちから出血している自分の体を見回しながら呟く。
ティファがグラブを振りかざす。すると、グラブにはめ込まれた
緑色の珠が輝き出し彼女の体を包んだ。

「ん…ああっ…ああああああ!!! 気持ちいいのぉぉぉおお!!
 やっぱ戦いの醍醐味はこれよねー」













51 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/17 01:59 ID:y6rVof5A
殆どの傷が回復し、一通りすっきりすると、
胸と腰に兵士の服を巻きつけ、物色を開始した。

「それにしても、この『かいふく』無しでイケると思ったん
 だけどなあ… ちょっとナメてかかってたみたい」
「やっぱり、これと、これと…あとこれよね」
ティファは施設内で見つけた大きなケースの中にアサルトライフルと
マシンガンビームライフルと、手榴弾を詰め込んだ。

カタカタカタカタカタ……

ローターの音が聞こえてきた。ティファは一旦少し離れた物陰に
身を隠すと、クラウドが寝てしまう前にと急いで帰った。

(後日談)

チュンチュンチュンチュンチュンチュン!!
「ああっ! ひゃうっ!! いいいいいっ!!
 いっちゃうううううっ!!!!」

クラウドはマシンガンビームをティファの股間に打ち込んだ。
ティファは遂に絶頂に達し、血の混じった愛液を飛ばした。
「なんか俺、やってて虚しいんだけど…」
「いいのいいの♪ 私これじゃないと感じないんだから!」
「ところでティファ、シャワールームにガンカメラ付けたのお前か?」
「当ったりー! さっきあれでシャワー浴びてきたの!」
「……」
「ところでさ、明日からアレ使ってみない?」

ティファの指した先にあったのは、バレットのガトリングガンだった。


<おしまい>

52 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/17 02:03 ID:y6rVof5A
以上、初心者が書いたリョナSSでした。

本来SSとは一気に投下するものですが、今回は容赦してください。
時間の間隔が空いているのは、リョナりながら書いたからです。

抜いた後に言うのもなんだが、酷い出来になったもんですなあ。

53 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:04/12/17 09:15 ID:???
>>39さん
おおっGJです。
撃たれても撃たれても死なないティファたんは化け物でつか(゚д゚)
と思ってネタ元のスレを見てみると、なるほど例え銃で撃たれても
相手はザコ敵だから小ダメージで済むわけですか。
確かにリョナの対象としてはかなり便利な存在ですね。
ただ、最後にティファたんだけ楽しんで、お預けをくらってるクラ
ウドを少し哀れに感じました(笑)

>>4さん
彩女の勇姿拝見させていただきました
続きものんびーりとお待ちしています。

54 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/01/30 21:49 ID:???
ログ消えとる…。せっかくいろいろ投下されてたのに、もったいねぇ。

55 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/01/31 06:00 ID:PrhkWM.E
デスブレイドの再アップ希望します。
漏れもドッペルねたでSS書いてみようかな。

56 名前:ぁぃ 投稿日:05/01/31 13:04 ID:W0sbS9.w
http://2ch2.net/.l?=1o15

57 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/01/31 15:40 ID:???
最悪だ…
誰か保存してた人いないのかな…?

58 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/01/31 18:27 ID:???
ざっと読んで、「よし、明日保存しよう」と思ったらこの惨状。
…あの時,俺は何故たかが数十秒の労を惜しんだのか_| ̄|○
作者様またはログ持ってる人、再うpきぼん…。

59 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/01/31 18:34 ID:???
デスブレイドSS書いた人間です。
テキストで保存しといた奴があるので、今夜中にでも再Upします。

かちゅのログをうっかり消してしまった・・・・・・orz

60 名前:TgRG5Neo 投稿日:05/01/31 19:17 ID:???
ウプして数日でアボーンとは・・・
何かみえない巨大なモノにダメだし食らった感がw
かつてない敗北感におそわれてます。
とりあえずデスブレイドさんがウプしてから7日後くらいに
うぷしようかねぇ・・・懲りずに。

消滅したログでお返事くれた方、3人様でよかったですか?
何よりの報酬です。カンシャー。

あとジャンルはゲーム以外でも可。ではないでしょうか。
上の方のログでオリジナルの少年と女性騎士のss書かれた
方がおられます。で、みなさん受容されておられる
ようですから。

61 名前:BATTLECRY 1/8 投稿日:05/01/31 20:03 ID:???
とある世界での出来事・・・・・・
ここでは4年に一度、国を挙げての壮大な格闘大会が催されていた。
優勝者は国王に挑む事ができ、見事国王を倒したものには
次期国王の座と莫大な財宝、そして英雄としての名誉が与えられた。

競技は完全非武装、己の肉体のみを武器に行われた。
ひとたび闘技場に足を踏み入れた戦士の辿る運命は、ふたつ。

国王を打ち倒し、英雄として祝福され後世までその名を轟かせるか。
あるいは。

・・・・・・敗北者として、無残な屍を闘技場に晒すか、だ。

62 名前:BATTLECRY 2/8 投稿日:05/01/31 20:03 ID:???
グシャアッ・・・・・・。
重量物のひしゃげる音が、鈍く闘技場を揺るがせた。

「ウ・・・・・・グァ・・・・・・グォアァァァァァァッッ!!」

ややあって響く、長く重たい苦悶の叫び。
王家の紋章がかたどられた、石造りの床の上。
身の丈2メートル以上はあろう、堂々たる体躯の半獣人−ミノタウロスが
見事な角をたたえた頭部を地に叩き付けられたまま、びくびくと痙攣していた。

対戦相手の小柄な戦士にバックを取られ、両腕を後ろに締め上げられたままの体勢で
後方に投げ飛ばされたのだ。

既に意識は無く、白目をむき、口の両端からはごぽり・・・・・・ごぽりと
どす黒いものさえ不定期に吹き出している。

「ふうっ・・・・・」
彼に致命傷を負わせた張本人−小柄な戦士は腕の戒めを解き、立ち上がる。
支えを失ったミノタウロスの巨体が、鈍い音とともに崩れ落ちた。

額の汗を拭い、戦士は顔を上げた。
鮮やかな桃色の衣装と、燃えるように赤い長髪。
細身ながらもよく鍛え上げられ、引き締まった全身の筋肉。
涼しげな目元の奥、透き通った翡翠色の瞳が飽くなき闘志に輝いている。

戦士は長髪を軽く掻き揚げるといまだ痙攣を続けるミノタウロスを鋭く一瞥し、
嘲るような調子でこう言った。

「犯ってやる、なんて息巻いてたのは何処の誰だったかしらね?」

戦士の名はシンディ。
今大会決勝トーナメント進出者中、ただひとりの女闘士である−。

63 名前:BATTLECRY 3/8 投稿日:05/01/31 20:04 ID:???
二日後。
闘技場は異様な熱気に包まれていた。
決勝トーナメントに勝ち進みミノタウロスを見事打ち倒した若き女戦士と、
今大会の優勝候補ともいわれる五つ首竜・・・・・・ヒドラが激突するのだ。

リング中央。邪竜はその存在感を見せ付けていた。
三メートルに及ぶ体長、長い尾と太い胴体、全身を覆う深緑の鱗がぬらりと輝く。
胴体は唐突に5つに枝分かれし、それぞれが巨大な毒蛇の鎌首の如き頭部へと繋がる。
合計10にも及ぶ爬虫類の瞳が、ねめつけるようにシンディの華奢な肢体を見下ろしていた。

かくも異様な造型のヒドラを前にして尚、シンディの闘志に揺るぎはなかった。
−上等じゃない。その生意気な首、一本ずつへし折ってやる!

中央の鎌首、その黄土色の瞳を真っ向から見据え、全く臆する様子は無い。
「フシューッ・・・・・・!シュコォーッ・・・・・・!!」
ヒドラもそれに応えるよう、盛んに残る4本を振り回し、異様な呼吸音とともに威嚇する。

グォォォーン・・・・・・!!
睨み合いが最高潮に達した瞬間、試合開始を告げる銅鑼が鳴り響いた、その刹那。

「ハアッ!!」
鋭い掛け声と共にシンディは地を蹴り、宙を舞った!

64 名前:BATTLECRY 4/8 投稿日:05/01/31 20:26 ID:???
「く・・・・・・ふぅ、ハァ、ハァッ・・・・・・!」
肩を激しく上下させ、呼吸を整えようとするシンディ。
擦り切れた額からは血が流れ、桃色の衣装はあちこちが破け、
左の太股には大蛇の牙が鋭く喰いこんだ跡が生々しく残っている。
その眼前には、欠片ほどのダメージも伺えないヒドラが、余裕の笑みじみた表情を浮かべていた。

−どうして・・・・・・?どうして、あたしの技が通じないのよ・・・・・・!?

試合序盤。シンディは自らの最も得意とする戦法、空中技で攻め立てた。
ゴングと同時に延髄斬り。全身のバネを生かした飛び蹴り。ネックブリーカードロップ。
向かってくる相手の勢いと体重を利用して巴投げを掛け、リングサイドまで投げ飛ばしすらした。
全て、確実にダメージを与えている。はず。だった。

「くっ・・・・・・」
軽く下唇を噛み、悔しさを顕にする女闘士。その唇にもわずかに鮮血が滲んでいた。

スピードで劣る相手に負けるわけがないと自負していた彼女にとって、余りにも屈辱的な光景であった。
筋力や体格で男たちに劣る自分にとって、それらのハンデを無にしてくれる瞬発力と空中殺法こそが武器であり、誇りだった。
それ、なのに。

「いいかげんに・・・・・・しなさいよッ!」

65 名前:BATTLECRY 5/8 投稿日:05/01/31 20:28 ID:???
無防備な姿を晒して挑発する中央の首めがけて彼女は跳び、頭部の直ぐ下を強靭な両脛で挟みつける。
フライング・ヘッドシザース。彼女が最も得意とする技の一つだ。
あとはこのまま両脚に捻りを加えれば、頚骨はいとも簡単に折れるだろう。
常人離れした足腰の筋力と、ひと跳びで首を捕らえられる跳躍力を持った彼女だからこそ可能な技だった。

「ハッ!」
太股に力を込め、鎌首を折ろうとした瞬間。
2本の首が飛び出し、挟み込むようにしてシンディの胸板と腰部に噛み付いた・・・・・・!

「ウ・・・・・・アァァァァァーーーッ!!」

激痛に思わず締め付けを緩めたシンディに、戒めを解かれた中央の首が
全力でヘッドバットを叩き込む。

「ァアンァッ!!」
両の太股の間、股関節の真中に、吸い込まれるように頭突きは命中した。
一瞬、気の遠くなる感覚と、耐え難い程の屈辱感に襲われる。

−畜生ッ!ちくしょうっ・・・・・・!

そのまま背中から落下し、リングに叩き付けられながらも何とか立ち上がった彼女は、
視覚の端になにか、鋭く動くものを認識した。
その正体を知る間もなく、彼女の身動きは封じられた。


66 名前:BATTLECRY 6/8 投稿日:05/01/31 20:28 ID:???
「ぐゥっ!うぅぅっ・・・・・・アァア!」
ヒドラの長く、強靭な尻尾。それがシンディの体に巻きつき、ギリギリと締めあげていた。

「うぁ・・・・・あ・・・・・・ァ・・・・・・」
彼女の胴回りほどもある尾の末端部が両脚をぎっちりと抑えつけ、
そこからとぐろを巻いた尾が上方へと向かって2回転半、細い腰と、胸板を両の腕ごと
締め込んでいたのだ。

「ぁ・・・・・・ウグァ!・・・・・・ア、ア、アァア・・・・・・」
腕と脚を動かし、振りほどこうとするも、ますます力は強まっていく。
張りのある胸の双丘はひしゃげ、圧力に骨の軋む感覚をシンディは覚えた。

「ゥ・・・・・・く、くそぉッ・・・・・・」
苦痛のあまり上げた顎、その視線の向こうで、黄土色の眼が歪む。
−あんたなんかに・・・・・・あんたなんかにッ!!
嘲りと哀れみを込めた視線。負けん気の強い彼女には、そう映った。
「う、、あ、、アアアアーッ!!!」
体中の力を奮い立たせ、ほんのわずか戒めが緩んだ瞬間に彼女は巻きつきを脱した・・・・・・。

ぐらり。

−えっ・・・・・・?
知らず知らずのうちに、シンディは左膝を地につけていた。
脱出の際に左脚を痛めてしまったのだ。
「ク・・・・・・ぁああーッ・・・・・・」

激痛に身をよじりつつも立ち上がろうとした瞬間、不意に彼女の体が宙に浮いた。
「うあぁぁぁぁッ!?」
ヒドラが2本の首をもたげ、彼女の両腕に噛み付いて引きずりあげたのだ!
「ぅ・・・・・・はなせ!はなせぇッ!!」
かろうじて動かせる右脚をじたばたと振り回し、必死で抵抗するシンディ。
それをせせら笑うかのように、ヒドラはさらに2本の首を伸ばす。

67 名前:BATTLECRY 7/8 投稿日:05/01/31 20:29 ID:???
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーッ!!!」
五つ首を持つ邪竜、ヒドラ。
今や、そのうち四本の首が女闘士の両腕・両脚に噛み付き、まるで晒し者にするかのように彼女の細い肢体を高く高く掲げていた。
両腕は肩が、両脚は股関節が外れそうなほど、いやむしろ四肢が断裂しかねないほどに引き伸ばされ、骨格の軋む音が聞こえてきそうな程。
「ぅ・・・・・・ぁぁぁ・・・・・・ぁ・・・・・・」
必死に振りほどこうと抵抗していたシンディだが次第にその力は弱まり、四肢は弛緩し、呼吸は途切れ途切れ、あれほど屈強な光をたたえていた瞳ですら衰弱の色を隠しきれずにいた。
−冗談、じゃ・・・・・・ない、わよ・・・・・・
メキメキ・・・・・・「・・・・・・ぅぁっ・・・・・!」
−こんな・・・・・・奴に・・・・・・あたし、が・・・・・・
ギリギリ・・・・・・「・・・・・・ぅ!・・・・・・」
−負け、る、もん、か・・・・・・
ボコッ!「・・・・・・ぁ・・・・・・」
−あたし、が、最強、なんだ、か、ら・・・・・・

責めを5分ほども続けた後だろうか、ヒドラはシンディの肉体を、リングに思いきり叩きつけた。
・・・・・・ベクン!
鈍い音と共に、彼女の体のどこかが砕け散った。
髪留めが外れ、一つに纏められていた真紅の長髪が力なく石畳に広がる。

傷だらけの細い体は、もはや身じろぎひとつたてなかった。


68 名前:BATTLECRY 8/8 投稿日:05/01/31 20:30 ID:???
−いや・・・・・・だ・・・・・・
−いや・・・・・・

誰もが試合の決着、そして彼女の死を確信した、そのとき。
「・・・・・・ぅ・・・・・・」
シンディは上体を起こそうとしていた。辛うじて動く右腕を支えに。
−負けたく・・・・・・ない・・・・・・
残る気力を生命力に換えて、まだ闘えると示すように、左手を挙げようとする。

ガク・・・・・・ガクッ・・・・・・「ごほっ!」

次の瞬間、シンディの全身が小刻みに震え。
開きかけた唇から、おびただしい鮮血が溢れ出した。

「ぁ・・・・・・ぁ・・・・・・ごふっ・・・・・・!・・・・・・ぐ・・・・・・ぁッ」
震えに合わせて、血がとどまることなく噴き出し。
ほどなくして、彼女の瞳、美しい翡翠色のそれが、色を失った。

−嘘・・・・・・いや・・・・・・こんな・・・・・・ところ・・・・・・で・・・・・・

闘技場は、割れんばかりの歓声に包まれていた。
無論、勝利者−恐るべき五つ首の竜を称える声である。

闘技場の隅に寄せられた、あの美しく凛々しかった女闘士の、
傷だらけで血塗れの屍を気にかけるものは、どこにも居なかった・・・・・・。

69 名前:59 投稿日:05/01/31 20:33 ID:???
復旧完了ー(自分の分だけ)。

>>60
3人のうちひとりはわしです。めげるなーw

70 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/02/01 01:49 ID:xQzm877k
>>59さん

乙です。

今、FM-TOWNSマーティでTOWNS版やってます。
TOWNS版はシンディにヒドラの必殺技をかけると喘ぎ声が連続で出ます。
声はしょぼいんですけどね・・・・
このSSは萌えました。
これからも宜しくお願いします。

71 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/02/01 09:08 ID:FAagzABs
>>59
おおっ!GJ!!
このスレの危機を救ったあなたはまさに神!!

72 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/02/01 22:35 ID:???
>>59
乙です。ぐっじょぶ。
消えた他のSSも引き続きうpされることを切にきぼん。

73 名前:4 投稿日:05/02/03 10:34 ID:i6yHmx2A
久しぶりに続きをアップしようかと思ったら、消えてる!
バックアップ保存してない・・・・・・どうしよう・・・・・・。
誰か保存していた人居ませんよね?
もし居なければ、もう一度書き直しか・・・・・・。

>>59
NICE WORK!!
オリジナルは詳しく知らないですけど、想像するだけで萌えました。

74 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/02/03 14:34 ID:PuMHTZK2
>>73
moe2.homelinux.net/src/200410/20041025698529.jpg
元絵貼っときます

75 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/02/05 00:15 ID:???
>>73
ログが消えるなんて想定外だったから、保存してなかったですよ…orz

76 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/02/06 09:52 ID:iCroCkq.
だれか4氏のSS保存してたらうpきぼん…

77 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/02/06 10:49 ID:???
http://www1.axfc.net/uploader/8/so/No_0337.xxx.html

passはryonassで

78 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/02/06 16:24 ID:7lUQJ/Dg
>>77
おお…天の恵みじゃ。ありがたやー。

79 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/02/07 00:04 ID:???
>>77
限りなく乙。そしてGJ。

80 名前:TgRG5Neo 投稿日:05/02/08 20:42 ID:???
えーとエロ注意。暴力、過激な表現があります。
このssはフィクションです。
このssでいかなる不利益をこうむっても当方責任取れません。
以上よろしく以下始まり

81 名前:末法無頼伝 投稿日:05/02/08 20:44 ID:???
 黴臭い。
広大な空間にぽつりぽつりと灯篭の火が並んでいる。
その明かりを頼りに、地面に敷かれた石畳を進むと
あたりに黒装束の、僧と思しき男どもが倒れている。
異形の神像がともし火にうっすらと浮かびあがる。
場所定かならぬ空間。その最深部。

 キィーン!!

 金属がぶつかり合う音。
黒い僧達が横たわる中、二つの人影が対峙している。
薄明かりにうかぶその人影は、どちらもほっそりとしている。
一方は両手にトンファーと思しき武器。
もう一方は剣と盾をかまえているようだ。

二つの影は軽やかな脚運びで、お互いを牽制しあっている。

「おるぁっ!でえいっ!!」
 粗野だが少女の声だ。声の主は剣をはしらせる。
閃光の突きが相手の喉元にひらめく。
到達・・・
「うっ!?」
刹那、剣はトンファーに捌かれており、少女と思しき剣士は
体をつんのめらせた。
その背にトンファーの一撃!
「ぐえっ!」
剣士は床に四つんばいになってしまう。その上に飛び乗る影。
「てい!やあっ!!」
影は剣士の尻にトンファーの連打を浴びせる。
「あがぁぁぁぁあっ!!!」
剣士は絶叫を上げつつのめり、ぴくりともしなくなった・・・

トンファーを持った影は一人暗闇に立つものとなった。
「ふう、なんとか、勝てた・・・」
女性、またもや少女の声だ。

 あたり一面に転がっている僧達は、よく見れば武装している。
他に動く物体はない。
先ほどからトンファーの少女と、勝負に敗れた少女剣士が、
唯一この空間で動くもの-小動物を除く-であったはずだ。

よもやこの僧兵達を二人の少女がすべて倒したのだろうか?

 黴の臭いが充満する空間を一陣の清涼な風がとおる。

「風よ、私を導いて・・・」

 風がトンファーの少女のまわりを、意思を持っているように
うずまく。

「ゆがんだ気を正すには、次はどこに向かえばいいの?」

 少女はまるで風と交信しているようだ。
目は閉じられ、瞑想に集中している。
「え?」
 突然少女は目を見開き、後ろを振り向いた。

ドスッ・・・

「はあうっ!?・・・」
少女のみぞおちには剣の柄頭がめり込んでいた。

「そ、そんっ!な・あ・・・はぁぁっ・・・」

「どぉお?痛いぃ?」

82 名前:末法無頼伝2 投稿日:05/02/08 20:46 ID:???
 少女の前に、先ほど戦闘不能になったはずの剣士が立っていた。
剣士は痛打された尻をなでながら、不意打ちを決めた相手の
懐からこぶし大の皮袋を抜き取った。
 剣士はその中身を手の平にじゃらりと広げる。
「まったく、こいつを邪教徒にすられたせいで飛んだ目に
あったわ。 つうか姉さんへの手がかりを簡単に
失ってたまるかっつの!」
いわくありげなことをつぶやく剣士の手には、何かの金属片が
乗っていた。

 「だ・・・めっ!・・・そ、それは・・・
          あなたに災いをもたらす・・・」
急所を打たれ、息たえだえに、風と交信した少女が言う。

バゴッ!!

 その顔面に盾が打ち下ろされた。無情の一撃。
風の少女は、そのまま壊れた人形のように
地面にくずおれた。

 それを尻目に剣士は吟ずる。

「勝てばいいのよ。か・て・ば。」

―ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 時は無法の風吹きすさぶ十六世紀末。

 邪剣ソウルエッジの暗黒の力は人々の心を
狂わせ、世界に戦乱が吹き荒れた。
 空覆う邪剣の怪光は、この中華にも降り注ぎ、
王族、官僚、民草問わずの血で血を洗う戦禍を生み出した。
その狂気の怪光は当時、臨勝寺に住んでいた
16歳の俺の心も、例外なく蝕んだ・・・

 俺の名はキリク。
世界を破滅にみちびく邪剣、ソウルエッジを破壊すべく、
世界中を転々としている旅の者だ。
 あの忌まわしい怪光現象からは7年が経っている。
4年前に完全に砕けたはずの邪剣。しかしその邪剣のかけら
は世界中に散らばり、再び混沌を世界に広めつつあった。

そして膨張しつつある一個の歪(いびつ)な気。
それはソウルエッジのそれと同等。
あるいはそれ以上の邪悪に転じることを予感させる。

一刻も早く欠片を回収し、邪悪を打ち払わ無くてはならない。

 邪剣のかけらと歪の気の根源を求めて世界を駆けずっていた俺は、
今、故郷中華の港で、一人の知己との邂逅をとげていた・・・

83 名前:あぼーん 投稿日:あぼーん
あぼーん

84 名前:末法無頼伝3 投稿日:05/02/08 20:49 ID:???
「やっぱりあなたも邪剣を追っていたのね!」
 朝日のさわやかな光を背にして、 
目の前の知己、チャイ・シャンファは4年前と少しも変わらない
屈託の無い笑顔。仕草。そして興奮を隠さない上気した声音。
−全身で再会を喜んでいる。

 4年前の邪剣との戦いの旅を共にし、俺と共に邪剣と戦い、
それをこなごなに打ち砕いたその人、それが彼女だ。
といっても人となりは天真爛漫な少女そのもので、普段は
そそっかしく、陽気で、「超」が付く剣の達人とはとても思えない。
 もっとも、戦闘においても彼女から茶目っ気が失われることは
無く、そこが彼女の剣技を、おそるべきものにしている一因なのだ。

「ふーん・・・ちょっと男らしくなったかな?」
 目をまるくし、まじまじと俺を見ながら整った小作りな顔を
接近させる。微かで甘やかな芳香。昔と変わらない気安さだ。

彼女と初めて会った時は、明帝国で異例の若さの親衛隊員であった。
今は明帝国の特務で邪剣探索の任に就いているらしい。道すがら聞くと、
彼女は敬礼して
「はい!邪剣探索の勅命、確かに承りました!上官殿!!」
などと、片目をつぶりおどけながら訳を話してくれた。
生来、旅芸人として育ったため、宮廷人の堅苦しさは
まったくない。

 シャンファの髪は肩までと短く、額に装飾の美しい鉢がねを
している。濃い赤が基調の布の服は奇抜な試みが施されており、
上着は胸元に横の、裾に縦に切り込みが入り、肌があらわに
なっていて、背の裾は臀部に懸かっている。
肩までを包む袖は三角に切り込まれ、朝顔のつぼみのようだ。
北方民族起源のズボンは裾を鼠径まで詰めており、細いふとももを
大胆に露出している。靴や手甲も同じく濃い赤。
これも目を楽しませる細やかな意匠が随所にちりばめられており、
全体では少年にも見まごう活発な印象を抱かせる。

 この衣装いでたちも旅芸人風だ。世界を旅する我々には
こういった派手で奇異な服装のほうが却って、人への理解も早く、
身に着けた武術の舞で貨幣の通用しない地でも食うに困らない。
 特にシャンファのような、職業と見た目がかけ離れたものには
都合が良い。また、方々を流転する者には人々の口も軽く、
へたに権威を傘に着るより情報収集に向いているのだ。
 かくいう俺も京劇役者じみた派手な格好にボロマントをつけて
歌舞いているつもりだ。

もっとも、彼女はただの好みで着ているという傾向が強いが・・・

85 名前:末法無頼伝4 投稿日:05/02/08 20:51 ID:???
「ねえ!キ・リ・ク!
ちょっとちょっと!さっきから喋ってるの私だけよ?
もう!ぼーっとしちゃって!あっ!へへーん?
ひょっとして目の前の美人にみとれてたのかなぁ?」

 往来の人々は好奇の視線をちらりと投げただけで
すぐに歩みだしていく。派手な格好も喧騒も許容する
港町ならではの反応だ。

 シャンファのおしゃべりはあいかわらずのようだ。
どんな反応を期待しているのか、期待の眼差しを俺に向けている。
公衆面前での自画自賛に照れたのか、少し頬が赤い。
彼女との会話の催促を受けた俺の口は、しかし重い。

顔がフイに上気し無言になるシャンファと難しい顔で佇む俺。

・・・・・

パ ア ン ! !

「コラッ!そこでだまるなっ!お世辞くらい言いなさいよっ!!」
 いきなり彼女はおれの肩を叩いて言った。破顔している。
まるで陽光のようなシャンファの笑顔に、俺は言わんとしている
言葉をさらにためらった。


できることならば・・・
この陽光にずっと浴していたい。

 長く孤独な精神修養と技の研鑽。邪剣を求める
その日暮らし、そんな寒風の日々
そこへふと差し込めたこのささやかな陽光に・・・

「キリク・・・何かあるの?・・・」
さっきまで破顔していた彼女の顔はいつのまにか真顔
に変わっていた。少し首を傾げ、こちらを見る。
凶報に対する覚悟が彼女の顔に浮かんでいる。
俺は彼女のもう一面を思い出した。

 おそらくシャンファは俺に再会したときから、俺に
懐かしさだけではない違和を感じ取っていたに違いない。
感受性は剣の道にも芸の道にも通ずるのだ。まして父は無く、
おさなくして母とも死に別れ、まわりに常に気を使って
生きてきた彼女である。似た境遇に育った俺にはそれが直感できた。
それだからこそ彼女の陽気は貴重で、失いがたい。
失わせてはいけない。
そんな思いが、俺を今動かさんとしていた。

86 名前:末法無頼伝5 投稿日:05/02/08 20:53 ID:???
____________________________________________________

「人気の無い、こんな廃城でなければ、出来ない話?」

 俺はこの寂れ崩れた旧時代の山城にシャンファを連れてきた。
さっきまでいた港町の近く、海岸の絶壁に立てられたこの古城は、
すでに利用価値が無く、絶壁側は崩落して、城内から絶壁に直に
飛び込めるていたらくだ。

シャンファは一層きずかわしげに聞く。さすがに彼女の表情に
斜が差している。
俺はその斜に乗じて、やっと口を開く決意を決めた。

「シャンファ 君は もう 邪剣のかけらを 
追わないでもらいたい」
喉にこびりつく言葉を、俺はやっとの思いで追い出した。

「どうして、そんなこと言うの?」
「君にはもう護法剣の加護が無い。俺は君に危険な
目にあって欲しくない。」
「そんなの!護法剣が無くても、私は大丈−」
「危険なことは!!」
 シャンファの言葉を遮って、俺は叫んだ。彼女の心は
風のように自由で、さわやかだ。そんな彼女の意思は
尊重しなくちゃいけない。それを
止めることは、シャンファをシャンファでは無くしてしまう!
だがっ

 おれは自分の欲求を優先する。再会してしまったことに
後悔を覚えながら・・・しかし知ってしまったから。
彼女は俺にとって大切な存在だということを。
孤児の俺が飢えて求めた。家族のように・・・
妹のように・・・だから

「男の仕事だ!女の君は、関わるべきじゃない!!」

−心にも無い事だって−

 シャンファは瞬間、目を丸くし、クシャリと顔をゆがめたかと
思うとうつむいてしまった。
戦いの旅を共にした俺は、彼女の最大の理解者であるはずなのだ。
彼女には思わぬ裏切りだろう・・・

潮騒だけが空間を埋めている。

うつむいたシャンファはどことなく置き去りにされた
子供のような佇まいで、俺はその姿をいつかの昔に見たと感じた。
あれは確か邪剣を探す旅も終りを迎える頃、邪剣の騎士の居城に
むかう船上でのこと、彼女は亡き母の事を語った。
その姿に今が重なる。あの夜も潮騒だけが鳴っていた。

 シャンファのうつむいた顔が上がる。そこには決意の顔があった。
俺との決別。自分を強く持つ意思。乱世を生き抜く孤児の顔だ。
幼さが残るその顔は、しかし誇り高く、まなざしはかげりが無い。
彼女の片足が静かに上がり、剣が抜かれ鞘が捨てられた。

ああ。これでこそシャンファだ。

 友、親兄弟といえ、意を違えば剣を交えるのが乱世。
俺は白刃を前に、彼女の笑顔に浴していたときと同じ
安らぎを得ながら、せなから棍を取り出し、ゆっくりと構え言った。

「どうしても、やるのか?」

87 名前:末法無頼伝6 投稿日:05/02/08 21:00 ID:???
「せいぃっ!」
 掛け声と共に彼女がするりと飛び込んでくる。

 途端に刃の嵐が俺を襲った。俺は棍の間合いを取りそこない、
いきなり防戦一方に陥った。

「くっ!」
なんとか受けながら、あらためてシャンファの強さに思いが至った。

 かの邪剣に魅入られし騎士との戦いの時−
俺はまるで戦闘に参加できなかった。
巨大な鉄板と見まごう邪剣を軽々とふりまわす騎士、
それを紙一重でかわし、受け流し、流麗かつ機敏に戦う
シャンファの戦いを、俺は傍観するしかなかったのだ。
あの一戦が俺に修行の日々を決意させた。
しかし、あれから俺はどれだけ強くなれただろう。目の前の敵も
あの時のままでなく、成長しているのだ・・・

「くらえっ!」
眼前に刃!!
「うっ!」
しまった!シャンファの繰り出した剣は目前でとまり、
俺は棍で視界をふさいでしまった。
シャンファの得意とする変則戦法だ。
足元を掬う蹴撃を予感した。間に合わない!

しかしシャンファの蹴りは予測より遅れた。
といってもほんのわずかだが、俺にはそれで十分だ。

「えっ!?あぅっ!」
回し蹴りの地を這う姿勢でいるシャンファに向かって俺は棍を突き、
彼女の左足を払い姿勢を崩すと、側面に密着して連撃を叩き込む。

「がっ!あっ!ああぅあっ!」
渾身の三連撃だ。彼女の華奢な体は大きく吹き飛んだ。
通用する!
あの鬼神のような強さを誇る剣士に、俺の棍術が通用している!
だがなぜあの回し蹴りは遅れたのだろう。一抹、釈然としない。

俺はシャンファを壁面に追い詰めた。

シャンファは素早く起き上がると、横に飛んだ。右!
相当な痛みを与えたはずだが、彼女の貌は戦意を失っていない。
俺は不覚にもまたもや反応が遅れた。

「ハイッ!」
視界の右端のシャンファが体を横に捻る。シャンファの手元が
見えない。
何がくる!?剣か蹴りか、上段か下段か!?

88 名前:末法無頼伝7 投稿日:05/02/08 21:02 ID:???
 その思考の瞬間、俺は敗北を覚悟した。
「切羽の逡巡はすなわち死なり。」
師の言葉がおれのすべてに駆け広がる。

シャンファは体を回転させている。

手元が見え白刃がきらめく。

上段横薙ぎの刃が俺の首に迫る。

俺は−

体を沈めて刃をかわし、そのままシャンファに密着し、
棍でシャンファの両腕を羽交にし、そのまま持ち上げ、
ふりまわし、逆しまに地面に叩きつけた。
「ぐっ!」

後頭部から頸部を打ったシャンファの肉体が衝撃のせいで
ピンと伸び硬直した。
棍の拘束から開放されると、地面に上半身で直立した
姿勢をゆっくりと崩し、うつぶせに倒れ伏す。

 一瞬の明暗。俺は悟った。
俺は強くなった?違う。シャンファには致命的な変化があった。

 密着した感触。そして技を繰り出す身のこなしの違和。
持ち上げたときの目方。それらが俺に変化を教えた。
4年前との変化だ。

 シャンファは倒れ伏している。
臀部を覆っていた上着の裾がめくれ上がり、彼女の尻の形が
あらわだ。
それは少年の印象を与える彼女とは思えない、
ふくよかな丸みを帯びている。

この丸みが、彼女の武を支える旋回能力を奪った。

そして、
おそらくすでに意識の無いはずのシャンファがそれでも
握って離さない無銘の刀。

細身で軽量化が計られてはいる。業物ではあるが、
4年前に彼女が携えた霊剣、護封剣よりはるかに重く鈍い。
それが技に引きずられ、一拍の遅れを生んでいる。
 
かもめが鳴く

4年前のあの時、臨勝寺三宝の一であり彼女の愛剣である護法剣は、
邪剣と共に消失し、
歳月はシャンファの肉体を技にそぐわない形に変貌させてしまった。
邪剣の騎士と対等以上に戦えたのは、15歳の彼女が、護法剣を
用いたからこそ。あの瞬間のシャンファ以外の彼女では、
成し得なかったのだ。
目の前に横たわるシャンファには、もはや邪剣に対抗できる力は無い。

「やはり制止してよかった。」
心に広がる戦士の落胆を止めるためかもしれない。
安堵の言葉が口からこぼれた。

89 名前:末法無頼伝8 投稿日:05/02/08 21:04 ID:???
「う・・・」

俺は目を疑った。
完全に気絶していたはずのシャンファが立ち上がろうとしている。

「まだ・・まだよ・・・」
俺を正視したシャンファの目は、依然よりまして熱く強い意思が
宿っている。
俺はその視線に撃たれ一歩たじろいだ。

「私は・・・目の前の戦いに・・背を向けたりしない!
たとえ、命が・・・なくなっても・・意思は・・・つらぬく・よ」

 すでに戦闘不能のはずの彼女の肉体は、その炎の精神によって
徐々に御され、動きを取り戻し始める。

「キリク・・・私を止めるなら・・・殺す気で来なさい!」

 彼女の烈気が全身から突風のように俺の体を圧している。
俺の全身が小刻みに震え、つめたい汗が頬をつたう。

 シャンファを殺す?

 そんな思考など最初から俺は持ち合わせていない。
彼女を痛い目にあわせ、戦いを思いとどまらせるのが目的なのだ。
それに目の前の彼女は満身創痍だ・・・
これ以上打撃を与えれば命を奪う事になるかもしれない。
かといって手加減をすれば・・・
こちらが死!

 棍を握る手が強張る・・・殺らなければ殺られる!
戦士の冷静さがそう告げた。
その視線の先に、一瞬異なる像を見た。シャンファに重なる
あの姿は・・・

シャンレン!!

 7年前、臨勝寺、怪光を浴び死すべき定めの俺を助け落命した
少女・・・幼い頃から姉と慕い、日々強まる俺の思慕の情を、
受け止めてくれるはずであったひと・・・
なぜ彼女とシャンファが重なるのか。
 喪失した意識から覚めたとき、そこに広がった光景。
家族と頼む僧達の凄惨な遺骸、そして怪光を防ぐ鏡を俺に託し、
横たわるシャンレン・・・みな怪光の影響で狂った挙句、
相争い、自らを害し、力尽きていた。
 その地獄絵図の中心にいながら、俺が今生き、狂わずに居れるのは
シャンレンの自己犠牲の愛が俺を暗黒から隔ててくれているからだ。
地獄に遇い、乱世の荒野に一人取り残されても、
刃を持たない棍を極めんとしたのは、大切な者を自己のために
二度と傷つけないという自戒のため。
 今シャンファと死合うことは、そう誓った俺の生を無意味にし、
7年前のあのときの精神に逆戻りしてしまう。
俺にとってそれは魂魄を賭してでも抗うべきもの。

 一歩。また一歩。シャンファがこちらに来る・・・
斬死か狂死か。
こんなはずは無い!話が違う!
俺は床に身を投げ出して、許してくれと懇願したくなった。
すまん!君を見誤っていた!本当に悪かった!!
だから・・・
殺さないで!!!

90 名前:末法無頼伝9 投稿日:05/02/08 21:10 ID:???
 このまま戦えば彼女を殺すことの出来ない俺に残された選択肢は
死あるのみ。シャンファと生死のやり取りなど慮外の極み。
俺は自分の選択した道のあまりの気楽さおろかさに
一瞬前後不覚に陥り、

−気づけば涙が頬を伝っていた

 俺の中で何かが崩落する。もうダミだ。
もうあやまる!あやまろう!!床に顔面をこすりつけて!
男の威厳!?そんなものにいまさら固執・・・!!

・・・ある

シャンファが迫ってくる。

あるぞ。シャンファを制止し、なおかつ俺の男が廃らない
「技」が。

 俺は何を考えている?もうシャンファは目の前だぞ・・・
棍など構えて・・・早くあやまれ!おい!!
俺はにやりと微笑む。何だ?俺は何を知った?
シャンファから距離をとり、棍の間合いを取る。
一瞬俺のいた場所にシャンファの剣が振り下ろされていた。
その動作につけいり、この棍を!
どうする!俺はシャンファに何をするんだ!
さっきの涙とともに、俺は自尊心を捨て、
あやまるんじゃなかったのか?
でなければあのとき、いったい俺の何が崩落したんだっ?!!

 棍は薙ぎ下ろされようとしている

すさまじい背徳感と嫌悪感が精神を濁流の疾さで埋め尽くした。
その技は・・・だめだ・・・禁じ手・・・

 あれはエビスの地での事。
ソフィーティアという夷人の女剣士と会った。
彼女はすでに邪剣の使徒に支配されており、全身に入り込んだ
邪剣のかけらによって暴走していた。
 俺はこの棍、臨勝寺三宝の一つ、滅法棍で彼女の洗脳を
解こうとしたが、それには彼女から一度意識を奪う必要があった。
その時に使った技である。
 その技は、本来相手が男性であるときに真価を発揮するもので、
女性に対して使っても、まったく効果は無いとされるものであった。
しかし、その技はソフィーティアにあるおぞましい作用を
発揮したのだ・・・
それ以来俺はその技を封じ、禁じ手とした。

技の名を「開三宝」という。

 まず相手の両足を棍で左右に弾き、開脚させる。
そして無防備となった股間に棍の一撃を叩き込む・・・
という男性の急所を狙った技だ。
 この技を実戦で決めたことの無かった俺は、洗脳に抗い、
隙だらけであったソフィーティアを練習台にみたて、
興味本位で決めてしまったのである。
 技が炸裂した瞬間、ソフィーティアは・・・

91 名前:末法無頼伝10 投稿日:05/02/08 21:11 ID:???
「ンッホォォォォォォォォォォォッ!!!」

 そう、こんなミもフタも無い声を・・・
ハッと俺はわれに帰った。目の前にシャンファがいる。

 内股になり両足をガクガクと震っている。
前かがみになって股間をおさえ硬直。
細まった目には一杯に涙が溜まっている。
口からは声にならない声がひたすらながれている。

「ふぉっ!ヒッ!キ・キリクッ!アアッヒドッ!」

「やってしまった・・・」
 俺はそんなシャンファの姿を見ながらつぶやいた。
そう、この技、開三宝は、女性に決めるとみじめな姿にしてしまう。
どういうわけかしらないが、しかし、思い当たる節といえば、
以前師匠に、俺にはこの技の素養がないと言われたことだ。
俺のこの技への不適正が、打点の狂いを生み、
不可思議な作用を女性に及ぼしてしまうのではないか・・・

 何にせよ、この効果をソフィーティアに見たとき、
俺は自責の念からか、眠ることができない日が長く続いた。
こんな、相手の尊厳を打ち砕いてしまうような技は、
俺にとって忌むべきものましてや、シャンファに、
この大切な存在に対してよもや使ってしまうとはっ!しかしっ!
この技を使わずしてシャンファを制止することはできなかった。
俺の無意識の選択はまちがっていなかったのだ。

 でなければ、シャンファは歪の気に挑んでみすみす死んでしまう!
シャンファをそれと知って死地に送ることなどできない。
それは俺のエゴで、彼女の望みではないにしろ、
俺はシャンファのために、そして俺のために、
あと少し鬼となることにした・・・

「シャンファ。もう降参しろ、今の君では戦いは無理だ。」
いくらシャンファでも完全に限界だろうと、俺は思いつつ言った。
しかし、シャンファは激しくかぶりをふるう。

「ハァ・・・ハァ・・・嫌・・・こんなところで・・・
 お母さん・・・わた・・し・・負けない・・・」

すでに意識は半分飛んでいるようだった。しかしその涙に潤む目には
依然として確固たる精神が宿っていることに、俺は驚嘆した。   

 荒く息をつぐシャンファの言葉の端々に、
彼女の母に対する思慕が見え隠れする。
すでに戦闘能力の片鱗すら見受けられない彼女を支えて
いるのは、母への情なのか?孤児同然の彼女が明るく
健気に生きてきたのは、母の言葉を支えに、
精神を灯明にしてきたからなのかもしれない。
つらいときも、ひもじさに苛まれたときも、
彼女は母の言葉を繰り返し、無間地獄とも思える
この乱世を、涼風のように生きてきたのではないか。

「お母さん・・・力を・・・力をかして・・・」
何を見たのか、シャンファは俺に向かって手を掲げている。
それほどまでに母の存在が彼女を支えるのか。
これが、シャンファという人間の、精神を支える
骨格であると俺は確信した。

・・・このまま意識を奪ったところで、
彼女の心は屈することはないだろう。
であれば、やるしかあるまい。

精神を支える骨格を砕きつくすしかあるまい。

92 名前:末法無頼伝11 投稿日:05/02/08 21:13 ID:???
俺はシャンファが俺に向かって差し伸べた手を棍で払う。
「くっらえぇぇぇぇ!!!」

 シャンファの両足を払う。彼女は自らの両足が再び開脚されるのを
なすすべなく驚愕のまなざしで追っている。
棍が股間を捕らえた

「ィヤアァ〜〜〜〜ッッッ!!!」

くずれた城内にシャンファの絶叫がこだまする。

「グフゥゥッ!ウゲェッ!!」
聞いたことのないほどの低い声がシャンファの喉からこぼれる。

 シャンファの口は大きく開かれ、舌が突き出している。
視線は定まらず、前かがみ。全身を細かい痙攣が襲っている。

「アグゥ!もっもうらめっ!み・・・みらいでぇっ!」
ろれつが回っていない。喋るたびに涎がこぼれおちる。
顔面は涙と涎でぐしゃぐしゃ、端正なはずの顔立ちは均衡がくずれ、
微妙に醜悪でさえある。すでに眼光は失われている。
その表情が、彼女の精神の屈服を物語っていた。

「フゥゥゥゥゥンッ・・・キリクに・・・
  こ、こんにゃのみられひゃってるぅっ!あああっ
 はぐうっ!ちがうのっ、あううっだめらのぉっ!」

 強烈な痛みが及ぼす熱に襲われているせいか、
悶絶するシャンファの顔面は耳まで赤くそまり、
胸元の切り込みからのぞくふくらみや、ふとももは
うっすらと桜色に変化している。
ズボンの股間から尻にかけて、失禁のためか
黒いシミが広がりつつある。全身から脂汗を垂れ流し、
俺の目前でシャンファが崩壊していく・・・

「なんだ・・・これは」
ふいにごちた。
なんだこれは。俺は何でこんなことをした。

・・・そうだった。彼女を戦いの旅から退かせるためだ。

「シャンファ・・・もう、戦いはやめてくれるね。」

ぽつりと俺はそれに問う。

それは呆けた顔をふるわせている。醜い。

「あうあうっ!ひぃ!アンッかはっらめっ!
 だめイッ、イクッ!」

白目を剥く一歩手前の表情で、それは言った。行く?
・・・いったいどこへ?
無性に腹が立つ。
おまえは一体、そんな堕したおまえが一体、
どこにいこうというんだ?!

目の端に騎馬の一群が止まった。先頭の男は明帝国の官服姿だ。
そのあとに続くのは軽装の町人と思しき男達。
おそらくこの廃城が、ならず者の溜まり場になっていないかの
偵察のための自警団か何かだろう。
こちらを見て何か言っている。
だが今はそんなことはどうでもいい。

「こんのぉぉぉお!!!」
俺は棍を気合と共にシャンファの両腿の間に捻じ込み、
三度目の禁じ手破りを始める。
「はうっ!」
一刻も早くこの不愉快な物体の精神を断ち切りたい。
両足を払い開脚させる。
 中天から降り注ぐ陽光のせいか、妙に下腹が熱い。

うぐぁーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!

イグイグイグイグイグイグイグゥゥゥゥ・・・


 ああ、また、眠れぬ日々が続きそうだ・・・

93 名前:末法無頼伝12 投稿日:05/02/08 21:23 ID:???
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 港町の警備を率先する男達の前に、奇妙な光景が展開している。
「ああぅ!・も、ゆるひ・ふああん!あ、だ、ぃ・・くぅぅぅ!」
「何ぃ!?まだ言うかあ〜!!」
「ひぐぅ!あっ!・・・かはっ・・・!」
棍を持った青年に、うら若き乙女が悶絶させられ続けている。

 あれはなんだ?女が襲われているんじゃないか?
しかしあの装束は土地のもんじゃない。なにかの内輪もめじゃ
ないのか?いやいやあれが倭寇とかいう奴では?しかし言葉が・・・
・・・介入するべきか否か・・・

 男達は棍を股間に受け、体をくねらせる女を凝視しながら
ベシャクシャと議論を交わしている。

「どうだ!ハアハア・・降参か!!?」
「は!ああああ〜!はひぃぃ!は・はひぃぃぃっ!!、
あ!やめっ・りゃめれひっ!!・・・ふあ!ま・ま・まら、
いくぅ!!」
「・・・くっ!なんてしぶとさだ・・・ゆるせっ!!」
「ひああああ!!もうらめっ!!なんでっ!!もっあああ!!」

「ンアァーーーーーーーーーーーーーー!!」

再び絶叫。これで一体、何度目か・・・

 しかしあの二人の奇態な行動である。
さまざまなものが行き交い、さまざまな事が起こる港町に
住まう男達にも、棍でくなくなと悶絶する乙女と、それを
苦痛の表情でさせ続ける男を前に判断に窮している。

 あれはひょっとして・・・ふと最後尾の男が漏らす。
男達の注意が注がれる。何だ?

 昔、大通りで銀髪の破廉恥な格好をした蛮族の女と悶着を
起こして、こてんぱんにされた槿域の姑娘がいたんだが、
最後にはしばく銀髪も、しばかれる姑娘もうっとりして
やがったんだ・・・。

 戦いを擬した官能・・・目の前の光景はそれに類するものではないかと、
最後尾の男は口だけでなく手足も使って、説明しがたい現象を
仲間にどうにか伝えた。

 「むむ・・・ずばりそうかも知れません・・・」
そんな馬鹿な・・・といった雰囲気の一同の中から予期せぬ
賛意が発せられた。
先頭の役人である。
最後尾から先頭へと一同の注意が一斉にうつる。
やむをえまいと役人は語り始めた。

 「都人のあいだでは、そうした愛が流行しているらしいんです。」
まだ年若い役人の額に嫌悪の皺が深々と浮かぶ。
「僕は乱れた風俗を正さんと諫言を呈したのですが、
聞き入れられるどころかここに左遷させられたのです・・・」
しかし、ああ、こんな所にまで風俗の乱れが及び始めているとは・・・」

 己の身と世を嘆くことに没入しはじめた青年をよそに、
港の男達は身悶える女に熱い視線を注いでいた。

「いい加減旅はあきらめると言うんだ!俺に誓え!!」
「かはっ!ひはっ!ははひ!」
女はもはや言葉をつむぐこともできず、ただ何度も狂ったように
首を上下させた。が、やがて左右に首を振るい始める。
「あああ〜!!いあっ!も・ああ・うぐぐぅぃ・・・くぅ・・!
はああ・・うぐ・ぐ・あーーーーいっイク〜〜〜〜〜〜〜!!」
「・・・こんっっのぉおぉっぉぉぉ!!!」

また、棍がうなった。

 ごくりとだれかが生唾を飲み込んだ。
必死に許しを請う女をまったく無視して悶絶させ続ける男。
もはや理由などどうでもよかった。眼前の鬼気迫る淫らな光景
が、港の男どもに昼食の刻限すら忘れさせて魅入っている。

潮風が、無性に甘く感じられる彼らであった。
 

   (完)

94 名前:TgRG5Neo 投稿日:05/02/08 21:27 ID:???
以上でした。
以前ウプしたものに若干の改訂、追加を加えました。
あと

ttp://rerere.zive.net/res/up/source/up1038.jpg
↑末法無頼伝11用の挿絵をupしました。
では。

95 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/02/08 22:34 ID:???
挿絵まで自前とは・・・・・・アンタ、リョナの鬼だぜ!GJ!

96 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/02/08 23:25 ID:8D/zY1zc
>>93
成る程、そうきたか、GJ!!

97 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/02/09 21:06 ID:???
SSイイ(・∀・)!!
挿し絵もヤバげ感じがGJ

98 名前:94 投稿日:05/02/11 23:27 ID:???
>>95,96,97 感想ありがとう。
リョナの鬼とかいわれて俺本当にorzうれしいよ?
gjとかいわれるたびにorz心のそこからうれしいよ!?
あとね、ゴシトシコシっていうコテハンはトリップ付いてたら要らない
な、と思って省きました。よく考えたらダサいしね。では。

99 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/02/27 14:01 ID:eHUUEX3E
>>94
受験終わって久々に来たらこんなもんが。
神だ。

100 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/03/05 11:58 ID:usvoqgqE
100get!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

101 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/03/20 21:48 ID:???
こんばんはお久しぶり。以前デスブレイドSSを書いた者です。

なにやら過疎ってるようなので、書き上げたものの一度お蔵入りにした
SSをこっそりと投下することにしました。

スレ活性化の一助となれば幸いです。

102 名前:SCARS 1/9 投稿日:05/03/20 21:50 ID:???
-A.W.1284 アルゴル太陽系 惑星モタビア
気象制御施設「アメダス」中央部 コントロールルーム-

-ガキイィィィンッ!
金属音とともに、電子機器の密集する広間に火花が散った。
武器と武器、闘志と闘志の交錯する光。
密着していた二つの影が、弾かれるように高速で離れる。

一瞬の間をおいて、影は再び接近しあう。
わずかな息遣いと武器の接触音以外は、まったくの無音。

ひとつの影が、上段から手にした武器……刃渡りにして20センチ程の、
鈍く光る軽金属製の鉤爪を、相手に向け鋭く振り下ろそうとする。
その一瞬、ほんのわずか上体に生じた隙を、もうひとつの影は見逃さなかった。

「ぅぐ……きゃはぁあぁっ!!」

渾身の膝蹴り。鉤爪の一撃を見舞おうとした影が、もんどりうって
床に叩きつけられる。
下腹部を押さえて起き上がり、膝をついて荒い息遣いを押しとどめようとする。

影は、あどけない少女の姿をしていた。

年のころは15〜6歳だろうか。すみれ色のセミロングヘアと、無人の雪原を思わせる
白い肌、潤んだ藍色の瞳、しなやかな体のライン。
そして……人間とは異なる種である事を表す、尖った大きな両耳。

膝立ちのままの少女を見下ろすもうひとつの影は、レーザーソードを手に
軽い嘲りの混じった笑みを浮かべる。
その顔は、否、体つきや大きな耳に至るまで、少女と瓜二つであった。
違いがあるとすれば、髪と肌の色が若干青みがかっている所だろうか。

「どうしたの?もう、これで終わりかしら」
光剣の少女が、呟くように問いかけた。

「ぅ……はぁ……はぁ……」
鉤爪の少女は答えない。下腹部への一撃が、想像以上のダメージを
彼女に刻んでいた。

-だめ。姉さんを、止めなきゃ……!
かろうじて立ち上がり、構えをとる鉤爪の少女。
その様子を、若干離れた位置から見つめる、もうひとつの影があった。

103 名前:SCARS 2/9 投稿日:05/03/20 21:51 ID:???
-ネイ!
声には出さなかったが、影……青年は叫んでいた。
彼の名はユーシス。モタビア総督府所属のエージェント。
眼前で戦っている鉤爪の少女……ネイは、彼にとってたった一人の家族だった。

10年前、両親を宇宙シャトルの事故で失い天涯孤独となった彼は、モタビア総督府の
庇護下に置かれる事となった。
成人し、エージェントの職を得て自立した彼は、ある日一人の少女が
暴徒に殺されようとしているのを見かけ、彼女を救い出し家に連れ帰った。
自ら「ネイ」と名乗ったその少女は、異種である事を現すその長い耳が原因で、
あちこちで迫害を受け続けていたことを淡々と語った。
彼女の身の上に共感したユーシスは出て行こうとするネイを引きとめ、
この家で暮らしていこう、と説き伏せた。
以来一年余り。初めはかたくなだったネイも次第に心を開き、
ユーシスの住むパセオの街で、彼らは仲の良い兄妹として幸せに過ごした。

各地に発生した謎の生物:バイオモンスターが人間に被害を及ぼしている件の調査で
ユーシスが旅立つこととなったあの日。ネイは戸口に立ち、言った。
「お願い、ユーシス。わたしも連れて行って!
あなたのためなら、なんでもするから!
……おねがい……
ひとりぼっちは、もう、いやなの……」

旅に出てからのネイは、予想外の才能を発揮した。
常人を遥かに上回る瞬発力、持久力、そして類まれな格闘戦のセンスと呑みこみの早さ。
自分よりはるかに巨大なモンスターにも臆することなく、的確な攻撃を加え、倒す。
優秀な剣士であり、またエージェントとしてサバイバル訓練を修めたユーシスですら
彼女の持つ潜在能力の高さ、底知れなさにに舌を巻き……
同時に、ある疑問が湧き上がるのを抑えられずにいた。
「ネイ……君は、一体何者なんだ?」

旅の果てにたどり着いたバイオモンスターの発生源、アメダス。
そこで、ユーシスは疑問の答えを目の当たりにする。残酷な、答えを。

「貴方が連れているその娘……ネイは、バイオモンスターと人間の亜種よ」

104 名前:SCARS 3/9 投稿日:05/03/20 21:52 ID:???
アメダス最深部、コントロールルーム。
そこでユーシス達が見たものは、ネイと同じ顔立ち、同じ姿をした少女だった。
「ようこそ……よく、ここまで来れたわね。
あら……?」
少女の視線はネイを捉えていた。感情の読めない、凍りついた眼差し。
「……貴方達、その娘が何者なのか、わかってるのかしら」
言葉の端々に嘲りを覗かせ、歌うように問いかける。答える者はなかった。
「その娘は呪われた存在……生まれてきてはいけなかった者。私と同じく。
私には必要なかった弱さ、脆さ、同情心……そんな下らない感情の集積体、失敗作よ」

うつむいて肩を震わせていたネイが、少女の前に立ちはだかった。
「もう……やめて!
わたしはあなたと一緒にいるのが辛かった!バイオモンスターを作り、自分を生み出した
人間に復讐しようとするあなたといるのが、耐えられなかったのよ!」

ネイに相似の少女、バイオモンスターの造物主が柳眉を逆立てる。
「貴方に何がわかるっていうの!勝手な都合で生命を弄び、失敗とみるや殺そうとした
人間に肩入れするなんて!」
「だから……だからバイオモンスターを作って、人間に復讐するの?
それじゃ……同じじゃない!あなたが憎んでいる人たちと!
もう……もう、やめてよ……ぐすっ……
……姉さんっ!!」

嗚咽と共に吐き出された言葉を耳にした瞬間、少女は光剣を抜き、閃かせた。
鈍い音とともに真横のコンソールが寸断、床に落ちる。
「私が、貴方の姉さんですって……ふざけないでよ!
……わかったわ。ケリをつけましょう。貴方と私、一対一で。
私を殺せば、バイオモンスターも止まる。貴方の大好きな人間たちも救えるかもね」

105 名前:SCARS 4/9 投稿日:05/03/20 21:54 ID:???
沈黙するネイ。ややあって、彼女はユーシスを見やる。
青い髪。やさしい眼差し。孤独な自分に安らぎを与えてくれた、この世でたった一人の、
最愛の兄。
-ユーシス……あなたのためなら、なんでもできるよ。本当だよ。

「わかった。ユーシス、わたしひとりで戦うね」
制止しようとするユーシス。それを思いとどまらせたのは、ネイの潤んだ藍色の瞳だった。

-あの日……家を出ようとした僕に取りすがったときと、同じ目だ……。

「無理はするなよ……危なくなったら逃げていいから、ネイ」
「ん……わかった」何処か儚げな微笑み。

両腕に装備した鉤爪を擦り合せ、姉と呼んだもう一人のネイと向かい合うネイ。
その瞳は、今まで見せたことのない闘志に輝いていた。
それを受けた「姉」もまた、内に燃え上がるものを隠そうともしない。

「ひとつ、言っておくわ。
貴方は私から派生した存在に過ぎない。いわば、私が切り捨てた欠片。
『セカンド』が『ファースト』に敵うはずなどない。忘れないでね」

「わたしは負けない……負けられない!
この星のみんな、そして、ユーシスのために……姉さん、あなたを止めてみせる!」

睨み合う二人……ネイは鉤爪を下段に構え、一陣の疾風となった!

106 名前:SCARS 5/9 投稿日:05/03/20 21:54 ID:???
閃く光芒、ふたつの影のぶつかり合いを前に、ユーシスは言葉を失う。
-あれが、ネイの本当の力……?
遺伝子操作によって、人間や野生動物を遥かに上回る身体能力を組み込まれた
バイオモンスター。ネイにその血が流れているなら、あの瞬発力や格闘能力も納得できる。
だが、目の前で立ち回る二人の戦士の力は、それだけで片付けるには圧倒的過ぎた。
「ネイ……」
戦慄に気圧されながら、最愛の妹の名を呟く。握り締めた掌から、汗が零れ落ちた。

膝蹴りのダメージから脱し、立ち上がるネイ。
感情のない瞳で、ネイ=ファーストはそれを見下ろしていた。

「言ったでしょう?『セカンド』は『ファースト』に敵わないと。
忘れちゃったの?」
「……くっ……」
「本当に、駄目な妹。お仕置きが必要ね」
光剣を片手で弄びながら、ゆっくりとした足取りで近づくファースト。
呼吸ひとつ乱さないその立ち居振る舞いからは、ダメージは一向に伺えない。

-強い……
ネイの額に、玉のような汗が光る。
これまで戦ってきたモンスター達とは、まったく次元の異なる相手。
パワー、スピード、武器の違いによるリーチの差、そして何より、相手は戦いを楽しんでいた。
ネイは……ユーシスのためとはいえ、自分から好んで戦うことはなかった。
殺さなければ殺される……そんな状況下でもどこかに戦いを嫌い、避ける自分がいた。
戦いの中で目覚めていく自分の本能……バイオモンスターの血が与えてくれる戦闘能力と、
それに伴う高揚感を憎み、嫌い、抑圧してきた。
そんな感情に押しつぶされそうなとき、いつも支えてくれたユーシス……彼の力にも、
今度ばかりは頼れない。

見守るユーシスの姿が、視界の端に映った。不安げな眼差し。
-ユーシス……心配かけてるよね……
ごめんね……わたし、もう、逃げないよ。

決然とファーストを見返すネイ。
「まだやる気なの?生意気な……!」
叫びと共に水平に斬りかかるファースト。その斬撃を、ネイは垂直跳躍でかわす。
「何ッ!?」
背後からの衝撃。着地際に放った裏拳が、ファーストの後頭部を捉えていた。
ひるむファーストに、ネイは連続して突きを繰り出す。
「チィッ!」
素早い突きの嵐を、間一髪光剣で薙ぎかわすファースト。
-何?こいつ……さっきまでと、動きが違う!
攻撃の狭間に見える、ネイの瞳。そこには、先程までのかすかな甘えはなかった……
狩る者の眼。自分自身のそれと、寸分違わぬ。
「ハァーーーッ!!」
気合一閃、渾身の高速突き。寸前でかわすも、左肩に高熱。
体勢を崩したファーストを、銀閃の嵐が襲う。
「ウッ!……ぐ……ぁがっ!……ぅ……うぁぁッ!」
身をよじり致命打を避けるものの、軽金属の爪は無慈悲にファーストの青白い肌に
食い込み、その肉を僅かずつだが確実にえぐり取っていく。
手を出しあぐね防戦に回った彼女めがけ、ネイは体重の乗った回し蹴りを放つ。
「うぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーッ!!」
鈍い音と共に床に叩き付けられ、勢いで軽くバウンドするファーストの肢体。
血の滴る金属爪を、無表情で見やるネイ。その目に、ファーストの姿は無い。

-生意気な、生意気な、生意気な―!!
ファーストの瞳が怒りに燃える。見下していた相手に、こうも屈辱を受けようとは。

107 名前:SCARS 6/9 投稿日:05/03/20 21:56 ID:???
「XXXXXXXX……XXXXXXXX……XXXXXXXX……」
何事かを呟きながら、ゆらりと立ち上がるファースト。
蒼白の肌を紅く鮮血が彩り、乱れた前髪の奥に暗い情念の篭った瞳が鈍く輝く。
「コXXXXXタX……コXシXXリタX……コロXテXリXX……コロシXヤリXイ……コロシテヤリタイ」

こ ろ し て や り た い

瞬間、ファーストを取り巻く大気が、凍った。
憎悪、憤怒、悲嘆、苦痛、畏怖、それら負の情念が渦を巻き、彼女の細い体を軸として
磁場を形成していく。
漆黒の閃光が渦を巻き、立ち昇った。

圧倒的な殺気。それを目の当たりにして尚、ネイは無表情のままだった。
相手の出方を伺うように構えを保ち続けるその姿からは、いかなる感情も見て取れない。

交錯する視線。永遠にも似た一瞬の後……ネイが、仕掛けた。

「うっ……?」
構えをとらず無防備な胸部に向けての鉤爪の一撃。それが、寸前で止まっていた。
黒いオーラが、ネイの攻撃を相殺したかのように。
ひるまず連撃を加えるも、その全てが手応え無く空中に消えていく。
攻撃を一旦中止し間合いを取るネイ。だが、次の瞬間。

「きゃああああああーーーーーッ!!」

漆黒の衝撃波が、ネイを襲った。
防御体勢をものともせず、彼女の細い体を水平に吹き飛ばす。

受け身を取り素早く跳ね起きた瞬間……眼前に、ファーストの酷薄な、笑み。

「ぁう!……ぐ……アアッ!……ぅ……キャアアッ!!……ぁ……」

あまりに、圧倒的過ぎた。
光粒子の立てる鈍い音と共に迫る、幾十幾百もの斬撃。
かわすには余りにも速く、払いのけるには余りにも重い。

「ぅあッ!・・・・・・キャア!・・・・・・ぐッ!!・・・・・・ぁ・・・・・・ぁ・・・・・・ぁあぁアーッ!!!」
悲鳴と共に細くしなやかな肢体は削られ、鮮血に汚される。

右の鉤爪が直撃に耐え切れず弾け飛び、真っ直ぐ床に突き刺さった。

「……はぁ……はぁッ……はぁ……ごほっ!……はぁ……」
不意に、斬撃が止まる。
ネイは両膝を地につき、苦しげにうめいていた。
辛うじて致命傷こそ免れたものの、身に付けていた軽アーマーは破壊され、
その下から無数の擦過傷が覗いている。
左眼に頭部からの出血が流れ込み、瞼を開く事もままならない。

-なんなの、あれ……
怖い……怖いよぉ……
もう、やだ……たすけて……助けてよぉ……だれか……

決意も、冷静さも、絶望的な力の差によって砕かれていた。
自分自身を抱きしめるような姿勢で傷口を押さえ、ただただ震えるばかり。
痛みの為か、恐怖の為か。
いつしか、震える右の瞳から一筋の涙が零れていた。

108 名前:SCARS 7/9 投稿日:05/03/20 21:56 ID:???
「ネイーッ!!」
ユーシスは腰の長剣を抜き、駆ける。もう限界だ。
このままでは、ネイが……殺される。
それだけは、絶対に考えたくなかった。

剣を構え迫り来る青年に、ファーストは左の掌を開き、向ける。

「ぐ、ぅわぁぁぁぁぁぁぁーーーーーッ!!」

黒い衝撃波。ユーシスはその直撃を受けた。
吹き飛んだ彼の身体はコンソールに叩き付けられ、大きく歪ませる。
断線したケーブルから、僅かに火花。

-ガチャリ……
床に、剣の落ちる音。
俯きへたり込んだユーシス。身じろぎ一つ、立てる様子がない。
唇の端から、一筋の鮮血。

−ネイは、膝をついたまま、その一部始終を見ていた。

「ユー……シス……」

「全く……一対一と、宣言したはず。
人の話に聞く耳を持っていれば、こんな事はしなくて済んだのに」
左手を下ろしたファーストは剣を持ち直し、ネイに目線を戻す。

-わたしが……わたしがちゃんとしてなかったから、ユーシスが……

「……!?」
ファーストは逡巡する。ネイが、立ち上がっていた。
ほんの一瞬前まで、傷つき震えていたはずの彼女が、両の瞳を開いて
しっかりと自分を見据えていた。蒼い炎が、そこに宿っている。

「許さない……!絶対に!あなただけは!!」
ネイの身体から、乳白色の光が立ち上る。
とどまることなく溢れる光が、彼女の身体を覆った。

「まだやる気……いい加減、しつこいのよ!おとなしく死になさいッ!!」
ファーストを取り巻く憎悪の気が、その密度を増した。

白と黒の闘気が、絡み合い、渦を巻き、弾け、散る。
そして。

激突。光が、はじけた。


109 名前:SCARS 8/9 投稿日:05/03/20 21:57 ID:???
「ぐ……ぅ……ぅぁ……がはっ!……ぁ……ぁ……」
弱々しい苦鳴が、静まり返った広間に響く。

どさっ。
何かの崩れ落ちる音。
とめどなく溢れる鮮血が、床に浅黒く染み込む。

「ぁ……はぁ……ッ……ぁ……ぁ……ぁ……」
ネイ=ファーストの身体は仰向けの体勢で床に投げ出され、びくびくと痙攣していた。
胸元にどす黒い穴がぽかりと開き、彼女の生命がそこから流れ出している。
纏っていた漆黒の闘気も、既にどこかに消えていた。

-負けた……そう、負けたのね、私は……

激突の瞬間。ネイの繰り出した渾身の突きが、一瞬速く彼女の胸に到達していた。

-私は……なんのために……生まれて、きたんだろう……

実験中の事故、偶然の出生。処分命令。
武器を手に幼い自分を追う、人間達の血走った瞳。
殺戮。鮮血。折り重なる屍の上、声を限りに泣き叫ぶ自分の姿。

-ネイ……貴方には、わかったのかしら……?

霞む目で、自分の分身……自分を殺した者を、探す。
すぐ傍に居た。丸い瞳に涙を溜めて、自分の顔を覗き込んでいる。

「ごめんね……ごめんね……姉さん……」
「馬鹿……あやまらないでよ……」
-なんて、真っ直ぐな目をするんだろう。
「よかったわね……これで、バイオモンスターも止まる……貴方の、望みどおり……」
「でも……姉さんが……」
「ふざけないで……!貴方は、生き残った……
私の事など……忘れて、生きなさい……」
-私には必要なかった弱さ、脆さ、そして優しさを受け継いだ、私の分身……
あなたには、幸せになって欲しい……欲しかった、わ……。

ゆっくりと、ネイ=ファーストは最期の息を吐き出す。
それを看取ったネイは、踵を返し歩き出した。倒れたユーシスの元へ。

ぐらっ……

「えっ……?」
半歩と経たず、彼女は膝から崩れ落ちた。

110 名前:SCARS 9/9 投稿日:05/03/20 21:59 ID:???
「……ィ!……ネイ!しっかりするんだ!」
誰かが、自分の身体を揺すぶっている。
目を開けようとするが、うまく開かない。もやのかかる視界。
「……ユーシス……無事だったんだね……よかった……」
「しゃべっちゃダメだ!今すぐ、治療するから!」
「ううん……いいの……」
体中から、何かが抜け落ちていくような感覚。
「……わたし、もう……ダメみたい……」
「な……なんて事言うんだ!大丈夫だ!すぐ治るからッ!」
「聞いて……姉さんとわたしは、もともと一つの存在……だったの……
姉さんが死んだから……わたしも、もう、生きては……いられない……」
ファースト自身も、最期まで気づかなかった事実。
「そんな……馬鹿な……」
「ねぇ、ユーシス……お願いがあるの……
わたしと姉さんの事、忘れないで……
2度と、わたし達みたいな悪魔を……造らないように……約束して、ね……」
ネイの身体が、少しずつこわばっていく。
「何言ってるんだよ……ネイが悪魔だなんて……そんなはずないじゃないか!」
「ユーシス……幸せに、なってね……」
「馬鹿……やっと終わったんだ……
パセオに帰って、また二人で暮らそう……そうだろ、ネイ!」
「わたしの事……怖く、ないの……?」
「怖いわけないだろ……好きなんだ、ネイ……」
「……うれ、しい……わたしも、大好き……ユーシス……」

ゆっくりと、瞼が落ちる。
呼吸の音が、止まる。

少女は最愛の人に抱かれたまま、安らかに、永い眠りについた。


111 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/03/20 22:05 ID:???
以上でございます。

書いてるうちにどんどん説明調になってしまい、結果リョナ分が不足する始末。
修行不足を痛感致しました。

それでは皆様、またいずれ。

追伸。PS2リメイク版は気に入りません。絵とか。

112 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/03/21 01:03 ID:9GtLQHgE
>>111
うおおおGJ!!

113 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/03/21 21:36 ID:???
うはぁ!PSの読み物としても十分です!イイ!

114 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/03/23 22:29 ID:???
>>112-113
感想ありがとー。
次回はリョナ分大拡充を目指す所存。

115 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/04/18 00:14 ID:???
昔、某所で書いたSSです。
猟奇なので注意して下さい。

アラビアンファイトのラマーヤです

ラマーヤはピラミッド内部でシックスハンズ(6本腕の阿修羅像)と戦っていた。
ラマーヤはなかなかシックスハンズの懐に入れず、攻撃が出来ない状態だった。
既に魔法も使い果し、絹で出来た華やかなピンクの衣裳もあい続く魔王ササビス軍との激戦で
ラマーヤの体液と泥などでボロボロになっていた。
シックスハンズの容赦ない攻撃にラマーヤはしだいに精神的に追い詰められていった。

『ハァハァ、奴の持っている大剣をなんとかしなくちゃ・・・』

とシックスハンズの6本の腕には2mは有るであろう大剣が黒く輝いていた。

『ぐぐぅぅ・・・』

一瞬、シックスハンズの動きが止まり、ラマーヤの目の前で立ち止まった状態になった。

『今がチャンス!!』

とラマーヤが動いた瞬間、ラマーヤの豊かな乳房に激痛が走った!!!

なんと、横一閃にシックスハンズの大剣がラマーヤの乳房を斬り付けていたのであった。

『ヴァァァーーーーーァ!!』

少女とは思えない絶叫がピラミッド内に響き渡る。
大粒の涙を浮かべたラマーヤが胸元を凝視すると、服は横一文字に切り裂かれ、
乳房が露出し乳首から上下半分に裂けていた。

『ヴァァァーーーーーァ!!』

少女とは思えない絶叫がピラミッド内に響き渡る。
大粒の涙を浮かべたラマーヤが胸元を凝視すると、服は横一文字に切り裂かれ、
乳房が露出し乳首から上下半分に裂けていた。
ラマーヤは激痛を必死で堪えて、手で胸を押さえようとした瞬間、

『ドサッ、ドサッ・・・』

嫌な感じがした・・・・
その感覚は間違いではなかった。
ラマーヤがふと、前を見ると2本の細い腕が転がり落ちていた。
シックスハンズの攻撃は既にラマーヤの腕を肩から削ぎ落としていたのであった。

『ギャャャャーーーーーーーァ!!!!』

少女の叫びはまさに断末魔の叫びであった。
乳房と両肩からおびただしい出血はラマーヤのピンクの服を赤く染め上げていた。
膝間付く彼女にもう戦う気力などなく、あろう事か心のないシックスハンズに命乞いをし始めたのだ。

『お願い、命だけは・・・・・』

力ない声で言ったその瞬間、

『ブンッ!ブンッ!』

何かが飛んだ音がした・・・・
もう既にラマーヤの意識はなかった・・・・
そう、彼女は無慈悲なシックスハンズによって、首と胴体を跳ね斬られたのだった。
そして取り残されたラマーヤの死体はピラミッド内に生息するマミー達により、
首、二の腕、胴体、肢体は残り残さず喰い尽くされたのであった。
アラビアの小国の第2王女の哀れな最後であった。

駄文スンマセン。


116 名前:115 投稿日:05/04/18 00:19 ID:???
コピペ失敗しました。
二回目の『ヴァァァーーーーーァ!!』 は無しです。
本当にゴメンナサイ・・・・・・・orz

117 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/04/18 03:34 ID:1guC6yp.
出口の無い謎の洋館に、女は立ち尽くしていた。
体は傷つき、もはや、思考力も皆無に等しい。

「生きてやる」

もはやその女を突き動かしているのは、精神力という名の本能のみ。

女の名はジル。

S.T.A.R.Sのメンバーとしての姿はそこにはない。
次々出てくるクリーチャーに怯え、襲われているただの女である。

「うっ…なんとかあのドアまで…ぐぅっ…」

あのドアの向こうこそ出口への道だ。
そう思いながら何度ドアを開けては、クリーチャーたちに襲われたか。

しかし、進むほか生き延びる道は無い。

女はドアを開けた。

そこに映ったのは絶望という名の小部屋だった。

「くっ…またゾンビか…」

「ウゥウゥアァァアア…」
空腹に耐えかねたそのクリーチャーは、生命体である女に向け、フラフラと近づいてくる。

「一体ならば…何とか…」
女は銃を構え、引き金を引いた。

「カチッ…カチッ」

無常な音が、決して広くないその部屋に響いた。

「弾切れかっ…くっ…!」

「アァウァウアアウ…」

ゾンビはひるむことなく近づいてくる。

女は銃をその場に捨て、護身用のサバイバルナイフを手に取ろうとした。

−−−その瞬間!!!


女の肩口に猛烈な痛みが走るとともに、鮮血が目の前に舞った。

「きゃあぁっ…!ああっ…!!」

ゾンビの動きの方が、一瞬速かった。

「あぁあっ…ううっん…がはっ!」

ゾンビの鋭利な歯が、肩口から首筋へと向い、女は口から喀血した。

カランッ…

右手に力が入らない。
サバイバルナイフは床に落ちた。

先ほどの銃の音、サバイバルナイフが落ちる音。
死、という名のカノンが演奏されようとしていた…

「あがぁっ…ああっ…あ…あぁうぁぁ…」

女は床へと崩れ落ちた。

もはや優美であった顔にその面影は無い。
血にまみれ、苦痛、恐怖に引きつった顔がそこにはあった。

「あぅぅぁ…ぐぅう…うぐうっ!ぎゃあぁあぁあぁあぁあぅ!」

小部屋に響いたその声。

それが女の発した最期の言葉だった。
それ以降、小部屋の床には延々と赤い血が流れゾンビの晩餐が始まるのだった…


118 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/04/18 03:56 ID:1guC6yp.
レベッカ…とその名を付けられた女。

その最後の日が始まろうとしていた。

血のにおい、そして腐臭の漂う洋館に迷い込んだ以上、彼女に「生存」という運命は、残されていないのだ。

ただ、彼女はその運命は知らない。

生き抜くため、ただそれだけのために彼女は洋館をさまよう。


…目の前にあるドアを開ける。



…その場に広がっていたのは、見るも無残な惨状だった。

「あぁっ…!」

彼女は口を押さえ、そう言葉にならぬ声を発した。

目の前には怪物がいる。
その怪物が、人をむさぼっている。

彼女の思考はそこで止まった。
彼女の脳は恐怖という名の得体の知れないものに、支配された。


彼女は立ち尽くしたまま動けない。

そこに、その怪物は振り返った。

怪物の崩れかけた顔からは血が滴り、その口にはそこに変わり果てた姿となっている人のものであろうブロンドヘアーが、へばり付いている。


「いやぁあぁあっ・・・・・・!」

彼女は彼女の意思ではない、声をあげた。

怪物が、近づいてきたのだ。

彼女の足はすくんで動けない。

その棒立ちの彼女は、もはや意思のない怪物にとって、格好の獲物と映ったであろう。

怪物は彼女の肩口に噛み付いた。

「あああぅっ!ぅおあっ!」

彼女はまたも意思によらない声をあげた。

・・・・・・目の前の怪物が肩口に噛み付いてきて、私の肩から血が噴き出している・・・・・・

それだけのことも理解できないほど、彼女の脳は混乱していた。

「あぐぅっ…きゃあっ…うあっ…!」

彼女が悲鳴をあげればあげるほど、意識が遠のく。

「ぅうぁっ……あっ…」

意識は遠のこうと、怪物はお構いなしに、彼女の肩をむさぼっている。

「ぅぅああああぅ…があぁあっっああうぅ!うぅ…・・・あ…ぅぅ…」

目の前を自分の鮮血が舞う姿、彼女は見ることは出来ただろうか。
出来ていたとしても、彼女には関係ない。
なぜなら彼女はすでに、怪物の食料となってしまったからだ。

彼女の体は、力なく崩れた。
怪物がのしかかってくるが、なすがままにされている、いやなすがままになっている。
すでに彼女は呼吸をしていないのだから…


食事の後のデザート。

怪物はそのように思っただろうか。

この小部屋には、息絶えた美しい女性が二人、折り重なっている。

119 名前:117 118 投稿日:05/04/18 03:58 ID:1guC6yp.
バイオハザードが大好きな?ザッピングシステム採用SS( ´∀`)

初投稿なのですが、お気に召しましたでしょうか…?

120 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/04/18 08:33 ID:???
立ちました

121 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/04/18 12:23 ID:AWhTBc0k
一人でできるもん(v〃∇〃)
http://2ch2.net/.l?=yAvl

122 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/04/18 19:20 ID:???
糞スロットページうぜーーーーーーー

123 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/04/18 20:44 ID:vFnTrij2
最高です!!!!!!

他にもつくってくだっさい!!!!!

124 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/04/19 22:38 ID:???
久々に盛り上がってるなー

125 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/05/02 21:43 ID:pE1xy87Y
ここってオリジナル物は貼っちゃ駄目ですか?

126 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/05/03 00:40 ID:???
どんとこい。
ワクワク。

127 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/05/03 08:20 ID:dtOFvhWw
>>125
全然大丈夫。期待age

128 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/05/08 19:15 ID:KTqqvHoU
m9っ(・`д・)<パスは1357だ!!
http://www.houkago-girl.com/

129 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/05/21 16:58 ID:dQouR0g6
男に負けて(主に格闘)ボコボコされる女の小説スレ

格闘Mサイトはあふれるのに比べて格闘Sは捜してみることができない事に怒りを感じてスレを作りました.
強くて美しい女性が男に挑戦して戦闘不能に抜けるまでボコボコされる小説を書くスレです.
次は敗れた以後のシチュエイション

1.たとえ敗れても心は折れない.
2.初めの勢いは微塵もなしにべそをかいて許を請ずる.
3.自分を破った男と愛に陷る.
4.身も心も男にまったく征服される.
5.強姦
6.鬼畜
7.その他など

ヒロインの処分はあなたの妄想が決める!!!
ゲームやアニメのキャラクターで感情移入がよくできればもっとよし!!!
イラストまで添付されれば錦上花を添える!!!
-----------------------------------------------------------------------------
こういうスレを作ってから追い出されてここに来ました.
次のような mixfight小説がたくさん作られたらと思う小さな所望があります.

ttp://myhome.naver.net/thereal3/1.jpg
ttp://myhome.naver.net/thereal3/2.jpg
ttp://myhome.naver.net/thereal3/3.jpg
ttp://myhome.naver.net/thereal3/4.jpg
ttp://myhome.naver.net/thereal3/5.jpg
ttp://myhome.naver.net/thereal3/6.jpg

私がずっと外国で住んだから日本語書くのが下手です. 利点了解してください.(もちろん読むのはお上手です..)
一応ファントムガール書いてから自作小説はゆっくりあげます.
青臭いとしても理解してください.
そしてファントムガールは出処は忘れました.
原作者にあらかじめお詫びの言葉を申し上げます.

私のあげる部分は ファントムガールで mixfightで女の子が 'ボコボコ'になる一部場面です.

130 名前:ファントムガール(1) 投稿日:05/05/21 16:59 ID:dQouR0g6
ユッ・・・」

 「ぶっちゃけて聞きたいんだけどさあッ!」

 開きかけたエリの口を、ケバケバしい悪魔がタイミングよく塞ぐ。偶然の賜物だが、危険に生きる女の本能が、エリの行動を止めさせたのかもしれない。

 「『新ファントムガール』って、どっちィ? あんた? それともこっちの小鳥ちゃん?」

 金のルージュが吊りあがる。鼻にかかる掠れ声は、その裏に、脅迫めいた力強さがあった。

 「・・・・・・私です。私が『新ファントムガール』。・・・だから、妹は気にせず、私と闘ってください」

 「あは♪ やっぱそうよねぇ〜。じゃあ、葛原ぁ〜、あとお願いねぇ〜」

 ちゆりがあの、黒い壊し屋の名を呼んだ瞬間、エリの眼前に2m近い長身の痩せ男が降って湧く。まさに一瞬の出来事。黒い槍が、天空から落ちてきたようだ。

 “え? なに? 飛んで。・・・どこから? 屋上? 嘘。まさか。敵。強い。狂気。た、闘わ・・・”

 素直に生まれてしまった西条姉妹共通の欠点、それは虚をついた攻撃への対応が、鈍いことだった。
 突如現れた、S級ランクの危険人物、壊し屋・葛原修司の猛攻が、身を固くした華奢な少女を襲う。
 黒いミサイルの前蹴りが、くびれた腹を射抜く。
 ふたつに折れ曲がるエリの白い身体。唾液が霧となって飛び散る。突き出された無防備な顎に、ボクシング部員を一撃でノックアウトしたアッパーカットが吸いこまれる。
 グシャリ・・・
 何かが潰れる音を残して、エリの細い体は5mを宙に舞い、洋食店が出した青いポリバケツのマットに墜落する。
 破壊音と生ゴミが、散りばら撒かれるハーモニー。

 「エ・・・エリィッッ!!」

 「おっとォ、小鳥ちゃんの相手は、ちりだよォ〜」

 姉に駆けつけようとする妹を阻む、「闇豹」。
 その素早い移動と、単純な恐怖が、幼いユリを強張らせる。
 五本の爪が、透明感ある童顔に発射される。
 身を捻ってよけるユリ。長年の修行で養った力が、身を助ける。よけると同時に、白鳥の左手は、女豹の右手首を捕まえていた。

 「ハッッ!!」

 気合い一閃。
 グラサンをかけたままのコギャルが、宙を旋回して激しく地面に叩きつけられる。コンクリートと激突した細身が、耐えられるとは思えぬ勢いで。

 ズブリ・・・・・




131 名前:ファントムガール(2) 投稿日:05/05/21 17:00 ID:dQouR0g6
「きゃあああッッ?!!」

 甲高い悲鳴をあげ、熱線の痛みに仰け反ったのは、西条ユリの方だった。白いカモシカの太股に、五本の青い棘が埋まっている。寒気のする笑顔で、悠然と立ちあがったちゆりが爪を引きぬくと、かつてない辛さに恥も外聞もなく地面を転がり回る。

 「あはははははは! やっぱ、小鳥ちゃんは甘いねぇ! どうしても手加減しちゃうみたいね。・・・けど、意外とあんたがファントムガールじゃないかって、ちりは睨んでるんだけどなぁ〜〜」

 ガラガラとゴミの山から立ちあがってきたのは、姉のエリの方だった。
 マシュマロの唇の端からは、朱色の糸が引いている。濡れ光る唇には、まだ子供っぽさが残るだけに、悲哀が濃く漂う。
 鼻先には、黒い塔が、獲物が起きるのを待っていた。幅の狭い肩が、小刻みに上下している。笑っているのだ。

 「キヒィッ・・・キヒヒヒヒヒッッ・・・なぜ立ってこれたか、わかるか?」

 葛原の問いには答えず、エリは自然体の構えを取る。一撃のダメージはあるが、程よい渇となって、普段の自分を取り戻すことに成功していた。

 「楽しむためだよ・・・お前の肉を断ち、骨を折り、苦痛の海に沈めて、あられもない悲鳴を聞くために、わざと仕留めなかったのだ」

 壊し屋の構えは、ムエタイ戦士のそれに近い。
 女のコにしては背が高いとはいえ、30cm以上の身長差がエリにのしかかってくる。むせぶような死臭が、壁となって踏みこみにくくさせている。
 『想気流柔術』は組み技が主体のため、打撃系の相手には待つのが基本だ。当て身を見切り、関節に捕える。エリはプロボクサー世界王者のジャブでも、捕える自信があった。つまりそれは、世界一早いパンチを見切れるのと同意。
 壊し屋のスピードか、武道家の見切りか。
 ビリビリと痺れるような緊迫感が、濃厚な空間を巨人と少女の間に出現させる。

 バチンッッッ・・・

 乾いた炸裂音がコンクリートのリングに響き、血霞みを吐いたエリの白い喉が晒される。
 “あッ・・・・・・?”
 白桃の頬がみるみる腫れあがる。黒いストレートが突き刺さったとわかったのは、追撃を食らった時だった。
 がら空きの右脇腹に、ミドルキック。空き缶がトラックに轢かれる音がして、横にくの字になって吹き飛ぶエリを、すぐに逆のミドルが襲撃し、細いあばらぼねを粉々に砕く。
 ベキベキベキィッッ・・・・
 崩れ落ちるエリに、安息は訪れない。大陸間弾道ミサイルとなった黒い拳が、小さな顎を潰す。2度のアッパーに耐え得るほど、少女の骨は丈夫ではない。折れた顎骨が吹き上げる血潮が、一直線に天に伸びる。

 宙に舞うエリは、もはや格好の的でしかない。
 右ボディが刺さる。ローが足を折る。パンチがあどけない顔を潰す。止むことのない打撃が、未完成な身体を暴風雨に巻き込む。
 これが人間の壊れる音なのか。耳を覆いたくなる、肉と骨がミンチにされる曲が、エリという楽器から流れる。白い肌は血と痣に覆われ、片方のゴムが千切れて、束ねた髪がザンバラに垂れる。

 「あがアッ!・・・ぐぶッ!・・・ゴボオッ!・・・げぶうッ・・・がはッ・・・あぐうッ・・・アアッッ・・・がふッがぶぶぶぶッッッ!!」

 アニメ声と揶揄される高音ボイスが、激痛にむせんで嗄れ声となる。数分前まで白百合のように可憐だった姿は、無惨な肉片に変わりつつあった。

 “み・・・・見え・・・・・・・ない・・・・・・・・か、らだ・・・・が・・・・・・壊れて・・・・・い・・・・・く・・・・・・・”


132 名前:ユウミロク 5PpnAzdM 投稿日:05/05/23 07:02 ID:7jewClZ6
なんか好みなスレ見つけたから小説うPってもいいかな?

とりあえず触りだけ。後は反応見てって事で^O^

ー−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

・・・この洞窟に入るのは初めてじゃなかった。
でもこんな奥に入ったのは初めてだったから・・・・。

彼女の名前はルシア・ベルベット。名の有るモンスターハンター・・・を目指して邁進中の新米戦士だ。
とはいえ、生まれ持った格闘センスは中々のようで、度々でかい獲物を仕留めてきては歴戦の戦士達を驚かせていた。
そもそもモンスターハンターとは、いわゆる賞金稼ぎと似通った職業であるため、獲物が被る事もしばしば。唯一の違いといえば、賞金稼ぎの死体は見つかるが、モンスターハンターのそれは見つからないことが多いということくらいか。
何しろ相手は未知の化物。戦闘力が予測できない恐怖。従って世では賞金稼ぎのほうが人気が有り、ルシアの両親もこちらを薦めた(どうせなら・・・的に)

しかしルシアは世に反した。ここからは本人の談である
「えー、だってぇ、賞金稼ぎは相手を殺さずとか色々制限があるし、相手の力量もある程度把握して望めるけど・・
 でもモンスターハンターは直接戦ってみないと分かんないスリルがあるの!モンスター相手だと、大体は生き死に関係なく目標の捕獲、破壊を目的にするし
 私は平凡に生きるのは嫌!だったら命を掛けた人生を楽しんでいきたい!・・・ってあれ?何よその顔。」

彼女から言わせれば賞金稼ぎもまた、「平凡」なのだそうである。

そんなこんなでルシアはこれまで様々なモンスターと対峙し、それなりに経験と信頼を得ていた。だからこそ彼女も慢心していたのかもしれない。
今回入った依頼は、別大陸の洞窟に巣食うモンスターの駆除。何のことはない、ありふれた依頼。ただひとつだけ違ったのは最後の記述。

《現在48人のモンスターハンターが犠牲になっている。 危険度X》

無論、通常の人間であれば臆する文章。しかしこの少女にはむしろ好奇心を煽る宣伝のように見えた。
「よしゃ!私行きます!私が行かねば誰が行く!」

かくして、洞窟に到着したルシア。(途中経過は色々と省略。大人の事情)
しかし、そこに立ったとき、彼女は不思議な違和感に襲われた。
「私・・・ここに来たことあるな。この仕事初めて最初のほうの依頼で・・・どんな内容だったかなぁ・・。」
もちろんルシアの脳はそこまで記憶できていない。というより、印象が薄すぎて覚えなかったのかもしれない。

「まぁいっか・・。途中でパッと思い出すかもしれないし。」ぼやきながらの足音は、洞窟の中へと進んでいった。

洞窟に入ってしばらくは「あぁ〜見たこと有るかも〜」などと余裕を見せながら歩いていたルシアだが、ふと軽い頭痛に襲われる。
それは、奥のほうにある扉に近づく度ひどくなった。「何・・?いたた・・。呪いかなんかなのぉ?」呪われる節があるのが怖いところであるが。
とにかく、頭痛を抑えながら扉に近づき、触れると、痛みはスッと消えた。
「何だったのかな・・。まぁいいか、通路はどこ行ってもここにつながってる・・。ここがラスボスの部屋への入り口ってわけ・・ね。」

ゆっくりと扉を開くと、下へ続く階段があり、その脇には人間の骨のようなものが無造作に散らばっていた。
「・・・!」流石にこれまで数々の修羅場を体験してきたルシアだったが、その眼をもってしてもそれは惨状だった。
「敵は・・・私がとってあげる。あなたが誰であろうと関係ない。でも、残した無念は晴らしてあげる」
そう言うとルシアは、静かに階段を下り始めた・・。

下り切った先には又も死体、それもまだ新しい。・・その刹那、目の前には巨大なモンスターが佇んでいた。

全長2M半はあろうかという強靭な体躯を誇るウシ型モンスター、ミノタウロスだ。
しかし対峙した瞬間、ルシアは目の前が真っ白になった。洞窟に感じた違和感、謎の頭痛、そして目の前のこの怪物
全てがつながった、思い出せなかったんじゃない、思い出さなかったんだ。私は、思い出したくなかったんだ

 そうだ こいつに わたしのこいびとは ころされたんだ  わたしは そのときちからがなくて にげてきたんだ

意識が戻る、その瞬間にわたしはもう、目の前の敵に向かって突進していた。

133 名前:ユウミロク 5PpnAzdM 投稿日:05/05/23 07:09 ID:7jewClZ6
・・・とまぁここからリョナり展開へ移行します(ストレート)
需要があればこっから先頑張って書かせていただこうと思います!

(゚Д゚ヨッシャー

134 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/05/23 15:28 ID:???
そりゃあもう需要ありますよ

135 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/05/23 18:19 ID:hEw0O/KY
(・∀・)カイテカイテー

136 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/05/25 23:44 ID:ZJ6RhuAI
>>132
転載じゃん

137 名前:ユウミロク 5PpnAzdM 投稿日:05/05/26 10:38 ID:h.AtS2kk
転載・・・。
とりあえず自分で考えながら書いてる文章なんですが。。

まあいいや、続き書けば転載じゃないと証明にもなるだろ。
嬉しいことに需要もありましたし、書かせていただきます^^

今日の昼ごろまでにはだいぶ書きます!期待して待っていてくださいww

138 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/05/26 15:10 ID:vVQF7M1k
隠しページ教えて下さい…
http://pink-heart.biz/tokyo05/bbs2/
http://www.houkago-girl.com/

139 名前:ユウミロク 5PpnAzdM 投稿日:05/05/26 23:34 ID:v0XxOJzw
「たああぁぁぁぁ!!」
もはや何も考えられない、考えない。
ルシアの剣は一直線に目の前の化物に、いや、仇に向かって鋭く嘶いた。

「ググフゥ・・・エサガジブンカラツッコンデキヨッタワ・・・。」
突然脳内に響く不快な声。戸惑いを抑えられず、ルシアの剣は空を切った。
「お前・・・言葉を話せるのか!?」不快な気分のままに、問いかけるルシアの顔は青い。
「コトバ?アア、キサマラニンゲンハハソウヨンデイタナ・・クク」
ミノタウロスはルシアを見下ろし、下卑た笑いを浮かべながらそう答えた。
「なら話は早い・・・私はお前に大事な・・・大事な人を奪われた!私はお前を許さない!!」
ルシアが再び剣を構えなおす。その切っ先は一直線にミノタウロスへと向けられた。

「ウバウ・・ククク、コロシタハエドモノカズナド、オボエテイナイカラナ・・・ユルサナイ・・・ククッ、ユルサナイカラナンダトイウノダ?」
「・・・・っ!なら身を持って知るがいいわ!!!たあぁぁ!」

言うが早く、ルシアの振るう剣がミノタウロスの腹部を掠める。それはまさに高速と呼ぶに相応しい速度だった。
ミノタウロスが予想以上の速さに怯むまもなく、第二撃。剣の柄で顔面を正確に射抜く。
ぐらり、巨体が揺れたところへすかさず猛攻をかけるルシア。相手に反撃の隙を与えてはいけない・・!なめて掛かっている内に、一気に・・・・
「叩くっ!!!」
ザクウッ!!!ルシアの全力の剣が、ミノタウロスの胸部を鋭利に切り裂く。舞い散る紫色の鮮血、剣についた返り血、手応えは、十分だった。

「ウオオオオオォォオオオオオオォォォォ!!!」
直後、凄まじい咆哮が洞窟内に響く。ルシアはその衝撃で吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。
「あっ!!・・・くぅっ、一体何が・・・・。」そして顔を上げると、そこには、「怪物」がいた。
さっきまでとは雰囲気・・・いや、そのものが違う。姿形は何も変わっていない。だが、そこにはさっきまで対峙していたモンスターはいなかった
自信家のルシアでさえ、今のミノタウロスが放つ闘気には身じろぎしてしまう。
「ココマデヤルトハナ・・・ミクビッテイタヨウダ。ククク・・キサマハドンナアジガスルノカ、キョウミガデテキタゾ・・。」
ミノタウロスの口から唾液が零れ落ちる。それを拭う事すら見せない様を見て、ルシアは怒りから我に返った
「怯んでいる暇はないわ、これで奴に隙がなくなった・・・冷静になれ、策をねらな・・・」

ドゴオッ!

「え・・!?」
それはまさに一瞬だった。ミノタウロスの投げた瓦礫が、ルシアの数ミリ横に着弾したのだ。
「グフフ・・ヨソミヲシテイルヨユウガアルノカ?イマノデ、キサマイッカイシンデルゾ・・」
そういってまた下卑た笑いでルシアを挑発する。
正直、実力差がこれほどとは思わなかった。今まで戦ってきたモンスターには、多少苦戦した相手はいたが、こんな感覚は初めてだ。
震えている。さっきまでの過剰なまでの自信が少しずつ薄れていくのが分かる。殺される・・・・!
しかし、そこでふと思い出す。この化物、ミノタウロスに殺された恋人、カーセスの事を。


140 名前:ユウミロク 5PpnAzdM 投稿日:05/05/26 23:35 ID:v0XxOJzw
カーセスは勇敢な武道家だった。同時に凄腕のモンスターハンターでもあった。ルシアが職に就きたての頃に面倒を見られた、言ってしまえば師弟関係に近かった。
最初はルシアも、そんなカーセスを尊敬していた。それが恋心に変わったのは、ちょうどカーセスが殺される三日前。
「今度は、違う大陸の化物が対象!更にそいつはもう30人近くの被害者を出してる!恐らく強い!!
 ・・・とくれば、俺に依頼が来るのもうなずけるよなぁ・・うんうん。」
思えば、彼もまた自信に満ち溢れていた。それを裏付ける実力があったから。
「・・なあ、ルシア。俺がこんな事言うのもおかしいんだけど・・さ、お前、俺が死んだら悲しいか?」
なにを言ってるんだろうと思った。思わず口調を強めて反論した。カーセルが死ぬ事なんて考えたくなかった
「はは・・・うれしいな。まあ俺だって自分が死ぬなんて思っちゃいねぇよ。ちょっと聞いてみたかっただけ・・・っておい、泣くなよ・・。」
このとき気づいたんだ、自分の中でいかにカーセルが大事かって事が。私の大部分を、あなたが占めていたか。
「カーセルがいなくなったら・・私・・・おっきい穴が・・う・・あくよぉ・・。やだよ・・・。」
「ルシア・・・・・」カーセルは泣きじゃくる私をそっと抱きしめてくれた。
「任務が終わって、一緒に帰ってきたら・・・。ずっと話したかった事を全部話すよ。今までの事、これからの・・
 だから、ルシア、必ず生きて帰ろう。・・・・ありがとう。」

そしてカーセルは、私の目の前で、殺された。今まさに目の前に立つ、あの化物に。
そうだ、私は、負けるわけには、諦める訳にはいかない。カーセルを失って出来てしまった穴を、こいつの命で埋めてやるんだ。
「私は・・・・・・負けないッ!」
起き上がり、剣を持ち直す。再び「奴」と対峙する。もう私は、迷わない。
速さで撹乱して、的確に急所を突く!「奴は動きそのものは遅い、私の速さなら出し抜けるっ!つあああ!!!」
ルシアがミノタウロスの周りを高速で駆ける。しかしミノタウロスは頑として動かない。
「動かない・・・?動けないの?なんにせよそれなら、私から打って出るしか!!」
瞬間、ルシアの剣がミノタウロスの急所めがけて振り下ろされた。疾風、そう呼ぶに相応しい攻撃。

「マッテイタゾ!!」突然ミノタウロスがルシアのほうを向き、剣を素手で掴み、へし折る。
そして慣性で倒れこまんとしたルシアの股間と首を鷲掴みにし、高々と持ち上げ、揺らし始めた「ツカマエタゾ・・・・」
「あっ!い、いやぁ!離せぇ!!」ミノタウロスは更に楽しむように、ルシアの体を空中で揺らし続ける
「グフフ・・タシカニキサマハハヤイ・・・ガ、コウゲキノトキハムボウビスギル・・・。ケイケンガタリナカッタナ・・。
 ソウラ、サッキマデノイセイハドウシタ!」そう言いながら、ミノタウロスは股間を掴んでいる手に力を入れた。
「くぁっ!や、やぁぁ・・・!!」ルシアは顔を紅潮させながら攻撃に耐える。その表情を怪物はなめる様に見た後、ルシアを地面に叩き付けた。
「ぁうっ・・!!!」目一杯叩きつけられたルシアは力なく横たわる。
「グフフフ・・スグニコロシハセンゾ・・・ジワジワナブリオカシテヤル・・グフ、グフフフファァ!!」
そう言いながらずんずんと近づいてくるミノタウロス、荒い鼻息、赤く純血しきった目は、威圧を与えるには十分だった


ルシアは激しい全身の痛みの中、今まで感じた事のない質の恐怖に支配されつつあった・・。
「助けて・・カーセル・・・・。」




141 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/05/30 11:05 ID:h.AtS2kk
続きカモン!生殺し(・A ・) イクナイ!

142 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/07/12 17:10 ID:???
書き途中の137には悪いが、別のssうpさせてもらうよ。
影牢2の黒侍女ネタ。ライトグロ、刺さったり血が出たりするけど、モツも切断も無いので苦手な人も安心してね。
あのゲーム買って、自分で罠にハマって、何か空しくなった事のあるリョナラー達へ。
こう脳内変換してみれ。

143 名前:黒侍女のイタズラ 投稿日:05/07/12 17:15 ID:???
嗚呼アリシア様。憎らしくてイジらしくて無知で純粋で可愛らしくて愛しい愛しいアリシア様。
アリシア様はレイチェルのモノ。レイチェルだけのモノ。
その細い体も、蕾のような唇も、綺麗な白い肌も、そこに残る傷痕も、苦痛も、悲しみも、背負った業も…そして、魂さへも…。

アリシア様は今また、館に侵入したバカなヘルツォークの狗相手に戦っている。
きっと何も知らないアリシア様は、このレイチェルの為に、レイチェルを護る為に傷つき血を流し、自ら手を汚してくださってるつもりなのでしょう。
「レイチェルは隠れていて」
本当に健気で愚かで愛しいヒト。
えぇ、えぇ、良いですとも。レイチェルはアリシア様の頼みなら何でも聞いてあげますよ…今だけは。
ただ、時々凄く意地悪をしてあげたくもなってしまうのだけれど。
レイチェルが柱の後ろに身を隠すと、アリシア様は玄関ホールの階段を昇り、そこで侵入者を待ち受ける為のトラップをし込まれる。
アリシア様にはまだ内緒なのだけど、私もアリシア様と同様、魔神の力であるトラップの光を見る事ができる。
もちろん、それを使う事だって…
アリシア様は、玄関ホールの階段を昇った先の壁、その階段を降りた向かいの床、そして天井にそれぞれトラップを仕掛けている。
きっとアリシア様は、廊下を追って来た女術士をそこで待ちうけ、タイミングを合わせて壁のトラップを使い、抜けられぬ罠に陥れて、その魂を館に封印された魔神に捧げるつもりなのでしょう。
本当はそんな事したくないに決まっている。
アリシア様は素直で純粋で優しいヒト。だから人を傷つけて殺したりしたくないに決まっている。
それでもアリシア様は、自身と、このレイチェルを護る為に戦ってくださる。
嗚呼、なんてイジらしい。
そんなだから、そんなだから、レイチェルはいつもいつもアリシア様の身を按じ、同時に虐めたくて堪らなくなってしまう。
だから今度も、ちょっとだけイタズラをしてしまおう。

扉を蹴破って入って来た女術士は、綺麗な顔立ちに艶やかな肢体を持つ美しい女性。
もちろん、アリシア様には負けるのだけど。
ようやっと追いついた女術士は、少々ムキになった様子でアリシア様のいる階段を駆け上がる。
お尻をさすっているので、きっと前の部屋でバナナの皮を踏み、ハジをかかされたのでしょう。
アリシア様はタイミングを見定め、壁のトラップを動かすのと同時に身を逸らすつもりなのでしょうが…

先程まで逃げまわっていたアリシア様が、突然不自然な姿勢で飛びかかってきたのだから、女術士は大層驚いていた。
いいえ、それ以上に、等のアリシア様自身の方がずっと驚かれた事でしょう。
何故って、寸でで避すつもりでいた、壁から撃ち出されて甲高い唸りをあげる丸ノコギリの刃が、アリシア様の意思よりずっと早く撃ち出され、それが自身の背中に食いこんできたのだから。
「きゃあ!」
アリシア様は黄色い可愛らしい悲鳴をあげ、ゴリゴリと骨の軋む音と共に、その小さな身体はまるで木の葉のように舞う。
すぐ目の前まで迫っていた女術士ともつれ合うように、向かいの壁に叩きつけられたアリシア様は、その場に力無く崩れて悲鳴をあげ続ける。
でも、まだ足らない。
レイチェルは、今の意地悪な気分になったレイチェルは、これだけじゃ足らない。
もっともっとアリシア様の悲鳴が聞きたくなってしまう。
だから、アリシア様と女術士がヨロヨロと立ちあがったのを見計らって、今度はその床にしこまれたトラップを続け様に動かす。
すると、どうでしょう!
アリシア様と女術士は、小気味良い悲鳴と共に再び床に伏し、その細い足には、鋭い金属の棘が打ち込まれた輪が痛々しく食いこみ、鎖に繋がれたその輪は、二人の身体を、まるであられもない姿勢で空中に吊り上げてしまう。
アリシア様の短いスカートはめくれ、形の良いお尻を覆う黒い下着が、このレイチェルの目にもしっかりと写りましたよ?
とっても、とっても恥ずかしそうに、アリシア様は拘束から逃れ様と身をくねらせ、「いやいや」と頬を赤く染め羞恥に塗れた可愛らしい表情を浮かべている。
思わずレイチェルは見入ってしまったのだけど、すぐ隣で同じように吊り下げられている女術士の身体と、まるで抱き合うような姿勢で肌を密着させたのは気に入らない。
アリシア様はレイチェルの、レイチェルだけのモノなのに、他の女と抱き合うなんて許せない!許せない!だから…
今度はその隣。天井にしかけられた、止めを刺す為のトラップを動かしてしまおう。
鋭い斧のような刃の付いた、巨大な振り子が突然現れ、重力に引かれたそれが無情にも振り下ろされて…


144 名前:黒侍女のイタズラ 投稿日:05/07/12 17:16 ID:???
嗚呼!何て綺麗!
アリシア様の白い服に、白い肌に、真っ赤な鮮血の花がパァッと咲き乱れ、その美しさにレイチェル、思わず頬を熱くして見とれてしまいました!
振り子の刃は、無礼にもアリシア様の身体に触れた卑しい女術士の身体を、露出度の高いイヤらしい服の、開いた胸元に深深と突き刺ささると、まるで虫ピンのように壁に打ち付け、それきり女術士は動かなくなってしまった。
レイチェルのアリシア様に触るから、こんな事になるのです。いい気味だわ。
でも今は、等のアリシア様の姿の方が、レイチェルにはとっても、とっても魅力的に写っていますよ。
その蕾のような唇はフルフルと震え、恐怖に歪んだ目元には涙を湛え、背中や脚の傷の痛みも忘れ、自身が今どれほどハシタナイ格好をしているか等とうに忘れ去り、やがて子供のように悲鳴をあげて泣き出すアリシア様。
可愛い、愛しい、美しい!
無理も無いでしょうとも。ほんの数cmズレていれば、振り子を突き刺されて壁に打ちつけられていたのは、アリシア様自身だったのだから。

「いやぁぁ!いやぁあ!助けて!助けてぇ!下ろして…レイチェルぅ〜!おろしてぇ!」
アリシア様がレイチェルの名を呼んでいる。
何も知らない、何も分っていない、優しくでバカで可愛そうで可愛いくて愛らしいアリシア様が、レイチェルの名を呼んでいる。
行ってあげないと…でももう少し見て居たい!

「アリシア様!」
侍女であるレイチェルが、主のアリシア様を玩具にしているなんて、気付かれてはいけない。
だから今は、今だけはレイチェルはアリシア様を助けてあげますよ?
嗚呼アリシア様。憎らしくてイジらしくて無知で純粋で可愛らしくて愛しい愛しいアリシア様。
拘束を解いた途端、レイチェルの胸に抱きついてきたアリシア様。
細い体がレイチェルの腕の中で震えている。
右半身を血で汚した、白い肌が艶かしい。
背中に残った傷痕が痛々しい。
…この傷に、この未だ血の滴る酷い傷に指を突っ込みたい!
爪をたて、深深と食いこませ、引っ掻き回したい!
アリシア様の苦痛を、悶絶を、悲鳴をもっともっと味わいたい!
でも今はまだダメ。
もっともっと、アリシア様が魔神に魂を捧げ、時が来るまでは、こうして愛しい傷を労わるように撫でるだけ。

アリシア様の綺麗な顔を汚している血を、ハンケチで拭き取ってしまいましょう。
こんな小さなハンケチでは、大量の血ですぐに真っ赤に汚れてしまうのだけど、どうせこの血も、あの壁に打ちつけられている死体も、大好きなアリシア様の傷痕もすぐに消えてしまう。
それがこの館の力。アリシア様に刻まれた魔神の刻印の力。
本来なら致命傷になるはずのこの傷も、刻印の力によって直ぐに直ってしまう。
アリシア様は簡単に死ぬ事も許されない。
一度など、この玄関ホールにしかけられた大きな仕掛け…人間を飲みこむ、巨大なオルゴールの仕掛けにうっかり触れてしまったアリシア様は、歯車に挟まれ、無残にも全身の骨を折られ、虫の息となったのに、数分で元の姿に戻ってしまった。
でもレイチェルは、そんなアリシア様の姿の方が好きですよ。
こうして傷だらけになって苦しんで泣き叫んでいるアリシア様の方が、ずっとずっと愛くるしい。

嗚呼アリシア様。憎らしくてイジらしくて無知で純粋で可愛らしくて愛しい愛しいアリシア様。
アリシア様はレイチェルのモノ。レイチェルだけのモノ。
その細い体も、蕾のような唇も、綺麗な白い肌も、そこに残る傷痕も、苦痛も、悲しみも、背負った業も…そして、魂さへも…。
さぁ、今度はどんなイタズラをしよう。
鉄の処女?時計塔の大仕掛け?電気椅子?それとも…三角木馬?
嗚呼!どれも本当に本当に楽しそう!

145 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/07/12 17:20 ID:???
以上、何かセリフとか少な過ぎて読みづらいし、敬語の使い方変だったりするけど。
自分としては短くまとまってイクデキタと思う。

146 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/07/12 22:34 ID:gihCjAno
>>145
せっかく投稿したならageた方がいいですよ。というわけでage

147 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/07/12 23:24 ID:UHjPb5Qs
表現はあっさりだけど良くできててイイ(・∀・)!!
あとレイチェルが黒くてステキ

148 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/07/12 23:24 ID:UHjPb5Qs
表現はあっさりだけど良くできててイイ(・∀・)!!
あとレイチェルが黒くてステキ

149 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/07/12 23:24 ID:???
…連投スマソ

150 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/07/13 01:40 ID:fqi1joRE
ネタ……サムライスピリッツ零、グロ度激高(予定)ですが、投稿してもよろしいでしょうか?

151 名前:さむすぴ 投稿日:05/07/13 02:31 ID:???
すいませんまだ全然リョナ的ではないのですがこれから落とすので
生暖かい目で見守ってやってくださいorz
 あとグロイのがダメだという方はご注意ください。外道さんがでてきます。


 その竹林は村のはずれにひっそりとあった。少女はその疎らに林立した竹林の奥をじっとみつめると、淡い期待に胸を膨らませた。
「姉さま……」
 ざぁと、生暖かい、湿気を多分に含んだ六月の風が竹林の奥から吹いた。微風は少女の短い黒髪をゆらゆらともて遊び、白い頬をやさしくなぜた。
「コンル、行こう」
 少女は一歩、竹林に足を踏み入れた。その先に、姉様との再会を信じて。
 
   
 少女が村に訪れたのは二三日前の事だった。その日は雨季にも珍しいよく晴れた日の夕方で、
少女はふらりと立ち寄ったふうでもなく、また旅人の風情でもなかった。
なにか真摯の目的を持っているようだった。
 村は、北陸にある小さな漁村だった。潮風の町だった。あらゆるものに――藁葺きの屋根や、道端の石ころまでにも塩が付着し、
白濁色の景観をつくりだしていて、どこか哀感のあるふうだった。
少なくとも活気というものからは無縁の村だった。
 そんなだから、村人はみな一様に不思議がった。旅人が訪れたのはいったい何年ぶりだったかと、みな眉をひそめていた。
 なかには、心ひそかに自信の身を危惧する村人もあった。なぜなら、少女の服装がひどく奇抜だったからだ。すくなくとも、彼らにとっては、
はじめて見る類の服飾だった。
彼らは心ひそかに、少女を異国人ではないかとも邪推していた。 
 しかし、村人の不安は一挙に払拭された。少女はあまりにも幼く、また無邪気だったからだ。それによくよく見てみると、その容姿は、
まぎれもなく日本人のかたちだった。

152 名前:さむすぴ 投稿日:05/07/13 02:32 ID:???
何より村人たちの心を震わせたのは、少女が単身、姉を探して旅を続けているとのことだったからだ。この時勢、勇気のあるおなごだなぁ、
と村人の誰しもが口々に感心の声を挙げていた。
 親切な老夫婦に宿を提供された少女は、その次の日からさっそく、村人達に姉の消息を尋ねてまわった。
そして、少女の身の上と、その丁寧な物腰に、誰もがこころよく質問に答えた。しかし、 
「みたことないねぇ。ごめんねぇ。譲ちゃん」
「すまんなぁ」
 少女にとって有益な情報は何一つとしてなかった。村人のほとんどに質問し終わると、さすがの元気な少女も肩を落とさずにはいられなかった。
少女は淡い桃色の唇をきゅっと引き結ぶと、
「がんばらなくちゃ。きっと、もう少しであえる……」とこぶしを堅く握りしめた。

 少女がこの村に来たのは、ある確信めいた予感があったからだった。
「あぁ、変な服装ね。みたよ。この街道を海沿いにずっとくだって行ったよ。つい数日前だっからよく覚えてるよ」
 街道沿いの団子屋で、農民風の男はそう答えた。少女はその常、自らの服飾を見せることによって、姉を探す手がかりとしていた。
そしてその服飾が、世間にとってどんなに
珍しいかもよく知っていた。
いわば歩く目印だった。そして男のその発言は、少女の術策が効果をみせた、はじめてのものでもあった。
 ふと、少女は海岸沿いの砂浜を歩いていた。すぐ左を見ると、無限にも似たくりかえしで、波頭が白い泡を乗せたままはじけては沈んでいた。
濃厚な海の香りがそこかしこに漂っていた。
 波打ち際に寄せられた数積の木船のうえに、ぼろを着た老人が一人釣りをしていた。すると少女は近づいて、何気なく、かたわらの魚籠の中を覗きこんだ。
「あれ……」
 少女は小首をかしげた。魚籠の中には、何一つ入ってなかった。よくよく見ると、老人の竹竿には、糸すらついていなかった。

153 名前:さむすぴ 投稿日:05/07/13 04:18 ID:???
「なんじゃい、お前さん」と老人は海を眺めなたまま大きな声で咎めるように言った。
「す、すいません。釣れてるのかなぁ、って、思って……」と少女は頭を下げて必死に謝った。「なんじゃい。わしゃ、てっきり盗人じゃと思うとったわい。すまんかった。わしゃ、目がようみえんでのぉ」
 老人は海を見つめたまま、豪快に笑った。少女は老人の、トウモロコシのような白髭を見ながら、いったい、何も盗む魚がいないのに、どうして怒られたのだろうと考えていた。
「ところで、おまえさん」いつのまにか老人は海を眺めるのをやめて、少女のほうに顔を向けていた。少女と老人の視線が、ぴたりと交錯した。
 じっと見つめられ、少女はどこか恥ずかしいような、心許ないような気持ちになっていた。老人の二つの目は灰色に濁っていて、その中でなにか得体の知れないものが渦まいているようにも思えた。
 老人は少女の足のつま先から頭のてっぺんまで、つーと眺め見ると、なにか思い出したふうに言った。
「なんだ、戻ってきたんかい? 大事があったんじゃなかったのか、それとももう、用がすんだのか? ナコ……えーと、なんじゃったけか?」
 ふいに、少女の身体に戦慄が走った。いま、老人はなんと言った?
 少女は老人の言ったことを深く咀嚼し、かみ締た。そしてようやく理解した頃には、いますぐにも駆け出したいという気持ちをを禁じえなかった。姉さまが、すぐ近くにいる!!
「おじいさん!」
 少女は叫びにも似た声で言った。少し声がうわずっていた。
「なんじゃい? えーと……ナコ……なんじゃったかいの?」
 老人は、耳元に手を寄せて、難しい顔をした。どうやら、耳も悪いらしい。
「その人は、どこに行きました!!」
 大声で叫んだ。必死だった。すると老人は、ようやく理解したのか、皺だらけの口を真横に引き伸ばして笑った。
「竹やぶじゃよ。なにかおるゆーて、迷惑のかからないところを教えてくれっちゅーから。教えてやったんじゃよ。この浜辺をずーっと南に行ったすぐそこじゃよ。みてみぃ。この竹竿もそこで……」
 と老人が自慢の竹竿談議にはしる前に、
「ありがとうございます。おじいさん!」少女は勢いよく駆け出していた。胸のなかで爆発しそうな思いが、はやる足に、さらに勢いをくわえた。
「いやいや、どういたしまして。きをつけてな、ナコ……あれ、なんじゃったけかなー?」
 大声で、尋ねるようにして老人は言った。そして竹竿を持った右手で大きく手を振った。少女は振り返り、よく映える透きとおった高い声で答えた。
「ナコルルです!!」
「そんで、あんたはー?」老人の声はもうずいぶん小さくなっていた。老人に聞こえるように、少女は一段と声を張り上げた。
「私は、妹の、リムルルです!!」
 少女の声は、やがて波の音に溶け込んでいった。

つづくー           


154 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/07/13 12:07 ID:???
>>142
GJ。元ネタのゲームやったことはないんだけど歪んだ愛で自分を信じている人を傷つけるシチュたまらん。もっとひどいイタズラ書いてくださったらとてもうれしいっす。
>>150
丁寧に描写されていて読み易かったです。
ナコルルとリムルルがどんな目にあってしまうのか楽しみにしています。


155 名前:さむすぴ 投稿日:05/07/14 15:09 ID:Ns1Qk7so
 つづきー
 なんだかいろいろと長くなってしまって、ごめんなさい。
 そして実はサムスピを実際にプレイした事がないのもごめんなさい。

 村はずれの竹林は思いのほか深かった。雑木の林に比べれば、見通しこそはるかによかったが、それでも、周囲には何者の姿も、また気配すら認めることができなかった。
 たまに物音がしたかと思うと、それは小さな獣の駆ける音だったり、頭のうえからひっきりなしに降ってくる竹の葉音だった。人工的な音は何一つなかった。普段なら心地好ささえ感じられるそれらも、姉様との再開を前にして、ただ焦りと期待の入り混じった感情を煽ものでしかなかった。
 やがてリムルルは、ふと立ち止まり、周囲をぐるりと見回した。
 もう半刻は歩いただろうか、けれど、姉さまはまだ見つからない。リムルルの中に、期待という感情を上塗って、ある種の不安感がその存在をじょじょに広がっていく。そもそも、姉様はなぜ竹林なんかに来たのだろう?
「……」
 浜辺いた老人は、大事があるからだと言っていた。けれども、大事とは、なんだろう? それに、迷惑のかからない場所を選んだ理由もいまいちわからない。一体どうして、姉様には、どのような意志目的があったのだろう。
 必死に思案をしていたリムルルだが、その思考がどこにも行き着かないのを感じると、ぱっと面を上げた。
「……でも、考えてたって、姉様は見つからないよね。とにかく探さなきゃ」
 大きな瞳に決意の色を浮かべながら、リムルルは、ふたたび歩き出した。
 幻視幻想の類の様相を呈してきた竹林にようやく変化が見えたのは、そのさらに判刻ほどあとだった。リムルルは思わずはっとした。
 とつぜん、竹林の中に小さな広場がすがたを現したのだ。すると(なぜこんな場所に広場が?)と疑念を抱きつつも、リムルルはその広場に恐る恐る近づいていった。
 広場はちょうど楕円に近い形で、周囲は、やはり、鬱葱とした竹林によって囲まれていた。そして、伐ったばかりなのだろう、まだ鮮やかな緑を保っている竹が何本も足元に転がっていた。広場の端からそれらを見て取ったリムルルは、そこでふと、自分の足元の違和感に気がついた。地面に、赤黒い小さなぶち模様があるのだ。
「これは……?」
 その場にかがみこみ、指でぶち模様に触れると、それはぬめりとまだ乾ききっていなくて、リムルルの白く細い指先は、艶かしい赤に染まった。
 血だった。紅い、鮮やかな色をしていた。
 でも、なぜ血が?
 頭に浮かんだ疑問符に答えるよりも早く、リムルルは辺りの地面を注視してまわった。そして、血が広場中に点々と、まるで飛び散るようにしてそこかしこに付着しているのを発見した。 そこで、頭に浮かんだ疑問符に、リムルルは妥当な解答を与えた。今の今まで広場だと思っていたのは、誰かと誰かが争った跡で、血は、そのどちらかが、また一方が流したものに間違いない。周囲の様子から、きっと、相当の争いがあったに違いない――
 導き出された答えは、リムルルの心臓を急激に収縮させた。頭の中に、姉様の顔が浮かんだ。姉様に抱きついたときの、いい匂いが思い出された。そして、どうしても考えてしまう、最悪の結末を思い浮かべてしまうと、唇が振るえ、涙が出そうになった。
 ふいに、遠くのほうで、鷹の鳴き声がした。見上げると、竹の葉から零れる僅かばかりの空の隙間の中を一匹の鷹が弧を描いていた。鷹は空気を劈くような声で、そしてまた悲痛ともとれる声で鳴いていた。あるいは、泣いている?
 リムルルは突風のように走り出した。


156 名前:さむすぴ 投稿日:05/07/14 17:48 ID:???
つづきー
連投ごめんなさい。もうちょっとで終わる。


 地面に付着した血痕を追って、リムルルは竹林の中を疾走した。
 リムルルの心は絶え間なく締め付けられていた。終局が迫っているのが、少女にははっきりと感じ取れた。
 地面のぶち模様は、一歩踏み込むたびに、その鮮やかな朱色が大きくなった。かなりの出血だった。いつしか、鷹の鳴き声は聞こえなくなっていた。
 血の匂いが濃くなった。そしてその湿りけを帯びた不快臭は、やがてリムルルの身体を包み込むほど強烈なものとなった。
 力強く両足で地を蹴りながらも、リムルルの瞳は潤みを含んでいた。少しでも気を緩めると、挫けてしまいそうだった。
 リムルルは我慢した。長い一人旅を経て、少女は以前とは比べ物にならないほど逞しく成長していた。リムルルは、その姿を姉様に早く見てもらいたかった。
 視界を阻む竹の幹の隙間から、なにか、青い色がちらつき始めた。リムルルは足を止めた。 唐突に、竹林が途切れた。そして目の前に、砂浜と青い海が現れた。潮の匂いがした。血の匂いが混じっていた。視界の隅で、なにか、赤い物体が動いた。リムルルは鞘から素早く霊刀ハハクルを引き抜くと、低く、逆手に構えた。不吉な気配が辺りに充満しはじめた。
 三日月のようにゆるやかな婉曲をみせる浜辺には、ところどころに、茶黒い肌をした大きな岩石が突出している。遠目に見てもかなり大きいその岩石の一つに、問題の赤黒い物体は持たれかかるようにして存在していた。リムルルは砂の柔らかさに足をすくわれないように、慎重に、その問題の物体に接近した。
 そしてそれを目の当たりにしたとき。リムルルの身体に冷たい戦慄が走った。
 はじめのうちは、気のせいだと思った。赤い物体の一部が鈍く光ったようなきがしたのだ。 なにか、刃物のようなものが赤い物体の一部に刺さっているのだと気がついたのは、それからすぐだった。そして刃物には妙な既視感があった。赤黒い物体の正体が、醜悪な形の大きな化け物だと知ったのも、その時だった。 
 化け物は、背中を岩石にあずけた姿勢のまま熟睡していた。その大きな瞼は貝のように閉じられ、黄色い歯がずらりと並ぶ口からは、酷い臭いをした涎がだらだらと垂れ流れていた。  リムルルはその醜悪な塊を目の当たりにして、思わずあとじさった。見るかぎり、姉様の姿はどこにもない。化け物は何かを良いことを思い出しているのか、しきりにその突き出した腹を撫でていた。
 太陽光が、怪物に刺さった刃物の刀身を鈍く光らせた。美しい短刀だった。短刀は、姉様のチチウシだった。
 あとじさりながら、リムルルは頭を抱えて首を横に振った。少女は、心の中の大部分を占め始めたある残酷な解答に、全力をもって対抗していた。少女の端正な顔が、みるみるうちに蒼白なものへと変化していく。ハハクルを握った手が、小刻みに震え始めた。
 リムルルは、笑っている姉様の顔を思い浮かべた。そして次々と浮かんでは消える姉様の顔を思いながら、リムルルはある種の奇妙な感情を覚えた。やがてその感情は全身に行き渡り、熱い血脈となって少女の全身を滾らせた。
 少女は、必死になって、震える右手を左手で押さえた。それからあらん限りの力で叫んだ。泣きそうだった。
「化け物……!! 姉様を、どこへ、やったの……!!」
 沈黙があった。ややあって、化け物はその身を震わせたかと思うと、瞼を開いた。
 化け物の視線はしばらく中空を彷徨っていたが、目の前の可憐な少女に焦点が合うと、とたんに、その瞳に嬉々としたものが宿った。
「ぎょうはついでるなぁ」と化け物は言いながら、鈍重な動作で起き上がった。
 化け物の醜い顔を見据えながら、リムルルはもう一度叫んだ。少女の瞳は、いまだかつてないほどの怒りを宿していた。「姉様は、どこ!!」 
「ねえざま?」と化け物は首を傾げながら言った。「じらねぇ。でも、おなごならざっぎ喰っだよ。うまがっだぁ。肉がずごぐやわらがぐでぇ。ゆっぐりど噛んであじわっだ」
 化け物は恍惚とした表情を浮かべると、その大きな口をすぼめて、なにかを吐き出した。赤いリボンだった。
 リムルルには呆然と立ち尽くした。吐き出されたものには見覚えがあった。毎日のように見ていた姉様の横顔を思い出した。リボンは姉様の綺麗な黒髪に蝶の様に留まっていた。
 化け物の腹が鳴った。大きな腹をなでながら、化け物は目の前の少女を舐るように見た。
「おなかべっだぁ、女の子供の肉はびざじぶりだなぁ」
化け物は立ち尽くすリムルルめがけて跳躍した。リムルルはハハクルを握り締めた。

157 名前:さむすぴ 投稿日:05/07/16 00:04 ID:dyB6R3i.
 書き終わりました。長々と、お目汚し申し訳ありませんでした。
 前置きが激しく長く、そしてあまりリョナチックではないことを書いてる途中で気づきました。
  化け物は、矢のような跳躍で獲物までの距離を縮めると、その右手――尖った二本の骨で少女の柔らかい腹を穿つための一撃を放った。
 紺碧の空に、砂塵が舞った。あまりの一撃に、大気がびりびりと蠢動していた。化け物の凶器の先端、リムルルの姿はなかった。
「あで?」
 思いがけず空を切った自らの必殺に、化け物は大きな目をぱちくりさせていた。
リムルルは化け物の鋭い骨が突き出された瞬間、その小さな身体と俊敏性を生かし、化け物の死野へと回避していたのだ。だからいま、リムルルの黒い瞳の中には、化け物の困惑した背中が映し出されている。リムルルは化け物の、隙だらけの背中めがけて突進した。
「うぼっ、ぁぁぁぁぁ!!」
 気配に気づいた化け物がうしろを振り向いたときには、ハハクルは、化け物の肌に冷たい刃を深々と埋め込ませていた。そして十分にねじ込むと、リムルルは、ハハクルを化け物の背肉に差し込んだまま手首を捻り、強引に引き抜いた。
 化け物の咆哮が浜辺に響き渡った。鮮血が飛び散った。リムルルは後方に跳ね跳び、距離をとった。
 化け物は背中を丸めて、その場にうずくまり、全身で苦痛を訴えた。肩甲骨のあたりに刺さったままのチチウシが、鈍い光を放っていた。
「姉さま……」
 リムルルは化け物めがけてふたたび疾風した。一歩、二歩と、確実に化け物との距離を縮めていく。リムルルはこの一撃で化け物の息の根を止めるつもりだった。
 気配を感じ取った化け物が振り向いた。化け物の目は、一種異様なほどぎらぎらと輝いていた。残酷な輝きだった。その刹那、リムルルの全身に痺れが走った。そして化け物まであと一歩のところで、足を砂に捕らわれてしまった。
「あっ……」
 と小さな叫び声をあげたときには、すでに、リムルルの腹めがけて、鋭く尖った骨が伸びてきていた。少女は全神経を回避行動に集中させた。足の筋細胞一つ一つに、血液をたぎらせた。そしてリムルルは大きく後方に跳躍した。
 景色が後方へと、スローモーションに流れていくなか、リムルルは、不思議と、脇腹に温かさを感じていた。
 着地すると、水しぶきが舞った。リムルルの膝から下は海水で満たされていた。勢い余って海に着地してしまったのだ。
「あれ……?」
 するとリムルルは、ふと、自分の脇腹から股にかけて違和感を感じた。見ると、右胸元から脇腹にかけて、衣服が千切れていた。そして脇腹には横四センチ程度の切り傷ができていた。白い肌の下から、生暖かい血液がいまにも漏れ出し、すぐ真下の海水を朱に濁らせていた。
 リムルルは化け物を睨んだ。化け物は、自分の骨に付着しているリムルルの血を夢中になって舐めていた。血を綺麗に舐めとると、化け物は下卑た笑みを浮かべながら、リムルルめがけてその巨躯を爆ぜた。
 リムルルはハハクルを構えた。化け物の右手が振りかぶられ、水面に直下した。水しぶき。リムルルはそれを難なく回避すると、化け物の右腕をハハクルで横に払った。肉の裂ける音とともに、リムルルの衣服に返り血が飛び散った。
「うヴぁぁぁぁぁ」
 化け物が叫び声をあげた。大きく苦痛に開かれた口からは、唾液が飛び散った。唾液からは計上しがたい、まるで酸のような臭いがした。
 リムルルは隙を逃さなかった。化け物に負けない声で叫んだ。


158 名前:さむすぴ 投稿日:05/07/16 00:05 ID:???
「――――コンル!!」
 すると、リムルルを中心に、大気が冷却した。海が、パキパキと音を立てながら、凝固していく。異変に気づいた化け物は身をよじらせ怪異から脱出しようとするも、とうに手遅れだった。化け物の足元の海水はすでに堅く凝固し、腿から下はすでに厚い氷で覆われていた。まもなく凍りは化け物の頭を残して、その全身の自由を奪った。
 リムルルは勝利を確信し、腰の短刀に手を伸ばした。そして身動きできない化け物の頭めがけて跳躍した。化け物の醜悪な顔がすぐそばに見えた。リムルルは化け物の首筋、太い血脈の流れる部位めがけて短刀を振るった。
 振るう、はずだった。リムルルの表情はは硬直した。化け物が、この状況下において、笑っていたのだ。
 リムルルは、この笑みに奇妙なデジャブを感じた。――そうだ、さっき自分が見せた、勝利の笑みだ。少女がそう認識した瞬間、化け物は口をすぼめると、濃厚な唾液をリムルルに吐きかけた。
「きゃぁぁぁぁ……ぁぁぁぁ……」
 両手で顔を庇いながら、リムルルは戦慄した。上半身――化け物の唾液の付着した部分の衣服が余すところなく溶解しはじめているのだ。
 やがて、焦げる匂いとともに衣服が完全に姿を消すと、少女の、淡い桃色の乳首があらわれた。すらりと伸びた細い腰が見えた。リムルルは無意識に、あらわになった乳房を手で覆い隠した。
 すると、化け物がにやりと笑ったとたん、その身体を覆った氷がはじけとんだ。細かく砕かれた氷の粒子を呆然と見つめながら、リムルルは咄嗟に短刀を構えなおそうとした、しかし、それよりも早く、化け物の太い指が少女の細い首を締め上げた。
「ああ、ぁぁぁぁぁ……」
 化け物は、リムルルの首を締め上げつつ、その身体を自分の目線の位置まで持ち上げた。そして口から長い舌を伸ばし、少女の儚い乳房や桃色を舐りまわした。
「が……あっ……あっ」
 リムルルの顔が、じょじょに赤く変色していく。うめきにもならない、苦しげな声が漏れる。すると化け物は、なにを思ったのか、とつぜん、リムルルを浜辺に向かって力いっぱいに放り投げた。ややあって、骨の折れる鈍い音とともに、少女の小さな身体は岩石に勢いよく衝突した。ごつごつとした岩石に血液を残しながら、リムルルの身体は砂の上にずり落ちた。
「がはっ……けほっ、けほっ」
 咳き込むリムルルの口からは、唾液と一緒になって血が吐き出された。立ち上がろうとしても、足が動かなかった。右足が、まるで見当違いな方角へ曲がっていたのだ。リムルルは必死になって立ち上がろうとした。必死になってハハクルを握ろうとした。やがて、下卑た笑い声とともに、足音が迫ってきた。少女は顔をあげた。化け物の巨躯があった。絶望した。「いや……こないで」
「よぉぐ舐めて……」
 と化け物は言いながら、動けないリムルルの両手首を吊り上げ無理やり立たせると、岩肌に磔にした。そのあいだリムルルは何度も血反吐を吐いた。白い胸元はもう真っ赤だった。
 化け物の臭い舌が、抵抗できないリムルルの上半身をまさぐった。舌にはじかれた乳首が上下する。へその穴をほじられる。リムルルは顔を背けた。不快な感触に耐えに我慢できなかった。
「ごで、じゃまだなぁ」
 化け物は舌を使って、リムルルの履き物を脱がせにかかった。
「もう、やめてよぉ……!?」
 ついに、リムルルの瞳から涙がこぼれ落ちた。さっきまでの、鬼気迫る表情は跡形もなかった。しかし哀願むなしく、化け物は器用な舌使いで少女の履き物を完全に脱がせとった。
 リムルルの下半身があらわになった。細く柔らかな太ももの付け根には――まだ性毛のない双丘が見え隠れしていた。痛みに耐えながら、リムルルは必死になって足を閉じた。
「や、やめ。助けて、ねえさま……」
 少女の心が崩れはじめる。化け物は開いた左手で少女の右足首を掴むと、股を大きく開かせた。

159 名前:さむすぴ 投稿日:05/07/16 00:07 ID:???
 リムルルの、幼い女性器が露出した。化け物は、少女の太腿から、股にかけて、余すところなく、大陰唇と小陰唇のすみずみまで丹念に舐めた。
「もう、いや……」
 嗚咽交じりに、リムルルは激しく抵抗した。涙が頬をいく度も伝った。
「いだだぎまぁず」
 リムルルの瞳に、化け物の、大きく開いた口がうつった。はじめのうち、少女はそれがなにを意味するのかわからなかった。けれど、それが捕食者の行動、獲物の必然だと理解した頃には、少女の右足――持ち上げられたままの太ももに、化け物の歯が食い込んだ。
「がはぁ!?……あぁーーーーっ!! あっ、あっ」
 リムルルの、少女特有の柔らかい肌は、化け物の歯によって難なく食いちぎられた。太腿は、股した十センチのところで喰いちぎられ、化け物の口の中にあっさりとおさまった。少女の股から、小水が勢いよく流れ出た。
「よぉぐかんで……」
 筋繊維の露出したリムルルの太ももからは、大量の血が流れ出ていた。リムルルは、目の前で、自分の右足が咀嚼されているのを見ても、もう何も考える事ができなかった。やがて、化け物が肉を飲み下した頃、少女の身体は細かく痙攣を始めた。少女はもう虚ろ気で、その瞳には何も映る事は無く、ただ呆然となにかを呟いていた。
「ねぇさま……ねえさま……」
 リムルルの胸元に齧り付こうとしていた化け物は、リムルルの様子に気がつくと、
「あで? もううごがない? なぁんだ。づまんない」
 と飽きたように言い、リムルルの腹に右手の尖った骨を勢いよく穿った。そして、そのままの状態で、高く持ち上げると、リムルルを頭から呑み込んだ。
「よぉぐがんで……」
 化け物は咀嚼した。口の端からは少女の新鮮な血が飛び散った。ゴリゴリと骨の砕ける音がした。あらゆる臓器――心肺や消化器、処女の生殖器が鋭い歯によって細かく、消化しやすいようにすり潰されていく。やがて、ばけものはリムルルのすべてを呑み込むと、満足げに腹をたたいた。
「ごぢぞうざまでじたぁ」

おわりー
うわぁ。もうこれショートじゃないorz

160 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/07/16 00:39 ID:???
イイヨーイイヨー
上半身だけ先に脱がすあたりがリョナをわかってるねぇ

161 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/07/16 01:08 ID:???
優勢と思わせ、一転して絶望の淵に堕とす、これぞリョナの醍醐味!
GJ!

162 名前:書いた人 投稿日:05/07/16 17:42 ID:???
>>160>>154>>161
うわぁ、お三方わざわざ感想ありがとうございます恐縮です。嬉しいです。
初めて書いたリョナだったので、本当にどきどきしました。
ちかいうちに、またなにか書きたいなぁなんて思ってます。


163 名前:救出しない場合、カエデの…… :1 投稿日:05/07/18 20:03 ID:???
「………逃がさないよッ!」
次元迷宮の乾いた空間に、少女の可愛らしくも勇ましい声が響き渡る。
角ばったカーキ色の装甲をまとったロボット兵士が3体ほど、豪快に吹き飛ばされて
地面に転がり、そのまま動かなくなる。

「これでこの部屋の敵は全部だねっ」
金髪のツインテールを揺らし、少女が軽く決めポーズを取る。
 
少女の名はカエデ。見た目は16歳ほどの小柄な美少女だが、
すさまじい戦闘能力を秘めたミューティノイド(人型生体兵器)の一人だ。
特に、その華奢で可愛らしい体つきからは想像もつかない怪力、力強く豪快な攻撃技の数々は、
仲間の二人も一目置くほどである。
 
手近な出口を選び、次の部屋へと乗り込む。
そこには、何とも奇妙な外観の敵が待ち受けていた。
異様に細く、ひょろりとした体型に、目も口も無いのっぺらぼうな頭部。
指や手といった構造も持たず、単なるいびつな円柱形の物体のような両腕。
全身の白っぽい外観は、まるで石膏か粘土を固めて作った工作物のようであった。

「かっこ悪いマネキン人形……?」
カエデにとっての第一印象は、そんな感じであった。
その外見からは、パワーとかスピードといったものは感じられず、飛び道具の類を
使用してはこないであろうことも判断が出来た。また、見るからに知能も高くはなさそうだ。
 
カエデはこの相手に対して警戒すべき要素を何一つ感じず、「先手必勝っ!」とばかりに駆け寄っていった。
敵もそれに気づいたのか、近づいてくる少女の方を向き直ったが、全く身構える様子も見せず、
ぼさっと突っ立ったままだ。

164 名前:救出しない場合、カエデの…… :2 投稿日:05/07/18 20:03 ID:???
軽やかなステップで射程距離まで近づくと、カエデはそのまま挨拶代わりの一撃をお見舞いする。
「やぁっ!!」
右足で力強く踏み込むと同時に、肩口から豪快な体当たりをぶちかます。
自分の数倍もの体格を持つ相手さえも弾き飛ばす、カエデの得意技だ。しかし・・・。
 
「……えっ?!」
カエデは一瞬、何が起こったか分からなかった。
吹き飛ばされて地面に転がっているはずの相手が、いまだ目の前に立っていたのだ。
確かに手ごたえはあったのに・・・?
 
一瞬動揺したものの、すぐに追撃のパンチを一発、二発と繰り出す。
やはり手ごたえはあるが、相手は平然と突っ立ったままだ。
「……そ、そんなっ……?!」
さすがに少々焦って立ち尽くすカエデ。
 
一方、相手はようやく攻撃行動を起こした。
不気味な形状の白い腕が、小柄な少女をめがけて振り回され、「ぺちり」という感じで彼女の胸に命中する。
「きゃっ!?」
突然の屈辱的な出来事に、カエデは両手で胸をかばうようにして後ずさりする。
 
攻撃が通用しなかった理由も分からない、正体不明の不気味な敵。
ここは、いったんこの敵からは距離をおくのが賢明だったに違いない。
だが、持ち前の負けず嫌いな性格に加えて、胸を触られたことへの怒り、
その屈辱を晴らさなくては気が済まない、という気持ちがそれを許すはずも無かった。

165 名前:救出しない場合、カエデの…… :3 投稿日:05/07/18 20:04 ID:???
カエデは再びこの薄気味悪い敵めがけて突進し、多数の蹴り技を浴びせかけた。
最初はローキック。効いた様子が無くても気にせず、さらなる蹴り技へと連携させる。
一方、相手もカエデの攻撃を全く恐れる様子も無く、マイペースで腕を振り回してくる。
そして次の瞬間、カエデは最悪のカウンターヒットを喫することになる。

「きゃふぅっ!」
突然横方向へ大きく体勢を崩し、床へと倒れこむカエデ。

「……このぉっ……!」
尻もちをついた格好のまま、両手で股間を押さえ、怒りと悔しさと羞恥が入り混じったような表情で
相手をにらみつけている。その仕草が、彼女が受けた攻撃、そして屈辱の内容を物語っていた。
  
上段への蹴りを繰り出すべく脚を大きく振り上げたところを、横方向に振り回される
白い肉棒の一撃が見事に、カエデの「そこ」を直撃したのだった……。

ミューティノイドであるカエデは、重火器を用いてくる敵との交戦をも想定し、非武装に等しい状態でも
そのような敵とも十分に渡り合えるだけの耐久力を備えている。
そんな彼女にとっては、とりわけパワーがあるわけでもなく、高度な格闘術のような迫力も無いこの敵の攻撃は
一見、深刻なダメージをもたらすほどのものではないようにも見える。

しかし、この怪物の一見地味な打撃攻撃は、ぬめっとした皮膚のおぞましい感触をもたらすとともに、
見た目以上に体力を消耗させる効果を備えていた。
こんな攻撃をいつまでも好き放題に喰らっていたら、やがては身も心も力尽きてしまうだろう。
だが、彼女の瞳からはまだまだ、闘志は失われてはいないようだ。

166 名前:救出しない場合、カエデの…… :4 投稿日:05/07/18 20:25 ID:???
「もうっ、絶対に許さないッ!」
自分の身の丈以上もある巨大な剣を振りかざし、身構えるカエデ。
 
この剣は「バスターソード」と呼ばれ、見た目どおりの破壊力とリーチを備えている。
この大剣を自由自在に振り回し、近寄る隙すら与えずにあらゆる敵を粉砕するというのが、カエデ自慢の戦闘スタイルだ。
この武器を構えた彼女と対峙して、そのリーチの範囲内で無事立っていられる者は、そうそう存在しない。

「やぁっ!!」
振り上げられる巨大な刀身が、標的を確実に捉える。
並の相手なら、たった一撃で高々と吹き飛ばされるほどの威力だ。

……だがやはり、この怪物は何事も無かったように、平然と立っていた。
それどころか、つかつかとカエデに歩み寄り、間合いを詰めてくる。
この大剣を構えていながら、敵にこれほどの接近を許してしまうという事自体が、
カエデにとっては「ありえない」はずの事態であった。

白い怪物の手元が一瞬、不気味な青黒い光を放ったかと思うと、次の瞬間、それまでにない連続攻撃を繰り出してきた。
「……くぅっ……!」
不意をつかれたカエデは、なすすべなくその攻撃を次々と喰らってしまう。
一撃ごとにカエデは後ずさりするが、そのたびに敵は前進しながら攻撃を繰り出すので、間合いが全く離れない。
白い肉棒が容赦無く、彼女の胸元を、首筋を、腹部を次々と責め立てる。
そして次の一撃が胴体を捉えた時、カエデの身に異変が起こった。

「……うぐぅっ……!」

電流のような衝撃が全身を襲い、カエデの体はたちまち金縛りにあってしまう。
立ち尽くしたまま全く動けない。それどころか、意思に関係なく、
上半身がスローモーションのようにゆっくりと、のけぞっていく。
両腕も、誰かに上から引っ張られているかのように、だらりと上方へ伸びて行き、
胸元の無防備さをよりいっそう強調する。

167 名前:救出しない場合、カエデの…… :5 投稿日:05/07/18 20:27 ID:???
その間、敵は次の一撃に向けて力をためるような動作を、実にゆっくり、かつ悠然と行っている。
それが分かっていても、カエデにはどうすることも出来ない。
彼女の意に全く反して、さらなる責め、お仕置きを期待して待ち焦がれている性奴隷のように、
胸のふたつの膨らみは無防備に天を仰いでいる。

そして、そんな願望(?)に応えるかのように、とどめの一撃が少女の胸めがけて振り下ろされる。
「……きゃふぅっ!」
当然、攻撃をかわすことはおろか、体勢を崩さないよう脚を踏ん張ることすら出来ないまま、
勢いよく地面に倒れこむ。

「…………ぅうぅっ……!」
おぞましい白い鞭によって好き放題に責め立てられ、体のあちこちを奇妙な疼きが襲い始めていたが、
気力をふりしぼって、武器を握る手に今一度力をこめて立ち上がろうとした。
その時、手元の武器の軽さに違和感を覚えてふと目をやると、カエデは愕然とした。
自慢の大剣が、真っ二つに折れてしまっていたのだ。刀身も粉々に砕け、その破片が周囲に散乱していた。

「……そんなっ、いつの間に……?!」
たった今、目の前の敵によって壊された。それしか考えられなかった。
敵はこのわずかな時間で、カエデの体を弄び、嬲るようなことをしながらも同時に、戦意の拠り所となる自慢の武器をも
彼女から奪ってしまったのだった。

戦意を徐々に喪失し、目の前の敵に恐怖感すら覚えつつあるカエデを、さらなる絶望が襲った。
どこから現れたのか、この白く不気味な敵が、いつの間にか3体にまで増えていたのだ。

168 名前:救出しない場合、カエデの…… :6 投稿日:05/07/18 20:40 ID:???
「……い、いやぁぁぁぁぁっ……!」
1対1でもこれほどの目に遭っていながら、3体にまで増えたこの敵に立ち向かう勇気は、
もはや彼女には残されていなかった。
敵に背を向けて駆け出すカエデ。その表情からは、戦いの場においても明るく前向きで
負けず嫌いな持ち前の性格は、全くうかがえなかった。
一方、カエデの行動に数テンポ遅れて反応し、「追跡」を開始する白い敵たち。
しかし、その動きはあくまでゆっくりであり、カエデが追いつかれる心配は無さそうに見えた。

「……えっ!? ……きゃぅっ?!」
突然、カエデは足元の何かに足を取られた。推進力を失った身体が、勢いよく地面に叩きつけられる。

「……な、何なの……?!」
両手を地面について上半身を支えながら、肩越しに後方に目をやるカエデ。
見ると、地面から現れた白い触手のようなものが、カエデの片足首に巻きついていた。
「……いやぁっ……! なっ、何、これ……?!」
振りほどこうと暴れる間もなく、その「触手」が正体を現した。

地中から、見覚えのある不気味なのっぺらぼうの頭部が顔を出した。
そして「触手」の正体は、地中に潜んでいたこの怪物の腕であった。
カエデの足首を捕らえた腕をしっかり保持したまま、ゆっくりと上方移動し、次第にその全身を地表に現す。

169 名前:救出しない場合、カエデの…… :7 投稿日:05/07/18 20:41 ID:???
四つん這いの状態から、片脚を引っぱり上げられて、カエデはまるで犬のおしっこのようなポーズをとらされてしまう。
「……いゃあっ……、は、離してェッ……!」
もう片方の脚は、何とかつま先だけでも地面に着けて少しでも体重を支える代わりに
大股開きになる、という代償を払うか、吊り上げられたほうの脚に少しでもくっつけて股を閉じ、
より苦しい体勢を我慢するか、決めあぐねているかのように、あても無く宙を漂っている。

そうこうしているうちに、のんびりマイペースでカエデを「追跡」していた者たちが追いついてきて、彼女を取り囲む。
カエデを「捕獲」した敵が、仲間達に獲物を見せびらかすかのように、その腕を上方へ掲げる。

「…ぅうぁっ……!」
上体を支えていた両手も地面から引き離されて、完全に宙吊りになってしまう。

カエデの本来の実力から考えれば、この程度のことで彼女の身柄を拘束できたと思うのは、甘い考えであるはずだった。
自由になるほうの脚で鋭い蹴りを叩き込み、ひるんだ相手が手を離すや否や、
すかさず体勢を整えて着地し、すぐさま反撃に転ずる。
彼女の身体能力をもってすれば、その程度のことは朝飯前である、…………はずだった。

しかし、今回はあまりにも相手が悪すぎた。何しろどんなにパンチやキックを浴びせても
全くダメージを与えられず、びくともしないのだ。
掴まれた足首を離してもらえる見込みが無い以上、どんなに暴れようが無意味であった。
見事に釣り上げられた魚が、尻尾の付け根を掴まれたままピチピチと暴れて見せるようなもので、
活きの良さをアピールして、かえって「釣り人」を喜ばせるのが関の山であった……。

170 名前:救出しない場合、カエデの…… :8 投稿日:05/07/18 20:42 ID:???


    −MファイルNO.8 プロトタイプ−

    「戦争国に売るために創られた量産型の人造兵士。
     顔、指をはじめ、無駄なモノを一切排除しており、冷酷な戦闘行動を一切の表情無く行う。
     打撃や斬撃をまったくものともしないぬめった硬質の皮膚で覆われており………………」

ガレージでカエデの帰りを待つ間、アスカは地下室の端末で、何気なくモンスタービューアを閲覧していた。
彼女はふと、最初にここへたどり着いた時のカエデとの会話を思い出していた。


    「ふふっ、ちょうどいい!」

    「……『ちょうどいい』……?」

    「あたしがどれくらい強いのか、モンスター相手に試せる、ってわけじゃない!」


「いかにも、あの子らしい発想だわ………」
その時のカエデの屈託のない笑顔が、アスカには強く印象に残っていた。

171 名前:救出しない場合、カエデの…… :9 投稿日:05/07/18 20:55 ID:???
「……ひぁぅっ!! …や、やめてぇ…………きゃぅっ!」
逆さ吊りにされ、反撃の手段も、脱出の手段も全くないまま、カエデは白い鞭による百叩きの刑に処せられていた。
もはや彼女のキャッチフレーズは「破壊のオートマタ(自動人形)」改め、「最萌のサンドバッグ」に変わろうとしていた……。

やがて、横方向のスイングに飽きたのか、敵の一体が縦方向のスイングを試し始める。
片脚を掴まれて吊られ、もう片方の脚は宙を漂っている状態の標的に対して、
縦方向に振り下ろされる鞭が、極めて命中しやすいポイントがあった。

「……あぅっ!! …ダ、ダメぇッ!」
それまで、全くノーガード状態で屈辱極まりない責めを甘んじて受けていたカエデであったが、
さすがにこれには堪えかねて、精一杯の防御を試みる。
あごを引き、腹筋に力をこめて上体を出来る限り起こし、両手を股間にあてがう。
それと同時に、二の腕で胸の辺りもしっかりとガードする。
さらに、掴まれていないほうの脚を引きつけて、両脚の膝をしっかりとくっつける。

だいじなところにだけは、もう絶対に触らせない……。そんな風に考えた瞬間が、彼女にもあった。
だが、そんな彼女の懸命な防御もすぐに、あまりにあっけなく打ち破られてしまうこととなる。

 パシッ!
彼女が「だいじなところ」をガードすることにばかり必死なさまを嘲笑うかのように、まったく無防備な背中を白い鞭が襲う。
すると、またしてもあの電流のような衝撃が、カエデの全身に走った。

「……ぁうぅっ……!」
先ほどと同様に金縛りにあい、彼女の身体には全く力が入らなくなってしまう。
胴体や頭部は力無くのけぞり、両腕と、掴まれていないほうの脚は再び、だらりと垂れ下がる。
「だいじなところ」どころか、全身の急所という急所を、全く無防備に晒してしまっていた。
それを待ち受けていたかのように、白い怪物たちの手元がいっせいに、不気味な青黒い光を放った…………。

172 名前:救出しない場合、カエデの…… :10 投稿日:05/07/18 20:56 ID:???
しばらくして、やっとカエデは「解放」された。
掴まれていた足首を放され、晴れて自由の身になったものの、持ち前の運動能力を発揮することなく、
そのまま地面へとくずれ落ちた。

黒とピンクを基調とした戦闘服に身を包んだ、小柄ながらも均整の取れた可愛らしい身体には、傷一つついていない。
しかし、おぞましい白い鞭による執拗な責めによって、彼女の体力、精神力は根こそぎ奪い尽くされていた。

あの恐ろしい敵たちが、自分を見下ろしている……、そんな気配を感じながらも、カエデは体を動かすことが出来なかった。
たとえ少しでも体を動かせたとしても、この敵に再び向き直る勇気も気力も、もはや彼女には残っていなかっただろう。

「……もう…、ダメぇ……」

体のあちこちの疼きが急激に高まるとともに脱力感へと変わり、彼女の意識は遠のいていった…………。

                                                                              (完)

   公式挿絵:
      ttp://www.crim.jp/gallery/g16.html



173 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/07/19 22:01 ID:???
すばらしい。
戦闘中の胸触り、股間への攻撃、全く効かない攻撃、足に絡まる触手と、
自分が求めている物がふんだんに盛り込まれていて最高の出来です。
ぜひ別のキャラでの物も見たいです。

174 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/07/20 02:01 ID:???
見事!
屈辱と絶望、羞恥と憤怒に身を焦がす美少女……美しい、あまりにも美しい!!

175 名前:163-172 投稿日:05/07/24 21:11 ID:???
 感想ありがとうございます。満足いただけたようで光栄です ヽ(´ー`)ノ
ヒロインの魅力と、それを引き出しうる「彼ら」の多彩な能力のおかげで、
>ふんだんに盛り込まれていて
と言っていただけるほどの展開が生まれました。

176 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/08/15 23:44 ID:???
ttp://kattuggla.oru.se/dmd01/dm0103/test/uvr.asp

SSなんて規模じゃないが、英語の読める同志に投下。
オール女キャラで日本版やってみてぇ……orz

177 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/08/17 22:00 ID:XRKYUWi6
地球防衛軍2、ペイル子ネタ。
グロ多め

【折られた翼】
ぺイルウィングをその名たらしめる、彼女等の象徴とも言える、翼のようなブースターユニットは、オーバーヒートを知らせる甲高い警告音を、悲鳴の様にあげ続けるも、恐らくは彼女の耳にそんな物は届いていないだろう。
本来この時、彼女等は強制冷却機構を開いて、ブースターユニットを冷却しなければならないのだが、恐慌状態に陥っていた彼女は、それをせずに、無理な噴射をユニットに科せ続けた。
その為、代償は直ぐに彼女の身に返って来る。
突然警告音が止み、変わりに嫌な破裂音と、彼女の悲痛な悲鳴、それと少量の鮮血が舞い、次いで映像が酷く乱れて、やがて彼女の身体は大空から、大グモの群がる地面へと急降下を始めた。
右下に表示されていたメーターには、何時の間にか【BROKEN】と表示され、彼女自慢の翼は、もはやその力を発揮する事無く、名実共に折れた翼と成り果てていた。

地に堕ちた彼女の運命は決したも同然だが、それもやはり伝えなければならないだろう。
彼女を至近距離で取り囲んだ大グモの群は、容赦無く極太の糸を彼女に一斉に吹きかけ、彼女が悲鳴をあげる間も無いほど、その身体を完全に真っ白な眉の状態にしてしまった。
この糸には分解酵素の他、様々な毒素も混じっており、それらは彼女の身体を締め上げ、呼吸を妨げると共に、彼女の身に付ける装甲服を溶かし、下着まで食い込んで苦痛を与えているのが、再び飛びあがった脈拍から知れた。
やがて脈拍と脳波は限りなくゼロに近い数値に落ち、ようやっと彼女は苦痛から開放されたかに見えた。

178 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/08/17 22:02 ID:XRKYUWi6
ここまでは、EDF本部にリアルタイムに送られて来たデータと同じ物であり、もしこの時、彼女が戦死できていたら、続く恐るべき真実も明らかにはならなかったかもしれない。
不幸な事に、彼女はその時死亡せず、気絶した彼女は目覚めると共に、ヘルメットに内臓された視点センサースイッチを指も使わず操作、機能を再起動させた。
彼女の視界が暗闇から、一気に地下洞窟の地獄絵図へと変わり、次いで彼女の悲鳴が轟く。
糸によってグルグル巻きにされた彼女の身体は、装甲服がほとんど分解されてなくなり、白い肌を汚す粘性の束は、今も容赦無く彼女の身体を締め付けていた。
そして何より彼女を震えあがらせたのは、自分の隣に転がるぺイルウィング隊員の死骸…彼女が先程まで共に戦っていた同僚の、如何なる手段によって殺められたのか、想像さえ付かぬ屍だった。
その隊員は腹が破れ、無数に群がる小型の蜘蛛(我々が普段見て新聞紙の束を叩きつける様な)が、冷たくなった身体にキバをたてていた。
「いやあぁああああああああああああああぁぁああああああああああぁぁがぁぁああああああ!!!やぁあああああああああああああああああああああ!」
長い長い悲鳴の後、ついで「カタカタ」という奇妙な音が記録されていたが、それが彼女の歯から発せられているのは直ぐにわかった。
彼女の視線の先に、1匹の大きな蜘蛛が這い寄ってきた。

これまた、あまり知られていない事なのだが、EDF隊員達には、敵の捕虜となった場合に備え、自決用毒物の携帯が義務付けられている。
当然この時、彼女は迷わずそれを服用しようとしたはずだが、既に彼女の身体は自由の利く状態ではない。
これ以後、自決用には毒薬ではなく、ヘルメットの視点センサーで操作可能な高性能爆薬が使用されるようになったのは、この一件が明らかになったからである。

彼女の身体に覆い被さった大グモは、そのグロテスクに膨れた腹部を下に向けると、糸を繰り出すイボのような、四つに割れた突起物の内の一つを、彼女の女性の部分に押し付ける。
「やだあ!やめ………っあ!うわあぁがあぁあああ!?げっ……オゴ…」
彼女の悲鳴は長く続かない。
彼女の身体に侵入した器官から「ゴボゴボ」と音を立てながら大量の粘液が噴出され、直ぐにも彼女の呼吸を圧迫したからである。
涙で歪む彼女の視線の先には、まるで妊婦のように膨れ上がる、彼女自身の腹部が映されていた。
やがて彼女の身体に覆い被さっていた大グモは、腹部の突起の先から名残惜しそうに糸を引いて立ち去り、替わるように、体色の薄い一回り大きな個体がやってきて、彼女の身体に覆い被さった。
その意図を知ったであろう、彼女は、途切れ途切れの声で懇願する。
「嫌…もうやめ…て……助け…」
悲痛に口元を歪める彼女の表情が、彼女を覗き込む大グモの赤い単眼に映った。
「むぎゃっ!お、おえぇっ!」
まるで潰されたカエルのような、非力な悲鳴が響き、大グモは既にパンパンになった彼女の腹、その下腹部に再び突起を挿入した。
そして今度は、粘液で満たされた彼女の内部に、ゴルフボール大の球体を無数に植え付け始めたのが、歪に凸凹と形を変える、彼女の腹部から分った。
脳波はゼロに近くなるも、相変わらず呼吸も脈拍も血圧も高く、どうやら彼女が発狂した事が知れたが、ヘルメットに内蔵された小型電池が切れ、記録はここで終わっていた。

大グモによって捕食されたのは、多くが男性隊員であり、女性隊員の多いペイルウィング(体重制限の厳しいペイルウィングには、男性隊員はほとんど存在しない)は行方不明になる事が多く、
その秘密がようやっと解明したのだが、これを女性隊員の多いペイルウィング隊に報告するのは、考慮の必要がありそうだ。

リョナ絵2掲示板にうpされたペイル子にムラムラしてやった。
反省はしていない。

179 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/08/17 22:24 ID:F4eGVz7k
すまぬ!何故か最初の方がコピぺされなかった!
こいつを最初の方に脳内変換して読んでくれ。


侵略者達の攻撃によって、各都市が荒野と化す中、EDF情報部は地球を蹂躙する巨大生物、飛行物体、侵略者達への対処法に追われていた。
相手は地球の常識が一切通用しない、未知の敵であり、彼らの努力が一向に実を結ばないのも、無理からぬ話であろう。
今回報告された情報は、一人の隊員の生命と引き換えに明かされた貴重な物であるが、それが解明させたのは対処法の様な希望的な物ではなく、更なる絶望であった。

あまり知られていない事だが、EDF隊員達の特殊装甲服には、陸戦機動歩兵、ペイルウィング、例外無く、様々なセンサーが幾つも備えられており
それらは隊員の呼吸、脈拍、血圧、脳波、発汗量等、様々なデータをダイレクトにEDF本部へと送信し、それが叶わぬ状況なら、ヘルメットの小型レコーダーに記録される。
今回明らかになったのは、戦死したペイルウィング隊員(正確には行方不明だが、記録の内容から戦死と断定)のレコーダーから回収された、彼女が遭遇したであろう、身の毛もよだつ経験の一部始終である。

まずスクリーンに映し出されたのは、蜘蛛に似た巨大生物が群がる街を、上空から映し出す映像だった。
まるで重力を無視したような視界だが、ペイルウィングの名の通り、ブースターユニットによって飛行の可能な彼女等は、上空から大グモを攻撃している。
攻撃とは言うものの、実際には多過ぎる大グモから逃れる為、苦し紛れに撃ち撒くっているだけに過ぎず、脈拍や脳波、彼女の視点の右下に表示されるブースターユニットのゲージを見れば、彼女が恐慌状態に陥っている事が知れた。
1匹の大グモが放った、粘性の高い分泌液、しなやかでいて強靭な糸の束を吹き出し、それが黒いニーソックスに包まれた彼女の細い足首に絡まる。
「いやぁ!放せぇ!」


感想はいい。
抜けたかどうかだけ教えてくれ。

180 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/08/18 01:22 ID:???
ひでぶスレの注意書きの意味がわからず頭から読んでしまいましたが
178で抜けます田

181 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/08/18 19:19 ID:???
その絵描いたの自分だが、感想がないので誰も見てないかと思った・・・
絵とSSのコラボって感じでいいんでないでしょうか。
もっとそういうのが出ればいいっすね。
やる気が出てきたぞー。

182 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/08/19 00:33 ID:???
2号はぶっちゃけハイーキョだからな……

リョナ吉氏が1号でタブーっぽいグロやショタを描く気持ちもよーく分かる。
だから空気嫁とかあんま苛めないであげてね……

183 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/08/19 03:12 ID:???
>>177
ぶっちゃけ抜けなかったが、ペルウィングの描写や
ヘルメットの薀蓄はオモロかった。
抜けたかどうかだけを気にする変なこだわりもほほえましい

184 名前:177 投稿日:05/08/19 07:59 ID:fRw4LqIY
わかった、次はもっと抜けるように頑張る。

185 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/08/19 11:15 ID:???
>>177
ガンガレ!!
俺は抜けたからさ!
次回作期待するぜ!(絵師さんもGJだぜ!)

186 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/08/19 13:40 ID:???
>>177
素晴らしい!抜けた!!
客観的視点の極み、報告書風の淡々とした描写が特にツボ。
この文体で丸呑みとかやられたら萌え死ぬ。


187 名前:THE 恥丘防衛軍 投稿日:05/08/19 22:11 ID:Rr4eANRQ
>>177
ぐっじょぶです!! ズーパ! 次回作も期待してるのでがんばれー!
そしてネタが被りましたorz マジすいません。
でももう書き始めちゃったので投下します。してしまいます。

 揺れる輸送車両の荷台の中、暗闇にぼぅと浮かぶ青紫色のモニタを見ながら、少女は軽く舌打ちをした。
 モニタの画面を通してさきほどから映し出されているのは、東京都の市街地に突如として出現した巨大生物の巣穴群――それらを掃討するために行われた第一次市街掃討戦の様子を上空から撮影したものである。
「……」
 ヘリの音――パラパラという音に混じって聞こえてくるのは、止むことのない爆音。銃撃。爆音。銃撃爆音……そして、悲鳴――沈黙。そこでいったん映像が終わると、再び最初から再生される。これど四度目だ。
「ちっ」
 幾度となく繰り返し映し出されるその映像に、少女はもう一度舌を打った。
「そんな怖い顔しないの、ペリ美ちゃん」
 すぐ隣から聞こえてきたのんきな声。少女はモニタから目をはなすと、声の主をじろりと睨みつけた。
「うるさい、ペリ子。お前はどうも思わないのか? こんな映像、指揮が下がるだけじゃないか。ウエはいったいなにを考えているんだ。私たちを誰だと思ってるんだ。それに、ペリ美ちゃんて言うな」
「あらら、ご機嫌斜め?」
 場違いな笑みを口元に見せながら、声の主――ペリ子はヘルメットの透過部分の奥の瞳を困ったふうに細くした。
「当たり前だ! 私は隊長だぞぉ! 尊敬しろ!」
「わかってますわ。隊長殿。えーと、今年で十三歳でしたっけ?」
「十四歳だ!! 馬鹿にすんな!」
「了解しましたわ。ペリ美チャン。うふふ」
「むき――っ!」

 二人のペイルウィング隊員が繰り広げる漫才空間。およそ場違いなこのやり取りを笑うものは誰一人としていない。
 EDF関東支部、第十四混合遊撃小隊。
 隊長、福沢ペリ美。十四歳。
 副隊長、小笠原ペリ子。十七歳。
 両隊員どちらも、EDF関東支部の誇る、精鋭のなかの精鋭である。
 そもそもが、ペイルウイング部隊は、他の部隊と比較して圧倒的に若い隊員が多い。己の肉体で戦う陸戦部隊とはその構成が根本から違っている。彼女らは、ある種の才能によって部隊に選抜されるからだ。
 EDFでは、一般的に思念と呼ばれている。後天的ではありえないもの。もって生まれた特異の力。また個人によって、力の大きさは違う。思念。
 ペリ美、ペリ子とも、その力は他に対して群を抜いている。ペリ美にいたっては、誰一人として使用する事の出来ないと云われていた超武装――マスター・レイピアを扱う事のできる唯一である。そしてそれが結果的に、EDF軍の設置した年齢制限をも捻じ曲げた。
「神風隊」
 いつ、誰が呼び始めたのかわからない。第十四混合遊撃小隊の二つ名である。その名の表すとおり、ロンドン襲撃からいままでの間、彼女らには一度の敗北もない。否、彼女らが生きている時点で、それは周知の事だろう。なぜなら、敗北は――――

188 名前:THE 恥丘防衛軍 投稿日:05/08/19 22:14 ID:Rr4eANRQ
 輸送車がしずかに停車する。モニタの映像が切り替わり、EDF幹部の制服を着た色黒の中年男性が画面中央に表れる。本作戦の指揮官、超 陸男(スーパー・リクオ)である。指揮官こと超陸男はごほんと大きなせきをつくと、作戦の概要を表情で重苦しい表情で話し始めた。
「本作戦は――」
 指揮官の言葉を聞き流しながら、隊員たちは各自の武装を最終チェックする。ペリ子はレーザーランスΣとイクシオン・マークXを。
 ペリ美はRSRプラズマ・ランチャーと、マスターレイピアを――
「それでは作戦――第二次市街掃討戦を開始する。全員、生き残って帰還しろ!」
 指揮官がモニタの中で力強く叫ぶ。しかしその熱声を誰も聞いてはいない。生き残って帰還だって? ペリ美は指揮官の顔向かって勢いよくべろを突き出した。
「誰にモノ言ってんだ。おっさん。前から思ってたけど、その顔気持ち悪いんだよ!」
 言って、ペリ美は勢いよく車両を飛び出す。ペリ子、その他の隊員が後に続いた。
 太陽の下――前方一キロ、街が見える。林立する銀色のビル、色とりどりの屋根。ところどころ赤く見えるのは、火災が発生しているためだろう。
 ペリ美は振り返り、部隊全員の顔を見回すと、ペリ子に目配せをした。ペリ子は頷くと、よく映える高い声ですべての隊員に言った。
「それでは作戦を開始します。最優先目標は敵巨大生物巣穴、敵巨大生物に対しては、各自の経験にもとづく処理を――つまり、いつもどおりに、ってことですわね」
 にこりと笑うペリ子。そのあとをペリ美が続ける。
「あのおっさん(スーパーリクオ)の二番煎じってのは気に喰わないけど――」
 ペリ美の表情が変わる。先程ペリ子とふざけあっていた時の表情は微塵もみられない。部隊長としての、あらゆる感情を切り捨てた表情だ。
「絶対に逃げるな! 逃すな! 負けるな! 全部撃ち殺せ! 敗北は――」
 ペリ子は言葉を言いかけて、呑み込んだ。そこでふと、輸送車で見たモニタの映像を思い出す。あれは、隊員に死の恐怖を植え付けるためなのだ。そして植えつけられた恐怖は、やがて憎しみにも似た狂気を引き出す。引き出された狂気は、死への感覚に分厚いフィルタをかける。 何が無事帰還しろだ。結局、私たちはただのコマじゃないか。クソ!
「よし! 全員突撃! あの中年に目にモノ見せてやれ!」
 咆哮にも似た銃撃が轟いた。

つづくー


189 名前:THE 恥丘防衛軍 投稿日:05/08/20 10:55 ID:nC6vLrqs
およそ一月ぶりの投稿。前置きが長くなるのはどうもクセのようです。
申し訳ないす。

「神風隊」の力は圧倒的だった。巣穴と蟲達はわずか三時間ばかりで殲滅させられた。
 市街地、北ブロック。輸送車。作戦を終えた隊員が続々と帰還する。全部隊が帰還し終わったあと、ペリ美のとなりで、ペリ子が各員からの報告を読み上げる。
「α隊、敵巣穴殲滅確認、死傷者0――β隊、敵巣穴殲滅確認、死傷者は――0です。続いて――」
 淡々としたペリ子の声。それを聞きながら、しかしペリ美は、身内で言い知れぬ激情の膨らむのを感じ取っていた。
「ζ隊――敵巣穴殲滅確認。死傷者は――一人。美浜ペリ代隊員」
 ペリ美はどきりと身を震わせた。
「どうしました。ペリ美ちゃん。顔色がよろしくないようで」
 報告書を捲り上げながら、ペリ子はペリ美の顔を覗きこんだ。身長差のある二人だから、こういったとき、どうしても小さい子に訊ねるようなかたちになってしまう。いつもならここで「馬鹿にするな!」と罵声がとぶはずなのだが、今日に限って、ペリ美の表情は暗く、そういった気配すら見せない。それを察したのか、ペリ子は、
「……すみません。無神経でしたね。美浜隊員の事……気になさっているのですか?」
 ペリ美は必死に内心を隠しているつもりだった。けれど、どうやらペリ子には通用しないらしい。
「隠し事はできないな……」
 ペリ美がぽそりと呟く。
「え? なにか言いましたか? ペリ美ちゃん」
「うるさい! あっち行ってろぉ。それとペリ美ちゃん言うな。隊長だぞぉ」
「ハイハイ。コーヒー入れてきますね。ペリ美ちゃん。砂糖いっぱいミルクいっぱいの」
 足早に立ち去るペリ子。その後姿を見つめながら、しかし、ペリ美の心には、死んでしまった美浜隊員。”私が殺してしまった”美浜隊員の叫び声がこだましていた。

 ペリ美率いるζ隊。そこに美浜ペリ代は所属していた。
 時刻は午後三時半。早々に市街南ブロックの巣穴を破壊したζ隊は、残る数十匹の黒蟻と交戦していた。
「ペリ代、後退しろ!」
 黒蟻に包囲されそうになっていたペリ代に向かって叫ぶペリ美。
 ブースタを使い、後方に跳躍するペリ代。ペリ美は上空から鋭く滑空し黒蟻めがけて、マスター・レイピア――無数の針状のエネルギーを照射した。その恐るべき破壊力は、数十匹の黒ありの大部分をわずか数秒で殺し尽くす。
 黒ありの断末魔。身体から吹き出る粘性の体液。沈黙。敵の生体反応の消失を確認すると、ペリ美はペリ代を睨みつけた。
「前に出すぎだ! 馬鹿! 少しは自分の力量をわきまえろ!」
「……すみません。隊長……」
 ペリ代は拳をぎゅっと握り締めながら、悔しそうに言った。隊長とはいえ、ひとまわり近くも歳が離れているのだ。
「もういい。次からは気をつけ――」
 とそのとき、ヘルメットに内蔵された通信装置から、男性隊員の声が聞こえてきた。
「こちらα隊。市街地東ブロックの巣穴を破壊。確認。しかし、数十匹の黒ありを逃しました。黒ありは現在、南ブロックに向かって移動中。処理をお願いします」
「ちっ。わかった。りょーかい」
 軽く舌打ちすると、ペリ美はマスター・レイピアを強く握りしめた。そしてペリ代に鋭い視線を投げた。
「ドジ、するなよ」
 ペリ代は力強く頷いた。



190 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/08/20 20:03 ID:???
>>187
続き楽しみにしてるぜ。

191 名前:THE 恥丘防衛軍 投稿日:05/08/21 20:59 ID:???
当初リョナverとエロverを同じ筋道上に別々に書き、別々の場所に投下するつもりだったが
気力の都合であきらめた。ぶへ

 午後三時十五分。
 地下鉄出入り口付近。α隊からの報告を受けたζ隊は黒蟻の進行地点を予測し、街ち伏せていた。やがて巨大生物特有の、地面を擦るような不快音が聞こえてきたのを合図に、全隊員に緊張の糸が絡みつく。 
 前方百メートル。ビルの間。黒い影。ごくりと唾を飲み込むペリ美。ランチャーを構え、狙いを定める。
 敵との距離およそ七十五メートル。全隊員発射の用意。押し寄せる黒色の波。と、その時、ペリ美の視界の隅を影が横切った。
「あっ」
 と短い声を漏らすペリ美。慌てて目で追う。鋭い放物線を描いて黒い波に一直線に向かっていくその影――ペリ代だった。
「撃つな!」
 遠距離武装で狙いを定めていたほかの隊員に、ペリ美は咄嗟に声をかける。「美浜隊員に、当たるっ!」 
 その一声で、隊員たちは各々の武装を降ろした。そしてそれから指示を仰ぐように、隊長――ペリ美の顔をうかがう。
 その間数秒。高速の低空飛行で敵との距離を一気に縮めたペリ代は、上空から黒い波に向かって、サンダーボウ30による連続射撃をおこないはじめた。
「ちっ。ペリ代のやつ……」
 勝手な事しやがって。次々と黒蟻を殺していくペリ代を見つめながら、ペリ美は苦々しげに舌を打った。

192 名前:THE 恥丘防衛軍 投稿日:05/08/21 21:00 ID:???
 黒い死体の山。サンダーボウによって焼き殺された、黒蟻の山だ。瀟洒な造りのビル群、憩いの場として設けられた地下鉄前広場に、それはいま、一種異様な光景をかたちづくっている。 黒蟻の生体反応の消失を確認したペリ代は、興奮と上気を多分に含んだ息を吐いた。そして七十五メートル先、憤然と立ちつくすペリ美に向かって、得意げな笑みを見せた。
 そうなのだ。これはペリ美に対しての仕返しなのだ。力量をわきまえろだって? 小娘のクセに。
 事実、ペリ代の能力は決して低くはなかった。むしろ、高度な部類に属していた。そしてそれは彼女自身のプライドの高さにもありありとあらわれている。
 ペリ代を睨みつけながら、ペリ美はきつく唇をかんでいた。確かに敵は倒したかもしれない。しかし、その結果を差し引いても、ペリ代の単独行為には目に余るものがある。
 ペリ美は通信回線を開くと、ペリ代に向かって叫んだ。
「馬鹿! 何考えているんだお前は! もし死ん――うわっっ!」
 ペリ美が最後まで言葉を言い終わるか終わらないかの瞬間、大地が揺れた。突然の地震。ペリ美と隊員たちは、不意打ちのようなその猛震に思わず尻を地面に落とした。
「クソ、立ってられない――」
 両手で地面を支えても、立つ事ができない。たとえ運良く立つ事ができたとしても、一瞬のうちにバランスを崩してしまう。すぐうしろから陸戦隊員の叫びにも似た声が聞こえてきたのは、ちょうどペリ美が三度目の尻餅をついたときだった。
「レーダーに反応! 前方九十メートル! 生命反応多数。地下です! 来ます!」
「なんだって!」
 豪快に尻餅をつきながら、ペリ美は慌ててペリ代のほうを向いた。

193 名前:THE 恥丘防衛軍 投稿日:05/08/21 21:00 ID:???
 突然の地震。ペリ代もペリ美たちと同じく、姿勢の制御にすらひどく苦しんでいた。そしてそのとき、通信回線を通して、ノイズの混じった男性隊員の声が鼓膜に響いた。
「レーダーに反応! 前方九十メートル! 生命反応多数。地下です! 来ます!」
 刹那、ペリ代の後方数メートル。コンクリート地面が音を立てて割れた。と同時に地震が止んだ。
「なっっっ!?」
 咄嗟に振り向くペリ代。目の前には、コンクリート地面を突き破って突如として現出した三メートルはあるかという穴。巣穴。そしてその中からいまにも溢れ出す、黒い激流。
 黒蟻だった。 
 ペリ代は慌てて飛び上がった。後方に離脱するためだ。ブースタを射出し、跳ねるように跳躍する。
 否、跳躍、するはずだった。ペリ代の瞳、ヘルメットの透過部の奥の瞳は、驚愕の色に染まった。黒蟻が、自分めがけて一斉に尻の先端を向けているのだ。そしてそこから飛び出す粘液。視界の埋まるほどの、濃厚な束となって噴出される。
「きゃぁぁぁぁっ!」
 ペリ代の悲鳴が轟く。飛ばない鳥など、蟻たちにとっては格好の獲物でしかない。
 蟻の尻先端から、ぶびゅると噴出し続ける臭い液体。ペリ代の全身はあっという間に粘液まみれとなった。
「あぁ、ああああっ!?」
 とそのとき、ペリ代はふたたびの驚愕に襲われた。スーツが、溶けはじめているのだ。蟻の出す粘性の液体、これこそは、獲物の外殻を無効にするためのものなのだった。ただし、それだけでは終わらない。
「え? なんで!? どうしてっ!!」
 溶解していくスーツ。ペリ代の豊かな乳房と、淡い海草をたたえた女性器を隠すものが消えていく。
 ぶびゅっ、ぶびゅゅっ。
 全身のスーツを剥ぎ取っても、なおも浴びせかけられる臭い粘液。やがてペリ代の肢体は桃のような赤みを帯び、頬は恍惚に染まっていった。
 蟻たちの出す粘液には第二の役割があるのだ。高濃度の媚薬液である。
「あ、はぁ。もうやめてぇ。臭い液。びゅっびゅしないでぇ……」
 口と粘膜、肌から吸収された媚薬液が効果を発揮するのには、ものの十秒もかからない。ペリ代の乳首はぴんと張り、熟れ始めた生殖器の谷間から熱い蜜がとろとろと流れ始めた。

194 名前:エリスinラクーンシティ 投稿日:05/08/22 05:41 ID:fRw4LqIY
激しくグッジョブで書き途中な>>187には悪いが、途中で別のSSあげさせてもらうよ。
時間的余裕が無くて、どうしても今日うpしなきゃならんの。
何か某やられボイスが神な格ゲー女性キャラが、何故かバイオのラクーンシティでヒィヒィ言う内容。
随分前に夢で見た脳内妄想物語だが、ストーリー重視にしすぎて抜けなくなってもた。

   【慈善劇団による福祉コンサートの御知らせ】
 ラクーンシティ市民ホールにて、18:30より公演。
 入場料:5ドル30セント(10才未満の御子様、70歳以上の御年寄りの方は無料)
 売上の半分は、ラクーン市福祉施設に寄付されます。

 踊り子の華麗な舞いに御期待ください。

路面に落ちていたポスターを、可愛らしいスニーカーが踏みつける。
シャツの上からジャケットを羽織り、ホットパンツの下にスパッツを合わせた小柄な少女は、表情を恐怖に歪めながら、息を切らせて走っていた。
その両手に握られた、二刀の短刀には血が滲み、体格よりも大分大きめなジャケットは、所々引き裂かれて、痣や引っかき傷の残る肌が露出している事から、少女が目の当たりにした修羅場を彷彿とさせる。
少女は悲鳴と怒号、銃声の木霊する大通りから離れ、人通りの少ないであろう、裏路地に飛びこむと、建物の壁面に片手を付き、身体をくの字に折って、両目を閉じながら肩で息をした。
大きく開けた額から大粒の汗が顎を伝って流れ、半分はそのまま首へ、幾らかは顎から路面にピタリピタリと落ち、その音にさえ、少女は怯えているように見える。
壁に付いた右腕はガクガクと震え、少女はまるで思い出したように、袖を大きく捲った部分に残る、異常に変色した噛み傷を見つめた。
「うぅ、なんでょぅ…血が、止まらないよう。皆、どうしちゃったの」
ふと我に返った少女は、路地の奥で蹲っている警官に気付く。
負傷しているようで、路面には血が滴り、苦しそうに呻き声をあげるその警官を見た少女は、何ら迷う事無く、彼を救うため、また彼の仲間に助けを求める為、彼に駆け寄った。
「大丈夫!?今助け…ひっ!」
伸ばしかけた手を慌てて引っ込め、少女は身体を反対側に大きく仰け反らせる。その表情は、またしても恐怖に歪んでいた。
蹲っていた警官は犬の死体を貪り食い、灰色に濁った瞳を少女に向けると、だらしなく開かれた口から血と唾液をダラダラ零しながら、血の気の無い腕を少女に伸ばして立ちあがった。
「あ゛あ゛ぁ………」
その声には一切の理性が感じられず、まるで亡者のような目を少女に向けるだけであり、等の少女はこの警官が既に、大通りを闊歩し、人間を襲いつづける物達と同じ物になってしまっている事に気付いた。
「やめてぇ!」
小柄な少女の身体を壁面に押し付け、まるで強姦魔のような腰つきで彼女の身体に絡みつき、柔らかそうな部分を見つけると、その綺麗なうなじに口を近づけた。
必死に抵抗する少女は、手にした短刀を逆手に構え、自分のうなじと元警官の喉の間にそれを挟み、ベクトルに任せ、刃を喉元に突き立てた。
普通の人間なら、この時点で驚いて離れる筈である。しかし、如何せん元警官は、既に人間ではなかった。
刃はズブズブと元警官の喉に突き刺さり、赤黒い血が、短刀と少女の身体を汚す。
「き、きゃぁああぁ!」

『この人も同じだ…何で?何があったの?…この街はどうなっているの?』
少女の問いは空しく、答える者はおらず、また、助けの手を差し伸べる者もいない。
生きる為には…“人間”として生き残る為には…

195 名前:エリスinラクーンシティ 投稿日:05/08/22 05:42 ID:fRw4LqIY
「ゴメンね!」
少女はいったい今まで、何度この言葉を使ってきただろうか。
今この時程に、この言葉の重さを痛感し、使った事があっただろうか。
少女は短刀を握る手に力を込め、小さな体からは想像も付かない強靭なバネを弾かせ、捻るように、元警官の身体を斬りあげてしまった。
鮮血が舞い、元警官の身体は反動で後ろに反り返り、少女に掴みかかっていた汚れた爪は、その身体から衣服の幾らかを毟り取って離れた。
元警官は背中から路面に倒れ、しかし尚もガクガクともがき、蠢いていた。
返り血を浴びた少女は甲高い悲鳴を挙げると、その場にへたり込むように尻餅を付き、血に塗れた両手を、目を大きく見開いて凝視し、カクカクと歯を鳴らして震えた。
腰が抜けて動けなくなった少女の背後、または前方、裏路地の彼方此方から、まるで血の匂いを嗅ぎつけたかのように、妙な姿勢の人影が群がってきた…



エリスがこの街…ラクーン市にやってきたのは、丁度1週間前。
慈善団体で劇団の踊り子を演じている彼女は、ラクーン市の福祉施設からの要望で、劇団の仲間と共に公演に訪れた。
売上の一部は福祉施設に送られ、残りは慈善団体の活動資金にあてる。無駄は一切残さず、利益も考えていない。
元々幸福とは言えない人生を送ってきた彼女だが、本人の性格はそれの反動か、常に明るく笑顔を絶やさず、他者への愛情に満ちた物であり、人を傷つける事を嫌う。
しかし、自分と自分の仲間達を救う為ならば、武器をとって抗うだけの強い意志も持ち合わせていた。
その際にも、決して相手を死に至らしめるような事はせず、相手が攻撃の意思を失えば、それ以上の危害を加えた事はない。この街へやって来るまでは…

ラクーン市の住民は皆、他の田舎町のような保守的な性格ではなく、余所者であるエリス達にも比較的好意的であり、バスを降りて宿を決めたエリスは、明るい街の住人達の態度に安心感を憶えた(一度若い警官に口説かれそうになったが)。
公演までの1週間は、市民ホールでの舞台セットの設置、ダンスの練習等で忙しく、街を歩く暇は余り無かったが、一つ彼女を勇気付ける事があった。
安ホテルの受けつけに掛かって来た電話は、ラクーン市警成少年課の刑事からで、宿の主人は明らかに不審そうな顔つきで受話器をエリスに差し出す。
不安なのはエリスも同じで「“まだ”何もしてないもん!」等と騒ぎ立てたのだが、電話の相手は彼女の良く知る人物だった。
「もしもしぃ?(涙声」
「Hi Ellis. It`s me! Are you fuck`n forgot me? Can`t fuck`n do it.」
「ええぇ?誰誰誰、英語早くてワカンナイよう」
「what!?…OH! ゴメン!まだ英語苦手なのか?」
エリスの両親は日本人であり、彼女自身もトルコ育ちで、英語は完璧とは言えない。
雑な英語でまくし立てた女性は、以前エリスが“ある事件”で知り合った、NY市警の女刑事だった。
「NYPDはどうしたの?わかった、また上司殴」
「うっさいバカぶりっ子!アレは○○○上司が×××なんだ(エリスには分らないスラング)!自業自得だね!
まぁ今のボスよかマシかな。酷いぜRPDのファッキンチーフは。初日にアタシにセクハラかましやがって、あの△△△野郎!
それより、アンタの調子は?ボーイフレンドは?誰か紹介してやろうか?」
「うっさいバカ刑事!」
不審の表情を浮かべていた主人も、会話の内容から面倒事の可能性が消えた為に顔がほぐれ、エリスがいつ見ても幸せな気分になる、“笑顔”に戻っていた。
女刑事…トレーシーは、新しい職場であるこの街にやって来た慈善劇団の中に知った顔を見つけた為、警察御得意の情報網でもってエリスの宿を突き止めたという事らしい。
「まぁそんなワケだけどさ、上司のアイアンズ以外はイイ奴らばっかりさ。アンタの芸も仲間連れて見にいくから覚悟しな。だから帰る前にウチ(RPD)寄れよな。皆に紹介したいからさ」


196 名前:エリスinラクーンシティ 投稿日:05/08/22 05:43 ID:fRw4LqIY
公演当日、開始時間になると多くの市民達が寄付金を持ってやって来て、宣言通りトレーシーも警官仲間を何人か連れて来ていた為、華麗な衣装を身にまとい、髪を綺麗に染めたエリスの舞には一層の熱が入り
観客の反応も素晴らしく、芸が終わった後もアンコールの声が響いていた。
「いぇーい!大成功!」
舞台裏ではしゃぐエリスと仲間達は、しかし突然客席から響いた、歓声とは違う怒声のような声に驚き、恐る恐る幕の間から客席を覗き見た。
何人かの客が興奮したのか暴れだし、現場にいたトレイシー達が鎮圧に当たっていた。
エリスは口を尖らせ
「もう!皆エリスが可愛いからって興奮しすぎだぞ!」
等と軽口を叩いたが、舞台裏控え室のドアを開いた市民ホールスタッフが、妙に顔色が悪い事に気付き、心配そうな表情で彼に近付いた。
「大丈夫?何か…わっ!」
だが、背中に「STAFF」の文字を記したシャツを着たその少年が、突然息を荒げて飛びかかってくると、エリスは仰天したように悲鳴をあげ、日頃の練習で鍛えたバネを活かし、男を跳ね飛ばそうとする。
彼女の運動神経は並ではなく、成人男性相手でも軽く翻弄してしまうが、この時は勝手が違った。
「ヤダ!何これ!」
男は異常な腕力でエリスの身体を抑え付けようとし、その手はエリスの白い腕に痣ができるほど絞めつけ、汚れた爪が食い込んで血が滲んだ。
衣装合わせやメイクの女性は悲鳴をあげ、客席にいる警官を呼びに飛び出していった為、エリスは一人で、この異常な男を相手にするハメになってしまった。
その目は瞳が濁り、口からは涎をダラダラと垂らし、真っ青になった顔は、額から絶え間無く汗をかいているが、体温は異常なほど冷たい。
そして汚れた歯の並ぶ口を大きく開くと、まるで吸血鬼の様に、エリスの白い肌に噛みつこうとした。
「た、助けてぇ!」
エリスが目に涙を浮かべてそう叫ぶと、突然男の身体が後ろに反りかえり、床に押し倒される。
「What`s a fuck`n freak!…Are you all right, ellis?」
汚い言葉で罵りながら、同僚と共に御得意のトンファで男を床に抑え付けたトレーシーは、汗まみれの顔をエリスに向けた。
どうやら客席も同じ状況のようだ。
「ディメッ!こいつはヤクだな。違いない」
尚も暴れる男の身体を二三度殴りつけた後、結局その動きを止められないまま、トレーシーの同僚はゼイゼイと息を荒げながら、男に手錠をかけて外に連れ出していった。
トレーシーの髪はすっかり乱れ、エリス同様引っかき傷やら痣やら拵えていたが、自分よりも真っ先にエリスの心配をするのは、流石に警官と言った所だろうか。
「そろそろ外に救急車が来る頃だ。治療して…!?」
『ラクーンスタジアムで暴動発生。全署員出動し、現場を鎮圧せよ』
無線機から漏れた声に、トレーシーは顔をしかめて溜息をつく。
「シット、ファック…悪いねエリス、仕事ができちまった。終わったら連絡するよ…2時間くらいかな」
『ダウンタウン市役所前で暴動発生。署員は…』
「…今夜は無理っぽいな…ごめん」
痣のできた腕をスリスリしながら、エリスは健気に微笑み返し、勇敢な女刑事の背中を見送った。
だが、トレーシーの無線機からは絶え間無く、狂った様に異常を伝える通信が飛び交い続ける。
『セントミカエル時計塔前で暴動発生…ラクーン動物園前で暴動発生…サウスキャンベル通りで暴動発生

197 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/08/29 05:36 ID:Rg8Tkeek
                   γ:::::{__=ニゞ
                 l:::ノノtf`ヤゞ   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     ______     .ノ:::::::::l~(フノ)   <  キャー!
    ( 期待アゲ!! )   /:::::::::: い∩    .\_____
       ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄  ∠:::::::::::::/l |コ
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        (ィ・(ヌ)・ヾ).<|:`V´\|
         ミu゚/д゚ ,;   |  |  |´
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198 名前:影牢ストーリー(1) 投稿日:05/09/16 22:21 ID:exq5b4MI
「…」
とある館の中の一室にその女性は立っていた。
美しく、しかしまるで人形のように無表情な顔つき、短く切り揃えられた髪。青と黒を基調
とし、均整の取れたボディラインがくっきりとわかる衣装。
彼女の名はミレニア、この館に住む『魔女』である。
彼女には幼い頃の記憶が無い。物心がついた頃からこの館でヨカルという刻人に育てられて
きた。そして彼女が19歳になった時、ヨカルより秘術『トラップ』で館を訪れる者を葬り
去るよう告げられてからは淡々とその命令を守っている。
真っ当な神経の持ち主ならこのような命令はとても聞けないところだが、物心ついた時から
ずっと外界から隔離されてきた彼女にはそんな疑問など起こりようが無いと言うものだ。

「…!」
その時、ミレニアは魔法の波動を全身に感じた。
この部屋、いや、館をも包み込むような波動を…!
何事が起きたか確かめようとミレニアは部屋内の階段を駆け上がる。
そして扉をあけようとしたその時…

「見つけたわ、魔女!ハンナの仇よ!!」
突如、反対側の扉が一組の男女が入ってきた。一人は魔術師風の老人、もう一人は長いブロ
ンドの髪の美しい女格闘家だ。
「間違うなよ、フィリア。今回はかの娘の捕獲が目的ぞ。かの娘には刻人の動向や秘密を洗
いざらい吐いてもらわねばならぬからな。」
魔術師風の男がいきり立つ女格闘家をなだめるように言った。
「…わかってるわよ、マーリン。」
フィリアと呼ばれた女格闘家が少しいらついた表情で言った。
「さて、じゃあ行くわよっ!!」
フィリアは一直線にミレニアのほうへ駆け出すと、階段を駆け上ってくる。
ミレニアは秘術で岩を練成し、この階段を駆け上ってくる猪突猛進な女戦士を押しつぶそう
とした…だが!

199 名前:影牢ストーリー(2) 投稿日:05/09/16 22:22 ID:exq5b4MI
「…っ!?」
何故かわからないが練成が出来ない。何度も何度も試みるがそれでも全く秘術が発動しない
のだ。そうこうしているうちにフィリアは階段を上り終え、ミレニアに向かってくる。
「くっ…!」
ミレニアはフィリアを振り切るために部屋を出ようとドアのノブを掴んだ…だが…
「…っ!?」
何と秘術が発動しないどころか、ドアすらも開かなくなっていた。
事ここに至るにおいてミレニアは先ほどの波動の意味を理解した。そして…彼女には攻撃す
る術も逃げる術すらも無いと言う事を…。

「さあ、観念なさい!」
すぐそこまで近づいていたフィリアが突きを放つ。動揺していたせいだろう。ミレニアの反
応が遅れた。
バシィ!
「ぶふっ!」
鋭い突きを顔面に受け、ミレニアは後ずさった。後ずさりながら彼女は顔を何かぬるりとし
たものが伝うのを感じていた。
彼女の美しい顔に一筋の赤い糸…鼻血が伝っていた。
「ふん、どう?始めてでしょ?相手の攻撃で鼻血垂らすなんてさ。」
フィリアが嘲笑うように言うと、今度はミレニアに向かって大振りの蹴りを放つ。さすがに
今度は反応できたミレにアは身を低くして蹴りをかわすと、フィリアをすり抜けるように逃
げると階段を駆け下りた。そして彼女が階段を下りきったその時…。

バリバリバリィィィ!!
「きゃあぁぁぁっ!!」
突如、ミレニアの頭上から一筋の雷が落ちたのだ。もちろん魔術師マーリンの仕業だ。
「あ…あ…あぁ…」
ショックと激痛でしばしダンスを躍るように悶絶したミレニアは、両膝をつくとそのまま前
のめりに崩れ落ちた。
「おっと、まだ寝るには早いよ。」
石畳にうつ伏せに倒れ伏していたミレニアを、フィリアが髪を掴んで引き起こす。
フィリアの顔にはミレニアへの憎悪と哀れな生贄を存分にいたぶれる歪んだ歓喜の表情が浮
かんでいた。

200 名前:影牢ストーリー(3) 投稿日:05/09/16 22:23 ID:exq5b4MI
「ハンナの仇だ。たっぷりお仕置きしてやるよ。」
そう言い放つと、フィリアは左のショートフックをミレニアに右ほほにぶち込んだ。
「ばふぅ!」
大きくのけぞるミレニアの左脇腹に今度は右のボディフックをめり込ませる。
「あぐっ!!」
苦痛に体をよじらせるミレニア。だが攻撃はやまない。
「あぁ!」
左ローキックがミレニアの太股にヒットする。
「ひぐぁ!」
左のショートフックが右胸にめり込む。
「がばぁっ!!」
右のショートフックがミレニアの左ほほに突き刺さる。
「さあ、まだまだこれからだよ!!」
体が温まってきたのかフィリアの攻撃はますますヒートアップしていく。
ドガッ!ゴスッ!ガッ!ドフッ!バキッ!
「ぐはっ!ぎひぃ!んあぁ!うげぇっ!ぶはあぁっ!!」
フィリアの左右のショートフックとミドル・ハイキックがミレニアの顔面や両胸・脇腹を往
復し、膝やアッパーがお腹や胸、あごを突き上げ、ローキックが太股や膝に叩き込まれる。
容赦ないラッシュにミレニアの顔が歪み、豊かな胸は揺れ、拳圧で拘束具の紐や鎖がひきち
ぎれ、衣装のあちこち破れ、露出した肌からは青痣が見えていた。
あまりにも激しいラッシュがありとあらゆる方向から来るうえに、フィリアもちゃんとミレ
ニアがダウンしないように計算して攻撃を放っている事もあり、ミレニアは倒れる事すら出
来ず血反吐と無様な声を吐き出しながら踊り続けるしかなかった…。

「反吐ぶちはきなっ!!」
フィリアは吼えると、渾身のアッパーでミレニアのあごを打ち抜いた。
グシャァッ!!
「ぶげえぇっ!!」
ミレニアのあごの骨が折れる嫌な音が響き、彼女の口から折れた歯の混じった大量の血飛沫
が吹き上がった。今度はフィリアも追撃はしなかったようでミレニアは天をあおぐような体
勢からゆっくりと倒れこんだ。

201 名前:影牢ストーリー(4) 投稿日:05/09/16 23:51 ID:exq5b4MI
「おい、そこまでにしとけ。キース殿からも生かして捕らえるように言われたはずだぞ。」
さすがにマーリンが止めにかかったがフィリアはおさまらなかった。
「まだまだ…親友の…ハンナの痛みはこんなものじゃなかったはずよ!」
そう言われるとマーリンも引き下がるしかなかった。
フィリアと彼女が言うハンナとは幼い頃からの親友だったのだ。町の広場にさらされるよう
に置かれていたハンナの骸の前でフィリアは声をあげて号泣していた姿はマーリンも見てい
る。マーリン自身は生前のハンナとは一度会っただけだったが、格闘家としての技量こそフ
ィリアより大きく劣るとは言え明るく前向きないい娘だった事を思い出しやりきれない気分
になったものだ。ましてやフィリアの悲しみと怒りたるやマーリンの比ではなかろう。

「あが…う…ひぃ…」
自らの血の海で悶えるミレニア。だがフィリアはそんな彼女を蹴転がして仰向けの体勢にす
ると、マウントポジションの体勢で彼女の上に座った。
「親友の痛み、お前に思い知らせてやる!」
フィリアは叫ぶと渾身のパンチをミレニアの顔面に叩き込んだ。
グジャアァッ!!
「ぶぎゃあぁぁっ!!」
今度はミレニアの鼻の骨が折れる音が響き、これまで以上の大量の鼻血が噴出した。
「まだまだっ!このっ、このっ、死ねっ、死ねっ、くたばっちゃえ!」
さらにフィリアは憎悪に満ちた拳をミレニアに振り下ろす。
「ぎゃん!ぶはっ!あぁっは!ひぁん!ぶぼぉっ!」
顔面や両胸を激しく拳で痛めつけられたミレニアは顔を左右に振り、悲痛な叫びをあげる。
だが、あまりに容赦ない攻撃に徐々にその声はか細いものになっていった。
「あ…あぅ…うふぁ…くほ…ぅ」
事ここに至り、ようやくフィリアは攻撃を止めて立ち上がった。否…まだ攻撃は終わっては
いなかった。

202 名前:影牢ストーリー(5) 投稿日:05/09/17 00:14 ID:uz3i.SAY
グシャアァッ!!!
「ぎゃあああぁぁっ!!」
ミレニアの悲鳴が部屋中に響き渡った。フィリアの振り下ろした踵落としがミレニアの右膝
を砕いたのだ。
「あっ…ああっ…あうあぁ…」
膝を押さえながらのたうち回るミレニア。フィリアはそんな彼女を押さえ込み、左腕を掴む
と一気に腕ひしぎ逆十字の体勢に入った。
「ああぁぁっ!いだっ!いだだだっ!!」
「あーら、しゃべれないかと思ってたけどそうじゃないのねぇ?」
フィリアは意地悪そうな笑みを浮かべつつもなおミレニアの腕を捩じ上げる。そしてついに
地獄の責めに彼女の左腕が屈した…。
ブチィッ!
それはミレニアの左腕の腱が切れた音であった。
「いぎゃああぁぁぁっ!!!」
ミレニアの悲痛な叫びが大きく響いた。ようやくフィリアは腕を放すが、ミレニアは左腕を
押さえながら、痛みに体を震わせながらうずくまったままだった。
フィリアはおもむろにミレニアの髪を掴むと彼女を引き起こした。

「あ…あぅ…ゆぶじで…おでがい…」
ミレニアはすっかり怯えきった表情で哀願する。全身痣だらけの血まみれで、あごと鼻の骨
を折られたせいでまともに発音すら出来ない哀れな有様のミレニアはもはや『魔女』でも何
でもなくただの哀れな一人の少女にすぎなかった。
だが、怒りに燃えるフィリアはそのままミレニアをひきずると部屋の中央に置いている電気
椅子の前へ連れて行った。
「い…いや…」
「これで…フィニッシュよ!」
フィリアは叫びながらミレニアを無理矢理電気椅子に座らせた!
バチバチバチバチバチ!!
「ぎひいいぃぃぃぃ!!」
電撃に悲鳴を上げながら悶えるミレニア。だがこの電気椅子、長い間作動しすぎていたせい
か十秒ほどで故障してしまったようだ。ここでようやくミレニアの地獄は終わった。

203 名前:影牢ストーリー(6) 投稿日:05/09/17 10:46 ID:6WSo4IsY
「全く…いくらなんでもやりすぎだぞフィリア!キース殿の指令を何だと思ってるのだ?」
ようやく攻撃をやめたフィリアをマーリンが咎めた。しかしフィリアは平然と言った。
「大丈夫よ、死んじゃいないからさ。私だってそれ位の加減は出来るわよ。」
「大丈夫ってお主…ほとんど虫の息ではないか…。」
マーリンはため息をついた。
マーリンの言うとおり、ミレニアはほとんど虫の息であった。白目を剥き、だらしなく開い
た口から血の混じった唾液を垂れ流し、ひくひくと体を痙攣させていた。
その美しかった顔は、鼻とあごの骨に歯を何本も折られた挙句、原型をとどめぬ程に膨れ上
がっており、血と涙でぐしょぐしょになっていた。さらに拳圧で衣装のあちこちが大きく破
れ露出した肌のあちこちで血が滲み、青痣が刻まれていた。
「むぅ…まあ良い。ここまで恐怖と痛みを与えておけばこれ以上拷問せんでも素直に吐いて
くれることじゃろう…じゃ、帰るぞよ。」
マーリンはそう言うとと魔法でぐったりしているミレニアの体を浮かび上がらせと、そのま
まミレニアと一緒に部屋を出て行った。

マーリンが出て行った後もしばらくフィリアは部屋にとどまっていた。
ようやく出て行こうとしたその時フィリアは床に落ちているある物を見つけた。
「…これは、ハンナの?」
それは普段からハンナが髪に着けていた髪留めのリボンだった。ハンナの血であろうか、赤
黒いしみが付着していたが間違いは無い。ハンナが葬られたこの部屋でフィリアは見事仇を
討てたことにフィリアは神に感謝した。
「さあ、帰ろう。ハンナ。」
ようやく心からの笑みを取り戻した女戦士は部屋を後にするのだった。


(完)

204 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/09/20 16:24 ID:???
GJです。
どう抗うことも出来ず、一方的にいたぶられ許しを乞う展開ツボにきました。
シンプルな殴る蹴るの描写も、うまく表現されていると思います。

205 名前:エリスinラクーンシティ 投稿日:05/09/23 15:30 ID:QiuV7S1E
>>194なわけだが。
ようやっとパソコ使えるので続き書こうと思う。


その後、ラクーンシティは数時間で地獄と化した。
情報が交錯し、憶測が乱れ飛び、TVやラジオや、その他様々なメディアが定かでない情報で溢れたが、例に漏れず、誰一人として真相を知る者は居なかった。
その信頼できない情報も、やがて流れなくなり、戒厳令がしかれるとようやく、ラクーン市民達は事の重大さに気付くが、全ては遅すぎたのだ。
通りは人肉を食らう亡者が溢れ、パトカー、消防車、救急車、TV局の中継車等が行き交い、銃声と悲鳴が鳴り響き、阿鼻叫喚の坩堝と化した。
「クソッタレが!S.T.A.R.S.の連中は酔ってなんかいなかったんだ!」
「何だって!?」
市民の避難誘導に当たっていたトレーシーは、タクシー(本当はSWATの装甲バン。トレーシーは警察車両をこう呼んでいる)の中で、同僚のタナカの洩らした一言に食いつく。
タナカは日系三世で、ここでは新人であるトレーシーの御守役としてコンビを組んでいる。
彼の言う『S.T.A.R.S.』とは、RPDお抱えの特殊部隊で、主に対テロ、人質救助等を行うエリート部隊だった。
ほんの数ヶ月前にラクーンを恐怖に陥れた「洋館事件」では、調査に当たった彼らの殆どが殉職し、事実上S.T.A.R.S.は活動不能状態になっている。
そして一度トレーシーは、不始末を起こして署長に呼び出された際、このS.T.A.R.S.隊員と署長が口論をするのを聞いた事があった。

『チーフ!こいつはただの事件じゃないんだ!』
『コーヒーでもやったらどうだ?クリス。頭を冷やすんだな…死人が人を襲う等と』
『署長、FBIに協力を要請してください。それから、アンブレラ社の捜査令状を…』
『いい加減にしろ貴様ら!これ以上言うなら、全員交通課にぶち込むぞ!』

ドアの向うで聞き耳を立てていたトレーシーは、突然開いたドアに顔を強か打ち付け、目から出た“星”を叩き落とすように首を振ると、次に視界に映ったのは、本物の“S.T.A.R.S.”だった。
「大丈夫かルーキー。だが、この街はさっさと出た方が良いぞ」
角刈りで大柄な男…S.T.A.R.S.アルファチームの隊員クリス・レッドフィールドは、しかし余裕の一切感じられない表情のまま、同じくS.T.A.R.S.隊員ジル・バレンタインを連れてその場を去って行った。
トレーシーはサッパリ意味が分からず、そしてうっかりドアのノックを忘れたまま、署長室の扉を開けてしまう。
黒いウワサの絶えない男、RPD署長のブライアン・アイアンズは、その巨体(クリスのような筋肉質ではなく)を趣味の悪い回転椅子に横たえたまま、誰かと電話の最中であった。
「……約束が違うじゃないか!奴らは生きてるぞ!ウェスカーからの連絡もない!………奴ら、勝手な捜査を始めている。早急に始末…!」
突然アイアンズは受話器を落とし、トレーシーの方に向き直ると、机の下から拳銃を引っ張り出して銃口を向けた。
デザートイーグルMkZ。署長が趣味で採用した、.50AEという冗談のような大口径弾を使用する、趣味の悪い大型狩猟用拳銃だ。
だがその大穴は、相手を威圧するのには全く効果的である。
「何をしている!」
余りの事に危うくそのムカツク署長を殴り倒す所だったトレーシーは、むっつりしたまま署長のデスクに「パトカー潰しの始末書」を提出(投げ捨て)し、肩を怒らせながら、無言のまま署長室を出て行った。
だからトレーシーは、その後アイアンズが受話器を拾い上げ、こう相手に伝えていた事は知らない。

「もう一人、始末して欲しい奴がいる」

206 名前:エリスinラクーンシティ 投稿日:05/09/23 15:32 ID:QiuV7S1E
まさか悪い冗談だと思っていた噂が現実となり、流石のトレイシーも動揺を隠せない様子だった。
タクシーの中ではSWAT隊員が装備の最終点検を行っており、タナカも備え付けのフランキSPASショットガン・ショートモデルの弾倉に、12ゲージ00バック・ショットシェルを、次々と呑みこませた。
タナカはトレイシーの様子に気付き、同じくタクシー備え付けのベレッタM92FSを取って、彼女に差し出す。
「また銃を忘れて来たのか?」
が、トレーシーは相変わらず、トンファを二本、両手に握ったままだった。
「アタシは犯人を殺したことなんか、一度だってありゃしないんだぜ?こいつは、アタシが教習所上がりの頃からの信念でね。どんな相手でも、絶対に生け捕りにしてやるのさ」
そして、まるで映画のカンフーアクションのように構えて見せる。
だが今回だけは、タナカは笑って言った、
「そいつは頼もしいこったな。だがお嬢さん。相手が“死人”だったら、もうそんな必要も無いだろう。俺のケツ護るのに、そんな棒切れ二本だけじゃ、うかうか小便もできやしねぇ。だから、御願いだぜお嬢さん。こいつを持っててくれ」
トレーシーは拳銃を受け取り、実包の入ったマガジンを入れ直そうとするが、その際不自然な感じを憶えて躊躇した。
タナカは呆れたように言う。
「まさか撃った事ないのか?研修で何度も…」
「太過ぎる」
「はぁ?そいつはセクシャル・ハラスメントか?」
「アンタのは短小だろう。グリップが太過ぎるって言ってんだ。これじゃコイツと一緒に構えられない」
トレーシーは特製のトンファを握ったまま、M92FSを構えて見せたが、確かにその手には無理があり、これで射撃か格闘を行えば、得物を取り落としてしまうだろう。
「世話の焼けるお嬢さんだな…コイツを使えよ。ケンドオヤジの芸術品だ。無くしたら犯すからな」
タナカは腰のホルスターに下げた拳銃を抜き、安全装置を確認してからトレーシーに渡す。
M1911A1。殺傷力の高い、.45ACPを使用する古い銃で、構造が丈夫でグリップも細いので、トレーシーの言うようにトンファと一緒に構えて使う事ができそうだ。
「装弾数は少ないから注意しろよ」
予備マガジンとホルスターを受け取ったトレーシーは、やれやれといった表情でそれを装備する。
タクシーは停車し、後部ドアを開いたSWAT隊員が、通りに散開した。
トレーシーとタナカはその後に続くが、通りの惨状を目にすると、声を合わせて唸った。

「「FUCK!」」

207 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/09/23 15:45 ID:5uFwJHWw
「そいつは死に損なってるぞ!処理してやれ!」
「何か喋れ!…クソ!」
「早く!早くするんだ!直ぐ後ろまで来てるぞ、走れ!」

警官隊と消防隊が共同でバリケードを築き、逃げ遅れた市民と死に損ないの区別を付けるための放送を、大音響でスピーカーから流し、応答しない者には即座に弾丸を浴びせた。
実際の所生きている市民は、もう殆ど残っておらず、さっきまで話していた市民が、突然腕に噛み付いてくる事もあり、状況は益々悪化しているのが目に見えた。
救急車は負傷者を運びつづけるが、既に病院でも死に損なう患者が出始め、安全な場所は何処にも無い、というのが正に現状だった。
『Fブロックに展開中の全署員へ。現場を放棄し、Dブロックまで後退せよ』
パトカーの無線機が、妙に無感情な指示を出すが、これはまだ良い方ろう。
もし、通信手までもか絶望するような状況ならば、その時は全ての署員が絶望する状況だろうからだ。
「聞いたな?ここはもうダメだ!下がるぞ!」
「奴らが来たぞ!凄い数だ、FUCK!地獄が溢れやがった!」
通りの先から溢れるように現れた亡者の集団は、警官隊やSWATが幾ら撃ったところで脚止めできる数ではなく、車やフェンスで作ったバリケードを乗り越えて近付いてくる。
狂った様に金切り声をあげ続ける、MP5サブマシンガン。
次々に赤いショットシェルを吐き出すショットガン。
ボロアパート屋上の隊員は狙撃銃を撃ち、通りに仕掛けた爆発物を爆発させた。
亡者の群は倒れ、また立ちあがり、立ちあがらぬ者を乗り越え、新たな亡者が現れる。
弾丸の空になったマガジンを取り替えようと、一瞬の隙を見せた警官に、亡者が数名群がり、悲鳴をあげる彼の体を引き裂き、腹を食い破り、臓物を食らった…生きたままだ!
他の警官たちは彼を助ける事も止めを刺してやる事もできず、ただもう、我先にと車に乗りこみ、現場を放棄し始めた。
トレーシーは自分に覆い被さるように襲ってきた亡者の側頭部をトンファで殴りつけたが、やはり殺すつもりで殴らねば動きを止める事はできない。
「クソ!放しやがれ化け物!」
いつもの彼女からは想像も付かないほど、女々しい声で叫び、遂に涙目になりながらも、強烈な一撃を気味の悪い顔面に討ち込むと、致命的な衝撃を脳に受けたそいつは、うつぶせに彼女に跨ったまま動かなくなった。
「クソ!クソ!何何だこいつら!」
「トレーシー!俺達もケツまくるぞ!」
タナカが空いたタクシーを一台、トレイシーの前に乗りつけた。
亡者の死体(今度は本当の)を押しのけ、立ちあがった彼女に向って、彼はショットガンの銃口を向ける。
「トレーシー!」
ギョッとして頭を下げた彼女の後ろ、1m背後に近寄ってきた亡者は、強烈な衝撃力を持つショットガンの散弾を受け、後ろに吹き飛ばされた。
トレーシーは思わず歯軋りするが、撃ったタナカ本人の表情も負けず劣らず壮絶だった。
死に損ない、今度こそ本当に死んでしまったそいつは、彼らの同僚の一人だったからだ。

208 名前:エリスinラクーンシティ 投稿日:05/09/23 15:48 ID:5uFwJHWw
トレーシーが助手席に乗り込むと、タナカは思いっきりアクセルを踏みこみ、猛スピードで走り出した。
前を塞ぐ亡者にかまう事無く、そいつらを轢き殺しながら、白と黒のタクシーは見る見る赤く染まっていく。
だがもし止まれば、待っているのは決して楽ではない死か、さらに最悪な死である。
助手席で蹲り、まるで子供のように震えて泣くトレーシーは、全く強がりでしかない、強い口調で罵り続けた。
「畜生!何だってんだ!どいつもこいつも、皆FUCKしちまった!畜生…タナカ!アタシが死に損なったら、ちゃんと殺せるか!?え!?ママに頼んでみろ!」
「その言葉そっくり返すぞインバイ!手前のツラを見な!」
涙と鼻汁とススで酷い事になっているであろう、自分の顔をサイドミラーに映そうと身を乗り出した彼女は、突然車の前に飛び出して来た幼女の姿に驚いて叫んだ。
「危ない!」
猛スピードで走行中慌ててハンドルを切った為、パトカーは歩道に乗り上げ、その拍子にひっくり返ってしまった。その際一瞬見えた幼女の顔は、紛れも無く亡者のそれであった。
まるでミキサーに掛けられたような衝撃を受けたものの、トレーシーは自力でパトカーから這い出ようとする。
が、まず相棒のタナカの様子を見るため、運転席の方を見た彼女は言葉を失った。
タナカはハンドルの隙間に頭が挟まり、簡単に死んでしまっていたからだ。
トレーシーは罵りつつ、彼方此方傷だらけになった身体を庇いながら、パトカーから這い出ようとする。
が、突然彼女の脚をタナカが掴んだ為、一瞬彼女は彼が生きている者と思ったが、彼が死に損なっているのに気付き、弱々しく悲鳴をあげた。
即座に銃を抜くトレーシーの目からは、もう涙も流れない。閃光と銃声が、ラクーンの夜空を切り裂いた…

「やぁああああああ!」
悲鳴とも怒声ともつかぬ声で絶叫しながら、エリスは亡者の群の中で必死に抗っていた。
次々に自分の方へ伸びてくる、血や膿に塗れた腕を切りつけ、身軽に跳躍しては距離を取る。
だがもはや痛覚の無い亡者達は、指を切り落とされようと怯む事は無く、やがてエリスは裏路地の奥へと追い詰められていった。
目の前に聳える壁は高く、また取り付く場所も無かったため、エリスの逃げ場は完全に塞がれてしまう。
後ろから響く無気味な唸り声に振りかえったエリスは、今度こそ本当に絶望の表情を浮かべた。
追いついた亡者達は、次々とエリスの細い腕や脚に掴みかかり、爪を立て、また柔らかく噛み付けそうな場所を探すように、衣服を噛み千切った。
「いやぁ!やだ!やめてぇ!」
ビリっと音をたて、スパッツが引き裂かれる。剥き出しになった健康的な太股に爪が食いこみ、血が滲んだ。
ジャケットが捲り上げられ、柔らかいシャツが噛み千切られる。引き締まった白い腹筋に、不潔な唾液がこぼれた。
その臍の辺りを噛み千切ろうと、亡者は口を開き、獣のような声をあげた、銃声と共にその亡者は頭を砕かれ、エリスの腹の上で動かなくなった。
エリスは自分の顔に血飛沫が飛んだ事に、心臓がすくみ上がるほど恐怖し、声を失ってしまう。
銃声は連続して鳴り響き、エリスを抑え付けていた死に損ない達は、次々に弾丸を受けて倒れた。

209 名前:エリスinラクーンシティ 投稿日:05/09/23 15:50 ID:5uFwJHWw
「エェーリィース!」
銃弾を撃ち尽くしたトレーシーは、即座に残りの死に損ないに飛びかかり、御得意のトンファで遠慮無く、相手の頭部を打ち砕いていて行く。
まるで体操選手並の柔軟さは、市民ホールでエリスが見せた芸に負けず劣らず、鍛え上げた四肢から繰り出された“迷いの無い”一撃は、死に損ないの頭蓋骨を陥没させ、脳を破壊した。
目に付く最後の亡者を蹴り倒し、素早く新しいマガジンを叩きこんだM1911A1の銃口を押し当て、顔に血がかからぬ様左手で庇いながら引き金を引き、止めを刺した。
「ケガはないか!?どこかやられたのか!?歩けるか!?」
いつもより激しくまくし立てるトレーシーだが、すっかり怯えているエリスからは、ちゃんとした答えは返って来ない。
「何とか言ってくれよエリス!血が出てるじゃないか!傷を診せな!」
「…そっちだって傷だらけだよ!」
やっと戻ってきた答えがそれだった。
トレーシー自身、先程交通事故に合ったばかりであり、満身創痍とまでは行かないまでも、頭から血をダラダラ流しているし、腕にも大きな痣があった(ひょっとしたらヒビくらい入っているかもしれない)。
彼女にはどうも、民間人が危機に瀕していると他に頭が回らず、勝手な行動をしすぎる癖があり、良く上司に怒鳴られたものだ。
精神状態はと言えば、エリスは完全に参ってしまったようで、その場にへたり込み、両目をグーの手で抑えてメソメソと泣き続けた。
「エリース!頼むから傷を…!」
無理矢理エリスの手首を引っ張り、その白い肌に残る痛々しい歯型を目にしたトレーシーは、見る見る自分の血の気が引いていくのを感じた。
傷口は変色し、出血が止まらずに赤黒い血が染みだし続けていた。この傷口は見覚えがある。
救助に成功した市民の内、やがて死に損ないとなって仲間に襲いかかってきた者達が受けた傷だ。
「………」
「トレーシー?腕が痛いよ、放して…トレーシー!」
ようやっとエリスの手首を放したトレーシーは、自分のその手を壁に叩きつけ、眉間に皺を寄せて唸る。
「こんなの…こんなのってあるか!FUCK!諦めるもんか!」
そして再びエリスの手首を掴むと、問答無用で走りだし、仲間が確保しているであろう、Dブロックへと向った。

「Die! Bitch!」
「Come on freaks! It`s dinner time! Eat mine!」
「Kill more! Kill all!」
Dブロックへ来れば一安心できる…トレーシーはその甘い考えに落ちついた自分に嫌気が差した。
ついさっきFブロックを放棄し、Dまで後退したばかりだというのに、警官隊は既に半数以下に減っており、ここでもFブロック同様、地獄絵図が広がっていたからだ。
『生きている人間は中指を立てろ!立てずに近付いた者は射殺する!』
スピーカーの指示に従い、トレーシーは中指を高らかに立て、エリスにもそれを強要した。
バリケードに向って走る二人にの背後に、死に損ないの群れが迫ると、警官隊は一斉に二人の援護射撃を開始する。
心なしか誤射を恐れるように頭を低くし、トレーシーはエリスの手を引くようにバリケードを乗り越えた。
途端に警官隊から、拍手と皮肉混じりの歓声が沸き起こる。

210 名前:エリスinラクーンシティ 投稿日:05/09/23 15:52 ID:5uFwJHWw
「ヒュゥ!最高にクールなナイトの御登場だ!しかも御姫様を連れてるぜ!」
「ついでに奴らも何とかしてくれよな!けっ!」
するとトレーシーは
「言ってろアバズレ共!」
等と毒づき(相手は“男”である)、半ば乗り捨てられていた救急車に乗りこむと、包帯や消毒液等を引っ張り出した。
救急車の後部ドアから中を覗きこんだエリスは、既に息絶えた警官の死体が担架に乗せられたままなのに気付くが、突然それが唸り声を上げたので、益々表情を暗くし、手にした短刀を死に損ないの心臓に突き立てた。
包帯と縫合セット、消毒液を見付けたトレーシーが顔を出すと、エリスは腕の噛み傷を見つめ、それからまた涙を流し始める。
「とれーぃしぃ…エリスも、きっとこんな風に」
「ならない!」
トレーシーはぐずぐずと泣き崩れるエリスの言葉を遮り、少女の頭を胸に埋めるように抱きしめた。
「絶対に、そんな事にはならない!…さっさと腕を出しな。ちょいとしみるが、我慢できるよな?」
「…うん!…ひぐっ」
救急車内のラジオからは、途切れ途切れの放送が流れた。
『……米軍は…を派遣……同市の封鎖を実行…』



翌日、エリスの容態は随分と悪化していた。
RPD本署には、まだ大勢の警官が生き残っており、他にも難を逃れて逃げ込んで来た民間人が何人も保護されていた。
しかし医薬品や食料の数は充分とは言えず、昨夜軍のヘリが投下した救援物資とて、署の人間全てに行き渡る事はなかった。
エリスは毛布にくるまり、冷たい床に座りこんだまま
「寒い寒い」
と震えた。

211 名前:エリスinラクーンシティ 投稿日:05/09/23 15:54 ID:5uFwJHWw
腕の噛み傷はズキズキと痛み、変色した部分は、もう肘まで登ってきている。
時おり、本署前を護るチームの銃声や爆発音が鳴り響き、その度にエリスは、毛布で深く頭を覆い隠した。
死に損ないの数は増える一方で、恐らく市民の50%以上が、既に通りを我が物顔で徘徊し、死肉を食らう化物と化しているだろう。
途切れ途切れに入る不確かな情報によれば、州軍やレスキューがヘリでの救助活動を行っているだとか、ラクーン市の建設に深く関わった【アンブレラ】という大手製薬会社が、私設部隊を投入するという噂もあった。
しかし今の状況を見れば明白な通り、それらが巧く行くのは稀だった。
署長のアイアンズはオフィスに引き篭もり、署を護る警官達の顔にも、とっくに疲れが見え始めていた。もちろん、トレーシーも例外ではない。
しかし彼女は見張りの交替時間を見計らっては、エリスの様子を伺いに来て、包帯を替えたり元気付けたり、随分と甲斐甲斐しく動き回った。
一体いつ休んでいるのか…恐らくは本人でさえ、最後に休んだのが何十時間前だったか覚えていないのだろう。
「とれぃしぃ…エリスも何か、手伝うよ…少しは休まないと、ね」
「何言ってんだ怪我人が!手伝うなら先に良くなれ!」
そう一喝し、エリスの広い額を指先で小突いたトレーシーは、同じく休息時間中に怪我人の手当てを行っている若い巡査、アーロンの側に立った。
「で、どうなんだ?救助はどのくらいで来るんだ?」
あまり希望的な答えが期待出来そうも無いので、他の市民達に聞こえないよう、小声で会話する。
すると返ってきたのは、案の定良いものではなかった。
「来れるならとっくに来てるさ。署の無線で助けを求めてはいるが、まるで応答が無い。ひょっとしたら無線封鎖されてるのかもしれない」
「そんな!それじゃ私達は…!」
「シ…!」
大声で叫びそうになったトレーシーの言葉を遮り、アーロンは目つきを鋭くする。
その視線の先にいたのは、酒瓶と拳銃を片手に立つ、役立たずの署長だった。
酔ったアイアンズは、トレーシーを見るなり顔を顰め、まるで自嘲するように笑う。
「“まだ”生きとったか新人?運のイイ女だ。だがもう終わりだぞ。この街から、誰一人だって生きて出られやせんのだ。本当だぞ」
トレーシーは仏頂面で無言の抗議を続けたが、アイアンズ署長は構わず、臭い息がかかる程の距離で嫌らしく囁いた。
「お前も直ぐに死ぬんだ」

212 名前:エリスinラクーンシティ 投稿日:05/09/23 17:46 ID:5uFwJHWw
それからアイアンズはエリスの前に座りこみ、その顔を掴むと、まるで舐めるようにジロジロと眺めまわした。
「美しい髪だなぁ…勿体無い。実に、勿体無い」
その時署長の瞳には、言い知れぬ狂気が篭っており、エリスは思わず
「ひっ」
と小さく悲鳴をあげた。
そしてトレーシーも署長の表情が、彼の自室にいくつも飾られた、あの悪趣味な剥製を眺めている時と同じである事に気付き、言い知れぬ恐怖を覚え
しかしすぐにそれを怒りに転化した様にいきり立つと、その太った大男を背後からトンファで締め上げた。
生きている人間に対して、これだけ明確な殺意を覚えた事等、トレーシーは経験がなかった。アーロンが慌てて止めなければ、殺さないにせよ確実に絞め落としていただろう。
署長はゼイゼイと肩で息しながら立ちあがり、トレーシーはそんな彼にドスの利いた声で
「次やったら、自分で飯を食え無い顎にしてやる!○○○○しかできない口にしてやるからな!」
と怒鳴った。
署長は顔を真っ赤にすると、まるで宣伝文句でも吐くようなワザトらしい声で言いふらした。
「見ろ、その小娘は感染してる!腕を見るんだ、奴らの噛み痕だぞ!その小娘の首を切り落とすか撃ち抜かなければ、奴らの様に我々を襲いかかってくる!」
途端に周囲にいた市民達が悲鳴をあげ、エリスの身体から離れ様と逃げ出し始めた。
アーロンも流石に驚いた様子で、腰のホルスターに収めた拳銃のグリップに手をやり、余裕の無い引き攣った表情を浮かべた。
皆の目に恐怖が宿り、やがて声があがり始める。
「何やってる!さっさと射ち殺せよ!」
「私達に近付かせないで!」
「ぼうっと、つっ立ってないで、早く何とかしろ!」
エリスはトレーシーがバカをやる前に、トンファを握ったまま震えている彼女の手を取り、細い声で弱々しく言った。
「もうイイよ…エリスが出ていけば、それで良いんだし…もう…迷惑掛けたくないよ」
最後の言葉は声が裏返り、そのまま崩れるようにトレーシーの身体に縋りつくと、不規則に嗚咽しながら泣き始める。
トレーシーは歯を食いしばり、眉間に皺を刻んで手を震わせた。
アーロンは腰の銃から手を離し、その手を震えるトレーシーの肩に置いて言った。
「悪く思うなトレーシー。俺達としても、感染者を署内におくワケにはいかない…」
だがトレーシーは、泣き続けるエリスを強く抱きしめ、まるで自分に対するように言い返した。
「……そんな事、この私が許すと思ってんのか?私にそんなマネができるか!コイツを、あの化物共の中に放り出すなんて!」

213 名前:エリスinラクーンシティ 投稿日:05/09/23 20:20 ID:Xk5KLza2
アーロン他、署員全員(アイアンズ署長を除く)の反対を押しきり、トレーシーはエリスと共に警察署から出る事になった。
もちろん、丸裸で死に損ないの群の中に飛び込むような自殺行為に至ったわけではない。
トレーシーはRPDを離れ、恐らくはここよりも医療設備が整っているであろう、ラクーンシティ総合病院に何とかして向う事にした。
「銃とタクシーは貰って行くからな」
トレーシーの要求に反対する者は居ない。
ラクーンシティにおける過去の犯罪で使用され、押収された火器類は、異変後には身を護る武器として利用されている。
今は武器庫となっている押収物保管庫には、そんなワケで様々な武器が用意されていた。
トレーシーは自分が受け持った少年犯罪…ストリートギャング(未成年者)による銃撃事件に使用された45ACP弾、それも違法に装薬の量を増やした強装弾を根こそぎ引っ張り出すと
タナカの形見となってしまったM1911A1ケンドスペシャルのマガジンに押し込んでいった。
元々軍用だったM1911は、無茶な威力の強装弾を使用しても、それに耐えうるだけの強度を持っている。
それも、このRPD署員達が絶対的な信頼を置いている『ケンドオヤジ』が手を加えた銃ならば、誤作動を起こしたり破損したりする心配もないだろう。
それからトレーシーは.22LRを装填したデリンジャーを1丁、内股に小型ホルスターで装備する事にした。
この銃は装弾数たった2発で、命中率も最悪なのだが、彼女は元から、これで死に損ないと渡り合う気等ない。
これは万策付きた時の最終手段…一発はエリスの頭に、残り一発は自らの頭に撃ち込む為の、自決用の銃だ。
彼女の性格からして、このような武器を携帯すると言う事は余程の事であり、まさに彼女の現在の精神状態を反映していると言えた。
まだガスの残っているパトカーにエリスとトレーシーが乗りこみ、地下駐車場から裏口へと抜けるゲートを開くと、アーロンはまるで思い止まらせる様子で、ハンドルを握るトレーシーにアドバイスを残した。
「病院は多分、感染者達にヤラレちまってる。それより、アンブレラ社アークレイ支部研究施設に行ってみろ。S.T.A.R.S.の話が本当だったなら、アンブレラ社は何か解決法を用意しているはずだ」
「Thanks Aaron. んまっ」
トレーシーはその好青年に、いつもの様な軽い笑顔を見せ、投げキッスを浴びせると、地下駐車場のシャッターが完全に上がりきる間もなく、アクセルを踏みこんで荒っぽいドライブへと洒落こんだ。

通りを歩く者の中に、生存者等とうに残っていなかった。
二人を乗せたパトカーは、死に損ないを跳ね飛ばしながら、猛スピードでアンブレラの施設へと向う。
が、交差点を直進しようとしたその時、突然左から高そうなスポーツカーが飛び出して来た為、慌てて急ブレーキを踏んだ。
「クソッタレ!そう何度も事故ってたまるか!」
何とか接触は免れたものの、スポーツカーはスリップし、街頭に突っ込んで縁故してしまった。
パトカーを降りたトレーシーは、銃を油断無く構えてスポーツカーに近づく。
すると、運転席のドアが開くと同時に、中からM4A1カービンの細い銃身が顔を出した。
しかしトレーシーはそれにも怯まず、ドスの利いた声で言った。
「信号無視(?)した上、現役の警察官相手に銃向けるとは、中々良い度胸だ!両手を頭の後ろで組んで顔出しな!」
「勘弁してくれよカワイコちゃん。人間同士仲良くしようや」
銃口は引っ込み、替わりに軽軽しい若い男の声が返って来た。
同時に、バタンと助手席のドアが開き、スポーツカーのボンネットを遮蔽物としてAK47を構える小太りの黒人男性が現れた。
運転席の男は言った。
「ニ対一だぜ。ここは御互い丸く治めるとしようじゃないか。俺達はお前達を助けに来たんだ」

214 名前:エリスinラクーンシティ 投稿日:05/09/23 20:23 ID:Xk5KLza2
確かに男の言うと通り、人間同士で睨み合っている暇は無い。交差点には物音を聞きつけ、死に損ない達が集まってきている。
それでもトレーシーは、この武装した凸凹コンビを信用できなかった。男達の着ていた戦闘服に、アンブレラ社のマークが標されていたからだ。
彼らはアンブレラが市民救助を目的に派遣した私兵部隊で、カッコ良く登場するはずが返り討ちにあい、部隊は散り散りになり、今まで何とか生き残って来たのだと言う。
やせっぽっちの白人男性は、トレーシーらがアンブレラの研究施設へ向う途中だと知ると
「丁度良い、俺達も其処へ向う所だ。社用のヘリポートがあるらしい」
と、調子の良い口調で答えた。

ノッポのイタリア系白人男性はルイージ、小太りの黒人男性はサイモンと名乗り、それぞれ助手席とエリスの隣の後部座席に乗りこんだ。
サイモンはどうやら衛生兵のようで、エリスの容態を直ぐに診抜くや、荷物を開いて白いカプセルを幾つか取り出す。
「コイツを使え、病院から頂戴した抗ウイルス剤だ。時間稼ぎにはなる」
エリスはサイモンから渡された水筒でそれを飲みこむと、苦しそうに何度か咳き込んだ。
トレーシーは『人命救助ってのは、案外本当かもしれないな』と心の底で呟いた。

アンブレラの研究施設は、遠くからもすぐにそれと判る、田舎町には不似合いなドーム状の建物だった。
こんな危機的状況でも、強力なサーチライトは建物全体を、ぼうっと白く浮かびあがらせている。
4人の乗るパトカーはフェンスを突き破り、そのまま受け付けのある建物の入り口に突っ込んだ。
途端に警報が鳴り響き、無感情な声は異常を伝え続ける。
『東棟に侵入者。警備員は直ちに向ってください。東棟に侵入者。警備員は直ちに向ってください。東棟に』
この状況でまさか、本当に武装した警備員がやってくるとは思えないが、死に損ない達がいないとも思えないので、誰一人武器を手放さなかった。
4人は二手に分かれ、ルイージとサイモンはヘリポートを調べに、トレーシーはエリスを担ぐようにして、彼女を救う方法を探し始めた。

研究開発棟である、この東棟には、様々な実験設備やサンプルがあり、その中には明らかに違法な人体実験や遺伝子操作の産物があった。
研究員達は慌てて逃げ出したか、それとも死に損なってどこかを徘徊しているのかは分からないが、とにかく多くの資料やファイルが処分されずに残されていた。
そしてそれら全てが、あの『洋館事件』を生き延びたS.T.A.R.S.の言葉を裏付けている。
トレーシーは彼らの言葉に一切聞く耳を持とうとしなかったアイアンズ署長に対する怒りを覚えたのと同時に、言い知れぬ不安も感じた。
あのアイアンズが、もしかしたら裏で手引きをしていたのではないか?そしてあの時、一体誰に電話し、何故あれほど取り乱していたのか?
RPDを追い出される前に、酔ったアイアンズが吐いた言葉が、妙に頭に引っかかった。
『お前も直ぐに死ぬんだ』

215 名前:エリスinラクーンシティ 投稿日:05/09/23 20:28 ID:Xk5KLza2
「まさかね」
そんな懸念を追い散らすように彼女は頭をふり、肝心の解決法とやらを探すべく、尚も入念に書類の山を引っ張り出し、目を通しては捨て、また新たに引っ張り出した。
その殆どが専門知識を必要とする難解な物で、恐らくはエリスを救うのに何の役目も果たさないであろう事だけは分かった。
そうこうしている内にも、エリスは益々衰弱し、既に自分で歩く事も不可能な状態になっていた。虚ろな瞳は宙を見つめ、呼吸もままならず、体温は異常に低いにも関わらず、全身汗まみれだ。
「Ellis! Are you kidding?! It`s fuck`n not funny! Come on, wake up! Show me your smile, baby!」
トレーシーは顔を歪め、エリスの身体を強く揺すって泣き叫ぶ。
しかしエリスは遂に反応せず、細かった目を完全に閉じて、そのまま意識を失ってしまった。
「NO! Ellis! Wake up! Open your eyes, Ellis! Elli-s!」
叫びながら肩を揺すった拍子に、エリスの背中は寄りかかっていた棚に叩き付けられた。
衝撃で棚は傾き、上の方にしまわれていた物が、ドサっと落ちてくる。
特殊樹脂で作られていた、そのケースに書かれていた文字を見た途端、トレーシー思わずは飛びあがってしまった。
「『試作アンチウイルス 持ち出し厳禁』!」
ケースを無理矢理こじ開け、中に収められていた注射針を取りだし、エリスのすっかり変色した手首に打つ。だが効果は現れず、意識は戻らない。
トレーシーはその場に膝を付き、肩を震わせて泣いた。
「ゴメン…ゴメン!ゴメン!」
そして内股のデリンジャーを抜くと、それを俯いたままのエリスの頭部に向ける。構造上重くなっているデリンジャーのトリガーが、カチカチと音を立てた。
しかしトレーシーは発砲する事ができず、肩を落としてしまう。彼女は再び震える手で銃を持ち上げ、それを自分の米神に当てた。
.22LRの花火のような破裂音が響き、天井に小さな穴が穿く。
白煙をあげるデリンジャーはしかし、トレーシーの米神からは僅かにずらされていた。
自殺を図ろうとした彼女の腕を、エリスの白い手が抑え付けている。その顔には…あの花のような笑顔が浮かんでいた。
「やーい、ひっかかった」
「この…クソガキが!」
トレーシーはこの時、一瞬殺意を覚えたらしい。

『カワイコちゃん。返事しろカワイコちゃん』
「うっさい!カワイコちゃん言うな!」
トレーシーの無線機から、ルイージの軽軽しい声が響く。
『ヘリポートは確保した。だが肝心のヘリがねぇ』
「役に立たない男だね」
『そうでもねぇぜ。社の緊急通信回線が生きてる。非常時に使うやつだ。コイツで社に救出ヘリを要請した』
「え、誰々?この人トレーシーの彼氏?」
「うっさいバカガキ!」
『ヘリは一時間後に到着する。それまで一緒に御茶でもいかが?』
「寝言言ってろ」
そう言いつつ、トレーシーはホっと胸を撫で下ろした。
全て巧く行ったのだ。

一時間後、約束通り到着したヘリのプロペラ音に、二人は抱き合って大喜びした。
これでやっと逃げられる。これでやっと帰れる。
だがそれは、救出用ヘリ等ではなかった。

216 名前:エリスinラクーンシティ 投稿日:05/09/23 21:09 ID:Xk5KLza2
ヘリポートに着陸したヘリから、黒い戦闘服を着こみ、単眼の暗視ゴーグルを被った男が降りてきた。
一足先にヘリポートについたルイージとサイモンは、自分達こわっぱ傭兵が中々御目にかかれないような雰囲気の男に、思わず姿勢を正して敬礼する。
すると戦闘服の男は、低い威圧的な声で言った。
「保護した民間人は?」
「はっ!二人であります!現在東棟研究室で休息中です!」
「…後はこちらで処理する。お前達二人はヘリで検査を受けろ」
「…?処理?」
二人が首をかしげていると、戦闘服の男はヘッドマイクに向って、何かのコードを打ち、続いて指令のような言葉を吐いた。
「全UTユニット、起動」
その声に導かれるように、大型の輸送ヘリの後部ハッチから、ゾロゾロと猿のような不自然な姿勢の兵士達が現れる。
彼ら8人は皆同じ黒い戦闘服と単眼ゴーグルを装備し、MP5サブマシンガンで武装していた。
その動きはまるで人間的でなく、何かの動物の様に見える。彼らは律儀に隊列を組み、指揮官である男の後に付いて、エレベーターを降りていった。
「銃は使うなよ。上の二人に聞かれると、仕事が増える」

エリスとトレーシーの二人は、ヘリポートへと向うエレベーターの前で彼らと接触した。
その異様さに思わず警戒心を感じたが、指揮官らしき男は何とも業務的な口調で言った。
「武器はしまえ。救助ヘリに乗る前に、二人とも血液検査をしてもらう。保菌者を外に出すわけにはいかんのでな」
トレーシーは特に抵抗する気は無かった。
例え相手が、この事件の元凶を作り出したアンブレラの人間だとしても、とりあえずは自分達を助けに来たのだろうからだ。
「ならさっさと検査してくれよ。ウチらはビョーキなんざ持ってないから」

ヘリに乗ったルイージとサイモンは血液検査を受け、二人とも陰性だった為に事無きを得た。
だがどうしても、先ほどの不気味な部隊の事が気になり、ヘリのパイロットに色々と聞いてみることにした。
「なぁ兄弟、さっきの連中は何だ?」
「ありゃ、社の新しい玩具さ。指揮官の野郎以外は、全員バケモンなんだと」
「何だってそんなもん、民間人の救助ヘリに乗せるんだよ」
「知るか。大方実戦テストでもする気なんだろ。今ラクーンの彼方此方じゃ、社の新製品が実戦データを収集されてるって話だぜ。
これ以上首突っ込むなよ。俺だって長生きしてぇんだ」
操縦席に顔を出していたルイージは、その時ヘリの液晶モニターに映し出されているデータを見て驚愕する。
あの女刑事、トレーシーの顔写真が表示され、赤字で『最重要目標。死亡を確認する事』と標されていたからだ。

『カワイコちゃん!逃げろ!そいつら殺し屋だ!』
突然無線機からルイージの怒鳴り声が響き、それを聞いたトレーシーは咄嗟に、自分の左側にいた奇妙な兵士をトンファで殴り倒した。
エリスも素早く反応し、右側でナイフを構えていた兵士の手首を切りつける。
そして素早く背を向けると、脱兎のごとく走りだし、あっという間に部屋を出て廊下を逃げ出していた。
まるで獣のような甲高い悲鳴をあげ、兵士はのたうち、やがて煙と泡をたてて液状化し始める。
指揮官の男は舌打ちし、またしてもヘッドマイクにコードを打つと、指令を出した。
「全UTユニット、銃の使用を許可する。あの二人を殺せ…一々命令しないと動けんのか、ゴミが!」
彼の号令と共に、兵士達は猿の様な動きで走りだし、二人を追い始めた。
指揮官の男は更に、ヘリを介して無線を通じ、本部へ連絡した。
「こちらUTコマンダー。目標の民間人は、最重要目標の一人と判明。【タイラント】量産型の使用許可を求む」
『【タイラント】量産方の使用は、そちらの状況判断に任せる。そこの実験施設には1体が保存され、いつでも起動可能な状態だ』

217 名前:エリスinラクーンシティ 投稿日:05/09/23 21:11 ID:Xk5KLza2
白く特徴の無い、ともすれば道に迷いそうになる研究施設の廊下を走る二人は、背後から距離を縮めてくる、ヒタヒタという足音に気付いた。
これではいずれ追いつかれると判断したトレーシーは、こちらから打って出て相手を倒す事にし、エリスもそれに賛成した。
「逃げるのも飽きたもんね!」
「暴れて大丈夫か?」
「身体の丈夫さだけなら、どっかの筋肉女刑事にも負けないモン」
「泣かすぞバカガキ!」
トレーシーは怒鳴りながらも、廊下の角から顔を出した最初のUTユニットに向って銃撃を加える。
そいつは胸に強力な45ACPの強装弾を受け、突き当たりの壁に叩きつけられると、そのまま解けて消えてしまった。
しかし後続のUTユニット達は、妙に細長い手を角からぬっと伸ばし、銃だけをこちらに向けて反撃して来る。
トレーシーは床に這いつくばって唸るが、既にエリスは驚くほどの瞬発力で曲がり角に飛び出していて、サブマシンガンを乱射する3体のUTユニットの背後に、まるで宙返りする様に飛びあがった。
銃の間合いの内側に入られたUTユニット達は、銃を捨ててナイフを抜こうとしたが、その隙を与えず、エリスは流れるような動きで手首を切り裂いていく。
あっという間に三つ分の水溜りができあがり、エリスは勝ち誇ったようにポーズを決めた。
だが喜んだのも束の間、残りニ体のUTユニットは天井の通気候から腕を伸ばし、それぞれ別々の位置にいる二人をそこから銃撃した。
「FUCK!仕方ない…エリス!別々に逃げてヘリポートで落ち合うよ!行け!」
「うん!」

ヘリの中では、二人を助けに出ようとするルイージと、それを静止しゆおとするサイモンの押し問答が繰り広げられていた。
「何考えてんだ白いの!折角助かった命だぞ!」
「放しやがれクロ○ボ!ここでカッコイイ所見せないでどうする!」
ルイージはヘリに常備されていた対大型変異生物火器、バーレットXM109 25mmペイロードライフルを抱え、ヘリの後部ハッチから飛び出そうとしていた。
この化物のような火器は、ウイルス感染によって生じた想定外の変異生物…ラクーン市の彼方此方で報告されている、巨大化した感染生物に対抗する為に、急遽配備された物だ。
「格好つけてんじゃねぇぞ白いの!降りた途端、さっさと飛び立っちまうからな!」
「信じてるぜクロ○ボ、パイロットの頭に銃突き付けて、ここに張り付かせとけ」
「FUCK!いっちまえクソッタレ!」
その後一言二言汚らしい会話を交し、ルイージはヘリから降りてエレベーターに乗りこんだ。

エリスは来た道を戻り、ヘリポートへと出るエレベーターの方へと向っていた。
少しトレーシーの事が心配になったが、そんな事知られたらまた怒鳴られるかな、と明るく考える事にした。
突然目の前の天井からパネルが外れ、通気口の奥からUTユニットが、まるで蜘蛛の様に這い出してきた。
銃弾の切れた銃は既に捨てたようで、今は動きやすいようにタクティカルナイフを構えている。
そのヌラリと光る刃は、背の部分に溝が彫られており、刺されればそこから出血し、深手は免れないだろう。
即座に身構え、最初の一撃を見定め様としたが、そんなエリスの頭上、天井のパネルが落ち、2匹目のUTユニットが現れると、エリスは思わず抗議の声をあげた。
「もう!何で両方ともこっちに来ちゃうの!」
頭上のUTユニットは、長い腕を振りまわしながら下のエリスを切りつけようとし、エリスがそれを寸での所でかわすと、もう1匹が間髪いれずに襲いかかってくる。
そしてその間に天井に隠れたUTユニットは、また次の攻撃ポイントに移するため、エリスは反撃の隙を得られず、防戦一方となった。
やがてエリスの動きに隙が見え始め、UTユニットの持つ鋭いナイフは、着実に白い肌を切り裂き始めた。
「いやっ!」
避しきれなかった一撃が、エリスの右足太股を掠め、避けたスパッツの下から覗く肌に血が滲む。
思わず傷口を庇おうと蹲るが、その瞬間、天井から伸びてきた腕に光るナイフが、今度は左肩に食いこみ、ブカブカのジャケットは裂かれ、細い肩の骨に当たって止まった。
「きゃぁあ!うわぁ!」
二度目の悲鳴を待たず、UTユニットは攻撃を続け、エ身体に飛びつかれたエリスは、、そのままうつ伏せに押し倒されてしまう。
その際、UTユニットはエリスの態勢を崩す為に、肩口に食い込んで止まったナイフを掴み、力任せに捻った為、エリスは激痛に耐えられず、なすがままに屈辱的な姿勢をとらされた。
そして綺麗な髪を掴みあげ、顎を上げさせると、その喉に冷たいナイフの刃を当てる。

218 名前:エリスinラクーンシティ 投稿日:05/09/23 21:14 ID:Xk5KLza2
「いっ…やぁ!」
エリスは傷口の痛みに歯を食いしばりながら、柔軟な関節と鍛えた背筋をしならせ、両足で背中に跨っているUTユニットの身体を掴むと、そのまま後ろに引き倒す事に成功した。
頭部を強く打ち付けたUTユニットは、首の骨の折れる鈍い音と共に沈黙し、異臭漂う水溜りと化した。
残り1匹、天井の通気口に隠れていたUTユニットは、得物もパートナーも失い、もはや戦闘能力を失った為、機密保持の自爆装置が作動したか、ひとりでに解けて滴となり、床に滴り落ちてきた。
「トレーシー…」
出血の止まらない肩口の傷を庇いながら、エリスは女刑事の身を案じ、また来た道を戻ってトレーシーの元へと向う。

等のトレーシーはと言うと、残りのUTユニットが全てエリスの元に向った事など知らず、そして自分の元には、更に恐ろしい相手が近付いてきているのにも気付いていなかった。
M1911A1をとトンファを構え、天井と通路の先を交互に警戒しながら、ドーム状の建物をぐるりと回るように進んでいく。
しばらく神経を尖らせながら進むと、前方の自動扉が左右に開き、中からUTユニットの指揮官が現れた。
武器は構えておらず、全く隙だらけだったので、トレーシーは迷わず走り出す。
もし取り押さえる事ができれば、アンブレラの研究を暴ける証人になるかもしれない。
だが、即座にトンファで殴りつけ様としたトレーシーは、指揮官の男の後を追って現れた、巨大な人影によって殴り飛ばされてしまった。
「…う…ぁ…」
まるで解体用の鉄球を打ち付けられた様な衝撃を受け、廊下の向こうの壁に叩き付けられたトレーシーは、呼吸もままならぬほど胸を打ちつけられ、その場に這いつくばって口から胃液を吐き出した。
何とか立ちあがり、新手の刺客の姿を見据えると、その姿はまるっきり人の形ながら、体格は異常に大きく、全身を弾丸も徹さなそうなコートで覆っていた。
殴られた拍子に無線機は破壊されてしまい、助けを求める事もできそうにない。
「紹介するよ、【タイラント】だ。ウチの最高傑作でね。どうだ、効いだろう」
「………Bitch!」
トレーシーは最初の一撃でアバラにヒビが入り、内臓にも酷く衝撃を受け、血を吐き出しながらも、トンファを構えて相手を挑発した。

トレーシーを追ってやって来たエリスは、やがて聞こえてくる、奇妙な音に不安を覚えた。
まるで、精肉所に吊るされた肉の塊を、バッドで殴りつけるような音。その音の正体は、すぐにも目にする事になった。
まるで風に吹かれる木葉の様に吹き飛ばされ、エリスの身体に激突したそれは、壊れた人形のように力なく床に転がり
「ゲハッ」
と赤い血を吐き出したのは、他でもない、あのトレーシーだった。
「ト…トレーシー!」
良く見れば左腕は無残に折れ、それでも健気にトンファを掴んだままだ。
トレーシーは張れあがって殆ど見えていない目を開き、エリスの顔を見上げると、普段の彼女からは想像もつかぬ程弱々しく
「にげて…」
と言い、産まれたばかりの子羊の様に脚を震わせて立ちあがると、残った右手でM1911A1を構えた。
その銃口の先には、仰ぐほどの巨体を持つ大男と、それの後ろで腕を組んでいる指揮官の男が居た。
トレーシーは45ACP強装弾を放つが、タイラントの身につける防弾拘束服はそれを受けつけず、マガジンの空になった銃はスライドが後退したまま沈黙しつづけた。
左手が折れている以上、マガジンを取りかえる事はできない。再びその場に倒れこんだトレーシーは、もはや小さくうめくのみだった。
「トレーシー!…この、やったなぁ!」
エリスは短刀を構え、トレーシーの静止も聞かずに、勇敢にもタイラントに立ち向かっていく。
が、いくら小ぶりな刃で切りつけようと、素早い動きで翻弄しようと、強靭な生命力と耐久力を持った究極のB.O.W.は動じず、ただ軽く、拳の甲を横に振りぬけるだけで、エリスの小さな体は、やや回転しながら宙を舞ってしまった。
「うぅ…」
立ちあがろうとするエリスの細い身体を、タイラントの巨大な手が掴みあげる。
そしてそのまま、まるで握りつぶすように力をこめ始め、エリスの身体は彼方此方で、ミシミシと骨が鳴り始めた。
「うああぁぁ!誰か助け…っあぁぁ!」
目と口を大きく開き、余りの激痛に悲鳴をあげるが、手の力は益々強くなっていく。
トレーシーは塞がりかけた視界の中で、激痛に喘ぐエリスの姿を見ると、歯を食いしばって絶望に震えた。
「こんな…こんな所で…」

219 名前:エリスinラクーンシティ 投稿日:05/09/24 07:59 ID:guQfF9UY
強烈な破裂音と共に、タイラントの右腕が拘束服ごと引き千切られる。
続け様に鳴り響いた爆音は、その度にタイラントの身体に25mm対B.O.W.弾(Tウイルスによって変異した生物に対し、その活動を停止させる薬品)を打ちつけ、巨体は見る見る内に変形していった。
やがてタイラントは力尽き、その場に倒れこむと、エリスは拘束の苦しみから解き放たれ、激しく肩で二、三度呼吸してから、満身創痍となっているトレーシーに駆け寄った。
「トレーシー…」
「生きてるかカワイコちゃんよ!ナイトの到着だぜ!」
「うるさい…傷に、触るだろ…」
25mmペイロードライフルで助太刀に来たルイージ、同じく満身創痍になりながらも他者への思いやりを失わないエリスは、こんな状況でも憎まれ口を叩くトレーシーに安心して胸を撫で下ろした。
「ひでぇツラだぜカワイコちゃん。マジだぜ。それじゃ歩けねえだろ。俺の肩を使いなよっと」
重いペイロードライフルを放りだし、替わりにトレーシーの身体をヒョイと担ぐと、ルイージはエリスを連れてエレベーターへと向っていった。
その後ろでは、指揮官の男がタイラントの死骸を眺めながら、まるで唾でも吐くように罵声を浴びせていた。
「何が究極の生物兵器だ。とんだ役立たずだな!」
しかし彼がヘッドマイクで通信を試み様とした時、突然タイラントの死体が、まるで痙攣したかのように震え、やがて
「ドクン、ドクン」
という、心臓の鼓動音が、人間のそれとは比べ物にならない程大きな音が鳴り始めた。

エレベーターの扉が開き、ラクーンの空が見えると、三人はようやく安堵の吐息を吐き出した。
ヘリはアイドリングを続け、ローターの回転で巻き起こる風は、痣だらけになったトレーシーの顔にしみた。
「生るってのは、痛いもんだ…」
「キャハ!トレーシーったら詩人さんだね!」
「お前のキャラが一番痛い」
だが喜ぶ三人を嘲笑うかのように、再び彼らの前に、あの究極の生物兵器が姿を表す。
二、三度、ヘリポート全体を押し上げるかのような強い振動が起こり、エレベーターの前の床が盛り上がったかと思うと、それが轟音と共に砕け、空いた穴からは更に巨体になったタイラントが現れた。
生命維持機能が限界に達し、安全装置が解除されてしまったタイラントは、もはや原型を止めておらず、膨れ上がった身体は拘束服を引き千切り、外にはみ出した巨大な心臓は、ドクドクと鼓動していた。
引き千切られた右手に替わり、異常に発達した左手は長く巨大で鋭い爪が伸び、その先には、鮮血を滴らせている、指揮官の死体が串刺しにされていた。
「畜生、まだ生きてやがった!…おれが囮になってやるから、その隙にヘリに乗りこめ!」
このごに及んでも格好をつけたがるルイージだが、言葉に反してその脚は震え、額からは止めど無く汗を流していた。
「ふざけろキザ野郎!私を置いてけ!走れるのは二人だけだろ!」
警察官としての職務からか、トレーシーはルイージの腕から逃れるべく暴れたが、ルイージは彼女を放さなかった。
実際問題として、誰が脚止めしようと時間稼ぎにはならず、ヘリは離陸する前に破壊されてしまうだろう。
生き残る為には、あれを倒すしか道はない。
「エリスが…エリスが脚止めするよ!ヘリから何か武器を取ってきて!早く!」
「生意気言うなバカガキ!…こら!放せこの!」
「頼んだぜお嬢ちゃん!」
ルイージは暴れるトレーシーを無視し、ヘリへと走っていく。
実際、今一番素早く動き回れるのはエリスだけで、武器の使い方も分からない彼女がヘリに行った所でどうする事もできない。
だからその答えだけが、唯一残された道だった。
トレーシーはエリスの名を叫びつづける。喉が裂けるほどに…
「エリース!」

220 名前:エリスinラクーンシティ 投稿日:05/09/24 08:01 ID:guQfF9UY
右腕を失ったタイラントを相手にするならば、必然的にそちらへ逃げれば、相手の死角に入る事になる。
当然エリスはそれを見ぬき、その巨体に似合わず素早い動きで襲いかかる生物兵器の右側に逃げ回り、巨大な爪による攻撃を避け続けた。
鋭い爪を、あの強力な腕力で打ちつけられれば、腹に当たれば腹を裂き内臓を引き千切り、顔に当たれば眼球を抉って床に撒き散らされてしまうだろう。
だからエリスには、その一撃一撃を見極め、掠る事すら許されなかった。生きる為、そして大切な仲間の為に…
だが、エリスの肋骨は既に悲鳴をあげ始めていた。
先ほどの戦いにおいて、タイラントの怪力で締め上げられた時、既に肋骨にはヒビが入り始めていたのだ。
それが、ほんの少しの衝撃…大きく右回りに側転し、着地をした瞬間、ヒビはミシミシと広がり、激痛は容赦無くエリスの動きを止めた。
「うあ…」
0.5秒動きが止まっただけだったが、タイラントの爪がエリスの腕を串刺しにするのには充分過ぎた。
金属のように高質化した爪は、エリスの細い右腕を貫き、肘をくの字に曲げたまま釘付けにした。
「いやぁっ!ぎゃぁああああああ!」
タイラントはそのまま、エリスの腕に爪を突き刺したまま、その身体を宙に掲げ、まるで弄る様に眺め回した。
エリスは足をジタバタさせるが、深く突き刺さった爪は抜けるはずも無く、ただ脚をつたって滴る血が床に撒き散らされるだけだった。
「いやぁっ!トレーシー!は…早くぎゃぅ!」
タイラントはそのまま、エリスの身体を床に叩きつけた。
突き刺さった爪が更に腕を抉り、その激痛にエリスは呼吸もままならなくなる。
弄ばれるように少女の小さな身体は上下し、その度に無様な悲鳴が響く。

「くそ…エリス!早くしろバカ野郎!何かないのか!」
「こいつならどうだ!」
ヘリにいくつか用意されていた武器の内、奥の棚に押しこまれていたM72 A2/A3 LAWロケットランチャーを引っ張り出す。
前と後ろの蓋を外て後部を引っ張り出し、倒されていた照準器を立てる。
だがそれを持ってルイージがヘリから顔を出した時…

何度が宙を舞った後、エリスは完全に動かなくなっていた。
タイラントはまるで興味が無くなったか、床に叩きつけるのをやめ、最後にもう一度顔を近づけて眺めまわす。
何とか意識を保っていたエリスは、その無感情な顔が近付いた時、薄っすらと目を開け、今だ手にした短刀を、ゆっくりと持ち上げた。
もうそれを、硬質なタイラントの皮膚を突き破るほどに振り下ろす力は無く、ほとんど落とす様にそれを振り下ろした。
刃はタイラントの右胸、剥き出しになった巨大な赤い心臓に突き刺さる。真っ赤な鮮血が舞い、無表情だったタイラントの表情が歪んだ。
腹の底を抉るような唸りをあげ、タイラントは膝をつき、うつ伏せに倒れこんだ。

「やっちゃったの?」
ロケット砲を構えていたルイージは、何とも拍子抜けな表情を浮かべた。
血塗れになった右腕を押さえ、肩で息をして床に倒れこむ少女。あの、満身創痍の小さな身体の横で、最強のB.O.W.…タイラントが力尽きている。
「やった…やったぁ!」
痛みに耐えながらも、エリスは勝鬨をあげた。

221 名前:エリスinラクーンシティ 投稿日:05/09/24 08:08 ID:guQfF9UY
ヨロヨロとヘリに近付くエリス。その瞳は眩しいほどに輝く。
彼女達には、明日が約束されたのだからだ。
だが、その後ろで横たわっていた巨大な骸は、再び邪悪な鼓動を再開した。
タイラントはムクリと立ちあがると、再び雄叫びをあげる。
「良い子はもう寝る時間だぜ」
ルイージはロケット砲のトリガーを押しこみ、強力な対戦車榴弾を発射する。当たれば、どんな相手だって木っ端微塵だろう。
白煙をあげてタイラントの腹に食いこんだロケット弾は、しかし爆発を起こす事はなかった。
「クソ!不発かよ!」
だが、ロケットは次の瞬間大爆発を起こし、タイラントの身体は四散、跡には何も残らなかった。
空になったロケット砲を構えるルイージの足元で、銃口の先から硝煙を立ち昇らせるM1911A1を構えたトレーシーは、鼻で一つ笑って見せる。
「不発はあんたのだけで充分だよ」
ロケット弾の信管は、発射後ある程度の距離飛ばなければ作動しない。



ヘリは飛び立ち、エリスとトレーシーは地獄からの生還を果たす。
汚れてしまった顔を見詰め合い、微笑み合う二人の頭にあるのは、一つだけだ。

早く、シャワーを浴びたい。

222 名前:194 投稿日:05/09/24 08:20 ID:???
抜けないな。誰か抜けるシチュでエリスネタ書こうよ。

223 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/09/24 19:31 ID:???
>>194
なかなかに読み応えのある力作、乙!

……だがしかし。
なぜだろう、リョナSSを読んでいるはずなのに、
途中から「二人とも助かってくれよ……!」と思ってしまった……。

俺もまだまだ、リョナニスタとして未熟か。

224 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/09/24 19:52 ID:???
>>194
いいよー! いいよー!
闘神伝+バイオハザードか〜!

まあ確かにリョナではないわな。
いつものパターンならタイラントでゲームオーバーな所だ。

しかしGJ! 良いモン読ませて頂いた!

225 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/09/24 22:04 ID:???
>>194
GJ!!

>そしてそのまま、まるで握りつぶすように力をこめ始め、エリスの身体は彼方此方で、ミシミシと骨が鳴り始めた。
>「うああぁぁ!誰か助け…っあぁぁ!」
>目と口を大きく開き、余りの激痛に悲鳴をあげるが、手の力は益々強くなっていく。

ここの3行、特に「誰か助け…」の部分、俺が一番好きなシチュwww
いや、関係ないか

226 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/09/24 23:17 ID:FJOfoKbg
絵を描いたんで即興でSSも書いてみた。

KOF、世界各国の格闘家を集めて行われる世界最大規模の格闘大会
その試合の一つがある国の刑務所で行われていた。
本来は三対三なのだが最終戦という事で場所を移され刑務所の奥には二人しかいない。
一人はその刑務所に収監されている身長2m、体重も200kgはあろうかという巨漢、
そしてもう一人は世界のアイドル麻宮アテナである。

対峙する二人、無傷で鉄球を構える男に対しアテナは既に肩で息をしている状態だ。
ほんの数分前の試合で名前も知らない小男につけられた切り傷も残り、服も所々破れたままである。
そして…
「サイコボール!」
「フェニックス・アロー!」
試合開始と共に持久戦だと勝ち目は無いと踏んだアテナが猛攻を仕掛ける。
「やっ!はっ!!」
「むぅぅ!」
防戦一方の男、アテナはさらに攻撃を続け、
「いける…!フェニックス…ファアング・アローー!!」
今自分が使える最大の技を出したアテナ、
…これで…倒れて…
「!?」
直撃を受けたはずの男は何事も無かったかのように鉄球を振り回し、
「あぐぅ!?」
なんとかガードは間に合ったものの、その上からでもアテナは相当なダメージを受けてしまった。
さらに男は鉄球を振り回し、アテナを追い詰める。
「くっ…あぅ…」
何とか直撃は避けているもののダメージは確実に蓄積されている。

227 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/09/24 23:17 ID:FJOfoKbg
そして男の鉄球が動きの鈍ったアテナの頭部をかすめた。
「うぁ…」
アテナの視界ははっきりしているが体がいう事をきかない。
そんなアテナの様子を察知した男は悠然と歩を進め、後ろに回りこみ…
「ぐぅぅぅっ!?」
男は鉄球をつないだ鎖でアテナの首を締め上げた。
ギリッ…ギリッ…
「ぐぅ!…うぅっ!」
必死でもがくアテナ。目には涙がにじみ始め、歯を食いしばった口からは涎がでている。
何とか逃れようと男の腹に肘を打ち付けるが男は全く意に介さない。
数秒後、未だ抵抗を続けるアテナ、その耳元で男が囁いた。
「あんたの無駄な抵抗は楽しかったぜ」
「!?」
男はそう言うと鎖を一気に引き上げた。アテナの体は宙に浮き、足をばたつかせる。
…私が…甘かったかな…
薄れ行く意識の中、アテナは心にそうつぶやいた。
自分は女であること、さらにアイドルであるという事から相手が手加減してくれる。
心のどこかでそう思っていたのかもしれない。
しかし、今自分が闘っている男は手加減している気配など微塵もない。
さっき闘っていた小男も、アテナに試合で勝つというより
アテナの体に傷をつけることが目的のような闘い方であった。
…もぅ、駄目…みんな…ごめんなさい…
アテナ腕がだらんと垂れ、気を失いかけた時、
「ぐわあっ!!」
男が叫びを上げ、アテナに対する戒めを解いた。
「ゲホッ…ゲホッ…」
急に床に放り出され、うつぶせのまま咳き込むアテナ。
意識も少し回復したがアテナにとってはあのまま気絶していた方が幸せだったかもしれない。

228 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/09/24 23:18 ID:FJOfoKbg
「この女ぁ…」
「!?…!?」
アテナには状況が理解できないまま男は殺気だっている。
実は全くの偶然なのだがばたつかせた足が男の股間を直撃していたのだ。
「ひっ、やめ…きゃあ!?」
男はアテナの足首を掴むとそのまま何度も何度も地面に叩きつけた。
「あうっ!…がはっ!……」
そして最後はしっかり仰向けになるように
「うう…」
男は手を離すとおもむろに足を上げた。
アテナはこれから何をされるか容易に想像できたが、逃げるどころか体を動かすこともできない。
「いやぁ…もう許して…」
涙目で大股を開いたまま懇願するが、その様子は男の加虐心を煽るだけであった。
「ひぎゃあ!!!」
男は巨大な足に全体重をかけ、アテナの股間を踏みつけた。
「はぐぅ!ふぎゅっ!!」
まるで尻尾を踏まれた子猫の様な悲鳴が刑務所に響きわたる。
十数回踏みつけた後、男は股間の上で足を止めゆっくり荷重を加えていく。
「ふぐっ…うあああ…」
だらしない悲鳴を上げ続けるアテナ、さらに荷重は増え
…げぼぉっ…
とうとう胃液が逆流し口からあふれ出る。
「あがばぁぁ…あぶっ…ぶごっ…」
それはもはや声ではなく醜い音でしかなかった。
涙、涎、鼻水、汗、胃液、血、それらアテナ自身のモノがアテナの顔を汚していく。
雑誌、テレビ、ラジオ等を席捲する麻宮アテナの姿や声はどこにも無かった。
そして
「うぐばああああああ!!!…あぅ…あぅ……」
男が荷重をかけきった時、アテナの意識は消えた。
次に目を覚ました時、アテナには筆舌に尽くしがたい刑務所の男達総掛かりによる陵辱が待っていた。

229 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/09/25 00:19 ID:???
KAMISAMA

230 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/09/25 03:10 ID:OSYcjE0k
>>エリスinラクーンシティ
読み物としても面白いし
何よりこの文字量を書ききったのには敬意
でも、ここはリョナ板だと思うんだ
俺はこういうのも好きだけど
最後は無残に死なないと納得しない人もいると思う

231 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/09/25 09:47 ID:lmzSCiWo
>>226

女の子ぼろぼろ,ボコボコが好きな私に絵,SS皆最高でした.


232 名前:エリスinラクーン Dead end ver 投稿日:05/09/25 19:10 ID:QiuV7S1E
>>194は、やっぱ物足りない人の為にバッドエンドバージョンも書いてみた!
バイオファン、エリスファン、双方のヒンシュクを買った!


『爆破処理機構作動。残り時間、35秒…30秒…29…28…27…』
無感情な自動アナウンスと、あちこちで起こる小爆発…そして得体の知れぬ怪物達のうめき声の中、エリスは疾走していた。
体中傷だらけになり、すすと返り血で汚れた顔にはしかし、必ず生き残って見せようとする決意が伺える。
もうほんの少し、後数十メートルも走れば、トレーシーが手を振る、アンブレラ社の輸送列車が待っているのだ。
「エリィース!飛び乗れ!」
列車は加速を始め、トレーシーは危うくホームの壁に顔をもぎ取られる所だった。
彼女の姿が見えなくなっても尚、エリスは諦めようとはしない。
猛スピードで駆ける列車の連結部分、ほんの少しの隙間に目掛け、驚異的な脚力と運動神経を駆使して跳躍した。

アンブレラ社地下施設のトンネルに入った列車の後方では、強烈な爆発が巻き起こり、その巨悪を業火で焼き尽くすかの様に、異形の者共を全て爆砕していった。

列車連結部の扉が開くと、そこから飛び出してきたエリスは、車内で待っていたトレーシーに飛びつき、抱擁し合った。
「やった、やったよ!私達、生き残ったんだよ!」
「この小娘!生意気にヒヤっとさせやがって!」
トレーシーはエリスの髪をくしゃくしゃと掻き回すと、涙混じりの笑顔で微笑んだ。
死線を超え、彼らには明日が保証された。
この暗いトンネルを抜ける頃には、朝日が覗いていることだろう…

ビー!ビー!ビー!

警戒色の赤と甲高い警報の音が、安心しきっていた2人の心臓を掴みあげた。
「何があったの!?」
やや怯えの篭ったエリスの瞳には、首をかしげるトレーシーの姿が、まるで無力に映った。
「私は操縦席を調べる。アンタは荷台を調べてくれ」
「う、うん!」
エリスは気丈に返すが、その声は明らかに不安に怯えていた。
彼女が連結部の扉を開き、その向こうに広がる暗闇に飲み込まれると、途端に扉は力強く閉まり、間を置かず
「ガチャリ」
とロックをする冷たい金属音が響く。
エリスも、その向こうのトレーシーも、互いに扉を叩き合って唸った。
「畜生!どうなってんだ!」
「わ、わかんないよ!」
『バイオハザード(細菌やウイルス、遺伝子操作の産物による生物災害を指す)発生。車両は逐次爆破されます』
またしても、あの冷たい警告音が鳴り響き、その声にエリスは思わず扉に両手をつき、俯いて涙を一つ二つ落とした。。
「も、もうヤダよ!」
「エリス、諦めるんじゃない!まだ何とかなる。荷台を調べるんだ!」
トレーシーの声は相変わらず力強く、エリスは幾度と鳴く勇気付けられたその声に、両手の震えを止めることに成功し、踵を返し、連結部の向こうに続く荷台へと向かった。

233 名前:エリスinラクーン Dead end ver 投稿日:05/09/25 19:12 ID:QiuV7S1E
列車の車輪がレールを叩く
「ガツンガツン」
という音が定期的に鳴り響く荷台。
そこには、研究施設へ搬入される予定であった薬品類がいくつか置かれ、しっかり固定されていたそれらは、列車の振動にも耐えてその場に居座り続けた。
バイオハザードが発生し、車両の連結部が封鎖されたという事は、ここにウイルスが漏れ出したか、あるいは…もっと悪いものが侵入したのか…
そしてエリスの不安は、悪い方に的中してしまう。
突然天井の格子が、すさまじい力で弾き飛ばされ、そこから何とも不気味な、滑り気を帯びる触手が踊り出し、まるで獲物を探す蛸か烏賊の足のようにのたくった。
思わずあげそうになった悲鳴を飲み込み、エリスはややへっぴり腰の姿勢で回れ右すると、連結部の方へと向かって逃げ戻る。
「ガチャリ」
その音はエリスの目の前を真っ暗にするには十分であった。
連結部の扉は力強く閉じられ、少女の細腕がいくら叩こうとびくともしない。
「あぁぁぁ…ぁあぁ…」
恐怖に震えるエリスが振りかえると、そこに居た者の姿を見たエリスは遂に耐えきれず、甲高い悲鳴をあげてしまった。
この数日、ラクーン市での災厄(実際には人災であったが)に巻き込まれた彼女は、製薬会社を隠れ蓑に生体兵器の開発を行っていたアンブレラによる惨状…
人の肉を食らう死者、様様な異形の姿を持った魑魅魍魎としか言い様の無い怪物達を目の当たりにしてきたが、今彼女の目の前に存在するそいつは、元が何の生き物だったのか創造することも許さぬ、禍禍しい者だった。
列車の荷台を飲み込むほどに肥大化した体は、既に原型を留めておらず、骨格も脊椎も退化し、まるで軟体動物のようにブヨブヨト伸縮しながら、這うようにエリスの方へと向かってくる。
その巨体の真中辺りには、まるで食欲の権化のような巨大な口…というよりは、歪に牙の並んだ穴がぽっかりと開き、巨体が波打つたび、それも不気味に伸縮して蠢いた。
体と列車の壁面の隙間からは、ぬたぬたとのたくる四本の触手が、エリスを口の方へ運ぼうと、ぶんぶん空を切って唸っていた。
「お゛え゛あ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁぁ!」
腹の底まで響く唸り声に、エリスの脚はがくがくと震え、その場にへたり込みそうになる…が、エリスは最後の時まで諦める事はしなかった。
半場やけくそになったように一声
「やぁっ!」
と叫ぶと、目に涙を湛えたまま、細身の短刀を両手に構え、健気に飛びかかっていった。
ブンと風を切って触手が唸り、エリスの体を打ちつけようとするが、それを華麗にすり抜けると、辛うじて頭部の原型を留めている(と思われる)部分に、×の字を描くように切り付ける。
ビシッと血が舞い、化け物は一声咆哮するが、そいつに対しては余りにも虚しい抗いとなった。
四本ある触手は、今度は一斉にエリスに襲い掛かり、常人場慣れした動体視力を持つエリスは、それを寸でで回避する…が、長くは続かなかった。
ほんの一瞬、エリスの広い額から滴った汗の一滴が、彼女の右目にこぼれて視界を塞いだ瞬間、太く強靭な触手はエリスのわき腹を強烈に打ち付け、列車の壁面にその小さな体を叩きつけた。
「がぁっ!?」
ミシミシとあばらにヒビが走り、ついで破裂した臓器から逆流した血は、エリスの口からドクドクと吐き出された。
思わずその場にうずくまり、両手の武器を手放してしまったエリスの背中を、残り三本の触手が続けざまに打ち、その度に固い床に叩き付けられたエリスは
「あっ!あぁっ!うあぁ!」
と、無様に悲鳴をあげ、吐血した。
なおも精一杯歯を食いしばり、立ち上がろうとするエリスの、よく引き締まった白い太ももに触手が絡まり、それはあっという間に伸縮し、エリスは悲鳴をあげる間もなく、化け物の本体部分へと引き寄せられてしまう。

バキッ!

妙な音と共に、少女の体は奇妙な線を描いて回転して飛び、床に落ちるのとほぼ同時に、夥しい量の鮮血が降り注いだ。
「あぁぁぁ…いやぁぁあああ!」
食いちぎられた自分の両脚が、化け物の口の中に飲み込まれるのをようやく確認したエリスは、太ももから下が無くなり、もはや踊ることの出来なくなってしまった下半身を、痛々しく見開いた眼で凝視し、悲鳴をあげた。
立ち上がることの出来なくなったエリスは、両手で這うように逃れようと、必死に床を引っかくが、化け物の触手は、今度は彼女の腰、首、両腕にそれぞれ巻きつき、その動きを完全に拘束すると
先ほどとは打って変わってゆっくりと、まるで見る影もなくなってしまったエリスの残骸を、邪悪な赤い瞳で見つめながら、強暴な大口へと引き寄せていった。
「やぁぁぁ!やだよぉ!食べないで!いやぁぁあ!助けてトレ…」

234 名前:エリスinラクーン Dead end ver 投稿日:05/09/25 19:13 ID:QiuV7S1E
ガシュッ!

歪に並ぶ牙が、エリスの腹部に次々と食い込み、力任せに奥へ奥へとねじ込んでくる。
内臓が潰れ、背骨やアバラが砕ける音、が鳴り響いた。
彼女の体は、背中の方向に向かって「くの字」に折りたたまれると言う、ありえない体制で飲み込まれ、
「がはっ…」
という情けない声を最後に、エリスの口からは多量の吐血以外、何も吐き出さなくなってしまった。

「ドン」
という音が、トレーシーにかすかな希望を抱かせた。
「エリス?」
しかし、続いて丈夫な特殊合金製の扉を捻じ曲げる程強力な力で
「ドシン」
という振動が響くと、その希望もかき消され、そちらへ向かったエリスへの不安がこみ上げてきた。
「エリス…まさか」
二度三度打ち付けられた扉は遂に破られ、その向こうから姿を表した(というよりは、全てを覆い尽くした)醜悪な者、その口腔内に残る少女の衣服の一部を確認したトレーシーは、絶望に打ちひしがれた様に、その場に力なくへたり込んだ。
「嗚呼ぁエリス…そんな…いやぁぁ!」
蹲って泣きじゃくるトレーシーのすぐ側まで、のたくる触手は這い寄ってきていた。

トレーシーの悲鳴は、暗いトンネルの中を走る列車の音にかき消され、また、日の光の元へと至る事は叶わない。

235 名前:194 投稿日:05/09/25 19:46 ID:QiuV7S1E
作中、エリスとトレーシーが何か怪しい感じなのは194の趣味です。
バイオ2のクレアとシェリーも変にイチャついてたし、最後の列車での決戦直前の演出は最高だね。
んで結局2人ともGに食べられちゃったりしてくれれば…ハァハァ…ウッ!…フゥ。
なわけですよ。
んでエリスはクレア、シェリーどっちかと言われればシェリーなので、レオンは無かった事にしてください。

書いてみたものの、やっぱ自分で書くと抜けない。
抜けない漏れの為に誰かエリスネタ書いてクレクレ。

236 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/09/25 23:18 ID:???
おお、マルチED!
リョナスキーの希望に応えてくれる194。
そこにシビれる!あこがれるゥ!

でもトレーシーには、最後まで無駄な抵抗をして欲しかったかな。
気になったのはそれだけ。エリスはGJだ!

237 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/10/13 11:30 ID:???
餓狼伝説2のアニメのやつです。

古代ローマ時代の遺跡を歩く男女、
普通なら観光客といったところだが、二人の放つ雰囲気は明らかに観光客のそれとは異なる。
女性の方はスタイルが良すぎる事を除けば普通の日本人だが男性は闘牛士の様な格好をし、腰には剣を携えている。
「我が主の城に、何の用があったのかな?」
「あらあ?何の事かしら?私達、ただの観光客よ」
「本当の事を言った方が身のためだぞ女」
その言葉に女性は足を止め、
「甘くみない事ね!女だと思ってると後悔するわよ!」
「本性を表したな、この目狐め!」
殺気と共に男は腰に携えた剣に手をかけ、
「楽しめそうね…」
「フンッ!」
男は即座に切りつけるが、切れたのは女性の服だけであった。
肝心の中身の女性は服を脱ぎ捨て、一足飛びで遺跡の柱の上に到達し、
「不知火流くのいち不知火舞…お相手するわ!」
「確かに、楽しめそうだな。我が名はローレンス・ブラッド、主の城を守護する者だ」
女性…舞は脱ぎ捨てた服の下にくのいちの衣装を着込んでいた。
その衣装は正にくのいちの物で、手、足にはそれぞれ最低限の防具しかつけておらず、
胸元ははだけ、胸を覆う布からは横の乳房がはみ出ているのが正面からでも確認できる。
さらに腰布は前しか隠さずフトモモは露となり、少し動けば下着が見える。
そんな挑発的な衣装を身に纏い、衣装以上に挑発的なスタイルの持ち主不知火舞は
遺跡の柱の上からローレンスを見下ろしていた。
しかしまだ舞は気付いていない。ローレンスの瞳の奥に宿るモノを…

238 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/10/13 11:32 ID:???
キンッ キンッ
遺跡には金属音が響き、一進一退の攻防が続いていた。
ローレンスの振るう剣に対し、舞は特殊な扇で闘っている。
リーチにかなりの差はあるが、そこはくのいちらしくスピードで充分カバーしている。
しかしこのままでは不利と判断し、舞の方から仕掛けた。
少し後ろに跳びながら胸元に手を突っ込み、
「花蝶扇!」
扇を三つ同時に投げつけたるが、ローレンスは苦も無くそれを叩き落す。
しかし舞の狙いは次であった。花蝶扇に気を取られた一瞬に舞はローレンスとの距離を詰め、
「龍炎舞!!」
「ぐわああ!?」
炎がローレンスの目を直撃した。
「あらぁ?熱かったたかしら?ごめんなさいね。ホホホ…」
目を押さえ、苦しむローレンスを舞は余裕で見下ろす。しかし、
「この女ぁ…許さん!!」
激昂したローレンスは乱雑に剣を振り回す。
「フンッ!つぁっ!!」
「くぅっ、くっ…!」
乱雑ながらその速度は速く、舞は防戦一方となってしまい、
ピッ
「あうっ!」
剣が舞の肩をかすめた。それはかすり傷程度だが、舞は一度距離を取る事を選択した。
柱の上を飛び渡り、数十メートル離れた柱の影でローレンスを待ち構える。
ローレンスの猛攻を防いだ事により失った体力を回復させるため、肩で息をしながら、
「く…あの男、相当頭に血が昇ってるわね。でもその方が私には好都合かな…」
そう思ったのなら、多少の傷を覚悟で短期決戦を仕掛けるべきだった。
舞が距離をとった事は、結果的にローレンスに冷静になる時間を与える事となる。
舞は柱の影で待ち構えるものの、
「はぁ、はぁ…。…まだ…来ない…?っ…」
一向にローレンスの気配が表れず、舞の方が焦りを感じ始めてしまった。
柱からほんの少し顔を出し、ローレンスを確認しようとした次の瞬間、
「!!」
柱の反対側から殺気を感じ、反射的に跳んで逃げようとするが、
「あっ!?」
足首を掴まれ、
ドシャァ
「きゃあ!」
遺跡の水溜りに落下してしまう。うつぶせの状態から身体をひねり、起き上がろうとするが、
チャ…
「…ひっ…」
舞の喉元にはローレンスの剣が突きつけられていた。
「さて、どう料理してくれよう?この女狐め…!」
「ひっ…うぅ…」

微妙に違うけどTV版だとここまで。
完成じゃないのでsage

239 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/10/18 14:03 ID:???
おおっ舞ネタだ!
この後TV版ではカットされた部分に期待。

240 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/10/19 04:10 ID:BTgAzRrE
ツ…
舞は顔に汗が垂れるのを感じていた。状況は圧倒的に不利である。
しかし、舞の表情には若干の怯えが見えるものの、瞳から闘志は消えていない。
いかにこの状況を脱するか、思考をめぐらせようと目の前の剣の動きに集中した次の瞬間、
「うああああああああっ!!?」
右足の甲に激痛が走り、さらに、
「あうぅう…あがああああああ!!?」
左足の甲にも激痛が走る。
舞は自分の身に何が起こっているか確認するため、反射的にそちらに視線を送った。
自身のふとももに隠れ直接は見えないものの、二本の剣が地面に刺さっているのがわかり、
その剣が自分の足の甲を貫通していることも理解できた。
「あぐ…こ…のぉ…!」
「どうした?痛そうじゃあないか、女狐…」
今度は逆にローレンスが舞を見下ろしている。それも圧倒的有利な状況で。
「許さな…い…、あぅっ…絶対にぃ…あなたは…ああい、痛ううあああっ!!」
舞の言葉を待たず、今度は舞の右肩を剣が貫通した。
「いぃうぅぅぅ…がは!?」
舞の肩の剣を持ったまま、ローレンスは舞の胸を蹴り、水溜りの中へ舞を押し倒した。
水溜りとはいえ、舞の顔を沈めるには充分すぎる大きさと深さである。
「ごぼおあ…あぶうああ!」
水中で無様に顔を歪ませる舞。通常の状態なら十数分は楽に潜れる。
しかし今は、肩に剣が刺さり、その剣でもって水中に磔となっている。
あがく程、血が水中にひろがり、呼吸も苦しくなっていく。
…ボコォオ
水面に一際大きな泡が浮かんだ瞬間、ローレンスは肩の剣を抜いた。
戒めが取れた事により、舞は顔を出し、敵の存在など忘れたように必死に空気を吸い込む。
「ククク…無様だな」
「!?…っぅぅ」
水で濡れているため分かり辛いが、舞は悔しさと痛みで涙をながしていた。そして、
「うぅ…ひぐっ…あ、あああああ!!?」
ローレンスが舞の両足に刺さった剣を引き抜き、さっきまでとは違う激痛が舞の足を走った。
「これで動けるだろう」
「な!?…余裕のつもり!?」
「私は闘牛士だよ。動けない獲物を倒してもつまらんだろう?」
「…ぜ、絶対に、後悔させてやる…!」

241 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/10/19 04:11 ID:BTgAzRrE
舞の瞳に闘志が戻り、地面に落ちていた扇を拾うとローレンスに跳びかかる。しかし、
「痛うう!」
一歩動く度、一度腕を振る度に右肩と両足に激痛が走り、先程とは明らかに速度も力も落ちている。
「どうした?後悔させてくれるんじゃなかったのかね?」
「くぅ…なめないで!」
…キィィィン…
舞の一撃がローレンスの剣を弾く。さらに傷ついた両足を押して頭を掴み、
「っ風車崩し!」
頭から地面に叩きつける。
…奴はもう丸腰…これなら…!
そう思った瞬間、
「!?…あっ…か…ぁ…」
舞の左肩に覚えのある激痛が走る。肩には剣が深く突き刺さっていた。
ローレンスが手を放すと同時に舞はふらふらと力無く後退する。
「なんで…」
「私は闘牛士と言ったろう?」
見るとローレンスのマントの中にはまだ何本もの剣が確認できた。
「牛相手だとこれを全て使いきった事など無かったが、お前はどこまで耐えてくれるかな…?」
「ひ…ぃ」
舞の瞳が恐怖に染まり、ローレンスが攻撃を開始する。
舞は扇で防ごうとするが、四肢全てに激痛が走り動きが止まってしまう。そして、
「あん! ああ! 痛っ! うあ!!」
ローレンスの剣が、舞の身体に無数の傷をつけていく。
鮮血が飛散し、舞の白い肌を赤くそめていき、
…どかっ
後退していった舞は柱に身体をぶつけ、もたれかかるようにその場にへたりこんだ。
「うう…っ!?」
ローレンスが舞の胸に浅く剣を刺し、
「一息には殺さんよ…」
「うあああ…」
刺したままの剣をゆっくりと下ろしていく。
「あぁ…いぃ…痛いぃ…も、もう止めてぇぇ…」
服を斬り、肉を切りながら剣は腹を通過し、
「クク…そろそろお前の大事な所に到達するなぁ?」
そう言い、ローレンスがほんの少し剣に力を込めた瞬間、
…プシャァァ…
舞の白い下着が黄色に染まっていった。
「クハアッ!!いい色じゃないか、お漏らしとはなあ!」
「止め…見ないで…見ないでよぉ…見るなぁああ!!」
痛みなど忘れ、舞は必死に股間を隠す。
「くう…ひぐぅうう…」
舞の目から再び涙が流れる。前回と大きく異なる点はそれが完全に羞恥からきているという事だ。

242 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/10/19 04:11 ID:BTgAzRrE
泣きじゃくりながら小便を止めようとする舞に対し、ローレンスは加虐を止めず、
「きゃあ!?」
舞の長いポニーテールを容赦無く掴み、無理矢理立たせると、
…むにゅ
「いやあああ!?」
唐突に舞の豊かな乳房をもみ始めた。
「い…痛い…ちょ…あぅ…ああ」
それはもむ、と言うより握りつぶすと言った方がしっくり来るといった感じで舞の胸を変形させる。
「痛いぃ…」
「ほう?この程度が痛いか」
そう言うとローレンスは手を放し、
「あぅう…、…!!」
舞の視界に自分の胸に剣が向けられているのが見た。そして同時にこれから何をされるかが容易に想像できた。
「…ぃ、いや…」
抵抗しようにも、四肢がいう事をきかない。
身体が小刻みに震え、歯がカタカタとなるのが舞には聞こえていた。
「ァ…アンディ…」
「アンディ?ああ、一緒にいた男か、彼も武道家かね?」
ローレンスが楽しそうに尋ねる。
「っ…そ、そうよ!アンディなら、あんたなんか…」
「ほう、それは楽しみだ」
ザグッ…
「いぎゃああああああああああああああっっっっ!!!!」
刺した。微塵の迷いも無く。さらにもう片方にも…
…ズブッ…
「!!!!!??」
もはや言葉にならない悲鳴が遺跡に響き渡る。
ローレンスが舞のあごをつまみ、顔を引き寄せる。
いつもの舞なら唾の一つでも吐きつけるところだが、そんな気力など残っていない。
「も…もぅ…許してぇ…」
怯えた瞳から涙を流し、許しを乞うばかりである。
「あぅっ…」
ローレンスは舞の髪を掴み引きずっていき、
「この柱が手頃か…」
舞は自分が柱に磔にされているのが理解できた。
しかし、どうする事もできない。程なく舞は意識を失った。

243 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/10/19 04:12 ID:wnFH./tg
「う…痛ぅ…」
数時間後、舞は痛みで目を覚ました。そして自分の身体が柱に磔にされたままである事もすぐに気付いた。
「目を覚ましたか、もう少し君を観賞していてもよかったのだが」
磔にされた舞の身体は実に痛々しいものである。
身体中に無数の傷跡があり、血が肌と服を赤く染め、左右の乳房、その他数ヶ所には剣が刺さっている。
「君の恋人には、不評だったがな」
「え…」
ローレンスの前に誰かが血の海に沈んでいるのに気がついた。そしてそれが誰かという事も。
「…いや…ア…アンディーーー!!!」
「ああ、心配しなくてもいい、虫の息になっているだけだ。それにもう彼に用は無い」
そう言いながらローレンスは舞に近寄ると、柱にくくりつけている布を斬った。
「うあああ…」
もはや地面に着地するだけが、今の舞には荒行である。
足だけでは身体を支える事はできず、手をつき四つん這いとなってしまった。
「う…うぅ…ひぅぅう…」
恋人の惨状、そして今の自分を嘆き、涙を流す。そんな舞に対し、
…ドカッ
ローレンスは背中を踏みつけ、舞は身体を地面に着きそうになる。
「あくぅう!あぅ、ああぁ」
何度も踏むが、地面に倒れた時、胸に刺さった剣でどうなってしまうか理解できた舞は必死でこらえる。
「クク…頑張るじゃあないか…どれ、褒美だ」
そう言うと、ローレンスは舞の胸に刺さった剣を一本抜いた。
「あああああああああっっっっっ!!」
「これだ。君の悲鳴を聞いた後では男のものなど…なあ!」
「あぎゃっ!?あぐっ!あ…ああああああああっっっ!!!」
再び、舞の悲鳴が遺跡に響き渡り、次々に舞の身体に刺さった剣を抜いていく。
「うう…」
全部抜き終わったのを確認すると、舞を地面に押し倒す。
もう舞には立つ力など残っていない。気力だけではどうにもならない状態になっていた。
視界はぼやけ、目の前の恋人に声をかける事すらできない。
程なく、舞は再び気絶した。
「死なせはしないよ。今度は別の悲鳴も同時に聞かせてもらいたいからねえ…」
舞にとっての地獄は終わらない。むしろ始まったばかりである…



244 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/10/19 04:15 ID:wnFH./tg
なんか長くなってしまいました…
ローレンスは他の格ゲーに出張させたい程個人的には使い易いキャラだと思うんですけど
アニメ、映画とも情けない役どころで残念でした。

245 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/10/20 23:00 ID:???
GJです。
なんかまだまだ続きがありそうな終わり方ですね。

246 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/10/24 23:53 ID:???
>>244
強い……強すぎる

247 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/10/26 08:20 ID:???
職人様、GJ!

248 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/10/28 02:04 ID:???
続きを期待

249 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/12/02 23:07 ID:ETPpUyU6
書き込みないなぁ

250 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/12/03 14:37 ID:???
この板自体過疎ってるし。

251 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/12/04 22:05 ID:???
お姉チャンバラのSSキボン

252 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/12/04 23:49 ID:???
以前、ラマーヤのSS書いたんだけど冬休みになったら、また書こうかな。

また、ラマーヤになるけどwww

でも、ゴールデンアックスのティリスになるかも。

ハードリョナになるけどイイかな?

253 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/12/05 00:10 ID:???
いいとも!

254 名前:244 投稿日:05/12/05 01:48 ID:???
すいませんss書いた事すっかり忘れてました…
書く気無いのに続きがある終わり方させてますね。しかも二回


255 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/12/06 00:15 ID:???
ちょwwwww


書いてくださいw

256 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/12/06 01:50 ID:???
絵はともかくSSは同じキャラを書く気になれんのです。
そのうちなんか書きます。

257 名前:252 投稿日:05/12/06 02:19 ID:???
今の所、罠にはまって拷問後ボスキャラに処刑されるシチュを考えてます。

ラマーヤかティリスかは、週末に考えます。

グロ注意なので宜しく!

そんじゃ、お休みノシ

258 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/12/06 10:08 ID:???
不知火舞VS山田十兵衛のSSを投下します。
くの一不知火舞が、鬼の山田に絞め技や寝技でネチネチといじめられる内容です。
内容から考えてここに落とすのがいいのかなと。
では、投下。駄文楽しんで頂ければ幸いです。


259 名前:不知火舞VS山田十兵衛1 投稿日:05/12/06 10:12 ID:???
三十畳ほどの純和風の畳の部屋。
部屋の中央には7、8枚程のつい立てが立っている。そこでは若い女と老人が対峙していた。
女の名は不知火舞。年の頃は20歳前後、身長は165cm程でやや細身の身体ながら、肉付き加減で彼女の体の輪郭は女性らしいふっくらと丸みを帯びたシルエットを形成している。
腰まであろうかという長い髪を、かんざしでひとつに束ね、後ろにたらしている。
くっきりした眉に大きく切れ長のめ、薄く赤い唇に端正な顔立ちそしてやわらかそうな白い肌、
しかし彼女の最大の特徴はその日本人離れした迫力のある身体であろう。
豊満ニフクランダバスト、腰高デクビレタウエスト、形ガクズレテナイ魅惑的ナヒップ、ヤヤ筋肉質ダガソコカラ伸びる太腿ヘノラインハカナリ魅力的デアッタ。
ソノ身体ヲ我流で作り変えた赤を基調とした派手な不知火流の忍装束を白い帯で締め、必要最低減なだけ体を覆い隠し、大きく胸元を開き、そのダイナミックな肢体をおしげもなく人目に晒していた。
対する老人は舞よりも一回り小柄の70歳前後の男で、名は山田十兵衛。彼は”鬼の山田”と呼ばれた名の通った柔道家であり、やや古びれた白い柔道着の上に赤いチャンチャンコをはおっている。
彼らはキング・オブ・ファイターズという格闘大会でそれぞれ勝ち進み、今まさにこの部屋で対戦が始まろうとしていた。


260 名前:不知火舞VS山田十兵衛2 投稿日:05/12/06 10:16 ID:???
「あら、山田のおじいちゃんもこの大会に出てたの、久しぶりね」
「舞ちゃんか・・・。この大会の賞金でたくさんの若い女の子と温泉にでも行こうと思ってのう。(舞の胸をじろじろ見て、ニヤニヤしながら)それにしても、相変わらずいい身体してるのう、ひょひょひょ」
前に出した両手で、胸を揉みほぐす動作をしながら十兵衛が言った。
「フン、相変わらずのスケベじじいね。いいわ、今日こそはそんな目で見れないようにしてあげる」
舞はこの老人が好きではなかった。いくら数年前に亡くなった祖父半蔵の親友とはいえ、舞が成長するにつれ、明らかにいやらしい視線で自分を見つめてくるこの老人が嫌いだった。
「フフフッ、それは楽しみじゃのう、ひょひょひょ」
嘲笑しながら十兵衛が言う。
「くっ、そうやって笑っていられるのも今のうちだけよ」
そう言い終わると舞は後ろに飛び退いて間合いを取り、小刻みにリズムを取るように身構える。
動くたびに舞の大きな胸が揺れ、前からたらしている腰布がヒラヒラし、舞の股間の赤いショーツがチラチラと見える。
「花長扇!」
舞はその細い腕から手にしていた扇子を投げる。
「おっと、これでどうじゃ」


261 名前:不知火舞VS山田十兵衛3 投稿日:05/12/06 11:19 ID:???
飛んでくる扇子をさっと横に飛び退いてかわし、すかさず巨大なせんべいを手裏剣のように舞目掛けて投げつける。
舞はそのせんべいを花長扇で相殺を狙う。狙い通り打ち落とすが、そのせんべいを追いかけるように十兵衛がダッシュで間合いを詰めてきた。
そのまま十兵衛は舞いの服を掴もうとする。
「それ、もらったぞい」
「甘いわ」
掴みかかろうとする十兵衛にカウンターを浴びせる。
「龍炎舞!」
体を横に一回転しながら、お尻からたらしている尻尾のようなものに炎を纏い反撃する。
「うおっ」
十兵衛は舞が作り出した炎で熱を帯びながら、後ろに吹き飛ぶ。
「あたしに触ろうなんて10年早いわ」
そう言うと舞はつい立ての頂上に向かって跳躍し、その上から十兵衛に向かって飛び掛かる。
「ムササビの舞!たあぁぁあ!」
舞は十兵衛にむかい上半身をぶつけるように、体ごと飛び掛かり攻撃する。ようやく十兵衛は立ち上がるが突進してくる舞をガードする様子もない。十兵衛は舞いの突進を顔面でまともに正面から受ける。


262 名前:不知火舞VS山田十兵衛4 投稿日:05/12/06 11:23 ID:???
「ぶっ!!」
十兵衛は後方に2、3回転しながらもんどり打って倒れる。
だが舞は着地すると同時に胸に違和感を感じ、左手で胸をおさえる。
「くっ・・・な、何を」
とまどいの表情を浮かべ舞は言う。
「ひょひょ、なかなかいい感触だったぞい」
舌なめずりしながら十兵衛が言う。どうやら舞が飛び掛ってきた時に自ら顔面で胸を受けとめ、その時に舞の胸を舌で舐めたらしい。ガードしようとしなかったのはその為のようだ。
「くっ・・・どこまでもスケベじじいね」
舞は少し動揺するがすぐに気を取り直し、すかさず己の糖気を高め、十兵衛に向かって突進する。
素早い動きで十兵衛の周りを動き回り、十兵衛のスキをうかがう。十兵衛はその動きについて行けない。そして舞はそのスキを見つけ、最大級の大技で攻撃する。
「不知火流奥義、超必殺忍蜂!!」
舞は炎を全身に纏い十兵衛に飛びこみ、肘打ちから強烈な体当たりを食らわす。
「うおおおぉぉぉぉぉっ!!」
まともに食らった十兵衛は絶叫を上げ、後方に吹っ飛びあおむけにダウンする。


263 名前:不知火舞VS山田十兵衛5 投稿日:05/12/06 11:29 ID:???
舞は着地すると、あおむけに倒れている十兵衛の足元に近づき、勝ち誇った表情で扇子をビシッと指して言う。
扇子を力強く指し出したときに、舞の豊満な胸が忍装束から飛び出さんばかりに大きく揺れる。
「どうかしら?あたしの技の味は。キレイな薔薇にはトゲがあるのよ」
十兵衛はよろよろと立ち上がり、後ろに飛びのいて間合いをとり言う。
「なかなかやるのう。少し甘く見ていたようじゃな」
「ふん、今度こそ止めをさしてやるわ」
「フフフッ、これでもくらえっ」
先程と同じように巨大なせんべいを舞いに向かって投げつける。
「また?その手は食わないわ」
こちらも同じように花蝶扇で打ち落とす、そして同じように十兵衛がダッシュして突っこんでくる。舞はまた同じように龍炎舞でカウンターを狙う。
しかしそれが十兵衛の狙いだった。炎を纏う直前で尻尾を掴み、舞を後ろにグイッと引っ張る。
「えっ?・・・あっ、きゃっ」
「ひょひょひょ、ほれ、捕まえたぞい、それっ」


264 名前:不知火舞VS山田十兵衛6 投稿日:05/12/06 11:32 ID:???
舞は後ろによろめきながらバランスを崩す。十兵衛はその舞の体勢が崩れたところを、背中にのし掛かるように飛びつく。
十兵衛は舞の腰に両足を巻きつかせ、右腕で首を絞め、舞の後頭部に頭突きの連打を浴びせる。
「うっ・・・くっ・・・ああっ!」
舞は苦悶の表情を浮かべか細い声を上げながら、自分の首を絞めている十兵衛の腕を両手で引き剥がそうとし、十兵衛の縛めから逃れようとする。
しかし十兵衛の意表を突く次の一手に舞ははっとする。余っていた十兵衛の左手が舞いの開いた胸元から忍装束の隙間にすべりこみ右胸を捕らえ、乳房を揉み始めたのだ。舞の柔らかな胸が握りつぶされ、十兵衛の手のひらの中で変形してゆく。
「ほひょぉ、ほひょぉ、いい感触じゃのう、ひょひょひょ」
「やっ・・・くっ・・・このっ、どこ触ってんのよっ、離しなさい・・・あっ、あんっ」
舞はそう非難の声を上げるが、十兵衛はやめる様子もなく、恍惚な表情を浮かべ舞の胸を揉み続けている。もちろん絞めている首と頭突きの手もゆるめる様子もない。
「あっ・・・ああっ・・・あんっ・・・あんっ」
舞は苦しそうな声を上げつつ、その中に徐々に甘い吐息がもれてくるようになる。
舞はその淫らな行為に激しいとまどいを覚えつつも、胸を揉まれている左手よりも自分の首を絞めている右腕を引き続き剥がそうとする。


265 名前:不知火舞VS山田十兵衛7 投稿日:05/12/06 11:34 ID:???
しかし首を絞めている十兵衛の腕は外れる様子もなく、舞はそのまま1分ほど絞められ意識を失いそうになる。だが十兵衛は自ら縛めを解き、舞から離れる。
「・・・ゲホッ、ゲホッ・・・」
舞はその場にひざまづき、自分の首を右手で押さえむせ返っている。しかしその間でも十兵衛は攻撃の手をゆるめない。前に回りこみ自分の左右の腕でそれぞれ舞の両腕を掴んで舞を立たせる。
「まだまだじゃぞい、ほーれい」
そのままの体勢で、十兵衛は回転しながら高く跳び上がる。
(くっ・・・うぅぅ・・・は、外れない)
激しく回りながら上がっていく浮力感と身動きの取れない自分に舞のあせりは頂点に達する。
十兵衛は天井近くまで行くとそのまま舞を抱えながら逆さまになり猛スピードで、頭から地面に落下していく。十兵衛最大の必殺技、ダイナマイトいずな落としである。
「わしの勝ちじゃあああぁぁぁ!」
「きゃあああぁぁぁ!」
地面スレスレで舞を畳に叩きつけ、十兵衛は後ろに軽やかに着地する。
ドゴーン!!!
物凄い音を立て、舞は頭から叩きつけられ、きりもみしながら吹き飛んでいく。


266 名前:不知火舞VS山田十兵衛8 投稿日:05/12/06 11:44 ID:???
「ううっ・・・」
舞はうつぶせに倒れ、脳への強い衝撃で意識がもうろうとし自由に身動きが取れない。だがそんな中でも舞は右手で畳を掴むような動作をし、苦しみもがきながら立ち上がる意思を見せる。
そんな舞に十兵衛はさっと近づき、いとも簡単に舞をあおむけに裏返し、舞に馬乗りになりマウントポジションのような体勢をとる。
(くっ、しまった)
振り上げた十兵衛の右拳が舞の顔面に襲い掛かる。舞はそれをかろうじてかわし、二発目に襲い掛かってくる左拳を両腕で顔をガードし受けとめる。
そしてそのまま三発目が来るかと思われたがなかなか来ない。しかし、舞は胸に妙な違和感を覚える。
プルンッ。
十兵衛が舞の胸元を両側に開き、胸をはだけさせたのだ。舞の豊満で形のよい乳房があらわになる。それを十兵衛は両手で片方ずつ揉み始めた。
「ほひょぅ、やっぱりすごい迫力と触りごこちじゃ、ひょひょひょ」
「あっ・・・あっ・・・な、何してんの、このヘンタイッ!・・・このっ」
舞は喘ぎながら扇子を持った右手で十兵衛の顔を殴りつけようとする。だが十兵衛はそれを余裕でかわし、胸を揉んでいた両手で舞の首を絞める。
「ほれっ、ほれっ」
「くっ・・・ぐぅ・・・」
また首を攻められ、舞は苦悶の声を上げ、両手で首を絞めている十兵衛の手を剥がそうとする。


267 名前:不知火舞VS山田十兵衛9 投稿日:05/12/06 11:46 ID:???
しかし十兵衛は数十秒絞めると、その手を離しさらに舞から降りて左側に回りこみ抑えこみにかかる。自分の右足で舞の左腕を押さえつけ、自分の右腕を舞の首の下から回りこませ右腕を掴み、左手は舞いの股間を押さえつけている。いわゆる横四方固めのような形である。
「くっ・・・このっ」
「ひょひょひょ、お楽しみはこれからじゃ」
その時股間を押さえつけていた十兵衛の左手が、赤いショーツの上から舞の秘部をまさぐり始めた。
「なっ・・・あっ・・・あっ・・・あっ・・・ああっ」
「ひょひょ、こちらの方も思った通りいい反応じゃのう。ほれっ、ほれっ」
「あっ・・・あっ・・・あっ・・・あっ」
いけないと思いつつも、舞は十兵衛の行為に対しとめどなく喘ぎ声をあげてしまう。
さらに十兵衛は先程露出した舞のふくよかな乳房に恍惚な表情を浮かべ顔面をうずめ、その感触を確めるように顔をグリグリと舞の胸に押しつける。マシュマロのような舞の乳房はその柔らかさで力の加えられる方向に変形していく。
「ほひょぉ、こりゃたまらんのう。やっぱり若い娘は肌の艶と弾力が違うわい」
「あっ・・・ああっ・・・ああっ」
そんな十兵衛の行為にだんだんと舞の喘ぎ声も激しくなってゆく。


268 名前:不知火舞VS山田十兵衛10 投稿日:05/12/06 11:52 ID:???
舞は何とかこの状態から脱出しようと試みるが、性感帯を執拗に攻められているせいか全身に力が入らない。その間にも舞は快感の海に飲まれていく。
「ひょひょひょ、確かこの大会は30分一本勝負、ギブアップ無し、どちらかが戦闘不能になるまでやるって話じゃったのう・・・フフフッ、このまま制限時間ギリギリまで楽しませてもらうとするか。こんな若くてムチムチしたいい女に堂々と悪戯できる機会はそうはないからのう。ひょひょひょ」
そう言うと十兵衛の左手は舞の下半身をネチネチと這い回り、1枚の薄い布で覆い隠されている舞の陰部に侵入し、舞の媚唇を捕らえ、刺激を与え始める。胸にうずめていた顔は、舌でふくらみの頂をペロペロと嘗め回し愛撫する。そんな十兵衛の動作に舞の性感は敏感に反応してしまう。
「ああっ・・・あっ・・・ああっ・・・あんっ」
執拗に性感帯を攻められ舞の全身から力が抜けていく。しばらくすると舞の股間からトロトロと愛液が流れだしてきた。それを見て、十兵衛はにやりと笑みを浮かべる。
「ほう、そうかそうか、舞ちゃんも気持ちいいのか。そんな嫌がってるように見えても身体は正直じゃのう♪ひょひょひょ」
満足そうな表情を浮かべながら十兵衛は言う。もちろん舞は気持ちいいわけないのだが、喘ぎ声は舞の意思とは関係なくとめどなく出てしまう。
「あっ・・・あっ・・・ううぅ・・・も・・・もうやめ・・・て・・・」
舞は目に涙を浮かべながら懇願する。しかしそんな願いが届くはずもなかった。


269 名前:不知火舞VS山田十兵衛11 投稿日:05/12/06 11:55 ID:???
十兵衛は舞の発育の良さを見て、数年前から舞の体を己の欲望のとりこにしたいと思っていた。
今、狙いさだめた獲物が熟れた状態で目の前に存在している。長年の野望が叶おうとしている時にそんな願いが十兵衛に届くはずもなく容赦のない言葉を浴びせられる。
「ひょ?こんなおいしい状況をやめられるわけないじゃろうが。・・・それにしてもこのムッチリ感、見れば見るほどたまらないのう。ひょひょひょ」
舞の色白の柔肌の感触を確めながら十兵衛が言う。
(ううぅ・・・くっ・・・こ、こんな・・・誰か助けて・・・ア、あんでぃ)
恥辱と快感の渦の中で、舞はふと頭に自分の一番愛しい彼(ひと)を思い浮かべ、助けを求めてしまう。
そこには一人の格闘家としての面影はなく、男にいいようにされてしまう女の姿しかなかった。
この後、舞いは時間ギリギリまで弄ばれその後散々攻められた首を絞められ落とされるのである。
−完−


270 名前:259 投稿日:05/12/06 12:02 ID:???
おしまいです。駄文を長々とすまソ。
こんなので少しでも楽しんでいただければ幸いです。


271 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/12/06 12:16 ID:???
259さん、ご馳走様。出来たら舞vsベアも書いて下さい。
フィニッシュはベアハッグで・・

272 名前:どうでしょう? 投稿日:05/12/06 14:59 ID:XkPAMviI
259様、私ももっと書いて欲しいです。

273 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/12/07 03:51 ID:???
>>259
嫌悪感を抱いている相手になすがままにされてしまう描写、GJです。

274 名前:259 投稿日:05/12/07 21:01 ID:???
>271−273
感想ありがとうございます。お楽しみいただけて嬉しいです。
舞VS十兵衛はあってもよさそうな組み合わせだと思ったのですが意外とないので、なら自分で書いてしまえ、ということで書いてみました。
今後も気が向いたら書こうと思います。もう一度くらいは不知火舞で。(彼女は題材にしやすいんですよ)
そのときはよしなに。また楽しんでいただければ幸いです。



275 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/12/07 21:38 ID:pM/GQKeE
花長扇ってなんだよw

276 名前:257 投稿日:05/12/07 23:27 ID:???
>>259さん

お疲れさまです!

なんか、明るい感じのリョナで良いですね。

自分が考えてるリョナSSはメチャクチャダーク過ぎるかも・・・orz

正直、ラマーヤかティリスのどちらが良いのだろうか・・・

ちなみに皆さんはどちらを血祭りにしたいですか?

277 名前:小説じゃないけど・・ 投稿日:05/12/09 02:18 ID:???
エドモンド本田は何人の女性キャラに鯖折りでKOしたのだろう?マジで想像したら
エドモンドの太い腕と丸太のような腕に女性キャラの華奢な腰を巻きつけたら・・
女性キャラは本田の腕の中で出来る抵抗は、少しでも苦痛から逃れようと本田の腕の中で
喘ぎ声を漏らすことしかできないんじゃないかな!多分実際に試合して舞とかユリが本田やベアに
鯖折りで捕まったら、彼女たちの細い腰より太い本田の腕に巻き締められて身体を弓のように沿って
本田の腕にしがみついて、少しでも苦痛から逃れようと悲鳴をあげながら苦しむしかないだろう!
エドモンド本田やビッグベアのような巨漢は女性キャラと闘うとき、捕まえちまえばこっちのモノだって
絶対思ってるよ!実際の格闘はキャミィとかアテナのようなファッションモデルのような細い腰で闘える程は甘くない!



278 名前:259 投稿日:05/12/10 13:00 ID:???
前に舞VS十兵衛を書いた259です。今回は不知火舞VSビックベアのSSを投下します。
女忍者不知火舞がベアに圧倒的なパワーの差を見せつけられて、掴み技や接触技でいじめられるお話しです。
では投下。お楽しみ頂ければ幸いです。


279 名前:不知火舞VSビックベア1 投稿日:05/12/10 13:03 ID:???
そこには見渡す限りの赤土の荒野が広がっている。ここではキングオブファイターズというストリートファイトの会場が設置されていた。
ここで今、不知火舞とビック・ベアの対戦が始まろうとしていた。
舞はいつもの赤い派手な忍装束を身につけ、ベアはやや濃いブルーのタンクトップのレスラースタイルの格好をしていた。
「ほおぉ、ねえちゃんみたいな華奢な女がこんな大会に出てるとはな。これはドロレスじゃないんだぜ。(へへっ、いい身体してるじゃねえか)」
舞の身体を品定めするように観察しながらベアが言う。
「ほほほっ、さっきからずいぶんいやらしい目であたしを見てるけど、あんたみたいなブ男はギタギタに蹴散らしてあげるわ」
そう言うと舞は後ろに飛びのいて間合いを取り、小刻みに動きをとりながら戦闘態勢をとる。その際に舞の豊満な胸が揺れ、ヒラヒラする股間から赤いハイレグのショーツがチラチラと見える。
(へへへっ・・・こりゃたまんねえな)
そんな様子を見てベアの股間はむくむくと盛り上がってくる。
「花蝶扇!」
舞は手にしていた扇子をその細い右腕から力強くベアに投げつける。
「フン、そんなもの。うおおおおっ」


280 名前:不知火舞VSビックベア2 投稿日:05/12/10 13:05 ID:???
ベアはタックルで向かってくる扇子を弾き飛ばしつつ、舞目掛けて突っこんでくる。しかし舞はそれに動じる様子もなく、ベアをギリギリまで引き付ける。
「龍炎舞!」
突っこんでくるベアに体を一回転し尻尾に炎を纏いカウンターを浴びせる。
「うおおつ!」
思わぬ反撃に攻撃を受け止める準備をしてなかったベアは、炎を浴び熱を帯びながら、後ろに吹き飛びあおむけにダウンする。
「・・・く」
ベアはかぶりを振りつつ立ち上がろうとする。だが目の前にいたはずの舞の姿がない。その時、ベアの大きな腹に強い衝撃が走る。
「ぐふっ!」
舞が空中から降ってきたのだ。両手を挙げ、両足をそろえ全体重を乗せるようにベアの腹を踏みつけてきた。
「ぐぅぅ・・・」
「ふん、まだまだこんなもんじゃすまないわよ。・・・とうっ!」
そう言うと舞は立ち上がったベアの後ろから右足で後頭部に思いっきりハイキックを決める。
その筋肉質な太腿からも分かるように、よく鍛えられた脚から繰り出される彼女の蹴りは、その見た目の線の細さからは想像もできない程の破壊力があった。


281 名前:不知火舞VSビックベア3 投稿日:05/12/10 13:09 ID:???
「ぐっ・・・こ、このっ」
ハイキックを食らったベアは振り向きざまに舞にフックを浴びせる。
しかし舞はそのフックをかいくぐりベアのふところに潜り込み、自分の手を地面につけ両足のフトモモでベアの顔をはさみこみ、ベアの顔面を地面の赤土に叩きつける。
「ハッ!たあああぁぁぁ!!」
風車崩し、接近戦における不知火流体術の代表的な技であり、舞の得意技でもあった。
「ぐふっ・・・」
ベアの150kgはあろうかという巨体が勢いよく地面に転がされる。
それを見て舞はベアの頭にはさみこんでいた自分の足を抜いて立ち上がり、手にしていた扇子で口元を覆い隠しベアを見て見下すように嘲笑する。
「ほほほっ、あんたみたいな男にはお似合いの格好ね」
「ぐうぅ・・・おのれぇぇ・・・こんのアマぁ、調子に乗るなよ」
立ち上がり激昂しながらベアは言う。
「ふふっ、あんたみたいな図体ばっかりのオトコに何ができるのかしら?ほほほっ」
口元に扇子を当て笑みを浮かべながら、さらにベアを逆なでするように舞が挑発する。


282 名前:不知火舞VSビックベア4 投稿日:05/12/10 13:11 ID:???
さらに戦いは舞のペースで進んでいく。ベアの足に舞の左足のローキックが入り、そのまま流れるように右のまわし蹴りがベアの顔面に炸裂する。
「とうっ・・・やあぁ!」
「ぐっ・・・ぐおっ!」
ベアが怯んだところへさらに左のミドルを狙う。
しかしそこに思わぬ反撃が待っていた。
プシュッゥゥ!
「きゃああああぁぁぁ」
ベアが毒霧を舞の顔に吹きつけてきたのだ。
思わぬ不意打ちにかわす間もなくまともに食らってしまい、舞の視界が毒霧によってつぶされる。
「くっ・・・ああっ」
「へへっ・・・よくも今まで好き勝手にやってくれたな・・・それっ」
そう言うとベアは舞の後ろに回りこみ、右腕で舞の首を羽交い絞めにする。首をグイグイと絞められるたびに舞はか細い気勢をあげる。


283 名前:不知火舞VSビックベア5 投稿日:05/12/10 13:29 ID:???
「あっ・・・くぅ・・・ああっ」
舞は絞められている腕を両手で必死にはずそうとするがなかなか外れない。
「へへっ、どうだぁ・・・お楽しみはまだこれからだぜ」
そう言うとベアは左手を舞いの開いた胸元から忍装束の隙間に突っこみ右胸を鷲掴みにし、その柔らかな乳房を乱暴に揉み始めた。
舞の大きな胸がベアの手のひらの中でもみくちゃにされる。
「へへっ・・・たまらねえボインだなあ。Fカップぐらいあるんじゃねえか?・・・へへへっ」
「やっ・・・ちょ・・・なっ、何してんのよ!・・・離して・・・あっ・・・あっ・・・あっ」
ベアの思わぬ行為に舞はとまどいを覚え、甘い吐息をもらしてしまう。舞はさらに足をバタバタさせて、かかとでベアの金的を蹴り上げようとするが届かない。
「へへっ、こんな楽しいことやめられるわけないだろうが・・・ほれつ、ほれつ、ほれっ」
さらにベアは自分のものを舞いの尻に当て、がくがくと腰を上下にゆすり始めた。突き上げられるたびに舞はビクッと体が反応してしまう。
「あっ・・・あっ・・・あっ・・・あんっ」
「へへっ、このままでも楽しいがもうちょっと遊ばせてもらうぜ・・・よっ」


284 名前:不知火舞VSビックベア6 投稿日:05/12/10 13:31 ID:???
ベアは両手を舞いの腰にあて、舞を持ち上げ後ろに反りながらバックドロップにもっていく。
「きゃあああぁぁぁ」
頭から叩きつけられ、舞はあおむけに倒される。強烈な脳震盪に襲われ身動きが取れない舞にベアは馬乗りになる。
「あっ・・・くっ・・・」
「へへっ・・・次はこの体勢で遊ぼうぜ(戦いながら堂々とレイプできるなんて、しかもこんなムチムチのいい女、こんなおいしい話はないぜ)」
そう言うとベアは舞の忍装束を掴み、胸元を力任せに開きはだけさせる。
プルンッ。舞の胸がはだけ大きな乳房が飛び出してくる。
「あっ・・・何すんのよ、この変体!」
「ああん、これから楽しいことしようってのにようぅ、うるせえ女だなぁ」
そう言うとベアは舞の首を両手でグイグイと絞め始めた。
「あっ・・・うぅ・・・くっ・・・」
首を絞められる痛みに舞は苦悶の表情を浮かべか細い声おあげベアの手を引き剥がそうとする。


285 名前:不知火舞VSビックベア7 投稿日:05/12/10 13:33 ID:???
舞が苦しそうにもだえるたびに、それに合わせて舞いの胸もふるふると揺れる。
「へへっ・・・ほうれぃ、ほうれぃ」
首を絞めていたベアの片方の腕が舞の胸をグリグリとねじるように揉み始めた。
「なっ・・・やっ、やめ・・・あっ・・・あっ・・・あっ」
「へへっ、随分いい声で鳴くじゃねえか、ほれっ、ほれっ」
「うっ・・・あっ・・・うっ・・・あっ・・・」
首を絞められ性感帯を責められるたびに、か細い規制と喘ぎ声が混じりあうように舞がうめく。
(くっ・・・ああっ・・・こ、このままじゃ・・・)
しばらくこのまま責められ、舞が脱出をあきらめかけた時、突然ベアが舞いの胸を揉んでいた手と首を絞めていた手を止め、体も舞いからおりて開放した。
「・・・ケホッ・・・・な、何で?」
目を丸くするようにして舞がたずねる。
「へへっ・・・このまま終わらせたんじゃつまらねえからな、チャンスをやったのさ。それにおまえなどいつでも料理できるからな」
親指を下に向け舞を見下すように言う。どうやらすっかり立場は逆転してしまったらしい。
「なっ・・・その余裕、絶対に後悔させてやるわ!」


286 名前:不知火舞VSビックベア8 投稿日:05/12/10 13:36 ID:???
乱れた衣装を直しながら物凄い形相で舞が言う。男勝りで気が強い彼女には相当カンにさわったらしい。
「へへっ、あれだけ遊んでやったのに口の減らねえねえちゃんだなぁ。ぜひ後悔させてもらおうじゃねえか・・・へへへっ、カモーン!!」
両手で手招きするようにベアが舞を挑発する。
「はあああぁぁぁ」
気迫をこめ甲高い声を上げながら舞が突進していく。
一定の間合いを取り、素早い動きでベアの周りを動き回りスキを伺う。
そしてベアの一瞬のスキをついて舞が勝負を仕掛ける。
「そこよっ!たあああぁぁぁ!」
不知火流奥義超必殺忍蜂、全身に炎を纏い肘からの体当たりでベアに飛び込む。
舞の攻撃は振り向きざまのベアの腹にまともに命中する。
「ふんっ!」
しかしベアの体は舞いの攻撃に動く様子もない。あらかじめ攻撃を受け止めるつもりだったベアは、全身の力を防御に集中させていた。そのため舞の攻撃をその大きなお腹で受けとめる事ができたのだ。
(う・・・動かない?)
腹で舞を受けとめる形になったベアは両腕を舞の腰に回して抱え込むように抱きしめ締め上げていく。
「えっ・・・あっ・・・きゃあああ」
「へへっ、また捕まえたぜ。次はそうだな・・・この体勢だからベアハッ具で遊んでやるぜ」


287 名前:不知火舞VSビックベア9 投稿日:05/12/10 13:39 ID:???
そう言ってベアは自分の胸板で舞を押しつぶすように重心を前にかけその太い両腕で舞の腰をグイグイと絞めあげていく。
一回一回絞められるごとに、痛みで舞はのけぞり宙を見上げながら顔をゆがめて悲鳴を上げる。
「きゃあ・・・ああっ・・・ああっ」
舞の大きな乳房はベアの胸板に圧箔され行き場を無くして変形していく。
全身から滝のように汗がながれだし、胸元をなぞるようにつたっていく。
しかしベアは絞める腕をゆるめる様子もない。さらに筋肉を盛り上げて絞める腕の力を入れていく。
ギシッ、ギシッ。ベアのその太い腕が舞いを絞め上げるたびに、舞の身体が悲鳴を上げる。
「ほうれ、ほうれ」
「ああっ・・・・ああっ・・・ああっ・・・ああっ・・・」
いやいやをするように首を振りながら、舞は必死でベアの顔面に鉄鋼で裏拳を入れるがビクともしない。
元々腕力の無い舞は拳での攻撃は不得手だった。そんな彼女の打撃が百戦錬磨の巨漢レスラーであるベアに通用するはずもなかった。
「へへっ・・・なんだぁそれは、かわいいもんだな。へへへっ」


288 名前:不知火舞VSビックベア10 投稿日:05/12/10 13:41 ID:???
束ねた髪を振り乱し、地面に届かない舞の足がベアの股間を必死に蹴り上げるが、これもベアには効いてる様子もなかった。
「へへっ・・・そういう大事なところは守ってやらないと、おまえみたいないい女が犯せなくなるからな・・・そうだ、もっと楽しくなる良い方法を思いついてやったぜ、へへへっ」
そう言うとベアはその赤い忍装束からあふれんばかりの胸が自分の顔の目の前に来るように舞を持ち上げ、自分の顔をそのボリュームのあるふくらみにうずめる。
ぽふっ、ムニュ。その柔らかなふくらみは、ベアが力を加えるとゴムまりのように自在に変形していく。
「へへっ、思った通りすげえ感触だぜ。ほうれ、ほうれ」
「きゃ・・・ちょ・・・何・・・してん・・・の・・・あんっ・・・あんっ・・・ああっ!」
絞めつけられる痛みと胸への行為の不快感に、舞は苦しげに虚ろを見上げ、喘ぐような悲鳴を上げる。
ミシッ、ミシッ、ミシッ、ミシッ。
しばらくすると、ベアの丸太のような腕に包みこまれた舞の身体が更に悲鳴を上げ始めた。それとともに舞の悲鳴も激しくなっていく。
「ぎゃあああ・・・あああ・・・・ぁぁぁ」
さらに絞め続ける内に、舞の全身が痙攣し始め手にした扇子をパタリと落とし、ぐったりとし力が抜けていく。
「う・・・うぅ」
舞は涙目になりながら懇願するような表情を浮かべ、ベアの顔を見つめるがベアは意に介する様子もない。
「へへっ・・・そろそろ終わりにするか。よっ」


289 名前:不知火舞VSビックベア11 投稿日:05/12/10 13:43 ID:???
そう言うとベアは舞の股間が自分の顔の前に来るようにさらに持ち上げ、抱え上げ周囲にアピールするように舞をかざす。
「ううぅ・・・な、何・・・を・・・」
苦しみと怯えの表情を浮かべ舞が言う。そうベアにたずねる舞の瞳は恐怖に満ち溢れていた。
「へへっ・・・おまえは火遊びが好きみたいだな。そうだな・・・自分の大好きな炎で丸焼きになるってのも面白そうだな。へへへっ」
目一杯息を吸い込み、ベアは口から何かを吐き出す準備をする。
(ああっ・・・いやっ・・・いやっ・・・)
直感的に身の危険を感じた舞は、必死で首を振りもがきながら、ベアの腕から逃れようとするが、束ねた髪がむなしく揺れ動くだけだった。
ぶおおおおっ!!
舞を抱きかかえたベアの腕がパッと離されると同時に、ベアの口から炎のような熱い吐息、いや炎そのものが舞いを包み込む。
「きゃああああぁぁぁぁ・・・あああぁぁぁ!!」
ベアによって炎に包み込まれた舞は、そのまま焼かれながらあおむけに地面に落ちぐったりと倒れる。
身体に大量の脂汗をかき、苦しそうな表情を浮かべる舞の意識はほとんど無かった。
額にじっとりと汗を浮かべ全身にやけどを負い、火に強いはずの舞の忍装束は所々焦げ付いている。
「う・・・うっ・・・ア・・・ンデ・・・・ぃ・・・」


290 名前:不知火舞VSビックベア12 投稿日:05/12/10 13:45 ID:???
そう言うと力無く顔を横にたれ、舞の意識は完全に途絶えてしまった。
「うおおおぉぉぉ!!」
右拳を突き上げ、人指し指を空にかかげるようにベアは雄たけびを上げる。
「さあて・・・」
そう言うと怪しく光ったベアの視線は、ぐったりと倒れている舞を一瞥する。
股間が隆起し欲望が満たされてないベアは、舞に向かってのっしのっしと歩き始めた。
「へへへっ・・・へへへへへっ」
***
「なっ・・・いやっ・・・きゃあっ」
「へへっ・・・ほうれっ・・・ほうれっ」
***
「うううぅ・・・」
舞は夢の中でベアに自分が慰みものにされうなされていた。
しかしそれは現実に行われている光景でもあった。
−完−


291 名前:259 投稿日:05/12/10 13:54 ID:???
おしまいです。駄文を長々とすんません。ベア=ベアハッグですが、
「それだけじゃ使い古されてるし、ちょっと芸がないよな」と思ったので、自分なりにアレンジしてみたつもりです。
・・・上手く表現できてるのかな?とにかくこんなのでお楽しみ頂ければなによりです。


292 名前:257 投稿日:05/12/10 14:18 ID:???
乙です!
ベアハッグよいですね。
普通に考えても舞みたいな女がビックベアに勝てる訳がないですよ。
自分も259さんみたいに思い描いたシーンをスラスラ書ける様になりたいです。

293 名前:舞ファン 投稿日:05/12/12 01:50 ID:???
259様、お疲れ様でした・・・非常にいいSSありがとうございました。
不知火舞は私がリョナに目覚めたきっかけであります。特にダントツでベアハッグ
がエロいと思います。

294 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/12/12 17:31 ID:???
鉄拳飛鳥のハードなリョナss読みたい。

295 名前:259 投稿日:05/12/12 22:23 ID:???
>>292
>>293
感想ありがとうございます。お楽しみいただけたようでなによりです。
ベア=ベアハッグを自分なりに料理してみたのですが、どうだったでしょうか?
また気が向いたら投下させていただきます。ただ、でも不知火舞はしばらく扱いません。2つ続いたし、ここは舞スレではないし・・・・
何よりもうネタがないです(笑)。なので、次に機会が会ったら違うキャラをよろしく楽しんでもらえれば。m(_ _)m


296 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/12/12 22:50 ID:???
>294
飛鳥は関西弁じゃなかったらねぇ…
関西弁だとどうもノリが軽くなる気がして書く気になれない。

297 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/12/24 22:05 ID:???
>>257
亀レスだけどラマーヤ希望


298 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:05/12/25 00:33 ID:???
>>259さん
次はFF2のマキVSアトラス&ジョニーをお願いします。

299 名前:259 投稿日:05/12/25 08:54 ID:???
FF2のマキはそのうち書くかもしれませんが…。今は違うキャラで考えています。
でもちゃんとある程度形にならないと投下する気にはなれないので…。
その時にまた楽しんでいただければなによりです。


300 名前:257 投稿日:05/12/25 13:10 ID:???
>>297

いまさらだけど、レスありがとうm(__)m

やはり、ラマーヤにします。

構想は練っているんだけどいかんせ、文章力がないから・・・orz

>>259さんみたいな良い文は期待しないで下さい。

301 名前:名無しさん 投稿日:05/12/30 21:49 ID:???
誰か年越しにSS書いてくれないかなあ?


302 名前:名無しさん 投稿日:05/12/30 23:26 ID:???
昔々あるところに、じじいとばばあが住んでいました。


303 名前:259 投稿日:05/12/31 10:39 ID:???
春麗VSバイソンで久々に投下させていただきます。
春麗といえばお相手は本田、バルログ、ベガあたりだと思うのですが、あえてバイソンをチョイスしてみました。どうなのでしょうか?
それでは投下。こんなので楽しんでいただければ幸いです。


304 名前:春麗VSバイソン1 投稿日:05/12/31 10:42 ID:???
ここは米国ラスベガスの地下闘技場、人2人分くらいのコンクリートの壁に囲まれた半径5mほどの丸いリングの真ん中で2人の格闘家が対峙していた。
一人は春麗(チュンリー)という女刑事、170cmほどの長身で鍛えられたムダのない身体を誇っている。
特に茶色いストッキングを履いている太腿は、細身の女性の腰周りくらいあるのではないかと思われるくらい鍛えられていた。
その太腿を見せつけるかのように脚をさらけ出し、彼女は身体に水色のチャイナドレスのような道着を纏っている。
そして髪の毛は、自身の長い髪が戦いの邪魔にならないように2つの白いおだんごでまとめていた。
もう1人はマイク・バイソンという男、浅黒い肌に黒いパンチパーマ、ボロボロのTシャツに短パン、赤いグローブを身につけているボクサーくずれの喧嘩屋である。
「おまえがM.バイソンね…」
「へへっ、次の相手は女かぁ…中々かわいい顔してんじゃねえか…オレ様と楽しいことして遊ぼうぜ、へへへへへっ」
鼻を伸ばしだらしない笑みを浮かべながら、バイソンは春麗に卑猥な言葉を投げかける。
しかし春麗は何事もなかったかのように、そこへインターポールの警察手帳を見せつけ宣言する。
「バイソン!…インターポールの名の下におまえを逮捕するわ!」(こいつが指名手配中の…シャドルーのバイソン…絶対に逮捕してみせる!)
彼女は父をシャドルーのベガに殺されており、シャドルーという組織には並々ならぬ想いがあった。
「へっ!?おまえ女だてらに刑事だったのかぁ…へへへっ、おまえみたいな女にオレ様が捕まえられるかな?…へへへへっ」
バイソンは相手が刑事だと分かっても動じる様子もない。それどころか目の前の女刑事を“女”としてしか見ていない。
やがて戦いが始まった。開始と同時にバイソンは猛烈な速さで春麗に向かって突進していき、その勢いで左ストレートを春麗の顔面に向かって繰り出していく。
「へやああぁぁぁ!!」
「はっ」
春麗はそのバイソンの強烈なストレートを寸前の間合いで見切る。が、続けざまにバイソンは右のジャブの連打を繰り出していく。
「へあっ!へあっ!へあっ!へあっ!へあっ!…」
シュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッ…しかしその顔面へのジャブも全てギリギリの間合いでかわされていく。だが春麗もまた、パンチの嵐の中で反撃どころか息をつく暇もない。
(くっ…このまま攻撃をかわしているだけじゃ…こっちからも何とか反撃しないと)


305 名前:春麗VSバイソン2 投稿日:05/12/31 10:44 ID:WyfvIteQ
パンチの嵐の中必死で反撃の機会を窺っている春麗。しかしじれているのはバイソンも同じだった。当たらない攻撃に業を煮やし、春麗の腹部目掛けてやや大振りの右のボディーブローを浴びせにかかる。
「へあぁっ!」
(チャンス!)「やあぁつ!」
春麗はその腹への大振りの拳をすんでの間合いで見切り、クロスカウンターのような形でバイソンの顔面に強烈な右のハイキックを見舞う。
「ぐふぅっ」
口の唾液を撒き散らし後ろによろけるバイソン、その流れで間合いをつめ反撃しようとする春麗。
だがその時、春麗はたった今拳を見切りかわしたはずの左脇腹に違和感があることに気づく。
シャッ。澄みきった青のチャイナドレスのような道着の左脇が切り裂かれ、その中に身につけていた同じ色のレオタードも同じように裂かれている。
「くっ!?…な、何を」
「へへっ…オレ様のパンチはカミソリよりも鋭いからなぁ…へへへへっ」
自身の赤いグローブを舐めまわしながらバイソンが言う。
だが、本当はそのグローブに超小型のカミソリが仕込まれていただけで、それを彼は暗器(隠し武器)のように使っていた。何の事はない、春麗の服はそれに裂かれてしまっただけである。
「くっ…それに何か仕込まれているに決まってるわ…武道の試合で…卑怯者め!」
「へへへっ、さあなぁ…そんなに疑うのならオレ様を捕まえて調べてみたらどうだぁ?へへへへっ」
春麗のなじりにもバイソンは動じる様子もない。極悪人の彼の辞書には“正々堂々”なんて言葉があるわけないから当たり前である。逆に春麗を挑発するような言葉を投げつける。
「…言われなくてもそうするわ!…はあっ!」
そして今度は春麗が攻勢に転ずる。素早いハイキックと回し蹴りの連続攻撃が、バイソンの顔面に向かって交互に襲い掛かる。
「やっ、やっ、やっ、やっ…」
バイソンはそれを両腕でかろうじて受け止めていく。
「くっ…この…アマァ」


306 名前:春麗VSバイソン3 投稿日:05/12/31 10:47 ID:???
そしてがら空きになった腹に渾身の蹴りを浴びせる。
「ぐふぅっ…」
後ろにのけぞり、蹴られた衝撃で唾が吹き出る。さらにその腹部へ右足のミドルキックの連撃を加えていく。春麗の得意技、“百裂脚(キック)”である。
「やっやっやっやっやっやっやっやっ…」
春麗の鍛えられた脚の渾身の蹴りが次々と決まっていく。
「ぐぅ…ぐぉ…ぐふぅ」
そしてひるんだところを更に攻めたてる。空中で逆さまになり両脚を180度開き、プロペラのように回転しバイソンの顔に連続で蹴りを食らわせていく。
「スピニングバァード・キッーク!!」
バシッバシッバシッバシッ…白いロングブーツを履いた春麗の脚が次々とバイソンの顔面にヒットしていく。
「ぐふっ…ぐおっ…お、おのれぇぇ」
そして春麗は開いていた脚をたたみ地面に手をつき逆立ちのようになり、別の体勢で更にバイソンを追いつめていこうとする。
「ぐぅぅ…このアマァァ…これでもくらいやがれぇぇ!!」
バキィッ!!しかし、そこへ逆上したバイソンの左ストレートが逆立ち状態の春麗の股間をクリーンヒットする。
「きゃあああぁぁぁ!」
急所への思わぬ反撃、悲痛な叫びと共に春麗は後ろへ転がりうつぶせにダウンする。両腕を伸ばし彼女は苦しげにうめいている。
「う…うっ…うううぅ」
そしてバイソンは倒れている春麗の細い首を赤いグローブをはめた両手で掴み、自身の目の前で彼女を宙釣り状態にする。グローブ越しとは言えその手の力、握力は相当な物である。
春麗は苦しげにか細い声を上げ、首を絞めているバイソンのグローブを引き剥がそうとし、地面に届かない脚をバタつかせ必死に脱出を試みている。
「ぅぅ…ぅぅ…は…なせ…」
「へへっ…よくもオレ様の男前を好き勝手に蹴とばしてくれたな…たっぷりおかえしをしてやるぜ…へへへへっ」
(男前かどうかは知らないが)バイソンは春麗を掴んだまま壁に向かってダッシュし、そのまま彼女をコンクリートの壁に叩きつける。


307 名前:春麗VSバイソン4 投稿日:05/12/31 10:49 ID:???
後ろへの不自然な重力の掛かりかたに春麗は不快さを感じ悲鳴を上げ、壁に叩きつけられた衝撃で全身の骨がバラバラになりそうな痛みが走る。
「いやああぁぁぁ!…ああんっ!」
バイソンは春麗を叩きつけた壁に立ったままよりかからせ、彼女の首を掴んでいた両手を離す。春麗は苦しげな表情を浮かべよろよろとファイティングポーズを取る。
「ぐぅ…はぁ…はぁ…はぁ…」
「へへへっ…安心しな、たっぷりかわいがってやるぜ…オラッオラッオラッオラッオラッ…!」
バシバシバシバシッ…胸、腹部、腕、脚…春麗の四肢へバイソンの左右のコンビネーションパンチのラッシュが容赦なく彼女へ襲いかかる。
春麗も何とかガードしようとするが圧倒的なバイソンのパワーと手数の前に、ガードをはじき飛ばされなすすべもなく拳を打ち込まれていく。
「ぐっ…くぅ…あぅ…ああっ…あああっ」
「へへっ、さっきまでの威勢の良さはどうしたんだ?オレ様を逮捕するんじゃなかったのか、国際警察の女刑事さんよぉ?…ぐへへへへっ」
サンドバックに殴りつけるように春麗の四肢に拳の雨を浴びせながらバイソンが言う。
時折バイソンは先程の暗記を混ぜ、その鮮やかなスカイブルーの衣を果物の皮を剥くように少しずつ引き裂いていく。
(っ…くっ…何とか攻撃を…)「っ…あ、あっ…ああっ…あああっ」
春麗は時折蹴りを放とうとし反撃を試みるが、脚をピクッと動かすたびに太腿にパンチを打ち込まれ蹴りを放つことができない。
「オラオラオラオラッ…」
そして何発ものバイソンのボディーブローが春麗の腹部をえぐっていく。その衝撃で身体をくの字に折り曲げる春麗。
「ぐふっ…がはっ」
そしてバイソンは右手で春麗の首を掴み頭を後ろのコンクリートに押し付ける。
「ぐ、ぐぅ…」
「へへっ…オラァッ!」
シュシュッ。そしてバイソンは動きを止めた春麗の両側頭部に左のストレートを放つ。それが春麗の頭の白いおだんごをかすめ切り裂いていく。
パサッ。束ねられていた春麗の黒髪が、鮮やかなセミロングのストレートが広がっていく。
(くっ…)


308 名前:春麗VSバイソン5 投稿日:05/12/31 10:51 ID:???
「へぇ…髪を降ろしたらまたかわいいじゃねぇか?…このほうがいいんじゃねえのか?刑事さんよぉ…ぐへへへへへっ」
髪を降ろした春麗にまた違った趣を感じ、更に欲情していくバイソン。それに伴って彼の股間もムクムクと隆起していく。
ガンッ!バイソンは春麗の首を掴んでいた右手で彼女を更に壁に押し付ける。そして左手のグローブを自身の口でくわえそれを外していく。
「あんっ!…ううぅ」
バイソンは自身の両足で春麗の足の甲を片方ずつ踏みつけていき、両腕で彼女のそれぞれの腕を掴む。そしてその腕を下へ目一杯引っぱっていく。
力任せに引っ張られた春麗の腕がコキコキッと悲鳴を上げていく。上を向きいやいやをしながらじっとりと脂汗をかき、春麗は苦しげに甲高い叫び声を上げている。
「あ、ああっ…あああっ…あああっ…ああああぁぁぁぁっ」
「へへっ…変に抵抗されちゃかなわねえからな…ほらほら、もうちょっとで完全に外れるんじゃねえかぁ?…へへへへへへっ」
ゴキゴキゴキッ。そして春麗の腕はにぶい音を立てて完全に肩から外れていく。その腕は力なくだらりとたれている。
「う、ううぅ…」
下を向き、力なくうなだれる春麗。そこへバイソンが右手のグローブを外し、徐々に春麗に近づいていき、身体が密着するほど彼女に迫っていく。
「へへっ…見れば見るほどかわいいツラしてんじゃねえか?刑事にしておくには本当ニ惜しいぜ…ぐへへへへへっ」
(くっ…)
目をつぶり右を向き必死でバイソンから顔をそむける春麗。
「それに実は結構いい身体してんじゃねえかよ?…へへへへっ」
両手で春麗の身体をさすりながらバイソンが言う。そして彼の右の指先が彼女の胸のふくらみをなぞっていく。
(くっ…この…)ペッ!一瞬顔をゆがめながら春麗はバイソンの顔に唾を吐きつける。それを見て彼女はしてやったりの表情を浮かべる。
その唾を自身の右手でぬぐいながらバイソンが彼女を睨みつける。
そして左手で彼女のアゴを掴みクイッと自分の方へ向かせ、お互いの鼻が触れあうくらい春麗に迫っていく。
「…このアマァ、やってくれんじゃねえか?女だと思ってやさしくしてやればつけあがりやがって…覚悟はできてんだろなぁ…へへへへへっ」


309 名前:春麗VSバイソン6 投稿日:05/12/31 10:53 ID:???
そう言うとバイソンは春麗の唇を乱暴にガバッと奪いに行く。アゴを掴んでいた左手は彼女の後頭部を押さえている。
バイソンの思わぬ行為に驚き大きく目を見開く春麗。
「う、うぐっ…ううぅ…うぐっ…うぐっ…うぐぐぐっ…」
瞳を閉じ必死にバイソンの口づけから逃れようとする春麗。だが、両足のブーツは踏みつけられ、両腕は完全に肩から外れ動かすことができない。
その上自分の頭はバイソンの左手で彼の唇を強要するように押さえつけられ、身体をむなしくくねくねと動かすことしかできなかった。
舌をからめ春麗をたっぷり味わっていくバイソン。そして彼の右手はドアのぶをひねるように春麗の左のふくらみをさわさわとさすっていく。
「うぐっ…うぐぅ…ううぅ…うううぅ…」(い…やっ…このっ…離せ…やめなさい…あ、あん)
抵抗しようと試みるが身体をくねらせるだけでなす術がない春麗。バイソンに思うがままに口内を蹂躙されていく。
…数十秒後、ようやくバイソンの口づけから開放される春麗。
「ケホッ、ケホッ…ぐっ…はぁ…はぁ…はぁ」
自身の口内に侵入してきたバイソンの唾液を必死で吐き出すようにむせ返り、息を整えようとする春麗。
「ぷはーっ…中々美味かったぜ…ぐへへへへへっ」
舌なめずりしながらバイソンが言う。それに気を良くしたのか更に彼は続ける。
「へへっ…せっかくだからもう一度味わわせてもらうぜ、ぐへへへへへっ」
そう言うとバイソンは再び春麗の口元にしゃぶりついていく。やはりバイソンの思うがままに蹂躙されていく彼女。
「う、ううぅ…うぐっ…うぐぅ…ううううぅ…」(このっ…いやっ…離せ…離しなさい…)
そしてバイソンの右手が今度は先程切り裂いた服の裂け目から、春麗のスカイブルーの衣をビリビリッと少しずつ剥いていく。
「ううぅ…ううぅ、うううっ…うぐうぅ…」(いやあぁ…やめ…て…やめ…て…)
青い布が引きちぎられ白いパッドが剥ぎ取られ露になっていく春麗の上半身。その露出した双乳を乱暴に揉みくちゃにしていくバイソン。
「うっ、うっ、ううぐっ…うぐっ…うぐうぅ…」(いやあぁ…ああっ…ああっ…と、父さん…わたし、負けたくない…でも…もう…)


310 名前:春麗VSバイソン7 投稿日:05/12/31 10:55 ID:???
自分が忌み嫌う組織の人間に身体をいいように蹂躙され、春麗の瞳からは悔しさで涙がこぼれ出てきてしまう。
やがてバイソンの右手が彼女の股間へ伸びていき青い三角地帯をむしりとっていく。徐々に露になっていく春麗の黒い茂み。その周りはすっかり濡れていた。
「ううぅ、うううぅ、うぐぐっ…うぐぐぐっ…」(いやぁ…いやぁ…)
しばらくして唾の糸を引きながら開放されていく春麗の唇。
「ぷっはーっ…へへっ、だいぶいい感じに剥けてきたぜ…やっぱりいい身体してんじゃねえか?隠しとくのはもったいないぜ…ぐへへへへへっ」
ほとんどの着衣を剥ぎ取られ、前がほとんど何も着ていない状態の春麗を見てバイソンが言う。
ううぅ…ううっ…うううぅ」
下を向きうなだれている春麗。頬には何本もの涙の跡が伝っていた。
「へへっ…泣くほど嬉しいのかぁ?でも本番はまだまだこれからだぜぇ…ぐへへへへへえ」
そう言うとバイソンはすっかり隆起した己自身を取り出し、春麗の股間へ近づけていく。
(いやっ…いやっ…)
恐怖で瞳を閉じ長い髪を振り乱しいやいやをしながら必死で無力な拒絶をする春麗。
しかし無常にもその瞬間はやってきた。ズブッ!バイソンのモノが少しずつ春麗の中に侵入していく。
「いやああああぁぁぁ…あああぁぁぁぁ」
「…そのうるせぇ口も塞いでやるぜ…ぐへへへへっ」
そしてバイソンは春麗の唇を彼女の悲鳴を押さえつけるように再度塞いでいく。
(ああっ…ううぅ…ううぅ…ああっ…あああっ)
泣きながらバイソンに唇を奪われ、あまつさえ自分の一番大事な所まで蹂躙されている春麗。
このあとも延々とバイソンの慰み物にされていく彼女。いつ終わるともなく春麗の地獄はまだ続いていく…。
−完−


311 名前:259 投稿日:05/12/31 11:08 ID:???
おしまいです。今回はどうだったのでしょうか?
個人的に髪を下ろした春麗をいたぶりたかったってだけなんですけど…何だか途中で力尽きて
無理矢理終わらせた感がたっぷりだったかな?まあ、このままダラダラ続けるよりはいいかな、と。
こんなので楽しんでいただければ何よりです。


312 名前:名無しさん 投稿日:06/01/02 12:05 ID:E/6fjAaI
すでに生きている「人」などいるはずもない養成所に一人ただずんでいる。 女性がいた・・・・・ 彼女はレベッカチェンバース 彼女は生きるために養成所を探索していた・・
そして、彼女は、自分の最後となる部屋にたどり着いてしまった。 ・・・ガシャ、そこにかかっていた鍵を開け中に入っていった。「・・・!?」彼女は声にならない声をあげた
そこにあった光景は、巨大な「虫」が人であったであろう物体をむさぼっていた。 「ギシィィィィ」その虫は新たな獲物を見つけたといわんばかりに鳴いた身の危険を感じたのか
彼女は、銃を抜く仕草をとった、しかし次の瞬間巨大な「虫」は彼女の上にまたがっていた。 「ギュゥゥ」勝利を確信したかのような奇声を発した。「いやぁ・・・・」彼女は必死に抵抗した
しかし、小柄な体からその「虫」をはねのける力もなくただ悲鳴を上げていた

313 名前:名無しさん 投稿日:06/01/02 12:46 ID:E/6fjAaI
「助けて・・・いやぁぁぁぁ・・・!」彼女の悲鳴は「虫」を喜ばせるようなものだった
ビリ・・ビリィィ・・その虫は彼女の衣服を引き裂き半裸になった彼女を楽しむかのように
抱きついた。そして体をうごかせないように「虫」は彼女の両手、両足を押さえつけた。
さらに虫は彼女を舐めまわすように彼女を見た。「虫」は姿勢を落とし自らの顎を彼女の
美しい体に向けた。そして彼女の腹部に狙いをつけた。

314 名前:名無しさん 投稿日:06/01/02 12:59 ID:E/6fjAaI
「いやぁ・・やめて・・・・」そして「虫」は彼女の腹部に顎をつきたてた彼女の腹部から大量の鮮血が噴出した
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・」「・・・う・・・いやぁ・・こ・・んなと・・・ころ・・・で」「虫」は動かなくなった彼女の
腹部をむさぼっている。ただそこには美しかった彼女はなく、ただ血にまみれ、絶望に浸った顔をしたひとつの「虫」の食料が残った・・・・・

315 名前:名無しさん 投稿日:06/01/02 12:59 ID:E/6fjAaI
「いやぁ・・やめて・・・・」そして「虫」は彼女の腹部に顎をつきたてた彼女の腹部から大量の鮮血が噴出した
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・」「・・・う・・・いやぁ・・こ・・んなと・・・ころ・・・で」「虫」は動かなくなった彼女の
腹部をむさぼっている。ただそこには美しかった彼女はなく、ただ血にまみれ、絶望に浸った顔をしたひとつの「虫」の食料が残った・・・・・

316 名前:名無しさん 投稿日:06/01/02 13:02 ID:E/6fjAaI
ダブってすいません。初めての書き込みでしたがどうでしたでしょうか?
個人的にレベッカは好きなのでかいてみました。機会があったらまた書いてみたいと思います。

317 名前:名無しさん 投稿日:06/01/02 14:02 ID:???
微妙な板違い?

318 名前:名無しさん 投稿日:06/01/02 19:48 ID:???
バイオ0自体はやった事ないのですが、ナイスチョイスじゃないですかね。
ただもうちっと伸ばしてはどうでしょう。
バイオなら舞台が研究施設だったり洋館だったり、レベッカの養子、様子(既に戦いで疲弊しているか、持っている武器や残弾等)。
濡れ場シーンを一気に出すのではなく、小出しにして最後にハァハァするのが自分は好きです。

319 名前:baio 投稿日:06/01/02 22:47 ID:Ba0PRrYA
前回はレベッカを書きましたが、クレアはどうでしょうか?


320 名前:baio 投稿日:06/01/02 22:47 ID:Ba0PRrYA
前回はレベッカを書きましたが、クレアはどうでしょうか?


321 名前:baio 投稿日:06/01/03 00:40 ID:Z6N3u6Tw
「ハァ・・ハァ・・・」息を切らしペタンと座り込んだ女性はクレア 彼女はS.T.A.R.Sのメンバーであった兄を探しに警察署にやってきたのだ。「誰も居ないのかしら・・?」と彼女はあたりを探索し始めた  ・・・・・ガシャ、彼女は唯一開いていたドアを見つけた「・・・・ここだけ開いているのね」彼女は不安も覚えながらも進んでいった・・・・この先にあるのは、「希望」ではなく彼女の「最期」だけだということも知らずに・・・・・・彼女はそこにある光景に絶句した。そこには不自然な「死体」があった首がないのだ。彼女は、嘗め回すような視線を感じさっと後ろを見た「何っ!」しかし、そこには、何もいなかった。彼女は嫌な予感にとらわれそそくさと先に進んでいった。「シュゥゥゥ」天井にはゾンビではないおぞましい「何か」がいた彼女の予感はあたっていた・・・・ 彼女はあの予感が忘れられず急ぎ足で先に進んでいった。その先々に不自然なほどのバリケードがはられていた。遂に通路の奥のドアまでやってきた。「このさきに何かあるかしら・・・・」とドアを開けようとした瞬間 ドガ・・ドガ、ドガドガ「何っ!!」それは彼女がすすもうとしていたドアからだった。「ウゥゥゥ、アァゥゥゥ」「この先は進めそうにないわね・・・」
そして彼女は、来た道を引き返していったそして、バリアードの前にきた瞬間バン、ドカン、バリアードの隙間から無数の手が飛び出してきた。その手は、クレアをつかんだ「いや、離して!」もちろんその手ははなすはずもなく、クレアの体を撫で回してゆく、ついにジャケットを引き剥がされ中に入っていた弾薬、サバイバルナイフごと引きずり込まれてしまった。それでも、クレアを撫で回す手はとまらなかった、胸をを揉まれ「いやぁ」と力のない声を上げた。その行為はクレアの力がなくなり立っているのがやっとになるまで続いた・・衣服はボロボロになりながらも何とか脱出し、彼女が最初に通った道まで戻った・・「はぁ・・はぁ・・」体力がなくなり、走ることもできなくなった彼女に追い討ちをかけるかのようにそれまで天井に居た「何か」が彼女の上に飛び掛った・・もちろん抵抗する力のない彼女はいとも簡単に押し倒された、「フシュゥゥゥ」獲物を手に入れた「何か」は喜びに満ちているようにも見えた「いやぁぁぁ、どいて!」彼女を襲った「何か」はすぐには殺す仕草を見せなかった「何?」何かが彼女の体を撫で回しているそれは奴の舌だった異常なまでに長い舌はボロボロになった服を破り露になった彼女の肌を舐めまわした「うっ・・いやぁ・・」その屈辱に耐えられず残った数発の弾を撃った「ギャァァァァァ」奴はもがき彼女の上から逃げた、しかし彼女は体力を残しているはずもなく
歩いているのが精一杯だった、「はぁ、はぁ・・逃げないと」次の瞬間、後ろから奴は飛び掛り、彼女の肩を引き裂いた「いやぁぁぁぁっぁぁぁぁぁ、」彼女のから鮮血が噴出した、奴はその血を舐めながら力なく倒れこんだ彼女を見つめた奴は彼女に近づきすぐには殺さないと言わんばかりに舌を鞭のように使い彼女を痛めつけたビシ、バシン、バシ、バシン、「あん」「きゃぁ」「もう・・やめて」だんだん声から精気はなくなり弱弱しくなったそして奴は飽きたかのように彼女に近づき巨大な爪をつきたてたズブ、ズブズブ「うぁ・・ああぁぁぁぁ・・・」薄れゆく意識の中彼女は奴が自分をむさぼっているのを見たしかし痛みを感じることはない・・なぜなら彼女は息絶えてしまったのだから・・・・・
           −完ー


322 名前:名無しさん 投稿日:06/01/03 14:07 ID:???
クレア最高
ちんこたつ

323 名前:名無しさん 投稿日:06/01/03 23:37 ID:???
>>304-310
遅レスだけどめっちゃよかった
春麗は永遠のリョナアイドルやね

324 名前:259 投稿日:06/01/06 20:08 ID:???
>>323
カキコ遅れちゃったけど、感想ありがとうです。
“髪を下ろした春麗をどのようにしていじめていくか?”が今回のテーマだったのですが上手く書けてるのでしょうか?
また機会があればSSを投下させていただきます。そのときはよしなに。


325 名前:名無しさん 投稿日:06/02/07 20:08 ID:???
亀レスですが、
>>226-228
ダメージを負った状態から戦いが始まる、というシチュが最高でした。GJ!

326 名前:名無しさん 投稿日:06/03/25 03:47 ID:2k4im0AQ
うおおおぉぉ!!!こんな素晴らしいスレがあるとは…
神が何人も降臨していらっしゃる…w
俺も書いてみたくて実際に3行ぐらい書いてみたけど難しいな。
やっぱ皆さん文章を書く練習とかしてるの?

327 名前:名無しさん 投稿日:06/03/26 00:47 ID:???
このスレ最初から読んでみたが凄いな…
俺も何か書いてみたいかも…こういうの書いた事無いけど。

328 名前:327 投稿日:06/03/27 09:48 ID:???
という訳で試しに書いてみました。初めてなので期待はしないで下さい。
元ネタは一応プリンセスクラウンだけど、スレで動画見て萌えて
公式見たくらいなんで主人公の人となりや性格すら分からんw
なんでシチュは馬鹿馬鹿しくなってしまった…
お前等魔物に脅かされてるんじゃなかったのか、みたいな。
一応、グロ、アダルト表現注意と言う事で。

329 名前:その1 投稿日:06/03/27 09:49 ID:???
ここヴァレンディア王国には、「禊」とも呼ばれる一つの変わった儀式があった。
これは王族がなんらかの罪を犯した場合、民の前である責めを受け、それを耐える姿を
見せる事で罪を帳消しにするという儀式である。無論、これを行えば必ず罪が
消えるというわけではなく、居合わせた民の過半数に誠意がある事を認めさせなければならない。
今、先日即位したばかりの新女王であるグラドリエルがその儀式に臨もうとしていた。
といって、彼女が罪を犯したわけではない。彼女の腹心の部下であるアレックス(仮名)が
福祉施設への献金を横領してしまったのである。
彼の話では彼がもし儀式で怪我をし、職を続けられなくなったら僻地にいる老いた母が
生きていけない…との事だった。これは出任せであったのだが、彼女には3年間も
行動を共にしてきた彼が嘘をつくことなど考えることも出来なかった。
故に、女王自らがこの役を引き受けたのである。

聖堂にはすでに200人余りもの人が集まっていた。これは普段の4倍ほどの数字である。
やはり女王自らがこの儀式を受けるというのは、民にとっても驚きであったらしい。
ざわめきに向かい、エリック司教(仮名)が言い放った。「静粛に。ではこれより、『禊』の儀を始める。
この儀は知っての通り罪の重さに応じて内容が決まる。
今回は、会議の末に『嘆きの針』と『茨の椅子』を執り行う事に決定した。」
『嘆きの針』とは比較的新しく出来た刑の一つで、7cm程の長さの針に痛覚神経を
刺激する薬を塗り、次々に刺していくという物である。
『茨の椅子』は王国に古くから伝わる刑で、棘の付いた椅子の上に座らせ、
茨で縛る事で対象者に苦痛を与えるという物である。

330 名前:その2 投稿日:06/03/27 09:50 ID:???
侍女のヘレン(仮名)は苛ついていた。夫に女の影が見え始めたからである。
それが彼女を無意識のうちに行動へと駆り立てていったのかもしれない…。
「いヤああああああァァあぁあああぁァァァァ!!!!」
完全に裏返った、喉が引き裂けんばかりの悲鳴を上げ、グラドリエルは祭壇から転げ落ちた。
侍女たちが駆け寄ると、落ちた時に受身を取り損ねてしまったらしく、彼女は夥しい
鼻血を流しながらも懸命に体を起こしながら言った。「わたしは…だいじょ…ゲホッ!!」
咳き込むと同時に、口から血の飛沫が飛んだ。腰には『嘆きの針』が根元まで突き刺さっている。
本来は3cm程をゆっくりと体内へ挿入するのだが、侍女のヘレンは力任せに突き刺してしまったらしい。
このような細い針でさえ、深く刺さったまま階段を落ちるような衝撃を与えれば、
内臓に致命的なダメージを与えてしまいかねない。
…幸い、今回の吐血は鼻血が口に入っただけと言う事が分かり、本人の希望もあって、
鼻に綿を詰めたり、僅かな休憩を設けたりといった処置が取られた後、儀式は続行される事になった。
グラドリエルは祭壇に戻り際「わたしは貴女を責めません。どうか安心して下さい」と
いう意味の笑顔を、罰を受けるのではないかと恐れ、怯えた表情をしているへレンに投げかけた。
しかし、祭壇へと戻ろうとするその足は、確かに震えていた。

「グッ…。」6本目の針が刺さると、グラドリエルは軽く体をよじり、小さく呻いた。
この儀式は痛みに耐える姿を誠意として差し出すことで罪を贖うものであるから、
もしここで叫びでもしたらアレックスは許されないかもしれない。彼の老いた母親は
もう生きていけないのかもしれない。そう思うと、彼女には下唇を強く噛み締め、
ただ痛みに耐える事しか出来なかった。侍女の一人が余りにも心配そうな顔でこちらを
見ているので、彼女を安心させる為、彼女に向かって、その後民たちに向かって
「大丈夫」の意味を込めて笑いかけた。しかし、悲しいかな13歳の娘にはまだ
痛みに耐えながら表情を取り繕う事など出来るはずもなく、その笑顔は既に
人を安心させる女王のそれではなく、青ざめて強ばった作り笑いにしか見えなかった。
少女が責め苦を受けながら蒼白な顔に無理に笑みを浮かべ、痛みに体をよじらせつつも
意志の力を総動員して叫ぶ事を抑えている光景…それは妙に男たちの嗜虐心を煽るものであった。
もしもこの時グラドリエルの目に涙が溜まっていなかったなら、彼らの一部の
ぎらぎらした眼差しと、後に彼女に襲い掛かる災難も見通せたのかもしれない。

331 名前:その3 投稿日:06/03/27 09:52 ID:???
『嘆きの針』も、残す所あと一本となった。グラドリエルは必死で呼吸を整え、次の痛みに備えていた。
次の執行人は目付きが異様に鋭い男、ヨハン(仮名)であった。彼は人が苦しむ姿を見る事が
何よりも好きで、この儀式の執行人に志願したらしい。その意味では、最初の犠牲者が
若き女王であったのは、彼にとって幸運だった事だろう。グラドリエルは彼の目付きに
少し怯えながらも衝撃を待った。「ぁっぐ!!」口をこじ開けて悲鳴が飛び出し、彼女は
片膝を付いて激しく喘いだ。どうやらこの男、故意に肉の薄い部分を狙い、骨を穿ったらしい。
彼は跪く女王の手を取り、更に針を持つ手に力を込めた。元来、骨を刺す事は余りにも
苦痛を強いる為に禁止されていた。しかし、ここで過剰に騒ぎ立て民の不興を買えば、
部下の罷免、ひいては彼の母親の死を招くかもしれない…彼女の内なる葛藤を思うと、
ヨハンの胸に愛おしさが込み上げ、指を動かして骨と針がこすれ合う感触を楽しんだ。
少女の目は大きく見開かれ、その膝はカタカタと震えている。針を抜かれ、立ち上がると
傷口を手で押さえ、へレンの時同様に笑いかけようとしたが、彼女の意思に反して涙が
一滴頬を流れ落ち、震える息が口から吐き出されるだけだった。
「陛下…中止になさいますか?」家臣の一人が訊いた。
「大丈夫…大丈夫…大丈夫…」目の焦点が合っていないし、殆どうわ言の様にしか聞こえなかった。
『嘆きの針』に塗られた薬による痛みは、針を抜いた後も犠牲者を責めつづける。
苦痛との葛藤に意識の半分以上が持っていかれてもそれは仕方の無い事である。
おそらく、年頃の娘には可哀想な事に、ここ2、3日ほどは風呂にすらは入れないだろう。
とりわけヨハンによって擦りつけるように薬を塗りこまれた左肩の部分は、
少なく見積もっても痛みが完全に消えるまで一週間はかかるだろう。
しかし本人の了承無しに儀式を中断する事は出来ない。予定通り、『茨の椅子』が場内へと運ばれてきた。

332 名前:その4 投稿日:06/03/27 09:53 ID:???
茨の椅子には座の部分に4本の棘、背の部分に4つの穴が取り付けられている。
まずは椅子に座らせる事で4本の棘が臀部と太股の裏に刺さり、続いて穴から棘を背中に
刺す事で痛みと共に対象を拘束する仕組みになっている。
グラドリエルはいくつか深呼吸をすると、思い切って棘の付いた椅子に座った。
その躊躇の無さ、度胸の強さは女王に相応しいものであったが、流石に棘の刺さる痛みは
堪え難いものであるらしく、座る時に「痛ッ!」と短く声を漏らし、完全に座る姿勢に
なってからも、彼女の食いしばった歯の隙間からは「うう…」という呻き声が漏れていた。
続いて椅子の穴を通して、背中にも棘が打ち込まれ始めた。彼女は良く耐えていたが、
痛みから少しでも逃れようとして体をよじらせた為、座に付いた棘が傷口を
広げてしまったらしい。真っ白なかぼちゃパンツが僅かに赤く染まっていた。

3本目の棘に差し掛かった時、ちょっとしたアクシデントが起こった。
棘を刺す手に力を込めてもグラドリエルの表情の歪みが増すだけで、体に刺さっていかないのである。
彼女の体が思っていたよりも小さかったせいで、棘の刺さる位置が背中のあばら骨の
部分に当たってしまっていた。家臣の一人が司教に尋ねた。
「司教…今回は3本でやりますか?」「いや…ここはサム(仮名)を呼んで来よう。」
サムとは王国に住む大工である。彼の金槌の力を借り、棘を刺そうというのだ。
「でも…まだ彼女13歳ですよ?そんな酷い事をするなんて、可哀想過ぎます!!」
「構わん。私が責任を取る。サムを呼んできなさい。」厚手の司祭服を纏っている為に
誰も気付かないが、彼は激しく勃×していた。彼も嗜虐的な嗜好を持つ一人であったらしい。

333 名前:その5 投稿日:06/03/27 09:54 ID:???
暫くして、サムが聖堂に姿を現した。サムは状況を把握すると、棘に向かって渾身の力を
込めて金槌を振り下ろした。小刻みに棘を打ち込むより、一思いにやってしまった方が
総合的な苦しみは少ないのではないかと言う、彼なりの配慮である。しかし…。
「グぎゃァァァああああぁぁぁぁ!!!ああぁうう!!う、ふぐっ…」
それは少女の声というより、むしろ獣の様な叫び声だった。
サムの放った一撃は余りにも強く、棘は刺さると同時にあばら骨を叩き割ってしまったらしい。
漫画(ぶっちゃけグラップラー刃牙)の知識であるが、背中のあばら骨というのは、骨折すると
最も治りにくい箇所の一つであるらしい。
…それは凄惨な光景であった。背中と太股に刺さった棘が許す範囲で前のめりになり、
必死で酸素を求めるように喘ぐ彼女の鼻からは詰めた綿が外れ血が流れ出し、
逆流した鼻血によって口の中が赤く染まっている。彼女にとって唯一幸運と言えた事に、
骨折の痛みが余りにも大きかったため、4本目の棘を刺した事は全く気付かなかった。
喘ぎが収まると、今度はゼイゼイと言う雑音が呼吸音に混じり、しきりに咳をし始めた。
咳を受け止めた掌には、点々と赤いものが飛び散っていた。
金槌の打撃の威力により、鼻からの出血は酷くなり、呼吸器系を圧迫しているらしい。
一人の家臣はグラドリエルの顔色が蒼白を通り越し、紙よりも真っ白になっているのに気付いた。
「へ、陛下!これ以上は、もう…。」「あ…あ…ヒッ!」大丈夫と答えようとしたのだが、
口から漏れたのはしゃくりあげであった。いつの間にか泣いてしまったらしい。
両の頬には、涙の跡がはっきりと残っていた。「陛下、もう中止にいたしましょう…」
答えようとするのだが、口から出るのはしゃくりあげだけで言葉にならない。
もう、嫌だ…そう思うと、脳裡には唐突に母の顔が浮かんできた。
(そうだ…ここでわたしが逃げ出したら、アレックスはどうなってしまうのだろう。
わたしはお母様のような、立派で勇敢な女王になりたい…!!)決意と共に、
しゃくりも収まり始めた。暫くして、彼女は毅然として言った。「いえ。大丈夫です。続けて下さい」
何時の間にか彼女の虚ろだった目には、強い意志の光が宿っていた。

334 名前:その6 投稿日:06/03/27 09:56 ID:???
続いて、まるで有刺鉄線のような茨が運ばれてきた。
それはまず腹部を圧迫する形で巻きつけられ、ぎりぎりと締め付けられた。
グラドリエルが女性である事を考慮してか、胸部には巻かれなかった。
茨の棘が肉に食い込み血が流れたが、目を閉じ歯を食いしばって耐えていた。
少女の苦しむ姿を期待していたエリック司教はがっかりしたが、気を取り直して
茨を両腕を拘束する形で巻きつけ、滑車へと括りつけた。こうする事で、司教が
茨を引くと、両腕が引っ張り上げられ、棘が食い込む形になるのである。
エリック司教が渾身の力を込めて引っ張った為、両腕だけでなく体全体が持ち上げられた。
勿論背中には棘が深く食い込んでいるので、立ち上がる事は出来ない。
しかし司教の引っ張る力が余りに強かったので、棘は肉を裂き、中腰の姿勢まで体が持ち上がった。
茨に縛られた両腕は鬱血し、血が袖を伝って滴り落ちている。
「あ…あ…あ…あ…」目は再び虚ろになり、弱々しく呻くだけであった。
しかし、意志の力が無くなった訳ではなく、単に出血により意識が朦朧としているらしい。
特にあばら骨を砕いた棘が刺さった箇所からの出血は激しく、椅子に小さな血溜まりを作っている。
医療班が「危険」の合図を送ると、司教は名残惜しそうに茨を外し始めた。

335 名前:その7 投稿日:06/03/27 09:57 ID:???
この後、本来ならば儀式を受けた者が集まった民に挨拶をする予定になっている。
だが、背中の棘を外され、戒めが解かれた状態になっても椅子から立ち上がる事が出来ない。
出血と痛みによるショックで腕に力を入れることが出来ないらしい。結局、家臣が
二人がかりで脇を抱え上げ、椅子から降ろした。彼女の体はまるで壊れた人形の様に
力を失い、家臣たちが支えていなければ倒れてしまいそうだったが、
力を振り絞って民たちの方へと向き直ると、弱々しくも笑いかけた。
彼女は拍手で労われ、中には彼女のそんな様子と心根の強さに心を打たれ、涙ぐんでいるものすらいた。
この分なら、アレックスが罷免される事はないだろう。
医務室へと向かう担架の上で彼女は、部下を救う事ができたという小さな喜びを噛み締め、
静かに目を閉じた。しかし、この時まだ彼女は知らなかった。
あの場に集まった民の中に彼女が苦痛に身をよじる姿を再び見たいと思っている者が
少なからずいる事、儀式を執り行う立場のエリック司教も同様の欲望を秘めている事、
そしてその2つの要素が噛み合えば、統計を捏造しグラドリエルを再びこの場に
呼び出す事が容易である事…受難の季節は、まだ始まったばかりである。

336 名前:327 投稿日:06/03/27 10:00 ID:???
終わりです。
読んでくださった方ありがとうございます。
作中でグラドリエルに台詞が殆ど無いのはどういう性格なのか
分からなかったからです。でも書きたかったんですすみません。
それと人となりが分からないので他の登場人物は仮名にしました。

337 名前:名無しさん 投稿日:06/03/27 20:59 ID:???
お疲れ。

次書く気を持ってくれてるなら改行とかしっかりやった方がいいと思うよ。
あと、ぶっちゃけ情報とか余計な気がするw

338 名前:327 投稿日:06/03/27 23:43 ID:???
>>337
アドバイスありがとうです。
改行…あんなに見難くなるとは思わなかったorz
情報は原作をプレイしてないのでそれっぽくしようとしたら見事に裏目に出てしまったw
....精進シマス。

339 名前:名無しさん 投稿日:06/03/31 19:05 ID:???
>>327
リョナってよりはエロパロの猟奇スレの方があっている気もするけど…
ともあれ痛々しさがすばらしい。一度暴虐に屈したものの再び立ち向かう姿GJ!

340 名前:名無しさん 投稿日:06/04/09 19:37 ID:w9zrNCYU
       ロールちゃんの日記だ

何でこうなっちゃったんだろう何が悪かったんだろう
私何か酷い事言ったのかなぁあの子の事傷つけちゃったのかなぁ
でも、やっぱり分かんないよ怖いよ
どうしようどうしようこの日記がもし見つかったりしたら、今度はどんな酷いことされるか!
でもやっぱり、書いておかないと
毎日書いてたんだし、もう三日もたまっちゃってるし
こうでもしてないと、頭がオカシクなっちゃう!
とりあえず、あの日から書いておこう

三日前、フラッター号に帰ってきたロックは、何故か真っ黒だった
イメチェンしたとか言ってたけど全然似合ってないし、何か怖かったんだ
ボーン一家のメカと闘った後だったし、怪我とか故障とかしてないか診てあげようと思って、彼の部屋に行くと
もう敵なんていないのにバスターや武器の手入れをしてた
妙に油臭いし、それに生臭い鉄の匂い…あれって血だったのかも…
私が「大丈夫?」って聞いたらロック「大丈夫」って一言だけ
でもそんなんじゃ全然安心できないよ
だから彼の肩に触れようとしたらイキナリ、あの硬い金属の手で私の手首を思いっきり掴まれた
骨が折れるんじゃないかと思えるほど痛くて、思わず泣いちゃったけど、あの後の事思い出したら全然かわいいもの…ロック、なんであんなk(汚れていて判読不能)
そしたら、彼そのまま私の腕引っ張って、私が「痛いから止めて」って言ってるのに聞いてくれなくて
私の方を振り向いたロックの目は、真っ赤だった
あれはどっかで見た目だった

341 名前:名無しさん 投稿日:06/04/09 19:38 ID:w9zrNCYU
「気安く触るな、デコイが」
あの時彼、はっきり私にそう言ったの、何の事か良くわからないけど、良い意味じゃないんだって事は直ぐわかった
私が何か言う前に、今度はイキナリ顎を掴まれた、やっぱり凄い力で、今でも頬っぺたに彼の指の跡が残ってて痛い
本当に凄い力だった
体重、そんなに重いほうじゃないけど、私の体を壁に押し付けて、それで脚が浮くぐらい持ち上げたの
怖くて痛くて苦しくて「止めて」って言おうとしたけど、口を抑えられてて何も(判読不能)
「あのトロンとか言う、♀のデコイが言ってたよ…ロールちゃん、僕の装備の改造費水増ししてるんだってね」
そんなの嘘私そんな事しないするわけない、きっとトロンって子が嘘言ってたんだ
でもそんな事問題じゃない、ロックが、あの優しいロックが、あんな汚い言葉使うなんて
ロックは、右手をアクアブラスターに切り替えて…それwわたsのくchに…(文字が乱れていて判読不能)
「全部飲め、こぼすな、僕の部屋を汚すな」
全部飲まされた、お腹がパンパンになって苦しかった、
なのにあの子…私が涙を流して泣いてるのに…私のズボンと…スパッツまで引き裂いて…それで…あぁぁぁAA何であんn(汚れていて判読不能)sんなのって無いよ…
もうお腹が痛くて、怖くて、私が声も上げられないほど苦しんでるのにあの子笑ってた
ロックはようやっと手を離してくれたけど、受け止めてなんてくれなかった
冷たい床にそのまま倒れこんで、気持ち悪くて、さっき飲まされた水、全部吐き出しちゃったんだ
そしたら今度は、お腹を蹴り上げられた
すっごく硬くて、蹴られた所なんて真っ青になって、息もできなくなっちゃって
私が震えながら、必死に息をしようと足掻いているとあの子「汚すなって言っただろ!この役立たずのデコイが!」って怒鳴ったの
床で震える私にそう言ったの、私もう怖くて、脚なんてとうに動かなかったから、這ってでも部屋から出ようとしたら、丁度ドアの外でデータの声がした
「おい!何やってるんだロック!」って
きっと物音に気付いて来てくれたんだって、私最初、助けを呼ぶつもりだったのに、私の頭の上でカチャリって
その音が、ロックが機関銃を構えている音だって気付いて…
「データ逃げて!」って、私が叫ぶのと、ロックがマシンガンをドアに向かって撃つのは、殆どdうじ(判読不能)頭の上に熱い薬きょうが、何個も何個も降って来て
凄い音tと一緒に、ドアはすぐ穴dらけになって…でーたのこえg聞(判読不能)っちゃった…
あぁぁぁどうしようどうしよう!ロックがデータをこr(判読不能)なんて!データが穴だらけにされちゃって・・・
私、直そうとして必死に何度も何度も…

ロックは私の足を思いっきり踏んづけた
脚はスパイクシューズだった
多分私の足首、壊れちゃっててきっと走れない
それ以前に、彼の部屋に閉じ込められてドアも溶接されちゃってるから、きっと出られない
データがやられる瞬間、私ロックに「止めて」って言わずに、データに「逃げて」って言った
きっと私はあの時もう知ってたんだ
ロックが、もう…やさしいろkkじ(判読不能)んだって…
もう三日も何も食べてない
フラッター号はたまに振動して警報がなったりしたけど、今はもう動いてないみたいだ
外では時々、爆発音が響いてる
外はどうなってるんだろう
おじさん達は大丈夫なのかなぁ…



漆黒の装甲を纏ったロックマン・トリッガーは、右手に持つ日記を、ただ無造作に床に落とした。
表情は一見、穏やかな笑顔に見えるが、深紅に染まった瞳は狂気を宿し、視線の先に映る少女を串刺しにする。
床に力なくへたり込み、あどけない無垢な顔を恐怖に歪めるロール・キャスケットは、彼が右手に赤黒いオイル滴るドリルを取り付ける様を、ただ震えながら見つめていた。

342 名前:名無しさん 投稿日:06/04/09 19:43 ID:???
ロックマンDASH3がいつまでたっても発売されないのでむしゃくしゃして書いた
反省はしていない

343 名前:名無しさん 投稿日:06/04/10 05:02 ID:???
327で書いた者ですが懲りずにもう一度書いてみました。
ゲームを手に入れることが出来たのでリベンジ。
かなり猟奇的で変態的だと思うので、駄目な人は注意。
特にグラドリエル萌えの人は読まない方がいいかも。
あとスレの方から勝手にアイデアぱくってますw

なんか内臓ダメージばかりになってしまった…
こんなはずではorz

344 名前:1 投稿日:06/04/10 05:03 ID:???
荒れる船の上、一人の少女と一匹の怪物が対峙していた。

少女の名はグラドリエル。
ヴァレンディア王国の若き女王である。

彼女と相対するのはセイレーン。
その歌声で船を沈めることで恐れられる怪物である。

最初は少女が優勢だった。

少女の使う魔法石から迸る雷や氷の礫に、怪物は近付く事も出来ない。
しかし、尽きた魔力を補充しようと、魔法石に液体を掛けようとした
一瞬の隙を付きセイレーンは人魚のような尻尾で、魔法石を
グラドリエルの手から弾き飛ばした。

今まで魔法によって攻撃された怒りを込め、セイレーンは彼女を睨んだ。
突っ込んでくるのかと身構えたが、いつまでたっても衝撃が来ない。
さっきの睨む目付きとは全く違う優しげな表情で、セイレーンは歌を歌っていた。

(これは…なに…!?)

その歌声が耳に入ると、体が痺れたように動かなくなった。

(そういえば…。)

セイレーンは歌声で船を沈めるという事を思い出し、耳を塞ごうとした。
しかし、指の先までが石になってしまったかのように、全く動かない。

345 名前:2 投稿日:06/04/10 05:05 ID:???
「痛ぁッ!!」
バシンと渇いた音を立て、セイレーンの尻尾が頬を打った。
見上げると、勝ち誇ったような表情で見下ろしている。
グラドリエルは気丈にも睨み返したが、体の自由が戻る気配は全くない。
セイレーンは体を動かそうとする彼女を眺めていたが、暫くすると
彼女の脇に手を入れ、真っ暗な空の向こう側へと飛び去っていった。

「ど、どこへ行こ…ぁッ!」
少女の問いは途中で遮られた。
セイレーンが少女もろとも、海の中へと飛び込んでいったからである。
グラドリエルは反射的に息を止めようとしたが、体全体に
得体の知れない痛みが走り、どうしても完全に息が漏れるのを
こらえる事が出来ない。

それもそのはずである。
ここはセイレーンが魔力により作り出した異界の海。
その水には、人間にとって有毒となる瘴気が多分に含まれている。

「がぼぉッ!?」
更に深く潜ると、突然グラドリエルの腹が「べこっ」と音を立て凹んだ。
鎧も付けていない部分の体では、深海の水圧には到底耐える事は出来ない。
今までよりも一際大きな気泡を上げてもがくグラドリエル。
その動きが段々弱まっていくと、彼女は突然船の上へと戻っていた。
どうやらセイレーンの魔力が一旦底を付いたようである。

弱々しく頭を振ると、グラドリエルは剣を取って再び立ち向かおうとした。
しかし…。

346 名前:3 投稿日:06/04/10 05:06 ID:???
次の瞬間、ごぼお、という音と共に、彼女は大量の水を吐き出して倒れこんだ。
それは嘔吐というよりも、まるで水を張った桶をひっくり返したようだった。
吐寫物は海草や小魚が混じり、ほんの少しではあるが赤く染まっている。
異界の水の瘴気と水圧によって内臓までがダメージを受けてしまったらしい。

「う…ゲホッ、うぇぇ……ハァ…ハァ…」
咳き込みながらも呼吸を整えると、再び剣を手に取り相手へと向かおうとした。
だが、視界がぐらぐらし、立ち上がることですら辛い。

本人としては果敢に斬りかかっていったのだが、それはどう贔屓目に見ても
酔っ払いの千鳥足と大差ない足取りであった。
その間、セイレーンは上空へと舞い上がり、悠々と魔力が溜まるのを待っていた。

そして魔力が溜まったらしく、セイレーンが再び歌を歌おうとしている。
グラドリエルは今度こそ耳を塞ごうとして、ふと気が付いた。

自分の手には鉄製の、棘の付いたごつい篭手が嵌められている。
こんなものを耳に突っ込んだら、鼓膜を破ってしまいかねない。
あわてて篭手を外そうとするが遅かった。

(しまった…)

体は再び動かなくなった。セイレーンは満足げな表情を浮かべている。
そしていきなり体を掴むと、また上空へと飛行を始めた。

347 名前:4 投稿日:06/04/10 05:08 ID:???
「イヤぁッ!!助けてッ!!誰かァーーーーッ!!」
最後の方は、掠れて裏返った声になってしまっていた。
普段柔和で落ち着いた性格のグラドリエルがここまで取り乱すのだから、
さっき沈められた時は余程苦しかったに違いない。
だが彼女の願いは聞き遂げられる事なく、無情にも異臭を放つ海へ沈められた。

「がべぼォッ!!ごぶベボアアァッ!!ごぶべえっ!!」
(誰かァ!!死んじゃうッ!!助けてぇ!!)

水中である事を忘れたかのように、必死に助けを求めてもがき、叫ぶ。
そんな事をすれば体内の酸素は早く無くなってしまうだろう。
しかし、今の彼女はパニックを起こしていて、そんな事を考える余裕もなかった。
大量の水が食道に流れ込み、意識が混濁してゆく。

2、3分も経っただろうか。
ようやくセイレーンの魔力が尽きると、グラドリエルはまるで浜辺に
打ち上げられた魚の様に甲板に倒れふしていた。

ぜひゅー、ぜひゅーと荒い呼吸音が聞こえるが、目はあらぬ方向を見つめている。
それでも胃に激しい痛みを感じ、瘴気の水を吐こうとする。
「おえぇっ…ぅぇぇ…ぇ…」
しかし、何度吐こうとしても出来ず、痛みは増してゆくばかりである。
喉に指を入れて吐こうと篭手を外しかけた瞬間、彼女の意識は薄れていった…
最後に目に映ったのは、とどめの歌を歌おうとするセイレーンの姿だった。

<続く>

348 名前:5 投稿日:06/04/10 05:09 ID:???
気が付くと、そこはヴォリガ王国の港町サゴンの中にある宿のベッドの上だった。
どうやらグラドリエルを襲ったセイレーンはポートガス達によって
退治され、更に気絶していたところをここまで運んでくれたらしい。

内臓の損傷もさほど酷くなかったようで、船員の一人がくれた
おなかの薬を飲むと痛みもすっかり治まっていた。
グラドリエルはすぐに王都へ出向き、危機が迫っている事を
告げることを主張したが、ポートガスに一週間ほどは
ゆっくり静養する事が必要だと諭され、素直に従う事にした。

だが、それがいけなかった。

三日目の夜、ベッドに入って眠っていると、突然枕に顔を押し付けられた。

「ーーーー!!!ーーーー!!!!!ーーーッ!!」

声も出せず、苦しさに手足をバタバタとさせる。
「いい格好だな。ええ?女王様よォ!!」
声と共に頭を掴む大きな腕に力がこもり、頭蓋が音を立てて軋む。
そのまま体ごと持ち上げられて投げられ、壁に背中から激突する。

弱々しく体を起こし見ると、3匹のデーモンが部屋に入り込んでいた。
おそらくネクロ・サマンサがグラドリエルがヴォリガ王に
危険を告げる事を察知し、送り込んできた刺客たちだろう。
気付かなかったが、外が妙に騒がしい。

349 名前:6 投稿日:06/04/10 05:11 ID:???
「おうおう女王様!!まあこっち来て座れや!!」

大音声で吠え、グラドリエルを無理矢理立たせて歩かせ、椅子に座らせる。
腕を振り払おうとしたが、鎧も剣も装備していない上に
相手が3匹という事もあり、結局大した抵抗もできずに
椅子に座らされてしまった。両腕をそれぞれ2匹のデーモンに
がっちりと押さえられ、身動きが出来ない。

「それじゃ、やりますかねえ」
「な、何を…げッハァ!!ッ!!」
グラドリエルの肋骨の辺りに激しく拳がめり込み、体が後ろへ飛びそうになる。
しかし両腕は押さえられている為に動かず、肩の関節に痛が走る。

「わ、わたしは…あなた達になんか…屈したり…しまゲェェっ!!」

気丈にもデーモン達を睨み返し、このような不利な状況でも
せめて言葉だけでも抵抗を示そうとするが、鳩尾へのパンチにより
途中で遮られた。もう何を言う事も出来ず、痛みに喘ぐだけであった。

「そろそろ頃合か。よし、あれを出せ。」
リーダー格と思しきデーモンが指示を出すと、部下達は幾つかの瓶を取り出した。
中にはそれぞれ色の異なる液体が入っている。

350 名前:7 投稿日:06/04/10 05:12 ID:???
「さあ女王様、これを飲んでもらおうか。」
グラドリエルの前に、その中の一つが差し出された。
当然、デーモンが差し出した妖しげな薬など飲むことは出来ない。
毅然として首を振り、拒絶の意思を示す。

デーモンはそんな彼女の顎に手をかけると、力任せにこじ開けようとした。
必死で顎を閉じようとする力と、それを開こうとする力。
二つの力による負担が顎の関節に掛かり、外れそうな程に軋む。
グラドリエルがたまらず口を開いてしまうと、瓶の中身が流し込まれた。
更にデーモンによって口と鼻とを塞がれ、苦しさから飲み込んでしまう。

(あれ…?)

予想していた苦しみは無く、むしろセイレーンとの戦いで
痛めた内臓が癒されていくかのような感覚を覚えていた。
つい最近、これと同じ味の薬を飲んだ覚えがある。
そう、これは「おなかの薬」だ。

「さて女王様。次はコッチも行ってもらおうか。」

デーモンは再び瓶の一つを差し出した。あれがおなかの薬だったことや
色から判断すると、おそらく中身は力持ちの薬辺りだろう。

351 名前:8 投稿日:06/04/10 05:15 ID:???
グラドリエルはデーモンの意図に気付き青くなった。
薬は重ねて飲んだ場合、服用者の健康を確実に害する。
しかもその効果は服用後、すぐに現れるのだ。
デーモン達はその効果により苦しむ彼女を見て楽しむというのだろう。

「嫌…!やめて…!」激しく頭を振り抵抗する。
「おやおや、手のかかる女王様だ。ならこれの出番だな。」
デーモンはどこからともなく、漏斗のようなものを取り出していた。
普通の物よりも注ぎ口がかなり長く、太い。

さっきと同じ要領で口がこじ開けられると、その中に漏斗が差し込まれた。
長い注ぎ口は喉の奥まで達し、食道を塞ぐ。
グラドリエルの喉は異物を感知し、反射的に嚥下反応を見せるが、
当然漏斗を飲み込むことなど出来ず、空回りしてぐぼぐぼと音を立てる。
強烈な吐き気が込み上げてくるが、必死に堪える。

ここで吐いたりしたら宿屋の主人に迷惑を掛けてしまう…非常事態なのに
そんな小さな心遣いを忘れないのは、女王の資質だろうか。
そして、すぐに漏斗を通じ薬が流し込まれる。
飲み込まないように務めるが、デーモンが漏斗を軽く振動させると
意思とは無関係に飲み下してしまう。

352 名前:9 投稿日:06/04/10 05:17 ID:???
「うっ…」

すぐに寒気と倦怠感が彼女を襲い、胃もきりきりと痛んでくる。
お腹を押さえようとするがデーモン達に取り押えられ動く事が出来ない。
しかしその動きにデーモン達は気付いていたらしい。

左腕を押さえるデーモンは「女王様は腹痛をおこしていらっしゃるようだ」
とげひげひ笑いながら、パジャマの裾から手を差し入れ、腹を撫で回した。
その動きのおぞましさと屈辱、そして薬の作用の苦しさで涙が溢れそうだった。

「ふん…まあ2本ではこんなものか。ならば3本ではどうかな?」

グラドリエルは戦慄した。
薬を3本重ねて飲んだ人など聴いた事が無い。
ヴァレンディナでは人体実験は禁じられているし、
そもそもそんな馬鹿な事をする者はいないだろう。
得体の知れない責め苦への恐怖に、体は小刻みに震えていた。

先程の漏斗が再び差し込まれ、薬が流し込まれる。
次の瞬間、食道から胃にかけて激痛が走り、激しい嘔吐感に苛まれる。
「うっ…おえぇ…グぼぉッ!?」
我慢しきれずに吐こうとした瞬間、デーモンの指が喉を塞いでいた。
「おいおい、まだ薬は3本も残ってるんだぜ?
こんなところで吐かれても困るんだよなァ!?」

353 名前:10 投稿日:06/04/10 05:20 ID:???
食道も気道も塞がれ、息をする事が出来ない。
漏斗を挿入した時にも起きた嚥下反応の空回りが更に
苦しみに拍車を掛ける。あまりの苦しみにグラドリエルは
今この瞬間の自分以外に生まれ変われるなら、何になっても
いいとすら考えていたが、そんな思考すら苦痛が塗りつぶしていく。
本来なら激しくもがいている所だが、両腕が押さえつけられているため
体だけがまな板の上の魚の様な不自然なダンスを踊った。

デーモンは頃合を見計らって指を抜いた。
薬が妙な科学反応を起こしたらしく鼻や口からは僅かに
白い煙が上がっている。すでにデーモンの腕には4本目の薬が
握られているが、僅かな抵抗すら見せず壊れた人形の様に
椅子に座っている。完全な放心状態である。

「グギャアアアアアアァァーーーッ!!!!」

4本目の薬が投与されると、一体この少女のどこにこのような声を
上げる力があるのかと訝ってしまう程の絶叫を上げ、グラドリエルは
椅子から転げ落ちた。

余りにも暴れ方が激しかったせいで、流石のデーモンですら
抑えきれなかったらしい。どんな化学反応を起こしたのか、
口や鼻から紫の煙がもくもくと立ち昇っている。

354 名前:11 投稿日:06/04/10 05:22 ID:???
「グボッ!!ゴッボォ!!!ゲッハァ!!ゥボごォ!!」

激しく嘔吐を繰り返しながら、床をのたうちまわって苦しむ。
吐寫物には決して少なくない量の血が混じっていて、薬品の紫色と混じり合い
腐ったような薄気味悪い色になっている。

デーモンの一匹が笑いながらグラドリエルの体を蹴飛ばすと、
その体は宙を舞い吐寫物が気味の悪い色の弧を描いた。
彼女は地面に落ちると、それから動かなくなった。

(…?)

グラドリエルが意識を取り戻すと、不思議な事に体の痛みが消えていた。
飲まされた薬の中にやせ我慢の薬か無敵の薬でも混じっていて、
どういう訳かその効果が今頃になって現れたのだろう。

痛みが引くと、清明な思考も戻って来た。
デーモン達は相変わらず彼女を見下ろしたままにやにや笑っている。
もはや彼女に抵抗する力は残っていないと思い込んでいる様子だった。
やるなら、今しかない。

グラドリエルは残された力を振り絞ってカバンの元へと走った。
案の定、油断していたデーモン達は誰一人彼女を捕らえられなかった。
カバンから術の書かれた巻物を取り出し、高く掲げる。
「あぁ!?ンなもんで俺たちを倒せるとでも思ってんのかァ?」
デーモン達はそれが攻撃用の巻物だと思っているらしかった。

355 名前:12 投稿日:06/04/10 05:24 ID:???
しかし、実際に彼女が掲げたのは「振り返りの呪文」の巻物。
いわゆる時間移動を可能にする巻物で、これを使うと使用者の状態は
そのままに近い過去へと戻る事が出来る。
ダンジョンなどで貴重品を見つけたが、
戻る体力が無い時等に重宝される巻物である。

ヴァレナディン城は大騒ぎとなった。

女王が寝巻き姿で、満身創痍の状態で謁見の間に倒れているのを
家臣の一人により発見されたからである。
特に内臓がボロボロに焼け爛れており、
女王の苦しみを思い涙するものも少なくなかった。
ジェストナイの治癒魔法をもってしても、完全に体力が戻り、
再び剣が握れるようになるまでは3日も掛かってしまった。

「女王…本当にもう一度行かれるのですか?」
ジェストナイが心底から心配している口調で尋ねる。
グラドリエルは断固とした意思を込めて頷いた。
「ええ…。」

確かに、異界の海に沈められた時の苦しみを思うと足が
竦みそうになるし4本の薬を無理矢理飲まされた時の苦痛を
もう一度味わうくらいだったら、死んだ方がましだとすら思う。

だけど…。

ここで自分が行かなければ、魔族たちに王国が蹂躙される事になるかもしれない。
そうなる事を思うと、あの4本の薬をもう一度飲まされるよりも遥かに恐ろしい。
(母様…わたしを、お守りください…。)
母の肖像画の前に跪き祈りを捧げると、港町リーランドに向かって走り出した。
<完>

356 名前:343 投稿日:06/04/10 05:28 ID:???
終わりです。長いですね…すみません。
薬飲まされるところは自分で書いてて気の毒になってしまった…orz
ちょっとやりすぎてしまったかも。

357 名前:名無しさん 投稿日:06/04/10 17:21 ID:???
GJ!

358 名前:名無しさん 投稿日:06/04/10 19:53 ID:s.8KpWY2
不知火舞vsどこぞのグラップラー風味外人のバトル張ります
無駄に長くて、おかしなところ一杯ですが、SSなんぞ書くのは生まれて初めてなんで大目に見てください


359 名前:名無しさん 投稿日:06/04/10 19:54 ID:???
「ワタシがコノ街のストリートファイトチャンピオンになって10年になるガ、ジョセイのチャレンジャーはキミがハジメテだよ マイ シラヌイ。」

「ふふふ、そして10年間無敗のあなたを始めて倒すのも・・・。」

「このオルテガに挑戦して来たモノは全員そう言ったヨ。そしてその結果はキミも知っての通りダ。」
2人が無言のうちに身構えた。ユラ・・・・と2人の間に陽炎が立ち昇る。ジリ・・・・と2人がお互いの手の内を探りながら間合いを詰めていく。
――――強イ!! 言うダケのことはある。

戦いが始まれば、間合いを詰めながらお互いの力量を読みあっていく。そして相手の出してくる技の速さ、威力、タイミングを予想するのだ。もし、この読みを誤れば、即座に敗北が訪れることになる。
――――このワカサで相当の実戦を積んでイル。オンナどころか優秀なオトコのファイターであってもココまで隙のないカマエはそうそうできない・・・。

うかつに踏み込めば即座に致命的な一撃が飛んでくる。そう思ったオルテガが間合いを詰める足を一瞬止めた、その瞬間に不知火舞が手首のスナップを利かせて何かを放った。
――――鉄扇!?
受けても、避けても追撃が飛んでくる。オルテガが選んだのはそのどちらでもなかった。
「フヒュッ!!」
呼気を発しながら飛んでくる鉄扇を2本指で受け、そのまま相手に投げ返したのだ。並みの反射神経では不可能な芸当である。
そしてそのまま自分も相手へと一気に詰め寄る。舞が受けても、避けても追撃を喰らわせるためにだ。
「はぁっ!」
不知火舞は胸元からもう1本の鉄扇を取り出すと、自分に飛んできている扇をはたいて迎撃する。振り下ろした腕を翻し、向かってくるオルテガへそのまま電光の一撃を放つ。
 しかし、その攻撃が体に届くより、オルテガが自分へ跳ね上がってきた手首を捕まえるのが早かった。そして空いたもう一方の手で舞の胸元を掴むと、一気に体で巻き込んで腰を跳ね上げる。


360 名前:名無しさん 投稿日:06/04/10 19:55 ID:s.8KpWY2
背負い投げ。もしそれが柔らかい畳の上ではなく、硬いコンクリートの床に叩きつけられれば、即死もありうる。そしてオルテガの投げは柔らの投げではない。投げた相手の上に肘を落としていく外道の技である。
 舞の体が大きく空中に浮き上がる。しかし、地面に叩きつけられるはずの体は、軌道を投げられるもののそれからはずれ、より大きな弧を描いた。
 ――――投げられながら、自ラも地面を蹴って空中で体を入れ替えて着地スル。そこらのデクノ坊にはできない芸当だが、キミのような優秀なファイターならコレぐらいのことはやるだろうナ。
 
地面に着地した勢いのまま掴んでいる手を切って間合いをあけた舞との間で再び睨み合いが始まる。
 緊迫した空間の中で、不知火舞の口元がピクリと一瞬釣り上がった。この様な緊迫した場面だからこそ気が付くようなほんの一瞬の動きである。普段であれば、どのような意図もその動きからは感じないであろうわずかな動きだ。
 しかし、オルテガはその動きをこう受け取った。
――――俺を笑った!?俺を馬鹿にした!?お前のようなウスノロの動きを見切るなんてワケのないことダト!?すぐにお前をボコボコにしてヤルダト!?
 
オルテガの中で急速にドス黒いものが質量を増していく。
――――コロス
 
オルテガの瞳に暗い悦びが宿る。そしてそのまま一足に間合いを詰めて舞へと突っかかって行く。そのオルテガへ向けて舞の手から鉄扇が放たれる。しかし、鉄扇を肩に受けながらも勢いをそのままにオルテガが舞へと仕掛ける。
 オルテガの動きを十分に予測していた舞は必殺の一撃を繰り出すべく、胸元から新たな鉄扇を取り出し、構える。その手の動きが空振りする。懐にあるはずの鉄扇が無かったのだ。
 一瞬の戸惑いを見逃さずオルテガが舞の服をつかんで体をひねる。
――――先ほどの背負いの時ニ――――扇を懐からイタダイテおいたのサ!!
 
虚を突かれた形になった舞だが、それでもオルテガの投げに合わせて、地面を蹴って自ら体を空中へと跳ね上げる。


361 名前:名無しさん 投稿日:06/04/10 19:55 ID:???
 ――――優秀ダナ――――このタイミングでも投げを殺せるトハ
だがオルテガは待っていた。何を。不知火舞が自ら体を浮き上がらせるのを。
オルテガの動きは相手を地面に叩きつけるものではなかった。横へ。腰をグンと捻る。
宙に浮いた舞の体を力ずくで横へ振り回した。そして2人の横にあるものは

    ――――壁!!

まず背中から衝撃がやってくる。そして、それが体から抜ける前にオルテガの全体重が乗った肘が反対側から打ち込まれる。2つの圧力が体内でぶつかり合う。背骨が軋む。耐え切れずにアバラが悲鳴を上げる。無理やり押しつぶされた肺がたまらず空気を吐き出す。それが喉から絞り出されて、押しつぶしたような「グゥ」というくぐもった声になる。
壁に叩きつけられ、オルテガの肘を喰らった舞の体が地面へと落下する。オルテガは舞の体を支えず、自分も一緒になって姿勢を変えていく。
――――イッキにカタをつける!!

舞が地面に落ちると同時に馬乗りになろうとオルテガが身を屈める。しかし、地面に落ちた不知火舞の下半身はオルテガの予想を裏切り、まるで別の生き物のようにオルテガの首にスルリと巻きついてきた。
――――しまったッ!?

オルテガの首を舞の足がグイグイ締め上げる。右腕の自由が奪われる。完全な形ではないが、三角締めの形が出来上がる。
――――本当に――――優秀なファイターだ・・・・・。
急速に遠のく意識でオルテガがそんなことを考える。そして訪れる
――――空白・・・・・
その空白でオルテガの自由な左腕が持ち上がる。そして先ほどへし折った、舞のアバラへと拳を振り下ろす。
「ッッッ!!」
表情がはっきりと苦悶に歪む。間髪おかず、オルテガの拳が再度同じ場所に叩きつけられる。
「はうっ!!」
 激痛に思わず舞が声を漏らす。
考えての動作ではない。脳はとうに思考を止めていた。オルテガの本能が体を動かしていた。拳を振り上げる。打ち下ろす。2度、3度、4度、5度。同じ場所へ、機械の正確さで、執拗に拳が打ち付けられる。
「ぐっ・・・うくっっ・・・はぐっ・・・うあっ・・・・」
度重なる衝撃で、ついに必死で首を締め上げる力が緩んだ。かすかに残った意識が最後の力を放出する。一気に足を振りほどいた。
「がひゅーーーーーっっっ!!!」
肺が酸素を求めて大きく伸縮する。心臓が早鐘の鼓動を打つ。意識はまだ朦朧としている。


362 名前:名無しさん 投稿日:06/04/10 19:56 ID:???
――――奴ハ!?
ハッと相手を目で追う。視界に紅い服が写る。壁にもたれるようにして何とか立ち上がろうとしている。が、膝に力が入らず中腰に近い体勢だ。
「ホァァァァァァァァ!!!」
オルテガが吼えた。そして渾身の力で拳を打ち込んだ。目が霞んでよく見えない。だから紅いものめがけて何も考えずに拳を打ち込んだ。手ごたえがあった。どこに当たったか。よくわからない。だから、もう一発打ち込んだ。また肉を打つ手ごたえがあった。もう一発。もう一発。次々と拳を打ち込んだ。そのたびに相手の体のどこかには当たっているようだ。苦痛のようなものも聞こえる気がする。
オルテガがこの道に踏み込んだのは10歳の時だ。その時から毎日巻きわらを叩いている。血がにじもうが、皮がめくれようが拳を打ち付け続けた。その積み重ねが異形の拳を作り上げた。もはや石の塊である。
同じようにオルテガはトレーニングを一日たりとも休まない。10歳の餓鬼のころから、大人と同じメニューをこなしてきた。そして、30を超えた今でも16歳の体力の黄金期と同じメニューを続けている。そのトレーニングがオルテガの体を鉄にした。
打った!打った!打った!巻きわらを打つようにして、パンチを打ち込んだ。もはやオルテガの目に先ほどの暗い悦びは残されていない。その代わりに、1発、1発の拳に道を見出そうとする、求道者の顔が現われていた。
あたりに聞こえるのは、肉を打つニブイ音と、殴る者と殴られる者の荒い息遣いだけだ。
「ふんッ!!」
引き絞られた鋼の筋肉がしなる。そして岩の拳を打ち出す。何発かのパンチが、必死に致命打を避けようとあがく舞のガードを潜り抜けた。度重なる攻撃を受け止めた結果、腕はすでに上がらなくなっていた。当然、体ごと避けるような動きはできない。できることは覚悟することだけだ。覚悟して我慢する。それだけでダメージが大分違う。わかっているパンチはダメージであってダメージではない。しかし、一瞬意識が途切れた。顔面に入ったパンチが舞の意識を一瞬奪ったのだ。その結果、次に来たパンチには何の覚悟もできていなかった。
 「はう・・・・・あ・・・・・」
腹筋の締められていない舞のボディーへ重い塊が打ち込まれた。ズン・・・というインパクトから一瞬遅れて、全てを剥ぎ取るような振動がゆっくりと内臓を伝っていく。目に涙が浮かび、酸素を求めてパクパクと口が動くが、酸素は得られない。そのままゆっくりと膝を地面に付く。
「・・・・・・ツッ!!」
声にならない苦痛を洩らしながら舞が腹を抱えこんでうずくまるのと、オルテガが正気に戻るのは同時だった。
――――勝った・・・・・!?ワタシが・・・・!?
 オルテガの目に勝利の喜びはない。その目にあるのは、敗者である舞への憐れみである。
 「キミはホントウに優秀なファイターだったよ・・・・。」
 先ほどのボディーでかえって意識がはっきりしたのか、オルテガの呟きに舞がチラと視線を動かす。そしてオルテガの表情から全てを悟って覚悟を決める。


363 名前:名無しさん 投稿日:06/04/10 19:56 ID:???
――――トドメを刺す
 そこらの坊やなら一度叩きのめされた相手とは2度とやりたくないと思うだろう。
しかし、強者は違う。必ずリベンジを忘れない。その人間が若く、才能があふれているならなおさらだ。そして2度目に自分の前に現われる時には、確固たる勝算をもって現われるはずだ。だから強者にはトドメを刺さねばならない。もう・・・2度と戦えないように。
 「・・・・・・・。」
オルテガは無言で舞を見下ろすと、スッと自らの足を宙に浮かせる。そして投げ出されている舞の足首を一気にかかとで踏み抜いた。
 ゴキリ!!と嫌な音が響き渡る。
「ッッッ!!」
強者の自負が最後の理性を総動員して悲鳴を押さえつける。そんな必死の表情の舞を尻目に、オルテガは淡々と自分のやるべき「作業」をこなしていく。けが人を診療する医師のように両手で折れた舞の左脚を抱えると、柔軟体操の時にやるように、グリグリと折れた足首をこねくり回していく。
「・・・・・・ぁ・・・・・・ぉ・・・」
激痛。全てがそれに支配される。総動員した理性が、強者の自負が、自分の矜持が削り取られていくような激痛。オルテガはあくまで機械的に右に3回、左に3回と規則的に足首をねじっていく。それにあわせて、舞の体が意思とは別に、ビクリ、ビクリと痛みで跳ね上がる。
 やがてオルテガが足首をこねる動きを止め、足から手を離した。同時にガクリと舞の体から力が抜け、グタリとなる。しかし、次の瞬間今度は右の足首をへし折られた痛みに体が大きく揺れた。しかし、それでも舞は右足首をねじられている間悲鳴を我慢した。しかし、次の、左手首を折られた時にたまらず悲鳴を上げた。そのまま左肘、左肩と破壊されていく間じゅう悲鳴を上げ続けた。そして、右手首、右肘、右肩と完全に壊された時には、もはや悲鳴を上げる体力すら失って、意識があるかどうかも定かではなくなっていた。
それでもオルテガはきっちりと自分のやるべきことをやり遂げその場を後にした。

                                   完


364 名前:358 投稿日:06/04/10 19:57 ID:???
うへ ageちまった_| ̄|○



365 名前:名無しさん 投稿日:06/04/10 22:57 ID:???
凄ぇ・・・
約一日の間に三本もSSが投稿される神展開だ。いいね、いいね!

366 名前:名無しさん 投稿日:06/04/11 01:50 ID:???
>>358
GJ!
あ〜、舞の悲鳴聞きてぇwww

367 名前:名無しさん 投稿日:06/04/11 05:00 ID:???
>>359
いいね。というか凄いね。一人称の文でここまで書けるのは。
そういうのはあまり見ないし、デキもかなりいいと思うよ。執筆お疲れさん。


368 名前:名無しさん 投稿日:06/04/11 06:14 ID:???
ね。一人称文凄いし、オルテガのキャラが立ってるよ…
あー、しかし抵抗できない相手への追い討ちっていいよな。GJ!

369 名前:名無しさん 投稿日:06/04/12 01:21 ID:???
>>366
>>367
>>368
感想ありがとうございます。

自分で貼り付けてから、こりゃ読みにくいと思ったのに、
読んでくれている人が居て嬉しいです。

2本目になるDOAのエレナvsどっかの外人も張ります。
よければ感想など下さい。

370 名前:名無しさん 投稿日:06/04/12 01:22 ID:???
「あなたがMr.オルテガ?」

「アア、ソウだが、アナタのような美しいオジョウサンが私に何の御用かネ?」

「先日差し上げた手紙の差出人のエレナです。」

「おお、ワタシは幸せモノだな。3万ドルの小切手付きで突然舞い込んだ手紙の送り主がグラマスなブロンド美人で・・・・」

――――極上のファイターなのだかラ

「あら、お褒め頂いて光栄ね。」
オルテガの笑みに何か不穏なものを感じ、無意識に警戒するエレナ。
しかし、オルテガはそんなことはお構い無しにニヤニヤと笑みを浮かべたままである。

「あなたが3ヶ月前に戦った男のことを・・・・・聞かせていただければ、もう3万ドルお渡ししますわ。」
エレナはオルテガの笑いは無視することに決めたようで、ビジネスライクに言い切った。

「ホウ・・・・・」
「3ヶ月前ネ・・・・どうだったかな・・・ワタシも喧嘩バカリしているから、相手を全員覚えていられないしネ。」
オルテガは嘘をついた。彼は1度でも戦った相手のことを絶対に忘れない。相手が強者ならなおさらだ。

「金額にご不満かしら?」
エレナが冷ややかに言い放つ。たかがストリートファイター風情には破格の金額のはずである。

「ノー。ノー。ノー。合わせて6万ドル。ワタシには十分な金額ダヨ。」
オルテガは大げさにかぶりを振ってみせる。

「では・・・・・?」

「フフフ・・・」

――――ワカッテイルクセニ

表情こそ笑みを保ったままだが、オルテガの全身から殺気が立ち昇る。
そして、ユルリ・・・と身構える。

「・・・・・・・仕方ありませんわね」
エレナも劈掛拳に独特の、グッと深く腰を落とした構えをとってオルテガを睨みつける。
元々、オルテガがどうしても男の情報を言わないようなら痛めつけてでも吐かせるつもりであった。
そのためにわざわざ廃ビルの屋上などと言う場所に彼を呼び出したのだ。
この展開も十分彼女の予想の範囲内に収まることであった。ようは情報が聞ければいいだけである。

――――オンナのクセに・・・・タマラナイ殺気を放つじゃないカ

無言の時間。
オルテガの最も好む時間だ。
そして、その静寂を先に壊したのもオルテガであった。

「フン!」
深く構えているエレナへと大きくステップを踏み出し、大振りなパンチを見舞う。
彼女が仮にガードしてもその上から衝撃を伝える、そんなパンチである。
しかし、そのパンチはエレナが横にかわしたために、空振りする。

――――蹴りっ!!!

見えていてもどうにもできない。オルテガが突き出した拳を戻す前に彼の鼻面にエレナの蹴りが命中した。
グラリと揺らいだオルテガへエレナがラッシュをかける。

――――右!?いや左だっ!ボディー!?あご!?リバー・・・・・・

トリッキーで独特のリズムを刻むエレナの動き。
彼女の攻撃は的確にオルテガの急所を突いてダメージを蓄積させていく。


371 名前:名無しさん 投稿日:06/04/12 01:23 ID:???
「はぁぁぁっ!」
エレナの体がより一層深く沈みこむ。
引き絞られた弓が矢を放つように、彼女の掌に全身の筋肉のたわみやねじれが集まっていく。
オルテガの体に掌が触れた瞬間それらが一気に開放された。

どんっっっっっ!

発勁。
体重50キロ程度の彼女が、身長190センチ、体重120キロのオルテガを吹き飛ばした。
もし横でこの光景を眺めていたとしたら、それは魔術か何かにしか見えなかったであろう。

しかし、違和感が彼女を襲う。

「今の感触は・・・」
分厚いゴムタイヤを叩いたような感触。
鍛え上げられた筋肉が、その上にまとった薄い脂肪が、衝撃を、ダメージを吸収する感触。

オルテガがムクリと起き上がってきた。

「キイタ、キイタ。オジョウサンは強イナァ。」
しゃしゃあした顔で言い放つオルテガの挑発には表情も変えず、今度はエレナの方から間合いを詰めて仕掛けていく。

「第二ラウンドだナ」
オルテガも今度は大振りをせずに、カウンターを狙うようなそぶりを見せながらエレナにジャブを放っていく。

「くっ・・・・」
そうやって拳を合わせていくうちに今度はエレナの方が苦しくなってきた。
一見互角、スピードがある分やや彼女の方が押しているかもしれない。
しかし実はそうではない。
相手をけん制しながら出すような攻撃では相手を沈めることはできない。
普通ならば、そういう場合には相手の急所を狙ってゆく。
リバー、みぞおち、あご。
そういう急所をやられれば屈強な男だろうが床に這いつくばる。
しかし、このオルテガは平然と起き上がってきた。
必然的に、エレナは相手を倒すために大振りを強いられる。
しかし、大振りはカウンターを狙うオルテガの絶好の的である。
うかつには繰り出せない。

―――― 一方のオレハ

ジャブであっても当たればよい。
50キロの彼女にとって120キロの彼のジャブは大打撃なのだ。
自分のペースを保っていればよい。
戦いでは自分のペースを維持した人間が最終的には勝つ。


「はっ・・はっ・・はっ・・」
戦いだして5分、お互い致命打は出ていないがエレナの大分息が上がってきた。
オルテガの隙を作るために、トリッキーに動き続けなくてはいけない上に、
相手が相打ち覚悟で打ってくるような攻撃は無理に大きく動いてでも避けなければならないからだ。
何より戦いの主導権、ペースを相手に握られているのが痛い。
相手のペースに乗せられた戦いはスタミナを急激に消耗する。


――――マダマダこんなもんじゃないゼ

オルテガが仕掛けた。
振りの大きさはそのまま、ペースを上げた。
戦いのスピードが更に速くなったのだ。
当然エレナもそれに合わせてより激しく動く必要に迫られた。


372 名前:名無しさん 投稿日:06/04/12 01:24 ID:???
更に2分後、エレナはゼイゼイと酸素を求めて喘いでいた。
額には粒の汗が浮かぶ。
傍で見ていても気の毒なほど苦しげに、大きく肩で息をしていた。

――――フン、才能はアルようだガ、トレーニング不足ダナ

一方のオルテガは汗こそ軽くかいているが、表情はいたって涼しい。

――――ソロソロ決めるカ

ブン!!

オルテガが今までとは違う必殺の気迫を込めてアッパーを打ち込んだ。
しなる鋼の筋肉にうなる鉄の拳。
疲労しきったエレナに当たるかに見えたその拳は、しかし空を切る。

「ムッ!」
エレナはアッパーの軌道より更に低い場所に居た。

――――コノ体勢!!

発勁。
先ほどオルテガに放った一撃。
エレナもまた1発のチャンスを狙っていたのだ。
エレナの体のうねりがオルテガに襲い掛かる。

――――待ってイタ!!

エレナの動きは読まれていた。
自分に突き出された彼女の掌を捕まえて、グイっと自分の方へ引っ張る。
体勢さえ崩せば発勁に威力はない。
オルテガの狙い済ました崩しで、エレナの発勁は不発に終わる。
逆にオルテガが一瞬力を溜める。
筋肉の繊維一本一本の間にまで血がみなぎる。
オルテガの巨体がグゥッと更に大きく膨れ上がる。
その怒張した両腕がエレナを下へグイッと抱え込む。
と、同時に下から膝が跳ね上がり、ドムンッ! と彼女の腹部に炸裂した。

「ぅ・・・・・ぁ・・・・」
ガクリと膝を着くエレナ。
胃が、腸が、のた打ち回るような重い衝撃が腹の中で広がっていく。
体は酸素を求めて荒れ狂うが、ショックを受けた横隔膜はその機能を一時放棄する。
口だけがパクパクとむなしく動き続ける。
酸素が入ってくる代わりに胃から食道を通って熱い塊が逆流してくる。

「ぉ・・・・・・ぇ・・・・」
エレナが胃の内容物を吐いた。
うずくまって腹を押さえている彼女の姿を見て、オルテガの表情には侮蔑の色が浮かぶ。

――――メシを食っていたノカ

胃に食物がある状態でボディーへの攻撃を受ければダメージは倍増する。
特に息を乱している時にモロに入れば、誰でも今のエレナのようになってしまう。
相手を見くびって準備を怠ることはオルテガの最も軽蔑するところだ。
オルテガはエレナと会う5時間前からわずかな水しか口にしていない。


373 名前:名無しさん 投稿日:06/04/12 01:25 ID:???
「とりあえず・・・トドメは刺しておかんとな」
オルテガがエレナへ歩み寄る。

と、その瞬間エレナの目に光が宿る。
そして屈みこんだ体勢から蛇のように足がオルテガの股間めがけて走る。

バシッ!
しかし、それは容易くオルテガに受け止められた。

「悪い足だ。オシオキしないとな」
オルテガが今までで一番邪悪な笑みを浮かべると、ちらりと視線をエレナから外した。
場所は20階建ての廃ビルの屋上。
周囲には落下防止の金網が張ってある。

「ふぬっ!」
受け止めたままになっていた彼女の脚を、足首で再度両手で握り力を込める。
膨れ上がる筋肉。
そしてエレナの体を振り回し、ブンと宙高く放り投げる。
エレナが落下防止フェンスの向こう側へ飛ばされる。
彼女の表情が凍りつく。
体が上昇の最高点に達し、一瞬の空中での静止。
その後訪れる自由落下。
体が重力に捕まる感覚。
恐怖が彼女の背に張り付いた。

ガシッッッ!!
だが、地面に落下する前にビルのふちスレスレにしがみついた。
生々しい「死」を意識した恐怖で、彼女の歯がガチガチと噛み鳴らされる。
それでも体を何とか床のある場所へ引き上げようとするエレナ。
両手の力で体を持ち上げる。
エレナに平生のとって特別難しいことではない。
しかし、先ほどの戦いの疲労、ボディーへのダメージ、恐怖による硬直。
思うように体が動かない。
その間に彼女に死神が迫ってきていた。

メリメリメリ!!
金網のフェンスを怪力で引き剥がすオルテガだ。
フェンスを剥がし終わったオルテガが必死でビルのふちにしがみつくエレナを覗き込むように身を屈める。

「あ・・・・」
エレナが何か口にしようとした瞬間オルテガの拳がエレナの顔面を直撃する。

「やめ・・・・」
また殴る。
右。
左。
右。
左。
交互に殴っていく。
体重を支えるエレナの手が、殴られるたびに離れそうになる。


ゴキャ!
バゴン!
ボゴッ!
メリ!

エレナの顔面がたちまち変形していく。
目は腫れ上がり、鼻血がタラタラと流れ出す。
それでもオルテガは殴り続ける。

グシャ!
バキッ!
ゴスッ!
メタァ!

「も、もうかんへんしてくらはい・・・ゆるしてく、くらさい・・・・」
エレナの手は今やブルブルと震え、いつ体を支えられなくなってもおかしくない。
彼女の目にはオルテガへの媚びと恐怖、そして大粒の涙が浮かんでいた。

「6万ドルダナ」

「え・・・・」

「男の情報料が3万ドル、アンタの命を助ケルのに3万ドル、併せて6万ドルダ。払うカイ?」

「は、はらひます。払いますから助けて・・・ヒクッ・・」
しゃくり上げながら返事をする。
エレナの腕は最早限界だ。

「オーケー」
それだけ言うとオルテガはスッと立ち上がった。
どうやら自力で上がって来いということらしい。
エレナは残された力を振り絞ってノロノロと我が身を引き上げる。


374 名前:最終ページ 投稿日:06/04/12 01:26 ID:???
倒れこむように屋上の床に足を着けるエレナ。
顔には安堵が浮かぶ。
それを待っていたオルテガ。
その姿勢は。

「発勁・・?」

――――ソウ!キミの技ダヨ!

ドンッッッッッッ!

先ほど受けたエレナの技を再現してみせるオルテガ。
低い姿勢から突き出された掌がエレナを再びビルからはじき飛ばす。

助かったと思った瞬間の絶望。
エレナの体が宙を舞う。

死。
死。
死。
死。

エレナの脳裏をよぎるその言葉。


ガシャァァァァン!
しかし、エレナの体は地面ではなく、向かい側のビルの窓を突き破って、オフィスの中へ飛び込んだ。

ガチガチガチガチ。
体の震えは止まらない。
下半身が生暖かい液体で濡れる感触がする。
オフィスに居た会社員達は何事かという表情だ。
しかし、こわばった体はピクリとも動かなかった。

「コレで再起不能ダナ」
そう言うとオルテガは身を翻して廃ビルを後にした。


375 名前:名無しさん 投稿日:06/04/12 01:53 ID:???
GJ!
イイヨイイヨー!
悪魔超人サイコー!www

376 名前:名無しさん 投稿日:06/04/12 04:06 ID:???
>>370-374
あ゛―――GJ!やっぱ上手いですな。
どっかで剄って体のバネを利用した体当たりに原理が近い技って聞いたけど、
そういう動きが文章で再現されてる上に台詞回しも上手ぇ…。
俺も書いたんだけど、どうしても文章が淡白になっちゃうんだよな。
その文章力はまじ羨ましいっす。つか批評っぽくてごめんよ。
しゃくり上げは俺も大好きだw

377 名前:名無しさん 投稿日:06/04/12 13:45 ID:???
>>374
一度死の恐怖から解放されてるところに再び絶望が訪れる展開GJ。

378 名前:名無しさん 投稿日:06/04/12 16:11 ID:???
>>377
俺もそこが特に好きだ。
やられている側の心情を想像すると…ね。
しかし前半の格闘部は普通に燃えますな。ごちそうさまでした。

379 名前:名無しさん 投稿日:06/04/12 21:46 ID:???
>>375
>>376
>>377
>>378
感想ありがたや〜です。

1回書いて以来、空き時間のほとんどがリョナSS書きに費やされている、、、
最早パソコンの中身は死んでも人に見せられないぜorz

それでも書いてしまったものは仕方がない。
エレナのその後貼ります。



380 名前:名無しさん 投稿日:06/04/12 21:47 ID:???
「どうだね?彼女の様子は?」

「あ、先生。いらしてたんですか。相変わらず黙り込んだままですよ。」

「ふむー。どれどれ。」

医者はエレナの脈を測り、ついで視診のため、彼女のまぶたを広げようと手を伸ばす。
その瞬間、エレナの脳裏に男の顔が蘇る。
ビルのふちにぶら下がる自分を容赦なくいたぶった男。
目の前に近づく手。
自分を突き落とそうとする拳。

「い、いやぁぁぁぁぁぁぁ!やめてぇぇぇぇぇぇ!」
医者を突き飛ばし、自分もベッドから転がり落ちる。
そのまま自分で自分を抱きかかえるようにうずくまる。

「せ、先生!大丈夫ですか!?」

「あ、ああ。大丈夫だ。」
「全く、こんな有様になるとは・・・何がこの患者にあったのか・・・・」

オルテガによって廃ビルから突き落とされながらも、彼の故意か偶然か、向かいのビルのオフィスの窓を突き破ることで一命を取り留めたエレナ。
彼女は驚いたオフィスの事務員らが呼んだ救急車で市内の病院へと搬送された。
しかし、オルテガが彼女に残した傷は、全治1月の顔面及び腹部打撲と全身の軽い擦過傷以上に重いものであった。

「お世話に・・・・なりました・・・・」
エレナは入院2日目に意識を取り戻し、一週間で退院の手続きをとった。
元々、体の傷は入院が必要というほどひどいものではないこともある。
だが、それ以上に病院という不特定多数が出入りする環境が彼女を不安にさせたことが大きかった。

いつあの男が病室のドアを開けて入ってくるか・・・・・

巡回の警備員や看護婦の足音がするたびに、ドキリとしてロクに眠ることもできないのだ。
自分のマンションなら・・・・。
財閥の1人娘であり、人気オペラ歌手である彼女の高級マンションならセキュリティは万全だ。
マンションには警備員が常駐し、監視カメラに、電子ロックが不審人物の侵入を排除する。
完全防音だから誰かの足音に怯える必要もない。
医者もこういう場合には家に帰すのが良いと判断したためか、彼女の願いにあっさりOKを出した。

今彼女はタクシーを降りて、マンションのエレベーターに乗ったところだ。
部屋に帰ったらまず熱いシャワーを浴びる。
それからベッドに潜り込んでぐっすりと眠る。
意識が戻って以来、まともに睡眠をとっていない自分に必要なのはまず休養だ。
彼女はそう考えていた。

電子ロックをカードキーで外し、部屋の中に入る。
恐怖心が彼女に全ての部屋の明かりという明かりをつけさせた。
クローゼット、シャワールームも全て確認した。
あの男がどこかに潜んでいるのではないか。
全てを確認するまで落ち着くことができない。
3回目にクローゼットの中を確認した後で、ようやくリビングのソファーに腰を下ろす気になれた。
そして、そこでソファーの横に1枚の紙切れが落ちていることに気が付いた。
何かの数字と短い文章が書いてある。
手にとって文章に目を通した彼女の顔がサァッと青ざめた。

It is 60,000 dollars!Do not forget!!
(6万ドルだ!忘れるなよ!!)


あの男はこの部屋に侵入していた。
電子ロックも監視カメラも役には立たない。
自分の身を守ってくれるものは何もない。
エレナはその場にへたり込んでいた。

再びあの時の光景が頭に浮かぶ。
自分を見下ろす爬虫類のような目。
迫り来る拳。
殴られる度に不安定に揺れる体。


いやだ!考えたくない。
でも!頭に焼き付いて離れない。


381 名前:最後のページ 投稿日:06/04/12 21:48 ID:???
結局彼女は部屋の隅でうずくまったまま一睡もすることができずに夜を明かした。
そして朝一番にメモに書かれていた口座へ約束の金を振り込みに向かった。
ビクビクしながら振込みを済ませると、そのまま急ぎ足で銀行を後にした。

タクシーを拾うために駅までのわずかな距離を歩いている途中で、セールスマンらしき男が近寄ってきて、声をかけてきた。

「すいません、少しよろしいでしょうか?」
そう言いながらスッとパンフレットか何かをエレナの方へ差し出してきた。
その時エレナが必死に抑えていた、一番思い出したくない記憶が無理やり呼び覚まされた。


生きることを許された安堵。
地面があるということの安心感。
自分は助かる。
そう思った。
その幻想を打ち破った荒々しい力。
目の前の男の姿とオルテガの姿が交差する。
自分を再度ビルの外へ叩き落したオルテガの掌。

オルテガの掌。

掌。

掌。



「やめてーーーーーーーーー!!もうゆるしてーーーーー!」
「もういやなのーーーーーー!」
エレナは道ゆく群集の目も気にせず、際限なくその場で泣き叫び続けた。
パンフレットを差し出した格好で固まっていたセールスマンは、我に帰ると、あたふたとどこかへ逃げてゆく。

そのセールスマンに声をかける男がいる。
オルテガだ。

「あの・・・・これでよかったんでしょうか・・・?」

「ああ、よくやってくれタ。」
オルテガは男にまっさらの100ドル札を渡してやる。
男は100ドル札を受け取ると、後ろも振り返らずどこかへ消えていった。

――――真剣勝負での敗北は一度ダケ

なぜなら1度そういう勝負で敗れたものは2度とそういう世界に足を踏み入れるような生き方ができなくなるからだ。

オルテガは自分の対戦者が完全に再起不能になったことを確認するとその場を立ち去っていった。


382 名前:名無しさん 投稿日:06/04/12 22:09 ID:???
ナイス鬼!
GJ!

心理描写とかの文が綺麗でいいなぁ。
俺もこんな文かきてぇwww

383 名前:名無しさん 投稿日:06/04/13 00:03 ID:???
>>380-381
こういうのが読みたかった!!
最後廃人とか死体になるのは結構読んだんだが、正直少し苦手なんだよな…
これぐらいのトラウマだと一番萌えるんだが、
今まであんまりなかったからマジで嬉しいッス。GJ!

384 名前:名無しさん 投稿日:06/04/13 06:01 ID:???
完全に打ちのめされてしまったエレナカワイソス
でももちろんGJ!
とどめを刺したのが普段は歯牙にもかけてなかったであろうただの男っていうのも
哀れさを引き立てていてすばらしーっす。



385 名前:名無しさん 投稿日:06/04/14 01:50 ID:???
「それでは留守をしっかり頼むぞ。」
「はい!わかりました!先生!」

先生が行ってしまうと僕はすかさず先生が普段使っている遠視の水晶を覗き込んだ。
先生のように望んだものを見ることは僕にはできないけれども、
この村から出たことの無い僕にとってどこだかわからない国や場所であっても、この村以外のことを見たり聞いたりできるのは僕にとって大きな喜びだ。

最初はただ透明なだけだった水晶に僕が手をかざすと、次第にその球体に映像が移りだす。

「ほれほれさっさと降参したらどうだ?」
「だ、誰があんたなんかに・・」

ぼんやりと映像が浮かんでくる。
な、なんだろうこれは。
何かヌメヌメした大きな人型と女の子らしき姿。
何か赤い蛇のようなものが女の子に巻きついているのか?

いつもは山だとか海だとかの景色が映るだけなのに、
まさか今回はモンスターに襲われている女の子が映るなんて。
僕はかなり混乱しながらも水晶を見つめ続けた。

「ほー。強情を張るつもりか。」
大分映像がはっきりしてきた。
捕まっているのはどうやらオレンジ色の髪をした女の子で、
捕まえているのは紫色の化け物のようだ。
赤い蛇に見えたものはどうやら化け物の触手らしい。

「そういう態度をとるなら後で後悔しても知らないぞ。」
そういうと化け物は女の子に巻きついている赤い触手とは違う、
緑の触手を女の子の前で振って見せた。

「今おまえに巻きついている触手はマイナスだ」
「そしてこっちの触手はプラスだ。」
「・・・・・?」
モンスターが何を言っているのか女の子にはわからなかったようだ。
「くくく、すぐにわかるさ。」

そう言うが早いか緑の触手が女の子のふとともをピシャリと叩いた。

「きゃあん!」
女の子が悲鳴を上げた。

「どうだ。こっちの触手がマイナス極でこっちがプラス極。マイナスが巻きついているところにプラスで叩けばお前の体に電流が流れるってわけだ。」
そう言うと怪物はまた触手で女の子の腕と足を連続して叩いた。

「あん!いや!」
女の子の体が触手で叩かれるたびにビクン、ビクッと震える。

「ほらほら電気はまだまだあるんだぜ〜」
怪物は責める手を休めない。

ピシャーン!
バチ―ン!
しなるゴムのように触手を女の子の体に叩きつける。

「痛いっ!くうっ!」
その度に女の子は身をよじる。

「どうした?嫌なら振りほどいて逃げたっていいんだぞ。」
「なんせ俺はほとんど力を入れて絞めてないんだからな。」

締め付けられている彼女の服などを見てもどうやらそれは本当のことらしい。
しかし、女の子はしびれ毒か何かを喰らっていたらしく、上手く抵抗できないようである。

頑張って首に巻きついている腕を振り解こうとするも、怪物の腕を押し戻すには力が足りないようだ。

「う・・・・・うーん・・・・・」
女の子が必死になって力を込める。

グググ・・・・
少しだけ怪物の腕が緩んだ。

「お、頑張るじゃないか。」

女の子はプルプル震えながらも何とか怪物の腕の1本振をりほどき、バンザイする格好で持ち上げた。

その時どこからともなく2本に増えて現われた触手が彼女のがら空きの両わきをバチンと叩いて電流を流した。

「ひゃうっ!」
思わずわきを閉める女の子。

「あっあっあっあっ!」
触手を思わず挟み込んでしまい、電流が断続的に流れ込む。
押し返しかけていた手を離してしまう。

「おやおや残念。振り出しに戻ってしまったな。」

「わ、わざとのくせに・・・。」

「おやおやまだそういう口を利くのかな?」

怪物は女の子をなおもいたぶった後、ぐったりとなったその子を残してどこかへ立ち去っていった。



これを見て以来、僕は今まで怠けがちだった魔法の勉強に猛烈に打ち込んだ。
そして、時がたち、魔法使いとして独立する日に、師匠が何でも1つ魔法のアイテムをやると言った時、僕は迷わず遠視の水晶を選んだ。



386 名前:名無しさん 投稿日:06/04/14 01:52 ID:???
1号絵板の管理人さんのミントを見ていたらつい書いてしまった。


387 名前:名無しさん 投稿日:06/04/14 12:10 ID:???
おっきした(`・ω・´)
化け物にやられるのもいいなwwww

388 名前:名無しさん 投稿日:06/04/14 22:33 ID:???
電撃責めはやはりいい、GJ!

389 名前:名無しさん 投稿日:06/04/15 02:44 ID:???
『極限流空手の奥義が今ここに!!』
『1発でも当たれば1000ドル進呈!! 1回10ドル!!』
『集え腕自慢!!』
白地に墨であおり文句を書きなぐってある旗が道の真ん中で風にはためいている。
その旗の下で誰かが声を張り上げていた。

「ほらほら、こんなか弱い女の子に1発パンチを当てるだけで1000ドルよ!
チャレンジする人はいないの?」
ユリ・サカザキだ。
短期間で極限流の師範代にまで上り詰めたユリの強さは道場近辺では知られ過ぎているため、遠いこの町まで食い扶持を稼ぐために遠征に来ていたのだ。
だが、見物客は遠巻きに見ているだけで、誰も自分が参加しようとしない。
こういう場合、誰か1人が名乗りを上げてくれれば、
我も我もという感じになるのだが、その肝心の1人目がなかなか現われないのだ。
健気に声を上げ続けるユリ。
それを遠くから眺めている男がいた。
オルテガだ。


――――ククク、面白そうなコトヲ

「面白そうなことをやってるじゃないか。なぁ?」
後ろからオルテガに突然誰かが声をかけた。
反射的に後ろを振り返るオルテガ。
自分の背後に立っていた男を見て一瞬言葉を失う。
「マサカ・・・・戻ってきたのカ・・・・」

「やらないんなら俺が先に行かせてもらうぜ。」
男は自分から声をかけたくせに、その後はオルテガなどいないかのように
無視してスタスタと人垣の方へ歩いていった。


「やあ、おじょうさん、私にやらせてもらえるかな。」
でかい男が愛想良くそう言ってきた。
190センチはありそうだ。
服の上からでもはっきりとわかる分厚い胸板。
やや猫背気味の姿勢。
聞くまでもなく素人ではないだろう。
同業者がいやがらせをしに来たのだろうか。
それにしては機嫌よさそうにニコニコしている。
ド派手な赤い拳法着を着ていて、サングラスをかけている。
日に焼けた頭には髪の毛が1本もない。つるつるのスキンヘッドだ。
ドサ回りのプロレスラーか何かだろうか。
あまりにも異様な格好とあいまってユリはそう相手を値踏みした。

「ええ、もちろんオーケーよ。」
「ルールは簡単。まず10ドルを私に渡す。それから私にパンチを1発打ち込む。
私はからは手を出さない。私にパンチが当たれば1000ドル。これだけよ。」

「はっはっは。そうかいそうかい。それじゃあこれが10ドルだ。」
男は豪快に笑いながらユリに10ドルを手渡した。

「それじゃあ殴られても文句をいうんじゃないぞ〜。」
そういいながら男は大きく振りかぶった。

テレフォンパンチ。
予備動作もモーションも大きい。
パンチのスピードも遅い。
男の見かけの割にはたいしたことのないパンチであった。

ブゥン!!
迫力こそ十分だが、ユリにとってはよけるまでも無いようなパンチだ。
迫り来る男の拳が自分の顔に届く寸前で、
ユリは男の手首を捕まえてパンチを止めた。


390 名前:名無しさん 投稿日:06/04/15 02:44 ID:???
「おお!!」「すごい!!」ブラボー!!」
周囲から歓声が上がる。
「おお、参ったなこりゃ。」
男は高笑いして大声を張り上げる。

「どうかしら?これが極限流空手の神秘よ。」
ユリもパフォーマンスが受けて上機嫌だ。

と、その時男が不意に後ろを振り返り、まだ先ほどの場所に立って成り行きを見守っていたオルテガへウインクを送る。
ユリを含めその場の全員が一瞬「ん?」という顔になる。
その瞬間、ユリに握られていた腕を男がグンとユリの顔へ突き出した。
それと同時に人差し指と中指がニュッと伸びてユリの眼球を襲う。

「な!?」
とっさに瞼を閉じたものの、その上から目突きを喰らい、一瞬視力を失うユリ。
ビュン!!
風を切る音がした。
男が先ほどのパンチとは比べ物にならない速さで貫手をユリの喉仏に打ち込む。

「ウゲウッ!」
のどを潰され、カエルのような奇妙な声を上げるユリ。

男はそのままユリの前髪を片手で掴むと、グイッと下へ引っ張る。
と、同時にせり上がってくる男の膝。

グシャッ!
ユリの顔面を男の膝が直撃した。

ゴギャ!
メタァ!
ズゴッ!

男の膝が何度もユリの顔面にぶち当たる。

周囲ギャラリーはあまりのことに固まっている。

顔面が変形するほどの勢いで膝を叩き込み続ける男。

ゴキ!
メキャッ!
ゴス!

十数回膝蹴りを打ち込み、足腰も立たないほどユリが完全に伸びたとわかると、
男はユリの胴着の胸元へヌッと手を伸ばす。

常人では考えられない怪力で胴着ごと服を引き裂き、ユリの上半身をあらわにする。
それから両手でユリの胸を鷲?みにし、揉みしだいた。
肉食獣が獲物を存分に堪能するように、抵抗する力の無いユリの胸を存分に征服し、蹂躙する。
そうしながら明らかにオルテガを意識して送る視線は、そのにやけた表情とは裏腹に剣呑なものであった。

「おい、おっさん。もうやめろよ。」
ギャラリーの1人がようやく静止に入った。
すると男はユリの体をその男の方へ突き飛ばした。
それから男は興がそがれたといった感じでスタスタとオルテガの方へ歩き出した。

「ちょっと待てよ。」
叩きのめされたユリを受け止めた若い男がその行動に待ったをかけた。
呼ばれた男は一瞬立ち止まる。
その瞬間ギャラリーは全員カエルに睨まれた蛇のように固まった。
体中に鳥肌が立つ。
まるで男の発した雰囲気が周囲の温度を下げたかのようだ。
もはや文句を言うものは誰も居ない。

男は何事も無かったかのように止めていた歩みを再開した。
そしてオルテガの前まで来るとサングラスを外した。
サングラスを外した顔はオルテガと瓜2つであった。

「元気にしてたか弟よ。久しぶりだなぁ。」
男は口を開くとオルテガにそう語りかけた。

「何シに戻ってキタ・・・・・。」
オルテガの殺気が膨れ上がる。

視線だけで人が殺せるようなオルテガの殺気を、オルテガを弟と呼んだ男は涼しい顔で受け止める。
2人の間で空気が密度を増していく。
呼吸を一回するごとに空気がねっとりと重みを帯びてゆくようだ。

「あ、そうだ。お前に服を借りたんだった。」
突然男はそういって間を外した。

「服・・・・?」

「そうそう。入るサイズがこの町じゃ手にはいんなくてよ。ところが汚れて使い物にならなくなっちまったんだわ。悪いことしたな。許してくれや。」

男は一方的にそういうとオルテガに背を向けてさっさとどこかへ行ってしまった。
結局どういうことなのかわからないまま兄の背を見送ったオルテガ。


この兄弟の再会の3時間前に、自分と瓜2つの顔を持つ兄が、自分の服を着て、土地のマフィアの経営する地下賭場に押し入り、3人を殴り殺して一ヶ月分の売り上げ約80万ドルを奪って逃げたことをオルテガは後になって知ることになる。


391 名前:名無しさん 投稿日:06/04/15 02:52 ID:???
張る前に書くの忘れたんで、終わってからですが、読んでくださってる方、感想下さる方、毎回ありがとうございます。



392 名前:名無しさん 投稿日:06/04/15 03:15 ID:???
>>385
わざとのくせに・・・がいいね!明らかに自分をいたぶるのが目的の怪物と
意思疎通を図ろうとする無駄な努力が痛々しくて萌えました。
そういえばあの絵、口から一筋の血が流れていたがキャッチ&リリースを
何度も繰り返す最中で出血するほど喉を痛めてしまったのだろうか…。

>>391
こちらこそ素晴らしいSSをいつもありがとう!とお礼を言いたいよ。
最近ここを覗くのが楽しみでたまらんw
やっぱ凄いね。普通にオルテガのこれからが読んでみたいと思うもん。

393 名前:名無しさん 投稿日:06/04/16 16:31 ID:???
DOAビーチバレー(DOAX)の世界でのお話。

ちなみにDOAXとは、DOAの女キャラ達がさまざまな水着姿でビーチバレーをしたり、
プールに浮かんだ浮き島を渡る競技にチャレンジしたりして、
格ゲーでの彼女達とはまた違った無防備さを晒してくれるというゲームです

394 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯1 投稿日:06/04/16 16:34 ID:???
「何これぇ?! センスをうたがうわ」
あやねは露骨に不機嫌な態度を表した。
しかし、あやねに「それ」をプレゼントしようとしている人物は、あくまで穏やかで友好的な口調で言う。
「あら、恥ずかしがることないわよ。きっと良く似合うと思うけど」


ここはとある南の海に浮かぶ島、ザック島。
あやねにとって深い関わりのある格闘大会、デッド・オア・アライブ。
その新たな大会への招待状を受け取ったあやねは、その開催地として告知されたこの島へとやって来たのだが………。

青い海と白い砂浜。緑豊かな美しい自然の風景の数々。
豪華な造りのプール等も備えた高級感あふれるホテル。
まさに「南の楽園」そのものと言えるこの島の雰囲気は、およそ格闘大会の舞台としてふさわしいと
感じられるものではなかった。
また、到着したあやねを出迎えた人物も、そういったこの島の雰囲気を見事なまでに象徴するような人物であった。
モデルのようなプロポーションを惜しげも無く晒す大胆な水着姿と、褐色の肌。
それでいてとても人当たりが良く、親切そうな美女。名をリサといった。

やる気満々で大会に臨もうとしていたあやねであったが、そんなものは開催されないということを
リサから聞かされると、少々ムキになった様子で口をとがらせた。
「何ですって? あの男、よくもだましたわね!」

リサはそんなあやねを実に上手になだめながら、島を案内しようか、などと申し出た。
彼女の柔和な口調とこの島の開放的な空気が、うまい具合にあやねの気持ちを切り替えさせた。
「……そうね。このまま帰るのもしゃくだし」

同時にリサは、水着に着替えることをあやねに勧めてきた。
確かに、常夏の島らしい空気やあまりの暑さなどを考えると、普段着のままでいるよりも
水着にでも着替えるほうがよっぽど賢明ではないかとも思われた。

しかし、本来そんな目的でやって来たのではないあやねは、水着など持参してはいなかった。
そこで、水着をプレゼントしよう、とリサが申し出てきたのだが………。
(リサ曰く、「友好の印も兼ねて」ということらしい)

……それは、あやねにとってはまさに「センスをうたがう」代物であった。

395 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯2 投稿日:06/04/16 16:35 ID:???
一見すると、まるで襷(たすき)のような形状の、美しい光沢のある赤色の布地。
良く見るとこれは、わずかな極細の布地が両肩と股間を結ぶという形状の「水着」であった。
一応、体の前面の部分にあたる布地は「帯状」といえる程度の幅はあったが、
背中側の肩から尻を結ぶ部分はもう完全に「紐」であった。
その形状から、通称「紐水着」「紐」などと呼ばれる、この島の人気アイテム(?)のひとつだ。

ただし、リサの口調や態度は決して、嫌がらせか何かでこんな水着を勧めているかのようなものではなかった。
「この島に来た女の子は、みんなこういう水着を着て、バカンスを楽しんでいくのよ」
実際、そう言うリサもこれと全く同型で色違いの水着を着ていた。
(彼女のそれは、輝くようなエメラルドグリーンであった)
また確かに、モデルのような容姿の美女がこのような水着姿でそこいらを闊歩していそうな雰囲気が、
この島には感じられた。

こういった事実の数々とリサの巧みな話術が、何とも不思議な「説得力」を生み出し、
それが徐々にあやねの心理にも影響を及ぼそうとしていた………。

396 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯3 投稿日:06/04/16 16:37 ID:???
招待状を受け取り、この島へとやって来ていたのは、あやねだけではなかった。
彼女がこれまでにデッド・オア・アライブの大会で拳を交えたライバル達も多数、この島に招かれていたのだ。

そして今、この島の一角にあるジャングルを舞台に、新たな闘いを繰り広げるグループの姿があった。
あやねを含めて計4人の格闘少女達が、2対2に分かれて闘っていたのだ。

あやねのパートナーは、可愛らしい容姿に似合わず豪快な空手技を使いこなす少女、ヒトミ。
そして対戦相手のほうは、太極拳の使い手である少女、レイファンと、
あやねとは複雑な関係にあるもう一人のくのいち、かすみであった。
ただし、彼女達が繰り広げているのは、格闘のタッグバトルなどではなく………。

「……決めるわ!」
ヒトミが放った強烈な一撃が、かすみに襲いかかった。
それを正面からまともに受け止めようとしたかすみの身体は、その威力に耐えることが出来ずに
後方へと大きく弾き飛ばされる。
「……ぁああっ……!」
かすみは喘ぎ声にも似た悲鳴を上げながら尻もちをついてしまう。
勢い余って上半身が後ろへ倒れ、両脚が持ち上がった無防備な姿を晒して地面に転がった。

……そして、そんなかすみのすぐ横を、白いボールが転々と転がっていった。
一方、チームを隔てるネットの向こうからは、後衛のあやねがヒトミの頼もしい活躍を称える声が聞こえてきた。
「ナイススパイク!」

そう、今彼女達が繰り広げている闘いの「種目」は、ビーチバレーであった。
それはある意味、この島で行うのに最もふさわしい競技であると言えた。
そして、ビーチバレーである以上は当然の事として(?)、彼女達はみな水着姿で闘っていた。

それぞれさまざまな格闘技に通じており、お互いに激しい闘いを繰り広げていた少女達が、
まるでそうした日々を忘れたかのように、思い思いの水着をまとってのびのびと仲睦まじく(?)
ビーチバレーに興じている………。
その光景は、日常の彼女達の姿、格闘家としての表情を知る者から見れば、何とも奇妙なものであり、
またある意味斬新であったとも言えるだろう。

……いや、「思い思いの水着をまとって」というのは誤りであった。
彼女達4人が身に着けている水着は、見事に全員おそろいだったのだから。

あやねが着ているのは、リサからもらった例のV字の紐水着。
そして他の3人も何と、これと全く同型の水着を着ていたのだ。
ただし、かすみとヒトミが着ているのはいわば「色違い」であり、鮮やかな金色の紐水着であった。
そしてレイファンはあやねと同じ、光沢のある赤色の紐をその身にまとっていた。

397 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯4 投稿日:06/04/16 16:39 ID:???
おそらく皆あやねと同様に、リサに勧められるままにこの水着を着ることになったのだろう。
彼女達は皆、可愛らしいルックスと均整の取れた体つきをそなえた美少女達であり、格闘の場などにおいても
その魅力を引き出すコスチュームの数々を着こなしてきた。
とはいえ、そんな彼女達もやはり、このような大人のファッション(?)を着こなすことにかけては、
リサなどに比べればまだまだ子供………、いや、「乙女」であった。

いきなりこんな水着を着るように勧められた時には、相当の驚きや戸惑い、恥じらいがあったことだろう。
そんな「乙女」達に、見事にこんな水着を着させて半裸の姿にさせてしまったリサの話術恐るべし、
といったところだろうか。
4人の少女達は今や、そんな姿のままで元気良くコートを駆け回り、
飛んだり跳ねたり、またよろめいたり転んだり、といった姿を晒していた。

そして、少女達のあまりに非日常的な姿を、堂々と「見物」している者がそこにはいた。
しかし彼女達は皆、特にいやらしさなどを感じたりすることは無く、その視線を受け入れていた。
その「観戦者」とは、体長30センチほどの、リス科の小動物────プレーリードッグだ。
こうした動物がごく普通に姿を現すということも、自然の豊かなこの島の特徴を表しているといえるだろう。

そして試合のほうは、攻撃面でバランスの良いあやねとヒトミのペアが、パワーに欠ける
かすみとレイファンのペアをやや押し気味に進めていたが………。

「……決まって!」
かすみが思い切り良くバックアタックを放った。
小さな「観戦者」もボールの行方を目で追いながら、劣勢のチームを応援するかのように、
小さな尻尾を振り回しながら飛び跳ねている。

ボールの軌道を素早く読んで、あやねがレシーブの構えを取る。しかし………。
「……えっ?!」
難なくレシーブ出来ると思ったボールを、あやねは何故か左肩に受けてしまった。
ボールは斜め後方へと弾かれ、そのままジャングルの木々の間へと消えて行った。

「納得いかないわ………」
そんなセリフを漏らしながらも、あやねはすぐにボールを拾いに向かった。
それは、彼女が自分のミスを認めている時に出る言葉でもあった。
だが、この時はそれだけではなく、文字通り「納得いかない」ところがあった。
レシーブの直前、ボールの軌道が変化したように感じられたのだ。
スパイクの威力自体も、かすみが放ったとは思えないものがあった………。

398 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯5 投稿日:06/04/16 16:40 ID:???
バレーコートのある開けた空間から離れ、木々の間を少し進んでいくと、ボールはすぐに見つかった。
さっさと拾って戻ろう、と思ったあやねだったが………。
あやねが手を伸ばそうとした瞬間、それは突然、彼女の手をかわそうとするかのように動き出した。
ころころと奥へ転がって行き、数メートル進んだところで止まる。

「……風……?」
一瞬あやねはそうも考えたが、それにしてはあまりにも不自然な動きだった。
不思議に思いながら再度ボールのところまで駆け寄り手を伸ばすが、
そんな彼女をからかうように、方向を変えてまたしても転がって行く。

そして、その球体が転々と転がって行く先に、それを待っていたかのように立っている者がいた。
ただしそれは人間ではなく、何とも奇妙な生き物であった。
赤みがかった明るい茶色の皮膚に覆われた、ずんぐりとした巨体に、長くしなやかそうな尻尾。
深い皺が刻まれた顔に、どこかいやらしい笑みを浮かべたような表情。
上背はあやねよりも二回りほど高かった。

その生き物は、見た目に似合わない器用さで、足元のボールを巧みにリフティングして見せた。
2〜3回、足先でポンポンと弾んだあと上方へ蹴り上げられたボールは、その頭の上でピタリと静止した。
そこからさらに後方へと跳ね上げると、尻尾の先端部分で輪を作るようにして実に器用に受け止める。

 ……いったい何者? ……言葉は通じるの?

……などということについては全く気に留める様子も無く、あやねは平然と話しかけた。
「それ、返しなさいよ」

すると、生き物は思いのほか素直に(?)、ボールを放ってよこした。
ゆるやかな放物線を描いたボールは、実に見事なコントロールで、胸の前に差し出した
あやねの両手にすっぽりと収まった。

「あら、意外と素直じゃない」
その物分かりの良さと、コントロールの良さにいささか驚きながらも、無事ボールを回収し、
来た道を引き返そうとしたあやねだったが………。

399 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯6 投稿日:06/04/16 16:42 ID:???
「……えっ?! 何? お、重いっ……!」
突然、ボールの重さがぐんと増した。あやねの上半身は、その重みに引っ張られて前のめりになる。

いや、正しくは「重い」のではなかった。
まるでボール自体が、飛行・浮遊する物体となって動こうとしているような感じだ。
「重い」と錯覚したのは、その運動方向が真下、すなわち重力の方向であったためだ。
その証拠に(?)、運動の方向はすぐに変化した。
ほぼ水平になり、あやねから見て手前────彼女の股下を目がけて進んで来る。

ボールの重さ……、いや、推進力はあまりにも強く、あやねはたまらず手を離そうとした。
だが、ぴたりと吸いつけられたように、手はボールから離れない。
そしてボールは結局、強引にあやねの股下をくぐり抜けた。
両手ごと上半身を引っ張られて、あやねは思い切り前屈姿勢になってしまう。
自分の股下を覗き込むようなポーズを取らされ、その向こうにいる相手と目が合ってしまった。

その時不意に、ボールに吸いつけられていた両手が離れた。
「……あっ……!」
身体のバランスを崩し、あやねは前へ倒れ込んでしまう。
両手を咄嗟に前につき、顔から地面に落下することは防いだものの、
開脚気味のまま、頭を思い切り低くした四つん這いの姿勢になってしまった。

「……なっ…、何なのこれ……!?」
あやねが後ろを振り返ると、そこに立っている相手の様子が一変していた。

今や挑発的な笑みさえ浮かべながら、再び手にしたボールをあやねに見せつけるような態度。
指一本でボールの重心を支え、水平に超高速回転させながら、あやねを見下ろしていた。
小さなボールの動きに翻弄されるあやねの、あられもない後ろ姿の一部始終を、
この生き物はどのような意識で観察していたのだろうか………?

「……くっ…、このっ……!」
相手の挑発に乗せられたように、あやねは駆け出していた。

しかし、この相手の持つ能力は、このボールのような小さな物体を動かせるという程度の、
ちっぽけなものではなかった………。

400 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯7 投稿日:06/04/16 16:44 ID:???
向かってくるあやねを前にしても、相手は全く余裕の表情だ。
そして、その尻尾をくるくると動かし始めた。
長い尻尾が生き物の頭上へと伸びて行き、奇妙な回転動作を始めたのだ。
先端部分で円を描くようなその動きは、投げ縄を投げる際の予備動作のようであった。
同時に、何やら聞き慣れない妖しげな音が鳴り響き始めた。

 ピュシュシュシュシュシュシュシュ………………

何か波動のようなものが放たれるようなその音とともに、恐ろしい現象があやねを襲った。

「……ぁうっ……!」
あやねの身体は突然硬直してしまう。
ひじを曲げ、両腕を中途半端に開いて胸を突き出すような格好のまま立ち尽くす。
顔は少し首をかしげるようにしてうつむいている。

「……かっ、体がっ……!?」
続いてあやねの身体は、その場で縦方向にくるりと回転してしまう。
上半身が前のめりになるとともに、下半身は足元のほうから後方へと浮かび上がる。
そしてそのまま前方宙返りをするように宙を舞い、尻と背中から地面に落下した。

「ぁんっ……!」
下半身を相手のほうへ向け、身体を無造作に地面に投げ出されたあやねは、
悶えるような声を漏らしながら身をよじる。
そしてそんなあやねの姿を、相手は悠然と眺めていた。

「……くっ……!」
このあまりに屈辱的な構図に気づくと、あやねはすぐに立ち上がった。
だが、何か行動を起こそうとする間もなく、またしても金縛りにされてしまう。
今度は、両腕を真横へとまっすぐ伸ばされ、まるで磔のようなポーズにされる。
顔は大きくのけぞって天を仰ぎ、ただでさえ露出度の高い水着姿の肢体が、
より一層無防備な姿を晒していた。

さらに、そのままの状態で身体がくるくると回転し、どちらへともなくふらふらと歩き始める。
正確には「歩く」というより、流されていく体について行こうと、よろめきながらも
必死に足を運んでいるに過ぎない状態であった。
そしてそれも間もなく限界に達し、あやねは地面に思い切り投げ出されるように転倒する。
「……ぁあぁっ……!」

巨体の生き物は先ほどから、一歩も動いてはいない。
体の部位のうち動かしているのは、そのしなやかな尻尾だけだ。
そんな相手に指一本触れることも出来ず、見えない力に身体を操られ翻弄されるあやね。
彼女は全く未体験の恐怖と屈辱を味わわされていた。

401 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯8 投稿日:06/04/16 16:45 ID:???
だが、そんな状態にあっても、あやねは気丈に平静を保ちながら、次なる策へと気持ちを切り替える。
「いたずらが過ぎるわね。この私を相手に、いい度胸してるじゃない」
精神を集中させるように軽く深呼吸して、あやねは胸の前で両手を交差させる。
「お仕置きが必要みたいね………」
そして彼女は、何やら呪文のようなものの詠唱を始めた………。

たちまちのうちに、威圧感に満ちたオーラを発し始めるあやね。
その周囲には、呪文が具現化したような文字列がいくつも浮かび上がり、赤く鋭い光を放っている。

あやねはくのいちであると同時に、妖術にも通じており「深山の女天狗」と異名を取るほどの使い手である。
今は、とてもそうは思えない服装をしてしまっているが、その実力には何ら変わりは無い。
それをまともに喰らえば、どんな相手だろうとひとたまりもないだろう。
しかし………。

 ピュシュシュシュシュシュシュシュ………………

念力は詠唱中のあやねの身体に容赦無く襲いかかり、たちまち金縛りにしてしまう。
「……ぁうぅっ……!」
そしてあやねの身体は、先ほどと同じように前方宙返りをさせられ、地面に転がされてしまった。

呪文の詠唱中に反撃されてしまうという事自体、あやねにとっては全く不測の事態であった。
詠唱中の彼女がまとう、何者をも寄せつけぬような凄まじいオーラ。
うかつに反撃を試みる者は全て、たちまち返り討ちにされる………、そんな風に思わせるほどの威圧感。

だが現実に、呪文を中断させられた水着姿の女妖術師は、ぶざまなM字開脚で地面に転がっていた。
そして今度は、身をくねらせて悶える間すら無く、ダウンしたばかりの身体が下半身のほうから
浮かび上がったかと思うと、約1秒後には、再び同じように地面に叩きつけられていた。
「……ぁんっ……!」
自分が何をされているのかも分からないまま、ただ悶えるばかりのあやね。

不思議な力に操られ弄ばれるあやねの身体は、まるでビデオの逆再生のように、
ぶざまな前方宙返りの動作を「巻き戻し」て再現させられていた。
そして適当なところで「順再生」に切り替えられると、その身体は再び地面に転がされる。
さらにふたたび逆再生………。
相手の気の向くままに、そんな事が繰り返される間、あやねには全くなすすべが無かった。

「……くっ……! ……んぁっ……、…ぅあっ……、………あんっ!」
ただ喘ぐような声が、時折り漏れるばかり。
頭を低くし、下半身をあらぬ方向へ向けたあられもないポーズ。
そんな姿を執拗に強調することを強いられる屈辱極まりない仕打ち。

先ほど「お仕置き」という言葉を口にしたあやねだったが、今の状況はもはや彼女のほうが
(妖術を用いようとした事に対して)お仕置き「されている」側のような状態であった………。

402 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯9 投稿日:06/04/16 16:46 ID:???
「………あやねったら遅いわね。どうしたのかしら?」
コートで待っていた3人は、あやねがなかなか戻って来ないのが気になり始めていた。
ただボールを取りにいっただけなのに………?

「あの子も帰っちゃったみたい」
「試合が中断したから、退屈しちゃったのかな?」

「あの子」とは、先ほどまでいた小さな観戦者────プレーリードッグのことだ。
確かに、その姿はいつの間にか消えていた。

一方、あやねは一向に戻って来る様子が無かった。
「私、見てくるわ」
ヒトミがそのように申し出て、あやねの向かった方向へ入っていった。

403 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯10 投稿日:06/04/16 16:48 ID:???
左右を見回しながら、木々の間を進んで行くが、あやねの姿もボールもなかなか見当たらない。
ヒトミはもう少し奥の方へと進んで行く。

すると間もなく、前方から声が聞こえてきた。
声の主は間違い無くあやねだろう。
ただ、その声がまるで喘ぎ声のようにも聞こえるものだったので、ヒトミは少々不安を覚えながら、
声の聞こえる方へと足を速めた。

そして、ひときわ大きな木の脇を通り抜けた辺りで、ヒトミは思いがけない襲撃を受けてしまうこととなる。
「きゃあああぁっ!」
突然、真横から飛来し、一瞬にしてヒトミの視界いっぱいに迫ってきたそれは、
かわす間もなくヒトミの顔面に命中し、そのまま彼女を押し倒してしまった。

仰向けに倒されたヒトミの上に覆いかぶさっていたのは、他ならぬあやねの身体だった。
しかもヒトミの目の前にあるのは、大きく脚を開いたあやねの股間だった。
そして、あやねは押し倒されたヒトミの下腹部に顔を押しつけるようにしてうつ伏せに倒れている。
四つん這いのポーズのまま後方へと放り出されたあやねの身体が、
ちょうど両脚でヒトミの顔を挟み込むようにぶつかってきたのだ。

ヒトミがわずかに顔を上げると、その視線の向こうには明るい茶色の巨体をした奇妙な生き物が立っていた。
しかもその手には、あやねが探していたはずのあのボールがあった。

それを見たヒトミは、ボールを探しに行っていたあやねに起こった出来事を否応無しに悟った。
何しろ、「物的証拠」を「犯人」が自ら見せびらかすような態度を取っているのだ。
しかも、二人でもつれ合うようにして倒れている姿を嘲笑うような視線で見下ろす態度が、
さらにそれを裏付けていた。

二人は懸命に体を起こして、あられもない姿でもつれ合った状態からやっと脱する。
するとヒトミはいちはやく立ち上がり、あやねを襲っていたであろう相手に詰め寄ろうとする。
「……ヒトミっ! 気をつけて、そいつは………」

 ピュシュシュシュシュシュシュシュ………………

「きゃっ?!」
あやねの忠告も空しく、ヒトミもあっけなくその見えない力の餌食になってしまった。
「……かっ、体が……!」
そして次の瞬間、ヒトミは最初のあやねと全く同じように、地面に転がされていた。

404 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯11 投稿日:06/04/16 16:49 ID:???
だがその間にも、あやねは素早く相手へと接近していた。
指一本触れる事無く身体をコントロールされ、一方的に弄ばれてしまう恐ろしい能力。
それを封じるには、素早く懐に入り接近戦を挑むよりなかった。

しかし、今度はその体格とパワーの差に彼女は苦しめられることになる。
あやねがリーチの範囲内に入って来るや、巨体の生き物はその腕で彼女の両肩をがっしりと捕まえてしまう。
そのまま無造作に腕を振り回すと、あやねの身体は軽々と横へ投げ捨てられてしまった。
「……ぁあぁっ……!」
相手のすぐ右横で、両手と膝を地面につくあやね。

一方、あやねの仇を討とうとするように、間髪入れずにヒトミも突進していた。
だが相手の力強い腕によってヒトミもあっさり捕まえられ、突き倒されてしまう。
肩と腰をつかまれて軽くひねりを加えるようにして押し飛ばされ、相手に尻を向けてうつ伏せに倒れる。

倒れたあやねもすぐに立ち上がり、相手の右側面から隙をうかがっていた。
そしてヒトミは、這いつくばった身体をすぐ反転させて仰向けに向き直り、急いで立ち上がろうとする。
その時モンスターが不意に、嘲るような低いかけ声とともにその巨体をぐるりと回転させて、彼女達に背を向けた。

「……ぁあっ……!」
突然、上半身を大きくのけぞらせ、全身の力が抜けたようにくずれ落ちるあやね。
「……きゃっ……!?」
立ち上がろうとしていたヒトミも、右方向へ大きく弾き飛ばされ、
その身体は派手に半回転して再び地面に転がった。

ふたりを襲ったのは、モンスターの尻尾だった。
茶色の肉棒が、ふたりの頬を続けざまに軽くはたいたのだ。
それは一見、鞭のように強烈な一撃ではなかった。
だがその尻尾が頬に触れた瞬間、全身を奇妙な脱力感に襲われ、
ふたりはなすすべなく、あまりに不甲斐無くぶざまなモーションでダウンを奪われてしまった。

立ち上がろうとするあやねに、つかつかと歩み寄って来る相手。
厚かましく手を伸ばし、あやねの肩をむんずとつかむ。

一方、尻尾ビンタによるショックからようやく立ち直るヒトミ。
あやねを捕まえ、さらなる責めの態勢に入っているモンスターは、ヒトミに対して完全に背を向けており、
彼女に対しては一見、無警戒のようにも見える。
しかし、背中を見せる敵とヒトミとの間には、あの茶色の肉棒が立ちはだかる。
一度尻尾ビンタの洗礼を受けているヒトミは、その動きを警戒してしまい、なかなか相手に近づくことが出来ない。
そんな彼女を挑発するように、ちょろちょろとうごめく尻尾。

「……もう、同じ手は喰わないわ……!」
意を決したように、ヒトミは一気に間合いを詰めた………。

405 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯12 投稿日:06/04/16 16:51 ID:???
かすみとレイファンはもうしばらくの間、コートで待っていた。
だが、あやねばかりかヒトミまでもが一向に戻って来る気配が無かったので、
彼女達も結局、二人を探しに行くことにした。

そしてかすみとレイファンは、全く見たことも無いような奇妙な相手と悪戦苦闘している
ヒトミとあやねの姿を目にすることになる。

赤みがかった茶色の巨体の生き物の足元で、あやねが片手と両膝をついてうつむき、上から押さえつけられていた。
相手の手は、一方があやねのうなじの辺りを、もう一方の手が彼女の地面についていないほうの手首をつかんで、
上から圧力をかけて立てないようにさせつつ、時おりその身体を弄ぶように揺さぶっている。

一方、ヒトミはモンスターの背後で、相手に背を向けて立っていた。
いや「立って」いると言えるかどうかは微妙なところだ。
ヒトミは、後ろ向きになりモンスターの尻尾にまたがっていたのだ。
そしてその両脚は、地面にかろうじてつま先がつくような状態であった。
背後からヒトミの股下をくぐり抜ける尻尾は、そのまま彼女の下腹部をこすり上げるようにしてまとわりつき、
へその辺り、胸元を這い上って首に巻きついていた。

首を固定されたうえ、相手に尻を向けて太い肉棒にまたがらされた状態で腰をくねらせるヒトミ。
相手はそんなヒトミからの反撃を警戒する様子は全く無く、マイペースであやねへの責めを継続している。
一方ヒトミは、そんなマイペースな相手の勝手気ままな動作の一つ一つに振り回され、翻弄され続けていた。

たとえば相手がほんの半歩でも足を動かして少々体の向きが変わっただけでも、
それによってヒトミは全身を激しく振り回されてしまう。
股を開かされたおぼつかない足取りで、尻尾の向く方向へと懸命についていく。
ヒトミは、その動きに逆らうことは決して出来ないのだ。
互いに背を向け合い、尻を突き合わせるような位置関係でありながら、
両者の力関係はあまりに一方的な支配、服従の関係であった。

「……ちょ、ちょっとっ……! ……ヒトミっ…! ………あやねっ!」
ふたりを助けようと、たまらず駆け出すかすみとレイファン。
しかし、相手は最もいやらしい迎撃手段を用意していた。
その巨体をぐるりと回転させ、駆けて来るふたりに背を向けたのだ。

「……あんっ……!」
喘ぎ声をあげながら、かすみ達の前に躍り出てきたのはヒトミだった。
尻尾による束縛、コントロールに逆らうことの出来ないヒトミは、
操られるままにふたりに体当たりを仕掛けてしまう。

「……きゃあぁっ……!」
ヒトミの身体は、まずレイファンを弾き飛ばした。
弾かれたレイファンの身体が、すぐ隣のかすみにぶつかる。
さらにヒトミはかすみにも体当たりし、レイファンとかすみはもつれ合うように転んでしまった。

406 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯13 投稿日:06/04/16 16:52 ID:???
転んだふたりの前には、尻尾に捕らえられ、またがらされたままのヒトミの身体がなおも立ちはだかる。
そしてふたりの目の高さは、ちょうどヒトミの股間のあたりだ。
あまりに屈辱的な姿で拘束されているヒトミの姿を、ごく間近で目にしたかすみとレイファン。
その時ふたりは一瞬、全身がゾクッとするような感覚に襲われた。
「……!?」
奇妙な感覚に戸惑いながらも、かすみとレイファンは急いで立ち上がる。

その時、ヒトミの首に巻きついている尻尾の先端が、彼女のあごを捕まえて「くいっ」と上を向かせた。
「……あっ……」
されるがままのヒトミは、接吻を迫られる少女のように顔をのけぞらせて喘ぐ。
その時、かすみとレイファンの身に奇妙な出来事が起こっていた。
ふたりとも、ヒトミと全く同じように顔をのけぞらせ、同じような声を漏らしていたのだ。

立ち上がったふたりの身体は、まるで何かにまたがっているように脚を開き、
誰かに首を掴まれたように硬直させられていた。
そう、今のヒトミと全く同じ状態だった。

巨体の生き物が再び、尻尾の先端を左右に振り動かした。
「……ぁああっ……!」
メトロノームのように上半身を大きく揺さぶられ悶えるヒトミ。
そしてかすみとレイファンの身体も、ヒトミと全く同じように右往左往していた。

いまやヒトミの身体は、いわゆる「呪いの人形」のようなものと化していた。
ヒトミの身体に与えられたあらゆる刺激、衝撃が、全てそっくりそのままかすみとレイファンの身体に伝わるのだ。

ふたりが術中に堕ちたのを確認して調子に乗ったように、茶色の触手はさらに多彩な動きで彼女達を弄び始める。
「……あっ、……ぁああぁぁっ……! きゃあっ……、…あんっ……!」
3人の身体は、ロデオマシーンに乗せられているように激しく揺り動かされる。
腰を前後、左右、上下に振り、全くバラバラの動きで上半身も前後左右に揺れ動く。

自由気ままな運動をひととおりこなした後、尻尾の首輪はヒトミの首を手前へと引き寄せた。
「……あっ……!」

「手前」と言っても、ヒトミの首に巻きつく尻尾は、それにまたがる彼女の股下をくぐり抜けている。
それがたぐり寄せられるということはこの場合、ヒトミの首は彼女自身の股間へと引き寄せられることになるのだ。

407 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯14 投稿日:06/04/16 16:53 ID:???
腰の高さはそのままに、自分の股下へと顔をくぐらせるヒトミ。
そして、尻を高く突き出したままの下半身が前方へと転がって、きれいにでんぐり返りをさせられてしまった。
当然、かすみとレイファンの身にも、リアルタイムで同じことが起こっている。
近い位置で向かい合って同時にでんぐり返りをする3人。
その尻がお互いにぶつかり合い、6本の脚がもつれ合い、絡まり合う。
3人はお互いの下半身を複雑に密着させたまま、仰向けに倒れていた。

さらにそこへ、放り出されたあやねの身体が覆いかぶさってきた。
「……きゃぁあっ!」
倒れたままの3人の上へとのしかかるあやね。

紐のような水着姿のまま、身体を複雑に重なり合わせる4人の少女。
世界に二つと無い、独自の美しさのオブジェの完成。

この状態から脱しようと、4人は懸命に身体をくねらせる。
しかし、いたずらにもがけばもがくほど、互いの身体はより複雑にもつれ合ってしまう。
しばらくの悪戦苦闘ののち、少女達はようやく身体を起こすことが出来た。

何とか立ち上がり、この得体の知れない巨体の生き物と対峙した4人だったが、
距離をとり、やや警戒した様子で相手を見据えたまま立ち尽くしていた。

4対1という状況にもかかわらず、積極的に攻撃行動を起こすことが出来ない。
その時点で、既に相手のペースに陥っていると言っても過言ではなかっただろう。
彼女達の消極的な様子を察すると、生き物は先ほどにもましてのびのびと、
その長い尻尾を高々と掲げて回転させ始める………。

 ピュシュシュシュシュシュシュシュ………………

「……ぁあぁっ……、………ぁんっ……!」
4人全員の身体がたちまち操られ、宙返りして仰向けに転がった。
M字開脚気味に下半身を投げ出した身体が、横一列にきれいに並んで横たわる。
そして、先ほどのあやねと同じように「逆再生」現象が倒れたままの4人を襲う。

408 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯15 投稿日:06/04/16 16:54 ID:???
4人の身体がいっせいに、尻の方から浮かび上がらされてはまた尻から地面に叩きつけられる。
「……ぁああっ……、……ぅくっ……、…あぁんっ……! ………ぁうぅっ!」
操られるままに、あられもない姿の往復運動をリズミカルに繰り返す。

数回にわたって宙を舞い、地面に打ちつけられた4人の身体が、今度は倒れたまま地面を転がり始めた。
「寝返り」を何回も繰り返すように、横方向にごろごろと転がされる4人の身体。

買い物袋からこぼれて坂道を転がり落ちる果物、あるいはソフトドリンクのボトルが、
重力に逆らうことは決して出来ないように、水着姿の少女達もまた、この見えない力、
触れる事無く作用する力に逆らうすべは無かった。

余談だが、コカコーラのボトルのくびれたデザインは、女体のくびれをイメージしたものらしい。
今まさに、4本の可愛いコーラびんが、あるいは4個の食べごろの桃の果実が、
手頃なテーブルの上で転がされるように、子供のおもちゃにされるようにたあいも無く弄ばれていた。

なすすべも無く地べたを転げまわる少女達は、うつ伏せ、あお向けと、ありとあらゆるダウンポーズを
見せながら右往左往していた。
その姿を悠然と見下ろされているというだけでも、その屈辱、精神的ダメージは相当なものだ。

美しい砂浜に寝転んで、リラックスしたひとときを過ごしながら、
全身で砂の感触を楽しむようにごろごろと転がる………。
そんな心地良い「寝返り」ならば、彼女達の何人かは、この島で既に体験していた。
しかし、身体の動作自体は似たようなものであっても、いくつかの要素が加わるだけで、
「リラックスしたひととき」は一転して「屈辱極まりない嬲り」へと変わってしまうのだった。

4人の少女達はやがて、意のままに彼女達を操る者の足元へと、転がりながら「集合」させられた。
「……ぅうっ……」
いったんコントロールを解かれたものの、4人はすぐには起き上がることが出来ない様子で、
横たわったままの、あるいは上半身だけをようやく起こしかけの身体を見下ろされていた。

そんな状況の中、次に目をつけられたのはかすみだった。
かすみは反撃しようとするが、頭を上からぐいと押さえつけられてしまう。
そしてそのまま押し下げられ、両手を地面について再び這いつくばらされてしまった。

相手は腕を伸ばして、かすみの左腕と左膝を掴んで軽々と持ち上げる。
「……ぁあっ……!」
右手と右足だけを地面につけたまま、かすみは横向きの大の字のようなポーズをとらされてしまう。
そしてそのままくるりと身体をひっくり返されて、仰向けに転がされた。

409 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯16 投稿日:06/04/16 16:55 ID:???
「……やっ…、やめなさいっ……!」
ようやく立ち上がったレイファンが、傍若無人に振舞う相手に立ち向かおうとした。

「……レイファン! その尻尾に気をつけてっ!」
忠告するヒトミの声。
相手の背後にいるレイファンの姿が、ヒトミには先ほどの自分やあやねの姿とダブって見えた。
うかつに近づけば、すぐさまその長くしなやかな尻尾にはたかれ、ぶざまに倒されてしまうだろう。

しかし、その時には既に、レイファンはその肉棒に「捕獲」されていた。
「……えっ?! きゃっ!?」
いつの間にかモンスターの尻尾が、レイファンの足首に巻きついていたのだ。
罠にかかったうさぎのように、レイファンはたちまち動けなくなってしまう。
立ち尽くしたまま、必死に身体をよじるレイファン。

茶色の尻尾が、勢いよく上方へと振り上げられる。
「……いゃぁぁあんっ!」
なすすべも無く片足を引っぱり上げられ、レイファンは思い切り股を開かされてしまう。
いかに股関節の柔軟性があろうと、どんなハイキックを繰り出せる身体能力があろうと、
この責めの前に、まともに立っていることは出来ない。
限度いっぱいまで開脚させられた挙句、もう片方の足も地面に着いていられなくなり、
レイファンは両脚を投げ出して大胆なポーズで転倒してしまった。

背後でぶざまに転んでいるレイファンをよそに、なおもかすみは責め立てられ続けていた。
容赦無い手が、またかすみの身体へと伸びてくる。

だがその時かすみは、反撃に転ずるタイミングを見計らっていた。
相手の手を紙一重でかわし、サッと身を翻すかすみ。
そして次の瞬間、彼女はそこから姿を消していた。
後には、相手の目をくらまそうとするようにひらひらと舞う桜の花びらだけが残った。
相手がその花びらを目にしたときにはもう、水着姿のくのいちは相手の背後に姿を現していた。

かすみの姿を見失った相手と、その背後を取ったかすみ。
状況は圧倒的にかすみが有利、と思われたが………。

410 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯17 投稿日:06/04/16 16:57 ID:???
「きゃふぁぁんっ!」
突然、身体を下から突き上げる衝撃に襲われ、かすみは絶叫した。
一瞬浮かび上がった後、立っていられなくなった身体が、力無くくずれ落ちる。
両手で股間を押さえ、尻を後ろに突き出した格好で膝をつき、そのまま前へと倒れてしまう。

列車が通過した直後の踏切で、遮断機をまたごうとする行為。

………かすみの行動は、例えるならそのようなものだっただろうか。彼女自身にもたらした結果から考えれば。

仰向けに倒れたのち、ようやく上半身を起こすところだったレイファンは、
股間を突き上げられるかすみの後ろ姿を、ごく間近で見上げることになってしまった。
「……あんっ」
唐突にそんな声を漏らしながら、レイファンは何を思ったか両手で股間を押さえて
両膝をくっつけ、少し身をよじった。
どうやら、先ほどヒトミと衝突した直後に起こった出来事を、「体が」思い出してしまったようだ。
今度はかすみの身体が「呪いの人形」にされてしまっていたら………と、体が勝手に反応してしまったらしい。

巨体の生き物はゆっくりと振り返り、少女達のほうを向き直った。
すると4人はみな一様に、思わずあとずさりしてしまう。
彼女達は、心理面においては既に「降伏」してしまっているに等しかった。

見えない力に身体を操られる恐怖と屈服感。
屈辱度の高い攻撃ばかりをいやらしく狙ってくる尻尾の責め。
そしてそれをことごとく喰らってしまう屈辱。
たびたびあられもないポーズをとらされてしまう恥辱………。

こうした責めによって蓄積された精神的ダメージは相当なものだ。
もはや彼女達に、この相手に立ち向かう気力が残されているはずも無かった。
さりとて、彼女達はこの相手から逃げることも出来ない。
理由は簡単。逃げようとしても、見えない力で簡単に「捕獲」され、すぐに「連れ戻されて」しまうからだ。

戦うという選択肢も、逃げるという選択肢も失われ、ただ立ち尽くす少女達。
その様子を楽しそうに眺めながら、巨体の生き物はゆっくりと彼女達のほうへ歩み寄ってきた………。

411 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯18 投稿日:06/04/16 16:57 ID:???

島の裏手にある静かな浜辺、「プライベートビーチ」と呼ばれるスポット。
リサは、その辺りをぶらりと散策していた。
「あら、今日はあの子、いないみたいね………」

「あの子」とは、ここへ来るとたびたび見かけるプレーリードッグのことだ。
海辺の岩の上、ヤシの木の上などを縦横無尽に元気良く走り回る姿は、今は見当たらなかった。

「………どこか、別の場所で遊んでるのかしらね」
リサはおもむろに砂の上に腰を下ろし、はるか水平線の彼方を眺めた。


412 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯19 投稿日:06/04/16 16:59 ID:???
「……あっ……」
「……ぅうっ……」
茶色の生き物は、その二本の腕でヒトミとレイファンを捕まえていた。
左腕がヒトミを、右腕がレイファンを捕らえている。
腕をぐるりと身体に回され、ふたりはなすすべも無く組み付かれていた。

腕を腰に回され抱きすくめられているヒトミ。
相手はさらに、上背の差を活かしてヒトミの上半身に体重をかけるようにしている。
のけぞらされたヒトミの身体は、何とも不安定で無防備な体勢にされていた。

そしてレイファンは、後ろを向かされて背後から首に腕をかけられていた。
喉に食い込む腕を後方へと引き上げられ、相手の体に寄り掛かるようにしてのけぞらされている。
そんなレイファンの身体も、ヒトミに負けず劣らず無防備な姿を晒していた。

そして巨体の生き物の背後では、その尻尾によってかすみとあやねがふたりまとめて捕獲されていた。
ふたりとも、茶色の触手が首に巻きついて身悶えており、立つことも出来ない様子だ。

ふたりのうち、尻尾の付け根に近い側で捕らえられているのがあやね。
「首輪」をつけられ、横座りの姿勢で力無く座り込んでいた。
そしてあやねのすぐ後ろでは、かすみが四つん這いになっている。
その身体は後ろ向きで、突き出した尻をあやねの後頭部へ向けた格好だ。
しかも、あやねの首に巻きついた尻尾は、すぐ後ろで脚を開いたかすみの股下をくぐって、
もう一人の獲物の首へと到達しているのだ。

しかし、こんなふたりの奇妙な位置関係を、当人たちはほとんど把握していないようだ。
首に巻きつく尻尾の拘束により、あやねは後ろを振り返ることも出来ない。
また、既に体力的、精神的にもいっぱいいっぱいであり、すぐ後ろの気配に対してさえ、
注意力も満足に働いていないようだ。
そしてかすみも、そういう点については、あやねとほとんど同じような状況であった。

「知らぬが仏」…………そんなことわざもある。
しかし、お互いの位置関係を把握していないことが今後、
彼女達にさらなるダメージをもたらす失態を引き起こすのだった。

413 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯20 投稿日:06/04/16 17:00 ID:???
「あんっ!」
悲鳴とともに、レイファンの身体がひときわ大きくのけぞる。
彼女の首を抱えている腕が、グッと力を込めたのだ。
そして腕が彼女を解放すると、レイファンはがくん、と膝をつき、
首をよじりながら斜め前へとうつ伏せに倒れこんだ。

レイファンを解放して空いた腕が、今度はヒトミへと伸びて来る。
「……あっ……」
腰に回した手はそのままに、右手でヒトミの左脚、膝のあたりを内側から掴む。
そしてその腕を高く持ち上げた。

片脚を高々と引っぱり上げられて、ヒトミは大きく股を開かされてしまう。
上半身は持ち上げられた脚と逆方向に傾き、「Y字」のポーズをとらされるヒトミ。
やがてもう片方の足も地面から離れ、彼女の全体重が相手の両腕に預けられてしまった。
つかまれた脚をさらに高く掲げられ、ヒトミの身体は「Y字」のまま大きく回転させられてしまう。
そしてそのまま地面へと放り出されて腰の辺りから落下し、相手に頭を向けて仰向けに転がされた。

巨体の生き物が悠々とヒトミとレイファンを弄んでいる間にも、
その背後ではあやねがなおも反撃の機会をうかがっていた。
しゃがんだ状態から、体のバネを活かして立ち上がりざまに後頭部へ蹴りの一撃。
それがあやねの狙いだった。
相手は今、ヒトミとレイファンの方へ注意を向けている。
尻尾で捕獲されたふたりは既に戦闘不能と思い込み、油断しているのかもしれない。

その「油断」こそが、あやねに残された唯一のチャンスだった。
もし相手が再び尻尾に力を込めることを少しでもすれば、全くなすすべ無く彼女達は悶絶させられてしまうだろう。
また、反撃に気づかれた場合はもちろん、その尻尾によって直ちに「お仕置き」されてしまうことだろう。

だからあやねは、相手の油断を突いた一撃を、なるべく効果の大きいものにする必要があった。
すぐ目の前にある肉厚そうな背中などをただやみくもに攻撃するのは、この場合得策ではなさそうだ。

そこで狙いどころとして目をつけたのは、相手の後頭部だった。
しゃがんだ状態から高い位置へと繰り出す蹴り。
もともとトリッキーなモーションの蹴り技の数々を得意とするあやねの運動能力をもってすれば、
それも十分可能なものと思われた。

体力を消耗した身体で、あやねは懸命に力をふりしぼり、行動を起こすタイミングを見計らっていた。
たとえ反撃には気づかれなくても、ほんの気まぐれでいつ、首に巻きついたままの茶色の触手が
再び動き出さないとも限らない。
また、モンスターに組み付かれ、なおも嬲られ続けているヒトミとレイファンも、
そう長く持ちこたえていられそうもなかった。
彼女達の為にも、そして反撃を成功させる為にも、あやねは迅速に行動しなければならなかった。

………そしてついに、彼女は行動を起こした。
低い姿勢から片脚を思い切り振り上げ、しなやかな肢体が一気に伸び上がる。
そして次の瞬間………。

414 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯21 投稿日:06/04/16 17:01 ID:???
………ググッ!

「……ぁうぅっ!」
「……きゃあっ!」

あやねとかすみが、同時にぶざまな悲鳴をあげた。
中腰のまま首をのけぞらせ、不自然なポーズで硬直するあやね。
四つん這いの状態から上半身を起こす途中のポーズで、同じく硬直するかすみ。

ふたりの首に巻きついて、かすみの股下をくぐり抜けていた茶色の尻尾。
その二つの「首輪」を結ぶ「縄」に当たる部分は、先ほどまで────
あやねが行動を起こすまで────は、ある程度の「たるみ」があった。

だがその瞬間、「縄」は思い切りピンと張った。
渾身の蹴りを繰り出そうとするあやねの首を後ろから押さえつけると同時に、
上半身を起こそうとしていたかすみの身体にも、思い切り食い込んでいた。

やや強引に「てこの原理」に当てはめてみるなら、
    力点・・・・あやねの首
    支点・・・・かすみの首
    作用点・・・かすみの股間
ということになるだろうか。

中腰の姿勢から、あやねの身体はゆっくりとくずれ落ち、脚を投げ出すようにして地面に転がった。
手で股間を押さえて悶絶するかすみは、尻を突き出した下半身はそのままに上半身が前へと倒れ、
頬を地面につけた。

少し間を置いてから、首に巻きついていた尻尾がふたりを「解放」した。
まず、尻尾の先端側のかすみが、続いてあやねが、首の拘束を解かれた。
だがふたりとも、倒れたまま起き上がる様子も無い。
どうやら失神してしまったようだ。

使い終えたホースのように、ゆっくりと「回収」されていく長い尻尾。
かすみの首に巻きついていたその先端部分が、尻を突き出したポーズのまま気絶している
彼女の股下をくぐり抜けてきた。

415 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯22 投稿日:06/04/16 17:02 ID:???
その時、あやねの体がわずかに動いた。
「……ぅうっ……」
まだかろうじて意識を保っているようだ。
横たわったままの身体を懸命にくねらせながら、地面に手をつく。
そして両腕で体を支え、何とか顔を上げようとしている。
そんなあやねの顔のそばに、茶色の尻尾の先端が近づいて来た。

 ぴと。

茶色の肉棒が、あやねの頬に触れる。
「……あっ……!」
あやねの体から、たちまち力が抜けていく。
そして「レ」の字を逆から描くように、
彼女の頬、首筋、喉を撫でて、あご、下唇を舐め上げる。

「……ぁあっ……!」
のけぞったあやねの顔は、まとわりつく肉棒が離れるとすぐにガクッ、とうつむき、
起こしかけていた身体は再び倒れてしまう。
振りしぼった最後の気力を奪い尽くされ、今度こそ本当に失神してしまったようだ。

紐のような水着姿のまま、眠らされたように倒れ込んでいるふたりのくのいち。
その姿は、ヒトミとレイファンの士気をさらに低下させた。
彼女達も、もはや立ち上がることも出来ず、腰が抜けてしまったように座り込んだままだ。
そんなふたりに対し、相手はその恐るべき肉棒の躍動をなおもしつこく見せつける。

 ピュシュシュシュシュシュシュシュ………………

もう、何をされようとどうすることも出来ない………。
そんな恐怖感と無力感に、ふたりは思わず身をすくめ、顔をそむけた。

だが今度は、四肢を操られたりすることはなかった。
その代わりに、そむけた顔が相手の方を向かされてしまった。
そして、くねくねとうごめく尻尾の先端に、ふたりの視線は吸い寄せられた。
目をそらすことが出来ないまま、その動きをじっと見つめているうちに、
次第に彼女達の意識はぼやけ、視界は白く霞んでいった…………。

416 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯23 投稿日:06/04/16 17:03 ID:???

「………澄んだ空気……、気持ちいい………」

密林の中、横向きに伸びる太い樹木に、ヒトミはまたがっていた。
大きく股を開いた彼女の足先は、地上1メートルほどのところでぶらぶらしている。
その状態のまま、両手を少し前について、腕で体全体を引っ張るようにして腰を前に動かす。
そんな動作を繰り返して、両手と股間とを使って樹の上をゆっくりと前進していく。

そうやって1〜2メートルほど前進したところで、ヒトミはゆっくりと上半身を前に倒した。
太股で挟んだ樹の上に寝そべって、頬杖をついた姿勢でジャングルの風景を眺めながら、
ヒトミはゆったりとしたひとときを過ごしていた………。


417 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯24 投稿日:06/04/16 17:04 ID:???

「………今頃あいつ、何してるかしら………」
砂浜の上で、レイファンは水着姿での演舞を披露(誰に?)していた。
ちなみに、今彼女が呟いていた「あいつ」というのは………。

「そんなに俺のことが気になるのか?」
(……えっ?!!)
突然、背後から聞こえた聞き覚えのある声に、驚いたレイファンの全身がビクン、とすくみ上がった。

(……そんなっ……、う、うそぉっ?!)
レイファンの頬はみるみる紅く染まっていく。
(……み、見ないでっ……!)
この紐のような水着にも、多少は慣れてきていたレイファンだったが、背後に感じるその視線を意識した途端、
着せられた時と同様の羞恥心が一気によみがえって来てしまった。

右手を後ろに回して、そのほとんど丸出しの尻を隠し、左手で両胸を隠しながら体を横へ向け、
おそるおそる後ろへ目をやろうとした。
だが次の瞬間、レイファンは一瞬にして仰向けに押し倒されていた。
馬乗りになった相手は、彼女の両手首をそれぞれの手でつかんで砂浜に押さえつける。

「……どっ、どうして、………あなたが、ここに………?」
激しい逆光のためか、相手の顔はシルエットしか見えない。
だがそれは紛れも無く、たった今レイファンが思い浮かべていたあの格闘家だった。
レイファンの頬は真っ赤に染まったままで、心臓はなおも激しく高鳴り続けている。
強力なフェロモンを嗅がされたように、体中が異性を意識して激しく反応していた。

突然の出来事に戸惑いはしたものの、彼女は拒むようなそぶりはみじんも見せなかった。
やがて、恥じらうように顔を少し横へ向け、覚悟を決めたようにゆっくりとまぶたを閉じた。

そんな彼女の様子に、相手は力づくで押さえつける必要の無くなった彼女の手首を放した。
そして今度は、その手はレイファンの胸元へと迫ってくる。

「……あっ……」
しかし、相手の次の一言で、レイファンがひたろうとしていたムードはたちどころに消え去ってしまった。

418 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯25 投稿日:06/04/16 17:05 ID:???

「………澄んだ空気……、気持ちいい………」


「……えっ??!」
耳を疑う声と言葉に、レイファンはぱちりと目を開いた。
そこにいたのは「あいつ」ではなかった。
ピンク色のカチューシャを髪につけた少女────ヒトミだった。

驚きのあまり今度は目を疑い、ますます混乱に陥るレイファン。
そんな彼女にお構い無しに、ヒトミはレイファンの胸に押し当てた両手と、
彼女の上にまたがった腰を前後に動かして、身体を揺すっている。
その表情は、心地良い眠りの中で「気持ちいい」夢を見ているようにうっとりとしている。

「……ちょ、ちょっとっ……! ……やっ、やめてよぉっ……!」
叫ぶレイファンの声にも、ヒトミは全く反応してくれない。
相変わらず、気持ち良さそうに眠ったままだ。
それでいて、どっしりと馬乗りになった体勢は安定感抜群で、
レイファンがどんなに必死に暴れてもびくともしなかった。

やがて腰を動かすことをやめたヒトミは、上半身をゆっくりと前に倒してきた。
「……いやぁっ……!」
レイファンはとっさに両手を突き出して、倒れかかってくる身体を止めようとした。しかし………。

 むにゅ。

「えっ?!」
その時、手に伝わる柔らかい感触に、レイファンは戸惑った。
彼女の両手は見事に、ヒトミの両胸をわしづかみにしてしまっていたのだ。

「きゃっ!?」
どちらが胸を「触られた」側だか分からないような声をあげて、思わずレイファンは手を放してしまった。
「つっかえ棒」が無くなってしまったので、結局ヒトミの身体はそのままレイファンの上へと覆いかぶさってきた。

「……ぁあっ……!」
もはやレイファンには、この状態からのがれるすべが無かった。
先ほどの夢の中(?)とは少々異なる意味で「覚悟を決めたように」
再びまぶたを閉じることしか出来なかった………。

419 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯26 投稿日:06/04/16 17:05 ID:???

その傍らでは、かすみとあやねがお互いに向かい合って横たわっていた。
ふたりともヒトミと同様、夢見心地のうっとりとした表情で、お互いの顔を近づけ抱き合っている。

「………兄さん………」
かすみが、あやねの背中に回した両腕を引き寄せる。
「……あっ……」
抱き寄せられるままに身体をよじるあやねの頬が紅く染まった。
「……そんなっ…、…ハ、……ヤ…、…テ様……?」

紐のような水着姿のまま、二組に分かれて身体を絡ませあう4人の少女達。
熱帯の特徴的な植物の数々が生い茂る南国の密林の中、何故か4輪だけ寄り添うように咲いている百合の花。
そんな奇妙な光景がそこにはあった………。

420 名前:DOAX 〜水着姿のマリオネット〜 ♯27 投稿日:06/04/16 17:09 ID:???
「ずーっとこうしていたいわ……」
美しい砂浜に横たわって、しばらくの間リサはゆっくりとくつろいでいた。
そこへ、一匹の小動物が近づいて来た。
リサのすぐそばまで寄って来て、そのつぶらな瞳で彼女をじっと見る。

「……あら、お帰りなさい」
その気配に気づいたリサは、寝転がったまま身体をひねってそちらへ顔を向ける。
そこには、例のプレーリードッグがいた。
「どこに行ってたの?」
小動物は、身振りを交えながら、リサの問いに答えたようだ。
どういうわけか、リサはこの小動物と言葉を交わすことが出来るようだ。
曰く、「ジャングルのほうに行っていた」とのことらしい。

プレーリードッグはさらに「言葉」を続けた。
「えっ?『新しい遊びを見つけた』ですって?」
興味を引かれたように、「どんなあそび」なのかと聞き返す。

すると小動物は、リサの耳元に近づいて、耳打ちをするような動作をした。
(誰に聞かれるという心配があるはずも無いのだが)
そして、その「言葉」を聞いたリサは………。

「まっ! どこでそんな言葉を覚えたのかしらね」
ませた子供をたしなめるような口調だった。
「もう……、おませさんなんだから」
右手を伸ばし、人差し指でいたずらっぽく、「ませた」小動物の体をつつこうとした。

 ぷに。

体の柔らかい部分に押し当てられる指先。

「……えっ?! あ、あらっ??」
リサは一瞬、何が起こったのか分からなかった。
彼女の指先がつついていたのは、なぜか彼女自身の左の乳首だったのだ。

「やっ、やだ。何やってるのかしら、私ったら………」
あわてて胸から指を離すリサ。戸惑いや恥じらいからやや取り乱したような表情。
大人びていて常に落ち着きのある振る舞いを見せるリサの、なかなか見られない表情を垣間見ることが出来た。

指で相手をつつくということに固執するわけではなく、
なんとなく行き場を無くしてしまった右手を、リサは元通り砂浜に下ろした。
そして、照れ隠しをするように空を見上げた。

(それにしても、どういうことなのかしら………?「おんなあそび」だなんて………)

                                                                (完)


421 名前:名無しさん 投稿日:06/04/16 17:15 ID:???
大作GJ!
次を書いてくれるのなら暴行系希望。

422 名前:名無しさん 投稿日:06/04/16 17:25 ID:???
リアルタイムで読んだよナイス!


423 名前:393 投稿日:06/04/16 20:08 ID:???
えらい長さになってしまいました・・・。

ちなみに、ソンミナの技(開三宝と同じ技)を喰らう(ような目に遭う)のが
ソンミナと中の人が同じかすみで、
アイヴィーの技(足首を絡め取って転ばす技、鞭状態でX+B)を喰らうのが
アイヴィーと中の人が同じレイファンであるのは、
ソウルエッジの呪いによるものです(うそ)

424 名前:名無しさん 投稿日:06/04/17 23:27 ID:???
満天の星が輝く夜のアリゾナの砂漠。
この辺り一帯は軍事施設が数多く存在するため侵入禁止区域に指定されている場所だ。
しかし、禁止などしなくてもこんな砂漠を訪れようという酔狂な人間などそうそういるはずもない。
あたりは一面の砂、砂、砂である。
そんな砂漠を歩く人影があった。
その人影は驚いたことに、水ひとつ持っていない、完全な手ぶらである。
しかも、その人影の正体はどう見てもハイスクールすら卒業していないような少女であった。

「フォクシーとダイアナ、早くフランスから帰ってこないかな・・・・・・」
砂を蹴りながらそう呟いた。
クーラ・ダイアモンドである。
「つまんない・・・・」

どうやら保護者2人がしばらく不在のために暇を持て余し、散歩に出てきたようである。
普通の人間ならば何の準備もなく砂漠を歩くなど自殺行為であるが、彼女にとってはアリゾナの砂漠など家の庭程度の感覚のようである。

と、14歳の少女が居ると言うだけでもありえない砂漠に、もう一つ奇妙なものがいつの間にやら用意されていた。

「・・・・・・・・・・・?」
いつからそこにあったのか、大きな鉄の箱がいつの間にかクーラの視界に入ってきたのだ。
興味を引かれ、箱の方へ向かって歩き出すクーラ。

近寄ってみるとその箱にはキャタピラが付いている。
どうやら車両のようである。
しかし、軍用車両か何かだとしたらいささか風変わりなものであった。
まず小さい。
せいぜい市販の小型車を更に一回り小さくした位の大きさしかない。
これでは大人の男が中で運転するのは難しい。
どこにもドアや入り口らしきものが見つからず、そもそも人が乗り込めるのかさえわからない。
さらにその車にはいたる所に様々な形状のアームの様なものが大量に取り付けられ、
一体何の用途でこんな車を使うのか全くわかりそうもない代物だった。

「あなたのお名前は?」
クーラが車を興味深そうに眺めていると、突然甲高い少女の声がした。
あたりをキョロキョロと見回すクーラ。
「あなたのお名前は?」
どうやら声は車の方から聞こえてくるようだ。
「私、クーラ・・・・。車の中に居るの・・・・?」

「そう!クーラ!いいお名前ね!私はヴァニラ!私の名前も悪くないでしょう?」

「バニラ?」

「そうじゃないの!下唇を噛むようにして「ヴァ」って発音するの!」

「ヴァニラ?」

「そう!よくできました!」

「ヴァニラは車の中に居るの?」
再度クーラが質問を発する。

「車じゃないわ!私はヴァニラよ!」

「え・・・・?」

車のキャタピラがキュルキュルと動いてゆっくりとクーラの方へ向かってくる。
取り付けられたアームがガチャガチャと意味も無く動く。

「私がヴァニラよ!よく見てね!」
クーラのすぐ目の前まで来て車の動きが止まった。

「これ、あ、じゃなくてあなたがヴァニラなの・・・・?」

「そう!全部ヴァニラよ!」
甲高い声がよりいっそう高くなる。


425 名前:名無しさん 投稿日:06/04/17 23:27 ID:???
「ねえ、クーラ!一つお願いがあるの!」
そういうとヴァニラは何本ものアームの中から、丁度人間の手と同じような形をしたものをクーラの方へ差し出した。

「・・・・・・・・・?」
よくわからないまま、つられておずおずと自分も手を差し出すクーラ。

「ヴァニラに痛みを教えて欲しいの!」
そういうとヴァニラのアームが唐突に動き、手を差し出していたクーラの小指へ伸びる。
そのまま凄まじい力でぐっと小指に重みをかける。
ポキンと乾いた小えだを折るような音をさせてクーラの小指が折れ曲がる。

「ううっ!?・・・・・っっ!?な、何を!?」

「ねえ、ヴァニラに痛みを教えて頂戴!」
ヴァニラのアームが今度はクーラの人差し指を握る。
「ねぇ、クーラの痛みを伝えて頂戴!」
そしてそのまま関節が動かない方向へ無理にねじり上げる。

ボギャッ!

「いっ!?あああああっ!!」
先ほどとは違う、鈍い音がしてクーラの人差し指がありえない曲がり方をした。

「やめてぇぇぇ!」
今まで茶色だったクーラの髪の毛が透き通った水色に変わる。
クーラが戦闘モードに入り、メタモルフォーゼを起こしたのだ。
クーラが捕まっていない方の手の平をヴァニラに突き出すと、その手に冷気が集中する。
周囲の水分を結晶化させダイアモンドダストを生み出す死の波動がヴァニラ目掛けて打ち出される。

ズズゥゥゥウウン!
ヴァニラの体が後ろへ吹き飛んだ。
しかし、すぐにアームを上手く使って体勢を立て直し、キャタピラをうならせながら突進してくる。

「そうよ!クーラ!もっと激しくして頂戴!めちゃくちゃにして頂戴イィィ!」
ヴァニラのアームの先に取り付けられたドリルや工作機械のようなものが激しく回転を始める。

「やっ!こないでっ!もう知らないから!!!」
クーラの周囲に先ほどよりも大きな力が集中する。
目に見えるほどに高まった力をクーラが解放する。
唸りをあげて大きな冷気の波動が地面から隆起し、ヴァニラの胴体を直撃した。
しかし、今度はヴァニラが全てアームを一斉に砂面に突きたて、衝撃で吹き飛ぶのを防ぐ。
その胴体には傷一つついていない。

「え・・・・!?」
己の最大出力に近い攻撃が何のダメージも与えられなかったことに戸惑うクーラ。

ヴァニラのアームがスライド移動し、ガチャリ、と何かとジョイントしたような音を立てる。
「・・・・・・・・ずるいわ!」
ヴァニラが呟くようにそう言った。

ズギュン!!!
その呟きが消えるか消えないかにアームがカタパルトの役割をはたしてヴァニラの車体を打ち出した。
まるで弾丸のようにヴァニラの四角い箱型の体が低空でクーラに襲い掛かる。

「げふっ!?」
避けきれずにヴァニラの鋼鉄の体当たりをまともに喰らってたまらず押しつぶされるクーラ。

「クーラはこんなに!こんなに!こんなに!痛みを感じることができるのに!」
地面に刺さっていたアームがワイヤーで巻き取られズルズルとヴァニラのボディーに回収されてゆく。

「どうしてヴァニラは全然痛くないの!」
ヴァニラが戻ってきたアームをむやみやたらにブンブン振り回す。
肩から下がヴァニラの下敷きになってしまったクーラが、口の端に血を滲ませながら苦悶の表情を浮かべる。
アームを振り回すヴァニラの体が揺れる度に、体当たりで折れた骨が圧迫され、クーラの額に油汗がにじむ。


426 名前:名無しさん 投稿日:06/04/17 23:28 ID:???
「ねえ、クーラ!ヴァニラはすごく痛みを知っているのよ!」
興奮気味だったヴァニラは多少落ち着いたのかアームを振り回すのをやめた。
その代わりにヴァニラの何本かあるアームドリルの中でも1番細長い、錐程度の太さのものが猛回転を始めた。
「ヴァニラは痛みを知らない!でも痛がるのはわかるの!」
キィィィィィィィィィンと唸るドリルがクーラの肩の方へ近づいてゆく。
「クーラの神経が集中している所!肩のここをドリルでえぐるとクーラはとっても痛がるの!」
ドリルの巻き起こす風でクーラの髪が揺れる。

「いや・・・・やめてぇっ!!ああああああ!?いやああああああああああああーーーーーーーーー!!!!!」

ズブリとドリルの先端がクーラの肩に潜り込む。
ドリルがえぐる傷口から大きいしぶきと小さいしぶき、2つの血の噴水が吹き上がる。
柔らかい肉を突き抜け、骨の硬い感触を掘り進むように回転し続けるドリルがズプズプとクーラの体にめり込んでいく。

「やあぁぁぁぁぁぁぁ!!やめて!!いやぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー!!」

「痛い?痛い?やっぱりヴァニラは痛みを知ってる!」
ドリルが更に深くクーラの体へ呑み込まれてゆく。

「やあああーーーーーーーー!!!!いやーーーーーーーーーー!!!!!」
クーラ悲鳴が激しさを増してゆく。
無理だとわかりながら、ヴァニラの車体を押しのけようと必死にクーラが体をよじる。
ドクドクと肩から流れ出る血が砂に吸い込まれていく。

「それからね!こうやって動かすとクーラはもっと痛みを感じるんだよ!」
ドリルの回転が緩やかになったかと思うと、今度は逆回転を始めた。

「ぁ゛!?ぁ゛!?ぁ゛!?ぁ゛!?」
痛みのあまりヴァニラの下でクーラの体がビクン、ビクンと跳ね回る。

回転が緩やかだった間は停滞していたドリルの進入が、再びクーラの骨を削りながら再開される。
「や、やめて!!!!!!!!バニラ!!!!!!やめて!!!!!!!」
クーラが必死に声を張り上げた。

「バニラじゃないの!下唇を噛むようにして!ヴァニラ!」
ヴァニラはクーラの願いなど無視して発音を正した。

「ヴ、ヴァニラ!!!ヴァニラ!!!やめて!!!!やめて!!!!!もう許して!!!!!!」
クーラが泣き叫ぶように繰り返した。

「そう!よくできました!」
ドリルの回転が止まり、肩から刃先が引き抜かれる。

「お、お願いヴァニラ、もうやめて・・・・・・。体をどかして・・・・・。」
クーラが顔を涙で汚しながら糸の切れた人形のように力なく懇願する。
「ええ!いいわよ、クーラ!ヴァニラも今そうしようと思っていたところなの!」

ヴァニラのキャタピラがゆっくり回り始め、クーラの折れた骨の上をゴリゴリと押し潰すように移動する。

「っっっ!?」
汗と涙でぐしゃぐしゃになった顔がまたしても苦痛にゆがむ。
肩から背中、胸にかけては血のりで服がべっとりと張り付いている。

「さあ!どいたわよ、クーラ!さっきは痛かった?」

「ハァ・・・ハァ・・・・ハァ・・・ハァ・・・・」
クーラは体こそ解放されたものの、ぐったりとしたまま動けないでいる。

「ああクーラ!クーラは返事もできないほど痛かったのね!そうやってヴァニラに痛がって見せてくれるクーラがヴァニラは大好きよ!」
またヴァニラが興奮したようにアームを振り回し始める。

「痛がるクーラはとても素敵よ!クーラの体はヴァニラが見たところ半分機械!だけども半分は人間だから痛いんだよね!クーラは人間で、生きているから痛いんだよね!」
ヴァニラは壊れたように何本ものアームを振り回し続ける。

しかし、次の瞬間アームの動きがピタリと一斉に停止する。

「その命憎らしい・・・」

全てを呪うようなその言葉だけが、まるで生身の人間が発した声のようにねっとりとした響きで発せられた。


427 名前:名無しさん 投稿日:06/04/17 23:29 ID:???
横たわっているクーラの体へヴァニラのアームが1本伸びる。
先端が巨大なペンチ状のアームがクーラの胴体を掴み、体を持ち上げる。

「嫌・・もうやめて・・・」
抵抗する力もなく、首を振って意思表示をするだけで精一杯のクーラ。

「・・・・・・・・」
無言のままアームのプレス圧を上げるヴァニラ。

「いやあああああ!!」
岩でも砕くような圧力にミシミシとクーラの胸の強化骨格が悲鳴を上げる。
しかし、ヴァニラはアームの出力を更に高くする。

「あああぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
途中でクーラの悲鳴が途絶えた。
もはや声を出すだけの空気が肺に残っていないのだ。
空気を求めて口がパクパクとむなしく動く。
心底欲する酸素が目の前一杯に充満しているにも関わらず、クーラは1ccたりとも吸い込むことができないのだ。

しかし、ヴァニラが求めるものは酸欠の苦しみではなく、あくまで痛みのようであった。
クーラのアバラを押し潰す圧力がさらに強くなる。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
クーラが目玉が飛び出しそうなほど大きく見開いた目で焦点の合わないまなざしをヴァニラに向けている。
完全に神経をやられた右手はピクリとも動かず、残った左手が弱々しく、空をかきむしる。

アームの出力が最大値に達した。

ボキン!
まず1本、先ほどの体当たりでヒビが入っていた部分が圧力に耐え切れず折れた。

ギシギシ・・・・・・・・・ミシッ・・・・・・・・・ボキン!・・・・・ミシッ・・・

ベキ!・・・・ギギギ・・・ミシッ・・・

体当りで折れた部分やヒビが入った箇所が次々へし折れていく。
体当たりを受けていない部分にも新しいヒビや亀裂が生じる。
アームが絞めるけるギリギリという音と、ヴァニラが発するウィィィィンという微かな音、そしてクーラの骨が砕け散る音だけがあたりを支配する。

ギシ・・・・・・・ボキャ!・・・・・・・ベキッ!・・・・・・ミシミシミシミシ・・・・
無慈悲な鋼鉄の手に捕まったクーラが白目を剥いて悶絶する。

「ゴボッ!?」
クーラの口から赤い血があふれ出る。
クーラの全身がブルブルと痙攣する。

アームがクーラの全てを奪ってしまう寸前にヴァニラが締め上げる圧力を緩めた。
クーラの体がドサリと地面に落ちる。

「ゲホッ!?ゴホ!?う・・・ゲボッ・・・・・・・・・・・ゲホ!?・・・・うう・・・・・・・・」
圧力から開放され、急に肺に流れ込む空気と、喉や肺に溜まった血がせり上がってくる勢いとにむせ返るクーラ。

「は・・・・ぁ・・・・・は・・・・ぁ・・・・・は・・・・ぁ・・・」
クーラが何とかか細い呼吸を取り戻す。


428 名前:最終ページ 投稿日:06/04/17 23:30 ID:???
「今のはとっても痛そうだったね!クーラ!」
今まで無言であったのが一転して饒舌を取り戻すヴァニラ。

「お・・・・・・ねが・・・・・・も・・・・やめ・・・・・」

「やっぱり!クーラはとっても素敵!痛そうなクーラがヴァニラは大好き!」
先ほどクーラの指を折った、手の形をしたアームが2本倒れたままのクーラに伸びる。

「激しく!やさしく!愛してあげる!痛みをあげる!クーラが大好き!」
2本のアームが両足首を持ってクーラをぶら下げるように持ち上げる。
そしてそのまま勢いよくクーラの体を地面に叩きつける。

ドン!!!
受身も何も無く背中から砂の上に叩きつけられたクーラの体がバウンドする。
ドン!!!
また叩きつけられる
ドン!!!
また叩きつけられる
ドン!!!
また叩きつけられる
ドン!!!
ヴァニラは飽きることを知らないようにクーラを砂に叩きつける。
そして10回も叩きつけた後であろうか、ヴァニラがクーラを叩きつけるのを中断した。
そしてアームが2本更に伸びてきて足首だけでなく腰の辺りにも2本の手が添えられた。

ガチャリ!
クーラを掲げた4本のアームの関節部分で、先ほどヴァニラが自らを打ち出したときと同じジョイント音がした。
ズギュン!
カタパルトで打ち出されたのはヴァニラではなく、クーラの方だ。
クーラの体が地面めがけてまっすぐに打ち込まれる。

ズシンン!!!!!!!
地響きを立ててクーラが頭から地面に激突する。
頭が砂の中に完全にうまって、大の字になった体が地面から生えているような体勢で、クーラの体がピクピクと痙攣する。

4本のアームがクーラの足を持って地面からクーラを引っこ抜く。
バンザイの格好で逆さに吊り下げられるクーラ。
引きずり出されたクーラの髪の毛の色が変化していた。
肢体とともにダラリと伸びた髪の毛は透き通るような水色ではなく、普通の茶色になってしまっている。
最早メタモルフォーゼを維持することもかなわないようだ。


「鏡があったら見せてあげたい!今のあなたはとっても素敵よ!クーラ!」
そう言いながらクーラをぶら下げるヴァニラの姿はまるで蝶の羽をむしり取ろうとする子供のようであった。

「やっぱりこれが一番痛いね!クーラ!」
そう言うとクーラを逆さ吊りにしたまま再度ドリルを回転させるヴァニラ。

「・・・・・・・ぁ・・・・・・・・・・は・・・・・・・・・ぁ・・・・・・」
クーラのうつろな目からはもはや何の感情も読み取ることはできない。

キュイィィイィィィィィンとドリルが再びクーラに近づいていく。

「ここも神経が集まっているとても痛い場所なんだよ!」
スブッ!
ドリルの先端がクーラの太ももに喰らいつく。
すでに心臓の鼓動自体が弱ってしまったためか、細い血の筋が吹き出しただけで先ほどのような激しい出血は起きない。
まるでクーラそのものであるかのような弱々しい返り血が、ヴァニラを真っ赤に染める。
ジュルジュルジュル!
肉を咀嚼するように太ももにめり込んでゆくドリル。
悲鳴を上げる力もないクーラの体が、神経を食い荒らされて一瞬ピーンとのけぞった。
ゴリッ、ガガガ、ゴリゴリゴリゴリ!!
ドリルが骨を砕き、削る音が激しく響き渡る。
ビクン、ビクンとクーラの体がはねる。
その顔は急速に死人のそれに近づいていった。

「あら!大変!このままじゃクーラが死んでしまう!」
ここまでやった張本人が唐突にそう言い出した。

「大丈夫よ!安心して!すぐにあなたの居た研究所まで送ってあげるわ!」

「強心剤もモルヒネも打ってあげるから大丈夫!絶対助かるわよ!死んじゃダメ!」
朱に染まったヴァニラはクーラへ救命のために注射を施しながら最後にこう言った。


「だって死んだらもう痛がれないじゃない!」


429 名前:最終ページ 投稿日:06/04/17 23:30 ID:???
「今のはとっても痛そうだったね!クーラ!」
今まで無言であったのが一転して饒舌を取り戻すヴァニラ。

「お・・・・・・ねが・・・・・・も・・・・やめ・・・・・」

「やっぱり!クーラはとっても素敵!痛そうなクーラがヴァニラは大好き!」
先ほどクーラの指を折った、手の形をしたアームが2本倒れたままのクーラに伸びる。

「激しく!やさしく!愛してあげる!痛みをあげる!クーラが大好き!」
2本のアームが両足首を持ってクーラをぶら下げるように持ち上げる。
そしてそのまま勢いよくクーラの体を地面に叩きつける。

ドン!!!
受身も何も無く背中から砂の上に叩きつけられたクーラの体がバウンドする。
ドン!!!
また叩きつけられる
ドン!!!
また叩きつけられる
ドン!!!
また叩きつけられる
ドン!!!
ヴァニラは飽きることを知らないようにクーラを砂に叩きつける。
そして10回も叩きつけた後であろうか、ヴァニラがクーラを叩きつけるのを中断した。
そしてアームが2本更に伸びてきて足首だけでなく腰の辺りにも2本の手が添えられた。

ガチャリ!
クーラを掲げた4本のアームの関節部分で、先ほどヴァニラが自らを打ち出したときと同じジョイント音がした。
ズギュン!
カタパルトで打ち出されたのはヴァニラではなく、クーラの方だ。
クーラの体が地面めがけてまっすぐに打ち込まれる。

ズシンン!!!!!!!
地響きを立ててクーラが頭から地面に激突する。
頭が砂の中に完全にうまって、大の字になった体が地面から生えているような体勢で、クーラの体がピクピクと痙攣する。

4本のアームがクーラの足を持って地面からクーラを引っこ抜く。
バンザイの格好で逆さに吊り下げられるクーラ。
引きずり出されたクーラの髪の毛の色が変化していた。
肢体とともにダラリと伸びた髪の毛は透き通るような水色ではなく、普通の茶色になってしまっている。
最早メタモルフォーゼを維持することもかなわないようだ。


「鏡があったら見せてあげたい!今のあなたはとっても素敵よ!クーラ!」
そう言いながらクーラをぶら下げるヴァニラの姿はまるで蝶の羽をむしり取ろうとする子供のようであった。

「やっぱりこれが一番痛いね!クーラ!」
そう言うとクーラを逆さ吊りにしたまま再度ドリルを回転させるヴァニラ。

「・・・・・・・ぁ・・・・・・・・・・は・・・・・・・・・ぁ・・・・・・」
クーラのうつろな目からはもはや何の感情も読み取ることはできない。

キュイィィイィィィィィンとドリルが再びクーラに近づいていく。

「ここも神経が集まっているとても痛い場所なんだよ!」
スブッ!
ドリルの先端がクーラの太ももに喰らいつく。
すでに心臓の鼓動自体が弱ってしまったためか、細い血の筋が吹き出しただけで先ほどのような激しい出血は起きない。
まるでクーラそのものであるかのような弱々しい返り血が、ヴァニラを真っ赤に染める。
ジュルジュルジュル!
肉を咀嚼するように太ももにめり込んでゆくドリル。
悲鳴を上げる力もないクーラの体が、神経を食い荒らされて一瞬ピーンとのけぞった。
ゴリッ、ガガガ、ゴリゴリゴリゴリ!!
ドリルが骨を砕き、削る音が激しく響き渡る。
ビクン、ビクンとクーラの体がはねる。
その顔は急速に死人のそれに近づいていった。

「あら!大変!このままじゃクーラが死んでしまう!」
ここまでやった張本人が唐突にそう言い出した。

「大丈夫よ!安心して!すぐにあなたの居た研究所まで送ってあげるわ!」

「強心剤もモルヒネも打ってあげるから大丈夫!絶対助かるわよ!死んじゃダメ!」
朱に染まったヴァニラはクーラへ救命のために注射を施しながら最後にこう言った。


「だって死んだらもう痛がれないじゃない!」


430 名前:名無しさん 投稿日:06/04/17 23:33 ID:???
1本投下しました・・・って最終ページダブってるorz

431 名前:名無しさん 投稿日:06/04/17 23:41 ID:???
GJ!
(*゜∀゜)=3

432 名前:名無しさん 投稿日:06/04/19 03:00 ID:???
>>394-420
大作でも凄い丁寧で読みやすかった!ビーチバレーだから、アタック連発とかで
いじめられるのかと思ったら意外な展開w
にしても、アイヴィーとレイファンって同じ声優がやってたのか・・・。

>>424-429
おお・・・クーラが鬼畜に嬲られている・・・w
戦闘態勢が強性解除されるのって萌えだなー。

俺もローゼンで一本書いてみました。
一応ネタバレ注意?分からない人に簡単な人物紹介も。

433 名前:人物紹介 投稿日:06/04/19 03:01 ID:???
<梅岡>
ローゼンメイデンの主人公、桜田ジュンの担任教師。
ジュンが文化祭のプリンセスの衣装のデザインをノートに落書きしたまま
誤って提出すると、それを全校朝礼の時に晒す。
そのショックでジュンは登校拒否に。ジュンがようやく学校に行ける
気力を取り戻した頃、クラスメイトからの寄せ書きと応援の手紙を
持って家庭訪問に行く。ジュンはその上辺の言葉に深く傷つき、
昏睡状態に陥ってしまう。

<翠星石>
意思を持った人形、ローゼンメイデンのうちの一体。
色々あって、ジュンと契約を結んでいる。

434 名前:名無しさん 投稿日:06/04/19 03:02 ID:???
『や、おはよう。』
僕――いや、ここではもう「良い教師」面をする事も必要無いだろう。
――俺は目を醒ました人形ににこやかに話し掛けた。


それは数日前、家庭訪問の名目で桜田の家に行った時の事だった。
帰る時、ちらと視界の端に動く人形が見えたのだ。
初めは錯覚だと思ったんだが、どうしても桜田の様子が知りたくて
取り付けた盗聴器はそうではない事を教えてくれた。

―――あの人形は、苦痛に対してどういう反応を見せるのだろう。

その疑問は、俺の中で耐え難いほど大きくなっていった。
場合によっては空き巣をする事も辞さないと考えていたのだが・・・。
盗聴を続けるうち、その人形の内の一体が、定期的に高台にある屋敷
――通称「薔薇屋敷」と呼ばれている屋敷だ――に訪れていることを知った。
そこへの帰りを待ち伏せ、クロロホルムを嗅がせて連れ去ったという訳だ。
クロロホルムは発ガン性があるらしく、あまり人間に対して使いたくは
なかったが、まさか人形にガン細胞など発生しないだろう。
唯一の懸念は人形にクロロホルムが効くのかということだったが・・・
こればかりは実際に試してみるよりなかった。
まあ結果オーライと言った所か。
人形の持っていた鞄に人形自身も詰め込んで家へと帰ったが、
怪しむ人は誰もいなかったようだ。
やはり日頃の信用というのは築いておくべきだな。

435 名前:名無しさん 投稿日:06/04/19 03:03 ID:???


「ひっ…にんげ…だ、誰です…?」
人形は俺を恐れているかのように後ずさりながら言った。
この人形――特徴から見て確か翠星石と呼ばれている人形か――は
他の人形から人見知りだと評されているのを耳にしたが、体に嵌められ
ベッドの足に繋がれた犬の首輪に気が付いたなら、例え人見知りな性格で
なかったとしても怯えるのはまあ仕方の無い事だろう。

『あれ、君たちの家には一度お邪魔したんだけど・・覚えてないかな?』
あくまで「良い教師」の顔は崩さずに問い掛ける。
「お、思い出したですぅ!お前は・・」
人形にしては察しがいいようだ。
『そう、僕は桜田の担任の梅岡だよ。よろしく。』
そう言って握手を求めるが、人形は俺の手を振り払った。
「ふざけるのもいい加減にするです!!お前が家に来てから
ジュンは苦しそうに眠りつづけて・・・。」

俺は小躍りしたくなった。
あの時見た表情からはかなりの精神的ダメージが感じられたが、まさか
昏睡状態に陥るほど酷かったとは・・。流石にあれだけたくさんの生徒の
筆跡を真似、思考パターンまでシミュレートし応援の手紙と寄せ書きを
偽造するのは骨が折れ、デス×ートのジュ×ンニでもない普通の人間である
俺では1ヶ月もかかってしまったが、その苦労が報われた思いだ。
どうしても、笑いを抑えることが出来ない。

『くっくっ、ああいう落ち込んでる奴ってのは、空虚な言葉を
ぶつけてやれば更にへこむものだからねぇ・・・はっはっは。』
怒り心頭に達したらしい人形は、何も無い所から麺棒を取り出すと、それを
俺に向けた。まぁ、人形が喋る位だ。それ位ではもはや驚かないが。
「お前のような悪党はこの翠星石がぶっ飛ばしてやるです!!」



436 名前:名無しさん 投稿日:06/04/19 03:03 ID:???
人形は俺に飛び掛ると、麺棒でめちゃくちゃに殴りかかってきた。
しかし、殆ど撫でるような痛みしか感じない。
勢い良く殴りにくるのだが、当たる一歩手前で躊躇しているように見える。

なるほど。
この人形が暴言を連発しているのに、他の人形から「優しい」と
言われている理由が分かった。俺のような明らかな敵でさえも、
本当に傷つけしまう事は怖いのだ。
そして、そのような優しい性格というのは、嬲られ役としては最適だ。
今夜は、楽しい夜になりそうだ。

『ほら、そんな握り方じゃ、全然効かないぞ?』
俺は麺棒を人形の指ごと握り、ぐっと力を込めた。
親指の腹を使い、人形の一指し指を押し潰し様に握る。

「きゃあぁぁ!!い、痛いですぅ!!指が折れるですぅ!!」

せいぜい普通の大人の半分位しかない大きさの手は、極めて握りやすい。
俺は暫く指のごりごりした感触を楽しんでから放した。
指を放すと、人形は人差し指にしきりに息を吹きかけていた。
『ははっ。馬鹿だなぁ。それぐらいで折れる訳ないだろ?
そうだ、翠星石ちゃん・・・でいいんだよな。今流行りのアレ言ってよ。
「折れてないですよ。翠星石の指折ったら大したモンですよ」だっけ?』
「死んでも断るですぅ!!」


437 名前:名無しさん 投稿日:06/04/19 03:04 ID:???
俺は人形がさすっている人差し指を掴むと、そのまま壁に投げつけた。
―――つもりだった。
人形の体は壁に激突する前に落下してしまった。
どうやら首輪の紐が短すぎたらしい。だが、落下する前に「ぐぇっ」という
呻き声が聞こえた所からすると、首輪で胴が締まったらしい。
予定とは違うが、苦痛を与える事には成功したようだ。

『さ、言ってごらん?』
「ぐ・・・げほっ・・・覚えてるがいいです・・・
折れて・・ないです・・・。ゲホッゲホッ!!翠星石の・・・指折ったら・・・
ぅぅ・・・大したもん、ですぅ・・・。」
『ははは、「死んでも断る」んじゃなかったのか?
ま、上出来といった所か。それじゃ次は続けて行ってみるか。』

人形の表情が明らかに強ばり、喉から「ひっ」という声が漏れた。
構わずに引き寄せると、麺棒を握らせさっきとは比べ物にならないくらい
強く力を込める。今度は手の甲に照準を定めると、そこを親指で
磨り潰すようにして押さえつける。

「っきゃああああああああ!!!ゆ、ゆび・・あああぁあぁぁあ!!!」

親指を使って締め付けているほうの手のうち、4本の指は反り返っているが
人差し指だけはしなだれたようになって動かない。
さっきはああ言わせたが、締め付けた時か振り回した時にでも
折れてしまったのかもしれない。

しかし、うるさい。
今すぐに握るのを止め耳を塞ぎたいぐらいだが、逆に親指に全力を
込める。ベギッ、と鈍い音がし、悲鳴が一瞬甲高くなった後、途切れた。
その後暫くして放し、手の甲を見ると僅かに亀裂が入っていた。
『さあ、何て言うんだっけ?』
「ぐすっ・・・折れてないですぅ・・・ひっく・・すいせ・・・ひっく・・
きの・・指折ったら・・・ひっく・・大したモンですぅ・・・」


438 名前:名無しさん 投稿日:06/04/19 03:06 ID:???
これは驚いた。
この人形、左右の色違いの瞳から涙を流している。
しかも嗚咽まで・・・涙腺や横隔膜まで供えているとは、なんと
嬲り甲斐のある人形なんだ!俺はこの人形の事がもっと知りたくなった。


まるで小さな子供の様に、嗚咽しながら泣く人形に再び声を掛けた。
『そろそろお腹が空いただろ?飯にしようか。』
人形は小さな声で何か言い返したようだが、無視して台所へ。
冷蔵庫に保存しておいた「特製」のホットケーキをレンジで温めると、
再び人形の待つ自室へと戻る。

『さ、遠慮しないで食べていいぞ。』
ちゃぶ台を用意し、人形が座ったまま食事が摂れるようにしてやる。
「お前の用意した食べ物なんて食えるかですぅ・・!」
人形は怒りに満ちた目でこちらを睨んでいる。
実験と言う意味でも、これを食べてもらわないと困るのだが。

そこで俺は台所へと向かうと、唐辛子粉を持って戻って来た。
それを指に塗りつけると、人形のオッドアイのうち、青色の方を狙い
突き出した。両手で庇ったり、瞼を閉じるなどの抵抗を見せていたが
力の差は歴然である。成す術もなく唐辛子粉が眼に入った。

「嫌ぁああぁぁあああああ!!!」
人形は大声で叫びながら床を転げまわっている。
全く・・・この部屋は一応防音を施してあるが、近所に聞こえたら
どうするつもりなんだ。俺は転げまわる人形によく狙いを定めると、
苛立ちを込め、勢いよく踏みつけた。


439 名前:名無しさん 投稿日:06/04/19 03:07 ID:???
「ふぎゅ!?」
そのまま足で固定するが、いやいやをするように激しく首を振っている。
そこで顎を左手で押さえつけ、動きを完全に封じてから瞼をこじ開ける。
――――クソッ!!
青い眼に唐辛子を塗って充血させれば、紫になると思ったのに・・・!
白目は充血しているが、青い部分に特に変化は見られない。
まあいい。早くホットケーキを食べさせてしまおう。

『どうだ?ホットケーキ、食べるか・・・?』
「食べるです食べるです!だから早く眼を・・・!」
『ホラ。』俺は人形に濡れタオルを差し出してやった。
タオルで眼を拭いながらも、人形は低い声で毒づいていた。
「・・・食べてやるだけ、ありがたいと思うですぅ。」

ホットケーキを一切れ口に入れると、人形は眉根に皺を寄せた。
――――思い通り!!
この人形達がローゼンメイデンという、ドイツ語と思しき名で
呼ばれているのを思い出し、外国人は一般的に苦手といわれている
納豆のエキスを仕込んでおいたのだが、正解だったようだ。
他にも、セロリやピーマンなど、給食で残される率の高い食物のエキスも
たっぷりと注入してある。
こういう時、教師をやっていて良かったとつくづく思う。


440 名前:名無しさん 投稿日:06/04/19 03:08 ID:???
「うぇぇ・・・まず・・・。
こんな不味い物は今まで食べた事がないですぅ・・・。」
さっき試しに味見し、美味しいと思った俺の味覚はおかしいのだろうか。
人形は3切れも食べないうちに皿を突き返してきた。
「ぺっぺっ!!こんな不味い物、食えるかですぅ!!」

当然と言えば当然の反応なのだが、俺は猛烈に頭に来ていた。
俺が折角作った料理を残すなんて・・・。
これだけで残されてはたまったものではない。何の為に作ったと思ってるんだ。
『あ―――――――!?』
俺は人形の頭を掴んで凄むと、ポケットの中に入っていた錐を
ドレスに隠された太股の部分を狙い、突き立てた。
この時感じた、柔らかいような固いような感触は当分忘れられそうにない。
「ギャアアアアア・・むぐっ!?」
悲鳴は途中で遮られた。
またあのうるさい声を上げられてはたまったものではない。
俺は人形の口を塞ぐと、低い声で脅しつけた。
『いいから早く食え。マジで殺すぞ・・・?』

人形は傷口を押さえ、暫く震えながらうずくまっていたが、やがて
フォークを掴み、黙々とホットケーキを食べ始めた。
片手が使えなくて食べにくそうだし、傷口が痛むからか、ホットケーキが
不味いからか(いや、両方か)嗚咽しているせいで飲み込むときに
戻しそうになってしまっている。
全部食べ終わるまでに30分もかかってしまった。
クソ、時間がもったいない。


441 名前:名無しさん 投稿日:06/04/19 03:09 ID:???
「全部・・・うっぷ、食べたですぅ・・・」
人形の顔色はさっきよりも青い・・・ように見える、気がする。
いや、表情が苦しそうだからそう見えるのかもしれない。
『よし、腹もいっぱいになったし、テレビでも見るか。』
俺はそういうと、録画しておいた「探偵犬 くんくん」のビデオテープを
デッキに入れた。盗聴器の情報からすると、人形達はこれが好きなはずだ。

しかし、人形はこちらを強く警戒している様で、画面を見ようとしない。
画面の中では愛らしいマスコットたちが愛憎劇を繰り広げているが、
部屋には妙な緊張感が漂っていた。まあいい。しばらく見て待つとしよう。
それにしても、この番組・・・子供向けの人形劇にしては、やけに
完成度が高い。20分ぐらいで切り上げるつもりだったのだが、
解決シーンが気になってしまい、結局30分画面の前を離れられなかった。

そろそろ頃合か。
俺は出し抜けに人形の腕を引っつかむと、みぞおちの少し上
・・・胃の辺りを狙い、力を込めて何度も殴りつけた。

「うぇっ!!げふっ!!や、やめ゛っ!!ごぼっ!!」
手を放すと、人形は仰向けになって倒れ、げーげーと嘔吐し始めた。
―――やはりか。
吐瀉物を見ると、さっきのホットケーキの残骸が確認できたが、
胃液などは全く見受けられない。ただ、食べ物をミキサーに入れて
粉々にしたような感じである。おそらく、摂取した食べ物は
魔法の力かなにかで直接エネルギーに変わる仕組みになっているのだろう。
ふむ、面白い。次はどれだけの内容量があるのか調べてみよう。


442 名前:名無しさん 投稿日:06/04/19 03:10 ID:???
人形は泣いている表情を隠すようにしてベッドに顔を押し付け、
細かく震えていた。俺は首輪をベッドの足から外すと、そのまま
抱きかかえて風呂場へと向かった。

「何をするつもりです・・・?」
人形は腹をさすりながら、不安そうな表情で聞いた。
浴槽に目一杯溜められた水と、自分の今の状況。
これだけ揃っていれば、不安になるのも当然であろう。
事実、おそらく人形が想像している通りの事をこれから行うのだ。

俺は人形を逆さ吊りにすると、上半身のみを水に沈めた。
そのままゆっくり30を数えてから、再び腹をめがけパンチを繰り出す。
一発、二発、三発、四発。
最初の何発かは人形も手足をばたばたさせ抵抗を示していたが、
やがて動かなくなる。何度か殴るうちにさっき食べたホットケーキの
残骸が浮かび、気泡も上がらなくなってきた。胃の辺りを触診し、
水で膨らんでいる事を確認すると、俺は人形を水から引き上げた。
そのまま用意しておいたビーカーへと、顔を向けさせる。

「・・・・ぅぅ・・・ぇ・・・」
あれだけ大量の水を飲んだのだから、すぐに吐くのかと思いきや
弱々しく呻くだけであった。もはや吐く体力も無いのかもしれない。
これではいけないと、首をビーカーの淵に、強く押し付ける。


443 名前:名無しさん 投稿日:06/04/19 03:11 ID:???
「う・・・うえっ!!・・えぇ・・・けほっ・・」
人形が呻くと、その口からはちょろちょろと水が溢れ始めた。
触った感触からして、この人形の中にはもっと沢山の水が入っているはずだが・・
これでは埒が開かない。
俺は人形の胸の辺りを掴むと、胃に当たる部分を強く締め付けた。

「がぼっ!?グ・・・グボッ!!ごぼっ!・・うぇぇ・・・」
これで大体水は吐き出させただろう。
ビーカーには、500cc程の水が溜まっている。
ふーむ、案外少ないな。
まあ計り方もいい加減だし、本当はもっと入るのかもしれないな。

足元では、力尽きたように人形が横たわっている。
「ぅ・・・そう・・・せ・・き・・・・・し・・・く・・・
じゅ・・・た・・すけ・・・」
俺は人形を蹴っ飛ばすと、派手な音を立てて洗濯機に激突した。
しかし、ぐったりとした人形は悲鳴一つ上げる事はなかった。
まるで文字通りの「人形」になってしまったかのようである。

その時、人形から輝く宝石のような物が浮かび上がった。
どことなく、神秘的な感じを与える石だ。
反射的に掴むと、生命の煌きのようなものが体に溢れてくる。
これが出現してから人形が動かなくなった事を考えると、
これは人形の魂とでもいうべきものではないだろうか。

444 名前:名無しさん 投稿日:06/04/19 03:12 ID:???
俺はそう考え、石を人形の上へと戻した。
すると、石は人形の中へ吸い込まれるように消えていった。
「・・・・・ぅ・・・ぁ・・こほっ・・・・・」
どうやら俺の推測は正しかったらしい。
人形は力無くとはいえ、再び動き出したようだ。
俺は安心した。
一度生徒同士を対立させ、殺し合いまで発展させてみたいと思うのだが
自分で手を下し命を奪うのはどうにも抵抗がある。
それは人形にしても同じ事だ。

俺は人形に言った。『そろそろ帰りたいか?』
人形は相変わらずの全く力の無い動作で頷いている。
俺は人形が持っていた鞄を渡した。
『どうだ、歩けるか?もう少しここで休んでも良いんだぞ?』
人形の表情に怯えが走る。首を振ると、鞄を支えにしてなんとか
立ち上がり、よたよたと部屋を出て行った。

これでいい。
ぐったりとした相手を責めても面白くない。
それに・・・・やはり人間が苦しむ所を見たい。
次は・・中西の高慢な面が情けなく歪む所を眺めてやるのも
面白いかもしれない。いや、柏葉の取り澄ました顔が苦痛に
染まっていくのも捨てがたいな。

待てよ・・・桑田由奈。あのプリンセスの少女だ。
確か桜田が登校しなくなった後、暫くの間沈んだ表情をしていたな・・・。
自分に責任はないというのに、心配していたのだろうか。
ルックスも中学生にしてはそこそこだし、実に嬲り甲斐がありそうだ・・・。
俺の頭は、次なる計画を練るために回転し始めた。



445 名前:名無しさん 投稿日:06/04/19 03:13 ID:???
翠星石が桜田邸に着いた時、時刻は既に午前2時を回っていた。
「ジュン・・・ジュン・・・起きるです・・・・」
「・・うるさいな・・・まだ2時・・・どうしたんだ?」
ジュンは翠星石の疲弊した表情を見て目を丸くした。良く見ると、
左手にはヒビらしき物が入っているし、僅かに足も引きずっているようだ。

「こないだ来た人間に、翠星石は殺されかけたです・・・。
ジュン、絶対にあの人間に近付いてはいけないです!!」
「あの人間って・・・梅岡か?分かった、明日学校へ行って来る。」
翠星石は狼狽した。
あんな奴と引き合わせたら、ジュンがどんな目に合わされるか分からない。
「ジュン・・・学校に行くですか・・・?駄目です駄目です!
どうしてもって言うなら・・・この翠星石を倒してから行くがいいです!!」
軽口を叩いてはいるが、目には涙が一杯に溜まっている。
ジュンは軽く溜息をついた。
「・・・・分かったよ。明日は行かない。
それより、怪我してるみたいだが、大丈夫か?」
「薔薇乙女は、指輪を媒介としてマスターから力をもらうです・・・
だから・・・」

そう言うと、翠星石はジュンの寝るベッドに潜り込み、背中に手を回した。
「・・・・朝まで、こうしていて欲しいですぅ・・。」
「・・・分かったよ。仕方ないな、今日だけだぞ。」
言葉とは裏腹に、抱き返してきたその腕からは優しい感情が流れ込んでくる。
そうしている内に、体の震えも、痛みも収まってきた。
いつもの鞄の中での無機質な睡眠とは違う暖かな眠りが、いつしか翠星石を包んでいった―――――。

446 名前:名無しさん 投稿日:06/04/19 03:17 ID:???
終わりです。
梅岡がローザミスティカでパワーアップするアイディアも
あったけど、展開が思い浮かばなかったのでこの終わり方に。

447 名前:名無しさん 投稿日:06/04/19 17:17 ID:???
>>446
やられてる側を書くのが上手い!
ガクブルする小動物って感じがすごくいい!

そしてたまたま俺が書いてたネタと内容が同じでびっくりしたw
刺激物で失明しない程度の目潰し→嫌がるものを無理やり食べさせるパターンw

自分は猫舌なのに熱いものを無理にって感じで書いたけど、単純に美味しくない方が後で吐かせる
パターンができてよさげだね。勉強させてもらいました。

次も期待してます〜!

448 名前:446 投稿日:06/04/19 18:50 ID:???
>>447
ありがとう・・・ぶっちゃけ自分がリョナる為に書いたんで
そんな風に褒めて貰えると本当に嬉しいよ・・。
嫌いなもの食べさせるのは確かこの板のどこかで見たネタの
流用だけど、その責めを聞いた時は目から鱗だった。

447さんの今書いてるのも期待しながら待ってます。
責めの内容見るとすげぇ俺と嗜好が被ってそうなんで楽しみだw

449 名前:ロールちゃんの日記の続きだ 投稿日:06/04/19 20:10 ID:mMVsi5nE
ロック…ロック・ヴォルナッド…
私は彼を忘れない。忘れる事等できない。

彼が最後に読んだ私の日記は、もう燃えてしまった。
だから、私はこうやって、読む者の送る相手のいない手紙を書き綴る事にする。
もう、迷わない。

ロックは日記を読み終えると、あの言い様のない現実感の無い笑顔を震える私に浴びせ
右手の巨大なドリルを弄るように回転させながら、私に近づいてきた。
あんな物に解体されたらどんな気分か、想像するのも恐ろしい。
まして、当時の私はその場で腰を抜かし、だらしなく小水を漏らして泣き、懇願した。
「やめて、ロック、そんな事…そんな恐ろしい事」
でも無駄だった。彼はもう、昔の彼ではない。
私は目の前に迫るドリルを見つめ、ただ震えている事しかできず、あの時彼女が現れなかったなら、今これを綴る私は居なかっただろう。
甲高い銃声と共にドアのノブが弾け、それを蹴破って現れた少女に、私は見覚えがあった。
空賊ボーン一家の長女、トロン。幾度もロックの前に現れ、彼と戦うもその想いを遂げられなかった娘。
今だから私にも分かるが、彼女はきっとロックの事を…やめよう。そんな事を追求しても、彼女は喜ばない。
トロンは、身に合わぬ大きな銃(対リーバード用に自作したらしい)を構えると、キョトンとしているロックに向け、強烈な連射を加えた。
ロックの体は弾丸を受ける度仰け反り、真っ黒な装甲は凸凹になり、遂に壁に叩きつけられると、ようやく弾倉の空になった銃は、火を噴くのを止めた。
あの時のトロンの目…今まであの娘が、ロックに対してあんな目をした事なんてない。
悲しいのだろうか、では何故涙も流さないのか…あれは、一種諦めの目だった。
熱い薬きょうが床に散乱し、濃厚な硝煙の熱気で咽る私を見つけた彼女は、まるで怒ったように私の腕を掴んだ。
「立ちなさいよ!」
トロンの様子から、どうやらアレだけの弾丸を撃ち込んだにも関わらず、ロックはまだ生きていて、恐らくは私たちを襲う心算なのだろう事は、簡単に察する事ができた。
それ以前の私ならば、まず真っ先にロックの身を案じていただろうが、もはやそんな考えは、頭から消し飛んでしまっていた。
何故なら、腕を痛いほどに引かれ、何度も躓き、泣きじゃくりながら走る私の後ろで、あのロックの声が、こう、叫んでいたからだ。
「死に損ないのデコイめ!逃がさないぞ!絶対に逃がすもんか!」
もはや私は恐怖の虜だった…



450 名前:ロールちゃんの日記の続きだ 投稿日:06/04/19 20:14 ID:mMVsi5nE
フラッター号はどこかの陸地に難着陸したのか、あちこち破損していて起動不能なのは目に見えていたが
それより私を絶望させたのは、三日ぶりに見る外の光景だ。
何とも、信じがたい光景。
まるで巨大な建築物が地面に突き刺さったような…そう、私はそれを見たことがある。
カトルオックス島での異変で、空を覆うように中に浮いていた巨大な物体だった。
それが、幾つも幾つも、空から陸地に突き刺さり、付近の人口密集地がある辺りからは皆、黒い煙が立ち昇っていた。
そして、フラッター号以外にも、あちこちには墜落した飛行艇が、民間の物から戦闘用の物までゴロゴロと
どこからともなく、肉の焼けるような匂いと、鉄の焦げる苦い匂い。
まるで…世界全部が戦場になったような…
そして、それがまるっきりその通りである事は、トロンの口から聞かされる事となった。
彼女は私の表情を見て、私が知りたい事全てを、私の言葉も待たずに語りだした。
「二日前突然よ、そらからあの巨大な塔が降下してきた。ここだけじゃなく、他のどの島々にも、人間達が何か対策を練るまもなく
塔からは強力なリーバード達が溢れ出し、手近な村や街を襲った。
それにあわせた様に、地下に眠っていた遺跡も一斉に動き出し、そこからもリーバード達が…
私達は何とか逃げ延びて逃げ延びて…行くあても無く、破壊され殺戮された町々を巡った。どこも酷い有様…
そして、生き残った僅かな人間達の証言を繋いで行くと、リーバード達の中に混じって、まるで指揮でもするように効率的に街を襲う、アイツの姿が浮び上がったのよ!」
彼女の言うアイツとは、紛う事無く、ロックの事だった。
「う…そ…そんなの嘘!」
信じられるわけが無い。
だってあのロックが…でも、トロンは私に反論を許さなかった。
私の襟を掴むと、本当に悔しそうに顔を歪めながら、私の頬を平手打ちした。
泣きながら、べそをかきながら…
「自分のなり見てから言いなさい!何されたの!え!?アイツにやられたんでしょ!それを今更かわいこぶって…
あんたなんか嫌いよ…あんたみたいなカマトト…アイツは、私がやっつけるんだから…兄さんとボンの敵は、あんたなんかにやらないんだから…」

ボーン一家の最後の生き残り。
ついこないだまで敵だった彼女と私が、共に愛していたはずのロックを…
こんな悲劇ってあるだろうか。


前書いたのが不評だったようなんで、ムキになってまた書いてみる。
次回作こんな感じだったらええな。
続きその内また書くんでよろしく。

451 名前:名無しさん 投稿日:06/04/20 12:55 ID:???
文章は上手いと思うし、短くまとまってていいと思うんだけど、
自分がロックマンはほとんど知識が無いせいかもしれないけど、
前書いたやつと今回のと併せて読んでもイマイチ伝わってこない・・・

恐怖でガクブル系書くなら、前振りとして見せてはいけない日記が見つかってしまった辺りから書いたほうがいいんではないかな?

読む→こっちをチラッと睨む→ビクビク→また読む→睨む→ビクビク

みたいな感じで煽っておいて、読み終わる→お前やってくれたな→ドリルが回転する→チビル

の方がいきなりドリル突きつけられるよりも読み手に怖さが伝わると思う。

なんか偉そうなこと言ってごめんよ。
文章自体はほんと上手いと思うから次のも書いて欲しい。

なんしか乙〜



452 名前:449 投稿日:06/04/20 23:13 ID:???
>>451
感想感謝
なるほど、続き書く時はもっと、話の構図気をつけてみる
ロックマンDASH、ロールちゃんまじおすすめ

453 名前:ロールちゃんの日記の続きだ 投稿日:06/04/22 18:22 ID:???
 「トロン様〜、動体反応が三つ!リーバード二体高速接近。青い人…じゃなかった、黒い人も来ますぅ!」
トロンの背中から突然声がしたため驚いたが、よく見れば彼女の背中には、上半身だけになってしまった、コブンという小柄なロボットが縛り付けられていた。
これも彼女が自作したメカで、以前は総勢40体もいたのに、この一体を残してロックに破壊されてしまったらしい。
コブンの黄色い声に我に返ったトロンは、私の襟首を離して涙を拭うと、また私の腕を酷く引きながら歩き出した。
私はロックに踏みつけらて足首を痛めていたため、上手く彼女の後に付いていく事ができず、何度も彼女に怒鳴られながら歩いた。
しばらく進んで墜落した飛行艇の残骸に辿り着くと、トロンは瓦礫の中から一台のエアバイクを引きずり出し、座席に跨ってエンジンを吹かす。
甲高いモーター音と共に砂が舞い上がって視界を一瞬ふさぎ、エアバイクは数センチ宙に浮かび上がった。
エアバイクには右側面にも座席が付いていて、そこにはまるで博物館から引っ張り出したような、古い機関銃が銃座代わりに取り付けられていた。
私はトロンに怒鳴られるまま、銃座に腰掛け、生まれて初めて触る本物の銃の冷たさに震えた。
武器ならばロックの為に作ったものに何度も触れているが、目の前のそれは多くの人間を殺してきたであろう、本物の冷酷さを秘めていた。
「MG3汎用機関銃、口径7.62mm!今使える得物はそれだけ!死にたくなかったら…わかってるわね」
「いや、やだよ私…ロックを撃つなんて!」
しかしトロンは私の言う事なんて聞く耳持たなかった。
もう彼女はこんなに強くなり、あんなに悲しみを押し殺しているのに、私はまだ迷いを捨てきれず、惨めにベソを垂らしていたのだ。
エアバイクは砂塵を巻き上げながら疾走をはじめ、私は強い風に帽子を飛ばされぬよう抑えながら、必死で座席にしがみ付いた。
やがて後方から砂煙が二つ。
座席に置いてあった双眼鏡を使うと、コブンの言った通りそこには、犬のような凶暴な外観をしたリーバードが二体(口の周りは血で真っ赤に汚れている)と、それの上に跨って偽りの笑みを浮かべるロックの姿があった。
そうロックは…本当にリーバードを操って、殺戮を行っていたのだ。
「ロック…」

454 名前:名無しさん 投稿日:06/04/22 18:23 ID:???
「『ロック…』じゃ、ないわよカマトト!早く撃って!ヤッツケルの!」
私は涙で歪む視界の中央に、機関銃の照準器とロックの姿を重ね、冷たい引き金に指をかけた…が、撃てるわけがなかった。
またトロンが怒鳴ったが、何と言ったかは覚えていない。多分「可愛こぶってんじゃないわよ!」とか「あんたなんか死んじゃいなさいよ!」とかそういうのだろう。
私が歯をカタカタ言わせてグズッている間にも、エアバイクとロックの間はみるみる縮まってきた。
そしてそんな私を飛び切り震え上がらせたのが、エアバイクのラヂオから突然響いたロックの言葉だった。
『みつけたよロールちゃん!今度はお腹が破れるまで水を飲ませるからね。もう吐いちゃだめだよ?吐いたら今度はドリルでお仕置きだ!』
「いやあぁっ!」
フラッター号の中でロックからうけた虐待が脳裏を過ぎり、私はまたお漏らしをしてしまった。
トロンは舌打ちすると、ハンドルを急激に切ってエアバイクを傾けた。この時私はうっかり口を切ってしまい、血の味が口に広がって気持ち悪くなり、思わず嘔吐してしまった。きっとトロンもバイクを汚されて怒っていただろ。
まぁしかし、そのおかげで私は数千度のプラズマに焼かれずに済んだのだが。
ついさっきまでエアバイクのあった辺りが一瞬で閃光を発し、草ひとつ残さず焼き払われてしまったのは、やはり後方から追ってくるロックが、左手のバスターを私達に放ってきたからだ。
これでようやっと私が吹っ切れ、機関銃の引き金を引き絞ると、銃口の先が狂ったように火を噴いた。
凄い音と振動、火薬の嫌な匂いと共に、綺麗な色の曳光弾が尾を引き、ロックが跨る犬型のリーバードを一瞬でガラクタに代える。
ロックは一瞬早くリーバードから飛び降り、足の裏にローラーのついたダッシュシューズで、先ほどと大して変わらぬスピードで追撃を続行した。
『酷いなぁロールちゃん。僕を撃つなんて…やっぱりデコイは、一匹残らず処理するべきだな!』
ロックが通信を止めると、もう一匹残っていたリーバードが高く跳躍し、あっという間に私のいる銃座に乗り込んできた。
間近で生きたリーバードを見たのは、それが初めてだった(いや、私は本当は、もっと前から知っていたのだが)。
敵意に満ちた赤い目が私を覗き込む。蛇に睨まれた蛙の様に私は硬直し、何の抵抗もできず、リーバードが鋭い牙で私の左腕を噛み千切ってしまうまで、ただ悲鳴をあげる事しかできなかった。
鮮血が銃座を汚し、私を汚し、運転席のトロンを汚し、リーバードを汚した。
「あぐぁぁ!?ひいやあぎゃあぁあああ!」
私は余りの激痛のため、呼吸もままならなくなるほどの悲鳴をあげたが、何故か気絶して楽になることができなかった。
リーバードは獲物である私の左腕を噛み砕くと、飲み込む必要もない為、首を振ってぼろ布の様になったそれを吐き出した。
トロンは必死の形相で小ぶりの拳銃を撃つが、小さな弾で大型のリーバードはどうしようもない。
次に狙われるのは恐らく、ドライバーであるトロンだろうが、しかし彼女には、彼女を大切に思う仲間がついていた。
「トロン様、さようなら」
背中に縛り付けられていた最後のコブンは、そう一言残すと、手榴弾をひとつ抱えて彼女の体から離れ、リーバードの胸元にしがみ付いた。
リーバードはバイクから転げ落ち、バイクから遠く離れた所で、爆発と共に粉々に砕け散る。
私は飛びそうになる意識の中、一瞬トロンの目に浮かぶ涙を見逃さなかった。


455 名前:名無しさん 投稿日:06/04/22 18:38 ID:???
もう少し続けるんでよろしくおながいします。やっぱDASH需要少ないわ。
3でるならロールちゃん使いたい。トロンでもええよ。

456 名前:名無しさん 投稿日:06/04/22 22:05 ID:???
>455
GJ!だが、日記が残ってるって事は生きてるんだよね。
…それはこれからの展開で明かされていくって感じか。
ロールちゃんってマブカプでしか見た事無いけど、あれでいいのかな?

457 名前:名無しさん 投稿日:06/04/23 11:25 ID:???
「弟さんに化けてマフィアの金を盗んだんですってね?弟さん大変なことになってるんじゃないの?」
軽く手首の関節をほぐしながらヴァネッサが話かけた。

「さて?何のことだか。」
男は平然と答えた。

「ま、いいわ。あなたにはそんなことよりももっと聞きたいことが山ほどあるんだしね。」
ヴァネッサがわきを閉めて、拳を持ち上げる。
典型的なボクシングスタイルだ。
「ところで、あなたの拳法、師匠を殺して奪った秘伝書で完成させたそうね。」
リズムよくステップを踏みながら1、2発シャドーでジャブを放つ。

「こんな廃墟のような倉庫でおしゃべりがしたかったのかね?」
男はそう言いながら自分もボクシングスタイルに構える。
「夜ももう遅い。さっさと用件を済まそうじゃないか。」
男がボクシングスタイルのままヴァネッサと向かい合うように間合いを詰めていった。

「あなた、ボクシングでアタシとやりあう気?」

「フン」
鼻を鳴らして男が電光石火でジャブを1発放つ。
そのパンチがヴァネッサの頬を掠めた。

「オーケイ・・・・・」
ヴァネッサの目にも本気が宿る。



お互いに間合いギリギリでステップを踏んで、最後の半歩を踏み出すタイミングを図る。
「ハッ」
まずはヴァネッサが仕掛けた。
相手のパンチの制空権に入る、ジャブを放つ、相手がかわした、反撃を受けないようにすぐさまバックステップで間合いから逃げる。


次もヴァネッサが打ち込んでいった。
ジャブを放つ。
相手がガードする。
今度は2発目をボディーめがけて打つ。
相手がガードしながら反撃のパンチを出してくる。
それをスウェーでかわして後ろに逃げる。

タッタッと軽快なステップを踏みながらヴァネッサがどんどん攻撃を繰り出していく。
打つ、逃げる、打つ、打つ、かわす、打つ、かわす、打つ、ジャブが1発当たった。
次のボディーも当たった。3発目のストレートはかわされたが、相手のカウンターは完全に見切ってかわした。

190センチ。120キロ。ヴァネッサは相手をそう見積もった。男は確かに体格こそヴァネッサを上回っているが、しかしテクニックもスピードもヴァネッサには遥かに及ばない。


「・・・・・・(パンチは鋭いけど、私には通用しない。警戒すべきは蹴りか、タックルからの寝技。相手が狙ってきた時が勝負。カウンターで沈める。)」
ヴァネッサはそう作戦を定めた。


踏み込む、打つ、打つ、かわす、相手のパンチにカウンターをあわせる、当たった、しかし、浅い。
打つ、かわす、打つ、ボディー、ボディー、ボディー、3発叩き込んだ。
相手がパンチを返してくる。
首を振ってそれをかわす。
かわしながらカウンターをまた当てる。


なるほど決して男がボクサーとして弱いわけではないが、ヴァネッサとでは比較にならない。
男が実力を隠しているようにも見えない。
拳法はともかく、ボクサーとしては本当にこの程度の腕前なのだろう。
相手がボクシングスタイルでくる限り、ウエイト差を考慮してもヴァネッサの勝ちは動かない。



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